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2021.11.19
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カテゴリ: 気になる本
図書館に予約していた『武器としての「資本論」』という本を、待つこと7ヶ月ほどでゲットしたのです。
格差を助長するような新自由主義の吹き荒れる日本経済を読み解くには、恰好の理論ではないかと思うのです。(みんな自公の長期政権が招いたことであるが)





白井聰著、東洋経済新報社、2020年刊

<「BOOK」データベース>より
資本主義を内面化した人生から脱却するための思考法。
【目次】
本書はどんな『資本論』入門なのか/資本主義社会とは?-万物の「商品化」/後腐れのない共同体外の原理「無縁」-商品の起源/新自由主義が変えた人間の「魂・感性・センス」-「包摂」とは何か/失われた「後ろめたさ」「誇り」「階級意識」-魂の「包摂」/「人生がつまらない」のはなぜかー商品化の果ての「消費者」化/すべては資本の増殖のためにー「剰余価値」/イノベーションはなぜ人を幸せにしないのかー二種類の「剰余価値」/現代資本主義はどう変化してきたのかーポスト・フォーディズムという悪夢/資本主義はどのようにして始まったのかー「本源的蓄積」/引きはがされる私たちー歴史上の「本源的蓄積」/「みんなで豊かに」はなれない時代ー階級闘争の理論と現実/はじまったものは必ず終わるーマルクスの階級闘争の理論/「こんなものが食えるか!」と言えますか?-階級闘争のアリーナ

<読む前の大使寸評>
格差を助長するような新自由主義の吹き荒れる日本経済を読み解くには、恰好の理論ではないかと思うのです。(みんな自公の長期政権が招いたことであるが)

<図書館予約:(4/06予約、副本9、予約89)>

rakuten 武器としての「資本論」


フォーディズム(フォード社による生産システム)の行き詰まりに触れているあたりを、見てみましょう。
p157~159
<ポスト・フォーディズムという悪夢>
 フォーディズム的な資本主義社会では、労働者にもそれなりの分配がなされ、同時に雇用のスタイルも安定していました。日雇いは「今日は働けても、明日は仕事があるかわからない」という不安定な労働形態ですが、フォーディズムの特徴は、労働者をそのような浮遊状態から脱させて落ち着かせたことです。「そうすることが消費の拡大にも、生産性の向上にも寄与する」という理由で、労働者の地位を安定させたのです。

 一度そうなると、これは労働者が獲得した権益となって、資本家も簡単には労働者を解雇できなくなっていきます。政府も労働者が失業したら失業手当を出さなければいけなくなりました。

 この資本制社会の新しい形は、一時はうまく機能しているように見えました。しかしやがて、資本家が満足するだけの剰余価値を生み出さなくなってしまった。

 そこで 新自由主義が目指したのが、過去に与えた労働者の既得権益のはく奪です。さまざまな規制緩和などを通じて労働者の権益を取り上げ、労働分配率を下げることで、新たな剰余価値を生み出そうとした のです。かくして労働者がフォーディズム的な資本蓄積の時代において享受してきた生活様式は、新自由主義の時代に入って次々と打ち壊されていきます。

 それによって現れたのは、ポーランド出身の社会学者ジークムント・バウマンが言うところの、「 リキッド(液状の)モダニティ 」です。すべてが流動化したのだ、ということをこの概念は言おうとしています。労働者に求められる能力、雇用形態等々が短期間に変化し、安定しない。日本における雇用の脱正規化はまさにその典型です。

 同じ表現を使うなら、フォーディズムの時代はいわば「 ソリッド(固体)モダニティ 」でした。ただし、資本主義の時代はそもそも常ならざる変転の時代であり、剰余価値の生産のために次々と、生産方法等の革新がなされてきた。同じ状態にとどまるものが何一つないことは、資本制社会の本質に属するわけですが、フォーディズムはそのような変転にある一定の枠を与え、固定化したと言えます。

 これは経済発展の原動力となった主力商品の性格から、そうならざるを得なかった面があります。フォーディズムにおいて発展のキーとなった商品は、フォードに代表される自動車であり、家電製品であり、耐久消費財であり、住宅です。産業としては製造業が中心でした。そしてこの時代に初めて労働者階級が家を所有することが一般的になってきます。

 ここで挙げたような商品は生産工程が複雑で、大規模な工場を建てて生産するしかありません。「これは流行らなくなったからもう作るのをやめよう」とか、「作る途中だけど変更しよう」などとそう簡単にはできない。だから、すべてをある程度、安定させる必要があった。そのためにモダニティもそれなりの固形性を持っていたわけです。

 しかし、耐久消費財を中心として資本主義が伸びていく時代は、ほどなく終わります。そしてモダニティの固形性に依拠し、労働者の既得権益になっていた安定性も突き崩されていきます。 現在進行しているのは、社会が液状化し、人々が寄る辺なき「はじまりの労働者」に戻されていく過程にほかなりません。

 ここ30年ほどのポスト・フォーディズムの経験は何だったのか。
 その一つは、「 相対的剰余価値の生産を追及していけば、資本主義はさらに発展していくし、また社会の安定性、健全性も保てる」という考え方が、「無効である」と証明された ことでしょう。





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Last updated  2021.11.19 08:18:50
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