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2021.11.20
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カテゴリ: 気になる本
図書館に予約していた『武器としての「資本論」』という本を、待つこと7ヶ月ほどでゲットしたのです。
格差を助長するような新自由主義の吹き荒れる日本経済を読み解くには、恰好の理論ではないかと思うのです。(みんな自公の長期政権が招いたことであるが)





白井聰著、東洋経済新報社、2020年刊

<「BOOK」データベース>より
資本主義を内面化した人生から脱却するための思考法。
【目次】
本書はどんな『資本論』入門なのか/資本主義社会とは?-万物の「商品化」/後腐れのない共同体外の原理「無縁」-商品の起源/新自由主義が変えた人間の「魂・感性・センス」-「包摂」とは何か/失われた「後ろめたさ」「誇り」「階級意識」-魂の「包摂」/「人生がつまらない」のはなぜかー商品化の果ての「消費者」化/すべては資本の増殖のためにー「剰余価値」/イノベーションはなぜ人を幸せにしないのかー二種類の「剰余価値」/現代資本主義はどう変化してきたのかーポスト・フォーディズムという悪夢/資本主義はどのようにして始まったのかー「本源的蓄積」/引きはがされる私たちー歴史上の「本源的蓄積」/「みんなで豊かに」はなれない時代ー階級闘争の理論と現実/はじまったものは必ず終わるーマルクスの階級闘争の理論/「こんなものが食えるか!」と言えますか?-階級闘争のアリーナ
<読む前の大使寸評>
格差を助長するような新自由主義の吹き荒れる日本経済を読み解くには、恰好の理論ではないかと思うのです。(みんな自公の長期政権が招いたことであるが)
<図書館予約:(4/06予約、副本9、予約89)>

rakuten 武器としての「資本論」


明治維新後の経済政策に触れているあたりを、見てみましょう。今ちょうどNHK「青天を衝け」で放映しているところですね。
p188~191
<日本における本源的蓄積>
 前講では、本源的蓄積の基本的な機能を『資本論』に即して見ました。『資本論』はイギリスにおける資本主義の歴史を素材としていますが、決してイギリスにかぎったことではなく、同じ道はどの国・地域であれ、資本主義社会になるためには必ず通過するプロセスであるわけです。

 ですから、日本にも本源的蓄積の時代があったはずだと想定されるわけです。教科書的にはそれは、明治時代前半のいわゆる「松方デフレ」の時代だとされます。松方とは政治家、松方正義のことです。九州・鹿児島の出身で、明治政府きっての経済通でした。
 1881年から85年にかけて、松方正義は大蔵卿に就任し、意図的なデフレ政策を実施。世上、これが松方デフレと称されます。明治維新が68年ですから、その13年後のことであり、この時期が日本における本源的蓄積の時代と言われています。

 当時の世相はどんなものだったのでしょうか。
 松方デフレの直前には、西南戦争が起きています。西南戦争の原因は直接的には秩禄処分とされます。これは名実ともに武士階級を廃止するための政策でした。

 明治政府は幕藩体制をやめて新しい中央集権制度を作り、身分解放を行って、廃刀令で刀を持ち歩くことを禁じた。「もう侍の時代ではなくなったのだから、そういう物騒なものを持ち歩くのはやめなさい」ということですね。旧武士にとってはプライドを傷つけられる命令でした。ただそれだけでは反乱にまでは至りません。反乱というものは、必ず一方で経済問題と結びついています。


 幕藩体制における武士は、事実上は公務員でした。藩士は藩から、直参の場合は幕府から、俸禄という名の給与を与えられていた。それは武士の特権であったわけですが、明治政府は、明治維新と同時にその特権を全廃することはできず、代わりに秩禄というものを与えることにしました。これは発足したばかりの明治政府の財政を圧迫します。政府としては当然ながら、そんなものは早くやめたいわけです。

 かつての武士は公務員であり、公務に従事することへの報酬として、石高に基づく禄を与えるのは筋が通ったでしょう。しかし明治維新後、すべての旧武士が政府に出仕して、政府のために働いているわけではない。なのになぜカネを配らなければいけないのか。

 そういう事情なので、さっさと廃止したかった。そこで政府は一種の一括払いのようなことをやって、「もうこれっきりということにしてくれ」と、秩禄廃止の方向へもっていきます。これに旧武士階級が激怒して、各地で反乱を起こしたのです。その最大のものが西南戦争でした。

 西南戦争は新政府にとって大きな試練でした。その戦費を賄うために、当時の明治政府はお札を刷りまくったのですね。このお札はただ輪転機を回しただけの、なんら金銀の裏づけがない不換紙幣でした。それを乱発したため、西南戦争が終わった時点で、悪性のインフレーションが起きてしまいます。

 当時、大隈重信が大蔵卿、今で言うところの財務相を務めていました。しかし大隈重信はインフレの収拾に失敗、明治14年の政変で下野し、その後任に松方正義が就きます。そして、松方は前任者とは正反対の財政政策を打ち出します。

 大隈はインフレを容認し、外債を発行して、外国から借金をしてしのごうとしたのですが、松方はそれをやってもダメだと考えます。代わりに増税と歳出抑制を組み合わせた均衡予算を組んで、意図的な緊縮財政を行い、経済を冷え込ませました。さらにインフレで市場に出すぎたいた紙幣を政府が回収し、燃やして捨てていきます。

 これと並行して日本銀行条例を公布して日本銀行を設立、1885年に銀本位制が確立されることになります。つまり、貴金属の裏づけのある紙幣を発行できるようになったわけです。同時に官営模範工場の民間資本への払い下げも行っています。
 これら一連の政策が、後世から見て日本資本主義の基礎を据えた一大事業だったとされているわけです。

 そこだけを見ると「これで日本の近代的経済の礎ができたのか。松方はすごい」ということになるのですが、しかしそれは光の部分であって、これらの政策は同時に闇の部分を持っていました。なぜなら、これこそがまさに本源的蓄積の過程だからです。

 このデフレーションの効果は農村部に及びました。農村で貨幣を獲得する主な手段となっていた生糸や繭、米などの農産物の価格が下落し、窮乏した農民は土地を売って、自作農から小作農へと転落していったのです。広大な土地が地主に集中し、彼らはやがて資本家となっていきます。

『武器としての「資本論」』1





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Last updated  2021.11.20 00:08:50
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