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2025.01.28
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カテゴリ: 気になる本
図書館に予約していた『おかしゅうて、やがてかなしき 』という本を、待つこと40日ほどでゲットしたのです。
岡本喜八の戦争映画は面白いので、かなり入れ込んで観ていた覚えがあるのだが・・・
この本では、戦中派としての岡本の心情がよく表れているようです。




前田啓介著、集英社、2024年刊

<「BOOK」データベース>より
岡本喜八は1924(大正13)年生まれ。『独立愚連隊』『日本のいちばん長い日』『江分利満氏の優雅な生活』など、戦中派の心情をそこかしこに込めた映画を撮り続けた職人肌の監督として知られる。陸軍予備士官学校で終戦を迎え、戦後映画界に復帰すると、戦争、時代劇、SF、青春群像など、バリエーション豊かで喜劇性にあふれた作品をつくった。喜八が生涯を通じてこだわり抜いた戦中派とは何なのか。新たに発掘された若き日の日記をひも解きつつ、映画監督・岡本喜八の実像と戦中派の心情に迫るノンフィクション。

<読む前の大使寸評>
岡本喜八の戦争映画は面白いので、かなり入れ込んで観ていた覚えがあるのだが・・・
この本では、戦中派としての岡本の心情がよく表れているようです。

<図書館予約:(12/12予約、1/23受取)>

rakuten おかしゅうて、やがてかなしき


「第三章 早生まれ」の途中から「死の覚悟」を、見てみましょう。
p206~208
■精神性の優位
 候補生時代の喜八が米子の家族に宛てて出した最後のハガキだと分かるのは、母の政枝に宛てた1945年7月20日のものだ。1ヶ月前の6月23日に沖縄が落ち、もはや、本土決戦まで猶予はなかった。「前略 御無沙汰しましたが小生元気で日々の猛訓練に精進して居り顔も真黒に焼けました。お便りが全然来ないですが皆様の方はお元気ですか 空襲激化の折柄、充分御注意下さい」と定型の中にも、戦局の悪化に伴い、自身の置かれた状況や身体が変化していく様子がうかがえる。そして、文末近く、こう決意を記した。
 小生も卒業が愈々近づき大いに張り切って居ます。護国の第一線に立つも間近かでしょう。

「第一線に立つ」とは、本土決戦の最前線で戦うということだ。その覚悟を、母に伝えている。この時期のハガキは一葉一葉が、喜八にとって、遺書のようなものだったろう。

■死の覚悟
 豊橋陸軍予備士官学校の候補生の一人が遺した当時の日誌が、『軍都豊橋』に載っている。卒業を20日後に控えた1045(昭和20)年7月23日の日誌には、「生への執着心」から逃れようともがく様子が記されている。奇しくも喜八がハガキを出したのと同じ時期である。
 人間本来ノ欲タル「生ヘノ執着心」ヲ離脱スルタメニハ、只「大儀ニ生キル以外ニナシ」トハ、ワカッテイルノダガ、卒業マデノ究極課題ナリ。

 本音と建前の境目がなく、まして本音を自由に書き、語ることができない世界で、20歳をまだ少し越したばかりの青年が懊悩する様子がひしひしと伝わってくる。『軍都豊橋』の著者の兵東政夫は「恐らくどの候補生も、卒業が近づくとともに喜びの裏には『いかに身を処するか』という大命題が横たわっていた。とくに“消耗品”という空しい現実にさらされたとき、8ヶ月の訓練と苦悩のやり場のない己の処理に戸惑ったに違いない」と候補生を思い遣る。

 家族へのハガキで「護国の第一線」に立つため、「大いに張り切って居ます」と悲壮な決意を述べた喜八の心境も同様だったのではないか。しかし、そうそう割り切れるものではなかった。

 地理学者の飯塚浩二は1949年に、戦後大学で学んだ陸軍士官学校出身者らとの座談会を開き、自著『日本の軍隊』に収録した。その中で、陸軍士官学校56期生の小林順一は、自分たち陸士出身者は「当時、平気で死ねるだけの精神的な安心感を持っていた」のに対し、学徒出身の候補生たちは「やはり死ぬということに対する、非情な一種の不安といいますか、そういう気持ちがあったらしい」と語っている。

 1925(大正14)年生まれの哲学者の梅原猛は、「2等兵で入隊するよりいっそ早く死んだ方が良い」と、特別甲種幹部候補生の試験を受けた。学科試験の成績はよかったが、口頭試問で日本の戦闘機の名前を「隼」しか答えられなかったことを叱責され、不合格になったという。
 その後、名古屋の三菱重工で勤労奉仕をしたが、何度も空襲に遭い、焼夷弾で焼け焦げた死体を目にする。梅原がその時の心境を語っている(『読売新聞』2015年8月15日)。

 自分がこの戦争で死ぬことはほぼ確実だと思ったな。負けるに違いない戦いで、なぜ死ななければならないのか。哲学書や宗教書を読みあさり、「死の理由」を探した。死が確実なら、せめて意味を見つけたかった。全く無意味に死んでいくのは耐えられなかった。

 梅原はそんな日々を振り返り、「僕たちの青春は死の影に覆われていた」と慨嘆する。


『おかしゅうて、やがてかなしき』1 :何を頑張れってんだ?





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Last updated  2025.01.28 00:07:10
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