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宮本常一を歩く(上巻)(著者:毛利甚八|出版社:小学館)宮本常一を歩く(下巻)著者:毛利甚八|出版社:小学館) 宮本常一の訪ねた土地を自分で歩き、土地の人の話を聞き、宮本常一とは何者であったのかを求めて旅した本。 実際に自分の足で歩いて地元の人の話を直接聞いているのがいい。書かれたものからのみ結論を出そうとする姿勢はない。 ただ、「土佐源氏」に関するところは納得できない。宮本常一贔屓でありすぎ、何もかも宮本常一に都合のいいように考えてしまっている。書かれていることについて、「本人が名乗り出ない以上は、誰も不名誉を負うような記述はない」(下巻65ページ)と言っているが、地元の人にとっては該当するのは一人しかいないのだから、本人が名乗り出ようが出まいが同じことだ。 どうせ複数の人物の語ったことを一つにまとめたのであれば、どこのだれともわからない「ヘンド」の語った話にすればよかったのに、そうしなかったことも問題なのではないか。発表媒体がなんであったか、形式がどうであったかなどということは書かれた側からすればどうでもいいことであり、問題なのは内容だけだろう。著者はわざとその点から目を背けようとしているように見える。結局著者は、マスコミのメディア側に立った考え方しかできず、書かれた側にとってはどうなのか、という点については、思いが至っていない。 また、上巻で、「部落」(30ページ)、「乞食」(96ページ)にそれぞれ「原文ママ」と注をつけているが、これはどういうつもりなのだろう。およそ「宮本常一を歩く」という題の本を読もうとする人間で、「部落」「乞食」という表記について「差別語である、けしからん」などという人はいないと思うのだが。出版社の都合なのだろうか。 このように、気になる点はあるが、それでもこれは良心的な本であると思う。何よりも、自分で直接体験しよう、としているところがいい。
1998.05.28
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星空のロマンス(著者:野尻抱影|出版社:ちくま文庫) あまり星座に関する知識はないのでよくわからない部分もあったが、ふとしたきっかけで星に興味を持ち、のめり込んでいった筆者の、星への愛情はよく伝わってくる。 筆者は大佛次郎の兄で、文章もうまく、漢籍に関する知識も豊富だ。感心する。 特に、「斗牛」にかんする説明が詳しくてよかった。
1998.05.18
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パパははなまる主夫(著者:薬丸裕英|出版社:集英社) 言うまでもなくもとシブがき隊のヤッくんの書いた本。 結構正直に書いてあるので驚く。しかし、子供の時に悪いことをいろいろしたのを正直に書いているのは、正直で偉いと思う反面、こうやって軽くかいてしまうことで、笑い話のようになってしまうと、子供の悪事がどんどん軽く見られるようになってしまうのではないかとも思う。バイクを盗んだ話など、盗まれた方としてはどうなのかは全く考えが及んでいないようだ。 ただ、子供の頃ずいぶん寂しい思いをしていたこと、父親との間に距離があることなど、自分で自分の育ってきたときのことを思い出して、自分の子供は自分と同じことにならないようにしようと気を配っているのはよくわかる。 全体的には正直なのだが、結婚式を挙げられなかった事情など、どういうわけか明らかにできないものもあるらしく、ちょっともどかしい。 昔、「レッツゴー・アイドル」で、薬丸と堀ちえみ、布川と石川秀美、本木と松本伊代というカップルになっていたのを結構信じていたので、石川秀美と結婚したときにはちょっと裏切られたような気になったものだ。シブがき隊というのは、アイドルとは思えないほどコントがうまかった。 それにしても奥さん、ずいぶんしっかりした人のようで、いい人と結婚したなあ。
1998.05.02
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文学のための日本語文法(著者:日本語文法研究会|出版社:三省堂) 文学作品の文章を分析し、どのように書かれているか考察しているのだが、正直言って何が書いてあるのかほとんど理解できなかった。 第三部の「『夏の花』論」は比較的わかりやすいのだが、ほかのところは何だかよくわからない。 「文学のための」とあるが、文学作品を生み出すためではなく、書かれたものがどういう書き方をされているか、その書き方によってどのような印象を読者に与えるか、ということを述べていて、実際に自分で書こうとする人のための本ではない。 読み方がいい加減だからわからないのかなあ。
1998.05.01
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