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幕末日本探訪記(著者:ロバート・フォーチュン/三宅馨|出版社:講談社学術文庫) イギリスの「プラントハンター」が見た幕末の日本と北京。ただし、北京についての記述は非常に少ない。 イギリスにない植物を求めて精力的に歩き回り、できるだけ多くのものをイギリスに送って根付かせようとした人物による見聞記。特に植物学上のことばかり語っているわけではなく、日本の風俗について冷静に語っている。少なくとも、イギリスのようではない、という理由で低く評価する、などということはない。ただし、日本の植物への感心は感じられるが、日本文化への愛情は感じられない。 また、イギリスの国益が最優先という点は譲れないらしく、「われわれは一国民として、あらゆる悲惨がつきまとう戦争は大嫌いだが、とかく戦争を広範囲にわたる領土の一部の出来事として、他人事のように思いがちである。しかも複雑多岐の通商のために、既述の新しい条約の結果、やむなく日本と戦うかも知れぬという、余りにも多くの問題が予測される。」などと述べている。(280ページ)つまり、商売のためなら戦争も辞さないのだ。 この引用のように、訳文は、いくらかわかりにくいところがあるが、もとは1969年に出版された本。しかも訳したのは薬学博士で武田薬品の副社長になった人物。30年前には自然な日本語だったのかもしれない。「中国」ではなく「シナ」という言葉が随所に出てくる。今のように出版社の自主規制などなかったのだろう。
1998.08.26
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西洋人の見た十六~十八世紀の中国女性(著者:矢沢利彦|出版社:東方書店) タイトルがちょっと散文的。「十六~十八世紀」ではなく「明清」でもよかったのでは。 当時の中国女性の生活、社会的地位などを中国の資料によってではなく、宣教師として中国にいた西洋人の目を通して考察しているのが新鮮。とにかく、女性が男と一緒にいることができないというのが徹底していて、そのために布教がしにくかったというのは興味深い。
1998.08.23
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上海1930年(著者:尾崎秀樹|出版社:岩波新書) 著者の兄である尾崎秀実(おざきほつみ)を中心に、一九三〇年の上海で出会った人々を描いた本。ゾルゲ事件の真相を究明する、などという姿勢はない。 よく調べて書いていると思うが、一部に、 「半封建的、半植民地的な矛盾が鋭角に突出している上海の地」(51ページ) というような、一見イメージとしてはわかるような、実態はよく分からない表現が見られるのが残念。文芸評論からしからぬ、新聞記者のような、言葉の中身を吟味しない表現だ。 それにしてもこの本のタイトル、表紙と奥付には「上海1930年」とあるが、背表紙では「上海一九三〇年」となっている。「1930」と「一九三〇」では、私には異なる表記法に思えるのだが、著者はどう思っているのだろうか。文中では、本文が縦書きなので一九三〇年となっている。古本で探す
1998.08.03
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