まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2021.07.10
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プレバト俳句。
お題は「携帯扇風機」。

俳句もイマイチ、添削もイマイチでした。



まずは、しょこたん。
扇風機持つ手甘噛む仔猫たち

今週はこの句がいちばんよかったと思います。
切れ目なしですが一物仕立てではありません。

ただ、
これを「コロナ禍の春を詠んでる」と解釈した先生の話は、


たしかに「仔猫たち」と複数になってるので、
仔猫がたくさん産まれた春の句と読めるかもしれませんが、
なぜ春に扇風機が回ってるのかも分からないし、
なぜその状況をコロナ禍とまで読めるのかも謎。

そもそも作者自身は、
「仔猫」が春の季語とは認識してなかったようで、
あきらかに夏の句として詠んでるわけですよね。

実際、
春に生まれたばかりの仔猫たちなら、
せいぜい這って歩くのがやっとだから、
手元にまで登ってくる脚力はないかなあと思う。


扇風機もつ手甘噛みする子猫
と一匹の猫にして、
夏の場面を詠んだほうがいいと思います。



小林幸子。
扇風機 市民ホールの舞台袖
開演の舞台袖なる扇風機
(添削後)

この添削はいいと思いますが、


舞台袖で冷たい風に当たって一息ついたらしいので、
上五は「開演の」より「幕間の」としたほうが妥当ですね。

かりに上五を「幕間の」とした場合、
中七の「舞台袖」と情報がかぶってる気もするので、

本人談を参考にして、
幕間のたらいの水と扇風機
としてみました。



鷲見玲奈。
仕事ぶり見張るデスクの扇風機
見張るかに回るデスクの扇風機
(添削後)

扇風機を擬人化しただけの一物仕立てで、切れ目なし。
原句もイマイチだけど、添削も微妙です。

添削の、
「見張るかに回る (=周回する) 」と、
「回る (=回転する) 扇風機」とでは、
「回る」の意味が微妙に違ってるわけなので、
これは一種の《掛詞》ですね。

しかし、結果的には、
後者の意味で「回る」を用いてるわけだから、
(掛詞としての役割を除けば)
たんに「回らない扇風機があったら持って来い!」
という不要な重複語句でしかありません。

正直、いい添削だとは思えなかったので、
破調ではありますが、
在宅ワーク 扇風機からの視線
とやってみました。



おいでやす小田。
挟み立つマイクさながら扇風機
マイク挟むごと相方と扇風機
(添削後)

これも切れ目なしの一物仕立て。

扇風機をマイクに見立てた直喩ですが、
原句のように「挟み立つマイク」とすると、
まるで 2本のマイクが自分を挟み立ってる ように見えます。

それが扇風機の比喩というわけだから、
2本の扇風機が自分を挟み立ってることになるし、
それをわざわざマイクに喩える意味も分からなくなる。

他方で、
先生が添削したあとでも、
状況は依然として分かりにくく、

まるで、
「相方と扇風機がマイクを挟むように向かい合っている」
と読めます。しかも、ギクシャクした破調です。

ためしに、
a: 漫才のマイク替わりや 扇風機
b: マイクのごと コンビで囲む扇風機
としてみました。



千原ジュニア。
ゆるキャラの汗の匂いとファンの音

これも切れ目なしの一物仕立て。

嗅覚と聴覚の情報に焦点を当てたとは言うものの、
たんに「着ぐるみの中」を描いただけだし、
さほど面白いとは思えない句でした。



立川志らく。
焼き鳥屋の団扇 うちわ に「みつを」を見つけ 
焼き鳥屋の団扇に相田みつをの詩
(添削後)

これも切れ目なしの一物仕立て。
「焼き鳥」は冬の季語ですから、
夏にもかかわらず冬の句を詠んでしまったわけですね。

破調を容認するほどの内容とは思えないし、

たとえば、
鳥を焼く団扇に相田みつをの詩
つぐみ 焼く団扇に相田みつをの詩
などとすれば、
ちゃんと575に収まるんじゃないでしょうか。



梅沢富美男。
南国の果実色してハンディファン

季語を使わずに夏らしさを表現してる点に独自性はあるものの、
これも扇風機の色を比喩しただけの切れ目のない一物仕立てだし、
さほど面白い句だとは思えません。

爺のくせに、
柄にもなくカラフルな場面を描いてるところからして、
「にこるんと デートに行った 電気屋さん」
みたいな浮かれた気分だったのでしょう。

そのことだけは、ありありと伝わってきます。



ところで、梅沢の、
「○○のよう にして □□(が…している)」
(果実のような色 をして ハンディファンが並んでいる)
と同じスタイルの比喩の句は、

あえかなる鏡の色をして冬日
(鏡のような色 をして 冬日が射している)
がそうだったし、
別珍の手触りのして梅の香よ
(別珍の手触りのよう にして 梅の香りが漂っている)
もそうかもしれません。

これはたぶん、
まゆはきを俤 おもかげ にして紅粉 べに の花
(眉掃きを思い出させるよう にして 紅花が咲いている)
という芭蕉あたりが模範かと思いますが、

これもいずれワンパターンに陥りそうな気がします。




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最終更新日  2022.02.03 03:57:05


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