まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2023.01.15
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初富士は青しケサランパサラン来 雪虫の第一発見者は次男 冬ぬくし粘板岩に貝の跡 マフラーにきら失くしたはずのピアス 四時限目休講小春のキネマ 焼鳥や嗚呼隣席に郷ひろみ 一月の銀座でおそろいの遅刻 初旅は海へ黄色の京急来 夕の膳二つ「ん」のつく冬至かな 雪晴やチャームへ託す運選ぶ 吉兆の輝き一村をめざす 3ミリのジンクス冬晴れの球児 夢のあとはぐれ牛すじおでん鍋 ダイヤモンドダストファンが持つライト 闇動く幸せが動く梟

お題は「ラッキー」。

1位が森迫永依。
2位が本上まなみ。

二人とも出演回数は少ないけど、
実力はすでに十分だったので、
わりと順当な結果だと思いました。

はじめから「どちらかが優勝するかも」って気がしてた。





初富士は青し ケサランパサラン来


あれ?
前にも誰か「ケサランパサラン」で詠まなかったっけ??

…と、最初に思ったのだけど、
よく考えてみたら「プレバト」じゃなくて「せかくら」の話だったw
たしかアンジャッシュの児嶋が持ってきてたような。どっちの番組にもジュニアが出てるから混同した。

その実物を「せかくら」で見たときは、
なにやら不気味な物体のように感じたのだけど、

今回の森迫永依の俳句を読んだら、
むしろ爽やかな幸運の綿毛のように思えました。
それどころか、
「ケサランパサラン」という響きまで、
なんだか清々しいものに思えてくるから不思議。


「モロッコの朝」にしても、
「冬晴れの小樽」にしても、
清々しさを表現するのが作風になってますね。

初富士についても、
「雪の白さ」ではなく「青さ」を描くところに、

助詞の「は」は、その新鮮さに驚いたがゆえですね。

句またがりとか、動詞「来」の選択とか、
結構いろんなことを分かった上で作っている。



本上まなみ。
雪虫の第一発見者は次男


この助詞「は」の使い方も的確。
中七下五の句またがりもサラリと出来ている。

前回は「従弟」の句。
今回は「次男」の句。
ほのぼのした身内のエピソードですよね。

森迫永依も、本上まなみも、
まだ数回しか出演してないと思いますが、
内容的にも、形式的にも、
ちゃんと一定の作風があるように見える。



キスマイ千賀。
冬ぬくし 粘板岩に貝の跡


型どおりのそつのない句です。

ただし、個人的には、
季語を兼題に寄せて「暖かい冬」にしたのはいいとしても、
助詞を「に」にしてラッキー感を強める必要があるかしら?
…ってのはある。

そもそも化石を見つけるために粘板岩を探してるのだし、
竜の跡とかならともかく、
貝の跡ぐらいで「ラッキー!」ってほどでもないのでは?
本来なら「に」ではなく「の」で十分かなと思います。



森口瑤子。
マフラーにきら 失くしたはずのピアス
マフラーのフリンジ あらここにピアス
(添削後)

擬態語の「きら」がどうかなあ?…とは思いました。
せめて「きらり」と書くべきでは?

たとえば、
マフラーにきらり 失くしていたピアス

でも17音にはできます。



フジモン。
四時限目休講 小春のキネマ
四時限目休講 小春日のキネマ
(添削後)

16音の字足らずを解消するには、
たとえば「四時限目 」としてもいいし、
添削のように「小春 の」としてもいいわけですが、
原句の字足らずのままでも悪いとは思いません。

むしろ字足らずのほうが、
小春の休講の"束の間"な感じとか、
"人知れずささやかな娯楽"に浸る感じとか、
そういう印象が出るのだと思います。

名人がこの手のミスをするはずもないし、
これは意図的な字足らずだったように感じます。



千原ジュニア。
焼鳥や 嗚呼隣席に郷ひろみ


悲嘆の「嗚呼」なのかと思いきや、
最後の「郷ひろみ」で落とすというウケ狙いの句。

切れ字「や」の詠嘆のうえに「嗚呼」を重ねるのが、
ちょっとクドイとも言えるし、
あるいは感動の焦点が散漫だとも言えますが、

それもウケ狙いのうちだといわれれば仕方ない。



犬山紙子。
一月の銀座でおそろいの遅刻
一月の銀座 お互いの遅刻
(添削後a)
一月の銀座 お互い様の遅刻 (添削後b)

この場合の「おそろい」は誤読を招く、
…というより、ほとんど誤用というべきでしょう。

なので、直しが必要ですが、

字足らずの(添削後a)よりも、
字余りの(添削後b)のほうが、
内容的にもリズム的にも良い気がします。



キスマイ横尾。
初旅は海へ 黄色の京急来
京急は黄色だ 初旅は海へ
(添削後a)
イエローハッピートレイン 初旅は海へ (添削後b)

原句は二句一章なのですが、
切れのない一句一章だと誤読されかねないし、
そうすると「~へ~来る」の組み合わせがおかしくなる。
一句一章ならば「~へ~行く」でなければならない。

そこがすこし難点なので、直したほうがいい。

なお、(添削後a)のほうは、
あえて「黄色の京急や」でなく「京急は黄色だ」としてますが、
結果的に助詞の「は」を2度使うことになるので、
字余りであっても(添削後b)のほうが良いと思います。



梅沢富美男。
夕の膳 二つ「ん」のつく冬至かな
「ん」のつくもの二つ 冬至の夕の膳
(添削後)

セオリーにしたがうなら、
最後を「かな」で締める場合に「切れ」は入れないほうがいい。

この句は、
内容的には二句一章ではないけれど、
リズムのうえでは上五に「切れ」が入ってるので、
たとえば上五を「夕膳の or 夕膳に」とすれば、
その点を解消できると思います。

これが9位だったのは順位が低すぎる感じ。
わたしなら、これを4位か5位ぐらいにします。
(逆に、森口やジュニアは順位が高すぎると思う)

なお、
先生の添削は「ん」で始まってるので、
これって、もしかしたら俳句史上初かも!!
と思いましたが…

すでに夏井チャンネルでもやってましたね(笑)。



フルポン村上。
雪晴や チャームへ託す運選ぶ
雪晴や 金運のチャームきらきら
(添削後)

動詞2つで「託す運選ぶ」の是非。

すなわち、
「運」という名詞が、
修飾語の動詞と述語の動詞に挟まれた形。
誤読の危険性はないけれど、
やはりゴチャッとした印象になります。

それから「運選び」ってのは、
客観写生ではなく心情表現というべきなので、
その是非も問われることにはなる。

それでも、
原句の意図を尊重して、
動詞をひとつ減らすとするならば、
雪晴や チャームに何の運託す?
雪晴や チャームに託すは何の運?

みたいな方法もあるとは思いますが。



中田喜子。
吉兆の輝き 一村をめざす
吉兆の輝き 産地の村めざす
(添削後)

もしかしたら作者のこだわりは、
「キッチョウ」と「イッソン」の促音で、
韻を踏むことだったのかもしれません。

しかし、
福笹を掲げて目的の村へ向かう映像は、
そういう地方の行事か何かとしか読めません。



高橋克実。
3ミリのジンクス 冬晴れの球児


3ミリに刈った坊主頭のことらしいけど、
わたしも、先生と同じように、
「ボールにあと3ミリ届かなくて負けた」
とか、そういう話なのかと思いました。

ちなみに、
床屋では「3ミリ=1分刈り」だそうですが、
17音の定型に収めるのなら、
「丸刈りのジンクス」「五分刈りのジンクス」
みたいな感じになるでしょうか。



伊集院光。
夢のあと はぐれ牛すじおでん鍋
牛すじの外れておでん鍋の底
(添削後)

原句は、
二句一章の内容なのだろうけど、
リズムのせいで三段切れに見えてしまう。

もし原句の意図を尊重して直すなら、
目覚めればおでんは牛すじのみとなり

みたいな感じ?



キスマイ二階堂。
ダイヤモンドダスト ファンが持つライト


もしかして「ト」と「ト」の脚韻だった??

先日の宣言どおり、
句またがりの対句形式にはしてきたものの、
内容的には「取り合わせ」ではなく、
たんに「BはAのようだ」という比喩ですね。
季語を比喩に使ったのも減点要素になりうる。

今後、また句またがりの対句に挑むのなら、
まずは横尾から、
「二物衝撃」「2カットの取り合わせ」
の意味を教えてもらったほうがいいと思う。



立川志らく。
闇動く幸せが動く 梟 ふくろう


フクロウが動くことは、
すなわち闇が動くことであり、
すなわち幸せが動くことである…
みたいな意味なのだろうけれど、

その観念的な内容に17音の言葉では届いていない。

とくに中七の「幸せが動く」というフレーズは、
ネガティブな変化を意味するように誤読されかねない。

ためしに、
闇動く 幸せの梟動く
あるいは、
闇を鳴き幸せを呼べり 梟
としてみました。





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最終更新日  2023.01.15 18:16:55


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