まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2024.01.23
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もともとミクロス・ローザは好きだったけど、

あらためてその魅力を認識しなおしてる。

なぜか日本のWikipediaやクラシック系サイトでは、
ハンガリー風の表記で「ロージャ・ミクローシュ」となってますね。



一般的には「ベン・ハー」の音楽が有名ですが、

わたしがとくに好きなのは、
ヒッチコックの「白い恐怖」、

ダグラス・サークの「愛する時と死する時」の音楽です。



(冒頭がテルミンではじまる) 

Fritz Lang/Moonfleet 

Douglas Sirk/A Time to Love and a Time to Die 



好きになった最初のきっかけは、
30年くらい前に映画館で観た「ムーンフリート」。
シネマスコープによる冒険絵巻でした。

物語はよく覚えてないけど、
ミクロス・ローザの血湧き肉躍る音楽が、
ゴシックロマン的な冒険譚を否応なく盛り立てていた。



ラフマニノフやレスピーギあたりと同じく、
「遅れてきたロマン派」とも「擬古典主義」とも言えるけど、
本家のロマン派より、もっとロマン主義的なのよね。



場面の転換にともなって、
分裂症的に目まぐるしく変わっていく曲想にも、
物語的なロマンティシズムを掻き立てられる。

口ずさめるようなキャッチーなメロディも豊かで、
ジェリー・ゴールドスミスやジョン・ウィリアムスが、


もともとはユダヤ系のハンガリー人ですが、
土俗的な響きを大胆に打ち鳴らすところとか、
そこはかとなく東欧的なエキゾチズムも感じられる。

どこかしら日本の伊福部昭を思わせる面があるかも。



わたしはコダーイやバルトークも好きだけど、

同じハンガリー出身の作曲家として、
彼らに並べるべき存在じゃないかと感じます。
実際、映画音楽以外にも、
バイオリン協奏曲などの純音楽を残してる。

映画音楽にくらべれば、純音楽のほうが近代的かもしれません。



ちなみにハンガリーでは、
日本と同じようにファミリーネームが先に来るのだけど、
Wikipediaなどの表記が、
ハンガリー風に「ロージャ・ミクローシュ」と書くのは、
米国ではなく、ハンガリーの作曲家と見なすがゆえ?

それって、もしかして、
「ヘンデルは英国人じゃなくドイツ人だ!」
みたいなのと同じ理屈でしょうか??

たしかに純音楽のほうでは、
「Hungarian Serenade, Op. 25」 (1945)
のような作品もあったりするので、
ハンガリーの作曲家と見なすのは妥当ともいえる。



かたや英語のWikipediaのほうは、
あくまで英語風に「Miklós Rózsa」の表記になってるのよね。



その英語のWikipediaによると…

母親はフランツ・リストの孫弟子にあたるピアニスト。
やはり当初はブダペスト北部の民謡を収集したりして、
コダーイやバルトークの後継者たろうとしてたようだけど、

まもなく個人主義を抑圧する民族主義の危うさに気づき、
一転してドイツ音楽のほうへ傾倒し、
19才でライプツィヒ音楽院に入って作曲を学び、
バッハゆかりの聖トーマス教会では合唱音楽を学んでる。

しかし、純音楽の作曲家としては生計を立てられず、
フランスで映画音楽を手掛けてた友人のオネゲルにならい、
同じハンガリー出身の映画制作者アレクサンダー・コルダのために、
ロンドンやハリウッドの映画界で作曲に従事する。

ワーグナー風のライトモチーフをもちこむなどして、
第二次大戦中の米国映画界で高い評価と成功を収め、
戦後まもなく米国籍を取得し、後半生は米国で過ごしたようです。
アカデミー賞には11度ノミネート。そして3度受賞。




そこから考えると、
祖国ハンガリーを捨ててドイツに学び、
米国で生きることを選んだように見える。


…とはいえ、

音楽そのものは、
やはりドイツ的とも米国的とも言い切れない何かがあって、
そこはかとなく《ハンガリーっぽさ》を感じるのよね。

ハンガリーのマジャール人の祖先は、
コーカソイドじゃなくモンゴロイドだったらしく、
ファミリーネームが先に来ることからも分かるように、
言語的にもインド・ヨーロッパ語族とは別系統。

ヨーロッパでは例外的なほどアジア・ユーラシア的で、
かなり特殊な民族なのだといえます。

ミクロス・ローザの音楽からも、
しばしばアジア風の旋律が聞こえてくることがある。



コダーイやバルトークは、
いわば「近代の国民楽派」だと思いますが、

チェコのヤナーチェクやマルティヌーも、
米国のガーシュウィンやコープランドも、
アルゼンチンのヒナステラも、
ブラジルのヴィラ=ロボスも、
同じように位置づけることが出来るし、

わたしの好みも、そこらへんに集中している。
そして個人的には、
ミクロス・ローザもそこへ並べたい気がしてます。



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最終更新日  2024.01.24 07:05:25


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