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「あいや、かたがた、粗茶とは他人にすすめる茶の謙譲語なれど、相手をうやまう気持から生じたものであるから桐野家を誹謗したことにはならない。 ゆえに又右エ門殿、切腹はお考えなされませ」「これはトメの嬢さま、ありがたきお言葉、ならば拙者の腹切りはやめて、このお茶を一服所望するとするか」一口すすって茶碗を置きます。「これは、美味、熱くもなく、ぬるくもなく、苦みの中からかすかに甘味を感じ、自己主張の強い玉露と違い、あなたの色に染まっても良いという、優しささえも舌の上で表現しているのでござるj 本家本元の桐野清十郎さんも、この即興時代劇につきあいます。「さすが澤登さまの奥方、拙宅の奥女中が入れる茶と一味も二味も違うのは、茶道歴が長いと推測すれど何流でござるか」「清十郎殿、裏千家で一年、表千家で二年、中山道で三年です」「やはり、只者ではなかったでござるな、して、お花のほうは」「はい、勅使河原蒼風先生の草月流、その流れをくむ花月流三代目家本、花月亭痴楽の三番弟子、花月亭無痴楽と申します」「お見事でござる、澤登うじもお目が高い、このように当意即妙な受け応え知的水準が高い証拠でござるよ、サユリ奥方、これからも長いお付き合いをよろしゅうお頼み申し上げます」「清十郎さま、こちらこそ当代一の江戸狂言の書き手と知り合ってうれしゅうございます。その上、動物たちと自由勝手に話せる木村トメの嬢さままでも仲良くしていただき、この上もない幸せと存じまする、お二人ともこれから主人ともどもお付き合いのほどお願いいたします」 木村トメさんが大きく手を叩きました。「はーい、今日の時代劇はこれをもって終了。これからのおおまかな予定をいうよ。まず現在、緑地の中で仲間に育てられている名無しの権瓶猫、ゴンちゃんは一週間後に乳離れしたら、あなたたちどちらかの家に連れてくるが、どっちの家にすればいいのか決めてちょうだい」 つづく
2016/06/28
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「・・・今、緑地に捨てられていた子猫を、みんなして育てているけど、もう少しで固形物も食べられるようになるから、この際、あなたと澤登さんで相談してもらい、チビコとその子を里親として育ててくれたら、みんながハッピーというわけ。場合によっては、一か月交換システムも悪くないってカメぱっぱがいっているの」「それでは、拙者、さっそく澤登うじに連絡をとり相談いたしまする」 スマホを取りだすのをトメさん、慌ててとめます。「ちょっとまった、イヒ、善は急げでここに来る前に澤登家に寄って今の話をしたら、夫婦ともあなたに会いたいって、車で一緒に来て、実は外で待っているのよ」 それを聞くやいなや駆け足でとびだす桐野さんは、玄関から外に向かいました。すぐに澤登夫婦ともども一緒に室内に入ってきます。「いやはや、木村うじの電光石火の根回し、恐れ入谷の鬼子母神。さ、お掛けになってくだされ。今日は秘書兼お手伝いが出かけているから、拙者が粗茶でも入れまする」すると、澤登沙祐里さん、すくっと立ち上がりました。「いいから、私めがお茶くらい入れまする。みなさんは話を続けてください」キッチンに向かう奥さんの後ろ姿を目で追いながら、澤登さんがにこやかに話しはじめます。「私たち夫婦にとっても木村さんの提案は、大歓迎です。桐野さんはいかがでしょうか」「身どもにとっても願ったり叶ったりの話で、なんら反対する理由などありません。交互にその二匹を引き取り育てるのも、おもしろいではありませんか。 あとは猫たちの気持ちを優先して、どちらかの家で落ちつきたいと、申し入れがあれば、それもよろしかろうと、思うのでござる」 トメさんが間に入ります。「もうひとつ、これはチビコからのお願いで、たまには仲間に会いたいからニ三か月に一回は、生田緑地に連れてきてもらいたいそうだ。三時間程度でいいから、旧交を温めて帰りたいと、いっているけど無理かな」「いや、拙者は、かまわないが澤登うじは、いかがなされますか」「当然、私もなんら問題ないでござらん」「こら、ゆうちゃん桐野さんのペースにならないの」 沙祐里さんが四つのお茶碗をお盆に乗せて運んできました。「さ、さ、粗茶ですがお飲みくだされ」 桐野さんがうれしそうに応えます。「かたじけのうござる、客人に茶を入れてもらうなんて」 トメさんも笑顔で話します。「サユリさん、人さまの家で粗茶はないだろう」「あら、私としたことが、とんだ醜態をさらしたものです、殿、お許しくださりませ」こうなると、ゆうちゃんも黙っていられません。「あいならん、桐野清十郎家の茶を粗茶などと、よくぞ申したな、この澤登龍之介、妻の粗そうは、あるじの責任、ここでは畳が汚れるから庭先をお借りして見事、腹、かっさぱらいて見せるゆえ、お許しくだされ~」 ついにトメさんまでもが、この場の雰囲気に染まることに決めました。 つづく
2016/06/24
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「いえ、夜空の星を見つめていると、自然になにかと対話するようになったのです。仏さまとか神さまとは違う絶対的な宇宙からのエネルギーを感じ、その中から真理や道理がおぼろげに理解できるようになりました。たとえば生き物は、なんのために生きて、どうして死を迎えるのだろうとかを」「ふーん、むずかしいことは、わからないが、猫だってあらゆることを考え追求するのは悪くないよ。ただ本能にそって生きるのもいいけど、毎日の営みに活力を与えるわずかな調味料が、真理とやらかもしれないね。 これからも、たまに緑地に来て、みんなに考える力を与えてやってほしい」「私のようなちっぽけな猫が、少しでもみなさんのお役に立つなら、これからもうかがいます。だって、ここが私にとっての聖地ですもの」「ありがたい、今度、ガマのビッグを紹介するね、緑地一の物知りで長老として仲間みんなに慕われているよ、見てくれは、ちょいと怖いけど、話すと博学でときには冗談もいうの、玉にキズは、言葉の語尾にゲロゲーロをいうのニャー、あらやだ、いつの間にか私もだニャー」 小さな洞窟の中に二匹の笑い声が響くと、まだ名無しの子猫がブルッと体を震わせましたが、そのままスヤスヤ暖かな眠りの世界に引き込まれます。「わざわざ拙宅までご足労わずらわさずとも拙者からうかがったものを」 桐野清十郎さん宅の応接間に通された木村トメさん、だされた海明堂の一口ようかんを口に入れもぐもぐと、しゃべりました。「だからチビコも悩んでいるのよ、あなたも澤登さんも良い人で甲乙つけがたいし、緑地仲間も今度ばかりは、チビコの里親をどちらにするか結論がでないの、そうしたら、あの、カメぱっぱが、とんでもないことをいいだしてね・・・・」 つづく
2016/06/21
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木村トメさんからの朗報をヨシコさんは世話焼き会のみんなと、レバコに伝えました。まだ名前のない子猫にお乳をあげていたレバコもほっとした顔を浮かべます。「これでこの子が離乳食に替わるまで私も落ち着いて、ここにいることができます。当分、あのガンコな串五郎さんと会えないのは悲しいが、こうやって毎日みなさんと話せるのは、うれしいですね」 ヨシコさんが子猫を慈愛に満ちた表情で見つめていました。「レバコも串五郎さんっていう素晴らしい二本足と生活できて幸せだね~拾われた子猫が全猫、幸せだとは限らないから。虐待され、また、ここに戻るのもいるし、再び捨てられるのもいるよ。まったく二本足って動物は、品性の落差がはっきりしているよね」「二本足社会と同じで私たちの社会でも平和や幸福を求めるのは、大勢いるけどごく少数のものは、それを否定する価値観の異なる生き物がいます」「そうだね、急に暴れだして他の動物を襲う奴もたまにいるから」「前に串五郎さんがつぶやいていました。常習的に犯罪を起こし暴力的になる二本足の大半は、脳に障害があるが、大部分は気がつかず病院にもいかないそうです」「おお、怖ッ、たまに紛れ込んでくる変な猫にもいるから、パトロールを強化して気をつけようっと。そういえば、クシコがいないね」「さっきレディカカとカメぱっぱが来て、外で遊ぼうと連れだしてくれました」「あの二匹もヤルネ、退屈しているクシコを連れていくなんて」「初めてカメぱっぱを見たときは、もう、驚きました。あんなに愛くるしくて縫いぐるみのような生き物がいるなんて」「私もそうだったよ、カメとかっぱのハーフらしいけど、出生なんかはベールに包まれているよ」「生きているって、素晴らしいですね、カメぱっぱやみなさんと会えて、楽しい時を過ごせるのは天からの贈り物です」「レバコは、たまに宗教ッポイ話をするけど、なにかあったのかい?」 つづく
2016/06/17
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「へーい、そのとうりです。申し訳ない、レバコとクシコのことみんなにヨロシクと伝えてください。次に緑地へ散歩にいったとき、串にささないヤキ鳥とキャットフードを山盛りで箱に入れてもっていきます」「そうしておくれ、ただし他の人間に見つからないようにしてね、野良猫に食べ物をやらない運動とやらが、あっちこっちで、はやっているから、野良にはつらい時代だし、餌をやる人間も怒られるから」「人間って勝手なもので、もともと野良は人が捨てたんでしょうよ」「そうだけど、餌やりには注意してよね、それでは帰るよ、おあいそして」「今日は、けっこうです。アッシからのお礼ということで」「それは、ダメ、これだけおいしいものをだしたんだから、正当なお金をとらないと、二度と来ないよ、いいかい、高くてもうまいものを食べたい客は必ずいるからね」「へい、重ね重ね、申し訳ありません。それでは、いただきます」 串五郎が小さな紙に数字を書いてトメさんに見せました。 やや顔が引きつったトメさん、それでもお札を差し出すと、「お釣りは、レバコのミルク代で、とっといて」左手を挙げヒラヒラさせ、そのまま振り返らずにお店を出ました。その後ろ姿を見送りながら串五郎の声が響きます。「木村さん、ありがとうございました」 少し経ってから小さな声で「申し訳ねぇ、本ワサビ切らしていたので、見えないようにしてチューブのワサビを使いやした。次には必ず仕入れておきます」 つづく
2016/06/15
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「生田緑地の動物たちから様々な相談を受けているが、私自身も人生が明るくなるなど恩恵をもらっていてね、ここに来た理由は、緑地にいる世話焼き会所属、猫のヨシコに頼まれてレバコを長くて7日、早ければ5日だけお借りして子育ての手伝いをしてもらいたいそうだ。 仲間が捨て子の赤ん坊猫を拾ったまではよかったが、あいにくお乳の出るママ猫が近くにいなくて、ようやくレバコを探し当てたわけ。ところが、なんとレバコ自身も緑地でヨシコたちに拾われ育てられて、串五郎さんに拾われたってすごいオチがついているからびっくりクリクリ、あれ、目ん玉大きくして、ここまでの話、わかったかな」「・・わかるもなにも、初対面のあなたが、私の名前や猫の名前までも知っているなんて、信用するしかないが、念のためアッシとレバコしかしらないはずの質問をしやす。レバコの子供の名は、なんていうか、わかりますかい、いや、無理ですよね、誰もしらないから答えようがない」「クシコね、もっとしゃれた名前にしてくれたらよかったとレバコがこぼしていたってよ、私は木村トメというの」「・・木村さん、あんたの話、全部、信用します。クシコの名までしっているなんてレバコがしゃべらなくては、絶対にわからねえ、それに、緑地で拾ったのも本当です。そうですかい、あいつを赤ん坊のとき世話をしてくれた猫たちが、また同じことをやっていて、そのあげくレバコにまでたどりつくなんて、下手な童話じゃあるまいし、現実って奇なもの縁なものですね。 木村さん、そいつらに、いや、その猫さんたちに、レバコさえ納得しているなら気がすむまで子育ての手伝いをするよう伝えておくんなさい。 いやあ、今日は久しぶりにうれしいや、店を閉めて木村さんと呑みましょうか」「それは、いけない、串五郎さんのヤキ鳥や料理を楽しみにくる客がいるのを忘れてはだめ、ここでうまいものを食って呑んで仕事のストレスを発散させるのも大勢いるだろう」 つづく
2016/06/12
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一瞬、串五郎さんは同業者かお孫さんが、どこかでヤキ鳥屋をやっているのかと判断します。「へーい、合点承知の助、お客さんのご要望すべて受けたまわりました」それからは、一切無駄口をたたかず調理に専念します。 最初にでたレバーをワサビに少しだけつけて口に入れたトメさん、ムシャムシャ食べ続け、おちょこから吟醸酒を口に含み、しばらく温めるようにしてから呑みほしました。一連の動作を目の片隅で追いかけていた串五郎、次の調理にとりかかります。ハツやもも、皮も時間をかけて食べほしたトメさん頭を上げます。「あんた、長いのかい、ここは」 小さいが心の奥深くに染み渡る声が発せられました。「いえ、まだ、たかだか35年です。ここで店を開く前はサラリーマンをしていました」「苦労したね~いまどきヤキ鳥を焼くのに備長炭で丁寧に焼くなんてあまり儲けにはならないだろう。それに串に刺した具をきちんと分けて置き、注文に応じて焼きかげんを変えるなんて時間もかかるから、せっかちで味なんかわからないアホ客はイライラするよね。 この酒も寝かし状態がいいからまろやかで、舌の上でねっとりベタベタせず、高級ワインの味わいだよ。今は、アンタのように本当の職人といえる料理人は少なくなった。うれしいよ、初めての店でこんな感動をするなんて」「いえ、過分のお言葉痛み入ります。100人中一人でもアッシのバカ料理を認めてくれると、心底、この稼業をやってよかったと思います。あらためてこちらからお礼を申しやす」「この前、店先にいた黒猫はこの店の猫かい」「はい、ウチの猫ですが、今日は子供ともども、どこかに出かけ、まだ帰ってねえんで心配しています」「アンタが話のわかる男として、これからいうことを信用してほしい。 まず、私は動物と会話ができるの」 つづく
2016/06/10
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それを見ていたレディカカが真っ先に手を叩きます。「やった~これでこの子は助かるよ、ありがとうレバコ」 笑顔になったおばさん猫たちは、レバコの周りに集まり口々に感謝の言葉をいって三々五々解散します。猫たちにもそれぞれの役割があり、餌さがしや挙動不審猫を排除するため緑地内をパトロールする猫、他の四足連合会との懇親会などけっこう忙しいのです。周りが静かになったころ膨らんだ子猫のお腹を見つめていたヨシコさんがレバコに話しかけました。「お腹が一杯になったら、もう寝ているよ。ここの裏にある崖の中腹に小さな洞窟があって、そこに干し草を引きしめ簡単な寝床を作ったからレバコはそこで休んでおくれ、当分クシコとその赤ん坊は一緒にいて、近くには私かこのレディカカ、もし二匹が他の用事でいないときは、世話焼き会の猫が必ずいるようにするから安心してニャー」「至れり尽くせりの用意を感謝します。ひとつだけ心配なのは、7日間でも私たちがいなくなると家出か迷子にでもなったのかと飼い主が探しまわることです」「私からレバコが緑地で子育てを手伝っているのを飼い主に説明するけど会話はできるのかい」「いえ、ほとんどボディランゲージですが6割は理解します。ただ今回の件を説明するのはむずかしいですね」「たった7日くらい留守にするというのを伝えたいけど、・・そうだ、困ったときの神頼み、木村のトメさんに事情をいって島谷たれ五郎さんに伝えてもらうよ」「島谷串五郎さんです。そうしてもらえれば大助かりです」 すぐにヨシコさん、チビコを経由してほほ笑みシルバーホームに二泊三日で出張介護犬でいるゴロータに伝えました。 いつものことですが、動物たちの頼みごとにはちゅうちょせず、すぐに行動を起こすトメさん、その日、うっすらと暗くなるころには、さんさ路、角の鋭角の間にあるヤキ鳥屋の入口に到着します。黙ってのれんをくぐりカウンターの隅にちょこりんこと座ると、見るからに頑固な初老男が、優しい声をかけました。「いらっしゃい、おひとりですか」「おひとりじゃ、いけないかい」「いえ、大歓迎です。ご高齢の方は、めったに来ないので、なにを差し上げますか」「まず、この店で一番うまい大吟醸酒をそのままヒヤで一合、氷なんか入れないでおくれ、それに厚みのある首の皮を表面だけこんがりと焼いた状態で一本、白レバーを固くしない程度に火をとおし、一本、ぐりぐり(腿や膝のところにある軟骨)をさっと荒塩でふっておくれ、ハツとももを一本づつ、別皿に本ワサビを擦ったものがあるとうれしいよ」 鳥谷串五郎さんの顔が引き締まりました。 つづく
2016/06/07
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レバコさんも集まったオバサン猫たち一匹ずつの顔を見ながら話し始めました。「ヨシコさんやみなさんの積極的な支援がなかったら、ここに私は存在していません。どなたかは分かりませんが、交代でお乳を飲ましてくれたことは、今でもはっきりと覚えています。私の飼い主、鳥谷串五郎さんが早朝、緑地へ散歩に来たとき拾われ、連れて帰られたのもヨシコさんたちが目立つところに段ボール箱を置いてくれたおかげです。 その前に岡本太郎美術館手前の小さな滝できれいにしてくれ、毛並みを美しく整えたので拾われる確率が高くなりました。串五郎さんは、私を猫可愛がりし毎日、新鮮な食事を与えてくれた上に大きくなると、近所の和菓子屋に住んでいるフクオ君とめおとになるよう勧めてくれ、その結果身ごもり可愛い子供を授かりました。 こうして幸せな生活を送れるのは、みなさんのおかげで言葉なんかでは言い尽くせないほど感謝しています。ここにこうやって戻れたのは、神様のお導きかもしれませんね、私にできることは、なんでも致しますニャー」 ヨシコさんが子猫を抱いていたオバサン猫を呼び寄せます。「さっそくで悪いけれど、この子にお乳をあげて欲しいニャン、生後一週間程度だと思うの、なにも飲ましていないから体力がないので、はたして飲む気力があるかどうか心配よ」 赤ん坊猫を受け取ったレバコさん草むらに横になり、そっと右手で首筋をつかみ引き寄せました。周りにいた猫たち固唾を呑んで見守ります。 キョトキョト落ち着きのない動作を繰り返していた子猫は、右下の乳首を探りあてると口に咥え、むしゃぶりつき音を立てながら飲みだしました。飲んでいる最中、小さな両手を何度もフミフミさせ押し当てるからミルクは途切れなく出ています。 つづく
2016/06/03
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