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第四のコース、新之助く~ん、旅役者として長ーい、どさ回りの終着駅に選んだのが生田緑地で、今では緑地仲間の信望も厚い。最後に滑り落ちるのは、前の三匹がコースから外れた場合に備え、前方を見据え用心して降りる役を自ら買ってでたのです。 新之助の背中にしがみついている群れボタンたちは、振り落とされてなるものかと、しっかりしがみついていました。 第一落者、カメぱっぱが大声を上げました。「それじゃぁーー、出発ぅぅぅぅ~」ガリガリ音を立て背中の甲羅を石だたみにこすりつけ、そろそろゆっくり滑り始めたが、最初の30度くらいの角度から徐々に45度に差しかかると急にスピードがつき、短い両手足を突っ張らせて速度をゆるめようとします。 直線だけでなく障害物があるときは、右に左にと湾曲しゴツゴツした岩肌を滑るので注意しながら落ちていきました。 突然、オナガ鳥のビヨンヌが耳元近くで羽ばたいて叫びます。「もう少し先に行くと大きな岩にぶつかるから、左側に迂回して避けるのよ、もっと、スピードを下げて、もっと下げないと、ほら、下げろって!!」 カメぱっぱも必死になって落下スピードをゆるめようとしますが、チョー短い手足では側面の岩に届きません。 どんどん速さが増してどうすることも出来ず思わず目を閉じました。目の前にある岩に激突する寸前、むんずと毛だらけの太い片手がカメぱっぱの頭をつかみ引っ張り上げます。 二番手のカッポウギンコが岩に衝突するカメぱっぱを助けるためスピードを上げて追いついたのです。ギンコの後ろ足先から出ている鎌状の三本の爪が、ガッシリ足元の岩場に食い込み、キーーーイ、ギーイイイイイと、音を立てブレーキが掛かりました。 大きな岩の10㎝手前で止まった二匹、やれやれと安堵の顔を浮かべる暇もなく三番手のヨシコが、「ニャアーァー、ぶつかるニャー、止めてーーー、止めてニャーーー」と、わめきながら落ちてきます。 つづく
2016/10/29
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ヨシコさんが小さな声をだしました。「地下深くにこんなにも大きな洞窟があるとは、びっくりニャー」 カッポウギンコもつぶやきます。「これに比べれば地上の洞窟なんか、アリの穴倉よりも小さいよ。旅役者の新之助は私たちの何倍も旅行をしているけど、どうニャー」「私が立ち寄った山口県秋芳町にある秋芳洞の洞窟は、約6000mの長さがあると、看板に表記されていたが、中には入らなかったのでござる」「どうしてニャー」「ここだけの話、拙者、閉所恐怖症で暗くて狭いところは、好きではないのでな」 ヨシコさんとギンコ猫、顔を見合わせ、しばらく笑いをかみ殺していましたが、がまんできずに笑い転げ、岩場から足を踏み外しそうになりました。「ジャコウネコ科のハクビシンが狭くて暗いのが苦手なんて、魚の水嫌いか」 オナガ鳥のビヨンヌが後に続きます。「鳥たちが大空へ羽ばたくのを嫌いだというのと同じよ~それより、アタシは、ここの下へ簡単に舞い降りられるけど、アンタたちは大変よー」 急に真面目な顔に戻った新之助とヨシコ、ギンコの三匹が額を集めます。「洞窟の底まで行くには急勾配の坂道を長時間かけて、歩くしかないニャー」「足を滑らせれば奈落の底に真っ逆さまニャー、それに新之助は、けっこう重いカメぱっぱを背中にしょっているから・・・ありゃぁぁぁーーそういえば、さっきからカメぱっぱがいないニャー」 三匹と一羽が四方八方に目をこらすと、一段と高い岩場から声がしました。「みんな~ここから滑り台の要領で下に降りようパッパ、岩肌には濡れたコケがついているし、固い石というより軽石みたいだから、滑るスピードを調節すればけがもしないよ、降りる道順と障害物をビヨンヌが上から調べてちょうだいパッパ」 しばらく経ちビヨンヌから比較的安全に降りられる岩場を聞いた四匹は、順繰りに並びます。 第一の~、コース、カメぱっぱく~ん、仰向けになり背中の甲羅を下にして短い手足でバランスをとり、降りる早さを加減しま~す。 第二の~、コース、カッポウギンコく~ん、うつ伏せ状態で長くて太い手足と、すでに長ーい爪をだし落ちるスピードをゆるめるだけでなく、いつ敵に襲われてもいいように反撃する準備のようです。 第三の~、コース、ヨシコく~ん、おばさん猫の中では、知恵者、くせものと、して有名だが、やや体力的に無理があるようで、万が一、スピードのコントロールがきかなくなったら前にいるギンコに跳びつく覚悟が表情に現れニヤニヤしています。 つづく
2016/10/26
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「感動の再会に水をさすつもりはないチッチが、この地下層に初めてやってきた地上生物に敬意を表し・・なんてさらさらないよピカリンリン、あんたたちが勝手にやってきたのだから歓迎なんかしないチンピカ」 と、ガイドボタンが大声を上げました。おばさん猫のヨシコさんが珍しそうに近づきます。「なんニャー、このキラキラ、ネオンボタルは話せるのかい、新之助の背中や頭に数百匹はいるよ。それにしても色とりどりできれいだニャアー」 新之助にとりついているボタンは、ヨシコを無視して話しかけます。「しんちゃん、出発するよ。道中は平らな道ばかりではないからピカチン」「さあ、皆の衆、私めが先頭で行きますから後をついてきてくだされ」 四匹と一羽は暗い穴の中をゆっくりと前進しました。途中で何ヵ所か茶褐色の土から、辺りを闇夜にさせる真っ黒な土に変化するところでは、今まで以上に強く発色させるボタンたちのおかげで、周りをサーチライトのように明るく照らしてくれるから、緑地仲間はなんなく進むことができます。 こ一時間も経ったころ穴の幅が急に広がり火山の噴火口みたいに鋭く下に降りる坂道にでくわすと、ガイドボタンが叫びました。「そろり、ゆっくり、ゆるやかに進むッチャ、そろそろ土が岩盤に変わり爪で引っ掻いてもズルズル落ちるので気をつけるダッチョ」 進むスピードをガクンと落としながらも、一同は歩み続けます。 疲労こんぱいのピークに達したとき大きな岩が前方に立ちはだかります。新之助が岩の左側に回り込み前足を踏み出そうとすると、眼下に鍾乳洞と思われる巨大洞窟が出現しました。地上で見たことのある高層ビルが20棟以上も楽々入るほどの大きさです。 足がすくみ口を大きく開けぼうぜんと立ちすくみました。 続いてやってきたカッポウギンコとその背中にしがみついているカメぱっぱもこの見たこともない雄大な景観に言葉を発しません。 つづく
2016/10/23
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「食べるのでござるピカチン、あらやだ、しんちゃんのが移ってしまったチンピカ、食べ物は下の方が豊富にあるからA層の、そうだここはA層と呼んでいてその下がB層、もっと深い最下層はC層っていっているダッチャ、やつらがここで襲って食べるのはデザート感覚でチュッ」「それではこのA層の生き物が、私を見つけても危害は加えないというわけですな。目も見えないのでお主たちがチカチカ輝いても心配ないと断言されるなら、当分の間、くっついていても構わぬが」「よっしゃーピカリンリン、今からここを案内してやるデッチュッ、これからはガイドボタンと呼んでね。しんちゃん、とりあえずこの先にある広場に行こうよ、このまま左に進んでおくれッチャ」 動き出そうとした新之助、先ほど歩いてきた曲がりくねっている右側の通路に向かって声をかけます。「私だけの斥候では、よほど心もとないと見えて、そんなに大勢で後をつけるとは、かなり前から緑地仲間の匂いがプンプン鼻につき気になっていました。だけど私のプライドはずたずたに傷つきました。さあ、出てきなさい」 薄暗い岩場の陰からカッポウギンコの頭が見えて次に全身が現れました。その大きな背中にしがみついているカメぱっぱは、ばつが悪そうな表情を浮かべています。それだけではありません、後ろから、のそのそとヨシコさんまでもが登場し、背中にはオナガのビヨンヌがしっかり爪を立て乗っかっていました。カメぱっぱが小さな声をだします。「新之助さん、ビッグやボクも反対したけどヨシコさんとギンコさんが新之助さんだけを危ない目にあわせる訳にはいかないと、強引に穴の中に突入したのパッパ。いけいけドンドンの三匹だけでは余計に危険だからビッグの指令でボクと伝書鳥のビヨンヌが急きょ後を追って合流したパッパ」「わかり申した。私めを心配するありがたいお気持ちは、よーく理解したが、それにしても皆の衆、ここまでよく無事に来られて、うれしゅうございます」 つづく
2016/10/19
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身体をブルブル震わせ光の粒をとり除こうとする新之助の耳元で誰かが話しかけます。「アンタ見かけない動物だっちゃ、こらこらそんなに動いたらアタイたちが余計、毛の中に入り込むチュー」 赤くピカピカ輝いている大きなホタルが話しました。「すまぬ、地上からきたハクビシンの新之助と申す。この中は初めてなので襲われる心配があるから目立ちたくない。ゆえに光をだすお主たちにとりついてもらっては困るのでござる。どうか他に移動してもらいたい」「そうか、しんちゃんは、はるか上から来たのねチュー、アタイたちは<群れボタン>といってひとつの集団が数百から数千匹で行動するのでチュ。 この一番上の地下層にいる生き物は、ほとんど目がなくて匂いと音だけをたよりにして動いているからアタイたちが目の代わりになっているのだピカチン。 その動物たちは見えなくても不自由さを感じないくらい素早く動けるけどねチュー」「それならば話は早い、拙者は目も見えるから案内ボタンはいらないので早々に立ち去ってもらいたい」「んにゃにゃー、そうはいかないチャ、羽根のないアタイたちは他の動物に跳びつきしがみつき移動するのだピカリン、しんちゃんにもメリットがあるダッチュ、暗い場所は懐中電灯代わりにもなるし危険な生き物がいたら知らせることもできるチャ」 おかしな言葉を連発する群れボタンは、背中一面から赤い光を放射して新之助から離れる気配はありません。「どう猛な動物は沢山いるのでござるか」「この層にはあまりいないでチュ、たまに下の層から乱暴ものがやってくるピカチンチン」「ここだけでも広い空間なのに、なんと、まだこの下にも空洞があると申すか」「そうなんでチュッ、横穴の地下通路は何ヵ所もあって所どころに縦穴がドスーンと空いているのピカリンリン。めったには来ないが、おっかないものがそこから昇ってくると、この層にいる生き物は一斉に隠れるチュ」「そのものたちは、ここにいるものを見つけると、どうするのでござるか」「食べるのでござるピカチン」 つづく
2016/10/16
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光源は、地底から薄ぼんやりランタンの火が照らされているかのように淡い暖色系の灯りがゆらゆら立ち昇っているのです。もうひとつ奇妙なことは、潜れば潜るほど土穴の直径が広くなり巣穴というよりも巨大生物の通行路に見えました。踏み固められた道路を新之助、辺りに気を配りながら進むと急勾配の坂道から動物の匂いを嗅ぎ取ります。 立ち止まり前方をうかがっていると、にぶい音が近づいてくるので通路に転がっている大きな岩の後ろに体を移動させます。 ドズーン、ガリガリ、ドスーン、ガリガリ、迫力ある音を響かせ2m以上あるオオトカゲがやって来ました。前進するときに4本の爪がある前足を交互に動かし地面を引っかきガリガリと音をだし、身体の半分はある太い尻尾を下に叩きつけてドスーンと響かせ、新之助の横を通過します。 前足に比べやや長い後ろ足も剥きだしの鋭い4本の爪が大地を掴み、細長い円筒状の背面は暗褐色で尻尾の部分は青くて、わずかにみえる腹が黄色味をおびた乳白色だから、色のバランスはあまりよくないと、新之助は思いました。 真横を通過したオオトカゲを目で追っていると、その暗褐色の背中から光輝く粒状のものが一斉に舞い上がり新之助めがけて殺到します。 逃げる間もなく後頭部や背中一面に数百近い粒子が付着し、その部分が発光しているかのように明るくなりました。一粒の大きさは直径3cmの丸い、・・よく見ると昆虫でホタルにそっくりですが、白色だけでなく、赤、緑、黄色の鮮やかさを発色して周りを明るく照らしています。 こんなものが付いていると、夜の繁華街にある無節操なネオンサインと同じで目立ってしょうがないから必死になり手ではたき落そうとしますが、ほとんど落ちません。 つづく
2016/10/13
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ギンコがぬれ落ち葉を手でかきわけ隠れていた土穴をさらして、クンクン匂いを嗅ぎだします。アリクイブタが穴に戻ってから時間が経っているせいか、あまり体臭は残っていません。 横にいた新之助はギンコに身体を接するようにします。「それじゃ~行ってめいりやす。もし、戻れない事情があっても、悲しまないように。いいとこ良いとこ生田緑地、一度はおいでってね。こんなに楽しくてあったかい気持ちになるこの地で、あの世に召されるならアッシは本望でがんす。元気でギンコさん」 ギンコが応える間もなく新之助、細い鼻づらをグリグリと穴に突っ込み、一目散に突入しました。潜れば潜るほど狭い入口からは予想できないくらいに中は広くなります。最初、井戸のように真っすぐ縦に掘り下がった穴をそろりそろり下っていくと底に行きあたり両手両足をのばして着地しました。 左右二ヶ所に円筒状の大きな穴があるので、左側のほうに侵入します。どんどん奥深く潜入する新之助は、当初、もっていた恐怖心がうすらいできます。それは入口から入ったとき土穴に枯れ葉や雑草、つる草、木の茎や長い根毛が四方八方、縦横無尽に張り巡らしていたのが、潜るにつれて茶褐色の土に変化し穴の中が明るく感じるようになったからです。 地上では隣にいる人の顔も見えない状態を漆黒の闇と表現しますが、新之助のいる地中の奥深い土穴には、ほのかな薄明りが射していました。 つづく
2016/10/10
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大きな鳥類のワシやカラス、ハトでは目につきやすいからと、小鳥連合会幹事オナガ鳥、ビヨンヌの提案でセキレイのキレイデッチュとオッポフリコの二羽がピーチクパーチクスズメ連合と一緒になり五ヵ所の出入り口を見張ることになりました。朝陽が顔をだす5時40分ごろに二匹のアリクイブタがホタルの里近辺にある落ち葉で隠していた一つの穴に帰っていきます。 太った巨体を土穴に入れて地上からいなくなったのを確認した小鳥たちは、ビヨンヌに報告しますが、まだ解散せずに木の上に散開していました。 ビヨンヌからアリクイブタが巣穴に戻ったとの連絡をうけたガマのビッグは、まだ他に仲間がいるとやっかいだと1時間近く待機させます。その後、穴に入るものがいないと判断し新之助に調査探検行きを発令しました。 おばさん猫で腕力自慢のカッポウギンコがそばにぴったり近づき新之助を穴まで誘導します。「わずらわして、すまないね~ ギンコさん」「実は新之助さんの隠れファンなのさ、前にアンタの芝居を遠くから観て感動したのニャー」「そうですか、今回の探検で無事に帰還したあかつきには、ギンコさんだけに股旅物の一本刀土俵入りを演じて見せましょう」「そいつは楽しみだニャン、私も穴の中に入ろうか」「いや、ビッグのいうとおり最初はアッシだけで入りやす。ギンコさんは、外にいて土穴に入るものがいれば知らせてください。もし、声が届かない遠くにいたとしても中には入らないでおくんなさい、約束ですよ」「わかったニャ~」 7mある木の中ごろからオナガのビヨンヌが甲高い声を上げました。「こら~二匹、話はおしまいにしな~、目の前に問題の穴があるから準備して」 つづく
2016/10/07
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ヨシコさんの隣にいたカッポウギンコが不満な表情を浮かべているのをビッグは見逃しません。「今回は力自慢のギンコもがまんしてくれ、なにしろそいつらが、どこから来てなにが目的なのかもわからないし、強力なパワーをもつ動物だったら危ないからなゲロゲロ。まず出入り口の五ヵ所の穴でどれが本物でどこがカムフラージュなのかを見極める必要がある。次にかなり危険だがその穴に入り中の大きさや長さを調べてもらう。そいつらの仲間数や他の生き物もいるのか出来るだけ調査して無事に帰れるものは、ここにいるかな、ゲーロゲーロゲーロ」 木の上からワシのゴンゾウがよくとおる低音で声をだしました。「ヨシコがそいつらに行きてをこばまれ困っているときワシが舞い降りたのだが、なんとなく見た感じでは、昔、八王子動物園で観たアリクイに似ていた。ただし大きさは1m以上もありコロコロした胴体からアリクイブタとワシが命名したのだ。 みんなもこれからはアリクイブタと呼ぼう。 穴の中に潜って様子をさぐるのは、・・・・・・ここにいるハクビシンの新之助が適任だと思う。若いころ旅役者であちらこちらとどさ回りしをした経験は未知の生き物と遭遇しても慌てないだろう、それに相手に合わせる演技もできる。もし穴の中で襲われても、ジャコウネコ科の素早い動きでなんなく脱出するのは簡単だ」 思いがけないところからご指名が入った新之助、一歩前にでました。「ゴンゾウさん、私をあまり買いかぶらないでください。それでも、うれしゅうございます。ふだんそれほど接する機会がないのにお空の上から私たちを観察しているゴンゾウさんの期待に・・応えませんとね。 よござんす、私、新之助、穴の中に入り、一命をかけて調べてきますれば、みなさま方、声援のほどよろしくお願いたてまつ~る~」 ビッグがあとを引きつぎます。「新之助、絶対に無理はしないで危なくなったらすぐにケーロケーロ、アリクイブタの他になにがいるのか、そして地中の長さだけわかればよいのだ、くれぐれも気をつけてゲ~ロ、ゲ~ロ、ゲ~ロ」 カッポウギンコが大声をだしました。「外に何匹いるか、わからないから穴に侵入した新之助さんの安全を守るには、ワタシが穴の近くで見張っているニャー、文句ないね、ビッグ」「助かるよギンコ、でも約束してくれ、穴に入るのはダメだからな」「わかったよ、ニャンニャン」 つづく
2016/10/04
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ポンポンチッチから異様な生物が緑地に出現したとの報告を受けたガマのビッグは、森のスピーカー兼、伝書鳥、オナガのビヨンヌを呼び寄せ仲間たちに緊急徴集をかけました。たまたま10月の第三土曜日は、多摩区の区民祭でパレードや模擬店が約100店舗出店されステージでは唄や踊りがくりひろげられる生田緑地の年間最大イベントでにぎわっているため、二本足がいなくなる夜中に集まります。 昼間、途切れのないさざ波のように押し寄せていた喧騒がうそであったと感じる奥の池、裏側の草むらにカメぱっぱや猫のヨシコさん、カッポウギンコ、ハクビシンの新之助、タヌキのポンポンチッチとタマノジョー、アライグマのスリスリ、木の上に、カラスのビー玉、土鳩連合会所属ポッポ一号二号、一番高いところには、ワシのゴンゾウが下を見つめていました。 ビッグが大きな石の上にピョコタンと、跳び乗り声を張り上げます。「ポンポンチッチからの連絡で、今まで見たこともない生き物が土の中から現れ襲われそうになったそうだゲーロゲーロ、他にこのへんてこりんなものを見たのがいれば教えてほしい」 カラスのビー玉が応えます。「舎弟の一羽が早朝にコロコロしたでかい生き物を見つけて木の上から威嚇したが、そいつは無視して草むらの中にノソノソと移動したらしい。この緑地だけでなく初めて見る動物だから、すぐにオレに報告したわけだ。場所は西口から入り坂道を上ったホタルの里付近で雑木林の中にぬれ落ち葉で隠しているが、五カ所の穴を発見した」「ビー玉の親分、ご苦労だが少しの間、その辺を見張ってほしい。緑地仲間にまだ被害はないようだが、いつ襲われるかもしれないゲーロ、ゲーロ、とくに野良猫同好会の諸君は好奇心おうせいな猫ばかりだから、近くに行ってみようなどと変な気をおこさないようにグッワグッワ」 ヨシコさんが前に出てきます。「ビー玉が上から見張るなら、当然、地上では私たちが見張るニャ~」「もし凶悪な肉食系動物ならひとたまりもない。ポンポンチッチの話だと、そいつらは、腹をへらし食い物を寄こせと叫んでいたらしいからな。 それに眼はなさそうだが、でかいわりに動きは早くて危険な生き物に違いないゲーーロ、ゲロ」 つづく
2016/10/01
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