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クリサーラがてきぱきと指示をします。「まず東側で六匹が騒いで奴らを引き付けてください。次に西側に移動して騒ぎます。ここで三匹ずつにわかれ東と西で同時に大声を上げます。このとき注意するのは、声を上げて動けば奴らは必ず銃を撃つので岩陰に隠れ絶対、当たらないでくださいね。ガメリッチババローナ、あなた方はふだん粗暴で口汚くても、根はやさしい心があるのを私は知っています。だから一匹たりとも命を落としてはなりません。これからが重要です、西側で騒いでいるものは、できるだけ奴らを高台に移動させてください。その隙にモグンバとヨシコさんは脱出するのです。東側にいたものは、キリのよいところで撤収してすぐに西側へ走りモグンバを追いかけ地上に出るトンネルまで護衛をお願いします」 黒いトサカのガメリッチババローナがうなりました。「グッエッグッエババリーナ、やっぱ、あんたは俺たちの女王だバリーバリー動物をその気にさせるのが、うまいなババリッチョ、よし、二手にわかれて行動するッチョー」 そのときハクビシンの新之助が前に出てきます。「クリサーラさん、気になることがあるので質問をしてよろしいでござるか」「新之助さん、なんなりと、どうぞ」「かたじけない、モグンバさんにどうしても尋ねたいのは、クローンロボットたちも光線銃と同じで、なんらかのエネルギーを注入しないと動けないという事実です。動物は口から食べ物を、植物は根から栄養分をとり成長の源になるからロボットといえども電気や他のエネルギーを取り込まないと動けないのでござる。モグンバさん奴らは一睡もせずに見張っているといいましたが、おかしな動きに気づきませんでしたか」「・・そういえば、オラが東側で見張っていたときに約3時間ごとに一人ずつ西側から交代でやってきて岩場の隅でゴソゴソ動いていたな」「どうか思い出してくだされ、大切なことですから」「三人の中で、歩き回らない奴がいて・・他と違い手足が短く全身が長方形の箱型になっていたな、そいつのところにいった奴は、左手を差し出して握手をする形で10分くらいじっとしていた」「すると奴ら全員が交互にその動きをしたのでござるな」「ああ、俺にはしんぼくを深める儀式かと思っていたが、どうも、そうではなさそうだな」「そいつが、ここにいるロボットたちの充電器で、体内に小さな発電機の機能をもっていると推測され、他のものと違い通常の動きはできないのでござるよ」 つづく
2017/02/27
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優しく微笑んでいたクリサーラは、口元を引き締め凛とした表情になります。「先ほどもいいましたが、これからの作戦は時間との勝負です。短時間でやりとげないと取り返しのつかない事態になるからです。まずモグンバは、見張りたちの目を盗みヨシコさんの地上への脱出をすみやかに遂行してください。地表に出る最短距離ならば東側ですが、追っ手をさえぎる障害物が少ないので、ここは安全策をとり小さな岩山が無数にある西側鍾乳洞からの行先を選びます。そこにいる三人をかく乱させ出来るだけ多く銃を撃つようにしむけるには、足が速くて声が大きいカメリッチババローナの仲間たちを六匹用意しました。モグンバの報告を聞いている間にヒミメールを呼び、隣の部屋で待機させています。作戦の説明をするのでここに入れてください」 ヒミメールが入口にある大きなドアを開き外に向かって声をかけました。「カメリッチババローナ、おはいりなさい」 1m30㎝程度の爬虫類が、太い両足で立ち、のっしのっしと歩いてきます。 顔は鳥で尖った太いくちばしから二本の細い舌をベロベロ出し、大きなギョロ目をパチクリさせ、体の半分はある尻尾をクネクネさせていました。 背格好と顔つきは、六匹ともほぼ同じですが、頭にあるトサカの色だけは赤、緑、紺、黒、白、黄色にわかれています。その中の黒色が口を開きました。「バッバッバローナ、クェーギッチョンクエー、おらたちは、なにをするのか、手短にいってくれよーチョン、ギーチチョンクエークェー」 頭が割れるような甲高い声が響き緑地仲間は、思わず耳を塞ぎます。 すぐにクリサーラが声を発しました。「地上から来たものもいるから、声の音量をいつもの半分以下で話しなさい。立っているのが辛かったら横になってもかまいませんよ」 トサカの黒色を除いて他のものは床に腹ばいになりますが、遠くから見るとオオトカゲが寝そべっていて首から先がタカのような猛禽類で手足はずんぐりむっくりしたアンバランスな生き物ですが、こんなものが素早く動けるのかはなはだ疑問です。 つづく
2017/02/24
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クリサーラは、微笑みを絶やさずにギンコへ顔を向けます。「ありがとう、ギンコさん、あなたが怪力の持ち主なのは、モグンバから聞いていますよ。ここに残っていただくわけも、私たちだけでどうしようもないときに助けてもらいたいからです。それではモグンバから見張り役の能力や動きを報告してもらいましょう」のそのそと前に出たモグンバは、どういうわけかギンコの横に並びました。「五人とも、ここに来たメルトンブッチャーの小型版で顔かたちもそっくりです。宮殿にいる動物たちは各々の体内時計で、約6時間の睡眠をバラバラにとりますが、奴らは全く寝ないで私たちの動きを見張っています。姿を現してから8日間一睡もしていません。持っている武器は、光線銃で直接2秒間浴びると表面が焼きただれ、それ以上だと小さな爆発を起こします。ここの動物が早い動きで外側に出ようとしたときに足許を狙って発射したのが、後ろの岩に当たり焼けたのを見ていました。逃げ去った動物に舌打ちした奴は、岩に向かって2秒以上放射すると、その部分が爆発して砕け散ったのです。隣にいた仲間と笑いながらささやいていたのですが、そのあと腰に巻いていたベルトから小さな長方形の黒いものを銃に挿し込むのを目撃しました。奴らから発見されない岩に登りそこから長時間観察した結果、ベルトについている小さな箱は14個で、爆発を起こすほど照射するとすぐにエネルギーがなくなり新しい、たぶん、弾倉を入れ替えていると推測しました。もし可能ならば、奴らに連続で光線銃を撃たせたらエネルギーがなくなり銃からの脅威はなくなります」 モグンバの長い報告にびっくりしたカッポウギンコは、感心して声をかけます。「こりゃーもう、驚いたニャー、どうみてもただの小さな猿人類が、そこまで探り持っている武器の弱点までも探しだすなんて、腕力はないが頭はイイんだね、見直したよ、ムムンバ」「モグンバだ、ギンコ、それに腕力がないのは余計だ」「よーし、そいつらは、クローンロボットに違いないニャー、まず五人に見つからない場所から見張って光線銃の弾倉数の確認と、他の武器や第二地下層との連絡手段があるかないかを調べるのが先だニャン。クリサーラさん、これからの作戦と仲間の配置、それにヨシコを地上に戻す手順をお長いしますニャー」 つづく
2017/02/21
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「カメぱっぱさんがいっている人間たちが、この危機を救ってくれるのか私にはわかりません。しかしあなた方が地上に帰れる手段があれば無条件で協力します。モグンバを呼んでください」 入口近くにいた侍女に声をかけた女王のクリサーラは、緑地仲間が集まっている輪の中に入りました。すぐに灰色の長髪をたなびかせた猿人類のモグンバが部屋にやってきます。「女王さま、お呼びですか」「ブッチャーの手先がいる場所と人数を教えてください」「東の洞窟入口そばの岩山に二人、西側にある鍾乳洞の高台に三人、そこから外側に移動するのがいれば、光線銃を撃って戻るように脅かしています」「被害はありましたか」「いえ、今のところ動物の体に直接当てないから無事ですが、もし当たれば殺傷能力はあります」「戻らないと本気で撃つかもしれませんね。地上からきた動物たちが帰れる方法をこれから検討します。まず、四匹と一羽、全員が集団で動けば目立つのでここはヨシコさんだけが戻って、友達である人間たちにここの出来事を知らせるのはどうでしょうか」 すぐにカメぱっぱが口を開きました。「帰る道筋でなにか問題が起こった場合、一匹より二匹がいいと思うパッパ」 カッポウギンコも、もろ手を挙げて賛成します。「アタシも行くニャー、ヨシコのボディガード猫としてね」 ハクビシンの新之助が長い尻尾をバタバタさせました。「ここは素早い動きができるワタシめが適切かと存じます」どうしようもない腕白坊主を扱うような表情で、それでも笑顔をたやさずにクリサーラが応えました。「あなた方が、仲間想いでつながっているのは十分に承知しています。ただ、今回は時間がないのです。要領よく人間に説明して、ことによっては、ここに連れてくるには、ヨシコさんが適任です。地上に出る道順までは、モグンバと他のものが責任をもって案内しますが、数が多いと護衛するものを増やすから目立つのです。納得しましたか」 ギンコが地声である大声を上げます。「大勢の手をわずらわすと、この宮殿の防衛もおろそかになるニャー。地上にはヨシコ一匹で行ってもらい、帰りを待つアタシたちもクリサーラさんに協力してブッチャーの侵略を止めなければならないニャー、第二地下層の工場破壊やアニやんと会ってイイ奴なら助け出す手はずを考え、もし、チャンスがあれば実行しよう。人間たちがここに来ても役に立たないのを想定しないと前に進まないからニャー」 つづく
2017/02/18
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白肌族の女王クリサーラにビヨンヌが体験した赤肌族メルトンブッチャーの陰謀を報告した緑地仲間は、宮殿内での緊急会議にも参加しました。 思案顔のクリサーラが重い口を開きます。「ブッチャーが地上に出て人類を脅迫し自分に従わない者を抹殺するのは、早くても1か月先になりそうです。彼の頭の中では、私たちなど眼中にないのは間違いありません。対抗するための武器も戦力もないので抵抗するには、知恵だけがたよりです。私たちだけで彼の地上進出を阻止する方法は、第二地下層で生産中のクローンロボットと恐ろしいウイルスを破壊して諦めさせるか、地下牢に幽閉されている兄のデルフミュームを救い出し、実権をとり戻させ弟のブッチャーを倒して侵略を中止させるしかありません」 ヨシコが一歩前に来て声をだしました。「まだ奴の兄ちゃんが平和主義であるかどうか分からないニャー、それを誰かが確かめに行かないと。助け出すのには、運だけでなく力も必要だニャン。ドームでロボットやウイルスを破壊するのにも、ある程度の腕力や武器が求められるからニャー、クリサーラさんたちが頭の中に入り相手の考えを読み取る力はすばらしいが、戦闘力にはならないからね。私たち緑地仲間もアイツたちとぶつかりやっつける力なんか全くないニャン」 カメぱっぱがおずおずとつぶやきます。「ここは、緑地に戻って私たちと話すことの出来る木村トメさんや桐野清十郎さん、それに澤登隆一さんに相談するしかないパッパ。あの二本足たちだったら、ブッチャーをやっつける方法が見つかるかもしれないよ、クリサーラさん、我々の唯一の友人に会いにいけばなんとかなるパッパ」 つづく
2017/02/15
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ビヨンヌの姿を見たヨシコは、血相を変えて怒鳴ります。「あんた、みんながどれほど心配したか分かっているニャー、みんなして無事で生田緑地まで帰ろうと約束したのに、勝手な行動をしていなくなるなんて、あやまりニャー」 スピーカー鳥のビヨンヌも最初のうちは、うなだれて反省のポーズをとっていましたが、カッポウギンコまでも、このアホ鳥といってきたのには、さすがにカチンと頭にきて、ことのいきさつを早口で話しました。「だから~ 例の大巨人がどこに戻るのか、そこで何をしているのかを調べるために奴の体にあった小さな穴に忍び込み、ついていったわけピー。もしかして弱点が見つかれば、そこを攻撃してクリサーラさんたちもアタシたちも助かるからねピッピッ、アイツの居るところは、ここの何倍もの広さがあって、そこでクローンだかわけの分からないロボットを大量生産しているのさ、それに二本足だけを殺すウイルスとやらを研究していて、あと1か月先には完成するらしいピー、地上に出て地球を支配下に置くというのは、うそではなく着々準備が進んでいるよ」 それまで静かに聞いていたカメぱっぱが口を開きます。「ビヨンヌ、それで、アイツの弱点は見つかったのパッパ」「うーん、大きないびきをかいて寝るとか、変なものを食べるとか、そんな程度だピッピッ」 ヨシコがすぐに突っ込みを入れました。「アンタの小さな脳を目一杯動かして思い出すのニャー、まだ、なにかあるだろうニャンニャン」「・・たしか、部下の変な関西弁をつかうグラシオラズって奴と話しているときに、・・そこの地下のもっと地下に、兄ちゃんを閉じ込めているとかいっていたピー」 ハクビシンの新之助も加わります。「いや、ご苦労でござった。さすがビヨンヌ、私たち四つ足と違い素早い動きと観察力に敬服しました。ただみんなが心配していたのは、本当でござるよ」「それは分かっているピー、みんな、ありがとうピッピッー、それに新ちゃんにくっついていた群れボタンの一部が帰りの道しるべとなって助かったピー。ここに着いたら、すぐに仲間と合流したよ」 すぐにビヨンヌの見聞した内容を吟味した四匹は、女王クリサーラに進言しようと侍女のヒミメールに声をかけました。 つづく
2017/02/12
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「なんでアタシの美しい純毛に潜り込んでいるのよ、それよりアンタは何者なのピー」「ピカチンの群れボタルで、他のみんなからは群れボタンと呼ばれているダッチュ。仲間は進ちゃんにくっついて宮殿まで行ったけれど、アタチは眠いので近くにいたアナタにしがみついたわけデッチュ。アタイたちは羽根がないので移動するときは、他の生き物にくっつくの」「よりによって、なんでアタシなのよ。ちょうど良かったピー、宮殿に帰る方向を教えてちょうだいピッピ。変てこな巨人についてきたけど、ほとんど外は見えなかったからね」「アタチもアナタの暖かい羽根の中にいたから同じダッチュ、仲良く協力して戻ろうピカチンチン、まず風の向きを調べて吹いている方向に飛べばいいデッチュウ」「そんなのアタシも知っているよ。しかしここは、風がないのだピー」「とりあえずドームから遠ざかれば帰れるだッチュ」 羽根を広げ羽ばたいたビヨンヌは、大空ではなくて洞窟の上をめがけて飛び立ちました。上から見下ろすと改めて第二地下層の大きさに圧倒されました。数多くのドーム群とそれに連なる小さなドームや地上では見たことのない、ねじれた建物などが乱立しているのです。ここにいる生物たちに発見されないよう、かなり高いところを飛び必死になり戻れる空間を探していると、真っ黒な岩盤の下側に小さな光がチカチカ点滅していました。 その正体を見届けようと急降下してそばに寄ると、先ほどから耳元で話しているボタンと同じものが光っているのです。ビヨンヌが口を開く前に岩についているボタンが声をだしました。「こらーー、おそいだチュウ、こんな場所で一匹でいるなんて、おまえが突き落とすから、ひどいチャ」ビヨンヌにくっついている方が応えます。「ごめんデッチュ、だってこの飛べる生き物は、あとさき考えないで行動するアホだと思ったからアンタともう一匹を帰れる方向に道しるべとして、落とし、イヤ違う降りてもらったんでチュー」「まったくそんな変てこりんなのにとりついて、これからは、四本足だけにするでチュッ」完全にビヨンヌを無視した会話に、怒り心頭に発したアホ鳥は羽根をブルブル震わせました。「なんで、そのことを早くいわないのピー、なにが風向きを調べろとか、いい加減なことをいって、それにさ、アンタが勝手に潜り込んできたんだからアホ鳥といわれる筋合いはないピーピー、ほら、そいつも拾ってやるから、もう一匹を見つけないと」 そこから約20分ほど先に第三の群れボタンを見つけたときは、ビヨンヌも顔をくしゃくしゃにして「ピーこれで帰れる、帰れる、ピャッピャチーチキチキ、ツンツン、ケッキョケッキョ、グルグルグルウヒャヒャ、ピャッピピーピー」と、雄たけびを上げました。あまりの嬉しさに他の鳥声までも発します。 四つ足と違い飛べるスペースさえ確保できれば戻るスピードは早いので ビヨンヌが行方不明になって心配している緑地仲間のところに戻ったのは、それからすぐにでした。 つづく
2017/02/09
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自分に似たクローンを大量生産してロボット兵器とするブッチャーの企みは、すでに8割方完成し、入口から離れた一番隅のドーム倉庫に6000体以上ものロボットがびっしり縦列に並び、いつでも作動ボタンを押せば動きだす用意が整っています。別なドームの中では、研究所の設備があって8人の巨人たちが宇宙服のようなものを着て、透明なボックスに手を入れ、試験管の液体をビーカーに移し攪拌させているものや、数多くの試薬と試液が並んでいる棚から数種類を取り出してフラスコに入れたあと、小さな試験管を遠心分離機にかけて見守り、そのデータをとっているものなど、化学実験室と同じことを行なっていました。 ここで作られようとしているのは、先ほどクローン製造室にいた巨人がいっていた人間だけに空気感染する恐ろしい殺人ウイルスなのです。地球表面でのあらゆるウイルスは、時間が経てば薄まり、その威力は最後に無害となるのが一般的です。しかしここで開発中のものは、空中に噴霧すると自然増殖を起こしより強力なウイルスとなる兵器で、もし使用されたら人類は、100日以内に死滅することになるでしょう。 ブッチャーの意図は、使用する前にわずかなサンプルを米国大統領に送付してペンタゴン(米国国防総省)で分析させ、はったりやただの脅かしではないのを証明し、人類を自分の配下とするのが目的で、逆らう者は抹殺するつもりでした。 オナガのビヨンヌは、三つのドームを飛び回り、中で行われている異様な光景を脳裡に焼きつけましたが、ブッチャーが何を目的にしているのかは、わかりません。急いで緑地仲間のもとに戻って報告しようと、帰る道筋を探そうとしますが、あまりにも広い洞窟の中で周りを見渡しても皆目見当がつかず途方に暮れます。そのとき耳元で小さな声がつぶやきました。「なんか、ものすごく困っているダッチャー、助けてやろうかピカチンチン」 かなり前、ハクビシンの新之助に集団で群がった群れボタンの一匹が、どういうわけかビヨンヌの羽毛の間に潜りこんでいたのです。 つづく
2017/02/06
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上空を飛び回っているビヨンヌにとって都合が良かったのは、誰もが自分に注意していなかったからです。右側に座っていた巨人が手を動かしながら隣のものに話しかけました。「今月の1000体を含めると6000体は完成し、いつでも作動できる状態なのに、いつになったらブッチャーさまは、GOの命令をだすのかな」左側にいる目尻が上がった鬼のような顔の巨人が応えます。「人間の持っている核兵器を一瞬間で無力化する技術が、もう少しで完成するのと、他の生命体には影響しないが、人間だけに空気感染する殺人ウイルスも、あとわずかで出来るから、それらを製品化すれば作戦はスタートするだろうよ」「すると、2か月以内だな。早く地表に出て本物の太陽から発する光を浴びたいぜ」「半年前に地上に行って、光に当たった視察隊の奴から聞いたけれど、太陽の熱は、ここよりもかなり低いが、光合成により二酸化炭素と水から有機化合物を合成するのと、植物からの酸素放出の恩恵で多種多様な生物がいるらしいぞ」「俺たちは今度の先発隊に選ばれるかな」 今まで黙っていた三番目の巨人が大声を上げました。「ほら、しゃべっていると手元が狂い人工知能の移植ディスクを間違えるぞ、この前も2体、Cランクのクローンを最高位のA1にしてしまい大目玉を食らったばかりだろう」 その声に巨人たちは黙り込み、ベルトの流れる音と、鎖がぶつかり合う音だけが部屋の中に響きました。 つづく
2017/02/03
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