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モグシダが息を吐く力の強そうな動物を片ッぱしから集め、岩牢の前に連れてくるのにそれほど時間はかかりません。中には身長1メートル程度で体重は120キロのビロロンザワッチも含まれています。 ザワッチは二本足で歩くキツネ顔のキツネ猿科で、その口は大きさが鼻の5倍もあり伸縮するときには前方に30センチも飛び出すのです。鼻から吸った空気が口をつぼめて吹きつけると、かなりの風を送り込むことができました。ザワッチ14匹の後ろでペラペラグンニャリパタパタと、体を揺らし続けている奇妙な生物が7匹、2メートル近い身長を岩盤に押しつけています。細い16本の足で走行する葉っぱ種族の一員でハッパッペゾロゾロです。葉っぱの先端にアリ顔がついていますが、この生物の特徴は、後方にある肛門から匂いのない屁を連続して放つので有名でした。 1秒間に5発もの屁をぶっ放す威力は、息を吹きつけるよりも効果があると判断したモグシダが丁寧に頭を下げ連れてきたのです。 その他、息を吐く力が強そうな生物、12種類、62匹が岩牢の外に並んでいます。牢の中ではヒミメールとカメぱっぱが横たわっているデルフミュームのそばで13カ所ある熱放出孔の位置を確認し、大きさの違う穴に適した生物を選別しながら中に入れていました。 穴に吹きかける時間は各生物の体力で異なりますから、モグシダが流れをチェックして疲れる前に早めの交代をうながしています。 デルフミュームの背中側と横腹に13カ所ある穴に、形や大きさの違う生き物が必死になって息を吹きつけている光景は、真剣さを通りこし、はたから見るとコッケイささえもかもしだしていました。 つづく
2017/11/29
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牢屋の前にいる5匹と1人を目標に走ったザビエスは、すぐにヒミメールを見つけ歩み寄ります。3mの巨体を折って話しかけました。「ブッチャーに幽閉されている兄のデルフミュームは、高温状態の環境で閉じ込められ正常な体ではありません。彼が自力で歩かなければ、ここから救出するのはむずかしいでしょう」「わかりました。彼の体温を下げる方法を考えましょう。ここにはなんの道具もありませんね」透き通る声でカメぱっぱのほうを見つめます。「カメぱっぱさん、私は地下生物が地上生物に劣るとは思いませんが、あなたなら素晴らしいアイデアが出ると期待します。なにかありますか?」 急にふられたカメぱっぱ、あぜんとしながらも小さな脳を目一杯回転させました。超能力者のヒミメールでさえ考えつかないことを自分に押しつけるなんて・・大きなため息を吐き出し顔を上に上げます。・・ん?口をすぼめて息を出す、後ろを振りかえると地上では見たことのない動物が20匹、40匹と集まっています。そうだ、これだ、これしかない。「ヒミメールさん、笑わないでパッパ、巨人の熱放出孔を、みんなして息をフーフー吹きかけ、疲れて息が上がったら次の動物と交代する。すぐに息を吐き出す力が強い動物を選んでください。牢獄の中は暑いから短時間で交代すれば動物たちも倒れませんよ」 にっこり微笑んだクリサーラの全身から淡いクリーム色の光が放射されました。「やはりあなたは可愛いだけでなく賢い生物ですね。モグシダ、鼻息ではなく口から強い息を吹きかけられる動物を選んでください、いっぺんに牢の中へ入れないで一列にして、交代制にしましょう。ご苦労ですが、あなたは穴に吹きつけている動物の力が弱まっていると判断したら、次のものに効率よく代えてくださいね。デルフミュームの背中と横腹にある17カ所の熱放射孔は、大きさが違うから動物の種類も代えたほうが良いかもしれません。それでは、すぐに用意してください」 身体をグレーの長い毛で覆っているモグシダは、ロングヘヤーをたなびかせ駆け出します。ガメリッチババローナも手伝うつもりで動きだそうとするとヒミメールが止めました。「待って、ババローナ、あなたには別なお願いがあります。近くに生えているコケッシュクールの光ゴケを仲間と一緒に出来るだけ多く採って、ここに運んでください」 2mある長い尻尾を左右に揺らしてババローナが不審な目を向けます。「こんな時にコケなんか集めてどうするのさ」「あのコケは光合成が強いので冷却効果があります。それをデルフミュームの全身になすりつければ体が冷えるかも知れません」「光合成ってなんじゃらほいほい」「緑色植物が光のエネルギーを利用して二酸化炭素と水から有機物を合成するプロセスです。光合成は葉緑体で行われ酸素の発生を伴うのですよ。植物性プランクトンはたいてい葉緑体を持ち光合成を行いますから」「・・・ヒミメールさまは、物知りだね、オイラにはちっともわからねえが、すぐに仲間を集めコケッシュクールを採ってくるよ」 つづく
2017/11/26
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岩牢の中に1時間もいればデルフミュームだけでなく、自分も意識不明になって倒れるとザビエスは判断しました。2日前の闘技場ではブッチャーの姑息な作戦で、体外に熱を排出する数カ所の放射孔を小さな石で塞がれ、あわや命を落とす寸前までいったことを思い出したからです。 体重500キロのザビエスでも一人だけで彼を抱えて動かせません。彼が自分の足で歩けるようになれば、肩を貸すていどで移動できるのにと思案をめぐらします。 岩牢から200m先に洞窟のようなところを見つけ、少しでも熱波を避けようと逃げ込んだザビエスは再び頭を抱えました。瞬間冷却装置は赤肌族のドーム群まで行かなければ手に入りません。3日間走りっぱなしでドームに着いたとしてもどこに装置があるのか、探すのに時間がかかれば、それだけデルフミュームの救助が遅れ、彼の命までもが風前のともしびとなります。 大量の睡眠導入剤を飲まされ岩牢に運ばれて、覚醒する前に体が高温状態になり正常な精神に戻らず自力で動くのもままなりません。何はともあれ、あの岩牢からデルフミュームを助けないと、どうしようもないのです。 ザーアー、ビッチョン、ビチョン、ザアーー、ズバッ、ペチョン、ザアァアー、はるか下を流れ、岩盤の亀裂からもれるマントルの音が耳障りになったとき、「ザビエス、どこにいますか、ヒミメールです。牢獄のそばにいますから、近くにいたら返事をしてください」ザビエスの脳に直接届く声が聞こえました。 闘技場から出たときは一緒でしたが、3mの巨体を生かし駆け出したザビエスに遅れること2時間半、ようやく合流したヒミメールと、カメぱっぱを肩にかついだガメリッチババローナ、それに小型猿人モグシダの登場です。 つづく
2017/11/23
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それでも前に進むと岩山をくりぬいた岩牢に突きあたります。4m四方はある入り口に直径30㎝の太い鉄棒が縦に12本、岩石に埋められていました。ザビエスが中を覗くと、小さな部屋に巨人が横たわっています。「デルフミューム殿、お迎えに参りました、デルフミューム殿、起きてくだされ」大声で叫ぶザビエスの声にようやく反応した巨人は、寝そべったまま声をだしました。「わたしの名はデルフミュームなのか、なんで、こんなところにいる、あなたは、いったい・・・」 最後の言葉を発する前に眠りの世界に入り込みます。ザビエスの太い腕が二本の鉄棒をつかみ渾身の力で手前に引っ張ります。ギシギシギシバッキーン鈍い音と同時に岩に埋められた鉄棒が根元から折れ曲がりました。 その作業を6回繰り返し、全ての鉄棒を取り去ると身体を折り曲げながら岩牢の中に入り込みます。「デルフミューム殿、あなたは弟のメルトンブッチャーによって、ここに閉じ込められているのです。マントルの流れが近くにある牢獄なので、高熱放射が強く常にここは高温状態のため、我ら赤肌族の能力は発揮できないのです。すぐに、ここから脱出しなければなりません。さあ、起き上がって一緒に出ましょう」脇の下に手をやり強引に立たせようとしますが、長期間、高温の室内に監禁されていたせいで意識は元に戻らず、グンニャリした体は床に横たわります。こうなると体重が800キロはある巨体をザビエスだけで動かすのは不可能です。その間にも自分の体が熱くなっているのを知り、少しでも熱波が来ない場所に移動しようと、いったん岩牢を出ました。 つづく
2017/11/20
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クローンロボットの一体がゆっくりと歩き、眼下を見回してパトロールをしていました。身長3mはあるザビエスが手ごろな岩石に反動をつけ駆け上がれば、壁の上まで簡単に行けますが、銃を持つ哨戒に見つかり、すぐに撃たれて大怪我をするのは必至です。考える時間ももどかしく足許に転がっているサッカーボール大の石を拾い、ロボットが歩いている手前20mのところに投げつけました。 ガシャンゴロゴロ、大きな音を立てたほうにロボットは、ガンベルトから抜いた光線銃を二発発射させます。一本の流線が岩石に照射され、命中したところで火花が飛び散り、一面にきな臭い匂いが充満しました。 ザビエスは近くにあった高さ1mの石に助走をつけて跳び乗り、その勢いで高い壁面の上へ思いっきりジャンプしました。平らな岩盤に着地すると同時に銃を持つロボットめがけて走りだし鋼鉄の背中を右足で蹴りつけます。 前のめりに倒れたロボットは、起き上がろうともがきますが、首下にある蓄電装置をザビエスが強烈なかかと落としで踏みつけると、スパークして火柱が上がりピクリとも動かなくなりました。 外壁の上は、でこぼこした石畳の上に平らな3m幅の薄い岩盤が敷きしめられて走ることもできそうです。外壁の内側にある階段を降りるザビエスの全身に汗が湧き出して急激な温度上昇にとまどいます。 遠くにある岩の淵に目を凝らすと下に流れているマントルが一部だけ噴出しドロドロした熱の塊を吐き出し、周囲の岩石を溶かしていました。 鼻を突く硫黄と焼け焦げたときに発する臭いでザビエスは顔をしかめます。 つづく
2017/11/17
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ヒミメールたちと闘技場から逃げ出したザビエスは、ふらふらしながら歩いていましたが、すぐに体力を回復して考えます。ブッチャーを倒すことができるのはブッチャーの兄しかいないと気がつき、ヒミメールたちに断り一足先に救出に向かうため走り出しました。地上に侵入する時間が刻々と迫り、ようやくクローンロボットの増産体制がストップし、ブッチャーが侵略命令を下す前に崩壊させようとあせっているのです。 兄のデルフミュームと一回でも会ったものは、顔かたちがそれほどブッチャーと変らないのに、ときおり見せる慈愛の表情と、ていねいな話し言葉、相手を思いやる気持ちが伝わり自然とこうべを垂れてしまうのです。 ザビエスもまだ二回しか会っていませんが、地下帝国の将来を託すのは、このお方しかいないと確信しました。ブッチャーの冷酷な企みをつぶそうと闘いを挑み完全に敗北の煮え湯を飲まされ命さえも失う寸前、ヒスイ宮殿のヒミメールに助けられたのは、奇跡に近いかもしれません。その上、地表からやってきたカメぱっぱという、へんてこりんな動物までもが、自分を救うために駆けつけるとは、ありがたいやら、うれしいやら。 まだ地上に行ったことはないが、電波収集分析表示モニターを観ると地下に比べ圧倒的な数の動植物がいて、生命あふれる活気ある世界らしい。その地上まで征服しようとするブッチャーを倒そうと来たわりには迫力もなく、むしろ愛玩動物のように可愛いなと、笑みを浮かべながら風を切る勢いで走っていました。すると、前方に薄ぼんやりと砦にも見える何層にも積み上げられた石畳が表われます。その高さは10m以上もあり明らかに外部からの侵入を許さない造りになっています。左右の横幅も長く入口らしきものは見えません。 近くにいって様子をうかがうとしたとき、外壁の上に動く物体を発見し岩陰に身を隠します。 つづく
2017/11/14
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弟のメルトンブッチャーは、肉厚の皮膚を岩石で覆い、細目と薄い唇から受ける印象は冷酷で、どう見ても賢さなど感じられないのですが、IQ(知能指数)160以上はあり人間社会で天才といわれる人の140を軽く超すほどの頭脳を持っています。そのブッチャーがわざわざ地下深いマントル近くにある岩牢に兄を幽閉したのは、兄の持つ力を高温状態にして、その力を発揮させないようにしたからでした。(お忘れの方に説明すると、ウイークポイントの少ない赤肌族にとって体内の高熱を排出しないと命にかかわる重要事項なのです) 大量の睡眠導入剤を食事に入れ、昏睡状態にしてから赤肌族の部下8人に命じ地下牢まで運ばせたのです。名目ともに実権を握ったブッチャーは、以前から考えていた地上進出の計画を早送りにして進めていました。 拉致されたデルフミュームが目を覚ました部屋は、室温セ氏50度以上の暑さです。そんな中では正常な神経に戻らず、薄ぼんやりとしたまま硬い岩盤に横たわりほとんどの時間を過ごしていました。ブッチャーが兄を閉じ込めてまで警戒したのは、兄の持つカリスマ性と大勢の生き物に信望が厚いので、多くの赤肌族に敬愛されていたのを知っていたからです。 地下帝国だけでなく地球全体の覇権を握ろうとしているブッチャーにとって、混乱状態を収拾したあとなら、優秀な兄を重要ポストにつけ統治させる考えをもっていましたが、まだしばらくは幽閉して外部と遮断する方法をとっているのです。 架空カメラが捉えているモニターに話を戻しましょう。ズトンズトン大きな足が動くたびに岩肌を揺らし、地上にいる競走馬並みのスピードで、必死の形相で駆けている3m以上ある大巨人が映し出されています。 それは、ブッチャーとの闘いに敗れ、とどめの一撃を受ける前にヒミメールやカメぱっぱたちに助けられたゲルトンザビエスです。赤肌族の仲間とブッチャーの悪だくみを阻止しようと立ち上がったのですが、事前に察知され、あえなく 頓挫しました。そのザビエスがデルフミュームを救い出そうと、単独でガンダデストーラガチガチイワノビッチアッチッチに向かっているのです。 つづく
2017/11/11
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すぐに第二陣の先頭にバンバンジーたちと新之助が駆け寄りボスの号令で一斉に動き出します。後からついてくる第三陣はというと、マリモ程度の大きさで小さい手足がついているマリコロリンや、ワシッパナニャンの同族、身長が3mはあるミミズクニャンニャンなど17種87匹の地下生物がてんでんばらばらに第二陣の後方をついていきました。 ここでカメぱっぱのいる場所や新之助たちのいる位置関係がわからないからお互いの距離を測るために架空のカメラを設けます。それではモニターを見ながら説明を始めましょう。新之助やバンバンジーたちが駆け足でロボット軍団を追いかけているところから約2キロ先、時間にして12分前にロボットたちが普通走行よりもやや早足で連隊を組み整然と進んでいます。 本物のメルトンブッチャーよりもひとまわり小型化したクローンロボットは、平地なら二本足の方が歩くのに適していますが、凹凸のある岩盤や岩石の上では、滑ったり、つまずいて思うように歩けず四つ足連合動物の進む速度よりもかなり遅いのです。 ロボットたちが歩いているところから約7キロ先に、ヒスイ宮殿侍女頭のヒミメールと、ガメリッチババローナにまたがったカメぱっぱ、精悍な顔をしたワッシパナニャンが早いスピードで走っていました。 その先、12キロに最終目的地、ガンダデストーラ・ガチガチイワノビッチアッチチッチ(硬い岩石に囲まれ近くにマントルが流れている村という意味)そこにある頑丈な岩牢に閉じ込められているブッチャーの兄、デルフミュームがいるのです。新之助たちが走っているところからず~と、下り坂になっているのですが、地球内部に近づくほど温度は上昇するので、デルフミュームの体温は摂氏44度を超え、高温に強い赤肌族でも確実に体力を奪われていました。 つづく
2017/11/08
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「・・・と、いうわけで俺たちゴッドウルフ族も、あなたたちバンバンジュウと合流し、ガチャガチャ軍団を追いかけ、チャンスがあればやっつけたいのだが賛成してくれまいか」ヨコミソセージャンの並々ならぬ覚悟を聞いたバンバンジュウのボスは、考える間もなく返事をします。「いや、こちらからも頼むよ、味方の数は多いほどありがたい。すばしこい動きと賢い知恵で有名なウルフ族が仲間になれば鬼に金棒だ。ついでにここにいる変な生き物も紹介するな、地上ではハクビシンという種族で名は新之助という我々の親友だが、なんと見かけによらず敵を倒す戦術を練る軍師でもあるのでお見知りおきを」ヨコミソセージャンが新之助の顔と体をじっと見つめました。「俺たちの遠い先祖がアナタをどこかで見たと、私のDNA細胞が叫んでいる。地下生物では小型動物のはんちゅうに入るが、顔かたちはウルフ族に近いかもしれない。これからは、新之助さんの指令に従うのでなんでもいって欲しい」 一歩前にでた新之助、恐縮した表情を浮かべます。「地上でも狼一族は崇高な動物として崇めうやまわれていますぞ、一部の二本足は狼の持つ気高さを下等評価しているが、四本足仲間の評定では、必ず上位に入るのでござる。地下と地上の違いはあっても、そのウルフ族の方々を私めが命令するなど、とんでもありませぬ。逆にヨコミソセージャンさまの指示に従いまする」 譲り合う二匹の間に割り込んだバンバンジュウの親玉が両手を叩きます。「パチパチパチ、なんとうるわしい光景でしょう・・・って、いっている場合か、相手を褒めたたえるのは、地下社会が平和になってからにしておくれ、今は緊急時なんだから、とりあえずこれから指令をだすのは新之助でいいべよ、セージャンはサポート役で頼む。俺たちは無条件で従うからさ」「わかり申した。それでは先陣をセージャンさんにお願いしてよろしいか、第二陣をバンバンジュウの仲間たち、それから第三陣をその他の動物たちでいかがであろうか」すっくと立ちあがったヨコミソセージャン。「それでいこう、では、お先にまいる。ウルフ族は、横三匹になり次の列の距離を十分にとって進む。もしロボツト軍団に追いついたらすぐに知らせろ、新之助さんと相談して対策を考えるからな。よし、駆け足でいくぞ、進め~」 てきぱきと命令を下すセージャンの顔は、神々しく光輝いていました。 つづく
2017/11/05
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ここで記憶力の良い人は、バンバンジュウの前に第一陣としてロボット軍団の侵攻を阻止しようとしていたゴッドウルフ族、またの名を犬神家の一族がどうなったか心配でしょう。頭領のヨコミソセージャンが37頭の部下と近くにいた四つ足動物52匹が協力して、運べる大きさの石と岩を通路に置きバリケードを作ったのです。岩陰に隠れ手ぐすねを引いてロボットたちを待っていると、そこへ真っ黒、剛毛に包まれた60㎝ほどの生き物がドタドタ音を立て走り寄って来ました。一見、ネズミのようですが、体は太めで短い四本足は豚足そのものです。 ヨコミソセージャンの前に来てキンキン響く甲高い声で話しかけました。「おまんら、早く逃げないと全匹殺されるチュー、さっき20匹くらいでロボットたちの行進を邪魔しようと横たわったモグズリンダの先頭を光線銃で焼き殺し、後からきたのが死骸を蹴っ飛ばして道を開け進んでいるチュー、この近くまで来ているから、逃げたほうがいいチュー」「そうか、そんなに強いか、よし、お前たち」 37頭のゴッドウルフ族、息を詰め次の言葉を待ちます。「とりあえず、逃げよう、岩陰に隠れろ、音を立てるな」部下の一匹が声を上げます。「バリケード代わりに運んだ石は、どうしやすか」「そのままにしとけ、もしロボットがつまずいて転んでも手出しするな」「我々ウルフ族のプライドは、どうするつもりでやんすか」「アホ、死んだらプライドなんか屁の役にも立たねえ」「どこかで聞いたフレーズでやんすが、みんな、隠れろ」 周りにいた生き物もウルフ族と一緒に岩陰に移動したとき、ガチャガチャ軍団が派手な音を立て近づいてきたのです。 ロボットのドジな奴、四体がつまずいて転ぶと後ろの奴が手を貸して立たせ歩き出しました。ロボットたちが遠ざかるのを見つめていたヨコミソセージャン、大声を出します。「よーし、あいつらの後をつける。なんでもいいから奴らの弱点を見つけろ、ヒミメールさまに奴らが追いついて攻撃したら、そんとき、俺たちゴッドウルフ族は、命をかけて食らいつく、いいなぁーー」「やっぱ、あんさんは我々の頭領や、さっきはただの臆病者かと思ったが、よーし、みんな、セージャンさまのいう通り、奴らの後を追え」 そんなこんなでバンバンジュウと新之助の第二陣が投石作戦で疲れ果てた身体を休めているところにウルフ族が追いついてきたのです。 つづく
2017/11/02
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