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影が薄ぼんやりとかげろうのように揺れているのに気がつき目を覚ますと、タヌキ二匹とアライグマ一匹、猫のヨシコの顔が円を描くようにして見下ろしてニヤニヤ笑っていました。ギンコが先に気がついてむっくり起き上がります。「ウニャー、見世物じゃないわー、早く起こしなさいよ~」タマノジョーが笑顔で応えます。「久しぶりにギンコの寝顔を見たわ、もう可愛いったらありゃあしないタマタマ、長い毛がクッションになって熟睡していたのね」 その声でモグンバも目をパチクリさせ起きだします。「オレ、モグンバ、よろしく頼みます」ポンポンチッチが大きく声をかけました。「あっちの広場に移動しようポンポン、みんながそろったようだから」 二本足たちの歩行通路に面している奥の池、右後方20mさきに草むらがありその裏側に小さな広場があるのです。その中央にある60㎝四方の丸石にガマのビッグが座って周りを見回していました。落葉樹メタセコイア(別名:アケボノスギ)こずえの中段には、土鳩連合会のポッポ一号と二号、カラス族のビー玉の親分が羽根を休め一番高い位置にワシのゴンゾウが下を見つめています。どういうわけかオナガのビヨンヌは直接地面に足をつき四つ足たちと同じ目線で前を見ていました。そこにドヤドヤとポンポンチッチとタマノジョー、ヨシコとギンコ、それにモグンバが入場します。最後にアライグマのスリスリが登場し両手をはげしくこすり合わせていますが、これはなんの意味もありません。ビッグが大声を出しました。「ゲロゲロゲーロ、急な招集にもかかわらず大勢参加してくれ感謝するグェッグェッ。詳しい話は、この後、ヨシコとギンコからあると思うが、その前にビヨンヌから聞いた話の要点だけを私からみんなに知らせる。約3週間前に奇妙な生き物が地中から出てきて悪さをするので、ハクビシンの新之助に頼み地下の様子を探りに行かせたグェグエグエ。私は新之助だけが潜ったと思っていたら、いつの間にかカメぱっぱやヨシコとギンコそれだけではなくオナガのビヨンヌまでもがくっついて行ってしまったのだ。終わったことを蒸し返してもしょうがない。仲間を気づかう優しい気持ちを私は怒ることが出来ないゲーロゲーロゲロ・・・」 つづく
2017/07/25
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ギンコの鼻息がモグンバにかかります。「んー、四つ足連合も種族で食べ物の種類は違うニャン、木の実や果実を食べるものや二本足の残した食べ物と、他にわざわざ運んでくれるのもいるからね、アタイは雑食性でなんでも食べるよ。食生活はバランスが大事で好き嫌いなんてぜいたくなのニャー、腹が減っているとき食い物の匂いがすれば、かなり離れていてもすぐに駆け付け食べるニャン。たとえ他のものが食べていてもそれを横取りするからね。この時ばかりは、アタイの理性はぶっ飛び凶暴になるから注意してニャン、さっきモグンバは草を口に入れていたけどさ、地下では何を食べていたのニャー」「宮殿の地下で飼育しているメロドロンやモウタマリンの肉と繁殖させている粘菌やコケ類をミックスしたものを中心に食べている」「一日何食なのニャン」「二食だ」「地下では時間の経過ってどうしてわかるの」「各生物には体内時計が組み込まれている。実際に時計があるわけではないが、地上と同じ24時間周期で生活しているようだ。一部を除き海水はないが、満潮、干潮の影響はあるかもしれないな。先ほど食べ物には異常な執着心を持ち凶暴になるといったギンコは、地下に降りたての頃、とんでもない巨獣をやっつけたので、オレはその力を承知している」「そうだっけ、ワタシ普段はおとなしい猫だから、あんたも忘れてしまいニャー」「いや、200キロはあるゲジトドッチョの頭に乗って、額に爪を立て眉間を何回も蹴りつけ、KOしたのは今でも忘れない。あの時からギンコはオレの英雄になった」「もう、あんたはなんでもおおげさなんだから、他に質問がなければ横になって休むニャー、その毛むくじゃらの腹が枕代わりで気持ち良さそうだから、モグンバも横になりなニャー」嫌なそぶりを少しも見せず、むしろ嬉々として小さな猿人は、横になります。そのお腹に頭を乗せたギンコは空を見つめました。「そのうちスピーカー鳥のビヨンヌが帰ってきて騒ぐから、それまで寝ていようニャン」猿人と猫一匹、青い空を見つめているうちにマブタが重くなり、そのままスヤスヤと寝てしまいます。 つづく
2017/07/21
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「ビヨンヌ、疲れているところを悪いがもうひと働きしてくれんか、カラス族のビー玉の親分と土鳩連合会、ポッポ一号二号、それにワシのゴンゾウ、それからレディカカを探してここに集まるよう伝えてくれ。ポンポンチッチ、四つ足連合会からは誰を呼べばいいグァグァゲーロゲーロ」「近くにいるのは、タヌキのタマノジョーにアライグマのスリスリぐらいだポン」「ビヨンヌ、その四つ足にも声をかけ連れて来てくれ」「もう、地下で大活躍して疲労こんぱいしているビヨンヌさんを、地上でもコキ使うのねピー、しょうがないわ、行ってくる」 飛び出すオナガを見送ったビッグが口を開きます。「ヨシコ、わかっているからいわんでもいいぞ、ビヨンヌの話は半分以下に聞いているよゲロゲロ」「ま、活躍したのは間違いないからニャー、それで、ビッグの考えを聞かせてもらおうニャン」「それより、そこにいる小さな猿人を紹介してくれんか」「地下にあるヒスイ宮殿の防人、モグンバだニャー、ほらモグンバ、このガマガエルがビッグだ」意外な表情を隠そうともせずに猿人は前に出ます。「驚いた、イメージしていたのとかなり違うので、ビッグではなく・・姿は小さくても、みんなの信望を集めているのは、あなたの能力がずば抜けてすぐれているからでしょう。オレ、いや私は宮殿の女王クリサーラさまに仕えるモグンバというものです。生田緑地から送り込まれたカメぱっぱと新之助は、まだ地下深い場所にいて孤軍奮闘しています。ヨシコとギンコのネコ族は先に地上に戻り、緊急事態を知らせ対応策をみんなと考えるとのこと、私めもクリサーラさまの命により同行し、お役に立ちたいと思います」「モグンバ、丁寧なる挨拶を感謝するゲロゲロ、ビヨンヌが緑地に生息する仲間の幹事役を集めているので、会議を開くまで少し時間がかかる。疲れたろうからしばらく休んでいてくれグッアグッア」「地上に出るのは初めてなので2,3質問してよろしいか」「私もこれからフルに脳を回転させるからひと休みする。ヨシコとギンコに尋ねてわからなければ私が答えるが、それでよいかケロケロ」「もちろんです。それではギンコさんに訊くが、あなたがたの食生活はどうなっているのか教えて欲しい」ギンコがモグンバの隣にやってきて顔がくっつくほど接近します。「なんニャー、ギンコでいいから」 つづく
2017/07/19
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「地下のマントルも熱量は高いが、これほど光のスペクトルと暖かさはない。それにこのむせかえる匂いは、なんなのだ。頭がクラクラする」ギンコがモグンバの肩を軽く叩きます。「少しだけ休むかニャー、まだ地上に体が慣れていないから疲れるだろう」歩くスピードをゆるめずにモグンバが応えました。「いや、地下では体験したことのない複雑な匂いで、決して嫌な匂いではないのだ。それに風が運ぶ色々な音、地下とは違って・・音と匂いは、いつまで経っても、飽きがこないな、このまま寝そべって空を見ていたい」「もうすぐだニャー、ほら、あそこに大きくて濁った池があるだろう、ガマのビッグがいるところだ。あの池は雨水を溜めたままにして、二本足は水道水を注入しないで、わざときれいにしない池なのさ、自然な池が売りだけど、季節によってはモの繁殖やプランクトンが大量発生してアタイたちにはとんだ迷惑なのニャン、臭いもひどいからね」「あんたたちが、よくいう二本足って人間だろう。なぜそんな言い方をするのだ」「人間って動物は、アタイたちを下に見ているからね、だから、あんたたちもたかだか二本足だろうって、いうのだニャン、同じ動物だから対等って意味もあるよ」そこへオナガのビヨンヌが高い木の上から舞い下りてきます。「ヨシコとギンコ、ビッグは池の真後ろの雑木林の中にいるピー、わたしビヨンヌが要領よくかいつまんで地下での大冒険を話したから、あんたたちは報告が楽だろうさピーピー」 池のほとりに着いた一行は、草むらの中を右側に旋回して裏側にある林に入って行きます。真ん中あたりに大きな石があって、上部は平らでその上にガマのビッグが鎮座して一行を迎えました。ビッグの左右には9㎝程度の青ガエルが二匹いてにこやかに見降ろしています。「ヨシコにギンコお帰り、長い時間、戻らなかったから心配していたよゲロゲロゲーロ、緑地では考えられない冒険話はビヨンヌからあらかた聞いた。いずれもビヨンヌの活躍で解決したのもな」 つづく
2017/07/16
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「ボクたちが生活している生田緑地は大地の一部で、もっともっと大きくて広いところを陸地というチッチ、その向こうには地球表面の7割を占めている海があるのだポンポン」「海か、見たいな、地下に帰る前に」「ボクを含め、ここにいる動物のほとんどは、海を見たことはないチッチ、チャンスがあればモグンバと一緒に見に行こう」ヨシコが声をかけます。「アタイたちが地下に行っている間に、なにか変わったことは起こらなかったかい」「ヨシコたちが出発する前に悪さを働いた数匹のアリクイブタは、地下に戻ったらしくて、もとの静かな状態になっているよポンポン」「今も二本足の友達、木村トメさんは緑地にやってくるのかニャー」「そりゃあ、判で押したように週一回、来るよ、チビコとゴロータそれと新しく友達になった訳のわからない小説家に学者夫婦も一緒に来て半日ほどボクらと遊んで帰るチッチ」「他の二本足に見つかったら大事件になるニャン」「そこは知恵袋のビッグの指示で機関車デコイチがある右奥のなだらかな坂道を上がった先の小さな広場に集まるから大丈夫だポンポン、昼間でもイベントがなければ二本足は通らないところだからチッチ」「それを聞いて安心したニャー、次にトメさんはいつ来るのかな」「たしか、明日だポン」「よーし、ビッグと緑地仲間に地下帝国の陰謀を知らせ、それからトメさんに報告しようニャー、さあ、奥の池へ向かうよ」ヨシコが再び大きな伸びをして、ゆっくり歩き始めました。 おどおどキョロキョロするモグンバを前に行かせて、ガイド役を務めるギンコが大声を出します。「地面から長い棒が、にょきにょき生えているよね、それも生きているのニャー、どんどん成長して種類によっては、何百年も生きているのさ、さっきモグンバが食べていた草も生きているよ。地上での自然は、すべて生きているニャン、あんたがいる地下に比べるとその種類、数量は数えきれないほどなんだ」手に触れる草花を引きちぎっては口に入れるモグンバは、前を見ながら歩いています。「うん、地下でのマントルやマグマを生きているとは、いわないからな、地球内部での自然現象はたくさんあっても、岩石や鉱石に生命はない。ここは見渡す限り命にあふれている。空に浮かんでいる大きな火のかたまりのおかげで、自然は生かされているのだな」 つづく
2017/07/13
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「ありゃりゃ、これはこれはヨシコとギンコ、お帰りチッチ、あれ、そこにいるのは、緑地井戸端会議、議長のビヨンヌだ、ポンポン、もう一匹、小さな猿もいるね」「地上に帰ってきて最初に会った生き物が、ポンポンチッチとは、嬉しいような、悲しいような、ただいまニャン」「ヨシコ、なにグチャグチャいっているのチッチ、ビヨンヌ、いつまでもバタバタしていないでガマのビッグに知らせに行ってポンポン」「わたしだって早く飛びたいピー、もう少し待ってよね」「みんなお疲れさんポン、長い間、地上に戻らないから、下にいる怪物にでも食べられたのかと心配していたよチッチ、あれ、カメぱっぱと新之助がいないね、やはり食べられちまったのかポン」「わかりやすく順序だてで解説するけどニャー、何回も同じ話しをするのは面倒だから、めぼしい緑地仲間とビッグの前できちんと説明するニャン」 ヨシコがポンポンチッチに話している最中に、ようやくビヨンヌが飛び立ちました。「とりあえずビッグに会ってくるピー」空中に舞い上がると、左右にフラフラ、上下にバタバタ急降下、急上昇しながらも奥の池方面に向かいます。 ギンコの後ろに隠れているモグンバは、お腹が出た丸い動物を見るのは始めてなので凝視しています。視線を感じたポンポンチッチがギンコにたずねました。「そこの灰色の毛むくじゃら猿は、なんじゃらほいほいチッチ」「地下で友達になったモグンバだニャー、モグンバ、こいつはタヌキという種族で名前はポンポンチッチという、ほら、隠れていないで挨拶しなさい」 ギンコにうながされた猿人は、前に出て話し始めます。「第一地下層ヒスイ宮殿、女王クリサーラさまに仕えるモグンバというものだ。ギンコやヨシコ、他の動物を含め緑地からきたものには、数多く世話になってありがたく思っている。俺自身、地上に出るのは初めての経験なので宜しく頼む」「なんニャー、もっとやわらかく話せないの」突っ込むギンコを制止してポンポンチッチが応えました。 つづく
2017/07/10
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叫んでいるギンコの隣から目を細めたヨシコがのそのそと這い出てきます。「あああ~この匂い、なんともいえないニャー、地下では味わえない草花、樹木、生き物、入り混じった色んな匂いが風に運ばれ宙に舞っている、生きてきて、こんなにも空気がおいしいと感じるのは始めてだニャン」「ちょっと、そこのぶっとい尻二匹、出口から顔だけでなく体を全部出してからシャバの空気を吸ってよピー、地下で一番活躍したビヨンヌさまが、まだ外に出られないってどういうことよ、早く出なさいピーピーピー」ギンコとヨシコが穴から全身を出して体を反らし大きな伸びをしました。「地下生活も刺激があって悪くはないけど、やはりこっちの方が絶対にいいニャー」ギンコがつぶやくと同時にビヨンヌが地上に姿を現し羽根をバタバタさせています。心配になったヨシコが声をかけました。「どうしたニャン、早く飛び立ってみんなに帰ってきたのを知らせてニャー」「下では狭い空間を飛んでいたけどさ、地上のだだっぴろい空だと目標物がない上に・・怖いピー、わたし、飛ぶのを忘れた美しいカナリアではなく、美しいオナガ鳥ね」「・・・ま、少し準備体操してから飛べばいいニャー、それよりギンコ、なにか忘れていないかニャー」「・・なによ、・・そういえば、小さな猿、猿人はどうしたの、まだ下に隠れているのかニャー、ほら、モグンバ外に出ておいで」ゆっくりと穴の中から顔を出したモグンバは、小さな目を目一杯開けて周りの景色を眺めまわします。「・遠い、広い、大きい・・すげえ」「場所によっては地下空間も広かったけど、地上ではどこにも空があり、空間に奥行があるからニャー」崖下に生い茂る雑草を数本むしり採ったモグンバは、口に入れました。「苦いがうまい、こんなのがいっぱいあるなんて」しばらく、二匹の猫は日の光を全身に浴びて、おいしい空気を吸い続け、オナガ鳥はバタバタ羽根を動かし、猿人は周りに生えている草をせっせと、口に入れています。この状況を音で表現すると「スースーシュパシュパ」「バタバタ、パタパタ、バタバタバタ」「パクパク、ムシャムシャ」となります。 この界隈は、二本足だけでなく緑地仲間の通行量も少ないのです。たまたまタヌキのポンポンチッチが、体調を崩し巣穴で寝込んでいるキツネのコンスケを見舞いに行った帰り道でした。草むらに寝転んでいる二匹の猫を見つけ、急いでヨタヨタ、コロコロと駆け付けます。 つづく
2017/07/07
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ほとんどの地下生物には、目がありません。目があっても視力は弱く、かなりうすぼんやりとしか認識しませんが、その代わりに嗅覚と聴覚が地上生物と比べ異常に発達しています。コウモリのように音波をだし物体に跳ね返った音で距離や形体を見極めるものもいるのです。ヒミメールの属する白肌族は、出力の強弱はちがっても念波で相手をろうらくすることも出来ます。その上、考えを読み取ることまでするから生物としては、かなりの進化をとげてきました。 そのヒミメールとカメぱっぱたちは、ザビエスの案内で第二地下層よりも、もっと深い地下に向かっていますが、まだまだ目的地まで時間がかかりそうです。 この間を利用して地上に向かっていた生田緑地別動隊を追いかけましょう。猫のヨシコさんとカッポウギンコ、小型猿人類モグシダの兄貴分、モグンバ、緑地一のスピーカー鳥、オナガのビヨンヌの三匹と一羽は、紆余曲折を経てようやく緑地整備事務所に向かう上り坂、ホタルの里、手前崖下にある穴(出口)にたどり着きました。ここから地下へと出発してから信じられない数多い景観と、ジェットコースター並みのアップダウン、予想できない冒険が、大波のようにこれでもかと、押し寄せたのに、無事、緑地まで戻れたのは幸運としかいいようがありません。出発してからわずか17日間の時の流れは、ヨシコたちにとって、半年以上に相当する体験だったのです。小さな穴をかき分け地上に出た瞬間、網膜が焼けつくような日の光を浴び、思わず戻ろうとするヨシコの脇から這い上がったギンコが一番最初に首を出します。「ウニャアー、空気がうまいニャー、やはり地上は、いいニャーアーー」 つづく
2017/07/04
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「大きな岩石を動かすのは無理だが、小さな石でも数多く転がして敷き詰めれば奴らも足を取られるでござる、それに凶暴なブッチャーをも歩けなくしたネバネバプリンにもう一肌脱いでもらいまする。いや、脱ぐより吐き出すといったほうが正しいですな。ヒミメールさんはザビエスどのと一緒に先を行ってくだされ、もうご存知だと思いますが、ザビエスどのはブッチャーの兄上、デルフミュームどのの元へ向かわれているのです、巨大な力をもつブッチャーを倒すには兄じゃの知恵と経験が是が非でも必要だから急いでいるのでござる」「私もそう思います。新之助さん、モグシダを置いていくので協力してクローンロボットたちの侵攻を止めてください。カメぱっぱさんとガメリッチババローナは、私と来てください」カメぱっぱとババローナが反対する余裕すら与えずにヒミメールは続けます。「デルフミュームがどんな性格で何を考えているのか見抜くには、あなた方にも推測してもらい、これからの計画を立てようと思います。それに、私ひとりだと・・・心さみしい面もあるので」動物たちと長く一緒にいると、意地っ張りな地上動物の性格を見通しているヒミメールは、落としどころが上手になりました。「わかった、ヒミメールさんと行くパッパ、新之助さんが僕たちの後をつけやすいように、光ゴケの道しるべを岩につけておくよ、ケガなんかしないで必ず来てよね」「わかり申した。約束いたす、絶対にまた会えることを・・・」しびれを切らしたババローナが大声を出します。「いつまでやっているの、別れの挨拶は手短に頼むぜ、それじゃ、行くか」 カメぱっぱを肩にかついだババローナ、すたすたと歩きだします。それを見送る新之助とモグシダ、後ろから来る生き物に声をかけ、バリゲート作りの協力を依頼します。 前にも述べましたが、奥深い地下には光源がなく真っ暗闇だと思うでしょう。それは間違いです。岩石にこびりついている無数の光ゴケが圧倒的に多い、白色系と、少ないですが赤青黄色があちらこちらで点滅しているだけでなく、地下深く流れている渦潮のようなマントルが、地殻変動で出現した裂けめから覗き、まぶしいほどの光を放射しています。地上みたいに太陽が均一で照らしているわけではありませんが、かなり明るいのです。 つづく
2017/07/01
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