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ザビエスの巨体は左側にいるロボット軍団150体の、ど真ん中に跳び込み岩石で覆われたはがねのような両手両足を振り回しました。ブッチャーが最後通告をしているとき、二人がささやきあっていた内容をプレイバックします。<光線銃は撃った瞬間、1m以内にはそれほど威力がなく、離れてからのエネルギーが強いから、接近戦でいきましょう。背負っている充電箱を叩いて落とせば彼らは動けなくなりますよ、ザビエス、あなたはここでできるだけロボットを倒してください。私は宮殿内に入り、ブッチャーを探しだして倒します。それでは、幸運を> デルフミュームとザビエスは、ブッチャーが攻撃せよという言葉を発する前から左右に分かれて走りだしていたのです。右側に走ったデルフミューム、速度をゆるめずに次々と、ロボットたちを押し倒しながら進み、転がったものを右足で充電器ごと蹴りとばしました。4mの巨体からは想像できない俊敏さで、スローな動きが特徴のロボット軍団に、太刀打ちする隙すら与えません。 そのまま右や左に跳びはね、まっしぐらにヒスイ宮殿の入口へと向かいます。ザビエスはその動きを横目で追い、自らは軍団のど真ん中に行って、右往左往するものたちをハンマーのような手で殴り、強力な足蹴りを繰り返して倒し続けます。そのなかには至近距離から銃を発射するものもいますが、威力が弱いのかザビエスの体に当たった部分から小さな火花が散っても、ダメージを与えるまでにはいかないのです。 ザビエスが立ち去ったところには、40体以上のロボットが転がり起き上がる動きすらしません。充電箱を背中から外されていないものも、自力で立てずに横たわっていました。デルフミュームの動きは、それ以上に早くて1秒間に8mの距離を走っています。前に立ちはだかるロボット、稲妻を浴びるがごとく吹き飛ばされ、空中に舞い上がりました。赤肌族の身体能力は人類と比較すると、走る速さ、打撃力、持ち上げる力は、15倍から30倍もあるので合金やチタンで作られているロボットたちも簡単に投げ飛ばされるのです。 つづく ★☆★☆★本年も後2日、来年がみなさんにとって良い年になるよう 祈っているよパッパ。 by カメぱっぱ ★☆★☆★☆
2017/12/29
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突然、二人の潜む岩陰に強力なスポットライトが浴びせられました。同時に大音量の声が響き渡ります。「デルフミュームとザビエス、お前たちがここに来るのは、かなり前から知っていた。なにもせずおとなしく捕まれば命は助けてやろう。俺の地球制覇を妨げるものは絶対に許さない。たとえ兄といえどもだ。ザビエス、わけの分からぬ愚かな生き物たちに助けられ闘技場から逃げても、お前たちの動きは、第二地下層や第三地下層のあらゆるところに仕掛けた盗聴器で分かっていた。ここで闘っても、勝ち目はない。400体の戦闘ロボットを相手に闘えば、確実に死ぬだろう。二度といわない、そこにひざまずけ」 威厳にみちたブッチャーの声が途絶えると、いつの間にか整列したロボットたちが光線銃を向けて二人がいる岩陰に行進しています。 デルフミュームが落ち着いた声を発しました。「なるほど、私たちの行動はすべてお見通しだったわけですね。ここまで大きな妨害もなく、すんなりと来られたわけが分かりました。弟よ、今更なにをいっても考えを変えないでしょうから、私とザビエスは・・命ある限り、お前と闘います。地下帝国だけでなく地上社会までも制覇して、おのれの意のままにする野望は、絶対に許すことはできません。人間たちだけでなく全ての生命体を支配下に置くなど、たとえ全能の神といえども阻止します。お前の力は十分に承知しているが、ひとつだけの欠点は、自分の力を過信していることです。万が一、地球全体を制覇しても、それに抵抗する生物が表われ、その数は時間とともに増え続けるでしょう。そして、ブッチャー、お前は倒される運命です」「くだらぬたわごとは、そろそろやめてもらおう。人間社会同様に、権力を握ったものが支配する、過去の歴史もこれからの未来も変らないのだ。私の遺伝子が組み込まれたクローンロボットたちに告げる。二人の息の根をとめろ。・・ 攻撃せよ」 その声が反響する前にザビエスは左前方に、デルフミュームは右前方に走り出しました。走るよりも跳躍したという表現が正しいかもしれません。 戦闘ロボットたちが一斉に放つレーザー光線銃が岩肌に当たり、赤い火花が散り異臭が辺り一面に漂います。 つづく
2017/12/26
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巨人二人はヒスイ宮殿近くの岩陰に身を潜めています。大勢のクローンロボットたちがせわしなく動きまわり、作業を行っているのを注意深く見つめています。 地上に通じる広い通路に、透明な筒状、長方形の大きな箱、部品が一体になったもの。それらを2台の四輪駆動車に積み上げているのもいました。 大きさは全長8メートルもあり、筒の中には太い金属製のコイルが何層にも巻かれ先端が細くなっています。ザビエスがデルフミュームに声を潜めてたずねました。「あんなものは初めて見ました。ご存知でしたか」「まさか完成しているとは思いませんでした。あれは地上にある特定の場所でコンピュータや電子機器をダウンさせる強力な電磁波パルス砲です。発射するとホストコンピュータに限らず端末までも使えなくする恐ろしい兵器です」「日常生活や化学、軍事をコンピュータに頼っている人類には、致命傷になりますね」「電気製品全般が影響を受けるから、人間社会は電気、水道、ガスが止まり原始生活に逆戻りです。弟の狙いは、ある特定の都市だけをターゲットにして、 その力を見せつけ人類を屈服させる考えでしょう」「ブッチャーは宮殿の中にいますか」「ここから国連本部があるアメリカに出るのは遠いから、別な場所にいるかもしれません」「第一回食糧危機対策会議は6日後です。各国の指導者が集まるチャンスを狙っているのですね。地表への出口は何ヵ所もあるのですか」「地下にある巨大な裂けめを利用し、迷路のような通路を登れば8ヵ所あります。一番近いところが日本という国で、次が北アメリカにあるロッキー山脈のふもと、ヨーロッパ大陸に二ヶ所、オーストラリアとアフリカ大陸に一か所づつ、それに南極と北極にも出口はあります。宮殿の中に何体のロボットがいるのかわかりませんが、外にいる数から推測すると、戦闘用ロボットの半数以上は、今いった出口に分散して向かっているか、すでに到着しているかも知れませんね」 つづく
2017/12/23
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デルフミュームはザビエスの目を見ながら優しく応えました。「ここではマントル熱を利用して電気を作るのが主流だが、地上と同じで電気を貯蔵する技術は完成されていません。常に充電しないと光線銃のように使えなくなります。私たちが考えたのはマントルに似せた物質を生産し高熱を保ち、小さなカプセルの中で核融合と同じ理屈で発電させる<自己発電推進装置>を開発することでした。これがあればどこにいてもエネルギーを作り出せます」「地上にいる人間たちが大掛かりな施設と装置で核融合を行っているのをあなたは手の平サイズ、小型化に成功したわけですね」「私一人ではありません。死んだ仲間の力があったこそです。ついでにいうと人類が電気を作る方法を知っていますか」「原子力の他に火力、水力、地熱、風力です」「そのエネルギーはなにをするために使われるのかわかりますか」「大部分は、タービンを回し発電装置を動かして電気を作ると、理解していますが」「そのとおりです。一部を除き歯車、すなわちタービンを回すためのエネルギーです。水を沸騰させその蒸気でタービンを回し水力や風力も同じで原理は変わりません。人類は200万年前から進化を繰り返しています。そして動力のもとを電気に頼り、現代の文明を維持する方法に唯一のエネルギーとして作りだしたのです。人間の愚かさは電気以外のものに目を向けなかったことです。私たちは電気の持つ力よりも、もっと効率性が高く手軽な量子電気を作りました」 デルフミュームの講義が続きそうなので、ザビエスはやんわりと声をかけます。「デルフミュームさま、その続きはブッチャーとの闘いが終わったら聞かせてください。そろそろヒスイ宮殿に向かいませんか」「・・申し訳ない。最近、話し相手がいないので、ついウンチクを傾けてしまった。この波動砲は私が肩にかつぎます」「いや、私が持ちましょう」「見かけよりも軽量なので、大丈夫です」 巨人二人はヒスイ宮殿に向かって疾風迅雷のごとく走り去りました。 つづく
2017/12/20
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デルフミュームの読みは的中しました。テント村には全く動きがなく警備ロボットすらいなくて不気味なほど静まりかえっています。 一万体を越す戦闘用ロボットや赤肌族の中でブッチャーの部下になった大勢のものも見えません。赤肌族182人のうち人質にしたり脅迫し、やむを得ず配下にしたものを含めて121人、残りの61人は第二地下層にある巨大洞窟群の中に分散して隠れているのです。 デルフミュームが左から8番目のテントに入り、隅にある棚下から3メートルはある長い筒状のものを引っ張り出しました。他の棚から円盤上の部品や形と大きさが異なる様々な部品を床に並べ座り込みます。 彼の手の甲は厚い岩石で覆われ武骨な感じですが、手に取った部品をはめ込み叩いたりする様子は、意外と器用なようです。それをいぶかしげに見守るザビエス。「これは波動砲を小型化したもので、まだブッチャーには報告していないはずです。私の友人である科学者と協同して開発を進めました。量子エネルギーを応用したカンタム砲で、私が幽閉される直前に製品化されたのです」「その方は、いかがなされました」「弟に殺されました。戦闘用ロボットの量産を中止するよう進言したら、その場で殺されたそうです」「よく発見されないで残っていましたね」「今までのレーザー光線銃と違い、原理と形状も大きく異なりますから、見ただけでは、なんに用いるのか理解できなかったのでしょう。それにこうやって組み立てないと、武器には見えませんから」 話しながらも手を動かし続けるデルフミューム、ようやく波動砲らしきものが完成に近づいてきました。ザビエスが気になることを質問します。「発射するエネルギーの元は、なんでしょうか?」 つづく
2017/12/17
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ここまで道案内をしてくれたリス顔のエニタリィにヒミメールへの伝言を頼んだデルフミューム、ブッチャーの本拠地、大テント村にと向かおうとしています。その伝言内容とは、次のとおりです。「私たち二人は第二地下層にあるブッチャーの棲みかに行きます。まだロボットたちを倉庫に積んでいれば破壊し、もし抵抗があれば二人で闘いせん滅する覚悟です。もし弟がヒスイ宮殿に昇り地上侵略の準備をしているならば、我々も後を追い、少しでもダメージを与えるつもりです。あなた方は、できるだけゆっくりとテント村に向かってください。戦闘に巻き込まれケガをする必要はありません。それでは健闘を祈ります」それを聞いたエニタリィは不満げな顔をします。「オラには、ちょい長いな。要はあんたがたは、テント村に行って暴れるけれど、もしかして、もぬけのカラだったら、その上にあるヒスイ宮殿まで追いかける。ヒミメールたちは危険だから、ゆっくりおいで、これでいいじゃん」 ザビエスが、なにかいいだそうとするデルフミュームを押しとどめました。「いい、それでいいから。ひとっ走りしてヒミメールさんに伝えてください」 もと来た通路を駆け出すエニタリィを見送る二人の巨人たち。デルフミュームがつぶやきました。「私は弟の力を熟知している。私を倒すプランは、第二第三を用意しているに違いない。テント村に着いたら君は残っているロボットたちを破壊してほしい。私はブッチャーを探し、そこにいなければヒスイ宮殿に駆け上がるつもりです」「わかりました。ロボットを壊したら急いであなたを追いかけます。それまでご無事で・・・」「私の力で弟を倒すことができるのか、私にもわかりません。それでも地下動物だけでなく、地上生物の平和を乱そうとするものを許すわけにはいかないのです。では、テント村まで一緒に走りましょう」 岩石で覆われた肉体の上にある長細い顔、横一本線の目から放たれる光からは、うれいが混じった優しさもにじみ出ていました。二人が同時に駆け去った洞窟内には、激しいつむじ風が起きて岩ぼこりと小さな石を舞い上がらせます。 つづく
2017/12/14
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ロボットがデルフミュームに光線銃を向けて発射しようとした、その瞬間、左横からサッカーボール大の石が飛んできて側頭部に命中。膝から崩れ落ちるのを隣にいたロボットが支え立たせようとします。岩陰に隠れていたザビエスが大きな岩石を次から次へと投げつけるからたまりません。 ロボット軍団、前に避難するしかないので慌てながら崖の先端に向かいます。その間にザビエスがいる岩場に駆け込むデルフミューム。ザビエスと一緒になり岩石をロボットたちの背中めがけ投げつけます。 ボコッ、ガツン、ボコッ、ガラン、カックン、ドテッ、ゴロゴロ、少しでも石が当たらないようにと、断崖に殺到するロボットたち。先頭にいた一体が吸い込まれるように崖下に転落しました。二列目のものが気がつき、後ろを振り返り叫びます。「来るな・だ・め・だ・下に・落ちる」その声で三列目が立ち止まろうとしますが、四列目のロボットたちに押されて崖の先端に向かいました。二人の巨人に都合がよかったのは、はるか下で流れるマントルの高熱から生じる蒸気が岩場全体に灰色の霧雨となり、ぼんやりとしか見えない状態だったからです。その後はいわゆるドミノ倒しになって断崖絶壁から声もださず、ロボットたちは落ちていきました。 最後になったロボットが二人を振り返ります。「ブッチャーさまに・逆らうなど・できない・我々は・あの方の・クローンだ・まだ・一万体は・いる・さらばだ」 上半身を後ろにそらし両手を上げ、あごを突きだしスローモーションで崖から落ち、その姿が見えなくなりました。 つづく
2017/12/11
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この付近に土地勘があるリス顔のエニタリィに道案内を頼んだデルフミューム、閉じ込められていた牢屋とロボット軍団の中間点に達しました。 ザビエスたちがデルフミュームを救い出そうと走った道を逆走しているのですが、エニタリィの足が急に止まり二人を呼び寄せます。 「岩牢に向かって駆けているときには気がつかないが、ここは二又で右側に大きな石があるから当たり前のように左に行くのよ~その石をどけると幅広い道が隠れているんじゃ~」 デルフミュームがせっつきます。「すまん、クローンロボット軍団がこっちに向かっているので、早めにいってください」「その道の先には・・・」「先には・・?」「地獄街道、まっしぐらじゃ~」「その心は」「行く着くところは、断崖絶壁で、はるか下にはゴオーゴオー流れる地獄の炎、紅蓮地獄の正体は、灼熱のマントル川・・・」 4メートルと3メートルもある二人の巨人、最後まで聞かないで同時に走り出します。二又交差点にある右側の120キロの巨石を二人して転がし左側入り口に移動させ洞窟の中を走りました。2キロ先まで来ると急に熱風が頬に当たり立ちどまります。ツルツル滑りやすい岩盤が途切れ、下を覗き込むとドロドロした真っ赤な溶岩がドクドク音を立て右から左に流れています。断崖から10メートル離れた左手前に小さな岩陰を見つけたザビエス、デルフミュームに何か耳打ちしました。 断崖近くで四方八方に散らばっている石を拾い出した二人、せっせと岩陰に運びます。小さな石でも車のタイヤ程度の大きさははあり、みるみる山積みになりました。 約8分後、42体のロボット軍団がガチャガチャ音を立て右側の道を小走りでやって来ます。断崖絶壁まで50メートルの距離になったとき、突然前方に巨人が両手を上げ飛び出しました。「私はブッチャーの兄、デルフミュームだ、ここから引き返し弟に伝えよ、力ずくで地球の中と表面を支配するなど、愚かしいことは私が許さないと。お前たちロボットにどの程度の分別があるのか分からないが、武器を捨て、私の指令に従え」 隊列のほぼ真ん中にいたロボットがデルフミュームの前に進みます。「デルフミューム、我々に・降伏せよ・ブッチャーさまの・命令・だ・もし・しない・なら・ころす・7秒まつ・7・6・5・4・3・2・1・よし・撃て」 レーザー光線銃をとりだしたロボットたち、一斉に巨人めがけて発射します。無数の光が岩肌に当たり火花が散るそのすき間を、800キロの重さを感じないシャープな動きで逃げ回るデルフミューム、左の岩隅にいるザビエスと反対側の岩場に駆け込みました。逃がしてなるものかと、後を追うロボットたち。 先頭にいるロボットが、4メートル先にいるデルフミュームの体に銃を発射しようとします。 つづく
2017/12/08
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体重が重いので歩くのが苦手なビロロンザワッチを順序よく運んでいたゲルトンザビエス、ようやくヒミメールと話しができるデルフミュームを見て近くにやって来ました。「私はザビエスというものです。お忘れでしょうが2回ほど謁見をたまわっています。今回はブッチャーの企みを止めようと闘技場で決闘を挑みましたが、あえなく敗れ死ぬ一歩手前のところ、こちらのヒミメールさまとお仲間の動物たちに助けられました。よろしければぜひ、デルフミュームさまとご一緒にブッチャーを倒したいのですが」 見かけは巨大で相手を威嚇する雰囲気を持つデルフミュームが優しい声を発します。「200人足らずの赤肌族、一人ひとりの名前と顔ぐらい覚えていますよ。あなたは前に弟がクローンロボットの生産計画を立てるとき私にその危険性を注進してくれましたね。あのとき弟が事前に提出した計画書では、第二地下層での食料生産工場で働かせるロボットと単純労働者の不足を補うために、ロボットを生産すると明記されていたので許可しました。 まさか軍事力増大が目的で、それもあれだけ多くの戦闘用ロボットを製造するとは、私の判断ミスでした。ザビエス、これからは私と行動を共にして弟を倒すために一緒に闘ってください。ヒミメールさんたちにも感謝します。これからは共通の目的、平和をとり戻すために協力をお願いします」 ヒミメールが甲高い声をだします。「仲間の動物から連絡が入りました。こちらに向かっているロボット軍団は、かなり近くまで迫っているようです」 体についた岩石をバラバラと音を立てながら落とし、ゆっくりと立ち上がったデルフミューム、ザビエスに声をかけます。「ここにロボットたちが押し寄せれば、多くの動物たちが怪我をしたり死ぬかもしれない。私とあなたで迎え撃ちます。ヒミメールさん、この辺で土地勘があり通路に詳しいものがいれば教えて欲しい」 ヒミメールが応える前に一匹の動物が前に現れました。顔はリス顔で胴体はほっそりした狩猟犬の形をしています。「よっしゃーーオレさまが案内するよ」言い終えるやいなや韋駄天走りで飛び出しました。 二人の巨人もドタバタ駆け出すと周りの空気までもが、それに引っ張られ小さな風が起こります。 つづく
2017/12/05
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やや遅れて到着したガメリッチババローナは、同じトカゲ科の仲間、12匹に協力を依頼し岩の表面にビッシリ生えている光ゴケ、コケッシュクールを剥がし自分たちの長い尻尾にたっぷりとなすりつけ運んできました。 その光ゴケを手分けして800キロあるデルフミュームの体にペッタンペッタン貼りつけていきます。岩牢の中と外は、数キロ先にある岩盤下の亀裂、ドクドク流れる鮮血色のマントルから放射される高熱でセ氏40度以上はあります。 大部分の動物は汗が滝のように流れ落ちていますが、体に汗線がないものは、口を開けたり、手足の裏側から熱を放出して暑さを少しでもやわらげようとしますが体温調整は弱いので動きが鈍くなりました。 赤肌族のように体に熱放出孔を持っていても、汗腺が全身にある動物と比べると体温はそれほど下がりません。 それでもヒミメールのてきぱきした指令で、デルフミュームの熱放出孔に息を吹き込む生物や、光ゴケを貼り付けるもののお蔭で巨人の体温はみるみる下がってきました。細い目をわずかに開き、せっせと作業している動物たちを見回す余裕さえ生まれ、ゆっくり上半身が起き上がります。「かなり楽になりました。皆さんは私のために駆けつけてくれたのですね」 ヒミメールが巨人の耳元近くに移動して大きな声をだします。「あなたは弟のメルトンブッチャーに眠らされて、ここに幽閉されたのです。ブッチャーは地下帝国だけでなく地上に出て君臨する野望を抱き、もうすぐ実力行使します。もし可能ならば、あなたのお力をお借りしてその野望を止められるかも知れないと、こうやって大勢の動物たちと助けに参りました。ブッチャーの命令でロボット軍団がこちらに向かっていますから、早くここから逃げ出しましょう。自己紹介が遅れましたが、私は第一地下層にあるヒスイ宮殿の女王、クリサーラさまの命により駆け参じたヒミメールと申すものです。私の隣にいる動物は、地上からやって来たカメぱっぱで他にもここにくる途中、ロボット軍団と闘っているものがおります。その仲間の一部は、この非常時を地上生物に知らせるために上に行き、対策を考えているはずです。デルフミュームさま、立って歩けますか」 つづく
2017/12/02
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