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とぐろに似た形状ですが勾配はゆるやかなため四つ足でも登れるようです。ビヨンヌはそんなものがどうしてあるのか一瞬だけ考えましたが、すぐに目の前にある岩盤に目をこらします。かなり上まで飛んできたとき、枯れたツタに包まれている汚れたほこらみたいな穴ぼこがあるので、羽根を休めるため着地しました。毛づくろいをしようと首をひねり左胸元にくちばしを入れチョンチョン突っつき始めたとき、突然、殺気を感じてバタバタと舞い上がります。人間だけでなく生き物にも理屈ではない危険を感じる本能があって、とっさに反応したのです。 ビヨンヌが羽根を動かしながら見下ろすと、穴ぼこから胴体の三分の一を出している怪物が長い舌をペロペロ出し入れしているのが見えました。 一見、ミミズを大きくした化け物のようですが、全身、真っ白な肌はテカテカ輝き首回りと胴体の下側は、しわくちゃな皮膚とネバネバした油でおおわれています。尖った顔に目はなく突き出した先に二つの穴がありパクパク開閉し、口先と思われる部分から濁った液体がボタボタ垂れ落ちていました。 目がないので安心したわけではないのですが、ビヨンヌは気味悪い生き物を観察しようと2mの距離まで近づきます。そのとき鼻面が動きビヨンヌに向かって大量の液体が放たれました。羽根にかかる寸前、急上昇してかわしましたが、辺り一面から嫌な臭いが立ち込めます。 こんな怖ろしいところからは、さっさと退散するにかぎると、思いっきり羽根をたたんで急降下しヨシコたちのいる岩場へ一直線に戻りました。今の出来事をかいつまんで話したあと「右の穴にいたから左側は安全かもしれないが、念のため見て来るピッピッ」すぐに飛び立ったビヨンヌ。その前にモグンバが二匹は必ず一緒にいるからそれには及ばないという言葉を振り切って羽ばたいていったのです。 左側タテ穴洞窟の先端部分まで一気に上昇して岩の壁面を見回していると、右穴と同じように汚いほこらから目のない怪物が顔をのぞかせています。 すぐに緑地仲間が待機している岩場に戻りモグンバに食ってかかりました。「あんたの情報は大間違いだピー、左右の穴に一匹ずついるよ、もし、アタシが片方だけ見ていたらヨシコとギンコは食べられていたよ、このアホ猿」 つづく
2017/03/29
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優美に舞い降りてきたビヨンヌが、ふさふさと長い髪の毛が繁っているモグンバの頭、てっぺんにとまります。モグンバが頭を動かさずに目玉だけを上に向けました。「他にとまってくれ、そこは感じるから」「うーーん、巣穴のようで気持ちいいピー、それよりアタシにお願いすることがあるでしょう。はい、ヨシコちゃん、いってごらんピーピー」ニヤニヤしながらヨシコが話します。「もう、すばらしいタイミングで来てくれたニャー、この上にある二本のタテ穴のどちらかにやっかいな怪物がいるから、飛んでいってそれを調べてほしいニャン」「穴の太さによって逃げられないときがあるけれど、余裕をもって飛び回る空間があるのでしょうね」頭を動かさないモグンバが応えます。「中はかなり広いから大丈夫だ。地上出口付近だけが細い筒のようになっている」「その怪物は、なんていうのピー」「ミミズーラだ、嗅覚だけで目や耳はない原始生物だが、腹が減っているとどこまでも追いかけてくる。スピードは速いから気をつけろ」「ま、ビヨンヌさまの敵ではないピー、じゃぁーいってくるわ」 バタバタ飛び立つオナガドリの爪先に長い灰色の毛が7本絡まり、そのまま上に引っ張られると、モグンバの頭の毛が全て逆立ち尖った山頂の形になりました。1m足らずの身長で、それの3倍もの長さがある毛が総だっているながめは、見事としかいいようがありません。二匹の猫も口を開けポカーンと見つめていたら、羽ばたいていたビヨンヌも足の爪に余分な圧力がかかったのに気づいて、水平飛行へ移り左に三回転、右に四回転すると絡まった毛がほどけ下に落ちます。そのまま上空に飛び去るビヨンヌを猫たちも黙って見送りました。ここでなにかをいうとモグンバを傷つけるかもしれない、けっこう気を使っているのです。 そんな下界をよそに右側にあるタテ穴の洞窟を上に向かって羽ばたくビヨンヌ、自分の心配よりも四つ足がこの中をどうやって登るのかと目をこらしていると、岩石の壁に細いらせん状の道が刻まれているのを発見しました。 つづく
2017/03/26
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だえん形の大きな石に車座になって休んでいると、モグンバがつぶやきました。「この上に二本のタテ穴があって、それを登ると地上にでる。ただ、どちらか一本にはミミズーラがいるから、それに捕まると食われる」 ギンコが声をあらげます。「なんニャー、そのミミズーラって」「肉食系原始生物で嗅覚だけが働き動いているやつだ」「そんなの手で払えばいいさ」「簡単にはいかない」「ミミズのようなものだろう」「直径40㎝、長さは約3m、体重150㎏だ」「それを早くいえ、なんで、そんなのがタテ穴に住みついているの」「たまに穴へ落ちてくる地上のイノシシなどの四つ足を捕食して生きながらえている」「そんな穴に落ちるドジな地上動物はいないニャン」「やつらは、2年くらい食べなくても生きていられるのだ」「何匹いるニャー」「二匹だ」「二本の穴の一本にいるならば、登っている最中に出くわしたら、すぐに引き返して残りの方に登ればいいニャン」「そうはいかないのだ、食べていない期間が長いと、どこまでも追いかけてくる。動くスピードとスタミナはやつらの方がある」「見つかると完全にアウトってこと」「そうだ」「二分の一の確率か、どうするヨシコ」「決まっているだろう、猫二匹は地表にでる任務があるのだから、ここは、モグンバがおとりになってもらうしかないニャー」「な、なにーーー、俺が食われてもいいのか」「地下の宮殿に戻れたら、みんなにモグンバは立派な最期だったと、いってやるからさ」「そんなのは、いやだ、俺も地上に行きたい」「そいつらがいる穴は、上の方なのか、下からどなって聞こえる範囲なのか、やつらの聴覚はどうなのだ、下に降りる速さはどの程度だニャン」「すまん、ヨシコ、いっぺんに複数の質問をするな、頭が痛くなるから、まず、かなり上にいる。耳はないのでどなっても聞こえない。巨体のわりに動きは早い」「クローンロボットで使った陽動作戦は使えないニャー、困ったニャン」 そのとき、岩の上から歌声が流れます。「♪困っているときの神だのみ~ ビヨンヌさまを~ お忘れか~♪生田緑地の守り神~その名は~ ビヨンヌーービヨンヌ~~♪♪♪」 つづく
2017/03/23
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「あんたみたいなものが、地上に出現したら二本足はすぐにとッ捕まえて動物園かどこかの研究所送りになるニャン」「見つからないように隠れてもだめか」「私たちのいる生田緑地は、大きなイベントがあると数万人の二本足が押し寄せるから、夜だけしか動けないニャー、あんたが1m足らずの猿人類でもその姿をさらしたらマスコミが殺到するよ」「そこをなんとか頼む、昼間は隠れているから。ところでマスコミってなんだ」「二本足って情報がないと生きられない動物だから、役に立つだけでなく、どうでもいいくだらない情報を流す連中のことをいうのだニャン、どうするギンコ、モグンバを連れていっていいか?」「いいよ、アタイたちが用心をおこたらなければ、こいつ一匹、どうにでもなるニャー。二本足のイベントでこういう毛皮を着て猿の恰好をしているのを見たことがあるからね、そうだ、着ぐるみというのだニャン。だから見つかると子供たちに囲まれてさ、いじくりまわされ蹴っ飛ばされ、あざだらけになるのがオチニャー」「それもいいかも、しかしすぐに地下へ帰るモグンバが人気者になるのも困るけどね。そうと決まったら、あそこの地獄坂を登ろうニャン」ほとんど直角に近い岩山の下に到着した一同、上を見上げます。 モグンバがくぼみのある岩肌に手を入れて匂いをかぎました。そこから左側に約10m歩いてから、ようやく二匹を呼び寄せます。「ここだ、見てみろ」右手で岩にこびりついているコケを手で払うと、ギザギザの表面が表れました。「ここから登れば、簡単に上がれる」 幅が約30㎝の細い道でゆったりとした勾配が左から右にあって、一番高い場所にある岩に着くと次は右から左側にかけて登る坂道があります。 その坂道は岩にぶつかりその岩の上から右側に登る坂がでこぼこに彫られていました。ジグザグ状の細い道は、全部で37本も造られて休み休み登っていくヨシコとギンコ、モグンバも頂上に到着したときには、ハーハーゼーゼー息が上がっていました。 つづく
2017/03/20
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道といっても巨大洞窟の中、でこぼこな石や高低差のある岩の間を歩くので、スピードはかなり遅いのです。ヨシコのうしろについたギンコが声を上げました。「よかったら背中に乗ってもいいニャー」「ふん、まだおいぼれ猫にはなっていないニャー、ほら、モグンバ、もっと早く歩いてよ」野良猫同好会のかなめであるヨシコは、そう簡単に音をあげるタイプではないのです。それでも2時間ちかく歩きつづけると、さすがに、やわらかい肉球も硬くなり悲鳴を上げ始めました。 モグンバからかなり遅れたとき、ほぼ直角にそびえ立つ前方の岩山がせまります。振り向いたモグンバが息を切らして話しました。「やっとついた。あれを登り、もうひとつの縦穴を登れば地上に出られるぞ」 ギンコがため息をもらします。「あんなツルツルした岩肌を登るなんて無理だニャー」「心配するな、近くにいくと分かるがジグザグに細い道がある。長い時間をかけて俺たちが交互に掘ったのだ」「なんでニャン、地上なんかに出ないはずのあんたたちが、どうして道を造ったのさ」「・・・・・」「メルトンブッチャーだけでなく、そのうち、地上に進出しようと思っていたのかい」「・・・それは、違う、クリサーラさまの命令で・・敵にそなえ・万が一を想定し・・逃げる道を確保するために、やむをえず、造ったのだ」「すると、ブッチャーの侵略は、かなり前に予測されていたんだニャー、それなのに、なんの対抗策をも講じなかったのか。いったい・・」 それまでギンコとモグンバのやりとりを黙って聞いていたヨシコが口を開きます。「今、ここで過去の出来事を追及しても、なんの得にもならないニャー、地下生物たちには、それなりの考えがあったのだろうよ。私たちが宮殿から出発するとき、モグンバがクリサーラさんに呼ばれて耳打ちされて遅れたのも、これからの行動に影響があるのだろうニャン」 恐れ入った表情を浮かべて、モグンバは二匹の猫に姿勢を正しました。「いや、ギンコもヨシコも、それほどの洞察力と知能があるとは。こうなったら女王クリサーラさまのお言づけを正直に申し上げよう。緑地の四本足は、これまでのいきさつで信用できるが、人類と称する二本足どもは我々の情報収集でも、しょっちゅう闘いを起こしお互いを殺し合い地球全体を汚染しているにもかかわらず、地球上の生命体で一番上だと思い込んでいる鼻持ちならぬ嫌な動物だから、これから、あんたたちが相談する人間たちに俺も会って、見極めるように仰せつかったのだ」 ヨシコが大声をだします。 つづく
2017/03/17
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それを見送るヨシコは、モグンバに耳打ちします。「生き物は見かけで判断しちゃあいけないニャー、あんな気味悪いくせに気はやさしいから見直したニャン。それに、あんたもね」「それは、余計だっていうの。さあ、残りの奴をやっつけようぜ。あいつの銃は、もうすぐ使えなくなるからな、さっき残りひとつの弾倉を銃に挿し込んだ。予備の弾倉は東側にいる充電ロボットが持っていたが、今の爆発音は奴が自爆したのだろう。俺は、これから30m先の岩陰から声を出すからギンコとヨシコはその隙に走ってくれ、足が遅い俺は奴に近づけない。二匹とも光線に絶対、当たるなよ。とくにヨシコには大事な使命があるのだから」 それからの展開は筋書きどおりになり、ヨシコたちに張り付いていたロボットは、まず銃が使えなくなると、そのうちに自らのエネルギーも使い果たし動けなくなったのです。 別部隊の黒、赤、紺色トサカも相手を馬鹿にする言葉を連呼して、高低差のある岩場をニョロニョロスタスタ(蛇の動きだけでなく歩くこともできるのです)早い動きで幻惑し駆けずりまわりました。バッキューンピカッ、バシーン、ガラガラ、ドスーン、カラカラ、バッキューン、バッキューン。(擬音翻訳:光線銃発射、岩石に当たり岩が砕ける音、転がる石音、銃発射) 完全にトサカにきたロボットたち(トサカは本来、ガメリッチババローナたちにあるのですが・・)むやみやたらと、やみ雲に発射したから銃のエネルギーもすぐになくなり予備の弾倉も使い切ります。しかし充電ロボットが爆発して役に立たないのを知らないから東側に走りだしましたが、途中で電気切れを起こし静止しました。 外に出る通路を確保した一行は、モグンバを先頭に地上へ戻る道を進みます。 つづく
2017/03/15
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その爆発音は、西側鍾乳洞で大声をだしてクローンロボットたちを走り回らせているカッポウギンコとヨシコ、トサカの色が赤、紺、黒のガメリッチババローナたちにも聞こえました。ヨシコがにんまりします。「新之助たち、うまくやったらしいニャー、これであいつらの電池切れを待てば襲われる心配はないニャー」ギンコも嬉しそうな声を上げました。「ったく、新之助は頭が切れるし腕も立つニャン、惚れ直したニャー」「アンタがそう思っても向こうは眼中にないよ。あきらめニャー、それにアイツが、昔風のへんてこりんな言葉を使うのは、なんとかならないのかな」「旅役者を長い間やっていて、地方の奴らにからかわれないための防御策と聞いたことがあるニャー」「余計、いじめられそうな気がするけど・・・」それまで黙って二匹のやりとりを聞いていたモグンバが口を開きます。彼は遅れて到着しました。「さあ、二匹とも本来の行動に移ろうぜ、まだロボットは光線銃が使え動きも衰えていないから早く消耗させて、地上に出る道へ向かおうよ。ガメリッチババローナ三匹は左側にいる二人をおびき出し、遠くに連れ出してくれ、残りの一人は俺とギンコ、ヨシコでなんとかして外に向かうから」 トサカの黒色が声を発しました。「がってん、ガメリッチ、俺たちもロボット二人を始末したら、すぐにモグンバたちと合流するッチ」「いや、大勢だとかえって目につくから、ここで別れよう。上に行く道まで俺が案内するから心配するな、ありがとうよ、ガメリッチババローナたち」「わかった、無事を祈る、奴らを早めに追っ払うから安心しろ。それに地上から来た猫族というお前らに会って楽しかった。また来いよガメガメバイバーーイ」 黒色トサカは他の二匹を引き連れると、ロボットたちがいる岩場に走り去りました。 つづく
2017/03/11
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一人取り残された箱型ロボットは、じっと動かずにたたずんでいます。ハクビシンの新之助と黄色トサカ、ババローナは、この機会をうかがっていました。他のババローナたちが叫んで二人のロボットをおびき出している隙に高台の岩に後方から登り、充電ロボットが一人になるのを待っていたのです。顔だけを半回転させたロボットが小さな声を上げました。「アンタたち、ヨソモノ、こ・こ・を・さ・れ」新之助が応えます。「お主に罪はないが、お主たちを作ったものがとんでもない悪党でな、説明している時間がないので、ご勘弁願いたい」 ロボットの足元にニョロニョロ近づいていた黄色ババローナが、太くて長いきょうじんな尻尾を巻き付けると、力任せに引っ張ります。 重心を崩されたからたまりません。ドシーンメリメリ、頭から横倒れになったロボットは、固い岩に思い切りぶつかり背中側にあった箱から青い火花がたちパチパチ音をだしています。「コラ・ナニヲスル・お・ま・え・ら・・ゆ・る・・さ・・・な・・い」 静かになったロボットを点検していた新之助は、首の左後方にあったボタンを発見すると強く押します。しばらく経つと体前面の内部にあった発電装置がとまり全く音がしません。「ほら、下に落とすから、新之助は、頭を持ってババリッチ、早くしないとあいつらが戻るッチ」「わかってござる、ただ、こやつがふびんでな、ロボットとはいえ、誕生したからには、なにか楽しいことをひとつでも体験しただろうかと、ふと、思ったのです」「ほんまや、自然でなく創られた命でも、ひとつの命だババリーナ、こんなとき地上では、なんといってほおむるガメリッチ」「なんまいアラー、ラーメン、だったと記憶しているが」「よっしゃーー、なんまい、アララー、ラーメン」 二匹が充電ロボットを岩場から突き落とすと、落ちた衝撃で小さな爆発が起こりました。 つづく
2017/03/08
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約2時間後、ほぼ同時に東、西側へ到着した混成小部隊は、クローンロボットに見つからないよう低い岩陰に隠れます。黄色のトサカがニョロニョロそろそろ蛇の動きで前方の岩に移動して立ち上がると声をだします。「ガメーガメーリッチーババローナ、参上、バーカ、カーバーメルトンブッチャーのできそこない、お前のかあさん、オオトカゲー」とんでもない声で叫ぶから思わず新之助は耳を塞ぎました。それより地下生物も相手を愚弄するときは地上生物と同じようなフレーズを使うとは、驚きですが、最後のオオトカゲは同じ種族なのに、馬鹿にする理由がわかりません。 その声にクローンロボットは、すぐに反応しました。ロボットの一人が20m先にいる黄色トサカめがけて銃を発射し前に飛び出したのです。すばやく黄色は岩陰に隠れたすきに今度は緑色のトサカが右側の岩場から顔をだします。「バーカ、カーバ、ブッチャーのできそこない、お前のとおーさん、オオートカゲーーー」これまた意味のない言葉を連呼してすぐに隠れました。 クローンロボットたちにとって、メルトンブッチャーの命令には無条件で従うことの他に最低限の感情表現や言葉による伝達方法、人間でいえば10歳程度の知能は脳チップに埋め込まれているから、自分たちを馬鹿にする言葉には敏感に反応しました。 それでも全員が持ち場を離れず一人だけ、大声をだしているものが潜んでいる岩場に近づき銃を向けます。そこには誰もいません。 素早い動きでガメリッチババローナたちは、別な岩場に移動して鳴りをひそめているのです。至近距離で光線銃に当たれば死亡する恐れもあるので20m内には入らないようと、クリサ―ラに何回も念を押されたのを守っていました。ロボットがもとの場所に戻ったのを見計らい、左側、高台の岩場からババローナが叫びます。「やーーーい、自分の頭ではーなんにも考えられないーただの動くオモチャ、銃がなければ、小さな動物も殺せないーーアホロボット、バカブッチャーの命令がないと、なにも出来ないーアホロボット、やーい、お前のばあさん、オオトカゲー」 あるかどうかは、分かりませんが完全に血がのぼったロボット二人、左右に分かれて走り出しました。 つづく
2017/03/05
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「すると、そいつを倒すか連れ去れば奴らは静止状態になるというわけだな」「そのとおりでござる、クリサーラさん、先ほどの作戦中にこの充電ロボットを倒せば追跡されるおそれもなくて、しばらくは自由に外側に出られまする。あとは、ブッチャーとの連絡手段を絶てば、わずかな期間、脅威はなくなります。拙者の予想ではクローンロボットではなく、素早い動きができる小動物が飛脚便の役目をはたしているか、あるいはロボットの中に携帯電話機能が組み込まれているのかも知れません。いずれにしてもそれを遮断しないと、次のロボットが現れるでしょう」クリサーラが声をだします。「新之助さんの推理はお見事です。いずれも理にかなったお話で納得しましたが、この地下層では電波が無数の岩山で乱反射するので携帯は使えません。飛脚便にぴったりの小動物は、カルモグリンという足が速いものがいて第二地下層に多く生息しているから、それを使っているのでしょう。彼らの大好物であるミミスロウは、この近くに沢山いるからそれを餌にしておびき寄せ、しばらくの間、どこかに閉じ込めておくことにします。充電ロボットを倒す方法は・・・・・」 それから、クリサーラがみんなを集めて作戦の詳細と、各自の役割分担を話したあと、すぐに行動に入りました。 東側のクローンロボット三人に対し新之助とガメリッチババローナ族から緑、黄、白のトサカ色が陽動作戦をスタートさせるために移動します。同時に西側鍾乳洞側にはカッポウギンコとヨシコ、赤と紺、黒のトサカ色が向かいました。オナガのビヨンヌは、緊急時における東側と西側の伝書鳩の役割をみずからかってでます。当初、クリサーラの指示は全匹が東側で騒ぎ、次に西側へ動き同じように騒ぐ計画でしたが、ガメリッチババローナの声量を聞いたヨシコが最初から三匹ずつ分散しても引き付ける作戦には、なんら支障がないと発言したからです。モグンバも西側に移動するみんなと一緒に行こうとしたときクリサーラに呼び止められ一行よりも遅れて出発しました。 つづく
2017/03/02
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