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FX手法研究会のApajiです。     そして写真はM君です。さんの画像
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何でも食べるな!
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イエティはいるのか
このブログの内容です
「お通」を見送る顔
内容の補足です
モストアンラッキー
先に謝っておきます
孤独な英国人は減ったのか
但書きです



1. FXは上達するのか

小さなコツをいくつか覚えたって駄目です。勝てない原因をきちんと突き止めてからやり直しましょう。FXを楽しむためには「投資期間」が必要です。すぐに始めたって勝てないことは、FXに限らず、何事であれ同じなのです。だからこそ、その期間を短縮するための「方法論」が大切なのです。

1-1. FXを楽しむために
アマチュアらしく…
1-2. いつか負けないはずがない!
上手くなるまでは短期取引です
1-3. 難しさの正体って何だ
利確と損切の理解は大切です
1-4. FXは上達するのか
取引機会を絞り込むべきです
1-5. 数字で掴もう
その機会にどう臨むかです
2. 経済指標の楽しみ方

このブログで扱う取引の理想は、経済指標発表前後の反応を着実に刈り取り、ポジション保有時間を最短化してリスクを避けることです。でも、効率良く取引するにはそれなりに予備知識が必要です。大した話は紹介できませんが、基本だけは押さえておきましょう。

2-1. 大きなゾウの隠れ方
指標取引のための予備知識です
2-2. ウソは嫌いだ!
短期取引をやるときの指針です
2-3. イグアナを見分ける前に
このブログの指標取引での成績です
 2-4. 小ズルくいきましょう
いわばジンクスで勝つ方法です

3. 指標取引分析手法

このブログでは経済指標への調査・分析を定型書式で行っています。定型書式を用いることで、反省を踏まえてやり方を進歩させたり、相場環境が変わったことを見つけやすくするため、です。

3-1. 指標取引の予備知識
指標発表前後の他の時間と違い
3-2. ローソク足各部の名称
全幅・値幅・跳幅とは?
3-3. 4本足チャート
このブログで使うチャート表記
3-4. 反応方向の予備知識
指標分類と反応方向の基本
3-5. 取引通貨ペアの選択
通貨ペアによる有利不利
3-6. 指標分析の方法
定量指標分析とは?
3-7. 反応分析の方法
定量反応分析とは?
3-8. 分析の成績
事前分析的中率
3-9. ブレイク対応準備
ついでに…
4. 経済指標DB

経済指標発表前後の短時間に分析期間を絞ることによって、指標への反応に一定の再現性(傾向)があることはわかりました。各国「政策決定指標」・「経済実態指標」の項に、主要な指標についての分析結果と分析事例を纏めてあります。

4-0. 各国経済・通貨の特徴
4-1. 日本経済
4-1-1. 政策決定指標
(a) 日銀短観
(b1) 東京都区部CPI
(b2) 全国CPI
4-1-2. 経済実態指標
(c) GDP一次速報
(d) 機械受注
(e1) 通関貿易統計
(e2) 国際収支
4-2. 米国経済
4-2-1. 政策決定指標
(a) FOMC
(b1) UM消信指数速報
(b2) CB消信指数
(b3) ISM非製景指数
(c1) NY連銀製景指数
(c2) Phil連銀製景指数
(c3) ISM製景指数
(d1) 輸出・入物価指数
(d2) 生産者物価指数
(d3) 消費者物価指数
(d4) PCEコアデフレータ
(e1) ADP雇用統計
(e2) 雇用統計
4-2-2. 経済実態指標
(a1) GDP速報値
(a2) GDP改定値
(a3) GDP確定値
(b1) 小売売上高
(b2) 個人消費・所得
(c1) 鉱工業生産
(c2) 耐久財受注
(d1) 中古住宅販売件数
(d2) 新築住宅販売件数
4-2-3. 収支関連指標
(a) 貿易収支
4-3. 欧州経済
4-3-1. 政策決定指標
(a) ECB金融政策
(c1) ZEW企業景況感調査
(c2) 独国Ifo企業景況指数
(c3) 独国PMI速報値
(c4) 欧州PMI速報値
(d) 欧州HICP速報値
4-3-2. 経済実態指標
(a1) 独国GDP速報値
(b) 独国貿易統計
(c1) 独国製造業新規受注
(c2) 独国鉱工業生産
4-4. 英国経済
4-4-0. 英国経済指標反応要点
4-4-1. 政策決定指標
(a) BOE金融政策
(c1) PMI速報値
(c2) 製造業PMI改定値
(c3) サービス業PMI改定値
(d) 物価統計
(e) 雇用統計
4-4-2. 経済実態指標
(a1) 月次GDP
(a2) 四半期GDP速報値
(b) 小売売上高指数
(c) 鉱工業生産指数
(d) 貿易収支
4-5. 豪州・NZ経済
4-5-1. 政策決定指標
(a) RBA金融政策
(b) RBNZ金融政策
(c1) NAB企業景況感指数
(c2) WP消費者信頼感指数
(d1) 四半期住宅価格指数
(d2) 四半期生産者物価指数
(d3) 四半期消費者物価指数
(e1) 賃金指数
(e2) ANZ求人広告件数
(e3) 雇用統計
4-5-2. 経済実態指標
(a) 四半期GDP
(b) 貿易収支
(c) 小売売上高
(d1) 住宅ローン件数
(d2) 建設許可件数

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2017年10月01日

英国景気指標「製造業PMI」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年10月2日17:30発表結果検証済)

以下、「?T.指標予想要点」「?U.過去調査詳細」を事前投稿し、「?V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「?V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。

?T.指標予想要点

2017年10月2日17:30に英国景気指標「製造業PMI」が発表されます。今回発表は2017年9月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。

1709英国製造業PMI110.png

※ 本稿は10月1日に作成しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 反応程度は大きく、反応方向は指標結果の良し悪しに極めて素直に反応します。
    指標発表後は1分を過ぎてからも反応を伸ばしがちですが、一時的な伸びに終わることも多いので、安心して追撃ポジションを長持ちできるほどではありません。追撃するなら、早期開始・短期利確繰り返し、が良いでしょう。

  • もともと景気指標は、各種実態指標よりも先に発表されるため、予想の論拠となり得る事実が乏しくなります。
    現在、指標グラフは上昇再開と言える位置を占めています。見るべきポイントは、直近ピークの2017年4月分の57.3(前回は56.9)を上抜けることができるか否かです。
    本指標実態差異(発表結果ー前月結果)と、EURGBPやGBPUSDの月足との一致率はともに高くありません。
    9月FTSE100(株価)は月初こそ上げたものの、中旬に大きく下げており、その後の上昇で月初水準に戻しました。中旬の大きな下げが景況感に影響を与えている可能性があります。

  • 本指標は、指標発表前の取引は危ないので、できれば避けた方が良いでしょう。
    前述の通り、直前10-1分足はときどき(頻度22%)20pips以上跳ねています。恐ろしいのは、そうした動きがあったときに直後1分足はその跳ねと逆方向に反応することが86%にもなっていることです。知っていれば予兆と言える確率ですが、知らなくて慌てて釣られてしまうと、反応が大きい指標だけにかなり痛手を負うことがあります。
    直前1分足は、ときどき(頻度25%)10pips以上跳ねています。このとき、直後1分足は平均よりもやや大きく跳ねることが多く、そして反応方向は予想がつきません。
    ちなみに、直前10-1分足や直前1分足が大きく跳ねたとき、事後差異(発表結果ー市場予想)が大きくなった(発表結果が市場予想と大きく乖離した)、という事実はありません。

以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前1分足は陽線と見込みます。
    指標一致性分析の結果、事前差異と直前1分足の方向一致率は26%(不一致率74%)です。今回の事前差異はマイナスなので、直前1分足は陽線となる期待的中率が74%です。
    但し、前述の通り、直前1分足は過去25%の頻度で10pips以上跳ねています。跳ねても、その方向が直後1分足の方向を示唆している訳ではないので、陰線側に跳ねてしまったら損切せざるを得ません。ご注意ください。

  • 直後1分足は、直前10-1分足が20pips以上跳ねたら、指標発表直前にその逆方向にポジションを取り、指標発表直後の跳ねで利確(損切)します。
    過去の傾向では、直前10-1分足跳幅が20pipsps以上あったときは(頻度22%)、直後1分足の反応がその逆になる可能性が高い(86%)、と言えます。

  • 指標発表後の追撃は、早期開始して短期利確を繰り返しながら複数回行います。
    直後1分足と直後11分足との方向一致率は87%です。そして、その87%の方向一致時に、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えたことは77%となっています。方向一致率が高く、その後も反応を伸ばす確率が高い以上、反応方向を確認したら早期追撃開始です。
    一方、発表から1分経過時点では、直後11分足値幅が直後1分足値幅を超えたことが57%となっています。追撃するなら、ポジションの長持ちを避けて、短期利確の繰り返しで行う方が良いでしょう。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「?T.調査・分析」に記しています。


?U.過去調査詳細

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。本指標の意義は、鉱工業生産指数・製造業生産指数の発表に先立ち、それら集計月の企業景況感を知ることができること、です。

一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため先行性がある、と言われています。それよりは先行性が劣るものの、サービス業も販売機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
但し、この景況感の「先行性」については、以前ほど当てにならないようです。昔とは違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、国内サービス業を介さずに海外と直接取引を行うことができるから、です。サービス業の仕入れに至っては、今では消費動向とリアルタイムで一致しつつあるのです。

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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1709英国製造業PMI120.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で23pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
分布は、15pipsから32pipsの跳ねが全体の65%を占めています。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
1709英国製造業PMI210.png

グラフ形状は、2016年7月分(EU離脱国民投票翌月)をボトムに上昇基調が1年間続いています。直近ボトムの2017年6月分は54.3で、7月分・8月分は2か月連続上昇し、当月分は直近ピークの4月分57.3に迫っています。
今回の市場予想は56.4で、直近ピーク上抜けができずにやや低下するものの、下降基調転換とは言えない程度が予想されています。

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グラフを一見すると、「市場予想後追い型」に見えなくもありません。確認しておきましょう。

調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは、過去31回中15回(48%)です。一見すると市場予想後追い型のように見えますが、意外に大小関係の入れ替わり頻度が高くなっています。
よって、本指標は現在、市場予想後追い型ではありません。

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製造業PMIは為替の影響を受けるかも知れません。
EURGBP・GBPUSDの上下動と、実態差異符号を見比べておきましょう。

   EURGBP GBPUSD 実態差異
9月  △    +     ?
8月  +    △     +
7月  +    +     +
6月  +    +     △
5月  +    △     △
4月  △    +     + 
3月  △    +     △
2月  △    △     △
1月  +    +     △

EURGBPと実態差異は8回中4回一致(方向一致率50%)、GBPUSDと実態差異も8回中4回(同50%)です。関係ありませんね。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が14pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去7回(22%)あります。
この7回の直後1分足跳幅は17pipsで、これは直後1分足の過去全平均23pipsよりやや小さくなっています。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(14%)しか一致していません。
つまり、直前10-1分足跳幅が20pipsps以上あったときは、直後1分足の反応がその逆になる可能性が高い、と言えます。

1709英国製造業PMI310.png

次に、直前1分足の過去平均跳幅は8pipsです。この跳幅が10pips以上だったことは過去8回(頻度25%)です。
この8回の直後1分足跳幅の平均は28pipsで、これは過去全平均23pipsよりやや大きくなっています。直前1分足がいつもより大きく動いたときには、直後1分足もやや大きく反応している可能性があります。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は5回(63%)が一致しています。反応方向を示唆している、とは言えません。

1709英国製造業PMI320.png

そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は6pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率22%)です。直後11分足のそれは11pips(戻り比率31%)です。この程度の反応をする指標としては戻り比率は普通です。
1709英国製造業PMI330.png

1709英国製造業PMI340.png



【3. 定型分析】

指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は 「指標一致性分析」 をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は 「反応一致性分析」 をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は 「反応性分析」 をご参照願います。

まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。

1709英国製造業PMI430.png

事前差異と直前1分足の方向一致率は26%(不一致率74%)です。
今回の事前差異はマイナスなので、直前1分足は陽線となる期待的中率が74%です。

事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率は各97%・84%に達しています。本指標は発表結果の市場予想に対する良し悪しに極めて素直に反応しています。

実態差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率も高いものの、その数字は事後差異との一致率ほどではありません。ならば事後差異だけ見ておけば十分です。

次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。

1709英国製造業PMI420.png

直後1分足と直後11分足の方向一致率が高いこと(87%)を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候は見受けられません。

1709英国製造業PMI410.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は87%です。そして、その87%の方向一致時に、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えたことは77%となっています。方向一致率が高く、その後も反応を伸ばす確率が高い以上、反応方向を確認したら早期追撃開始です。

そして、発表から1分経過時点では、直後11分足値幅が直後1分足値幅を超えたことが57%となっています。追撃するなら、ポジションの長持ちを避けて、短期利確の繰り返しで行う方が良いでしょう。

【4. シナリオ作成】

以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前1分足は陽線と見込みます。
    指標一致性分析の結果、事前差異と直前1分足の方向一致率は26%(不一致率74%)です。今回の事前差異はマイナスなので、直前1分足は陽線となる期待的中率が74%です。
    但し、前述の通り、直前1分足は過去25%の頻度で10pips以上跳ねています。跳ねても、その方向が直後1分足の方向を示唆している訳ではないので、陰線側に跳ねてしまったら損切せざるを得ません。ご注意ください。

  • 直後1分足は、直前10-1分足が20pips以上跳ねたら、指標発表直前にその逆方向にポジションを取り、指標発表直後の跳ねで利確(損切)します。
    過去の傾向では、直前10-1分足跳幅が20pipsps以上あったときは(頻度22%)、直後1分足の反応がその逆になる可能性が高い(86%)、と言えます。

  • 指標発表後の追撃は、早期開始して短期利確を繰り返しながら複数回行います。
    直後1分足と直後11分足との方向一致率は87%です。そして、その87%の方向一致時に、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えたことは77%となっています。方向一致率が高く、その後も反応を伸ばす確率が高い以上、反応方向を確認したら早期追撃開始です。
    一方、発表から1分経過時点では、直後11分足値幅が直後1分足値幅を超えたことが57%となっています。追撃するなら、ポジションの長持ちを避けて、短期利確の繰り返しで行う方が良いでしょう。

以上

2017年10月2日17:30発表

以下は2017年10月2日21:30頃に追記しています。
?V.発表結果検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1709英国製造業PMI510.png

結果は前回・予想を下回り、反応は陰線でした。

グラフ推移は、前回結果を上回れなかったものの、高い水準に留まりました。

この日、東京時間は上下動を繰り返しながら151円上抜けを狙う場面もあったものの、14:15頃に高値150.91を付けると、その後は指標発表直前には150.3付近まで値を下げていました。その後もGBPJPYは値を下げて150円を下回ることもありました。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1709英国製造業PMI520.png

直後1分足は、一瞬だけ陽線側に振れたものの、その後は指標結果が予想を下回ったこともあって陰線側に値を伸ばしました。損切が小さくて済んだのは、前述の通り、この日のGBPJPYが既に大きく値を落としていたからです。助かりました。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容を以下に検証します。

指標結果が前回・予想ともに下回ったものの、指標発表以前に大きく値を下げていたため、初期反応は小さくなりました。反応方向は素直で、指標発表後は1分を過ぎてからも反応を伸ちばしました。ここまでは分析通りでした。
そして、指標発表から11分を過ぎてからまた大きく値を下げました。結果論になりますが、今回の展開ならば、ポジションを長持ちしても良かったかも知れません。

(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオは次の通りです。

  • 直前1分足は陽線と見込んでいました。結果は陽線でした。事前差異と直前1分足の方向一致率は26%(不一致率74%)は、今回も有効だった訳です。

  • 直後1分足は、直前10-1分足が20pips以上跳ねたら、指標発表直前にその逆方向にポジションを取り、指標発表直後の跳ねで利確(損切)するつもりでした。
    直前10-1分足は今回18pipsの跳ねとなりました。20pipsには届かなかったものの、直後1分足は直前10-1分足と逆方向にポジションを取り、損切となりました。
    本来、条件を満たしていないので、シナリオ外取引ですが、負けた分を集計に入れないのはズルい気がするので、最下部の表ではシナリオ取引として扱います。

  • 指標発表後の追撃は、早期開始して短期利確を繰り返しながら複数回行うつもりでした。結果は良しです。

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1709英国製造業PMI530.png

以上





ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は 「1. FXは上達するのか」 をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年09月28日

英国経済指標「四半期GDP確報値」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年9月29日17:30発表結果検証済)

以下、「?T.指標予想要点」「?U.過去調査詳細」を事前投稿し、「?V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「?V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。

?T.指標予想要点

2017年9月29日21:30に英国経済指標「四半期GDP確定値」が発表されます。今回発表は2017年4-6月分の集計結果です。

今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。

1709英国GDP確報110.png

※ 本稿は9月27日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 確報値は市場予想が前回改定値となっていることが多く、また、その市場予想もほぼ当たります(改定値と同じになることが多い)。過去17回の確報値発表時の市場予想が前回改定値と異なったことは2回(頻度12%)しかありません。発表結果が市場予想と異なったことは6回(頻度35%)しかありません。

  • 事前差異(市場予想ー前回改定値結果)が0でないとき、直前10-1分足はその差異の方向に反応する可能性があります。
    事後差異(発表結果ー市場予想)や実態差異(発表結果ー前回改定値結果)に差異が生じると、その方向に直後1分足・直後11分足は素直に反応します。
    反応への寄与は、前期比の差>前年比の差、です。

  • 追撃は、反応方向を確認したら早期開始した方が良さそうです。発表から1分を過ぎると、利確の機会を窺った方が良いようです。
    直後1分足と直後11分足の方向一致率は76%あるものの、終値同士を比較して直後11分足の方が伸びていたことは53%なので、平均的にはどんどん反応を伸ばしていく指標ではありません。

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前10-1分足は、事前差異が0でない場合にその符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)通りにポジションを取ります。

  • 直後1分足は、事前差異が0でない場合にその符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)通りにポジションを取ります。
    指標発表直前にポジションを取り、発表直後の跳ねで利確/損切です。

  • 初期の追撃は早期開始し、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺います。

  • もし、実態差異が0でないのに直後1分足終値が過去平均ぐらいしか伸びていなければ、実態差異判別式の符号と同じ方向に追撃を行います。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「?T.調査・分析」に記しています。


?U.過去調査詳細

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

GDPは国内経済活動を総合的に表すので、その国の経済状況が良くなっているのか悪くなっているのかが一目瞭然です。英国四半期GDPは「速報値」「改定値」「確定値」の3回発表されます。
GDP確定値は、英国国家統計局が3月・6月・9月・12月の下旬に前四半期分を発表しています。

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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1709英国GDP確報120.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で17pipsです。平均的な反応程度の指標です。
分布を見ると17pips以下しか跳ねなかったことが59%と、半数を超えています。ほとんど市場予想と発表結果がずれないために、平均値の2倍を超えて反応したこともありません。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1709英国GDP確報210.png

今回の市場予想は改定値と同じになっています。
前年比は2014年4-6月期をピークに緩やかに下降中で、今回の市場予想は直近ボトムの2016年10-12月期(+1.9%)を下回るとされています。

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次に、見るべきポイントを絞り込むため、主要項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。

1709英国GDP確報250.png

上表の上2行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。

上から3行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から4行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段5行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。

結果、事前差異はデータ数が少ないので、直前10-1分足との一致率が100%と言っても、信頼度は今一つです。確報値は改定値との差があまり生じません。過去17回のうち、事前差異はたった2回、事後差異と実態差異はたった6回しか、差が生じていません。上表の100%や0%とは、この数回の差が生じたときについて方向一致率を求めたものです。
事後差異・実態差異は、10?前期比の差異+1?前年比の差異、という判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)とすると、直後1分足・直後11分足との方向一致率がそれぞれ79%・77%となることがわかりました。
判別式係数から明らかなように、前期比に差異が生じたらその方向に反応します。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が11pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去2回(頻度12%)あります。
この2回の直後1分足跳幅は平均26pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均17pipsより大きくなっています。また、この2回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(50%)一致しています。
2回のデータから有用な傾向を導くことは難しそうです。
ただ、直前10-1分足にはヒゲが多くなりがちです。注意しましょう。

1709英国GDP確報310.png

次に、直前1分足の過去平均跳幅が8pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去5回(頻度29%)あります。
この5回の直後1分足跳幅は平均17pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均17pipsと同じです。また、この5回の直前1分足と直後1分足の方向は3回(60%)一致しています。
直前1分足が大きく跳ねても、直後1分足の方向や程度を示唆しているとは言えません。

1709英国GDP確報320.png

そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は5pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率29%)です。直後11分足のそれは10pips(戻り比率37%)です。戻り比率は普通です。
1709英国GDP確報330.png

1709英国GDP確報340.png



【3. 定型分析】

指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は 「指標一致性分析」 をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は 「反応一致性分析」 をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は 「反応性分析」 をご参照願います。

まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。

1709英国GDP確報430.png

市場予想と発表結果とが一致しがちなため、指標一致性分析はどうもアテにならないようです。僅か2回の事例では、事前差異の符号と直前10-1分足・直後1分足の方向一致率が、ともに100%となっています。事後差異・実態差異は、前期比に差異が生じたときに、その方向と直後1分足・直後11分足とが一致しがちです。
見るべきポイントは、事後差異・実態差異ともに直前1分足との方向一致率が高い点です。直前1分足は、その後のローソク足方向を示唆している可能性があります。

次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。

1709英国GDP確報420.png

直後1分足と直後11分足の方向一致率が75%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。

最後に、反応性分析の結果を下表に示します。

1709英国GDP確報410.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は76%です。そして、その76%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは77%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。

そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは53%です。指標発表から1分を過ぎたら早めに利確した方が良いということです。伸びるか伸びないかが半々ですから、無理する必要なんてありません。

【4. シナリオ作成】

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前10-1分足は、事前差異が0でない場合にその符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)通りにポジションを取ります。

  • 直後1分足は、事前差異が0でない場合にその符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)通りにポジションを取ります。
    指標発表直前にポジションを取り、発表直後の跳ねで利確/損切です。

  • 初期の追撃は早期開始し、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺います。

  • もし、実態差異が0でないのに直後1分足終値が過去平均ぐらいしか伸びていなければ、実態差異判別式の符号と同じ方向に追撃を行います。

以上



2017年9月29日17:30発表

以下は2017年10月5日に追記しています。
?V.発表結果検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1709英国GDP確報510.png

結果はGDP前年比が前回・予想を下回り、反応は陰線でした。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1709英国GDP確報520.png

直前1分足・直後1分足で大きく損切となりました。かなりしつこく追撃して挽回を図ったものの、取り返すには至りませんでした。下げ継続の読みは、これでBOE利上げが難しくなる、と考えたためです。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容を、以下に検証します

  • 確報値は市場予想が前回改定値となっていることが多く、また、その市場予想もほぼ当たります(改定値と同じになることが多い)。過去17回の確報値発表時の市場予想が前回改定値と異なったことは2回(頻度12%)しかありません。発表結果が市場予想と異なったことは6回(頻度35%)しかありません。
    今回は改定値が修正されました。これは珍しいことです。

(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1709英国GDP確報530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は 「1. FXは上達するのか」 をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年09月19日

英国実態指標「小売売上高指数」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年9月20日17:30発表結果検証済)

以下、「?T.指標予想要点」「?U.過去調査詳細」を事前投稿し、「?V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「?V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。

?T.指標予想要点

2017年9月20日17:30に英国実態指標「小売売上高指数」が発表されます。今回発表は2017年8月分の集計結果です。

同時に、四半期毎のMPC議事録が公表されます。この議事録公表がどう影響するかについてはわかりません。先週MPCの内容をも含むのなら大きく反応する可能性もあるので、今回は慎重に取引に臨みます。

今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。

1708英国小売110.png

※ 本稿は9月18日に作成しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。

本指標の特徴は以下の通りです。

  • まず、指標発表前だからと言って、決して安易にポジションを取るべきではありません。
    直前10-1分足が20pips以上のヒゲを形成したことは過去45%もあります。加えて、この45%のヒゲの伸びた方向は、指標発表直後1分足の反応方向と関係ありません(関係が見出せません)。
    ヒゲだから戻る、と安易に放置すべきでもありません。そもそも本指標の直前10-1分足は、跳幅平均21pips・値幅13pipsと、平均的な指標の発表直後よりも大きく動くのです。

  • 指標発表後の反応はかなり大きくなりがちです。その方向は、発表結果の市場予想に対する良し悪しに素直に反応します。そして、発表から1分を過ぎてから、指標結果への反応の高値や安値を形成しがちです。がしかし、直後11分足終値は直後1分足終値よりも反応を伸ばしていることより、直後1分足の値幅を削ったり反転していたことの方が多くなっています。発表から1分を過ぎてからの追撃には向いていません。

  • 事前差異判別式は、1?前月比事前差異+1?前年比事前差異+1?コア前月比事前差異+1?コア前年比事前差異、です。この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、直前10-1分足の方向一致率は過去77%です。
    事後差異判別式は、3?前月比事後差異+1?前年比事後差異+4?コア前月比事後差異+2?コア前年比事後差異、です。この判別式符号と直後1分足は方向一致率が過去79%です。

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前10-1分足は陰線と見込みます。
    過去、事前差異判別式の解の符号との方向一致率が74%となっています。
  • 直前1分足は陰線と見込みます。
    過去の陰線率が75%です。
  • 追撃は早期開始して短期利確します。
    複数回の追撃を行うにせよ、発表から1分を過ぎたら利確です。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「?T.調査・分析」に記しています。


?U.過去調査詳細

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

本指標の調査対象は、自動車販売店を除いた小売業・飲食店など5000社です。小売売上高は英国に限らず天候・季節が影響します。特に1月発表(前年12月分)はクリスマス商戦の影響で毎月の結果よりも大きく変動することが知られています。
英国の個人消費はGDPの約40%を占めるため、GDPの先行指標として本指標には意義があります。

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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1708英国小売120.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で30pipsです。16-30pips跳ねたことが42%、31-44pips跳ねたことが29%で、この範囲に分布の71%が属します。
反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1708英国小売210.png

1708英国小売220.png

項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。

1708英国小売250.png

上表の上4行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めたものです。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。

上から5行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事前差異判別式は、全項目の差異を単純に全て加えたものになります。直前10-1分足は、この判別式差異符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、方向一致率が77%になります。

上から6行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この判別式は、3?前月比の事後差異+1?前年比の事後差異+4?コア前月比の事後差異+2?コア前年比の事後差異、となります。事後差異判別式符号と直後1分足は、方向一致率が79%になります。

上から7行目は、実態差異(発表結果ー前回結果)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。がしかし、この係数での判別式は、直後11分足との方向一致率が57%と、高くありません。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が21pipsです。跳幅が20pips以上だったことは過去14回(頻度45%)あります。この14回の直後1分足跳幅は29pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均30pipsとほぼ同じです。そして、この14回の直前10-1分足と直後1分足の方向は8回(57%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。

1708英国小売310.png

次に、直前1分足の過去平均跳幅は9pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去9回(頻度29%)あります。この9回の直後1分足跳幅の平均は26pipsで、これは過去全平均30pipsよりやや小さいものの、ほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は4回(44%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応方向程度や方向を示唆しているとは言えません。

1708英国小売320.png

そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は12pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率40%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率34%)です。戻り比率が30%以上のときは、長ヒゲが多く発生して取引が難しい指標だと言えます。
これらの詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。

1708英国小売330.png

1708英国小売340.png



【3. 定型分析】

指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は 「指標一致性分析」 をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は 「反応一致性分析」 をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は 「反応性分析」 をご参照願います。

まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。

1708英国小売430.png

直前10-1分足は、事前差異・事後差異・実態差異との方向一致率がそれぞれ74%・74%・71%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線ということになります。そして、もし直前10-1分足が陰線/陽線ならば、発表結果は市場予想・前回結果を下回る/上回る、ということです。

また、事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ80%・83%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには、素直に反応する指標です。

さて、直後1分足は直前10-1分足と同じ方向になる確率を求めておきます。
まず、指標一致性分析の結果、直前10-1分足は事後差異との方向一致率が74%となっています。そして、事後差異と直後1分足の方向一致率は80%となっています。よって、直前10-1分足が直後1分足の方向一致率は0.74?0.80=59%です。
次に、直前10-1分足は事後差異と方向不一致だったことは1ー0.74=26%となります。そして、事後差異と直後1分足の方向不一致だったことは1ー0.80=20%となっています。よって、この分析を外していたのに結果的に直前10-1分足が直後1分足と方向一致する確率は0.26?0.2=5%です。
従って、分析が当たっているにせよ外しているにせよ、直後1分足は直前10-1分足と同じ方向になる期待的中率は0.59+0.05=64%です。
64%では、発表時刻を跨いでポジションを取れません。

次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。

1708英国小売420.png

直前1分足は陰線率が75%と、偏りが目立ちます。
また、直後10-1分足と直後11分足の方向一致率が70%、直後1分足と直後11分足の方向一致率が70%と、高くなっています。

最後に、反応性分析の結果を下表に示します。

1708英国小売410.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は70%です。そして、その70%の方向一致時だけに着目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが95%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。

がしかし、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは47%と、50%を切ってしまっています。
早期追撃で得たポジションは、発表から1分を過ぎたら早期利確すべきです。

【4. シナリオ作成】

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前10-1分足は陰線と見込みます。
    過去、事前差異判別式の解の符号との方向一致率が74%となっています。
  • 直前1分足は陰線と見込みます。
    過去の陰線率が75%です。
  • 追撃は早期開始して短期利確します。
    複数回の追撃を行うにせよ、発表から1分を過ぎたら利確です。

以上



2017年9月20日17:30発表

以下は2017年9月21日に追記しています。
?V.発表結果検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1708英国小売510.png

結果は全項目に亘って前回・予想を大きく上回り、反応も直後1分足は2015年以降で最大、直後11分足も2016年6月以来の大きさとなりました。

前月比は総合・コアともに3か月連続プラス、ただ前年比は2016年12月をピークとする下降基調の上昇転換を示唆するほどではありません。
上記4本足チャートの範囲外ですが、結局、当夜のFOMCを控えて1時間後には指標発表前の水準を一時下回る大きな下降を生じました。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1708英国小売520.png

最下部表に記載の通り、シナリオでの取引は△5.11pips(取引時間5分46秒)でした。指標発表後の追撃シナリオは見送り、シナリオ外の逆張りで反転を待つ方針に切り替えました。FOMCを控えて、単なる一指標で大きく値を動かすことはない(大きく戻す)、と見込んだためです。

結果、17:34頃にピークを付けて、その後は少しずつ値を戻し始めたものの、最初は上下動を伴っていたため、シナリオ外追撃で損切も発生しました。最終的には半値戻しと読んでいたので、最後のシナリオ外追撃は利確しましたが、あと20分ぐらい待てば全戻しとなっていました。これは取りこぼしても仕方ありません。

なお、直前1分足の決済時刻をご覧ください。粘り過ぎて、18時直前(17:59:58ぐらいだったと記憶)に決済したのに、18:00決済となってしまいました。
大失敗です。出先喫茶店のWiFiが遅いせいだったのでしょうか。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査・分析内容には問題ありません。

  • 今回の直前10-1分足の跳幅は13pipsでした。上ヒゲと下ヒゲの先端の全幅は25pipsでした。事前分析に挙げた20pipsのヒゲではありませんが、大きく動いたことに違いありません。
    指標発表前だからと言って、決して安易にポジションを取るべきではない、という点は来月もそのままでいいでしょう。

  • 発表から4-5分後にピークを付け、このときの跳幅がちょうど100pipsでした。
    指標発表後の反応はかなり大きくなりがちで、その方向は発表結果の市場予想に対する良し悪しに素直に反応したことは、事前分析通りでした。発表から1分を過ぎてからピークを付けた点も、過去の傾向通りでした。

    ただ、直後11分足終値が直後1分足終値よりも反応を伸ばしていることより、直後1分足の値幅を削ったり反転していたことの方が多くなっている、という過去傾向は当たりませんでした。
    尤も、これほど指標結果が良ければ反転するということもないでしょうけど。

  • 事前差異判別式は、1?前月比事前差異+1?前年比事前差異+1?コア前月比事前差異+1?コア前年比事前差異、です。この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、直前10-1分足の方向一致率は過去77%です。
    この式に前回結果と市場予想を代入すると、解は△2.5です。そして、今回の直前10-1分足は陰線でした。
    判別式は有効でした。

    事後差異判別式は、3?前月比事後差異+1?前年比事後差異+4?コア前月比事後差異+2?コア前年比事後差異、です。この判別式符号と直後1分足は方向一致率が過去79%です。
    この式に今回結果と市場予想を代入すると、解は+10.3です。そして、今回の直後1分足は陽線でした。
    判別式は有効でした。


(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオは問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1708英国小売530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は 「1. FXは上達するのか」 をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年09月13日

英国金融政策発表前後のGBPJPY反応分析(2017年9月14日20:00発表結果検証済)

以下、「?T.指標予想要点」「?U.過去調査詳細」を事前投稿し、「?V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「?V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。

?T.指標予想要点

2017年9月14日20:00に英国金融政策が発表されます。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。

1709英国金融政策110.png

※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。

「市場予想通り現状維持」の場合、「市場予想に反した場合」や「金融政策変更があった場合」と反応が全く異なります。
よって、以下は特に断りがない限り、過去の「市場予想通り現状維持」だった場合に限定して分析します。

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 今回の市場予想は現状維持となっています。直近の傾向は、金融政策変更を主張する委員の増減に大きく反応します。万が一にも市場予想が外れた場合を考えると、発表時刻を跨いだポジションはお勧めできません。大きく反応する指標では、地道に練習すれば、追撃だけで稼げます。
    おかしな話ですが、反応が小さい指標と大きい指標の両極端は、凝った分析をしても仕方ありません。前者はトレンドに、後者はプロ参加者に、我々アマチュアは強い者に巻かれちゃいましょう。

  • 過去の傾向では、反応程度が非常に大きくなっています。直近の傾向では、決定が現状維持でも金融政策変更を主張する委員が増減すると、大きく反応します。
    前回MPCがそうでしたが、そんなことは誰にもわかりません。プロが解釈に迷うようなときには、我々アマチュアはほっとけば良いのです。もし、金融政策発表で大きく動く理由があるときは、その動きは続きます。

  • 追撃は、早期参加して短期利確を様子を見ながら繰り返すと良いでしょう。

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前1分足は陰線と見込みます。
  • 追撃は早期開始し、発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺いましょう。更に追撃できそうなら、短期取引の繰り返しで追撃しましょう。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「?T.調査・分析」に記しています。


?U.過去調査詳細

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

英国の政策金利は、英中銀(BOE)の金融政策委員会(MPC)に決定権限があります。同委員会は、総裁1人・副総裁2人・行内委員2人・外部委員2人の合計9人で構成されています。現在は1名欠員しており、8人で構成されています。

MPCは原則毎月第1水・木曜日の2日間開催され、2日目の正午に政策金利が発表されます。その2週間後に議事録を公表し、2月・5月・8月・11月には四半期インフレ報告書を発表しています。

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取引を単なる丁半博奕としてでなく楽しむため、ここまでの流れを辿っておきましょう。

もともと、BOEはあまり頻繁に金利改定をしない、というイメージがあります。がしかし、2016年6月のEU離脱決定に伴い、状況は大きく変化しました。
直近の金融政策変更は、2016年8月に0.5%から0.25%への利下げです。その前は2009年3月でした。
量的緩和(QE)について、少なくとも2009年以降は規模を徐々に拡大し、直近では2016年8月に現在の4350億GBPに増やしました。

6月MPC(2017年6月15日)では、BOEは金融政策の現状維持を決めました。政策変更にあたっては、EUの新たな貿易協定締結やその移行期間設置の合意など、EU離脱交渉次第という条件が挙げられました。その後、離脱交渉は進んでいません。
ただ、このときは直後1分足跳幅が118pipsの陽線となりました。市場は、近々の利上げを見込んだのです。

6月下旬には、BOE総裁が利上げ検討の必要性について言及しました。但し、利上げに当たっては「物価上昇に伴う消費減速を企業投資が補えるか」を前提に挙げていました。
けれども、EU離脱交渉が長期化しかねない現状では、企業投資だって増えるはずありません。利上げは無理そうでしょ、と言っていたのです。

そして経済指標は、4-6月期成長率が1.7%に鈍化しました。
多くの解説記事で個人消費低迷が原因に挙げられています。それは、小売売上高前年比が昨年10月をピークに低下傾向が続いていることで確認できます(6月は改善)。それでも、物価上昇率は賃金上昇率を上回り続けています。
7月下旬頃には、もう利上げは無理だろう、という解説記事も増えていました。

かかる状況において、8月MPC(2017年8月3日)もまた「市場予想通り現状維持」でした。事前に1名の委員が利上げ賛成に回る、という観測記事があったため、発表直前までGBPは値を崩さず、そして、利上げ賛成に回ると言われていた委員は、結局、利上げに投票しませんでした。
このときの反応は、直後1分足跳幅が75pipsの陰線でした。そして、時間経過とともに、先述の利上げは無理だろうという見通しを、市場は「当面利上げなし」と判断しました。結果、翌朝までにGBPJPYは200pips以上の下落をしたのです。

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6月及び8月のMPC後は、以上のような経緯もあって大きく反応しました。

今回現状は、9月12日に発表された物価指標が再上昇に転じ(CPI前年比が+2.9%)、RPI前年比はついに4%を上回りました。13日の雇用統計での平均所得は+2.1%でした。予想された結果だったものの、とても賃金上昇は物価上昇に追いつきません。

GBP安に伴う物価上昇に何らかの手を打つべきだ、という声は再び高まりそうです。尤も、BOEは伝統的にそんなの気にする中銀ではありません。がしかし、利上げ賛成の委員が増えるかも知れない、という見方ならできます。

何より、9月24日にはEU側で今年最後の大きな選挙である独総選挙が行われます。独選挙が終われば、EU離脱交渉に何らかの進展も期待できます。少なくとも、交渉相手方のEU側が有権者を気にしなくても済みます。
選挙さえ終われば、EU側の交渉上の戦略目標は「EU離脱国は痛い目を見る」ことさえ明白になれば良いはずです。例えば、金融取引上のちょっと不便な域外国としての制約を設ければ済む話です。EUが英国から欲しいものなど、それ以外にないでしょう。他のペナルティを課す必要なんてないはずです。

そして、次週は米FOMCが開かれ、FRBのBS縮小(過去に買い入れた債券の市場放出)が決定される可能性があります。中長期的にUSD高をもたらす米FRBの引締政策は、数週間の極端なGBP高やGBP安を引き起こす可能性があります。10月頃にインフレ率がピークを迎える、というBOEの見通しは、このタイミングに依るものでしょう。

よって今回、もし利上げ派委員が1名増えることはあっても、多数決で現状維持が結論と予想されます。利上げ派が増えなければ陰線、利上げ派が増えれば一旦はGBP高となり米国時間に戻す転換と思われます。

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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1709英国金融政策120.png

最も発表結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で38pipsです。分布を見ると、38pips以下だったことが50%、38pipsを超えたことが50%です。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1709英国金融政策210.png

1709英国金融政策220.png



(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

1709英国金融政策310.png

1709英国金融政策320.png

1709英国金融政策330.png

1709英国金融政策340.png



【3. 定型分析】

金融政策発表時には指標一致性分析を行いません。やっても構いませんが、そんなものをアテにして決め打ちすることなんて、危なくてできません。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は 「反応一致性分析」 をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は 「反応性分析」 をご参照願います。

まず、反応一致性分析の結果を下図に示します。

1709英国金融政策420.png

直前1分足の陰線率は85%と、異常な偏りが見受けられます。

そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が77%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。

次に、反応性分析の結果を下図に示します。

1709英国金融政策410.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は77%です。そして、その77%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは85%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。

そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは57%です。57%という数字は、早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら早めに利確した方が良いということです。伸びるにせよ伸びないにせよ、この数字なら追撃は短期利確の繰り返しで行う方が安心です。

【4. シナリオ作成】

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前1分足は陰線と見込みます。
  • 追撃は早期開始し、発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺いましょう。更に追撃できそうなら、短期取引の繰り返しで追撃しましょう。

以上



2017年9月14日20:00発表

以下は2017年9月15日に追記しています。
?V.発表結果検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1709英国金融政策510.png

結果は市場予想通り現状維持でした。がしかし、反応は予想外の大きな陽線となりました。

この反応は、同時公開された議事要旨に基づくもののようです。
すなわち、「今後もインフレ圧力が強まり続ければ、今後数か月以内に利上げも含めた緩和政策の見直しをすべき、と過半数の委員が判断」したという点への反応です(※ ざっくり要約です。正確な訳は報道解説をご参照ください)。

なお、発表時始値は145.82で、往路は翌15日02:00のに148.34が高値となっています。何と252pipsの大陽線でした。復路は同15日07:00まででで146.64(高値から△170pips)でした。なお、備忘のため、この復路は北朝鮮のミサイル発射によるリスク回避によって安値を形成しました。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1709英国金融政策520.png

勝ったときは検証など適当でいいのですが、負けても不思議ではない取引でした。

追撃を早期開始して、発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺うつもりでした。更に追撃できそうなら、短期取引の繰り返しで追撃するつもりでした。

結果は、最初の10秒ぐらいだけ陰線側に跳ねました。激しい動きのなか、良いポジション(ショート)が取れたと思ったのも束の間、利確のタイミングを逃して僅かですが損切でした。この間、僅か9秒です。あいたたた。

次に陽線側に転じたのを見て、慌てて陽線側に追撃開始です。この時点ではまだ、動きが激し過ぎて何が起きているのかは把握できていません。こんなに早く動かれては、理由なんてどうでもいいから、とにかく付いていくしかありません。ショートを損切してから数秒考えたのが惜しまれますが、まぁこれは仕方ないでしょう。ともあれ、この7秒の取引で負けを取り返せました。

今回はたまたまでしょうけど、動きが激しい中で一瞬止まった瞬間にポジションが取れて幸いでした。こういうときは、ポジションを取り損なうことが多いのです。

改めて思うのは、反応が大きな指標では、今回のように逆ヒゲが形成されることが多々あります。
以下は、主観的な話で、データを取った訳ではありません。

逆ヒゲは指標発表直後に形成されることが多く、数秒ぐらいで初期の跳ねと逆方向に反応が変わります(順張りの方向が反転します)。経験的にこうしたときに、30秒かけて反転することは少なく、数秒〜10数秒か1分を過ぎた頃に反転することが多い気がします。
また、数秒から10数秒で反転が起きるときには、直後1分足に順張りで反応を大きく伸ばすことが多いような気がします(1分後ぐらいで反転するときは、そうは言いきれない気がします)。

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査・分析内容には問題ありません。

(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオにも問題ありません。

直前1分足は陰線と見込んでいたものの。結果は陽線で損切でした。がしかし、これは確率的な問題なので、気にしても仕方ありません。
確率で勝負しているときは、同じやり方を毎月繰り返してトータルで勝てば良いのです。確率を信じたり信じなかったり、というのが一番よくありません。結局それは、自分の勘に沿うように、確率を信じたり信じなかったりしているので、長い目で見れば的中率が50%になってしまいます。それではミスをした分だけ勝率が50%から割り引かれるので勝てません(運と勘のいい人しか勝てません)。

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1709英国金融政策530.png

過去戦績は6勝1敗(勝率86%)、シナリオ単位では13勝6敗(勝率68%)です。
シナリオ勝率が低い割に指標取引で勝っているのは、おそらく追撃戦の戦績が良いからでしょう。その割に平均取引時間は6分1秒と特に時間がかかっている訳ではないようです。
以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は 「1. FXは上達するのか」 をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年09月12日

英国雇用統計発表前後のGBPJPY反応分析(2017年9月13日17:30発表結果検証済)

以下、「?T.指標予想要点」「?U.過去調査詳細」を事前投稿し、「?V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「?V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。

?T.指標予想要点

2017年9月13日17:30に英国雇用統計が発表されます。今回発表は2017年8月分の集計結果です。

今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。

1708英国雇用110.png

※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 反応は素直でかなり大きいものの(直後1分足跳幅過去平均は32pips)、16pips以下しか跳ねなかったことも35%あります。また、直後11分足終値が直後1分足終値を超えて反応を伸ばしたことは50%です。
    大きく跳ねたり伸びたりするハズの指標でそうならないと、利確の機会を逸して損切になってしまうことも多くなりがちです。ここにこの指標での取引の難しさがあります。

  • 事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が67%あります。また、実態差異(発表結果ー前回結果)と直後1分足の方向一致率が70%あります。そして、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は87%です。

    今回のように事前差異がプラスの場合、直前10-1分足は陽線と見込まれます。がしかし、事後差異=実態差異ー事前差異、の関係があるため、むしろ、面白いのは直前10-1分足が予想外に陰線となった場合です。このとき、発表結果が前回結果を下回ることを示唆しているので、それは同時に発表結果が市場予想を下回ることも示唆していることになるからです。

  • 直前10-1分足が20pips以上跳ねても、その跳ねた方向に直後1分足が反応するとは限りません。釣られて慌てて追いかけると、痛い目に遭いかねません。
    但し、直前1分足が10pips以上跳ねたときは要注意です。次の直後1分足の反応方向はわからないものの、直後1分足は平均(31pips)以上に跳ねる傾向があります。

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前10-1分足は陽線と見込みます。
    論拠は、直前1分足との方向一致率が27%(不一致率73%)で、直前1分足の陰線率が77%あるためです。
  • 直前1分足は陰線と見込みます。
  • 直後1分足は、直前10-1分足が陰線ならば、陰線と見込み、指標発表直前にポジションを取ります。発表直後の跳ねで利確/損切です。
  • 追撃は早期開始し、発表から1分程度で利確/損切します。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「?T.調査・分析」に記しています。


?U.過去調査詳細

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

日欧を除く主要国では、雇用統計発表直後の反応が他の指標発表時よりも大きくなる傾向があります。これは、雇用統計がその国の景気を最もよく表しており、失業率が高いそれらの国で中銀金融政策に大きな影響を与える、と考えられているからです。

同時発表される平均所得は、我々の日頃の言葉で言えば平均給与といった方がイメージに合うと思います。少なくとも数年前までは参考程度の指標でしたが、直近2年程度はこの多寡に反応しています。

ざっくりとキリの良い数字で英国の賃上げ状況を具体的にイメージするなら、年収1200万(600万)のとき1%(2%)上昇すると、来年の月給が今年よりも毎月1万円増えるということです。この水準は日本のバブル末期(1990年頃)の状態とほぼ同じです。

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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1708英国雇用120.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で32pipsです。かなり大きく反応するので、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことには、慎重でなければいけません。

但し、16pips以下しか跳ねなかったことも35%あります。
ここがとても難しいところです。大きく跳ねるハズの指標で跳ねないと、利確の機会を逸して損切になってしまうことも多くなりがちです。この指標での取引の難しさはここにあるのです。



【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1708英国雇用210.png

1708英国雇用220.png

1708英国雇用230.png

項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。

1708英国雇用250.png

上表の上3行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。

上から4行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から5行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段6行目は、実体差異(前回結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。

結果、事前差異と実態差異は、あまり直前10-1分足と一致率が高い係数を見出すことが出来ませんでした。
事後差異は、ー1?失業保険申請件数事後差異+30?平均所得事後差異ー30?失業率事後差異、という判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)とすると、直後1分足との方向一致率が87%となることがわかりました。

この結果から、本指標は発表結果の市場予想に対する良し悪しに、直後1分足(期待的中率87%)が素直に反応することがわかりました。本ブログでの「素直な反応」か否かの基準は70%です。

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直近の動きを見ておきましょう。

8月9日、BOEは「英企業の採用状況は厳しく、賃上げ率も2-3%の小幅に留まる」見通しを示しました。また「製造業者は、追加雇用よりも自動化や生産性向上を通じ、輸出増に対応する考え」も示しました。

英国は2013年以降、財政緊縮のため公務員の賃上げ率が1%以下に制限されています。日本も同様の政策を採っていたものの、アベノミクスではこの制約を見直して公務員給与を民間に先駆けて(大企業とはほぼ同時期に)引き上げました。英国がEUとの離脱交渉の結論が見える時期に、利上げや公務員賃上げを行う可能性は高い、と考えています。そもそもEUを離脱すれば、財政収支の制約がなくなるのだから。

8月16日雇用統計発表では、7月分失業保険申請件数が5か月ぶりにマイナスとなり、6月分失業率も直近最低の4.4%まで低下しました。6月分平均所得も2%を上回り、全面的に良い結果となりました。
発表直後の反応は2015年8月以来の大きな陽線を形成したものの、それでも発表から2時間も経つ頃には「行って来い」で指標発表前のGBPJPY水準に戻しました(GBPUSDでは半値戻し)。



(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が15pipsです。ぱぱっと計算しやすいように、跳幅が20pips以上だったことは過去6回(頻度19%)あります。この6回の直後1分足跳幅は15pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均32pipsと比べて半分以下です。そして、この6回の直前10-1分足と直後1分足の方向は3回(50%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の方向を示唆しているとは言えません。反応程度はむしろ小さくなる傾向が窺えます。

1708英国雇用310.png

次に、直前1分足は過去平均跳幅が9pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去11回(35%)あります。この11回の直後1分足跳幅の平均は45pipsで、これは過去全平均32pipsより明らかに大きくなっています。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は4回(36%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたとき、直後1分足は反応方向こそわからないものの、大きく反応する可能性が高い、と言えます。

1708英国雇用320.png

そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は10pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率31%)です。直後11分足のそれは13pips(戻り比率31%)です。戻り比率はほぼ30%で、大きく反応する指標としては普通です。

1708英国雇用330.png

1708英国雇用340.png



【3. 定型分析】

指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は 「指標一致性分析」 をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は 「反応一致性分析」 をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は 「反応性分析」 をご参照願います。

まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。

1708英国雇用430.png

事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ87%・80%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
ここに挙げた87%という数値は次に使うのでご留意ください。

直前10-1分足と実態差異の方向一致率が70%となっています。直前10-1分足が陽線/陰線ならば、発表結果が前回結果を上回りがち/下回りがち、ということです。
さて、事後差異=発表結果ー市場予想=実態差異ー事前差異なので、今回の事前差異がプラスであることを踏まえると、実態差異がマイナスなら事後差異もマイナスが確定します。
よって、もし直前10-1分足が陰線なら、事後差異はマイナスとなる可能性が高い、ということになります。期待的中率は0.70?0.87=61%です。

「なんだ、61%か」、と考えてはいけません。
ここで公平な数字は50%ではなく25%だからです。なぜなら、直前10-1分足が陰線(50%)で、且つ、直後1分足も陰線(50%)となるのは、0.5?0.5=25%だからです。直前10-1分足と直後1分足の組み合わせは4通りが起こり得るからです。それぞれ、

 直前10-1分足 直後1分足 期待的中率
   陰線     陰線    61%
   陰線     陽線     9%
   陽線     陰線    26%
   陽線     陽線     4%

となります。この4通りに賭けるなら、陰線&陰線、の組み合わせが圧倒的に有利です。

次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。

1708英国雇用420.png

直前1分足の陰線率が77%、直後11分足の陽線率が70%と、異常な偏りが見受けられます。

そして、直前10-1分足と直前1分足の方向一致率が27%(不一致率73%)となっています。直前1分足は陰線率が高いので、直前10-1分足は陽線となる確率が高くなるはずです。がしかし、その陽線率は67%と、やや微妙な数字です。

その他、直後1分足と直後11分足の方向一致率が80と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。

最後に、反応性分析の結果を下表に示します。

1708英国雇用410.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は80%です。そして、その80%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは67%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。

がしかし、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは50%です。早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら早めに利確した方が良いということです。伸びるか伸びないかが半々ですから、無理する必要なんてありません。

【4. シナリオ作成】

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前10-1分足は陽線と見込みます。
    論拠は、直前1分足との方向一致率が27%(不一致率73%)で、直前1分足の陰線率が77%あるためです。
  • 直前1分足は陰線と見込みます。
  • 直後1分足は、直前10-1分足が陰線ならば、陰線と見込み、指標発表直前にポジションを取ります。発表直後の跳ねで利確/損切です。
  • 追撃は早期開始し、発表から1分程度で利確/損切します。

以上



2017年9月13日17:30発表

以下は2017年9月13日19:40頃に追記しています。
?V.発表結果検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1708英国雇用510.png

結果は、失業保険申請件数が減り、失業率も低下していました。がしかし、平均所得が前回同値で、予想を下回りました。結果、反応は陰線となりました。
この反応は、前日発表されたCPI前年比に比して、所得上昇が見劣りした結果だと言えるでしょう。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1708英国雇用520.png

指標発表前は、前日来の上昇トレンドを形成したロング解消で、下降に転じていました。
トレンドが明確なため、直前10-1分足が陽線になると見込んだシナリオは実施見送りとし、シナリオ外取引を繰り返しました。

シナリオ取引での成績は、最下部の表に記載している通り、取引時間1分42秒、+14.09pipsの利確に留まりました。これはこれで、悪くありません。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査・分析内容には問題ありません。

  • 反応は直後1分足跳幅が24pipsで、これは過去平均の32pipsに達していません。
    直後11分足終値は直後1分足終値と同値で、過去に反応を伸ばした確率は次回から50%を切ってしまいます。

    大きく跳ねたり伸びたりするハズの指標でそうならないと、利確の機会を逸して損切になってしまうことも多くなりがちです。ここにこの指標での取引の難しさがあります。

  • 事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が67%あります。また、実態差異(発表結果ー前回結果)と直後1分足の方向一致率が70%あります。そして、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は87%です。

    今回のように事前差異がプラスの場合、直前10-1分足は陽線と見込まれます。がしかし、事後差異=実態差異ー事前差異、の関係があるため、むしろ、面白いのは直前10-1分足が予想外に陰線となった場合です。このとき、発表結果が前回結果を下回ることを示唆しているので、それは同時に発表結果が市場予想を下回ることも示唆していることになるからです。

  • 直前10-1分足が20pips以上跳ねても、その跳ねた方向に直後1分足が反応するとは限りません。釣られて慌てて追いかけると、痛い目に遭いかねません。
    但し、直前1分足が10pips以上跳ねたときは要注意です。次の直後1分足の反応方向はわからないものの、直後1分足は平均(31pips)以上に跳ねる傾向があります。

(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオは問題ありません。
直前10-1分足を陽線と予想していた点は、今回事例がやや特殊で、次回以降のシナリオを見直す必要はない、と考えています。

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1708英国雇用530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は 「1. FXは上達するのか」 をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年09月10日

英国物価指標発表前後のGBPJPY反応分析(2017年9月12日17:30発表結果検証済)

以下、「?T.指標予想要点」「?U.過去調査詳細」を事前投稿し、「?V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「?V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。

?T.指標予想要点

2017年9月12日17:30に英国物価指標が発表されます。発表される物価指標は「CPI(消費者物価指数)」「RPI(小売物価指数)」「PPI(生産者物価指数)」です。いずれも今回発表は2017年8月分の集計結果です。

今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。

1708英国物価指標110.png

※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 本指標の特徴は、発表項目数が多いため、予め注目しておく項目を絞り込んでおいた方が良いでしょう。注目するなら、CPI前年比>CPI前月比>その他、の順です。
    論拠は、2?CPI前月比事後差異+3?CPI前年比事後差異、の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、指標発表直後の反応方向の方向一致率が89%となるためです。事後差異とは、発表結果ー市場予想、です。

  • 反応は指標結果(CPI)に対して素直でかなり大きくなる傾向(直後1分足跳幅平均31pips)があります。
    がしかし、追撃は早期開始して短期に留めるべきです。発表から10分を過ぎると、直後1分足終値よりも反応を伸ばしたことは過去30%しかありません。

  • 取引が難しい指標であり、いくつか注意点があります。

    まず、直前10-1分足・直前1分足の過去平均跳幅がそれぞれ15pips・9pipsと大きい点です。そして、直前10-1分足が20pips以上跳ねたことは19%、直前1分足が10pips以上跳ねたことは26%と、それぞれ4・5回に1回程度はそういう場面に出くわします。ところが、直前10-1分足の反応が20pips以上跳ねたり、直前1分足が10pips以上跳ねても、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
    釣られて慌てて追撃すると、痛い目に遭いかねません。

    そして、直前10-1分足は逆ヒゲが多く、直後1分足や直後11分足の戻り比率(1−跳幅/値幅)は40%前後にも達しています。
    どの時点であれ、高値(安値)掴みをしやすい動きをしがちなので、気を付ける必要があります。

    それらの取引が難しい特徴を有していながら、結果的に、直前10-1分足の陽線率は74%。直前1分足の陰線率は82%と、偏りが見られます。また、事前差異(市場予想ー前回結果)と直後1分足の方向一致率が73%となっています。
    いずれも決め打ちでポジションを取ってもよい確率となっているものの、外したときの損切も大きい指標です。

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前10-1分足は陽線と見込みます。
    ヒゲが目立つので、タイミングが合わなければ諦めて、無理にポジションを取る必要はありません。
  • 直前1分足は陰線と見込みます。
    ヒゲが目立つので、タイミングが合わなければ諦めて、無理にポジションを取る必要はありません。
  • 直後1分足は、事前差異判別式符号と同じ方向に指標発表直前にポジションを取得し、発表後の跳ねで利確/損切します。
    但し、市場予想は発表直前によく確認し、事前差異が変更になっていないか確認しましょう。事前差異判別式は、2?CPI前月比事前差異+3?CPI前年比事前差異+その他項目のI事前差異、です。
  • 追撃は、早期開始し発表から1分程度で利確/損切します。
    再度の追撃は、発表から1分を過ぎてから逆張りの機会を狙います。逆張りは、直後1分足終値よりも跳ねているときに行えなければ失敗です。
    但し、CPI前年比が3%を超えた場合には、順張り追撃徹底とします。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「?T.調査・分析」に記しています。


?U.過去調査詳細

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

他の主要国では、CPI・RPI・PPIは別々に発表されます。が、英国は一度に発表しています。

CPIは、消費者の製品・サービス購入価格を指数化した指標で、どの国でも最重視されています。英国は年2%のインフレ目標が設定されています。CPIコアは、CPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。

RPIに含まれてCPIに含まれない対象に住宅費があります。RPIではCPIよりも数値が高くなります。RPIコアは、RPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。英国では年金給付額が法律によってRPI規準で決定されています。

PPIはあまり大きな反応を生じないように見受けられます。

過去の傾向から言えば、CPI>RPI>PPIの順に反応に寄与し、前年比>前月比の順です。重視するCPI前年比は総合>コアと、コアが軽視(という訳じゃないでしょうけど)される点が特徴です。

ーーー$€¥ーーー

本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1708英国物価指標120.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で31pipsと、かなり大きく反応する指標です。15pips以下しか反応しなかったことは10%しかなく、発表時刻を跨いでポジションを持つことには慎重でなければいけません。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1708英国物価指標210.png

1708英国物価指標220.png

1708英国物価指標230.png

注目すべき点は、どの項目にせよ前年比が右上がりで推移しています。そして、そろそろその右上がりが頭打ちになっています。
少し前までは、このグラフが右上がりだからこそ、BOEの利上げが近い、と話題に挙がっていました。そして、直近ではその右上がりが頭打ちになって下降に転じた気配があるからこそ、利上げを急がなくても良いのではないか、という話が挙がっています。

8月3日に公表されたBOEのインフレ報告は「インフレ率は2017年10月に3%付近でピークと予想」との見通しを示しています。そして、8月9日には「ここ数か月の消費支出は減速し、ポンド安が輸出を支援するものの、英国のインフレはピークに近い可能性」との見解を示しました。
どっちなんだ、と言う内容で、参考になりません。
前回8月15日の物価指標発表結果は、CPIが横這い、RPIが上昇。PPIが下降でした。まちまちの結果となったものの、それでもCPI前年比は+2.6%でした。

ここからはCPIに限った話です。グラフ推移を見てみましょう。
再び「利上げが近い」と思わせるためには、前月比・前年比がともに3%付近まで上昇するとともに、コアCPI前年比の低下も止まる必要がある、と考えられます。一方「もう利上げの可能性は低い」と思わせるためには、前月比・前年比が現状より低下するだけで十分です。



(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が15pipsです。跳幅が20pips以上だったことは過去6回(頻度19%)あります。この6回の直後1分足跳幅は28pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均31pipsとほぼ同じです。そして、この6回の直前10-1分足と直後1分足の方向は4回(67%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が20pips以上動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。

1708英国物価指標310.png

次に、直前1分足の過去平均跳幅は9pipsです。取引中にパッと計算しやすいように、跳幅が10pips以上だったことは過去8回(26%)あります。この8回の直後1分足跳幅の平均は29pipsで、これは過去全平均31pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は3回(38%)しか一致していません。
つまり、直前1分足の反応が10pips以上動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。

1708英国物価指標320.png

そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は12pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率39%)です。直後11分足のそれは16pips(戻り比率42%)です。直後11分足の戻り比率が40%を超えており、高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。

1708英国物価指標330.png

1708英国物価指標340.png



【3. 定型分析】

指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は 「指標一致性分析」 をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は 「反応一致性分析」 をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は 「反応性分析」 をご参照願います。

まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。

1708英国物価指標430.png

事前差異と直後1分足の方向一致率は73%です。市場予想がプラス/マイナスなら、直後1分足が陽線/陰線側に跳ねる可能性が高い、ということです。

事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ89%・74%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。

次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。

1708英国物価指標420.png

直前10-1分足の陽線率が74%、直前1分足の陰線率が82%と、偏りが見受けられます。
そして、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。

最後に、反応性分析の結果を下表に示します。

1708英国物価指標410.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は63%と、あまりアテに出来ない数字です。そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは30%しかありません。
この数字では、順張り追撃を勧められません。むしろ、直後1分足終値が付いた時点で逆張りした方が良さそうな数字です。もちろん、逆張りは勧められません。

【4. シナリオ作成】

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前10-1分足は陽線と見込みます。
    ヒゲが目立つので、タイミングが合わなければ諦めて、無理にポジションを取る必要はありません。
  • 直前1分足は陰線と見込みます。
    ヒゲが目立つので、タイミングが合わなければ諦めて、無理にポジションを取る必要はありません。
  • 直後1分足は、事前差異判別式符号と同じ方向に指標発表直前にポジションを取得し、発表後の跳ねで利確/損切します。
    但し、市場予想は発表直前によく確認し、事前差異が変更になっていないか確認しましょう。事前差異判別式は、2?CPI前月比事前差異+3?CPI前年比事前差異+その他項目のI事前差異、です。
  • 追撃は、早期開始し発表から1分程度で利確/損切します。
    再度の追撃は、発表から1分を過ぎてから逆張りの機会を狙います。逆張りは、直後1分足終値よりも跳ねているときに行えなければ失敗です。
    但し、CPI前年比が3%を超えた場合には、順張り追撃徹底とします。

以上



2017年9月12日17:30発表

以下は2017年9月12日18:40頃に追記しています。
?V.発表結果検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1708英国物価指標510.png

結果は巻頭に挙げた全項目で前回結果・市場予想を上回り、反応は陽線でした。

直後1分足跳幅は52pipsで、これは2015年7月分以来の跳幅でした。直後11分足値幅は58pipsで、こちらは2017年1月分以来の値幅でした。反応程度は、2015年以来2・3番目に大きくなりました。

指標の方は、直近ピークである2017年5月分とCPI前年比は同値、コアCPI前年比はそれを上抜けました。コアRPI前年比はとうとう4%を上抜けました。
これでは、反応が大きくなるのも当然です(利上げ期待が高まって)。

がしかし、明日9月13日には雇用統計発表があり、平均所得がこれほどのペースで上がることはないでしょう。よって、今夜のUSDJPYの動きが読めないものの、今夜から明日AMのどこかでGBPJPYは明日の雇用統計を睨んで下がり始める、と思われます。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1708英国物価指標520.png

問題ありません。

17:26分頃にどんと10pipsぐらい下げて、17:27分頃にどんと20pipsぐらい反発する動きがありました。事前分析に基づき追いかけはしないものの、こんなことがあるから英国指標は危ないのです。他の主要国のほとんどの指標では、往復30pipsの動きなんて、指標発表直後にしか起きません。

逆張り追撃で損切となっていますが、これは分析結果に基づくもので、仕方ありません。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査・分析内容には問題ありません。

但し、発表後1分を過ぎたら反応を伸ばすことよりも、そうならないことの方が多い、とした点は、今回の事例で当たりませんでした。
がしかし、まだ来月もここは見直す必要がないでしょう。今回の結果によって、直後1分足終値よりも直後11分足終値が伸びる確率は32%に改善しました。まだ32%です。

(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオには問題ありません。来月もそのまま使えるでしょう。

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1708英国物価指標530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は 「1. FXは上達するのか」 をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年09月07日

英国実態指標「鉱工業生産」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年9月8日17:30発表結果検証済)

以下、「?T.指標予想要点」「?U.過去調査詳細」を事前投稿し、「?V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「?V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。

?T.指標予想要点

2017年9月8日17:30に英国実態指標「鉱工業生産」が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。

同時刻に、英国収支指標「貿易収支」の発表も予定されています。がしかし、これまでのところ本指標と比べると、反応方向への影響は本指標の方が大きいようです。よって、以下の分析は「貿易収支」発表の影響を無視して、本指標についてのみ行います。

今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。

1707英国鉱工業生産110.png

※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 同時発表される鉱工業生産指数・製造業生産指数・貿易収支において、反応への寄与は、鉱工業生産指数>製造業生産指数>貿易収支、となります。特に、鉱工業生産指数前月比の事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足との方向一致率は高くなっています。

  • 今回発表される7月分データについて、製造業PMIとの相関はありません。また、指標発表前後のローソク足方向には、ある種、傾向を見いだせるものの、指標結果の良し悪しについては予想できません。
    また、指標発表前から10pips以上跳ねることがときどきあるものの、その跳ねは直後1分足の反応方向との相関は高くありません(関係ありません)。

  • 直前10-1分足や直前1分足は、事前差異との方向一致率がそれぞれ23%・70%となっています。
    また、事後差異と直後1分足との方向一致率は77%と高く、市場予想に対する発表結果の良し悪しに素直に反応します。
    追撃は、早期開始・短期利確の繰り返しに向いており、ポジションの長持ちには向かない指標です。指標発表から1分経過時点では、まだ反応を伸ばし続ける可能性が高いものの、10分後には1分後よりも反応が伸びていた確率が50%を僅かに上回る程度しかありません。
    追撃によって利幅が拡大できるか否かは、発表結果が前回・予想のいずれにも上回るか下回ったときだけです。それでも、発表1分後よりも10分後も反応を伸ばし続けている確率は70%に達しません。

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前10-1分足は陰線と見込みます。
  • 直前1分足は陽線と見込みます。
  • 発表後は追撃を早期開始し、短期利確します。
  • 更に追撃するときは、直後1分足や直後11分足の戻り比率が33%あることを踏まえ、高値(安値)掴みをしないように気を付けましょう。
    事前に15分足チャートと1時間足チャートでレジスタンスやサポートを確認しておき、そこに達したら短期逆張りを狙います。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「?T.調査・分析」に記しています。


?U.過去調査詳細

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

英国実態指標「鉱工業生産」は、鉱工業と製造業の企業生産高を基準年を100として指数化した経済指標です。 英国国家統計局 が毎月中旬に前月比・前年比を発表し、反応は前月比>前年比となる傾向があります。他の先進国の鉱工業生産関連指標よりも反応が大きい、という特徴があります。

本指標の意義は、鉱工業生産がGDPの構成要素となっているため、その先行指標と言われています。がしかし、英国GDPに占める鉱工業部門の割合は20%程度しかありません。ですから、本指標がGDPの先行指標として役立つかは少し疑問があります。

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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1707英国鉱工業生産120.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で24pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。後述するように、直後1分足・直後11分足の戻り比率は平均33%ですので、ピークないしはボトムを付けたら33%分のpipsの戻りを狙うのも一案でしょう。



【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1707英国鉱工業生産210.png

1707英国鉱工業生産220.png

こんなグラフを見て、今回がどうなるかなんて予想できません。主要項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきます。

1707英国鉱工業生産250.png

上表の上4行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。

上から5行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から6行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段7行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。

結果、事前差異・事後差異・実態差異の判別式は、それぞれ

2?鉱工業前月比事前差異+2?鉱工業前年比事前差異+1?製造業前月比事前差異+1?製造業前年比事前差異

3?鉱工業前月比事後差異+2?鉱工業前年比事後差異+1?製造業前月比事後差異

1?鉱工業前月比実態差異+1?鉱工業前年比実態差異+1?製造業前月比実態差異+1?製造業前年比実態差異

とすると、これら判別式の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、直前10-1分足・直後1分足・直後11分足との方向一致率が、それぞれ23%・77%・70%となります。

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本指標に先立ち、同じ7月分の製造業PMIは発表されています。
本指標と製造業PMIの相関を調べておきました。

相関の有無は、それぞれの指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて調べます。事前差異・事後差異・実態差異のうち、市場予想が含まれないのは実態差異だけだからです。もし両指標の間に相関があるなら、実態差異(発表結果ー前回結果)に現れるはずです。
比較に用いた実態差異は、それぞれの指標の判別式に実態差異を代入した結果です。

1707英国鉱工業生産270.png

結果、両指標の実態差異の方向一致率は、一方を前後1か月ずらしても50%前後しかありません。よって、製造業PMIの単月毎の実態差異増減を論拠に、鉱工業生産の実態差異増減を論じても意味がありません。



(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が13pipsです。その跳幅が19pips以上だったことは過去6回(頻度20%)あります。
この6回の直後1分足跳幅は22pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均24pipsとほぼ同じです。また、この6回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回(33%)一致しています。
つまり、直前10-1分足跳幅が大きくても、直後1分足の反応方向や大きさとは関係ありません。

1707英国鉱工業生産310.png

次に、直前1分足の過去平均跳幅が9pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去9回(頻度30%)ありました。
この9回の直後1分足跳幅は26pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均24pipsとほぼ同じです。また、この9回の直前1分足と直後1分足の方向は5回(56%)一致しています。
つまり、直前1分足跳幅が大きくても、直後1分足の反応方向や大きさとは関係ありません。

1707英国鉱工業生産320.png

そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は8pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率33%)です。直後11分足のそれは11pips(戻り比率33%)です。直後1分足や直後11分足は跳幅の2/3の値幅を持つことを目安にしておけば良いでしょう。

1707英国鉱工業生産330.png

1707英国鉱工業生産340.png



【3. 定型分析】

指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は 「指標一致性分析」 をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は 「反応一致性分析」 をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は 「反応性分析」 をご参照願います。

まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。

1707英国鉱工業生産430.png

事前差異と直前10-1分足・直前1分足の方向一致率がそれぞれ23%・70%となっています。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陰線、直前1分足は陽線の可能性が高い、と言えます。

事後差異と直後1分足の方向一致率が77%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応する可能性が高い指標です。

実態差異と直後11分足の方向一致率は70%となっています。発表結果が前回結果を上回れば/下回れば、発表から10分経過後に陽線/陰線となる可能性が高い、と言えます。

次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。

1707英国鉱工業生産420.png

各ローソク足は陽線や陰線への偏りはありません(ばらつきの範囲です)。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が77%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。

反応性分析の結果を下表に示します。

1707英国鉱工業生産410.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は77%です。そして、その77%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは100%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。

そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは53%です。53%しか、最終的に反応を伸ばさないのなら、先に早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら早めに利確した方が良いということです。伸びるか伸びないかが半々ですから、無理する必要なんてありません。

【4. シナリオ作成】

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前10-1分足は陰線と見込みます。
  • 直前1分足は陽線と見込みます。
  • 発表後は追撃を早期開始し、短期利確します。
  • 更に追撃するときは、直後1分足や直後11分足の戻り比率が33%あることを踏まえ、高値(安値)掴みをしないように気を付けましょう。
    事前に15分足チャートと1時間足チャートでレジスタンスやサポートを確認しておき、そこに達したら短期逆張りを狙います。

以上



2017年9月8日17:30発表

以下は2017年9月8日19:45頃に追記しています。
?V.発表結果検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1707英国鉱工業生産510.png

結果は、鉱工業生産が予想同値で、製造業生産が予想を上回りました。反応は、直後1分足が陽線だったものの、直後11分足は陰線でした。

7月分鉱工業生産指数は前月比+0.2%でした。
前回6月分の+0.5%からは鈍化したものの、グラフ推移は2017年2月分をボトムに上昇中です。

7月分製造業生産指数の前月比+0.5%は今年最大の上昇率でした。
グラフ推移は2017年1月分をボトムに上昇に転じたように見受けられます。がしかし、プラス転換はまだ今年に入って2回(前回は4月分+0.2%)しかありません。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1707英国鉱工業生産520.png

反応が小さな割に稼げました。
直前10-1分足で2回取引きしたのは、いつ以来でしょうか。もちろんこれは、もともと現状が北朝鮮リスクを抱えており、ロングよりショートで勝負すべき日だからです。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容には問題ありません。

(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1707英国鉱工業生産530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は 「1. FXは上達するのか」 をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年09月04日

英国景気指標「サービス業PMI」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年9月5日17:30発表結果検証済)

以下、「?T.指標予想要点」「?U.過去調査詳細」を事前投稿し、「?V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「?V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。

?T.指標予想要点

2017年9月5日17:30に英国景気指標「サービス業PMI」が発表されます。今回発表は2017年8月分の集計結果です。

今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。

1708英国製造業PMI110.png

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 本指標の実態差異(発表結果ー前回結果)は、EURGBPの上下動と逆相関している可能性があります。EURGBPの8月月足は陽線なので、今回の実態差異はマイナスとなる可能性があります。

  • 前回結果・市場予想に対する発表結果の良し悪しに素直に反応します。戻り比率が大きいため、追撃は高値(安値)掴みに気を付ける必要があります。反応方向を確認したら早期開始し、発表から1分を過ぎたら利確の機会を探る方がいいでしょう。その後も追撃するなら、短期利確の繰り返しです。

  • まれに、直前10-1分足や直前1分足が大きく動くことがあります。がしかし、こうした動きは直後1分足の反応方向とは関係ありません。釣られて追いかけると、痛い目に遭うことが多いでしょう。

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前1分足は陰線と見込みます。
    反応一致性分析の結果、陰線率が77%です。

  • 指標発表後は反応方向への追撃を早期開始し、発表から1分足を過ぎたら利確機会を探ります。
    その後も追撃を行うなら、短期利確の繰り返しで行います。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「?T.調査・分析」に記しています。


?U.過去調査詳細

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

本指標の意義は、企業購買担当者から直接調査した企業景況感を通じ、小売売上高を始めとする実態指標の先行きの予想根拠となることです。それは、経済成長率(GDP)の加速・減速・転換を知るヒントでもあります。
指数の解釈は、50[ips(Index Points)]を上回ると景気拡大・50[ips]を下回ると景気後退、です。

英国重要指標全般に言えることですが、指標発表結果への反応(値動き)が素直で大きいという特徴があります。がしかし、FX会社などの経済指標ランク分では、本指標は他国の景気指標と同程度かそれ以下の重要度・注目度に位置づけられることが多いようです。
けれども、我々は経済情勢自体にでなく、為替レートの動きに興味があります。そういう意味で、英国景気指標は主要国景気指標で最も反応が大きいため、最重要な指標と言えます。調査対象期間で最も大きく反応したときには110pipsにも達しています。米国ISMの反応なんて、本指標の足元にも及ばないのです。

ーーー$€¥ーーー

本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1708英国製造業PMI120.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で24pipsです。
但し、分布を見ると平均値を以下の反応だったことが68%で、たまに大きく反応したとき、その大きさが半端じゃない、ということでしょう。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1708英国製造業PMI210.png

2016年6月のブリグジット離脱国民投票直後が直近のボトム(底)になっています。その後、同年末まではGBP安による輸出好調によって企業景況感は急上昇しました。2017年に入ってからは上下動1.5回目で、今はその上下動のボトムにあたります。

先の急上昇がGBP安による輸出好調だったなら、今年に入っての上下動もGBP高・GBP安の影響かも知れません。確かめてみましょう。

確かめるなら、貿易額比率が大きいEURGBPについてでなければいけません。サービス業PMIとその調査月月初のEURGBPの関係は、PMIの直近ピークの2016年12月分を基準とし、

2016年12月:56.2と0.85(基準)
2017年 2月:53.3と0.86(↓対↑)
2017年 4月:55.0と0.85(↑と↓)
2017年 6月:53.4と0.87(↓と↑)

の関係があります。
EURGBP↑はGBP安、↓はGBP高ですから、因果関係も説明がつきそうです。

よって、現状のPMI上下動はEURGBPの動きと相関している可能性がります。今回8月分発表ではEURGBP8で↑なので、PMIは↓と予想されます。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が12pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去3回(頻度10%)あります。
この3回の直後1分足跳幅は14pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsよりも、かなり小さくなっています。そして、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(33%)しか一致していません。

1708英国製造業PMI310.png

次に、直前1分足の過去平均跳幅は8pipsです。この跳幅が12pips以上だったことは過去5回(頻度16%)です。
この5回の直後1分足跳幅は14pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsより小さくなっています。そして、この5回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回(40%)しか一致していません。

1708英国製造業PMI320.png

そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は8pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率33%)です。直後11分足のそれは13pips(戻り比率38%)です。戻り比率が大きく、高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。

1708英国製造業PMI330.png

1708英国製造業PMI340.png



【3. 定型分析】

指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は 「指標一致性分析」 をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は 「反応一致性分析」 をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は 「反応性分析」 をご参照願います。

まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。

1708英国製造業PMI430.png

事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ79%・74%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。

次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。

1708英国製造業PMI420.png

直前1分足の陰線率が77%と、偏りが見受けられます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が83%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。

最後に、反応性分析の結果を下表に示します。

1708英国製造業PMI410.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は83%です。そして、その83%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは71%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。

そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは59%です。59%という数字は低くないものの、早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら早めに利確した方が良さそうです。

【4. シナリオ作成】

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前1分足は陰線と見込みます。
    反応一致性分析の結果、陰線率が77%です。

  • 指標発表後は反応方向への追撃を早期開始し、発表から1分足を過ぎたら利確機会を探ります。
    その後も追撃を行うなら、短期利確の繰り返しで行います。

以上



2017年9月5日17:30発表

以下は2017年9月6日に追記しています。
?V.発表結果検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1708英国製造業PMi510.png

結果は前回・予想を下回り、反応は陰線でした。
がしかし、指標発表直後1分を過ぎると、陽線側に転じ、上下どちらかに進むかが読めない動きとなりました。
グラフ推移は、2017年4月分以降が停滞中であり、「ありそうな下降」を窺わせる気配はありません。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1708英国製造業PMi520.png

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容を、以下に検証します

  • 指標予想に関して次のように捉えていました。
    本指標の実態差異(発表結果ー前回結果)は、EURGBPの上下動と逆相関している可能性があります。EURGBPの8月月足は陽線なので、今回の実態差異はマイナスとなる可能性があります。

    結果はマイナスでした。

  • 反応について次のように捉えていました。
    前回結果・市場予想に対する発表結果の良し悪しに素直に反応します。戻り比率が大きいため、追撃は高値(安値)掴みに気を付ける必要があります。反応方向を確認したら早期開始し、発表から1分を過ぎたら利確の機会を探る方がいいでしょう。その後も追撃するなら、短期利確の繰り返しです。

    初期反応は素直で、1分を過ぎてから大きな戻りが生じていました。

  • 注意事項として次のように捉えていました。
    まれに、直前10-1分足や直前1分足が大きく動くことがあります。がしかし、こうした動きは直後1分足の反応方向とは関係ありません。釣られて追いかけると、痛い目に遭うことが多いでしょう。

    直前10-1分足や直前1分足は、今回、こうした動きを示しませんでした。

(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオは次の通りです。


  • 直前1分足は陰線と見込みましていました。結果は陰線でした。

  • 指標発表後は反応方向への追撃を早期開始し、発表から1分足を過ぎたら利確機会を探るつもりでした。

    早期追記を開始し、短期利確で済ませました。

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1708英国製造業PMi530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は 「1. FXは上達するのか」 をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年09月02日

4-4. 英国経済指標(2017年9月版)

英国の経済指標発表前後の取引はGBPJPYで行っています。



2017年度のトレンド判断は以下3つの視点によって決まっているようです。

  • 6月総選挙でメイ首相の立場がどれぐらい強まるか
    →与党議席減で首相進退論が出たり、閣内不協和の報道がでています。がしかし、英首相は2022年の総選挙後の続投にも意欲を示しています。古今東西、結論履行に責任を負わない交渉相手は望まれません。だから、この発言の信憑性を論じても意味がありません。

  • BOEが物価高にいつどの程度の対策を講じるか
    →6月までに利上げ派のMPCメンバーが3名に増えたものの、成長率とインフレ率上昇が鈍化しています。その結果、現在は利上げ派メンバー1名が退任した分だけ、利上げ派が弱まった感があります。こうなると、BOEよりも先に、アベノミクスと同様に、公務員給与引き上げ等の政府政策が行われる可能性の方が高いかも知れません。もともと利上げは、株価を下げかねない、という問題を孕んでいるからです。

  • ブリグジット交渉進展と内容
    →9月独総選挙が終わるまで、劇的進展は期待できません。第2回交渉と言われる8月下旬のEUとの会合では、案の定、何ら進展がありませんでした。但し、ここにきて独国世論調査で、ブリグジットが欧英双方に不利益、との結果が出ています。だからと言って、まだ、英国へのペナルティのために見せしめ的な条件を緩和しても良い、という結果ではありません。

以下、9月版は8月版を順次改訂していきます。


6月総選挙の結果、与党は議席を減らし、単独過半数から過半数割れとなりました。前首相のEU離脱国民投票といい、英国はやらなくてもいい選挙を行って、ダメージを負うことが続いています。政権基盤が弱まったことで、対EU交渉での譲歩が難しくなりました。

経済指標は、4-6月期成長率が1.7%に鈍化しました。
多くの解説記事で個人消費低迷が原因に挙げられています。それは、小売売上高前年比が昨年10月をピークに低下傾向が続いていることで確認できます(6月は改善)。それでも、物価上昇率は賃金上昇率を上回り続けています。
物価上昇への対策のため、6月後半から利上げ気運が高まり、6・7月分指標発表(7・8月発表)が行われるにつれてその気運が静まったという状況です。

8月7日、調査会社ORBが8月2-3日に実施した世論調査で、EU離脱交渉への英政府の取組に否定的な見方が増加していること、を発表しました。EU離脱を巡る英政府の交渉を支持しないとの回答は61%でした。なお、この数字は、6月調査46%、7月調査56%、で徐々に増加しています。
更に、8月4日にIOD(経営者協会)は政府に対しEU離脱の合意内容を策定することを求め、8月9日に英最高裁長官は欧州司法裁判所の判決をどう扱うかを政権は明確にしなければならないと主張した、と報道されています。

8月17日に英政府は、EU離脱交渉を10月迄に十分な進展があると確信していると表明しました。
がしかし、8月31日まで行われた交渉で、EU側の要求する在英EU市民の権利・英国とアイルランドの国境問題・手切れ金に関する交渉で何ら進展がなかったようです。

内憂外患でいよいよどうにもならなくなってきました。英政権は、9月23日の独総選挙が終わるのを待ちわびているでしょう。EUの主要選挙が終わるまであと1か月の辛抱です。

9月の英国経済指標発表は、第3週(9月11日〜15日)がメインとなります。第1・2週は景気指標、第2・3週は実態指標・物価指標・金融政策、第5週にGDP確定値発表へと続きます。

政策決定指標

  • 4-4-1. 英国政策決定指標

    景気指標



    9月5日に発表された8月分サービス業PMIは53.2でした。前回(53.8)を下回ったものの、現状で「ありそうな下降」への転換と言えるほど悪い数字ではありません。その結果、市場の反応は発表直後こそ陰線で反応したものの、直後11分足は陽線に転じました。

    経済実態指標

  • 4-4-2. 英国経済実態指標

9月8日に発表された7月分鉱工業生産指数は前月比+0.2%でした。前回6月分の+0.5%からは鈍化したものの、グラフ推移は2017年2月分をボトムに上昇中です。
同時発表された7月分製造業生産指数は前月比+0.5%で、この数値は今年最大でした。グラフ推移は2017年1月分をボトムに上昇に転じたように見受けられます。がしかし、プラス転換はまだ今年に入って2回(前回は4月分+0.2%)しかありません。

9月8日に発表された7月分貿易収支は△115.76億GBPでした。
内訳は、財・サービスが28.72億GBPの赤字で前月とほぼ同じ、製品輸出がEU向けで増え、EU外とは横這いでした。
グラフ推移は、長期的な下降基調(赤字拡大)が継続されています。前月よりは赤字が減ったものの、EU向け製品輸出しか改善されていない点を見ると、GBP安の影響は見出せません。

以上


4-4-1. 英国政策決定指標(2017年9月版)

BOEは、そうそう簡単に政策変更しないという話があります。もちろん、これは過去の実績で、BOE総裁もMPC委員も実際には入れ替わっているのだから、こんな話を当てにはできません。



【4-4-1.(1) 金融政策】

3月MPCでは、昨年7月以来の利上げ主張する委員が現れました。6月MPCでは利上げ主張委員が3名に増えました。昨年6月の国民投票以降のGBP安による物価が急上昇が利上げ派の主要論拠で、賃金上昇への悪影響(景気への悪影響)の懸念が様子見派の主要論拠です。

6月15日のMPC声明では「政策変更にあたっては、EUの新たな貿易協定締結やその移行期間設置の合意など、EU離脱交渉次第」という条件が挙げられました。6月下旬には、BOE総裁が利上げ検討の必要性について言及しました。但し、利上げに当たっては「物価上昇に伴う消費減速を企業投資が補えるか」を前提に挙げていました。
利上げ気運にブレーキをかけた訳です。

そして、利上げ気運の高まった8月1日のMPCでは、利上げ派理事が1名退任したこともあって、利上げ賛成派が2名に減りました。一気に翌朝までにGBPJPYは300pips近い下落となりました。
300pipsはひどいじゃないか。これは、退任した利上げ派理事1名の代わりに、別の理事が利上げ賛成に回るかも知れない、という予想もあったので、発表までGBPが下がっていなかったのです。

 (分析事例) BOE政策金利 (2017年8月3日発表結果検証済)

直前10-1分足と直後1分足との方向一致率は68%なので、取引参加者は3回に2回の割合で発表直後の反応方向を当てています 。英国は金融の国であり、予想分析もそこに乗って取引する人も、平均的な我々より平均的に上手なのかも知れません。
危ないので、 大きな発表があるときは、追撃に徹した方が良い と思います。


【4-4-1.(2) 財政政策】

先の総選挙での保守党公約は、移民削減(年間10万人未満)・2025年頃までの財政赤字解消・消費税を上げずに2020年までに法人税を17%まで引き下げ・高額役員報酬問題への歯止め・労働者の権利拡大・電気ガス料金の上限設定・キツネ狩り禁止法廃止の採決、等がありました。英国にとって都合が悪い内容ならEUと合意しない方がマシ、という首相発言も公約にあたるでしょう。
ところで、キツネ狩りが英国でそれほどのテーマだなんて、知っていましたか。そんなこと言ってる場合か、という気もします。

【4-4-1.(3) 景気指標】

9月1日発表された8月分製造業PMIは56.9でした。前回(55.1)を上回り、今回結果によって指標グラフの推移は上昇再開の可能性を窺わせる形状となりました。がしかし、市場は上昇再開に懐疑的なのか、反応は過去平均よりも小さく、しかも直後11分足が直後1分足の値幅を削りました。

9月5日に発表された8月分サービス業PMIは53.2でした。前回(53.8)を下回ったものの、現状で「ありそうな下降」への転換と言えるほど悪い数字ではありません。その結果、市場の反応は発表直後こそ陰線で反応したものの、直後11分足は陽線に転じました。

以上、英国8月分景気指標は、落ちそうで落ちない、といった状態です。
9月分は、製造業PMIが10月2日、サービス業PMIが10月4日、に予定されています。

ーーー$€¥ーーー

以下、英国景気指標の反応傾向と分析事例です。

もともと景気指標は、各種実態指標よりも先に発表されるため、予想の論拠にし得る事実が乏しくなる、という性格があります。
よって、論拠たり得る事実は、(a) 指標グラフの推移(推移とは上昇/下降/停滞の3状態のどれかを指します)、(b) 指標発表時刻に取引量が多いEURGBPやGBPUSDの対象月の月足推移、(c) FTSE(株価)推移、指標と予想の関係性(市場予想後追い型か否か)、といった事柄に絞られます。

製造業PMIは、反応方向を確認したら早期参加して、反応が伸びるのを待って利確機会を窺えば良いでしょう。発表から1分を過ぎても、そのまま反応を伸ばしがちですが、安心してポジションを長持ちできるほどの確率はありません。追撃するなら、早期開始・短期利確繰り返し、が良いでしょう。
強調注意すべき点は、指標発表前の取引が危ないので避けた方が良い、という点です。直前10-1分足は、ときどき(頻度20%以上)20pips以上跳ねているものの、そうした動きがあったときに直後1分足はその跳ねと逆方向に反応することが過去実績86%にも達しています。知っていれば、指標発表後に逆に跳ねる予兆ですが、知らずに慌てて釣られてしまうと、反応が大きい指標だけにかなり痛手です。直前1分足もしばしば(頻度25%前後)10pips以上跳ねているものの、このとき直後1分足の反応方向は予想がつきません(直前に跳ねた方向に発表後も跳ねるとは言えません)。そもそも、このように直前10-1分足や直前1分足が大きく跳ねたとき、事後差異(発表結果ー市場予想)が大きくなった(発表結果が市場予想と大きく乖離した)、という事実(傾向)はありません。

 (分析事例) 製造業PMI (2017年9月1日発表結果検証済)

サービス業PMIは、EURGBPの月足上下動と逆相関の関係が見受けられます。一方、数日前に発表される製造業PMIの結果との相関は「無くはない」と言った程度しかありません(60%未満、50%以上)。
前回結果・市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応するものの、戻り比率が大きいため追撃は高値(安値)掴みに気を付ける必要があります。反応方向を確認したら早期開始し、発表から1分を過ぎたら利確の機会を探る方がいいでしょう。その後も追撃するなら、短期利確の繰り返しです。
まれに、直前10-1分足や直前1分足が大きく動くことがあります。がしかし、こうした動きが直後1分足の反応方向とは関係ありません。釣られて追いかけると、痛い目に遭うことが多いでしょう。

 (分析事例) サービス業PMI (2017年9月5日発表結果検証済)


【4-4-1.(4) 物価指標】

主要国でCPI(消費者物価指数)・RPI(小売物価指数)・PPI(生産者物価指数)が一度に発表されるのは英国だけです。CPIやRPIの発表結果が揃って改善/悪化すると、驚くほど大きく反応するので注意が必要です。
BOEの目標インフレ率は年2%程度です。

8月3日に公表されたBOEのインフレ報告は「インフレ率は2017年10月に3%付近でピークと予想」との見通しを示しました。そして、8月9日には「ここ数か月の消費支出は減速し、ポンド安が輸出を支援するものの、英国のインフレはピークに近い可能性」との見解を示しました。

対する8月15日の物価指標発表結果は、CPIが横這い、RPIが上昇。PPIが下降でした。まちまちの結果となったものの、それでもCPI前年比は+2.6%です。

 (分析事例) 物価指標 (2017年9月12日発表結果検証済)

過去の傾向は、 早期参入・早期利確の追撃に適した指標 です。 指標発表から1分を過ぎてからは、初期反応の値幅を削ったり反転することの方が多くなっている 点に注意しましょう。
反応が大きい指標なのであまり勧められませんが、直後1分足の事前差異との方向一致率が80%近くある指標です。 指標発表前に事前差異と同方向にポジションを取得し、指標発表直後に跳ねたら利確であれ損切であれ、ポジションを解消するやり方も可能 です。



【4-4-1.(5) 雇用指標】

8月9日、BOEは「英企業の採用状況は厳しく、賃上げ率も2-3%の小幅に留まる」見通しを示しました。また「製造業者は、追加雇用よりも自動化や生産性向上を通じ、輸出増に対応する考え」も示しました。

英国は2013年以降、財政緊縮のため公務員の賃上げ率が1%以下に制限されています。日本も同様の政策を採っていたものの、アベノミクスではこの制約を見直して公務員給与を民間に先駆けて(大企業とはほぼ同時期に)引き上げました。英国がEUとの離脱交渉の結論が見える時期に、利上げや公務員賃上げを行う可能性は高い、と考えています。そもそもEUを離脱すれば、財政収支の制約がなくなるのだから。

8月16日雇用統計発表では、7月分失業保険申請件数が5か月ぶりにマイナスとなり、6月分失業率も直近最低の4.4%まで低下しました。6月分平均所得も2%を上回り、全面的に良い結果となりました。
発表直後の反応は2015年8月以来の大きな陽線を形成したものの、それでも発表から2時間も経つ頃には「行って来い」で指標発表前のGBPJPY水準に戻しました(GBPUSDでは半値戻し)。
GBPを買い上げる環境にはない、ということです。

 (分析事例) 雇用統計 (2017年9月13日発表結果検証済)

発表から1分を過ぎると、どちらに反応するかがわからない指標 なので、 追撃は早期参加・短期利確が基本 です。
以上



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