成田離婚
浜野真と梨央の新婚旅行はハワイだった。旅程は一週間だ。平凡だが安全で楽な旅程を浜野が決めてきた。説明もしっかりしていたし段取りもよかった。仕事ができそうだった。
一週間も離れるのは事件以来初めてだった。不安だが、余り過保護にするのは梨央のためにならない。そう思いつつも、新婚旅行に送り出す日は梨央も僕たち親も恐ろしく緊張していた。
一週間後の午後4時ごろ、真と梨央が突然我が家に帰ってきた。今日は浜野へ帰って日を改めてあいさつがあるのかと思っていた。梨央は顔色もよくて出発のときよりもきれいになった気がした。おお、元気そうだと心から安心した。
しかし、落ち着いて話してみると、なんと梨央をこの家で預かってほしいという。噂に聞いていた成田離婚かと思った。梨央はうちの娘なので、預かってくれと言われる筋合いはなかった。若造がつまらない口の利き方をしやがってと腹が立った。初めて怒髪天を衝くというのが現実だとわかった。
ところが梨央がこの男の肩を持つ。一緒に神戸で暮らしたいというではないか。東京で家族と同居するんじゃなかったのか?そういう部分が気に入って進んだ縁談じゃなかったのか?
浜野も必ず土曜日に迎えに来る、とにかく部屋を片付ける時間をくれというので了承した。
何となく信用してもいい気がした。最悪の場合は梨央はうちの娘として今まで通り暮らすだけだった。
浜野が神戸へ引き上げてから梨央に詳しい話を聞いた。梨央はあの男に事件の日のことを全部話したそうだ。「あの人ね、私の話を聞いた後で一生守るって言ってくれたの。それでね、その翌日から、外へ出るときには手をつないでくれるの。レジをするときには、私の手を脇に挟むのよ。」と言って笑った。
「あの男、外面と内面が違うんじゃないか?気難しくないか?」と聞くと「そうなの、全然違うのよ。外面は愛想がよくてスマートな感じでしょ?ちょっと冷たい感じもするでしょ?最初はちょっと怖かったの。でも内面は、あんまりスマートじゃないの。言葉は少ないんだけどすることが優しいの。多分お願いしたらなんでも聞いてくれるわ。だから無理言っちゃいけないの。」と親に向かって臆面もなく大のろ気を吐いた。
たった一人の男がたった一週間で娘の自信を取り戻して瞳や頬に輝きを与えていた。絵梨は寝室で、「おじいちゃんそっくりね。奥さんにデレンデレンになるタイプなのよ。」とつぶやいた。僕は心の中で「じいちゃん、ありがとう。」といった。
続く
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2019年08月15日
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