第二次世界大戦が舞台となった映画はたくさんあります。多くの人が戦争の犠牲となり死んでいくわけで、内容的には悲しい映画がほとんど。
この『ユダヤ人を救った動物園』(The Zookeeper's Wife)も例にもれず多くの犠牲者が出てきますが、犠牲になったのは人間だけではありません。人間の戦争に巻き込まれて死んだ動物たちもたくさんいたのを知ることができます。
1939年にナチスドイツはポーランドに侵攻。その時、市民の楽しみであった動物園もドイツ軍の集中砲火を浴び、多くの動物が死んでいくことに。
ポーランド最大のワルシャワ動物園を経営していた、アントニーナ (ジェシカ・チャステイン) とその夫ヤン(ヨハン・ヘルデンベルグ)の、実話をベースにした悲しくも勇敢な物語です。
ユダヤ人迫害に立ち向かった動物園経営者
第二次大戦の勃発後しばらくして、ドイツ軍に侵攻されたポーランド。
砲撃を受けた動物も声を上げることなく死んでいき、経営もままならなくなる動物園。さらに、経営者のアントニーナとヤン夫婦は、親しくしていたユダヤ人夫婦が迫害されるのを目の当たりにします。
あまりの仕打ちにたまりかねた二人は、自らの身の危険をかえりみずに危険な決心をすることに。
それは、日々強制収容所送りにされていくユダヤ人を、自分たちの経営する動物園に連れ戻してかくまうというものでした。
強制収容所からユダヤ人をなぜ救出できたのか?
(引用:
https://www.facebook.com/TheZookeepersWife/ )
◇生死が隣り合わせの戦争映画
その方法は、夫ヤンのアイデアで動物園を養豚所とし、エサになる残飯を強制収容所から出されるものを集めるという仕事を請け負ったのです。
飼料回収にまぎれさせて運んだのは、なんと収容所の中のユダヤ人でした。
戦争映画の特徴は、生死がいつも背中合わせの緊張場面。
見つけられれば、逃亡を手助けした夫婦はもとより、これまで動物園に運ばれた人たちには一網打尽の処刑が待っています。
◇ドイツ将校の知人が動物園に
別の場面では、ユダヤ人をかくまった人間を通報する人もいて、結果、無残に銃殺されるところを紹介。
監視兵の一瞬のスキをついて収容所から人間を運び出すわけですから、それはもう見ていて痺れる瞬間の連続です。
一方、動物園には経営の相談で戦前から出入りしていたドイツ人男性・ルッツ(ダニエル・ブリュール)という人物がいて、アントニーナと親しくしていました。
しかし、いざ戦争になって、ルッツは将校として動物園の管理のために赴任してきたのです。
◇夫ヤンの妻への嫉妬心とは?
園内を視察するルッツに、アントニーナはかつての知人として応対しますが、匿っているユダヤ人がいることを絶対に知られるわけにいきません。
ある日の視察でルッツは何か不審なものを感じるのですが、注意をそらすためにアントニーナがやったことは、ルッツに好意を寄せているという素振り。
アントニーナにとってはやむにやまれぬ必死の行動だったのですが、思わぬところに影響が出たのでした。
それは思いもしない、夫ヤンのアントニーナへの嫉妬心に変わっていったのです。
ギリギリの緊張感を好演ジェシカ・チャステイン
動物園では、動物の飼育のために一生懸命頑張る人たち。
中でもアントニーナは、動物の出産をも手助けする熱心な経営者。
しかし、園内の動物が頭数の整理のため次々と射殺されて行く場面はたまりません。一方で、そこにはユダヤ人を見つけようと執拗に嗅ぎまわるルッツがいます。
夫から猜疑の目を向けられながらも、ギリギリの緊張でユダヤ人を守り続けようとするアントニーナをジェシカ・チャステインが好演するのは見どころです。
参考ジェシカ・チャステイン主演映画: 『モリーズゲーム』
『女神の見えざる手』
感想とおすすめ度
ジェシカ・チャステインの好感度 ★★★★★
戦争の悲惨さ ★★★★☆
ドキドキとハラハラ度 ★★★★☆
鑑賞後のスカット度 ★★★★☆
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