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2020年01月11日

禁断の人工生命体に手を出すな!脳神経科学者の失敗、SFスリラー『レプリカズ』

レプリカズ.jpg


かつてのSF映画は「絵空事」で、奇抜さゆえに映画を純粋にエンターテインメントとして楽しめたものです。



その分、さらに知的好奇心が沸き映画を面白く観られるようになったのではないでしょうか。

特に、「人工生命体」の世界は、現実世界におけるAIの著しい進歩により現実味を帯びてきたといえます。

今回紹介する 「レプリカズ」 は、クローンとして複製(レプリカ)される「人工生命体」がテーマです。

モーガン 参考記事: 人工生命体『モーガン』 (映画マガジン『洋画のレタス炒め』)



オデッセイ 参考: 「ヒューマノイド3部作」 (webマガジン「洋画のレタス炒め」)


■バイオ企業の神経科学者と、家族を襲った災難




主人公ウィリアム・フォスター (キアヌ・リーヴス) 一家は、妻と子供3人が仲良く暮らすありふれた家庭でした。

ある日、家族を乗せたウィリアムの車が突然の事故に遭遇します。

助かったのは運転していたウィリアムだけで、妻モナ (アリス・イヴ) と3人の子供は即死。

普通の夫なら、悲しみに打ちひしがれ茫然自失のうちに家族と永遠の別れをするしかありません。

しかし、医療系バイオ企業の神経科学者であるウィリアムは違っていました。

考えたのは、死んだ家族をなんとか「蘇生」できないかということでした。

というのも、実際に彼の仕事は死亡確認の取れた人間の神経系ネットワークをすぐさま機械に移植し、「人工生命体」として生き返らせるという実験を繰り返していたのです。

■倫理と道徳を無視し、クローン人間への挑戦


レプリカズ4.jpg

(引用: https://www.facebook.com/replicasmovieofficial/

◆神経科学者の夢と、屈折した家族愛?

神経科学者としての夢を実現したいウィリアムにとって、4つの遺体を自らの実験対象にしようと決断するのに時間はかかりませんでした。

また、家族への断ち切れない深い愛情があったことも確かです。

すぐさま、研究員の同僚に相談をします。

ウィリアムの計画は、「肉体」を クローンで再生し、記憶や感情などの神経系ネットワークを後から埋め込むこと。

幸か不幸か、ウィリアムの勤める企業には動物クローンを育て、創り出すための 装置「ポッド」が3つありました。


◆究極の選択を乗り越えた、ありえない決心とは?

しかし、「ポッド」はあくまで動物クローン用で、クローン人間をつくるなど認められるはずもありません。

しかも、亡くなった家族4人に対してポッドは3個しかありません。

相談された同僚は、禁止事項である上に、失敗の場合のクローン人間のリスクを説きやめるよう説得。

が、ウィリアムはついに妻と子ども2人のクローン化に踏み切るのでした。

平常心を失いつつあるウィリアムが、末っ子の子ども「ゾーイ」のクローン化を断念する心理描写は見どころです。

クローンの 「製造」期間は17日間

近所の住民や子供たちが通っていた学校からの問い合わせに窮しながらも、家族との「再会」を心待ちにするウィリアムでした。

◆神経系の移植に際し、問題は家族間の「記憶」

レプリカズ3.jpg

(引用: https://www.facebook.com/replicasmovieofficial/

家族たちとの「再会」に際し、ウィリアムがもっとも心配したのが家族たちの記憶。

ここはウィリアムが専門とするところです。

亡くなった直後に、家族の頭から記憶をすべて取り出し、クローン化が成功した段階で脳に埋め戻すシナリオを立てます。

しかし、問題は妻や兄弟の中にある、可愛い末っ子ゾーイと関わった記憶。

妻や兄弟が目覚めたとき、ゾーイがいないことに気付かないようにする必要があったのです

見どころのひとつですが、ウィリアムは神経科学者として腕を振るい、なんと家族が持っている末っ子に関する 記憶をひとつひとつ消しにかかります。

頭の中だけに限らず、実際の家に中にあるゾーイの写真や持ち物すべてを処分していくことに。

■「レプリカズ」たちのクライマックス
(最後のネタバレなし)

レプリカズ2.jpg

(引用: https://www.facebook.com/replicasmovieofficial/

さて、映画のクライマックスは、17日間が経過しいよいよ再生される家族たちです。

(少しネタバレを含みます。) 「クローン化」 「記憶の埋め込み」は、成功したのでしょうか?

目覚めた妻や子供たち(クローン人間=レプリカズ)に、一見、平静な日常生活が家族に戻ってきたかのようです。

しかし、冷蔵庫の牛乳が半月間放置され腐っていたことに気付く妻モナ。

子供部屋にある、処分し忘れた二段ベッドを不思議がる2人の子供…ほころびは少しづつやってきます。

■最後まで盛り上げてくれる「ドンデン返し」


紆余曲折があったもののなんとか切り抜け、再び家族との楽しい時間を過ごせると信じ込んでいたウィリアムですが、とんでもない事態が持ち上がります。

ひとつは、 違和感を訴える妻と子どもたち。

そしてもうひとつ、ウィリアムの想定外だったのは彼の勤めるバイオ企業が、今回のクローン化の成功(?)を察知しよからぬことを考えたこと!

エンディングに向かい、一気に盛り上がりを見せますので最後までお楽しみに!



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