映画『ホテル・ムンバイ』は、R15+指定の映画です。
2008年にインド西海岸のムンバイ市街一体で実際に起こった、同時多発テロ事件。
ターゲットのひとつが、ホテル・ムンバイ(実在名は、「タジマハール・ホテル」)でした。
襲撃者により、多数の宿泊客と従業員が次から次へと無造作に殺されて行くシーンは、鑑賞者の年齢が15歳以上であってもたまりません。
テロの悲惨さ、家族の悲しみを実感!
今でも世界の各地で起こるテロ事件。映画とはいえ、テロの悲惨さ、引き裂かれる家族の悲しみを知るには十分すぎるものがあります。
当日の宿泊客は約1000人。従業員は、約500人だったと言われます。
約10名のテロリストがホテルを占拠し、多くの犠牲者を出すことに。
ホテル・ムンバイは、インドで有名な五つ星の巨大ホテルでした。
一階玄関ロビーでの銃撃後、普通であれば緊急連絡で警察が大挙して駆けつけて当然と思うのですが、現地警察の動きはよくありません。
各地での同時多発だったこともあり、「手に負えない!」という地元警察のアナウンスに驚かざるを得ません。
引き裂かれる家族が悲しすぎる…
◇テロが勃発するも、遅い地元警察の動き
もどかしいのは、テロ対策の特殊部隊がはるか離れたデリーしかおらず、駆けつけるのに1日近くを要するということでした。
各部屋にじっと身をひそめる宿泊客。襲撃者の標的は、豪華ホテルで裕福さを謳歌する外国人であれば誰でも良かったのです。
部屋を回り、片っ端から宿泊客を銃殺していくテロリスト…。
そんな中、ホテルに泊まっていたアメリカ人のデヴィッド(アーミー・ハマー)家族がいました。
参考: アーミー・ハマー出演映画『ビリーブ 未来への逆転』
◇ホテル従業員のプロ意識に注目!
突然の出来事に、妻ザーラ(ナザニン・ボニアティ)、生後間もない赤ちゃんとベビーシッターのサリーは、デヴィッドと離ればなれになり逃げ惑います。
そんな中、映画では、厨房で働く従業員のアルジュン(デブ・パテル)と、料理長のオベロイ(アヌパム・カー)にスポットが当たります。
名門ホテルで働くプロを自負する二人。
物おじせず、あくまで顧客の安全確保を最優先に行動を起こすのでした。
参考: ナザニン・ボニアティ(Pinterest画像)
参考: デブ・パテル主演映画『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』
逃げ出したい従業員の気持ちをひとつにし、助けを求める宿泊客たちを自分たちの仕事場である厨房に集めます。
そこは出入り口が少なく、襲撃者から見えにくい恰好の隠れ場所だったからです。
また、アルジュンは怯える顧客を安心させ、瀕死の重傷を負った人を病院へ運べないかと腐心します。
しかし、レスキュー部隊はいくら待ってもやって来ません。
ついに、シビレをきらした宿泊客の中から、アルジュンやオベロイの制止も聞かず、厨房から抜け出そうとする者も。
その中に、夫や赤ちゃんと離れてしまった妻ザーラ(冒頭の画像)もいました。
◇必死の救出も不幸な顛末へと
テロリストたちの目的は、宿泊客を一堂に集めて殺してしまうこと。
そのため彼らは人質を一か所に集め出し、また兵器も銃から小型爆弾へとやり方を変えてきます。
ひとつの部屋に集められていく宿泊客。
我慢できずに逃げ出したザーラも捕まり、皮肉にもそこで夫デヴィッドと再会することに。
焦る黒幕テロリストが出した最後の指示
その頃、テロリストたちは逐次報道されるニュースをホテル内で聞くことに。
すると、テロ対策の特殊部隊がまもなくホテルに到着するというニュースを知ってしまいます。
テロリスト実行犯に無線で指示を出していた黒幕人物にも焦りが見え始めます。
黒幕からテロリストへ最後の指示。
それは、人質はもういらないからすべて銃殺、あとは建物に火をつけホテルごと破壊してしまえというものでした…。
まとめと感想
映画でスポットの当たる人質は、デヴィッド家族の他にも、映画の冒頭から善良な宿泊客や、顧客を最優先する従業員が前振りとして何人も紹介されます。
映画の中では、いわばみんな主人公。しかし、最後は「+15指定」の意味が痛烈にわかります。
ちょっと見ているのがツラくなるほど、次々と殺されて行きます。
誰が殺され、誰が生き延びたかは映画の中で確かめて下さい。
容赦なく登場人物を殺していくこの映画。しかし、考えればこれがテロの現実かもしれません。