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2022年11月刊マカロン文庫著者:西雲ササメさん翻訳家の玲菜は、旅先でエリート弁護士である久嗣と出会う。互いに惹かれ合っていたが、ある事情で離れ離れになり再び会えずにいた。もう諦めようと思っていたのに、一年後に偶然再会。さらに魅力的になっていた久嗣に心を奪われ一夜を共にすると、翌月妊娠が発覚! 結婚を申し込まれるも彼を信じきれず、子どもが一歳になるまでに本当の夫婦になれなければ別れると約束する。ーー「お前たちを離さない」独占欲を剥き出しにした久嗣の激愛で、玲菜は絆されていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 加納玲菜=翻訳家。久嗣との結婚生活に疲れ、離婚を提案する。 加納久嗣=国際弁護士で玲菜の夫。 加納凌太=じき1歳になる夫婦の一人息子。すれ違い夫婦のお話。久嗣と玲菜が結婚して1年半。可愛い盛りの息子がいても夫婦仲は冷え切っていると玲菜は思っている。そもそも二人が結婚したのも、所謂デキ婚であったのも大きい。しかも、当時も交際していたわけでもなかった。旅先で出会い、その一年後に再会。その夜盛り上がった結果だったと言う。今思えば、よくよく相手のことを知らないままでの結婚だったのだし、上手く行くはずがないのだ。入籍前に一応、息子が1歳になるまでに本当の夫婦になれなければ離婚しようとは告げてあるのだが、彼にとってはどうでもいいのか、いくら国際弁護士とは言え、海外出張ばかり。玲菜が育児ノイローゼになりかかりボロボロの時でさえ、久嗣は不在で一切傍に居てくれなかった。息子・凌太の1歳の誕生日まであと2週間。潮時かと、玲菜は離婚を決意。しかし、喜んで了承するかと思われた久嗣は断固拒否。絶対に別れないと聞く耳を持たない。仕事柄体裁が悪いからだろうか。それとも凌太を手放したくないから?彼なりに息子は可愛いのかもしれないとは思ったが、その割に放ったらかしだったのは解せない。久嗣は話し合おうと言うが、玲菜は話をするのも億劫だった。だが、離婚を切り出した日からというもの、久嗣は家族の時間を持つべく多忙なはずなのに毎日家に帰って来る。しかも、そのために大事な出張をキャンセルしたと言うのだ。もしかして本当に彼は自分達と離れたくないと思っている?親子三人でレジャー施設にまで出かけるなんて、数日前までの彼とは別人のようで、戸惑うばかり。玲菜が久嗣とどうありたいのかと考え始めていたある日、彼の所属する弁護士事務所近くのカフェにて、女性所員たちの久嗣に関する口さがない噂を耳にしてしまい・・・。これで更に玲菜は久嗣を解放してやろうと離婚の意思は変わらない旨、彼に伝えると、何故か出会った時の話を蒸し返されて面食らう玲菜。実はこの頃から君に惹かれていたとか言われても、今更遅い。連絡先を教えたのに全く連絡もくれなかったくせにと言い合いになるも、お互いの話のすり合わせで小さなミスが引き起こしたすれ違いをしていたことに気付きます。まぁ、ほぼほぼ玲菜側のミスなので、読んでて思わずツッコミが。久嗣が忙しなく働いてたのも、ノルマを早々に片づけて家族との時間を作るためだったと判り、結局二人は元鞘に。仮面夫婦と噂されてた加納夫妻は、事務所員達が砂を吐きそうになるほどの仲睦まじさを見せつけてお終い。久嗣に秋波を送っていた秘書含め、他所の家の事情を好き勝手憶測で語ってる連中に見せつけてたのが面白いです。とは言え、後の家族水入らずの生活の為だとしても、乳飲み子抱えてストレスで精神病みそうだった奥さんを何か月も放置は良くないよなぁ。いくら、家事代行頼んでくれてたとしてもですよ。玲菜も変に意地張ってたのは良くないものの、こういう時に何もしてくれない夫は一生妻に根に持たれる言いますし、理由はどうあれ久嗣の方もここは反省して欲しい。それはともかく、二人の愛息・凌太くんが可愛かった。評価:★★★★☆この作家さんのお話はコメディの方が好み。
2022.12.06
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2022年2月刊マカロン文庫著者:砂川雨路さん参議院議員の娘である芽衣子はエリート官僚の駿太郎とお見合い結婚する。彼とは夫婦として夜を重ねていたが、愛の言葉をもらったことは無かった。そんなある日、芽衣子の妊娠が発覚し駿太郎に報告するも喜んでもらえない。というのも、彼は芽衣子に昔からの想い人がいると勘違いしていて…! 「君を幸せにするのは俺だ」ーーひょんなことから彼の庇護欲を掻き立ててしまい、溺甘旦那様になった彼にたっぷりと愛でられる日々が始まり…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 日永芽衣子=参議院議員の長女。 私設秘書として働き、父の薦めで駿太郎と結婚した。 日永駿太郎=環境省に勤めるエリートで芽衣子の夫。 丸山鉄二=芽衣子の兄。 宮間万美=駿太郎に度々連絡をしてくる謎の女性。芽衣子が父である参議院議員の私設秘書と働き始めてそろそろ3年。その父から見合いをしてみないかと薦められた。お相手は環境省のエリートらしく、出世も間違いないと言う。何より相当父が気に入ったようだった。釣書には日永駿太郎とあり、兄とは大学の同級生。しかも、添えられていた写真を見るに大層な男前で驚いた。実際会ってみると穏やかで優しそうな人だった。彼も芽衣子を気に入ってくれたようで見合いの後、正式にお付き合いしたい旨の打診があり父も大喜び。その後、トントン拍子で式の日取りも決まって半年後二人は結婚したのだった。結婚後も駿太郎は優しく、秘書を続けている芽衣子と家事を分担し手伝ってくれている。申し分ない夫ぶりに益々彼女は彼を好きになっていったのだけれど、度々駿太郎のスマホにかかって来る宮間万美なる人物の着信やSNSに不安を覚える様に。兄にそれとなく学生時代の彼のことを尋ねると、駿太郎はそれはそれはモテてたのだそうだ。しかも、物凄い美人と交際していたと言う。当時は学部でも大騒ぎだったと聞いて、それがあの宮間なのだとしたら。この結婚だって、父がゴリ押ししようなものだし、実はスピード婚に近いこともあって婚約期間中は式の打ち合わせばかりで駿太郎とは碌にデートもしていない。ぐるぐると嫌な方向にばかり考えてしまうのは最近体調が悪いからか。でもふと思い立ち妊娠検査薬で見てみるとくっきり陽性反応が。これまでの不安もどこへやら、その日芽衣子は駿太郎に報告。いつもの彼なら大喜びするものと思っていたのに、何故か微妙な反応でガッカリ。やっぱり、元カノらしき女性とよりを戻したいとか?でも、翌朝になるといつもの彼に戻っていて、今更実感が湧いたと言っていた。休暇まで取って病院に付き添ってくれている彼を疑いたくない。芽衣子は駿太郎を信じると決めたものの、件の女性からは相変わらず連絡があるようで悶々とするばかり。一方、駿太郎は後輩が芽衣子と同じ大学だったと聞き、当時の彼女のことを教えてもらっていた。美人で性格の良い芽衣子は非常にモテてアタックする輩も多かったと言う。でも皆玉砕。自分にはずっと想い続けている男性がいるからと。その思い出話を聞いたのは折しも彼女の妊娠報告の日で、思わず嫉妬してしまった駿太郎の様子が変だったのはそのせいだった。どちらもお互い心底惚れてるくせに妙な誤解でギクシャクしてしまう二人。でも、とある切欠で胸に秘めてる事があるなら打ち明け合おうと決心したことで、誤解が解けます。芽衣子に元カレなどはいませんし、宮間なる女性は義父と離婚して海外に住む駿太郎の実の母でした。この辺の事情は記載すると長くなるので、渇愛します。まぁ、ほぼ交際期間が無い上での結婚だったので、お互いをよく知らないのが拗れそうになった原因かなと。蓋を開けてみればあほらしいことで悩んでたものだと笑い話で終わるんですが、まさかの中盤で解決したので、終盤までこのままイチャイチャで終わるのかと(苦笑)と思いつつ、仲睦まじい二人の生活の裏で、ちょっと裏表がある芽衣子の兄・鉄二の恋物語も地味に展開。ラストには長男・暖人も産まれ、慣れぬ育児に悪戦苦闘する夫婦の様子が描かれてお終い。あらすじだけ読むと駿太郎の為人が冷酷な人に見えるんですが、実際は終始妻を溺愛する愛妻家です。どうしてこんな仮面夫婦みたいな内容とも取れるあらすじにしたんだろう。タイトルセンスと言い、これもこの出版社さんあるあるかも。評価:★★★★☆じれじれはしますが、それほど気にならない程度です。
2022.12.04
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2022年11月刊マカロン文庫著者:一ノ瀬千景さん恋愛にトラウマを抱えている令嬢の日菜子。ある日、親に勧められた縁談を断り切れずお見合いをすることに。なんと相手は、苦手だと思っていた勤め先の社長・善だった。断るつもりだったのに、彼から離婚前提の契約結婚を持ち掛けられ…。形だけの新婚生活だと思っていたのに、なぜか初夜から激情を刻まれていく。「俺に溺れるのが怖いか?」ーー挑発的な旦那様にとろとろに甘やかされ続け、やがて妊娠が発覚!? 想定外の溺愛に日菜子は身も心も陥落寸前で…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 大狼日菜子=大手不動産デペロッパーの社長令嬢。 善と離婚前提の契約結婚を持ち掛けられる。 大狼善=業界ナンバーワンのゼネコン企業の御曹司で日菜子の夫。 篠田南=日菜子の先輩社員。 中野佑士=日菜子の上司。 柘植悠馬=大手ハウスメーカーの御曹司で日菜子の元婚約者11月中旬発売のマカロン文庫です。ベリーズカフェでも無料で読めますが、書籍化にあたり、書き下ろしの後日談が収録されています。サイト掲載時のタイトルは「狼社長は氷の令嬢を甘く溶かしたい」この出版社さんあるあるなんですけど、原題の方が良くない?それはさておき、こちも発売からそう日が経っていないのでざっくり目に。氷堂日菜子は大手不動産デペロッパーの社長令嬢。親の会社に入社して3年、ついに気を許せる友人すら作れなかった。そもそも、感情を表に出すのが苦手でつい受け答えが固い上に社長令嬢ということで遠巻きにされていたのでは致し方ない。ストレスもあって、日菜子は退職を決意。数か月後、ゼネコン会社に再就職した。CADオペレーター室に配属となり、先輩社員の篠田南は明るく、面倒見の良い性格だった。珍しい名字なので、自分の素性は知られているのかもしれないが、変に気を遣われることもなく親しく接してくれている。素っ気ない受け答えしかできない自分が申し訳ないけれど、職場がこんなに楽しいと思ったのは初めてだった。南のことは尊敬する先輩だが、そんな彼女のことが気になるのは社長の大狼善との気安い関係だ。お互い下の名前で呼び合う二人はどういう仲なんだろう。精一杯さり気なさを装い、南に善との関係を尋ねると、付き合ってもいないし元カレとかでもないと言う。でも、南は日菜子に善が気になっても彼を好きなってはダメよ、と釘を刺した。何のことやらとは思ったが、内心、そんな心配せずとも自分は恋愛に向いてないからと自嘲する日菜子。彼女は、相手側の浮気のせいで婚約破棄になったことで長らく傷付いていた。逆切れした相手側の言い分も酷いが、同席していた彼の友人の言葉はいたく心に響き、それからというもの、何とか変わろうと努力はしている。しかし、恋愛や結婚については改めて思うと自分みたいな性分には向いてないのかもしれない。とは言え、社長の一人娘ともなると、縁談は避けて通れない。いい加減、柘植の息子のことは忘れろと、日菜子に見合いを勧めた。一先ず会えばいいからと。相手は大事な業務提携先の子息らしく、本音は纏まってほしいのだろう。だが、自分の厄介な性格も知ってるので会うだけでもと低姿勢なのだ。日菜子は渋々、両親の顔を立てて、待ち合わせ場所に向かうと、そこにいたのは大狼社長でビックリ。取り敢えず、お茶だけ飲んで、彼の方から断ってほしいと頼むと、何故かプロポーズされてしまった。そういえば、一大プロジェクトで業務提携するんだっけ。もしかして、社長の方は政略結婚を了承するつもりで言ってるんだろうか。一応、自分の厄介な性分のことも話してみたが、彼の気持ちは変わらず、一先ず離婚前提で契約結婚しないかという。善も、親達に結婚をせっつかれており、一回でも結婚すれば離婚しても煩く言わなくなるし、それは日菜子としてもそうなのではと。確かに一理ある。戸籍に×が付くのは少々抵抗あるが、1年か長くて2年経てば離婚して柵も無く生きれると思えば悪い話ではない。打算的と思いつつも、日菜子は善の提案に乗るのだった。しかし、結婚してからというもの、善は多忙ながら日菜子を溺愛。これって偽装ですよね?と首を捻りながらも、本当の夫婦のように接せられると段々絆されて善に心奪われていくように。そんな最中、日菜子の妊娠が発覚。離婚前提なのにどうしようと不安に駆られ、彼に報告と相談しようとした矢先、善が南と親し気にしている場面を偶然見てしまい・・・。これは完全に誤解なんですけど、精神的な不安定な時期に日菜子は元婚約者の悠馬と再会。そこで悶着が。悠馬と善が大学時代の同期で、あの時同席してた人物が善だと判明。長らく気にしていた言葉ではあったものの、彼の言ったことは正しくて、変わろうと思ったことも事実。そして、善はこの時から日菜子に想いを寄せていたことも本人から語られます。契約を持ち掛けたのは、勿論建前でこうでも言わないと了承してくれそうもなかったからだと明かし、元鞘に戻ってお終い。番外編で中野と南の恋物語と、書き下ろし短編では長女が産まれててんやわんやの大狼家の様子が描かれています。評価:★★★★★ヒロインが拗らせ系だったけれど、良い旦那さんに巡り会えて何より。
2022.12.01
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2021年9月刊マカロン文庫著者:真彩-mahya-さん外科ナースとして働く千紗は、従妹の代わりにお見合いをすると、相手はなんと同じ病院で働く天才外科医の佑だった。代打のはずが予想外に気に入られてしまい、あれよあれよという間に婚約することに!? ぽっちゃり体形の自分を佑が好きになるはずないと思っていたのに、彼から溺愛猛攻がスタート! 「早く俺だけのものにしたい」ーーついに彼の独占欲が我慢の限界に達し、千紗は身も心も佑の腕に抱かれて…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 高場千紗=総合病院外科病棟勤務の看護師。 ぽっちゃり体型のことでからかわれることも多い。 進藤佑=日本有終の腕を持つ外科医で大病院の跡取り。 千紗の為人を気に入り、彼女と婚約する。 原瑞希=研修医。 藤井=千紗の後輩看護師。 福田=オペ担当看護師。そういえば、kindle unlimitedで借りたまま忘れてたーっ、ってことで真彩-mahya-さんのお話。本編だけならベリーズカフェでも読めますが、マカロン文庫版では書下ろしの後日談が収録されています。千紗は外科病棟勤務の看護師。やりがいのある仕事で頑張っているのだが、精神的ストレスはハンパない。そのはけ口として食に走った彼女はかなり太ってしまった。157㎝で70㎏24歳の女性としては由々しき事態なれど、痩せようにも運動が得意でなく、そんな時間があるなら寝ていたい。美味しいものは大抵高カロリーだし、今まで好き放題食べてた身としてはなかなか食事制限に踏み切る決心がつかないのが現状だ。それに支障があるならともかく、千紗はポッチャリでも仕事が出来て早かったので。同僚や患者たちからも体型をかわれたりすることも多いけれど、多少傷付きはするがいつも自虐ギャグで治めている。そんなある日、千紗は実家の母から見合いの代打を頼まれます。従姉妹が駆け落ちという、のっぴきならない事情で渋々引き受ける羽目になったものの、この体系ではどうせ纏まらないだろう。滅多に食べられない高級料亭のランチを食べに行く気持ちで挑んだその見合いの席に現れたのは、何と勤務先の外科医・進藤ではないか。彼も千紗を見て驚いていたけれど、遠慮なしに料理をパクつく彼女を見て笑みをこぼし、二人きりになった時、君と婚約したいと告げたのだった。従姉妹がとんずらし、いくら了承を得ての見合いとは言え、代打で来た自分と婚約?信じられない言葉に戸惑ったが、どうやら進藤は本気で言ってるらしい。彼女の仕事ぶりも素晴らしいし、明るく裏表無さそうな性格も気に入っていると真顔で告げられ、元々進藤のことをカッコイイだけでなく良い人だなと好感を持っていた千紗はその申し出を受けるのでした。職場にはまだオフレコにしているので、余計に彼の様な優秀な医師の婚約者だなんて自分でも信じられない。あんなカッコイイ人と結婚するのならせめてもう少し見栄えをよくしようと、あれほど二の足を踏んでいたダイエットにも挑戦。当初はなかなか痩せられず無理なやり方を進藤にも咎められはしたが、今は同僚の栄養士のアドバイスを取り入れ着実に体重は減って行った。途中、二人の婚約が原や福田たちにバレたり、そのせいで嫌がらせを受けたりと凹みそうになるも、そんな中、同棲を経て二人は無事に結婚してお終い。後日談は二人の新婚旅行のエピソードになってます。この進藤さんが本当に良い男で、千紗ちゃんは本当に幸せ者です。姑が早く孫を、とプレッシャー掛けられてはしていても、千紗なら持ち前の頑張りでマイペースにやっていきそうな気がします。原や福田という分かり易い嫌われキャラが現れたけれど、それなりの報いを受けたようでスッキリ。敢えて詳しくは記載していませんが、二人の物言いや態度は読んでて本当にムカつきました。他人を妬んで嫌がらせしたり、意地悪言ったっていいことないよ。とは言え、実際問題現実でも無くならないのが厳しいところで。因みに千紗は進藤の助けもあって最後は標準体重までダイエットに成功したようですが、20キロくらい落としたんだとしたら凄いですよね。評価:★★★★★読むとほんわかするお話です。
2022.11.21
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2022年7月刊マカロン文庫著者:pinoriさん過去のトラウマから男性が苦手なOLの亜香里。ある日、不慣れな仕事に苦戦していると、クールな御曹司・一橋が現れて助けてくれる。男性に慣れていないウブな亜香里だったけど、優しくフォローしてくれる彼と急接近! さらには「好きだから付き合ってほしい」といきなり告白されてしまい…!? それからというもの、一橋は毎日のように頬にキスしてきたり、甘い言葉を囁いてきたり、彼の激しい欲望と大人の男の色気にタジタジの亜香里。「俺だけを見てろ」ーー猛々しい本性を露わに迫られて、亜香里は抗うことができなくなってしまい…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 椿亜香里=大手飲料メーカーに勤める受付業務員。 過去のトラウマから大声の男性が苦手。 一橋賢人=亜香里の会社の御曹司で工務部勤務。亜香里に好意を持ち告白する。 松岡実都=一橋の先輩社員で前作のヒロイン。 岸本=亜香里の高校時代の同級生で彼女の心に傷をつけた人物。 成田=亜香里の先輩社員。艶恋オフィスシリーズの3作目。今回は前作のサブキャラだった一橋くんの恋物語で、漸く彼のフルネームが判明。しかしながら、昨日投稿のエピソードが1作目だと勘違いした私は、またもや1作目を一番最後に読む羽目に(^_^;)とは言え、接点は舞台が同じな事と登場人物がリンクしてるくらいなので、恐らくどれから手を付けても大丈夫だと思います。真面目な性格ながら要領が悪く、自分に自信が無い亜香里は工場見学の案内役という業務を引き継ぐことになり、必死に練習していた。そんな彼女の様子をじっと見つめていた男性社員が一人。彼は確か工務部の一橋だったと思う。一橋は何を思ったのか、亜香里に付き合い見学者への解説が上手くできるよう練習に付き合ってくれた。聞いてる相手がいた方が身に付きやすいだろうと。無口でとっつきにくい印象の青年だったが、随分と良い人じゃないか。そう思っていたある日、一橋から突然好きだと告白されて戸惑う亜香里。工務部は女性が少ない部署で要件はいつも松岡に頼んでいたため、一橋とは先日の一件以外ほとんどかかわりが無い。彼は自分の何が気に入って告白してくれたのだろう。一橋は外見も良いし、この会社の御曹司だ。相手は引く手数多に思う。それに、亜香里には男性に苦手意識があった。ので、せっかくの告白をあなたのことをよく知らないのでと遠回しに断ってしまったのだった。しかし、一橋は諦めず亜香里を待ち伏せ、渡して来たのは何と履歴書。学歴から家族構成、趣味に至るまでびっしり書き込まれたそれに面食らっていると、彼はこれを読んでもらえば良く知らない人ではなくなるだろう?という。一橋はきっと物凄く生真面目な人間なのだ。亜香里はそんな彼に一先ず友達から始めましょうと答え、二人の友達付き合いが始まった。とは言え、一橋は交際を望んでいるため、グイグイと距離を縮めて来る。そんな最中、亜香里は帰宅時に度々妙な視線を感じており不安に苛まれていた。先輩の成田もストーカーとかだったらヤバイと随分気にしてくれたが、その話を聞きつけ方向違いだと言うのに暫くの間は一橋が送ってくれることになった。それから数日が経ち、亜香里は思いがけない再会を。それは、高校時代に心無い陰口で彼女に男性への苦手意識を植え付けたかつての同級生・岸本で・・・。この岸本がとんでもない胸糞ヤローで自己中もいい所。ストーカー紛いのことをしていたのもこいつでした。しかも、咎められたら逆切れするし、読んでてムカっ。長年、亜香里を傷つけてた自覚も無く、あの発端になった陰口も彼女を手に入れるためだったと言うオチ。彼女のトラウマの原因を知った一橋は激怒。岸本を諫めるも、それ以上に亜香里の方が岸本の言葉でどれだけ傷付いたか滾々と語ったことで漸く、岸本は自らの非を認め謝罪するのでした。この一件から、一橋に段々惹かれていた亜香里は彼の想いを受け入れ、交際をスタート。会社内では内緒にしていたものの、すっかり松岡には二人の交際がバレてからかわれたりしながら、恐らく近々結婚するんだろうなって感じで幕。一橋君、物静かな生真面目君かと思いきや、単に先輩の松岡さんと愛しの亜香里ちゃんへの態度が違ってただけなんですよね。そりゃそうか、好きな人相手には地も履歴書も見せちゃうよね。住んでる所は億ションっぽいけど、お坊ちゃまっぽくない所も好印象。内容含め、前作よりも色々とポイント高し。評価:★★★★★
2022.11.17
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2020年6月刊マカロン文庫著者:pinoriさん恋に不器用なOLの実都。密かに憧れていたエリート上司・日下部と同じ部署になるが、自分は恋愛対象になりえないと思っていた。そんなある日、元カレに絡まれて困っているところを日下部に目撃されてしまう。すると普段はクールな日下部の態度が一変!? 「お前を誰にも渡さない」ーー独占欲全開で迫られて、タジタジの実都。今までの冷静な態度とは違い、甘く大人の色気を露わにし、日下部の溺愛猛攻がスタート。何度も何度も熱い口づけされ、実都は身も心もとろとろに蕩けていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 松岡実都=大手飲料メーカー・工務部に勤める会社員。 初恋の人である颯と再会し、想いが再燃する。 日下部颯=実都の幼馴染。新規プロジェクトの主任として移動して来た。 一橋=実都の後輩社員でこの会社の御曹司。 吉本瑠奈=実都の大学時代からの友人。広報課に勤務。 土田=実都の元カレ。購入品の感想だけだと早々にブログのネタ切れに陥るのが目に見えているため、電子書籍もちょいちょい読んでいこうと思います。ここ最近はこのレーベルさんの作品がどんどん読み放題対象になって来てるのでありがたい。そんなわけで、今日明日明後日は、大好きな作家さんの一人・pinoriさんの短編集「艶恋オフィスシリーズ」です。しかし、今作は幼馴染との恋物語なのだけれど、改めてあらすじを読んでみたら「あれ?こんな話だったっけ?」と。ちょっと印象違うかもしれない(^_^;)後先考えない性格と言動のせいで、何かと痛い目に合いがちな実都は、久しぶりに上司として再会した幼馴染・颯と初恋の再燃に胸を躍らせていた。これはもう運命に違いない。友人の瑠奈と後輩の一橋はこの恋を実らせるべく意気込む実都の様子に半ば呆れており、特に瑠奈は彼女の恋愛遍歴を知っているだけに釘を刺すのも忘れなかった。この実都の厄介な人柄のせいで、恋愛が上手く行った試しがないのだから。二人の気掛かりも虚しく、颯と実都は急接近。しかし、颯の方は飽く迄彼女は妹の様な存在であり、恋愛対象ではないと言う。思い切り玉砕した実都はガッカリしたものの、やはり諦めきれずに過去の自分は忘れて女として見て欲しいと宣言。彼女は諦める気はさらさらなかったのだった。以降、仕事関連で接点の多い実都と接するうちに、颯の心境にも若干の変化が。一橋との関係を疑ったり、瑠奈から彼女の過去の恋愛遍歴を聞いた彼はモヤモヤし始め、嫉妬心を持ち始めます。間の悪いことに、実都の元カレ・土田が彼女に付き纏い始め・・・。100ページちょっとの内容なので、展開自体は物凄くシンプルなのですが、この作家さんなのでキャラの方に一癖ありました。良い子だとは思うんですけど、このヒロインの性格は好き嫌い分かれそうだなぁ。正直、DQNの一歩手前だと思う。とは言え、かなり厄介な言動の子でも、ヒーローにとってはかけがえのない子であり、妹みたい=家族として大事にしたい存在(後に本人が気づいて言った言葉)だったんだから。どういう子かわかってるだけに、彼が上手く手綱を取ってくんじゃないでしょうかね。今作は一般家庭で育った人達のカップルでしたが、残り2作は後輩社員で御曹司の一橋くんと、企画部のモテ男・村瀬の恋物語になっています。評価:★★★★☆
2022.11.16
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2022年3月刊マカロン文庫著者:美希みなみさん病院の令嬢・櫻子は義母と妹に虐げられて育った。ある日、妹のもとに大病院の息子で外科医の俊弥との縁談が舞い込む。しかし、気乗りのしない妹の代わりに、櫻子が嫁ぐことに。俊弥には金目当ての女だと誤解され、冷たい態度をとられる。跡継ぎしか期待しない俊弥に初夜から激しく抱き潰されても、彼に尽くし続ける櫻子。すると、愛なき結婚のはずが、やがて彼はスパダリに豹変!? 妊娠発覚で、さらに溺愛が加速して…。「君が望まなくても、俺は君を離さない」ーー独占欲をあらわにした俊弥に、櫻子も次第にほだされていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 早乙女櫻子=旧姓・小野田。病院理事長の長女ながら家族に虐げられ、異母妹の 代わりに早乙女家に嫁いだ 早乙女俊弥=大病院の跡取りで櫻子の夫。 結婚当初は距離を置いていたが、後に彼女を溺愛する。 豊原諒真=俊弥の友人で、清香の元婚約者。 小野田清香=櫻子の異母妹。母と共に姉を家政婦扱いしてこき使っていた。櫻子は大病院の理事長の長女でありながら、家族に虐げられて育った。彼女の不幸は実母を病気で亡くしてから始まり、その直後に後妻としてやって来た継母と異母妹は我が物顔で好き勝手をし、櫻子を虐めた。世間体を気にしてか大学には行かせてもらえたものの、その後は就職もさせてもらえず、家政婦の様に家族からこき使われる日々。父は清香と後に産まれた弟・誠也だけが自分の子と言って憚らず、櫻子のことは一切眼中に無い。だが、清香が清純でおしとやかそうな外見に反してトラブルメーカーなことから父たちはその尻拭いに苦労していた。一番の打撃は大企業の豊原家の子息との破談だろう。これについては先方の都合もあって破談の経緯は一切明かさないという条件で渋々応じたようだが、清香に一切非が無かったわけではないので後の清香の結婚に悪影響が出ない様、父たちは豊原の婚約者は櫻子であり、破談になったのも彼女が粗相を働いたせいと吹聴。おかげで、櫻子は身に覚えのないことで、悪評に晒されていたのだった。そんなある日、早乙女病院の御曹司との縁談が持ち上がり、櫻子が嫁ぐことが決まった。父としては清香と結婚させたかったようだが当人が顔も知らない相手に嫁ぐなどまっぴらと、駄々をこねた結果、櫻子にお鉢が回って来たと言うわけだった。彼女の結婚相手は早乙女俊弥。優秀な外科医でもあり多忙な為、大規模な披露宴は行わず身内だけの神前式だけだったが、櫻子にしてみれば、居場所の無いこの家から出られるだけでありがたい。悪評が耳に入っているのか、俊弥は当初、櫻子に冷たかったが完璧に家事をこなし、何かと謝罪する櫻子の態度が気になり、入籍から2ヶ月ほど経った頃、顧問弁護士に小野田家の調査を依頼。同じ頃、櫻子の妊娠が発覚し、調査の末彼女の境遇と諒真の証言で豊原家との婚約破棄騒動の真実を知った俊弥は彼女に詫び、櫻子を大事にすると決意します。しかし、結婚した際、この結婚を決めたのは単に跡継ぎが欲しいだけだからと彼から言われていた櫻子は、子供が産まれたら離婚させられるのではと不安感から精神的に追い詰められており、追い打ちをかける様に継母と清香からもそのことを指摘され・・・。中盤前に俊弥が考えを改めて妻に向き合い愛して行こうと決めていたのに、自己評価の低い櫻子の方は内心ぐるぐる。ヒロイン目線で読んでると結構なじれじれ感があります。ヒーロー側の心境が描かれてるおかげで、それはただの思い込みだよーってのは読者には判るんですけど、それは置いておいてもむかつくのはヒロインの実家の面々。異母弟は真面目で良い人っぽいんだけど、とにかく両親と異母妹の性格が悪すぎて。最後は一応ザマァされるとは言え、もう少し徹底的に追い詰めても良かった気はします。シリーズと銘打ってるだけあって、今作もそのうちの一作に当たりますが、前作を読んでいなくてもさして影響はありません。俊弥の友人諒真とその妻が前作の主役カップルらしく、ちょっとだけ登場する程度ではあるものの、タイトルで気付けばいいのにまたスピンオフの方から読んじゃってるって言う(^_^;)最後は怒涛のハッピーエンドで、ラストは長女が産まれて数年後の早乙女家のお話。櫻子は異母弟以外とは絶縁状態になってる風なんですが、その分義両親や豊原兄弟一家との交流で楽しく暮らせている様子が描かれてお終い俊弥の態度が180度変わった辺りから、事態が好転していくので序盤の胸糞具合も我慢できる。評価:★★★★☆諒真たちの話も気になるので、そのうちにあと2作も読んでみようと思います。
2022.11.15
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2021年8月刊マカロン文庫著者:Pinoriさん恋愛経験ゼロのOL・ひなたは親に勧められ、大手企業の御曹司・東堂と見合いをすることに。ひなたは前向きに捉えているものの、東堂に「恋愛をするつもりはない」と淡々と言い放たれ、ショックを受ける。愛のないまま進む見合い結婚だったけど、ウブなひなたの態度が東堂の独占欲を焚きつけてしまい…!? 「俺を煽っているのか?」ーー突如、男の本能をむき出しで官能的に迫られ、ひなたは初めての甘い快楽に堕とされていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 春日ひなた=コーヒーサーバーレンタル会社に勤める会社員。お見合いで出会った晃成と紆余曲 折の末、交際することになった。 東堂晃成=大企業の御曹司。聊か女性不信の気があり、父の友人の娘であるひなたと嫌々見合 いをしたが、彼女の為人を気に入り、後日交際を申し込む。 渡=ひなたの同期。ひなたに好意を寄せている。 君島=ひなたの先輩社員。何かとひなたを可愛がり相談に乗っている。 東堂彩佳=晃成の従姉妹。 東堂准=晃成の従兄弟で彩佳の弟。お見合いから始まる恋物語ですが、ちょっとしたエッセンスも。このレーベルさんは似たような表紙が多いので、あれ、これ読んだことあったっけ?と思いつつ、ちゃんと未読でした(^_^;)ひなたは義父の頼みを断り切れずにお見合いをすることになった。どうやら、義父のゴルフ仲間の一人である東堂氏には今年30歳になる息子がいて、酒の席でお互いの子供を会わせてみようということになったらしい。とある事情で若干男性に苦手意識があるひなたは恋愛経験0恋人もいたことが無いのにいきなり見合いとはハードルが高いが、義父の顔を潰すわけにはいかない。会うだけならと承諾。それに苦手意識はあるけれど、写真の男性は大層な美形で興味もあった。話が上手く纏まれば、初めての男女交際に発展するかも。ドキドキしながら迎えた当日。東堂晃成は写真よりずっとカッコイイ男性だった。清潔感もあるし、この人とならお付き合いも吝かじゃない。が、どう見ても彼はこの席には不本意で来ましたとばかりな雰囲気を醸し出しており、二人きりになると恋愛するつもりはないと告げられた。結婚したいならその辺は踏まえて考えてくれと言われて唖然。まあ、大企業の御曹司ともなると金目当てで寄って来る女性も多いのだろう。とは言え、やはり見合いが切欠の出会いでも結婚するからにはやっぱり相手のことを好きになりたい。だから晃成の言うことには同意できないとキッパリ言い切り、どうぞ断ってくださって構いませんと答え、20分もしないうちに人生初のお見合いは終了したのだった。義父には申し訳ないが、母に相手から断られると思うと電話で報告だけはしておいた。母は気にするなと言っていたけれど、素敵な人だと思っていただけに本人のダメージも大きい。週明け、同期の渡と先輩社員の君島に見合いの進捗具合を聞かれたが、見事に玉砕と答えた。相手にその気が無いのではしょうがない。だが、始業前の会社に晃成が現れ、先日の謝罪と挽回がしたいと夕食に誘われ驚くばかり。確かに失礼と言われれば確かに結構酷い事言われた気もするが、謝罪はともかく挽回とは一体。待ち合わせの店に向かうと隠れ家的なレストランだった。彼は先日の非礼を詫びた。あの日、帰宅した晃成が両親から電話で感想を尋ねられた際、洗いざらい話したらこっぴどく叱られたらしい。あの見合いは政略結婚とかではないと知らされ、如何に自分が決めつけで言っていたか猛省していたのだとか。改めて本人に謝罪したいとこうしてコンタクトを取って来たようだ。そして、あの時のひなたの受け答えが気に入ったのだと。そこで自分との交際を考えてみてくれないかと晃成に告げられ、混乱したが、君となら恋愛してみたいと言われれば悪い気はしない。正直恋愛経験が無いのでこの気持ちをどう表現したらいいのかわからないけれど、一先ずお試し期間を設けることになった。後日、食事のお礼に手料理を振舞うことにしたが、一人暮らしの彼に久々の家庭料理だと随分喜ばれた。そこで、会話の流れでひなたは自らの生い立ちを話します。実の父は所謂ギャンブル狂で、とにかく最低な男だった。小学性の時に蒸発し、後に送られて来た離婚届で母は離婚できたが、その際借金まで押し付けられて母は随分苦労した。2年前に義父と再婚するまで常々母が言っていたのは「男は碌なものじゃない」と。何となくそれが頭の片隅にあって、ひなたは男性と一線引くようになった。勿論、世の男性全てがそうでないのは判っているので別に恋愛したくないわけでも、結婚にだって夢はある。だからお見合いにも承諾したのだ。初対面時は夢砕かれたが、誤解が解けて晃成は本気でひなたと結婚したいと思っていてくれてる風なのは嬉しい。彼は彼で、大企業の御曹司なりの苦労をしていた。子供時代から特別扱いされて、高校生にもなれば金目当ての女たちからの猛アタック。身近なものからも注意しろと口を酸っぱくして言われ続け、恋愛するのが面倒になったのだと。幸いなことに、東堂家は政略結婚なんて今時ナンセンス。好きになった人と結婚しなさいと言うスタンスだそうで、尚更ひなたとの見合いに憤慨したという。なまじ彼女の義父の会社が大きいのも誤解される原因だった。今ではこの出会いに感謝している。お試し期間ももういいだろうと正式に結婚を前提にしたお付き合いを始めることに。しかし、この頃からひなたの周りで奇妙な出来事が。先ずは通勤カバンに忍ばされた「晃成と別れろ」と言いう脅迫めいた手紙と、デートしている二人の写真が数枚。流石にゾッとしたものの、何故か晃成には話せなかった。その次は車上荒らしの被害に遭いかけ、見張られているような視線を感じることもしばしば。寄りにも寄って晃成は多忙で、2回も海外出張が入り、不安な日々を過ごした。ある日、彩佳と名乗る女性に晃成と付き合うのなら相応の覚悟をしろと忠告を受けた。もしやこれまでの事も彼女が?渡が晃成に頼まれ、ひなたのガード役をしてくれていたのは心強いが、後に彩佳が晃成の従姉妹と判明。どうやら、身内の暴走をとめるべく彼女が裏で動いていたらしい。晃成の帰国前日、准と名乗る青年に晃成と別れろと詰め寄られ・・・。途中、二人の仲が進展するに伴い裏で彩佳の奔走と准の企てが進行してたりするんですが、その辺は渇愛してます。崇拝に近い感情を持ってた従兄弟を取られまいと暴走した結果騒動を起こしていたというオチ。ひなたの実父がネックだったらしく、晃成に相応しくないと思ってたらしいけど、東堂家の家風がもうそういうのは無しで、て感じなのに一人前時代的な思い込みで迷惑かけてたという。取り敢えず、良く事情も知らないのに他人の母親を侮辱するのは良くない。ひなたが正論で言い返していた様は「よく言った!」と思いました。この作家さんの描くヒロインは総じて強い印象です。一応タイトルに「妻」とありますが、作中ではまだ結婚していません。おまけの番外編でも、結婚したら一軒家が良いとか話してる程度なので、多分もうちょい先になるかなって感じで終わってます。キャラ的には、君島先輩と彩佳さんがお気に入り。こういう美人でサバサバしてる人に弱い。評価:★★★★★読み応えがあるのもポイント高し。やはりこの作者さんのお話は面白いです。
2022.09.28
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2021年8月刊マカロン文庫著者:一ノ瀬千景さん実家の呉服屋を父とふたりで切り盛りする美琴はある日、大きな借金を背負うことに。そんな折、得意客である茶道の次期家元・礼が肩代わりを申し出てくれた。でもそれには条件があって…。「君に、俺の子どもを産んでほしい」ーー実家が助かると喜んでいた美琴に礼が持ちかけたのは、まさかの懐妊契約で!? 瞬く間に始まった同居生活は、愛がないはずなのに甘々な日々…。夜な夜なたっぷりと初めてを教え込まれ、美琴の心と体は陥落寸前!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 秋月美琴=老舗呉服店の一人娘。父が詐欺に遭い多大な負債を負ったことで資金集めに奔走して いた。肩代わりしてくれた礼から跡取りを産んで欲しいと契約を持ち掛けられる。 御堂礼=表千家茶道・御堂流の家元。女性不信の気があり、唯一好ましく思っていた美琴の事 情を聞き、契約を条件に借金を肩代わりした。 秋月勝司=美琴の父。経営を任せていたコンサルタントから詐欺に遭う。 丸代=御堂家を取り仕切る使用人頭。美琴を歓迎する。篠宮まりえ=大手企業の令嬢。外面は良いが性格は悪く、礼に選ばれた美琴を妬み、数々の嫌がら せをする。発売されるとつい手に取ってしまう作家さんの一人、一ノ瀬千景さんのお話。一応、ベリーズカフェでも読めますが、マカロンの方では書下ろし短編がおまけに付いています。秋月美琴は老舗呉服店の一人娘。彼女はオタクと言って良いほど着物を愛し、お客様を大事にしていた。店は大きくはなかったが父・勝司の目利きも評判でお得意様も多く、それなりに繁盛している。だが、ある日、信じられない出来事が。父が信用し経営を任せていたコンサルティング会社が詐欺で訴えられ、担当者共々姿を消してしまったという。しかも運の悪いことに仕入れのための資金と委託販売するために預かっていた高価な着物も数着持ち逃げされてしまったらしい。その金額合わせて5千万。慌てて、着物作家たちに詫びを入れて事情を話したところ、秋月さんのせいではないからと皆許してくれた。ありがたいが弁償をしなくていいわけではない。先ずはそちらの支払いを優先するとしても、商いをするには資金が必要。銀行に融資を頼んでみたが、向こうも商売そう簡単には貸してくれなかった。こうなったら、毎日通ってでもと頑張ったがさすがに迷惑がられて追い出されてしまった。その様子を偶然目にして気になったのか美琴に声を掛けたのは、お得意様の家元の御堂礼。どうやら、今回の詐欺の件は実しやかに噂になっており、礼の耳にも入っていたようだ。追い出された時に膝に怪我をした彼女を自宅に招いた礼は、5千万程度ならと貸してくれるつもりらしい。単に「あきづき」の着物が気に入っているからとのことだが、いくらなんでもそんな大金貸してもらうわけには。と恐縮していたら、やはり裏があった。礼は美琴に頼みがあると言う。それは、自分の子を産んで欲しいというもの。5千万はその報酬として渡すと。彼が言うには30も近くなると周囲のお節介連中からの縁談攻撃が凄まじくて辟易しているのだとか。要は跡取りがいればいいんだろうと、こうして美琴に持ち掛けたというわけだ。君のことは好ましく思っているからと。流石に美琴は逡巡した。彼ほどの男前なら、わざわざ自分の様な冴えない女に頼まずともより取り見取りだろうに。そういうことをするのなら少しでも好意を持っている相手の方が良いという考えも判らないでもないが、何と言っても恋愛経験0の美琴にはそのためだけの関係はハードルが高い。遠回しに断ると、じゃあ援助は無しだと退路を断たれる。ここはもう腹をくくるしかなさそうだ。渋々承諾した彼女に、小切手でポンと5千万を用立ててくれた礼は、支払い等諸々片付いたら早々に同居してくれと言ってきた。すぐに子作りしようと言外に言ってるみたいだけど、これも契約。子供さえ産めばお務めは完了ではないか。同居を始めて一ヶ月。彼も屋敷の使用人たちも随分と良くしてくれて少々戸惑ったが、礼は一体どういう体で自分のことを話したのやら。後日、婚約者と言う触れ込みにしていると聞いて、複雑な心境になった。何と言っても美琴は子供さえ産めばお払い箱なのだから。でもその割に礼の自分への態度は本当に大事にされているようで戸惑ってしまう。周りを欺くためか、婚約指輪まで渡されて面食らったが、さらに式はいつにするとまで言われ、どういうこと?それからまたしばらく経ち、彼のパートナーとして連れて来られたとある企業のパーティーにて、令嬢のまりえに遭遇。彼女は礼に気があるようであからさまに美琴を敵視し、お茶を習いたいと御堂邸に入り浸るように。その際、細々とまりえから嫌がらせされるのにはほとほと参った。最近体調が良くないせいで些細な事でもイライラしてしまう。だが、さすがに目に余ったのか礼がまりえの態度を諫めた。俺の婚約者を馬鹿にするなと。その日、まりえが帰った後倒れた美琴は妊娠が発覚。この子が産まれたらいよいよ彼ともお別れか。そんな彼女の想いと裏腹に礼は美琴を一層気遣い甘やかした。精神的に不安定になっていたこともあって、ある日二人は言い合いに。美琴の体調を鑑みてしばし礼とは距離を置くことになり・・・。まあこれはお互い両想いなのに想いを打ち明け合っていなかったせいなんですけど、意外なことにまりえの浅はかな行動を切欠に、二人は元鞘に。家元の妻なんて私には無理と言い続けていた美琴も、礼の本心を聞いて自らも諦めない事を誓います。礼の両親は美琴を大歓迎で結婚も喜んでくれた。家柄がどうこういってたのは、まりえのみだったという。このお嬢様も大した性格ブスでしたが、ちゃんと報いを受けてたようでスッキリ。やっぱりいくら金持ちで美人でも、人間性はクズだと露見するようなことやるもんじゃない。ラストは無事長男誕生。その翌年は双子の女の子に恵まれ、賑やかな御堂家の様子が描かれてお終い。書下ろしの短編は後日談と礼目線の回想。何故、彼が美琴に惚れたのか理由が明かされています。礼の本心や契約を持ち掛けた事情などは敢えて詳しく記載していません。短いお話なので興味がありましたら読んでみてください。評価:★★★★☆
2022.09.26
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2021年7月刊マカロン文庫著者:真崎奈南さんOLの結衣は、学生時代にバイト先のカフェで御曹司・和哉と出会う。縁談を断るため恋人のふりを頼まれたことをきっかけに、甘く情熱的な夜を過ごし、愛し合うように。ところが、ある日和哉が突如姿を消してしまい、さらには結衣の妊娠が発覚! 1人で産み育てていたけれど、数年経ったある日、偶然和哉と再会して…。「俺の全部で伝えるから。ちゃんと感じ取って」ーー引き離されていた2人の空白の時間を埋めるような、彼の滾る独占愛に陥落寸前で…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 波多野結衣=酒屋の娘。大学時代のアルバイト先で知り合った和哉と恋人関係だ ったが、彼の母を通じて一方的に捨てられた。その直後に妊娠が発 覚。現在は家族の協力の元、長男・勇哉を育てている。 八木沢和哉=大手総合企業・ヤギサワホールディングスの御曹司。結衣にプロポ ーズするべく、待ち合わせ場所に向かう途中で事故に遭い記憶喪失 になっていた。 波多野勇哉=和哉と結衣の息子。 波多野圭人=結衣の弟。姉を捨てた和哉のことを事情が判明するまで恨んでいた 和哉の母=結衣と和哉の仲を快く思っておらず、嘘をついて二人の仲を裂いた 張本人。 金城=大企業の令嬢で和哉の縁談相手。一度断られているが、以降も諦め ず、記憶を失くした和哉に付き纏っていた。kindleの本棚を減らそうシリーズ。シークレットベビーものです。和哉と結衣は交際3年目の恋人同士。彼は大企業の御曹司だったけれど、驕った所も無く優しい人だった。そんな和哉が最近チラホラと結婚を口にするようになり、結衣も何となくそろそろプロポーズされるかもと期待していた。だが、彼の母親は結衣のことをあまり快く思っていないらしく、彼女がいるのにしつこく縁談を持って来ているのだとか。そういえば、二人の付き合うきっかけは和哉が縁談を断るために結衣に恋人のフリを頼んだことだったっけ。当時はお金持ちも大変なんだなとお気楽に考えていたものだけど、和哉があのヤギサワホールディングスの御曹司と知ってからは、結衣も本当に自分が彼と結婚しても良いのかと不安に思っていた。どうやら、彼の父には反対されていないようでそれだけはホッとしている。しがない酒屋の娘だけれど、彼を支えることくらいなら出来る、そのうち和哉の母親も認めてくれるだろうと思っていた矢先、別れは突然やって来た。その日は結衣の27歳の誕生日。生憎大雨で天気には恵まれなかったが、彼から大切な話があると言われていて、ついにプロポーズかと期待していた。だが、待ち合わせ場所に彼は現れず、和哉のマンションでも待ってみたけれど日付が変わっても彼は帰ってこなかった。和哉は自社で専務をしていることもあって多忙だ。何かのっぴきならないトラブルが起きて処理に追われているのかもしれない。と、連絡を待ち続けていたのだがそれから一ヶ月も経つと、自分は捨てられたのだと考え始めるように。そして、突然彼女の元に和哉の母が現れ、彼は海外支社に行っており、そこで結婚したと告げられた。予想はしていたけれど、やはりショックだった。でも、彼に嫌われていたらしいと聞けば、あの大切な話とやらもプロポーズではなく別れ話だったのであろう。とは言え、第三者からではなく、どうせなら彼の口から聞きたかった。今となっては携帯電話の番号も変えたらしく連絡も出来ない。潔く諦めたのもつかの間、結衣の妊娠が発覚。産まないと言う選択肢は無く、家族はシングルマザーになる決心をした結衣を支えてくれた。会社務めを辞め、酒屋の手伝いをしながら数か月後長男・勇哉が産まれます。それから2年の月日が流れ、以前の会社の同期が結婚を機に田舎に帰るとのことで、ランチをすることになった結衣は、その帰り道、思い出の公園で雨に濡れながら悄然としている和哉を見つけて驚愕。思いがけない再会だったが、放っても置けず思わず声を掛けると、どうも彼の様子がおかしい。まるで知らない人に話しかけてる風な態度を怪訝に思っていると、結衣をしげしげと眺めていた彼が頭を押さえて苦しみだした。何とか落ち着いた和哉は漸く思い出せたと言い、この3年もの間事故で記憶を失っていたのだと語ります。言い訳するにしてもそんな下手な嘘で、と最初は信じていなかった結衣。でも、彼のこめかみに残る痛々しい傷跡を見せられるとどうやら本当の事の様だ和哉はあの日、トラックにはねられ重傷を負い、一ヶ月もの間意識不明だったらしい。意識が戻ったはいいが和哉は記憶障害を起こしていた。これ幸いとばかりに彼の母親が結衣に嘘を吹き込んで別れさせたと言うことか。どうにも悔しいが、事情を知らなかったとはいえ、彼を信じなかった自分も悪い。和哉は以降、回復後も後遺症に悩まされ失くした記憶を思い出せず苦しんでいたのだ、出来ればやり直したいと言う彼の言葉は正直嬉しい。近所の子供たちの父親を羨ましそうに見ている勇哉のためにも和哉との復縁を決心する結衣。幸いにも、事情を話し真摯に自分の気持ちを語った和哉は結衣の家族に受け入れられ、結婚も認められます。勇哉もすぐに和哉に懐き、幸せを取り戻しつつあった。とは言え、問題は二人を別れさせた和哉の母親だ。会社の為にも同規模の企業の令嬢と結婚させたい気持ちは判る。だが、あの嘘は正直質が悪い。和哉は怒り心頭で、今まで婚約者のフリをしていた金城の令嬢と、母親に灸をすえるべく一芝居打つことに。それは、症状が悪化し、結衣に会いたがると言うもので・・・。この芝居が功を奏し、和哉の母が結衣の元を訪れ謝罪。息子に会ってやって欲しいと告げます。金城の令嬢とは会社関係が悪化しかけるも、和哉の父親の毅然とした態度によって事なきを得ます。八木沢の両親にも結婚が認められ、二人は入籍。勇哉と3人、幸せに暮らしている様子が描かれて幕。書下ろしの短編は和哉目線のその後の八木沢家のエピソードです。ヒーローの記憶喪失によって離れ離れになってしまったと言うことで、シークレットベビーものではあまりないシチュエーションとなってます。(全く無いわけではない)とは言え、ヒーローの母親に別れさせられるってのは定番。よくよく読んでると不安に駆られてない状況だったらヒロインも信じてなかったろうとは思います。一ヶ月も連絡が無くて、本人知らぬ間に妊娠初期で精神不安定でしたからね。結局、孫の可愛さも後押しして母も折れて結婚が認められめでたしめでたし。ヒロインの家族が皆仲が良くて、その中でも弟が良いキャラしてました。誤解が解けて何より。評価:★★★★☆あのお嬢様以外は皆暖かい人達でした。お義母さんも息子と家の為と思ってこそと思えば恨めないよねぇ。
2022.09.11
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2021年5月刊マカロン文庫著者:櫻日ゆらさん一夜の過ちから娘を身ごもりシングルマザーとして育ててきた天音。契約社員として就職した会社で出会ったのは、娘の父親でもある御曹司・大和。ある理由から大和とは距離をとっていたが、住んでいたアパートで水漏れ事故がおこりなんと彼の家で同棲することに? 捨てられたはずなのに、大和から蕩けるほどの一途な愛を注がれ、秘めていた彼への思いが溢れてしまい…。身も心も丸ごと愛される至極のシークレットベビー! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 花里天音=子供用品会社の総務部に勤める契約社員。 女手一つで3歳になる娘・恵麻を育てている。 相良大和=総合企業グループの御曹司で、天音の勤める会社の副社長。 行方知らずだった天音を探し続けていた。 花里恵麻=天音と大和の娘。 花里由梨=天音の母親。過労が原因で病気を患い、長期入院中。 神田=大和の父親の秘書。二人が再会できなかった原因を作った人物。ワンナイトラブ+シークレットベビーのお話。あらすじを読んだ時は、初対面で一線を越えるのはともかく、避妊はしときなさいと思ったものの言わぬが花ってやつですね。終盤のヒロインとその母親との会話で泣けました・・・( ;∀;)花里天音は3歳になる娘を育てるシングルマザー。自身も同じ境遇で育ったこともあり、今更ながらその大変さが身に沁みる。そんな母も無理が祟り現在長期入院中だ。親子二人の生活費に、母の入院費で幾ら働いてもギリギリだったが、幸いなことに子供用品を扱う会社の契約社員になることが出来た。だが、初出勤の日。天音は今でも忘れられない人・相良大和と偶然の再会をします。彼も驚いており、子連れの彼女を見て複雑な顔をしていたが社内な事もあって大した会話もせずにその場は別れた。大和とは恋人だったわけではない。友人に連れられて参加したある企業のパーティーで出会ってお互い惹かれ合い一夜を共にしただけ。翌朝目を覚ましたら彼は消えていたし、単なる遊びだったのだ。そう思い込もうとしていたけれど、天音は大和を忘れられず、暫く経って妊娠が発覚。産む決心をしたのだが、そんな彼女の前に大和の父の秘書と言う神田なる人物が現れ、多額の金を手渡されたのだった。当然、金は突っ返したが、要は大企業の御曹司である大和に二度と近づくな、との忠告と口止めのつもりだったらしい。言われずともそんなつもりはないからと言いなりになるでもなく、大和に天音からコンタクトをとることは無かった。なのに、こんな形で再会するなんて。それに彼は天音を探していたとも口走っていたような。研修中の教育係である先輩社員によれば、大和はこの会社の副社長なのだだそうだ。随分条件のいい職場だし、保育園代が浮くのは大きい。出来れば辞めたくはないのだが、同じ建物にいるのだからいつまた顔を合わせるか。予感は的中。翌朝出勤すると会社の前で自分を待っていたらしい大和に引き留められた。どうやら彼にも言い分はあるらしいが、あの日神田に言われたこともあってどう答えればよいやら。なのに、娘の恵麻は一目で大和を気に入ったようだ。その夜、天音たちの暮らす部屋が天井からの水漏れで水浸しに。家電はお釈迦になり、ホテル住まいを余儀なくされた。修理と点検の結果水道管の老朽化によるものらしい。築年数も相当なので取り壊すと聞いて大ショック。いくらかは火災保険で賄えるが、アパート探しに苦労しそうだ。途方に暮れて恵麻を抱いてホテルに向かっていた道すがら、丁度帰宅途中だったらしい大和に呼び読められ、事情を聞いた彼は一晩部屋を提供すると言う。躊躇はしたものの夜も遅く、ホテル代も保険が下りるまでは立て替えになるのでその申し出はありがたい。大和は家事をしてくれるならアパートが見つかるまでここに居ればいいと言うが、さすがにそこまでは世話になれない。だが、恵麻は大和と暮らせると大層喜んでいて、飽く迄、家事をやる代わりに居候させてもらうと割り切り、3人の生活が始まった。一方、大和はずっと探していた天音と再会できたことから、絶対に離すまいと決心していました。そして、ふと気になったのは恵麻の年齢。あの夜に出来たとしたなら時期的にピッタリだし、自分の幼い頃と似ている。同居を始めて2週間ほど経ってから、天音に単刀直入に尋ねたのだが、彼女は否定。でも、疑念は残る。何か、のっぴきならない事情があるのかもしれない。ずっと好きだった人とこうして暮らしている。天音の方も強がりが瓦解し始め、改めて彼と向き合っていきたいと考え始めていました。そんな二人の前に、あの神田が再び姿を現して・・・。こいつ、ホント何様なの?と思うほどいけ好かない神田氏ですが、様子のおかしくなった天音の反応から何かを感じた大和は、神田を問い詰め4年前の真実を知ります。そこから事態は好転し始め、大和から改めてあの日のことを聞かされます。朝、彼がいなかったのは彼女の為にとアレコレ買い物をしてたからでした。すぐ戻るから待っててとメモも残していて、気が動転していた天音はそれに気づかず。すれ違いのまま別れてしまったのです。そして神田の介入によって拗れ、長い間二人は離れ離れに。大和は両親に、全てを話し好きな人がいて結婚したいこと、すでに子供がいることを話し承諾も取っていました。数日後、彼の父に謝罪され交際も認めてもらいます。実際、大和の両親は反対などしていなかったのに神田の独断だったことが判明。天音の母親は相良家のコネで専門医に見てもらえることになり転院。回復に向かっていて、トントン拍子に上手く行ってお終い。ページ数の少ないレーベルさんなので、ベリーズ文庫くらいボリュームがあれば3人の生活とか、彼の両親との対面シーンも描かれてたのになと思うとそこだけ少し惜しい気が。ヒロインの母親もシングルマザーで苦労も多く、訳ありだったようで、この母子の会話が読んでて何だかじんわりしました。勝手な想像ですが、お母さんの方は好きな人と再会できなかったのかなぁと思うと切ない(´;ω;`)ウッ…なんにせよ、あの秘書はマジで許せん。とは言え、ヒロインもメモ見てなかったのは手痛いミス。評価:★★★★☆前述の通り、もう少しボリュームが欲しかった。
2022.08.25
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2020年2月刊マカロン文庫著者:橘樹杏さんパラリーガルの優梨子はある日、同じ事務所で働く弁護士・峰島と一夜をともにしてしまう。女性の誘いを冷たく断ることで有名だった彼だがなぜかその後も優梨子の家に通い、身も心もたっぷり甘やかしてくるのだった。普段はクールで不愛想な彼が自分にだけ見せる甘くイジワルな溺愛に翻弄されっぱなしの優梨子。そんななか、優梨子がほかの男と一緒にいるところを見た峰島からは「俺だけ、見てろ」と独占欲たっぷりに迫られて…!? クールな彼が自分にだけ見せる、痺れるような甘さからは逃れられなくて……。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用 冨永優梨子=法律事務所で働くパラリーガル。 美人で優秀な事から、所員達に人気があり頼りにされている。 峰島蒼史=大学在学中に司法試験に合格したエリート弁護士。 酒の勢いで優梨子と一線を越えてからは何かと誘いをかけていた。 神谷伊澄=法律事務所所長。テレビのコメンテーターもこなす敏腕弁護士。 久世麗香=神谷の秘書 長澤=優梨子の同僚のパラリーガル。弁護士との結婚が夢。ヒロインの思い込みでじれじれしてしまうお話。優梨子はテレビにも出演する弁護士・神谷の法律事務所で働くパラリーガル。仕事が早く優秀な彼女は何かと頼られ、付いた渾名は「困った時の冨永さん」本人は無自覚だが、地味な装いながら美人の優梨子は事務所のフリーの男性陣にとって高嶺の花だった。エリート弁護士・峰島も例に漏れずその一人。そして、優梨子も峰島に長年一方ならぬ想いを寄せていたそんなある日、抱えていた大きな案件が無事片が付き事務所全員参加の祝勝会があったのだが、解散後に峰島に誘われてバーで二次会代わりに飲みに行った優梨子は翌朝自分の部屋のベッドで目覚めた。見ると自分は全裸で、隣には同じく裸の峰島が。パニくる優梨子だったが、かつてないほどの腰の重怠さに、彼と一線を越えてしまった事を悟ります。想い人と二人きりで飲んだので、ついついテンパって深酒してしまったようだが、実は昨夜の記憶が全く無い。目覚めた彼は随分上機嫌で、昨夜のことをさりげなく尋ねたら「優梨子にしか話してない事だから」と他言無用ばりのニュアンス。会話の内容も気になるが、どうしてこんなことになったのか尋ねたかっただけなのだが、まさか記憶に無いので一から教えてくださいと言える雰囲気ではない。取り敢えず、酒の勢いでのことだしと思うことにしたのだが、出勤日は必ず顔を合わせる人物名だけにどうにも気まずい。あの日、帰り際の彼は「また来る」と言っていた。これは、またこういうことをしようと言う意味なんだろうとは分かるものの、男性との付き合いにあまり免疫が無い優梨子には判断がつかない。友人に訪ねてみたら、関係を持ったんだし付き合ってるつもりなんじゃないの?とは言うが、単にセフレと思ってる可能性もある、と聞いて余計に混乱した。とにかく、彼との会話を丸っと覚えていないのが悔やまれる。悶々としているうちに数日が経ち、予告通り彼が部屋までやって来て、なし崩しにまた関係を持ってしまった。元々想いを寄せていた人なだけに、どういうつもりなのかと聞いて、ただのセフレだろ、と答えられたら悲しい。忙しい峰島は、たまに彼女の部屋を訪れては泊まって行く。峰島は顔立ちも整っているのでモテるが、クールで割とツンケンしているので顔だけ男とも呼ばれていた。長澤もアタックし続けたものの全く相手にされず標的を変えたらしいが、昼休み中の会話の流れで、彼が所長秘書の久世に想いを寄せているに違いないと言い切った。初耳過ぎることに優梨子も驚いたけれど、どうも久世を見る峰島の目つきが尋常ではないらしい。しかも、長澤がついでに告げた「久世はどことなく優梨子に似ている」、の一言に衝撃を受けます。まさか、久世に片思いしてるから、ちょっと似ているらしい自分を代わりにしているでは。確かに、注意して見ていると峰島は久世をよく見つめている。長澤の言った通りだったと、優梨子は峰島の誘いを断りだして・・・。当然、これはただの勘違いで、前述の通り峰島が好きなのは優梨子です。二人きりで飲んだ際、彼は自分の夢を彼女に語り、自分を支えてほしいと伝えていました。彼女も承諾し、盛り上がった二人は一夜を共にしたわけですが、優梨子に記憶が無いので、突然自分を遠ざけた彼女が先輩弁護士と仲良さそうに話してるだけで嫉妬に駆られ、彼女を押し倒します。結局、優梨子はあの夜のことは全く記憶に無かったことを白状させられ、何やら誤解している彼女に改めて話します。いつか、恩人である所長の神谷のパートナー弁護士になりたいのだと。そのために努力しており、そんな自分を支えて欲しいと優梨子に告げたこと。ちゃんとずっと好きだったとも告白して、はい、と返事も貰ったのに、まさかの状況に峰島も唖然。でも、久世さんへの熱い視線は?との疑問も単にライバルへの妬みから睨んでただけの様だ。顔が良いだけに、嫉妬の視線とは気づかなかった。優梨子は記憶に無いことを隠していたことを詫び、自分も峰島に想いを寄せていたことを打ち明けてハッピーエンド。飲み過ぎて記憶が飛んでたのを隠してたせいで、しなくてもいい心配をしていたヒロインですが、強かに酔ってる人に、将来の夢やら結婚前提の告白までしてしまったヒーローも相当テンパってたのが判ります。お互い、酒の力を借りての行動だったので仕方ないっちゃ仕方ないんですが、何とも微笑ましい二人でした。ヒーローの先輩弁護士とその彼女が出て来たのですが、同じ法律事務所が舞台のお話が別にあるのかも。評価:★★★★☆
2022.08.23
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2019年7月刊スターツ出版・マカロン文庫著者:若菜モモさん恋愛経験がほとんどない受付嬢の千里は、ある日、クールで厳しい社長の佑真にデートすることになる。身に覚えのない約束に動揺するも、実は先日、飲み会終わりに彼と恋人契約を結んだというのだ!? 酔っていて記憶はないけど、なんと同居まで約束をしていて…。半ば強制的に始まったタワーマンションでの贅沢な生活にタジタジの千里。会社ではクールな彼が、抱きしめたり甘い言葉を囁いたり、いきなり豹変! 契約上の関係だったハズなのに、佑真の溺愛は日増しに加速する一方で…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 姫野千里=ヒロイン。皇エンターテインメントの受付嬢。 憧れの人である社長の皇佑真に一時的な恋人のフリを頼まれ、彼のマ ンションで同居することになった。 皇佑真=ヒーロー。皇グループの御曹司で、自身はエンタメ会社・皇エンター テインメントの社長。祖母からの見合い攻撃を避けるため、兼ねてよ り好意を持っていた千里に同棲中の恋人役を頼んだ。 皇志津=佑真の祖母で皇グループ会長兼CEO 千里の人柄を気に入る。 矢谷美紀=千里の友人で佑真の秘書。 二人の関係が「フリ」だと知らされている数少ない人物。ラグジュアリー男子シリーズの第一弾になります。シリーズものの1作目を一番最後に読んでしまうと言う(^_^;)取り敢えず、他2作を読んでいなくても問題はありません。特にこれは1作目ですし。内容としてはページ数も多目だったこともあって一番中身も詰まってて面白かったかも。それに、ヒロインとヒーローどちらにも好感が持てるのは大きい。特にヒロインは本当に一般人の普通な子なので、セレブの生活ぶりに一々驚愕してるのが読んでてクスっと来る。バーベキューに誘われれば、シェフが伊勢海老やらシャトーブリアンを焼てくれると言うハイソな集い。気後れしながらもヒーローの友人たちは良い人ばかり。元々憧れていたヒーローに酔ったはずみで恋人のフリを引き受けてしまったヒロイン。やたらと見合いを勧めて来る祖母につい、同棲してる恋人がいると嘘をついた彼は、祖母が遊びに来る日まで恋人のフリをして欲しいと言う。ボロが出ないよう、お互いをよく知ろうとフリながらも同棲することになった彼ら。でも、ヒーローの為人を知るうちに恋心は大きくなるばかり。好きなのは自分だけかと思いきや、彼の方も彼女に嫉妬と独占欲を見せて来て・・・。なお話です。結局、おばあ様の方にも偽装なのはしっかりバレていたんですか、契約期間は終わったとばかりに彼の部屋から出て行ったヒロインは、ヒーローに捕まって連れ戻され本心を打ち明けられます。要は、兼ねてから想いを寄せていたヒロインに恋人のフリを頼み、これを機に本当に付き合えればいいなと裏の意図もあったと言う彼に、自分もずっと好きだったと打ち明けたヒロイン。晴れて二人は恋人関係に。ヒロインの人柄を気に入ったグループの最高権力者のおばあさまもこの交際を歓迎してることだし、先行きは明るいって感じで終わり。割とテンプレな御曹司との恋物語って感じの内容でしたが、オーソドックスだからこそ外さない。評価:★★★★☆
2022.07.05
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2021年9月刊スターツ出版・マカロン文庫著者:結城ひなたさん恋愛経験0のウブ女子・美月はある日、旧財閥系企業の御曹司とのお見合いに出されてしまう。美月は両家の面目をつぶさないよう穏便に断ろうとするが、御曹司・薫は自分に全くなびかない美月に興味を抱く。「見合い成立だ」と宣言され、半ば強引に同居生活が始まると薫の溺愛猛攻がスタート! 「今夜、解放する気はないから覚悟しろ」ーー初めて過ごす一夜、今までに感じたことのない快感に美月はとろけてしまう。そんな折、美月の妊娠まで発覚して…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 華村美月=ヒロイン。新人弁護士で、両親は医師のお嬢様。 父の頼みで九条グループの御曹司・薫とお見合いをした。 九条薫=ヒーロー。旧財閥系企業・九条グループの御曹司。 見合いの席で出会った美月が珍しく自分に靡かないタイプなのを気に 入る。仕事や生活態度は真面目ながら、かなり俺様な性格。 沙希=美月の親友。毎度の如く薫の愚痴を聞かされるも、美月は絶対に薫を 好きになると断言していた。 名波=美月の父の覚えがめでたい優秀な外科医。美月に想いを寄せていたが 薫との婚約が決まり、破談に持ち込むべくとある計画を目論む。アンソロジーって括りではないようですが、マカロン文庫ではおなじみの舞台、「ベリーズヒルズ」でのお話。セレブ御用達の病院長の令嬢と、リゾート系企業会長の御曹司との恋物語。内容としては至ってシンプル。相手が大物とあって、断り切れない見合いに挑んだヒロイン。大層な男前で非の打ちどころのない人物ながら、恋愛結婚を夢見るヒロインは見合い結婚なんて嫌、とばかりに相手の方から断ってくれと頼みます。立場上、言い寄って来る女性は多く、ヒロインみたいに結婚を嫌がるのは極めて稀。ヒーローはそんな彼女を気に入り、あれよあれよという間に婚約までしてしまい、後は入籍するだけになってしまった。(その間、2ヶ月くらいは経ってます)どうせ結婚するのだし、お互いの生活態度を知った方が良いと、彼のマンションで同居することになったヒロイン。だが、恋愛経験ゼロの身には同棲なんてハードルが高すぎる。明かに警戒する彼女に、ヒーローはある賭けを提案。半年の間にヒロインがヒーローに一切惚れないようなら、この結婚は無しにしても良いと言う。売り言葉に買い言葉でその賭けに乗るヒロインだけど、初心な彼女は彼の仕掛けてくる悪戯に陥落寸前。おまけにヒーローは俺様な性格ながら、仕事関係の勉強も真面目で、子供に好かれやすい面もあったり、思っていたよりもいい人だった。先輩弁護士にアドバイスをしてもらった通り、相手を理解した方が楽しく暮らせる、は本当だった。半年ももたずに彼にギブアップしそうだと思っていた矢先、出張帰りに少し寄る所があって遅くなると言っていた彼が、女性と親し気に歩いているのを目撃してしまい・・・。ヒロインの方も、親しくしている男性外科医に声を掛けられ会話していたのを見られて、お互いどういうことなんだと大喧嘩。実家の両親には仲良くやってると言ってしまった手前帰るわけにもいかず、親友の元に身を寄せた彼女は悶々とすることになるんですが、そこを付けこまれて件の外科医に酒を飲まされてホテルへ連れ込まれてしまいます。でもこれはこの外科医が根が良い人過ぎて未遂に終わるのだけど、ヒーローとヒロインがお互いの気持ちを見つめ直すには良い機会でした。あの女性に関してはヒーローの妹だったと言うオチで、その夜身も心も結ばれた二人は数日後入籍。数か月後に大企業の御曹司なだけはある盛大な披露宴を挙げ、ヒロインの誕生日や新婚旅行では金も時間も超かかってそうなサプライズを用意してたり、ヒーローの溺愛ぶりは相当なもの。そして、その数か月後、ヒロインの妊娠が発覚。更にヒーローの溺愛は増しそうな雰囲気で終わり。あらすじでは同居して早々に妊娠っぽい書かれ方をしてますけど、この辺の件は結婚して半年くらい経っての出来事だし、ラストまで残り数ページと言う相当な終盤です。ヒーローが俺様ではあるものの、お坊ちゃん育ち故か何だ可愛い所もある人でした。ヒロインの妊娠発覚で更に溺愛の上、過保護がプラスされそうwじれじれ展開も多少はありましたが、ページ数の都合で仲直りも早く、中盤からは、セレブ同士のラブラブな新婚生活で終始してました。評価:★★★★
2022.07.04
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2020年7月刊スターツ出版・マカロン文庫著者:藍里まめさんぽっちゃりOLの文乃は、25歳になった今も恋愛経験ゼロ。会社のエリート御曹司・俊哉に憧れているけど体形のせいで自信が持てない。でもある日俊哉とデートをすることになり、交際どころか婚約者になることに…!? いつも紳士な彼の独占欲むき出しの愛や、立っていられないくらいの深いキスにウブな文乃は翻弄されっぱなし。そして彼のためにダイエットを決意するけれど、俊哉はまったくおかまいなしで熱く迫ってきて…!? 「今夜、俺が君を食べる」ーー彼の甘いオオカミのような本性からは逃げられない…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 小出文乃=ヒロイン。電気機器メーカ営業部の事務員。 154㎝/63㎏と言うポッチャリ体型をネタにしょっちゅう同僚達から もからかわれている。入社以来、部長の遠峯に憧れていた。 遠峯俊哉=ヒーロー。電気機器メーカーの御曹司で営業部部長。 眉目秀麗で優秀な事から女性社員にも絶大な人気を誇る。 文乃に好意を持っており、とある出来事を切欠に恋人関係になった。 小出翔太=文乃の4歳下の弟。何かと自分を卑下しがちな姉を励まし、母と共に 遠峯との交際を後押した。 上田=文乃と同期入社の男性社員。文乃を癒しキャラと言って憚らず、何か とちょっかいを掛けており、遠峯に嫉妬されていた。 篠原=文乃の一年先輩の女性社員。 後輩に仕事を押し付けて手柄を奪うなどしていたが、想いを寄せてい た遠峯に叱責された上に文乃に庇われ、態度を改めた。ポッチャリ体型のOLとエリート部長の恋物語です。ほのぼのとして可愛いお話でした。癒される~。内容自体もとってもシンプル。場の雰囲気を壊すのが嫌で、ポッチャリ体型をネタに心無い悪口すれすれの冗談も笑って聞き流していたヒロイン・文乃。そんな性格だからか、先輩の篠原に仕事を押し付けられることもしばしば。今日も苦労して作成した資料をさぞ自分がやったばりに遠峯部長へ持って行く彼女を苦々しく思いながらも次の仕事に取り掛かっていたら、彼にはしっかりバレていた。篠原は厳しく叱責されており、ついいつもの癖で文乃は彼女を庇ってしまった。おかげで以降は仕事を押し付けられることも無くなったが、遠峯も自分の為に彼女に態度を改めるよう叱ってくれたんだろうと思うと申し訳なくなる。そんなある日、母が営む鯛焼き屋を週末のみ手伝っている文乃は、遠峯が店に現れてビックリ。冷凍しておけば日持ちするからと思わず15個もタダで渡してしまったが、彼はその礼にと日曜日に食事をご馳走したいと言う。恐れ多くて断る文乃だが、弟の翔太がどうぞ連れて行ってやってくれと代わりに返答してしまい、結局ご馳走してもらうことに。彼の友人がオーナーだと言う和風ダイニングで楽しく食事をしていると、上田や篠原を含め同僚達4人と鉢合わせ。何とも言えない空気になるも、デートかと訝る篠原を尻目に上田達男性社員が文乃の体型からして有り得ないと囃し立て遠峯がブチキレ。文乃は自分の婚約者で、今後彼女をバカにするのは許さないと宣言した。帰り道、遠峯から謝罪された文乃は単に自分を庇ってくれただけかと思いきや、冗談などではなく本当に交際して欲しいと告げられた。夢にも思わなかった申し出に戸惑いはしたものの、ずっと憧れていた人物だ。嬉しくないはずは無く、こんな自分で良ければと、かくして二人の交際は始まったのだった。あの日上田達に婚約していると言ってしまったため、たちまち社内に噂は広まって遠峯と公認カップルになった文乃。付き合いだしてから早2ヶ月、彼からは泊りがけで遊びに来いと誘われるものの、この体系を思うと中々踏ん切りがつかない。彼が言うには2年くらい自分に想いを寄せていてくれてたらしいけど、どこにそんなに惚れこむ要素があるのか。もしかして単にデブ専かもしれないと希望的観測もあったが、いざ裸を見られて幻滅されたら立ち直れない。クリスマスイブは絶対に泊まりに来いと押し切られた文乃は、せめてそれまでに少しは痩せようと無理なダイエットを始めたせいで貧血を起こして倒れ・・・。そんな心配せずとも、彼は文乃の体型ひっくるめてメロメロだったので、懸念していた初体験も滞りなく乗り越えます。そして、年明けにはプロポーズまでされた彼女は天にも昇る気持ちだったけれど、はたと思い返してみれば俊哉は確か勤務先の親会社の御曹司だったはず。自分などが長男の嫁なんて反対されるんじゃと不安を口にする彼女に俊哉は何故か自信ありげ。実は鯛焼き屋の常連である上品そうな夫人が俊哉の母だったと言うオチ。そう言えば、この人随分と文乃を気に入ってたもんな。努力家で性格の良いヒロインなので、こうしてトントン拍子に幸せになっていく様は読んでて楽しかったです。何だろう、ニヤニヤが止まらないwwしかもヒーローの溺愛ぶりがもうおかしくて。9歳差なせいで、交際申し込んでもフラれるかと思ったって言ってたくらいだから、相当テンパってたんでしょうね。お金持ちの割に義両親も良い人っぽいし、幸せになれそうで何より。やはり、この手のお話には夢が無いと。評価:★★★★☆ヒーロー、ヒロイン共に可愛い。
2022.06.27
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2019年9月刊スターツ出版・マカロン文庫著者:若菜モモさん令嬢の古都子は、幼いころからの許婚で大会社の御曹司・大河と結婚、平凡な日々を過ごしていた。しかし、出張が多く帰宅時間も遅い彼に、本当に自分は愛されているのか不安がよぎって…。心身疲労から、古都子は体調不良で倒れてしまうが、実は妊娠していることが発覚して!? それまで仕事に忙しかった彼が過保護な旦那様に豹変! 「ずっと愛し続ける」ーー会えない時間を埋めるかのように、子どもを愛し、古都子にも愛情たっぷり注いできて…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 二階堂古都子=ヒロイン。旧姓:千石 老舗デパートの社長令嬢で、3年前許嫁で初恋の人である大河 と結婚。長男・大翔を授かる。 二階堂大河=ヒーロー。二階堂ホールディングスの御曹司で取締役。 多忙ながら妻と息子を溺愛している。 二階堂大翔=大河と古都子の長男。 千石泰三=古都子の父。千石デパートの社長。 千石葉子=泰三の後妻。古都子が家に同居していた頃は泰三に気付かれない 様、彼女を虐め虐待していたこともあり、大河に敵視されている 西園寺光希=大河の友人で外科医。 同じタワーマンションで暮らしている事から交流も多い。 「一途な外科医の独占欲に抗えません」のヒーロー。 来栖涼香=光希の婚約者。 彼を通して古都子と知り合い、以降友人付き合いを続けている。 「一途な外科医の独占欲に抗えません」のヒロイン。ラグジュアリーシリーズの第3弾だそうですが、前2作を読んでいなくても問題はありません。今作は、結婚して3年ちょっと経ってるラブラブな夫婦に降りかかるトラブルを軸にストーリーが展開。老舗デパートの社長を務める父が脳梗塞で入院。連絡を受けた古都子は見舞いに訪れるも、幸い症状は軽く退院も早そうだと聞き一安心。だが、そこであまり顔を合わせたくない継母の葉子と会い、苦い思い出が蘇ります。古都子の実母が亡くなって数年経ってから後妻に入った葉子は、何が気に入らないのか古都子を苛め抜き、時には手を挙げられた。父がいない時を狙ってやるから泰三は当然、その真実を知らず、古都子も要らぬトラブルは避けたいと黙っていた。大学入学と同時に一人暮らしを始め、卒業してすぐに許嫁の大河と結婚した古都子は、長男の大翔も授かり幸せだ。それでも葉子と会いたくなくて、自然と実家とは疎遠になってしまったが・・・。葉子は久しぶりに会った古都子に泰三に聞こえないようチクチク嫌味を言う、相変わらずの態度。帰宅した古都子は精神的に疲れはしたものの、家では明るく振舞っていた。でも、夫の大河にはすぐバレて今日の出来事を白状させられてしまった。葉子に良い印象の無い彼はかなり憤慨しており、翌日義父の見舞いにかこつけ葉子に釘を刺した。だが、これが葉子の怒りを買ってちょっとした騒動に繋がります。大河の父が昔火遊びしたことで、その隠し子と思われる女性と彼が秘密裏に会っていたことから古都子が誤解して浮気を疑い、関係もギクシャクしてしまいます。葉子はそれを利用して二人の離婚を狙ったものの、事情が判った事により古都子共々早とちりだと判ります。でも、この出来事が泰三に不信感を抱かせるには充分で、父は葉子との離婚を決意。虐待の事も使用人たちから裏を取って初めて知ったらしい泰三は古都子に謝るのでした。葉子は去り際、彼女に謝罪していたこともあって根は悪い人じゃない的なこと言われてたものの、虐待してた事実は変わらないからね。それを思うとちょっと複雑。騒動後に卵巣機能の低下で第二子の妊娠は難しいと思われていた古都子の妊娠が発覚し、エピローグでは次男が誕生して終わり。あらすじは即妊娠っぽい書かれしてますが、実際に妊娠発覚するのはかなり終盤だし、ヒーローは最初から最後までヒロインに過保護だし溺愛してます。既に結婚しているカップルの話の為恐らく浮気疑惑だろうなと予想はしていたんですが、やっぱりwとは言え、どう見ても奥さん一筋のヒーローなので、勿論事情がありました。父親の過去の浮気の後始末とか、そりゃいくら奥さんにでも秘密裏に処理したいわな。あと、お嬢様と御曹司なだけあって、生活ぶりもかなりのセレブぶりで、こういう生活、一度は憧れる。評価:★★★★
2022.06.26
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2019年8月刊スターツ出版・マカロン文庫著者:若菜モモさん大学病院の事務員・涼香は過去のトラウマから恋愛に憶病になっていた。ある日、いつもなにかとかまってくるエリート外科医の西園寺に食事に誘われる。涼香はきっと彼の暇つぶしだと何も考えずに出かけると、「君が好きだ」と告白されて…!? 以来、独占欲全開で迫ってくる光希に戸惑うばかりの涼香。そんな折、涼香は風邪で倒れてしまい、心配した西園寺のタワーマンションで看病してもらうことになる。贅沢な空間でとことん甘やかされ、「この唇に、また触れたい」と何度もキスをされ、身も心も彼色に染められていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 来栖涼香=ヒロイン。大学附属病院の事務員。 院内の独身医師たちに影ながら人気のある美人だが、多感な時期に 両親がダブル不倫で離婚したことから、愛情に対して不信感があり 恋愛に興味を示さなかった。 西園寺洸希=ヒーロー。心臓血管外科医師でロボット手術の名医。 医師一家のサラブレッドであり、ハンサムな外見から女性職員達の 人気が高い。真面目で優秀な上、美人の涼香に3年以上想いを寄せ ており、何かとアプローチしていた。 水戸優子=涼香の先輩事務員で西園寺の同僚の外科医・蒼田の婚約者。 西園寺との恋に悩む涼香を励ます。 野澤小雪=涼香の後輩事務員。内科教授の娘なこともあって上司も何も言えず 、自由気ままな仕事ぶりで、事務管理課では顰蹙を買っていた。 西園寺を狙っているものの、全く相手にされていない同じ作家さんの作品のスピンオフなんですかね。それっぽいキャラが、ヒーローの友人として登場するのだけど、それほど話に深く関わってこないので、他を読んでなくても無問題。逆に、今作を未読でメインの方が既読の方は、あぁ、この人のストーリーかと思うかも。この作家さん、結構好きなんでamazonでポチったりもしてるんですが、冊数多くて中々読み切れない(^_^;)内容の方は大まかですが、あらすじ通りの展開です。130ページくらいのお話なので、途中色々と誤解があって、ヒロインが思い悩んで「やっぱり恋なんて」と、ヒーローからの告白を断ろうとするんですけど、結局彼の粘り勝ち。最後は、婚約してお終い。正直、ヒロインの卑屈さに若干イラっと来まして。事情を考えると愛情を信じられないって気持ちもまぁ判るんですが、自分の物差しで相手の想いを図っちゃダメ。ヒーローにも失礼だよねぇ。終盤、新たに家庭を持った父親と話したことで、両親が仮面夫婦だったこと、お互い本気で好きな人を見つけたから不毛な結婚生活を終わらせたのだと知ります。蟠りが解け、ヒーローの求婚を受け入れるヒロイン。って展開でした。個人的にあまり好きなタイプのヒロインではありませんでしたが、反対にヒーローはモロ好み。ある意味、読み手にも良いバランスなカップル(苦笑)ストーリーも王道展開で面白かったです。困ったちゃんな後輩も、思ってたより素直で良い子だったし。評価:★★★★
2022.06.13
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2020年6月刊スターツ出版・マカロン文庫著者:田崎くるみさん老舗和菓子屋の令嬢である千尋は、百貨店御曹司の利一との結婚が決められていた。ずっと彼のことを好きだった千尋は、政略結婚と知りつつも幸せを感じていた。でも入籍後、利一には愛がないはずなのに、初夜から始まり、まるで深く愛されているのかと錯覚するほど毎夜激しく求められ…!? そして後日、千尋の妊娠が発覚するとクールな利一が溺甘に豹変! 「これからは触れたいときに触れる。もう遠慮はしない」と宣言。その言葉通り、ママになった千尋を過保護なまでに可愛がる日々が始まって…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 天海千尋=ヒロイン。老舗和菓子店の一人娘で、職人である父に厳しく躾けられ た反動からか、内気で引っ込み思案な性格。 婚約者の利一にずっと想いを寄せていたが、政略結婚なこともあり独 りよがりな感情と思い込み、結婚後も暫く本心を告げられなかった。 天海利一=ヒーロー。老舗百貨店の御曹司で千尋の夫。 婚約者として紹介された千尋に一目惚れし、以降足繁く彼女の元に通 っていた。だが、顔に感情が出にくいのと不器用な性格のせいで千尋 に想いが伝わっておらず、結婚して数か月はぎこちない関係だった。堀内千佳子=千尋の勤め先の同僚で親友。明るく気の良い女性で利一との付き合い について度々相談に乗っている。 浜崎竜哉=千尋の高校時代の同級生であり、偶然同じ会社に入社したことで友人 になった。千尋を介して知り合った千佳子と交際しており、二人で千 尋の話を聞き、何かとアドバイスしていた。 千尋の父=老舗和菓子店の十代目で、厳格な性格。 千尋を厳しく育てたが、実はかなりの親ばかで、利一のことも長年娘 に相応しい相手か見極めていた。kindle unlimitedで借りておきながら積読になってたお話。この作家さんお得意の懐妊ものです。お互い婚約者として紹介された時から想い合っていたのに、中々本心を告げられないまま結婚。何となくギクシャクしていたものの、千尋の妊娠を機に心情を吐露し合った結果、誤解が解け二人の関係が変わっていきます。後半は千尋の身体を気遣い、これまでのクールさは鳴りを潜めて利一の溺愛と過保護ぶりが爆発。天海の両親も妊娠報告を大層喜んでくれて、出産後は仕事を続けたいと言う千尋の気持ちを理解し、応援してくれると言う。だが、問題は千尋の父。昔気質で頑固なだけに、何かしら言われるのではと戦々恐々で報告に行ったら、妊娠自体は喜んでくれたようだったけれど、まだまだ働きたいと言う千尋の考えは案の定大反対。利一も助け船を出してくれたが、どうしても父を前にすると萎縮してしまう千尋は自分の考えや気持ちをうまく言葉に出来ないでいた。そんな娘の態度が更に父の怒りを煽ったようで、取り付く島もない。母は夫婦の問題なのだから父が何と言おうと好きにしなさいと言ってくれたが、やはりどうしても父からも賛同を得たい。何かと暇を見つけては実家に帰って話し合いを望んでも父は会ってくれない。母が言うには千尋を厳しく育てたのも娘を思っての事だったと聞かされ、工房に押しかけて自分の本音と感謝の気持ちを語る千尋。だが、その直後、彼女は急な腹痛で倒れ・・・。この話し合いで親子関係も変わって行くんですけど、症状からして多分切迫流産かな?担当医から、出産まで安静にして仕事なんて以ての外とか言われてたので。それで千尋は予定より早く産休に入って、彼女の実家で妻と離れがたい利一共々厄介になるんですけど、今までとは打って変わって和やかムード。お父さんはすっかり本性を隠さなくなってました。ってか、利一と言いお父さんと言い、本音が分かり難い人はちゃんと話し合う機会を持とう(苦笑)数か月後、無事に長男・優一が産まれ、三年後、第二子を授かりつつ仕事に励んでるらしい千尋と家族の微笑ましい様子が描かれてお終い。割と淡々とした内容なれど、お父さんと語らうシーンでは読んでて何だか泣けました。特に厳しかったりする親だったりすると、その親心ってのは子供には分かり難いからなぁ。いざ世間に出てみると、色々な習い事が仕事に生かされてて重宝されているし、御曹司の妻として恥ずかしくない教養が身に付いたのは父のおかげ。うん、確かに感謝しかない。何か色々と考えさせられるストーリーでした。評価:★★★★☆ヒーローによるヒロインへの溺愛ぶりもなかなか。
2022.06.07
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2021年2月刊スターツ出版・マカロン文庫著者:佐倉伊織さん恋愛に奥手なOL・清花は、年上のエリート弁護士である柊一に密かに想いを寄せていた。叶わないと思っていたけど、ある夜、男性に言い寄られているところを柊一が偶然目撃。「もう優しい男じゃいられないから覚悟して」ーー彼の独占欲を煽ってしまったようで、熱く求婚され、とんとん拍子で彼の高級マンションで同居を開始することに。普段は紳士なのに清花の前では溺甘に豹変する柊一。毎夜、滾る熱情を全身で教え込まれ、清花は身も心も蕩けてしまい…。【極上の結婚シリーズ】第三弾! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 九条清花=ヒロイン。大手商社に勤める会社員。 兄の親友・加瀬柊一に長らく憧れていたがとある出来事をきっかけ に交際に発展。柊一が巻き込まれた事件を目の当たりにして、彼の 支えになろうと決心。 加瀬柊一=ヒーロー。在学中に司法試験に合格したエリート弁護士。 一時期清花に勉強を教えていた。 清花と同棲中に抱えていた案件で恨みを買い、傷害事件に巻き込ま れ、彼女を不安にさせたことから、結婚をするべきか思い悩む。 九条蒼介=清花の兄で、柊一の親友。弁護士。 重度のシスコンで、傷害事件をきっかけに悩む柊一に腹を決めるよ う発破をかけた。電子販売オンリーのマカロン文庫ですが【ベリーズ文庫溺愛アンソロジー】極上の結婚1~弁護士&御曹司編~ [ 佐倉伊織 ]楽天で購入ベリーズ文庫のアンソロジーでも読めます。今回のお話、結構気に入ったので、このアンソロ買っちゃうかも。100ページちょっとの中短編なので、交際に至るまでがとにかく早い。やり手弁護士の彼氏と高級レジデンスで甘い同棲生活の様子が描かれ、中盤までは順風満帆な彼らだったんですが、柊一の抱えるDV夫との離婚調停が夫を刺激したらしく、ある日彼に襲い掛かり、傍に居たパラリーガルが腕を斬り付けられると言う事件が起きます。現在犯人は逃走中で、柊一の同棲中の恋人と言うことで清花がマークされている恐れがあり、暫く彼女は兄・蒼介の元に身を寄せることに。不幸中の幸いで、犯人は翌日捕まったようだけど、兄が言うには弁護士は受け持った案件によっては理不尽な恨みを買うことが少なくないと言う。それでも、清花は柊一から離れないと覚悟を決めていました。が、柊一の方はそうでもなくて、彼女の安全の為にも自分は身を引くべきか、それとも弁護士を辞めるか。選択肢は二択のみとばかりに思い悩みます。そんな彼に発破をかけたのは蒼介でした。うだうだ悩んでるなら妹はやらんと、清花は見合いをさせると告げられ漸く決心した柊一は弁護士も清花も諦めない道を選びます。その後、二人は入籍。一年後には長女も産まれてお終い。やっぱり弁護士って儲かる人は儲かるんだなぁ。単にヒーローの実家が資産家なのかもですが、一億くらいするレジデンスに住めちゃうんだもん。とは言え、物語にあった事件に巻き込まれることもあるからセキュリティがしっかりしてることろじゃないと怖いよね。この手のヒーローにしては珍しく悶々と悩む人でしたが、こと愛する人の危険を考えたら悪い方向にばかり考えが行ってしまうのも判る。でもその分、ヒロインの方が肝が据わっていたから、それを思うとバランスの取れたカップルなのかもしれない。当初はページ数からして中盤までラブラブな恋人たちの日常が描かれていたこともあって、このまま特に何もなく終わるのかと思った(^_^;)イヤーな事件が描かれてたものの、横恋慕する女が出て来なかっただけ良い。ぶっちゃけ、どんな物語でも余計な女の登場が一番萎える。評価:★★★★☆予想外の展開で面白かったです。
2022.06.06
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2021年3月刊スターツ出版・マカロン文庫著者:晴日青さん仕事に一生懸命なOL・真白。恋愛経験はゼロだったが、親に強引にお見合い話を進められてしまう。しかもその相手は会社一優秀なエリート御曹司・秋瀬で…!? やむなく結婚を承諾し、夫婦となった二人。政略結婚だと割り切ろうとした真白だったが、会社では紳士な秋瀬の素顔はどこまでも強引でイジワルで…。「俺が惚れさせてやる」ーー最初はからかうような態度だったのに、ウブな真白に秋瀬は次第に独占欲を滾らせていく。「もう待てない」ーー貪るように求められ、身も心も染められていく真白。形だけの関係だと思っていたのに、情欲を止められなくなり…!? 独占欲強めな極上旦那様の滴る極愛! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 和泉真白=ヒロイン。大手デザイン会社「イリス」の広告デザイナー。 実はイリスの社長の娘だが特別扱いされるのを嫌って内緒にしており 社内でもごく一部の人間しか知らない。 同じ苗字で優秀な和泉秋瀬をライバル視していたが、父の命令で彼と 政略結婚することになり戸惑うも、後に両想いになる。以前から秋瀬 の仕事に対する姿勢や真摯さ、影ながら努力しているのを誰よりも理 解しており、社内で起きた情報漏洩事件で彼が疑われた際は、一人秋 瀬を信じて擁護した。 和泉秋瀬=ヒーロー。イリスに途中入社したデザイナー。 非常に優秀でかなりの成績を上げているが、プレゼンでいつも自分と 最後まで競っていた真白を気に入り、内心で好意を寄せていた。真白 が社長令嬢なのも知っていて、彼女に政略結婚の話が上がった際、自 ら名乗りを挙げて真白の夫の座をGETした。正体はイリスのライバル 会社の御曹司であり、それを隠して入社したため、情報漏洩騒ぎの時 は真っ先に疑われる羽目になった。 和泉正親=真白の父でイリスの社長。 自身も優秀なデザイナーで、秋瀬の憧れの人物。 結婚どころか恋愛すらしない娘を案じ、昔からの約束「28歳になっ たら結婚すること」を決行。優秀な人材を見繕っていた所を秋瀬が自 ら志願したことから、真白に事後承諾の形で一先ず入籍させた。 葉鳥=イリスのデザインチームのリーダーで、真白と秋瀬のデザインコンセ プトの違いをよく理解しており、お互い高め合えるはずと敢えて二人 を組ませてハイブランドのキャンペーン広告の企画を任せた。政略結婚ものですが、う~~ん。テンプレ過ぎて先の展開がほとんど読めてしまうと言う、ある意味安パイなお話って印象です。決して大筋は悪くないし、ちゃんと事件の前フリもあったのは良いと思いますが、何だろう一味足りない(^_^;)タイトルにある溺愛って程愛されてないのがネックかも。しかも、いくらヒーローに熱烈にプレゼンされたからって娘に事後承諾でその日のうちに入籍させるとか、横暴&かっ飛んでてこのお父さん大丈夫か?と。結局、最後の方では二人はラブラブになってたからいいものの、チョロイン過ぎる。あと、情報漏洩の真犯人が名前も出ないモブキャラだったらしく、人員整理されたとしか記載されておらず、あんなにヒーローが疑われて責められてただけにモヤモヤ感が。とは言え、さらーっと読めるのと、前述の通りにある程度予想が付く展開なこともあり妙な安心感はあります。この作家さん、ベリーズ文庫の不遇ヒロインものは凄く面白かったんだけどなぁ。評価:★★★個人的にちょっと合わなかった。
2022.05.25
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2021年2月刊スターツ出版・マカロン文庫著者:Pinoriさん恋愛経験のないOLの鈴奈は、知人の差し金でお見合いをさせられることに。やむなく受け入れるも、見合いの相手は会社の副社長で御曹司の四宮で!? しかも四宮は親を納得させるため、恋人のふりをしてほしいというのだ。「俺のものになれ」ーーかりそめの関係のはずが、四宮は堂々と溺愛宣言し、ウブな鈴奈は翻弄されてしまう。会うたびに甘い言葉を囁かれ、鈴奈は次第に高ぶる感情を抑えられなくなり…!? 「もう待てない、お前が欲しい」ーー情欲を灯した四宮の視線に激しく動揺する鈴奈。想定外の溺愛猛攻に、身も心も溶かされてしまい…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 藤崎鈴奈=ヒロイン。大手自動車メーカーの支店で受付業務をしている。 幼馴染の氷室に頼まれ、彼の友人である四宮の恋人役を務めたが、思 いの外先方の両親に気に入られてしまい、暫く恋人役を続行すること になった。その後彼から正式に交際を申し込まれ、人柄を知るうちに 段々と四宮に惹かれて行くが、実は鈴奈本人に複雑な家庭事情があり 彼に打ち明けるべきか思い悩む。 四宮昴貴=ヒーロー。鈴奈の勤める会社の御曹司で副社長。 三十歳になっても女の影が無いことを両親に心配され、見合いをさせ られそうになったことから氷室に相談し、鈴奈に恋人役を頼んだ。 監査で何度も支店に訪れていることや浅尾からの話で鈴奈の働きぶり は知っており、その人柄も好ましく思った事から、彼女に正式に交際 を申し込んだ。当初は氷室の世話を焼く鈴奈と彼との仲を疑っていた 氷室秀吉=タイヤメーカーの御曹司で四宮の友人。鈴奈とはお互いの実家が隣同 士で彼女が子供の頃からの付き合い。家事がからっきしな事から鈴奈 が一人暮らしを始める際に自分のマンションの隣室を用意し、家賃と 食費を出す代わりに彼女に掃除と食事の世話をしてもらっている。 ムードメーカーで人当たりの良い人物だが、とある事情から心中に闇 を抱えており、悪質な嘘をついて四宮達の仲違いを目論む。 浅尾=鈴奈と同じ支店で働く女性メカニック。四宮と同期入社のためその人 柄もよく知っている。鈴奈に何くれと良くしてくれているだけでなく 監査に来た四宮にも好印象を与えるべく、彼女を褒めちぎっていた。 四宮夫人=昴貴の母。鈴奈を気に入り、息子の未来の妻として歓迎して可愛がっ ていたが、彼女の家庭事情を知ってからもその態度は変わらなかった 塚田=鈴奈の同僚で派遣社員。仕事に意欲が無くサボりがちであり、我慢の 限界でキレた鈴奈に怒鳴られて憤慨し、自主退社した。よくあるシンデレラストーリーに見せかけて、結構意外性のあるお話でした。特に幼馴染の氷室が。途中、あれあれ??な言動してたんで、どういうことと思いきや、終盤に明かされた鈴奈の家庭事情に関わるお話でした。そっか、そう繋がるのかー、といい意味で裏切られました。彼女が事情を打ち明けるシーンでは思わず泣けた( ;∀;)ストーリーとしましては、割とありがちな恋人のふりから始まる恋愛が主軸。自動車メーカーの支店に勤める鈴奈。しかし、サボり魔でまったくやる気の無い派遣社員の塚田のせいで雑用全てが彼女に回って来て毎日天手古舞。おまけに、お調子者の営業がお得意様に納期を安請け合いしたりと、小さなトラブルは日常茶飯事あった。でも、流石にそんな状況が続いたのでは業績も上がるはずが無く、ついにはお偉いさんの監査が入ることに。そこでやって来たのは会社役員の息子で副社長の四宮。カッコイイ人だなぁ、な印象を持った程度だったが、後日幼馴染の氷室に頼まれ、一芝居打つことになった鈴奈は何と四宮の恋人のフリをしろと言われパニック。本人からも申し訳なさそうに頭を下げられ、渋々了承したが、彼の両親に会ったらなんともテンション高い人達で、しかもいかにも庶民っぽい所が受けたのか鈴奈は大層気に入られてしまった。作戦は大成功で、これで見合い攻撃は回避できそうだが、息子の年齢からして二人は結婚するものと思っているだろう。そこで、ほとぼりが冷めるまで恋人役は続行することになった。交流を重ねるうちに、四宮は鈴奈の料理上手で家庭的な所や、その人柄を気に入り、「役」ではなく、本当に恋人になってほしいと交際を申し込んで来た。彼女の方も彼を副社長なのに驕った所もない面など好ましく思っており、段々と惹かれ始めていたものの、自分の家庭事情を思い出すにつれ返事をするのが躊躇われた。彼の両親が二人の交際を「ふり」とは知らずかなり喜んでいて、既に結婚を視野に入れていることもあり、大会社の御曹司である彼に自分の様な者が嫁いで良いのか、事実を知れば四宮の両親も考えを変えるのではと思うと言い出せず思い悩んでいた。そんなある日、掃除に訪れた氷室の部屋に泊まっていたらしい四宮が寝言で数人もの女性の名をを呟いていたのを耳にして衝撃を受けた鈴奈。後日、追い打ちを掛けるように氷室から四宮は女遊びが激しい禄でもない男だと聞かされ・・・。この辺の誤解は四宮が鈴奈に弁明してすぐ解けるんですけど、氷室がいきなりダークモードになってビックリでした。彼の抱える闇の原因と鈴奈の事情については敢えて書きません。気になる方は是非、読んでみてください。kindle unlimited会員の方なら読み放題対象作品ですので、無料で読めますし、そうでない方も有料でも読む価値ありのお話です。惜しむらくは塚田の扱いかなぁ。自主退職みたいな形じゃなくて、クビで良かったと思う。仕事舐めてるわ、あの人。割と温厚だと思う自分も実際同じ職場だったらキレてる。評価:★★★★★意外性含め、文句なしに面白いお話でした。
2022.05.24
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2021年3月刊スターツ出版・マカロン文庫著者:夢野美沙さん会社をリストラされ、家も失ったOLの菜穂。バイトを始めると、常連客でエリート弁護士の黒川と急接近。ある日食事に行くことになるが、いつもは紳士な黒川が豹変…!? いきなり求愛宣言され、強引に唇を奪われて…。「ずっと君に触れていたい」ーー甘く迫ってくる彼に戸惑う菜穂だったが、熱い愛を全身に刻まれて身も心も奪われていく。そんな矢先、菜穂の妊娠が発覚!? しかし彼には別の女性がいるという噂を聞き、菜穂は身を引くことに…。彼と離れて秘かに産むつもりだったけど、「俺が君を守ってやる」ーー予想外の溺愛に次第に蕩けていき… ↑楽天ブックスより、あらすじ引用検事の娘のヒロインとやり手弁護士のヒーローとの恋物語です。ヒロインが結構なトラブル体質で、立て続けに災難に見舞われてちょっと気の毒になりました。でもまぁ、そこを颯爽と助けるヒーローってシチュエーションが良いのです。マカロンにしては割とページ数が多目だなと思ったら、恋愛ものにはつきもののじれじれ展開と若干ミステリ要素も加味されてたからでした。中盤から終盤までヒロインが悩みっぱなしなのが辛い(^_^;)評価:★★★★一昔前の月9ドラマみたいなストーリーだったなって印象です。なので、内容は面白い。
2022.04.16
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2020年10月刊スターツ出版・マカロン文庫著者:田崎くるみさんOLの風月は、ひょんなことから友人の代理でお見合いの場へ行くことに。そこにいたのは、風月の会社の御曹司・一成だった。「俺と結婚してほしい」ーーきっぱり断るつもりで行ったのに、待っていたのは予想外のプロポーズ! 親からの縁談を断るために、誰でもいいから妻になってほしいというのだ。そして戸惑う風月をよそに婚約者宣言されてしまう。しかし交際が始まると、エリートな彼の本音を知り惹かれる風月。そして本物の恋人のような甘いキスに溶かされ、ついには初めての悦びを刻まれる。「早く俺を好きになれ」ーー熱く迫る一成に、風月も想いを抑えきれなくなり…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用kindle unlimited会員向けの読み放題にて読了。先日どっさりamazonから借りてしまったため暫く電子書籍が続きます。近いうちに購入作の感想も上げますので。ここからネタバレと感想。大手電器メーカーの経理部に勤める花沢風月は、大学時代からの親友・月川美鈴からとある相談を受けた。美鈴には長らく交際している恋人がおり、この度その恋人の海外転勤が決まって彼女も着いて行くと聞いたのはつい最近のことだ。だが、美鈴の父は二人の交際を昔から反対していたらしい。折しも二人が旅立つ日に美鈴に見合いをセッティングしたそうで彼女は困り果てていると言う。なんでも見合い相手は父の会社の大事な取引先の御曹司とのことで断ったりしたらどんな目に合うかと脅しをかけられたのだそうだ。とは言え、それで恋人を諦められるのかと言われれば当然答えはノーであろう。風月は予定通り彼女に恋人と飛行機に乗れと励ますと、自分はその見合い相手に事情を話して向こうから断ってくれるよう頼んでみると引き受けたのだった。美鈴と恋人は風月に何度も礼を言って旅立って行った。後はその見合い相手に会いに行くだけなのだが、ホテルのラウンジで待っていたのは何と風月の勤める会社の副社長・瀬戸口一成ではないか。挨拶を交わした程度の面識しかないので取り敢えず事情を話してさっさと帰ろうとしたのだが、一成は風月のことを認識しており、事情を聞くと「君が結婚相手になってくれ」と告げた。単に美鈴にはもう相手がいるから一成の方から月川の家に穏便に断りを入れてくれと頼んだだけなのに、何故自分が代わりに結婚相手にならねばならないのだか。どうやら、一成側にも結婚しなければならない事情があるようだ。瀬戸口家の長男である彼は当然次の後継なのだが、父から後を継ぐには結婚が絶対条件だと言い渡されているらしい。正直恋愛している暇もないので父が持ってきた見合い相手と結婚するつもりで今日はやって来たのだと言う。美鈴の事情は理解したから、こちらからご縁が無かったと言うのも構わないが、だからといって代わりに何度も見合いをさせられるのも億劫。それで、じゃあ君でいいやって話になるわけか。これだけ物おじせず自分に話す人間は珍しいそうで彼女に好感を覚えたというのも理由みたいだけれど、風月にしてみれば適当過ぎるだろうと思うばかり。一成には結婚相手など誰でもいいらしいが、肝心の風月の気持ちは完全無視か。結婚とは先ずお付き合いをしてお互いを知ってからするものだときっぱり断ったものの、ならばこの見合い話を持ってきた一成の父に同じく事情を話して納得させたなら諦めてもいいと言う。社内でも切れ者と言われる彼のことだ、勝算も無くこんな提案を持ち掛ける訳はないのだが、受けなければこのまま結婚が決まってしまうではないか。風月は彼に社長との面会を頼んだのだった。週末、高級割烹料理屋に招待された風月は、何だか社長がウエルカムムードで自分を出迎えてくれたことに嫌な予感がした。何だか誤解があるようで早々に訂正しようと思っていたら、一成は風月とは結婚前提で付き合っていると言い出したではないか。なのに先日美鈴と見合いをしたことで風月を傷つけてしまったと嘘八百を並べ立てた。さらっと美鈴には恋人もいること、彼女の両親に結婚を反対されている旨も話したことから、社長はいたく同情したようだ。美鈴の両親に恋人との仲を認めてくれるよう掛け合ってくれるのはありがたいことだが、風月は完全に一成の婚約者として認定されている。やられたと思っても後の祭り、せめて家庭を持って人としての優しさも身に着けてほしかったんだと嬉しそうな社長に本当のことを言う程風月は空気の読めない人間ではなかった。当然、二人きりになった途端一成をやり方が汚いと責め立てたが、その日父の怪我により経済的困難に陥りかけた風月はこの話を受け入れないわけにはいかなくなってしまったのだ。幼少期に母を病気で亡くして以来、父は大工で生計を立てつつ子供三人を立派に育ててくれていた。だが、学生の長男と次男にはまだまだ金がかかる時期だ。足の骨折で全治三ヶ月だと医師から告げられたものの、そうなるとその間働けない。退院後は動けない父の世話で暫くヘルパーも雇うようになりそうで、どう考えても花沢家にそんな金銭的余裕はない。一成は卑怯な手だと自覚しつつも、援助を申し出たのだ。風月は金は必ず返すし、一先ず交際から始めるならと了承したのである。一成は父と弟にまで風月とは結婚を前提にした付き合いだと話しているため、家族には随分と喜ばれたけれど見事に外堀を埋められた。今となっては交際も始まってしまったのだ、否定するのも何か違う気がする。しかも、忙しいと言ってた割にあれから一ヶ月何だかんだと食事に誘われている。高級フレンチなど緊張しっぱなしで食べた気にもならないが、二人で出かけるのにも慣れてきた。今夜はいい加減結婚する気になったかとまで聞いてきたけれど、住む世界が違いすぎる感を訴えると風月が良く行く店で今度は夕食を採ろうと約束してくれた。さすがに居酒屋はハードルは高かったようだけど随分楽しそうで、一成の新しい一面を知り胸が熱くなった。この頃にはもう風月も一成に惹かれ始めていたのだ。後日、風月の行きたいデートコースで出かけることになり、遊園地で遊び倒した頃には二人の気持ちも盛り上がりついに一線を越えたのだった。想いが通じ合ってからの二人の交際は順調で、毎日が楽しい。ある日美鈴から漸く両親が恋人との結婚を認めてくれたと報告とお礼の電話が来た。どうやら一成の父が月川夫妻を説得してくれたようだ。風月もあの見合いが縁で一成と知り合い交際をしていると伝えると驚かれたが、喜んでもくれていた。女手が無い家庭で碌に遊びもせず家事を頑張っていた風月をずっと美鈴も気にしており、心配させていたようだから。その日、風月は一成の弟だと名乗る瀬戸口栄太に食事に誘われ、兄を頼むと告げられた。だが、この食事が翌日会社で騒動になり、風月は栄太の恋人だという噂が広まってしまったのだ。当然一成の耳にも入り叱責されたことで思わず言い合いになったものの、自分の考えなしの行動が以前から感じていた彼の弟への蟠りを刺激したらしい。美鈴に相談しても今回は風月の失態だと言う。風月の家は皆仲が良いけれどどの家族もそうとは限らないのだ。一成の家は社長は人が良さそうだし栄太も人好きのする人であった。だが一成はまるで違うタイプな人間性なのもあり、その辺で壁があるのかもしれない。その頃一成は弟から今回の噂になった話に付いて謝罪されていた。これを切欠に久しぶりに弟と話したことで、お互いブラコンを拗らせていたと判ったのだが、これも風月のおかげだ。弟とちゃんと向き合えと言ってくれてなければ謝罪も受け入れてなかったろう。翌日、先輩社員に栄太との交際をしつこく尋ねられていた風月に助け舟を出した一成は、彼女は自分の恋人だと宣言した。栄太と食事をしてたのも一成の弟ならおかしくもないだろうと言われれば、話はそれでお終いだ。大騒ぎのフロアから連れ出された風月は一成に昨夜のことを詫びられ、彼が長年患っていた栄太へのコンプレックスを打ち明けられた。そのせいで一線を引いてたらしい。栄太と違って自分は人望が無いからと溢す彼に、なら先ずは挨拶されたら笑顔で返すようにすればそのうち社員にも慕われるようになると風月はアドバイスをしたのだった。三カ月後、両家の顔合わせと結納を済ませたと報告すると、式には美鈴たちも一時帰国して来てくれると言う。風月は式を挙げたら寿退社を予定していた。社長業を継ぐ一成を支えたいのとやはり花沢の家が気になるのでなるべく通いたいからだ。結納から二カ月後、二人は式を挙げたのだった。ヒロインが前向きでしっかりしてて何とも好感の持てる子でした。その分ヒーローがちょっと拗らせ系でしたけど、中盤辺りからヒロインにベタ惚れになってる様は微笑ましかったです。ヒロインも何だかんだとヒーローに惚れるのが早かったけど、やっぱり為人を知っちゃうと最初の印象が最悪だったからか、そこから点数は上がってくばかりだもんね。兄弟の互いへのコンプレックスはまぁ近親者だからこその悩みで、打ち明け合ってみれば解決も早い。この先は仲良くやっていくことでしょう。評価:★★★★★今回は見事に刺さりました。読んで損無しのお話です。悪人が一人も出て来ないのもポイント高し。
2022.03.21
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2020年11月刊スターツ出版・マカロン文庫著者:西野ササメさん女子校育ちの社長令嬢・沙穂は、恋愛経験0のウブ女子。ある日、姉に強引にすすめられ、御曹司・三鷹透とお見合いをすることに! そのまま、偽装婚約者としてプレ新婚生活を送ることになった沙穂。しかし、いざ同居生活が始まると、初めて男性と同じベッドで眠ったり、キスをすることにドキドキが止まらない。そんな折、沙穂が他の男に言い寄られていることを知った透の独占欲に火が点いて…。「俺のものだ。誰にも触れさせない」ーー初めての甘く深い夜に抗うことはできなくて…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用kindle unlimited会員向けの読み放題にて読了。偽装結婚ならぬ偽装婚約ものです。ここからネタバレと感想。乙和沙穂は社長令嬢で、自分が箱入り娘だと言う自覚はある。ある日、そんな彼女を心配してか姉の美砂と父のサプライズにより、強引にお見合いをする羽目になった沙穂は内心狼狽えていた。何故なら相手がもう七年もの間想いを寄せていた三鷹透だったからである。彼は現在コンサルト業を営んでいるそうだが、大手旅行会社社長の次男でもあった。なるほど、リゾート系列の事業を手掛ける乙和家としては姻戚関係を結ぶには良い家系ということで、打診したのだろう。思いがけない再会であったが、彼ならば沙穂が最近頭を悩ませていた件についてなんとかできるかもしれない。彼女はこの縁談を承知したことにして婚約者のフリをしてほしいと頼み込んだのだった。七年前、沙穂は姉の名を名乗って透と手紙のやりとりをしていた。姉が大学の先輩だった透に興味を持ち、友人になりたいのだと相談を受け手紙を出すことを提案したのが沙穂だったのだ。とは言え、姉は文章を書くのが得意ではなく、沙穂が代筆を勤めていたのだが、正直透から返事が来るとは思っていなかった。おかげで姉はめでたく透と友人になれたようだが、彼はその後も文通を望んだそうで以降、姉を通してやり取りは続いた。暫くしてから姉に誘われてボランティアに参加した際、透本人と対面して沙穂は恋に落ちてしまった。でもその文通も一年以上も続くと、透は卒業を間近に控えて忙しくなり返事も稀になっていった。そして、最後の手紙となった文面には「美砂のことが気になり始めている」と書かれており、沙穂は自分の初恋が終わったことを悟って手紙を出すことを止めた。今はどうだか知らないが以前の彼は姉を好きだったはずだ。沙穂との縁談になってしまったようだけれど、まだ少しでも気持ちがあるならあの最低な婚約者と姉の結婚を破談に出来るかもしれない。沙穂は姉の婚約破談に力を貸してほしいこと、先ずは自分と偽装の婚約をして徐々に姉に近づいて振り向かせてもらいたいのだと作戦のあらましを告げた。透にしてみれば沙穂との見合いと承知の上で出向いているのだから、今更美砂の方と結婚して欲しいと言われても納得が行かないだろう。案の定理由を尋ねられ、沙穂は美砂の婚約者に問題があるのだと打ち明けた。どうやらまだ何かありそうなのは確かなようだが、必死な様子の沙穂に折れた透は一先ず偽装婚約の話に乗ったのだった。三日後、晴れて婚約者となった透は沙穂をデートに誘った。自分たちを見送る家族の生暖かい目が何とも居た堪れない。しかも、飽く迄偽装だと言っているのに透は本当の婚約者の様に沙穂を扱うのだ。そんな態度をされたら、諦めようとした恋心がまた蘇ってしまうではないか。沙穂の気持ちを知ってか知らずか、透は彼女にキスまでてくる始末。だが、初恋を思い起こしていた沙穂は、ある日現実に引き戻されていた。姉の婚約者である池畠は、事あるごとに沙穂に言い寄り挙句の果てに美砂と結婚したら愛人になってくれとまで言っていた。乙和グループの長女との結婚は立場的には美味しいが、実際は沙穂の方が好みなのだそうだ。要は金だけでなく好みの女も手に入れたいと言うことなのだろう。池畠は箱入り娘で心優しい沙穂が姉を思って、彼の本性を打ち明けられないのを判っているのだ。透が婚約者になったことでこの態度も改めるかと期待したが、厚顔無恥な池畠には大して効果が無かったらしい。乙和の父からの紹介で池畠と対面を果たした透は、あの沙穂があれだけ嫌うだけに注意していようと決めた。そんなある日、乙和家からの申し入れで、結婚するのならお互いの生活ぶりを知るべきと、娘二人の婚約者も暫く屋敷に同居して欲しいと打診された。美砂は同棲と言うものに憧れていたらしく、父の考えに同意したが、池畠と同じ屋根の下で寝起きするなど沙穂にとっては貞操の危機もいい所だ。思わず屋敷ではなく透のマンションに行きたいと父に頼むと、透の後押しもあり池畠との同居は何とか避けられた。数日後、透は何故そこまで沙穂が池畠を嫌がるのか、その理由を知った。初対面の自分ですら何だか嫌な感じの男だとは思っていたのだが、美砂と結婚していずれ乙和グループを継ぐ身でありながら妹の沙穂に愛人になれと迫っていたとは許しがたいことだ。だが、沙穂は姉が傷付くのを見たくないらしく家族に池畠の本性を打ち明けるか否か迷っているようだ。それで遠回しなあの偽装婚約話と言うわけか。姉の為でもあり、婚約が決まった自分に言い寄るのは控えるだろうとの打算めいた考えもあったのだろうが、池畠は相当な身の程知らずらしい。自分のレストランに無理やり連れ込んで、嫌がる沙穂の髪を触る池畠を見た時はどうしてやろうと思った事か。一応脅しはかけておいたがそう効果は薄いかもしれない。そこで透は大学時代の伝手を使い、池畠を表舞台から引き摺り下ろすために動き始めたのだった。一方、沙穂はかつての文通について、本当は彼女が書いたものだと透にバレていたことを知り、何とも居た堪れない気分を味わっていた。彼は気付かないふりをしながら手紙を書いている人が気になり始めたと書いたのだが、沙穂は勝手に失恋したと思い込み返事を書かなくなったのである。透は要領の良い兄に長い事コンプレックスを抱いており、沙穂の手紙に書かれていた一言で救われたのだ。それが切欠で以来、実家の会社に入社するのではなく、起業しようとがむしゃらに頑張り、今はビジネス誌で紹介されるまでになった。そんな時、乙和家から縁談の話が来て相手が沙穂だと知りどれだけ嬉しかったことか。手紙の件が誤解だったと判ったことからお互い両思いだったと知り、偽装ではなく本物の婚約者になることが出来た。残るは池畠の始末だけだ。その後、池畠が五億もの脱税をしたとして逮捕され、美砂との婚約は当然破談となった。しかも多数の女性従業員へのセクハラやら、詐欺紛いの金儲けをしていたりとまあ出るわ出るわ。透は沙穂にこっそり、友人たちの力を借りて彼を追い詰めたのだと教えてくれた。失脚のチャンスを狙って調べを進めるうちにコンサルタント界隈では汚い仕事をするので有名な男が池畠とコンタクトを取っていることが判明した。そこで探りを入れた結果、多額の脱税を突き止めたのだと言う。セクハラ等は調査の副産物らしい。内定だけで正式に婚約していなかっただけ傷は浅くて済んだと父たちもホッとしていたが、実は姉も池畠に良くないものを感じていたらしい。とは言え、自分も箱入り娘だと言う自覚があるだけに家族にも不安を言い出せなかったそうだ。後に美砂は透の兄の葵と知り合い意気投合して交際を続け、後継者修行としてアメリカ支局勤めになる彼に着いて行くつもりなのだそうだ。沙穂と透は同棲を続けており、近いうちに式の日取りも決まるであろう。ふと、姉は恐らく三鷹の家に嫁ぐことになるから乙和家の後継は一体。透はしれっと沙穂が継ぐべきだと言い、当然自分も夫として力を貸すと告げるのだった。ヒロインがまずお姉ちゃんの婚約者はヤバイ奴だと告げるべきでしたね。本人薄々勘付いてたっぽいけど、あのまま黙ってたら姉妹共々不幸になってたんじゃ。取り敢えず、ヒーローが出来る人だったおかげで最終的には事なきを得ましたが、黙ってるのが美徳ってわけじゃないからなぁ。ヒロインが黙ってる意味が理解できなかったのがマイナスポイントです。ヒーローがスパダリ系だったのは良し。評価:★★★☆
2022.03.20
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2020年12月刊スターツ出版・マカロン文庫著者:田崎くるみさん宝石店に勤める陽奈子は、ある日仕事中、呉服屋の御曹司である篤にプロポーズされる。でも実はこの求婚は二人が仕組んだ偽りのもので…!? お互いの事情のために一年限定で契約夫婦となった二人は、篤の住む高級レジデンスで新婚生活を開始。すると篤はとろとろに甘やかし、貪るようなキスをし、陽奈子は心を乱される。「結婚から始まる恋愛があってもいいだろう?」ーーそして熱を孕んだ瞳でそう言われ、陽奈子ももう抗えなくて…。ラグジュアリーな結婚を描く【極上の結婚シリーズ】第一弾! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用kindle unlimited会員向けの読み放題にて読了。大好きな田崎くるみさんの短編小説です。ストーカー紛いの男性から逃れるための偽装結婚のはずが・・・。というお話。ここからネタバレと感想。宝石店に勤める今井陽奈子は、同テナント内の会社社長である君島にしつこく言い寄られて、ほとほと迷惑している。容姿は整っているしあの若さで社長ともなれば優秀なのは判るが、後輩の根本が小耳に挟んだと言う噂話によれば君島は女遊びが激しく、飽きるとポイ捨てをするのでトラブルも多いらしい。三拍子揃っているように見えて典型的な「女の敵」タイプと言うわけか。正直、自信過剰な態度がどうにも鼻について誘いに乗るつもりは更々ないのだが、営業妨害に発展するなり、これ以上行為がエスカレートしたら上司に相談しようと考えていた。相手にしなければそのうち飽きて諦めるだろう、根本にも心配いらないからと話していたと言うのに、その日ついに君島は一歩踏み込んだ行動に出て来た。帰宅途中に待ち伏せされた挙句、恋人でもないのに急に抱きしめられてどこぞに連れて行かれそうになった時はさすがに陽奈子も慌てた。だが、ここまで堂々と抱きしめられていると傍目にはカップルがイチャ付いてるようにしか見えないだろう。焦って何とか抜け出そうともがいていた彼女は和服姿の青年に助けられた。見ると、老舗呉服店「東郷屋」の御曹司・東郷篤ではないか。支店が陽奈子の勤める宝石店と同じテナントにあるため、彼は今はそこを任されているらしい。以前根本がハイスペックなイケメンだと騒いでたっけ。陽奈子もたまにだが見かけたことがある。東郷が陽奈子の婚約者だと名乗ると、君島は漸く彼女を解放しその場を去って行った。もし彼が声を掛けてくれなければとんでもないことになっていたかもしれない。思わずゾッとしつつ、陽奈子は東郷の機転に感謝した。乗り掛かった舟だと事情を尋ねられ、陽奈子はこれまでの経緯を話して聞かせた。自分は随分と呑気だったようで、東郷から見れば君島の行動は立派なストーカー行為に当たるようだ。婚約者がいると判れば普通ならそこで見込みは無いと諦めるものだが、あまり楽天的に考えるのも危険だとついさっき身をもって知ったばかりである。考え込む彼女に何と東郷が本当に結婚しないかと提案して来た。何でも、親戚や上得意客からしつこく結婚しろとせっつかれて困っていたらしい。結婚するのは吝かでないが母が元看護士だったこともあり、どこぞのご令嬢とかよりバリバリ働く女性を妻に迎えたいのだそうだ。彼にしてみれば見合い結婚みたいな気持ちなのかもしれないけれど、やはりお互いの為人を知ってこの人ならと思う人と結ばれたい。陽奈子がそう告げると彼は益々彼女を気に入ったようだ。ならば、一年だけの契約結婚ではどうかと言う。その間にお互いを知ればいいし、嫌なら離婚すればいい。だが、東郷としては離婚前提では考えておらず、一年の間に自分を好きになってくれるよう努力する腹積もりであるらしい。仕事もそのまま続けられるし離婚と言う逃げ道も用意されているとなれば、君島を諦めさせる手っ取り早い方法として一考の余地はありそうだが・・・。取り敢えず、考えてみてくれと連絡先を渡された陽奈子は迷惑をかけないためにも今夜の婚約者発言で君島が引いてくることを願っていた。定休日だった陽奈子が母に呼び出され実家に戻ると、見合い話が来たからと釣書を渡され相手の写真を見て凍り付いた。話を聞くに父の知り合いから打診された縁談そうだが、月島が正攻法で攻めて来たというのは理解した。どうやら先日の東郷の発言によってかなりムキになっているようだ。ここまで来るとさすがにもう自分一人ではどうにも解決できそうもない。陽奈子は両親に結婚を考えている人がいるからと見合いを断り、その夜、東郷に結婚の了承を伝えたのだった。やはり、婚約者と言っただけでは君島も疑ったのだろう。だから見合い相手としてコンタクトを取って来たのだろうが、よくよく考えれば空恐ろしい思考形態である。見合いに持ち込まれて両親に気に入られようものなら逃げようがないではないか。そこで、一刻も早く籍を入れるにしても、どうせなら君島の耳に入るよう、先ず自分たちが結婚すると噂になるよう派手な芝居を打とうと作戦を立てた。東郷が陽奈子の勤める宝石店へ出向き、公開プロポーズをすると言うなんとも芝居がかった演出であったが思っていたよりも功を奏したようで、あれからピタリと君島の姿を見なくなった。一先ずあれ以上のストーカー行為からは逃げられたと思うけれど、約束通り陽奈子は東郷と入籍をした。彼も忙しい人であるが、家事は家政婦を雇うので陽奈子は仕事をセーブする必要は無いと言う。だが、式は挙げさせてくれと言うので半年後に行う予定だが、一応一年限定のつもりの結婚のため、何だか申し訳ない。とは言え、老舗呉服店の御曹司ともなれば式を挙げないのは体裁が悪いのだろう。それに当初言っていた通り、彼は離婚する気は更々無い様だから。入籍してひと月も経つと、陽奈子は思っていたよりもこの結婚生活が快適で楽しいと思い知らされていた。いずれジュエリーコーディネーターの資格を取りたいのだと頑張っている彼女は、ワーカホリック気味でもあったので、今まで付き合ってきた彼氏たちにはそれをあまりよく思われていなかった。なのに東郷はそんな陽奈子に頑張れと背中を押し、彼より帰宅が遅くなるのも少なくないのに文句ひとつ言わないのだ。スキンシップが多めなので未だにドキドキしているが、臆面もなく彼が知人に陽奈子のことを褒めているのを見るに何だか居た堪れない気分になるのは、事情があったとはいえこれが契約結婚だからだろうか。そんなある日、東郷の結婚を聞きつけた東郷屋の上客が陽奈子の勤める宝石店を訪れた。彼女達は陽奈子があんな立派な店の後継者の嫁になったにも関わらず、家に入るでもなく仕事を続けていることに納得が行かないようで、どういうつもりなのかと彼女を責め立てた。正直、いくら夫の店の上客とは言え、親戚でもない他所の家庭事情に物申すのもどうかとは思ったが、そういえば、同居を始めた時に老舗呉服店と言うこともあって、馴染み客には昔気質が多いと言ってたっけ。黙って聞いていた彼女に言うだけ言うとスッキリしたのか、彼女達は帰って行ったのだが、確かに一理あるのかもしれない。意気揚々と生意気な嫁に物申してやったと東郷に自慢げに話した馴染み客たちは彼にこっぴどく諫められたのであった。終業後、意気消沈して帰路についていた陽奈子はばったり君島と遭遇したものの、運良く彼は女連れでホッとした。さすがにこの場で事は起こさないだろうとは思ったが、見合いまで断られた挙句あの公開プロポーズはかなり彼の自尊心を傷つけたようだ。お前は淫売で尻軽女だと罵られ、昼間のダメージと相俟って打ちのめされかけた陽奈子を救ったのはやはり東郷だった。彼は君島にこれ以上何か言うなら訴えると脅すとすごすごと逃げて行った。立場上、今までのストーカー行為と先程の暴言を脅迫だと訴えられれば相当不味いはず。向こうの方から関わり合いは避けるであろう。東郷は馴染み客たちが失礼な事を言ったと詫び、彼女達は諫めておいたと告げた。思わず、そんなことしたら上客を失くすのではと陽奈子は心配したが、昔気質なだけで正論だと判れば案外納得するものらしい。逆に彼女達から悪かったと謝罪を頼まれたと言う。陽奈子はいくら契約結婚とは言え、東郷の立場も考えるべきだったのに妻として何もしていない自分が居た堪れなかったのだと打ち明けた。だから殊の外あの馴染み客たちの言葉が堪えたのだ。一年待たずとも既に彼を愛し始めていたから余計に。そんな彼女に東郷の両親の意向を彼は話して聞かせた。老舗とは言え、無理に店を継ぐ必要は無いし、妻が仕事を辞める必要は無いのだと。東郷は後継になりたいから今も色々勉強しているけれど、自分たちの子供が別の仕事をしたいと言うなら当然許すつもりであるらしい。暗に彼女なりの夢を追いかけ続けて良いのだと言われ、陽奈子は改めてこの人と結婚して良かったと思うのだった。100ページ弱の短編ですが、この極上の結婚シリーズは大抵これくらいのボリュームなのでさらっと読める内容となっています。美人で仕事のできるヒロインがストーカー紛いの男性に言い寄られていたのをヒーローに助けられ、偽装結婚すると言うお話ですが、ヒーローがヒロインに惚れるのが早すぎるw正直あの出会いのどこに結婚してもいいくらい惚れる要素があったのか謎ですが、まあページ数の都合でしょうかね(^_^;)何だかんだと一ヶ月もしないうちにヒロインもヒーローに惚れてたので、最後には幸せそうで何より。ストーカー男は元々モテるだけにムキになってたようですけど、見合いにまで持ち込もうとするのは相手をドン引きさせるだけだと思うよ。あと、呉服屋の馴染み客の余計なお世話ぶりが呆れる。評価:★★★☆大筋は良いと思いますが、この作家さんの割に自分にはあまり刺さらなかったかなぁ。ヒーローはツボだったので★4寄りの3.5で。
2022.03.19
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2021年1月刊スターツ出版・マカロン文庫著者:水羽凛さん彼氏に浮気され、左遷され、家も失って、失意のどん底のOL・由衣子。友人に誘われた飲み会で知り合った、游という男性の家に住まわせてもらうことに。いつも優しく紳士的に接してくる游だったけど、ある日突然甘く豹変! 「君が欲しい」と熱く見つめられ、一線を越えてしまう。次第に彼に惹かれていく由衣子だったが、游が大病院の御曹司で外科医だと判明。身分の違いに驚き身を引こうと家を飛び出すも、「もう二度と離さない」と甘いキスをされ…!? 想定外の甘い快感に身も心も溶かされていく。そんな矢先、由衣子の妊娠が発覚して…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用kindle unlimited会員向けの読み放題にて読了。ベリーズカフェでも本編は読めますが、書籍化に伴い結構加筆訂正されているようです。書下ろしでヒーロー目線の番外編が収録されています。連載時の原題は「いきなりシンデレラ」ちょっとゴロが悪い気がするので、今回に関しては書籍化タイトルとセンスはどっこいどっこいかもしれない。←何気に失礼ここからネタバレと感想。ヒロイン・天野由以子の夢はシンデレラのような玉の輿。卒業文集にまでそれをテーマに書いたことでいい笑いものになったものだが、貧しい家庭で育った彼女にとっては大真面目な願いであった。由以子は奨学金で大学を卒業し、現在は大手医療機器メーカーの営業事務として働いている。夢は大人になった今でも当然「玉の輿」な彼女は、この職場で地主の坊ちゃんである西尾隆と知り合って交際に至り、現在彼の部屋で同棲中だ。もうすぐ25歳の誕生日を迎えるにあたり、最近少し隠し事をしているような隆は自分にプロポーズするつもりなのでは、と気付かないフリをしつつ内心では楽しみにしていた。その日、同窓会で帰省していた由以子は予定より早く家路につくこととなった。一日早い帰宅で驚かせてやろうとドアを開けると見覚えのない高級ブランドのハイヒールに嫌な予感が。そしてそれは見事に的中。二人のベッドでは隆と女が行為の真っ最中であった。しかもよくよく相手の顔を見ると同じ部署の後輩社員・三上まどかではないか。激昂した由以子は隆に別れを告げ部屋を飛び出したのだが、少し頭が冷えると失恋と同時に家も失った事に気付いて茫然。そこで友人の大山紘子を頼り、今夜のことを洗いざらい彼女に打ち明けて、ボーナスが出て新居を借りられるまでの二か月間同居させてくれと頼んだのであった。週明け、隆とまどかと顔を合わせると思うと気が重かったが、当の二人は自分に見せつけるように同伴出勤をして来て、由以子以上に先輩の女性社員・菱沼の方が憤慨していた。由以子は菱沼にはこっそり土曜日のことを伝えると、彼女はまどかの良くない噂を教えてくれた。社内では大人しいが外では男関係が派手でトラブルも多いらしい。隆は好いように金蔓にされているのかもとのことだが・・・。さすがに元カレが遊ばれているらしいと耳にした以上、知らんぷりしているのも寝覚めが悪い。由以子はまどかを呼び出しどういうつもりで隆と付き合っているのか尋ねると菱沼の言葉通り、金目当てだと正直に答えたが、まだ貢いでもらう為にも今のところ別れるつもりないらしい。翌日、隆からまどかを虐めたなと責められた挙句、自分の浮気を棚に上げて由以子が一方的に悪者扱いされてしまった。そして、その日のうちに部署内で由以子が後輩を虐めて彼氏にフラれた女という噂が出回っていたのだった。噂の出所はまず間違いなくまどかであろう。菱沼以外は皆噂の内容を鵜呑みにしているようで由以子は営業部内で完全に村八分である。そんな空気の中、突然由以子に物流センターへの移動の辞令が出た。部長にも横暴だと訴えたものの、最早決定事項だと告げられれば引くしかない。唯一の味方である菱沼も抗議してくれたが一介の社員の意見など聞き入れてくれるはずもなかった。それにしても、あの噂が出回ってすぐにこの辞令は絶対裏がある。おそらく手を回したのは隆に違いない。彼は一応次長ということもあり、人事部にコネくらいはありそうだ。しかも、由以子の後任としてまどかを自分の補佐に推薦したと言う。ここ数日あまりにも不運が続き、紘子が惟子の為に合コンを企画してくれた。新しい男を見つけて元気を出せってことらしいが、気持ちは嬉しいけれどそんな浮ついた気持ににはなれそうもない。当日、紹介された男性達は皆三十歳で有名私立高校のサッカー部仲間なのだそうだ。それだけに現在は皆高収入な職業らしく、紘子は弁護士をしていると言う青年にべったりだった。一時間ほど遅れて最後の一人が現れた。遊と呼ばれている彼は丁度由以子の前に座り、綺麗な所作で食事を始め思わず見とれてしまう程であった。遅刻したのはバイトが押したためらしく、バイトと聞いた途端女性陣の興味は薄れたようでその失礼な態度に何だか由以子の方が居た堪れない。フリーターの何がいけないのだと内心で憤慨しつつ、場所を変えて二次会となった。昼間のもやもやでハイピッチで酒を飲む由以子を諫めて止めたのは遊であった。彼は急性アルコール中毒で搬送されたらどうすると真顔で諭し、由以子に悩みがあって泣きそうなのが気になっていたと言う。初対面の人に、自分の内心を言い当てられ挙句彼は送っていくと帰宅を促した。由以子は紘子にもう帰る旨告げに行くと、合コンで意気投合した弁護士の慎一郎を今夜は自分の部屋に泊めるからうちに帰ってくるなと告げられた。何としても彼を落とす気のようで、居候の自分は指示に従うしかない。かくて、遊の好意によって彼のマンションで一晩厄介になることになった。遊は本当に紳士な青年で、由以子に指一本触れるつもりはないようだった。日付が変わり誕生日を迎えたのだとつい話したら、彼女がシャワーを浴びてる間にわざわざコンビニを梯子してそれっぽいケーキまで買って来てくれて感動も一入だ。翌朝紘子に連絡を入れると慎一郎と暮らすことになったとあっけらかんとした口調で告げられ、由以子は帰る部屋を完全に失くしてしまった。紘子は遊にボーナス出るまで置いてくれるよう頼みなよと気楽に言ってくれるがどう考えても迷惑だろうに。だが、彼女の心配を他所に彼はあっさり居候を了承した。元々寝に帰るためだけのような部屋だし、どうやら慎一郎のせいで追い出されたようだから好きなだけ居てくれていいと言う。ならばせめて食事を作らせてくれと申し出て、かくして二人の同居生活が始まった。遊の部屋で厄介になってから二週間が過ぎ、彼の生活サイクルも段々判るようになってきた。一晩帰ってこない日もあれば、朝早く呼び出されて出勤していくことも多く、本当に寝るためだけの部屋のようだ。そんな中、物流センターへの移動を明日に控え、菱沼から取引先の病院長から演奏会の招待を受けたので一緒に行こうと誘われた。取引先だと言う病院名を聞くと永峯総合病院だと言う。その医院長の永峯氏は菱沼を気に入り懇意にしてくれているのだそうだ。演奏会は思っていた以上に素晴らしく、素人とは思えない腕前であった。菱沼の口利きで永峯氏に紹介された由以子は、その受け答えでにより随分と彼に気に入られたようだ。いずれうちの病院に営業に来てくれるか?と尋ねられ、明日から物流センター勤務になると告げると本心から残念そうな表情をしていた。翌日、二年間務めた営業部を去ることになり、最後の挨拶をしても由以子の評判はこの日まで回復することも無く無視されたままであった。菱沼は絶対に戻れるからと彼女を励ましてくれたけれど、隆が幅を利かせている限り無理な気はしていた。そしてやって来た物流センターは思っていたよりも閑職のようで、先輩社員によるとその分ここは給料やボーナスが営業部に比べて随分少なくなると聞いて茫然とした。隆と同棲していた時、彼は金持ちの割にケチで生活費は全て由以子が出していた。おかげで貯金する余裕は無く、実入りが減る上にあてにしていたボーナスが一律十万では引っ越し資金はどうすればよいやら。悩んだ結果、家賃を半分出すのでまだしばらく遊の部屋に居候させてほしいと頼み込むことになった。彼はほとんど部屋にいないから好きにしていいと告げると、左遷されたと知らないせいか転属祝いとしてパスケースを贈ってくれたのだった。ひと月ほど経ち、久しぶりに菱沼と食事することになった由以子は、つい事情を知る彼女に実は寿退社したい心境なのだと溢してしまった。暇な物流センターの仕事にやりがいを見いだせず、男尊女卑が当然なムードなのも嫌気がさす。遊にすっかり心惹かれてしまった彼女は出来れば彼と結婚したいというのが本音であった。いい人に巡り合えたのならそれもいいかもしれないと菱沼も同意してくれたが、そのあと続いた話の内容によれば、もしかして近いうちに由以子は営業部に戻されるかもとのことだ。どうやらまどかの使えなさぶりが早々に露見したらしく、取引先からのクレームも凄いらしい。後始末に追われる隆がついに先日まどかを怒ったようだ。このままでは仕事に支障が出ると部長が頭を抱えていたくらいだからそう遠くないうちに決まるはずと菱沼は言っていたけれど、何とも複雑な心境であった。数日後、由以子が搬入手続きをした人工呼吸器の台数が間違っていると病院からクレームが来た。頼んだのは二十台だと言うが納品書では二台になっている。調べるとまどかが処理した書類と判明したがこんな初歩的ミスをやらかすとは。とは言え、金額で気付かない由以子にも責任があると上司から指摘を受け、搬入先の病院へ謝罪に行くよう命じられたのだった。そこには隆も来ており、責任者が来るまで何とも言えない空気になったのだが、まどかのミスは明らかなのでそこはきっちり申告しておいた。だがそれが隆の気に障ったらしくて思わず手を挙げた彼を止めたのは永峯医院長であった。数多くの病院経営をしている彼はこの病院の理事でもあるらしく、今回のミスについては由以子より隆に責任追及するつもりのようだ。だが、隆は飽く迄由以子のせいと強調し平謝りして帰って行った。永峯医院長は呆れ顔で隆を見送ると由以子のミスとは思っていないと告げると、ひと月後にある彼の息子の誕生日会の招待状を手渡した。演奏会も兼ねていると聞き、彼女は快く出席すると答えたのだった。翌日、由以子は本社に呼び出されると通されたのは何と社長室。社長は開口一番彼女に営業部へ戻りなさいと告げた。呼吸器のミスの叱責かと思いきや、まさかの命令に驚いていると続けられた話によれば、社長と菱沼は恋人同士であり、昨日の騒動でついに彼女がキレて彼に訴えたのだそうだ。搬入ミスについては報告を受けているが営業部の事務員のミスと聞いている。だが、横暴な人事異動やらはさすがに寝耳に水のことだったらしい。そして、翌日由以子が営業部に戻ると、皆から歓迎された。まどかの使えなさぶりは全員辟易としていたようで、有能だった由以子を早く呼び戻してくれと部長をせついていたらしい。根も葉もない噂で無視していたことも謝罪されて、彼女は改めてこの仕事を頑張れる気がした。遊は大層喜んでくれて、そのうち二人は一線を越えて交際をスタートさせた。彼は相変わらず忙しそうだが付き合いは順調であった。数日後、永峯医院長の息子の誕生日会改めお見合いパーティーに招かれた由以子は、医院長からその息子だと遊を紹介されて驚いていた。何と彼はフリーターなどではなく、大病院の跡取りな上立派な外科医師だったのだ。急激に頭が冷えた彼女は、遊に他人行儀な挨拶をすると、荷物を纏めて彼の部屋から出て行った。一人になりそういえば彼の名字も念頭に入れてなかったなと今更ながらに考える。勝手にフリーターだと思い込んでいたのは自分だし、彼も聞けば答えたろうに。それに緊急外来勤務なら確かにあの生活スタイルにも合点がいく。あんな大病院の御曹司に自分などと不釣り合い過ぎて思わず逃げ出してしまったのである。だが、彼を忘れようとガムシャラに働いていた彼女はある日、飛び込み営業をかけた病院で貧血を起こして昏倒。そこは偶然にも遊が勤務する病院で、あっさり由以子は見つかってしまったのであった。遊が医者だと言わなかったのは、永峯の御曹司ということで金目当てで近付く女性たちから何回か痛い目に合わされていたからだった。由以子がそんな女ではないとはすぐに判ったけれど何となく口にできなかったのだと言う。そんな彼に彼女も自分は相応しくないと勝手に思い込んで逃げてしまったことを詫び、二人はやり直すこととなった。その間、営業部でも変化が。隆が大阪支社勤務と決まり月が替わってすぐ移動となった。永峯医院長から社長にクレームが言ったようだし、体の良い左遷であるのは容易に知れた。由以子は再びの同棲生活のため彼本来の住まいである都内のタワーマンションに越して来た。だが、順調な滑り出しと思いきや、以前住んでいた1Kマンションより彼の職場が遠くなり遊とはすれ違いの日々が続いた。そんな中、彼の車の座席から大粒ダイヤのピアスを見つけて思わず浮気を疑ったものの、遊が遠縁の娘を家まで送った際に失くしたと騒いでいたものらしく、誤解だとすぐ判った。どうも最近体調が悪く情緒不安定でいけないと反省していると、遊が症状にピンときたようで早々に産婦人科を受診するよう薦めた。後日診察を受けると彼の言う通り妊娠していることが判り、二人は早々に籍を入れることとなった。永峯医院長は交際の報告前に由以子を妊娠させてしまった事で息子を怒っていたが、彼女が嫁に来ることは大歓迎だと言う。数か月後、紘子と慎一郎が結婚式を挙げ、ブーケを無事手に入れた由以子は大層ご機嫌であった。二人ももう少ししたら式を挙げる予定だが、思いがけずに憧れのシンデレラになったことを実感していた。 で〆書下ろしの番外編は遊目線の由以子大好き話です。彼氏に浮気された挙句、噓八百な噂により職場で居場所を失った上に左遷されると言うなんとも不運続きのヒロインでしたが、その後捕まえたヒーローが元カレの何倍もいい男だったというストーリー。別れた途端に性格の悪さが露見した元カレの落としどころとしては少々温い気もするけど、先ずヒロインが自分よりグレードが上の男と結婚すること自体、充分な仕返しということなのかも。しかも、あの浮気女にもフラれたようだし、よくよく思えば結構な仕打ちを受けてましたわ。個人的に今作のヒーローである遊はモロ好みであります。性格が良いだけに金目当ての女たちから痛い目にも合わされてたみたいだけど、由以子が彼をフリーターだと思い込んでたことで初めて金目当てでない彼女に惚れこんだのも判る。由以子も結局、遊を好きなってからは玉の輿はどうでも良くなってたのが功を奏してたのかも。夢の玉の輿狙いで付き合ってたアレがろくでもない奴だったしな。評価:★★★★☆タイトルで妊娠を強調していますが、ヒロインの妊娠が判るのはかなり終盤の方です。
2022.03.06
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2020年9月刊スターツ出版・マカロン文庫著者:雨村さん失恋したばかりの菜緒は、両親の勧めでお見合いをすることに。だが現れた相手は同級生の御曹司・月島だった。再会後、飄々としつつも大人の余裕たっぷりに甘やかしてくる彼にたじたじになる菜緒。だが菜緒が他の男といるところを見た月島は、普段の穏やかさとは一変、独占欲を発揮! 「忘れるためでもいい。俺と結婚しよう」と交際ゼロ日でプロポーズし、月島の優しさに惹かれていた菜緒もそれを受け入れる。初夜を迎え、ますます過保護さと甘い快楽を与えられていたが、そんな時菜緒の妊娠が発覚し…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ文引用電子書籍販売オンリーのマカロン文庫です。kindle unlimitedの読み放題にて読了。ベリーズカフェでも本編は読めるようですが、ページ数からして書籍版はおそらく加筆されてるのではないかと。執念で初恋を実らせた御曹司のお話。ここからネタバレと感想。実家が営む老舗料亭・毛利亭にて中居として働いている毛利奈緒は、つい先日、十年以上の恋が失恋に終わって元気がない。そのショックと動揺により仕事ではミスを連発し、終いには寝込むほどであったのだが、ようやく立ち直りかけたある日父から見合いを薦められたのであった。両親には随分と心配をかけたこともあり、奈緒も最初は渋りはしたものの、親の顔を立て見合いを了承したのだった。どうせ相手は中居の自分を贔屓してくれている銀行員の藤井だろうと、釣書を見ることすらせず、当日見合いに挑むと顔合わせに現れた相手は小学校時代の同級生・月島涼介であった。驚いた奈緒は釣書を読まなかったことを激しく後悔したが後の祭りである。涼介は子供時代も見目の良い男子であったが、16年も経つとさらに格好よくなっていて思わず見惚れてしまっていた。不動産会社の御曹司であるのは知っていたけれど、今は専務取締役に就いていると聞き、そんな人がなぜ自分と見合いを?と首を捻るばかり。そんな彼はこれっきりではなく、奈緒に是非結婚を前向きに考えてほしいと言う。涼介とはその後2度ほど会う機会があったのだが返事は保留のままだった。そんな中、奈緒の初恋の人である河本の結婚式が執り行われたのだが、自分が思っていたよりも平常心で参加できたことを不思議に感じていた。だが、河本が奈緒の失恋相手だと気付いた涼介はいきなり彼女に求婚して来た。勿論奈緒の勝手な想いで河本は知る由もない恋であったが、涼介の嫉妬心を煽るには充分であったようだ。彼は子供時代から奈緒のことを想い続けていたらしく、いっぱしの仕事ができるようになったら迎えに行くつもりで今まで努力していたのだそうだ。交際もしていないのに「忘れるためでいい」と言う彼に、奈緒も彼の為人に惹かれ始めていたことからつい結婚を食諾してしまうのだった。奈緒の両親は当然賛成し、後日、月島の両親に挨拶をしに行くと、義母は初恋の奈緒ちゃんと結婚出来て良かったわねと息子をからかっていた。どうやら、想い続けてくれていたと言うのは本当のことらしい。一先ず入籍だけ済ませ、涼介のマンションでの生活が始まった。涼介は嫉妬深い面もあるが、子供時代と変わらず優しく夫として申し分ない。中居の仕事を続けたいと言う奈緒の願いを聞き入れてくれたが、彼女の親の方が涼介の仕事を鑑みて続けるならランチ営業の時のみにしろと薦めたほどだった。それから一月ほど経ち、涼介が携わったビルの落成記念パーティーに出席した奈緒は、涼介の婚約者候補だったと言う高城唯子に出会うが、彼と唯子のフレンドリーな様子を見てモヤモヤしていた。しかもたまたま出掛けたデパートで時間的に仕事中のはずの涼介が惟子と腕を組んでジュエリーショップに入って行ったのを目撃してしまい奈緒は大ショック。最近食欲もなく情緒不安定だったこともあり、奈緒は料亭での勤務中倒れてしまったのだった。報せを受けすぐさまやって来た涼介に、意を決して奈緒は唯子とのことを問い質すと、奈緒が義母から譲られた月島家代々の結婚指輪のクリーニングとサイズ直しを依頼するために評判が良いという店を紹介してもらっただけだと言う。腕を組んでいたのは外国育ちの唯子は誰に対してもあんな態度なのだと聞き、奈緒は余計な気を回して浮気を疑ったことを素直に詫びた。涼介は今後も浮気はあり得ないと断言すると、それより今の彼女の症状に心当たりがあるらしく産婦人科の受診を薦めたのだった。現在産休中の彼の秘書が似たような症状だったらしく、診察の結果予想通り妊娠6週目だとのことだった。両家の親達も大層喜び、早々にベビー用品のプレゼント攻撃にあったのだが、彼女は悪阻が重い方だったようで、涼介の奈緒に対する過保護ぶりは凄まじかった。楽しみしていた同窓会の出席も感染症のリスクから止められてしまったものの、別日に実家の料亭で奈緒と仲のいい者たちだけを呼んだ集まりを企画してくれたことで不満も帳消しになったのであった。二人は奈緒のお腹が目立つ前に神前式で挙式を行い、数か月後長女が産まれた。美結と名付けられた娘を案の定涼介は溺愛していたのだが、奈緒はそんな彼の姿を見てふと、なぜ自分の夢が白無垢での挙式だと知っていたのかと尋ねると授業の時に将来の夢として白無垢の花嫁の絵を描いていたからだと、しれっと答えた。そんな涼介の宝物の中には奈緒の描いた絵が仕舞われていたのだった。ちょっと薄い文庫程度のボリュームでしたが終始淡々としたお話だったなという印象です。ヒーローが子供時代からヒロインに対してストーカーじみた想いを抱き、大成したときに迎えに行くと目標を掲げ努力していたわけですが、一歩間違うと危ない人っすわ。他人の課題とかどうやって手に入れたんだろ。担任に金でも積んだんだろうか。もしヒロインに結婚前提の相手がいたら、社会的に抹殺しそうで怖い(^_^;)評価:★★★展開が早いのとじれじれ部分もほぼ無いのでストレスなく読めますが、淡々とし過ぎてる内容かも。
2022.02.28
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2020年10月刊スターツ出版・マカロン文庫著者:高田ちさきさん恋愛経験のないOLの聖奈。エリート弁護士の柾貴を兄のように慕っていたが、ある日、親の借金のカタに従兄弟との縁談が浮上。すると事情を知った柾貴が「俺と結婚しよう」と言ってきて…!? 問題解決までの契約結婚だと説明され承諾すると、すぐに柾貴の超高級マンションでの新婚生活が始まる。でも形ばかりの新妻のはずが頬にキスされ、ベッドで抱きしめられ、胸が高鳴ってばかり。ついには彼への恋心を自覚して…。「好きなんだ。俺だけのものでいてほしい」ーークールな彼が自分にだけ露わにする独占欲に、もう抗うことはできなくて…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ文引用kindle unlimited会員向けの読み放題にて読了。書下ろし作品のようです。ここからネタバレと感想。清武聖奈は事務用品会社に勤める24歳の会社員。母は女手一つで自分を育ててくれた上に、大学にまで行かせてくれて感謝しかない。そんな母が持病の心臓病を悪化させ入院してからもう三ヶ月になる。だが、手術も終わりそろそろ退院時期も決まりそうで、聖奈もホッとしていた。今日は週に一度の見舞いの日。この日は、母が経営する学習塾の元塾生・出水柾貴も来てくれる予定だった。柾貴は元々母の中学教師時代に担任した生徒で、当時は問題児であったと言う。少し訳ありな家庭で育ったらしく家に居たくないのか母が塾講師になってからもよく顔を出していた。自分より5歳上の彼を聖奈は兄の様に慕っており、やり手の弁護士になってからも二人に会いに来てくれていたのだった。聖奈が病室に着くと珍しく伯父の和彦が見舞いに訪れていた。伯父は聖奈の顔を見るなり、話があると談話室に連れ出すと母の退院も決まりそうだから、借金を返してもらえないだろうかと切り出した。どうやら、母は塾の開校時に会社経営をする伯父から資金を借してもらったらしく、しかも聖奈の大学の入学金やら今の入院費まで伯父が用立てていたのだそうだ。さすがに金額も金額なので、伯父も歳ではあるし、そろそろ清算してもらいたいのだと言われた聖奈は心底驚いた。恐る恐るその金額を尋ねると、何と1千万。聖奈は取り敢えず貯金の150万を渡すからあとは分割でと願い出ると返済に何年かけるつもりだと拒否されてしまった。そうは言われても、どこをひっくり返してもそんな金額をすぐ用立てるのは無理だ。ほとほと困り果てていると伯父は嫌な笑顔を浮かべると、自分の息子の誠と結婚するのならチャラにしてやると代替え案を出してきた。その名を聞き、思わず聖奈は身震いをしてしまう程苦手な従兄弟であった。子供時代の親戚の集まりではとにかく誠に嫌がらせと意地悪をされ続け、印象は最悪だ。思わず断ってしまった聖奈に、結婚が嫌ならすぐにでも金を返せと無理難題を言う。しかも、子供時代の意地悪は子供にありがちな好きな子ほどって奴だよと猫なで声で言われゾッとした。それに借金云々についてもどう考えてもおかしい。塾開講の時はまだ10歳だったし、金のことなど母は言うわけがないにしても入院費については当初心配していた自分に保険が降りるから安心しろと言っていただけに伯父の話はさすがに寝耳に水過ぎる。とは言え、母が自分に心配かけまいと黙っていたのだとしたら?と思うと全くのデタラメと切り捨てるのは聊か無謀な気がした。伯父の物言いも段々きつくなり、先ずは籍を入れてくれればいいんだと迫られ、聖奈が追い詰められていると、そこに柾貴が現れた。やり取りが白熱し過ぎて廊下にも聞こえたのだろう、彼は伯父を睨むと名刺を取り出し弁護士をしていると名乗ると伯父の態度が明らかに変わった。柾貴は漏れ聞こえた「借金」「結婚」「籍だけでも」のワードに厄介ごとに巻き込まれていると察したようで、自分が話を聞くと申し出ると伯父はあたふたとその場を逃げ出したのだった。聖奈は柾貴に事情を聞かれ、もう半分知られてるしと包み隠さず話すと、案の定彼は激昂した。弁護士の意見として証拠も無いのにそんなバカげた話は通らないと前置きしたが、実際親戚間の借金トラブルは多いのだとため息をついた。だが、聖奈は伯父の話が100%嘘だと言う証拠も無いことが不安で、自分が我慢して誠と結婚すればカタが付くと言うなら話を受けるつもりだと言い出し、柾貴は慌てた。それなら母に借金のことを尋ねてからだと諫めたが、心臓病で入院してるのに余計な心配かけたくないと聖奈は聞き入れない。今にも伯父に電話しそうな彼女に、柾貴は「じゃあ俺と結婚しよう」と告げたのでした。彼が言うのは飽く迄偽装結婚であった。籍を入れてしまえば伯父も強硬手段に出られないはず。借金に関しては柾貴を通すよう手配すると言う。取り敢えず1年間だけと期間を決め、その間に調査を進めると言う作戦だ。念には念を入れた作戦の為だが偽装とは言え結婚までさせるなんて、聖奈は申し訳なく思ったが、今の自分があるのは二人のおかげだから恩返しがしたいのだと言われれば断るのも憚られる。かくして、聖奈はこの申し出をありがたく受けるのだった。その夜、21時過ぎと言う割と非常識な時間に伯父が誠を伴い清武家を訪れて、ずかずか上がり込んできた。どうやら、聖奈一人になるのを狙っていたらしく伯父は先程の話を蒸し返すと彼女に詰め寄って来た。だが、気になって引き返して来たと言う柾貴によってまたもや阻まれます。さすがに二度も邪魔されると腹が立ったのか、伯父が彼に弁護士とは言え、無関係な人間が口を出すなと怒鳴りつけた。そんな伯父に柾貴は、自分は聖奈の婚約者であり近々籍を入れるので関係者だと告げると、伯父たちは憤慨しながら出て行ったのだった。予想以上に強硬手段に出るのが早かったため、早急に籍を入れてしまおうと翌日母に結婚を報告することになった。母は突然の話に驚いていたが相手が柾貴ならととても喜んでいた。聖奈は偽装結婚なだけに心苦しくなったが、母のこんなに明るい笑顔を見たのは随分久しぶりだった。式は追々考えるとして一先ず籍を入れると言う柾貴に、随分急なのねと不思議がられたものの、これで母が伯父に探りを入れられても大丈夫だろう。その足で、家に寄って聖奈の荷物を運び、柾貴のマンションに同居する予定だが、自宅の近くで誠を見かけ、まだ伯父たちは全然諦めていないことを知ったのでした。柾貴の住まいはコンシェルジュ在住の高級マンションで、セキュリティ面は万全だし安全のようだ。しかも、自宅より職場に近く通勤も楽になっていいこと尽くしだ。柾貴は離婚前提の結婚だから、籍を入れたことは周囲には内緒にした方がいいと言われ、直接の上司にのみ結婚の報告をすると、少し家庭の事情があるからと口止めもしておいた。それから早いもので同居してから一ヶ月が過ぎ、先輩社員の中道にここ最近随分と機嫌がいいし可愛くなったとからかわれたりもしたが、あれから伯父は何も言ってきていないこともあって、概ね順調なおかげだろう。中道から言われたことを柾貴にも話すと彼は急に機嫌を損ね、「聖奈は昔から可愛いのに、その先輩は男か?」と聞いてきた。珍しい反応がおかしくなり、中道は女性だと答えると、すると突然、明日指輪を買いに行こうと言い出した。虫除けにもなるから嵌めてほしいとも言われ、最初は遠慮していた聖奈も素直に受け取ることにした。柾貴が買ってくれたのはダイヤのエタニティリングで、あまりの綺麗さに思わずニヤニャしてしまった。会社に着けていけないのが惜しいと溢すと、彼氏に貰ったと言えばいいと言われ、それもそうかと、アドバイス通りに着けて行くと早速中道に冷やかされたのだった。その日、会社の飲み会に出席した聖奈は、中道から見合い相手の愚痴を聞かされた。税理士らしい相手はやたらと金のことを聞いてきて、いずれ開業したいから経済的に支えてくれる人が良いと言われたとかで大層怒っていた。それに比べてそんなブランドもののリングをポンと買ってくれる彼氏がいて羨ましいと冗談交じりに絡まれたが、偽装だからそんな羨まれるようなものではないと内心落ち込む聖奈。そんな二人の話が耳に入ったらしく、普段から自分に懐いてくれていた後輩に帰り道に告白され、間の悪いことに迎えに来た柾貴に見られてしまった。柾貴は余裕綽々な態度で聖奈の婚約者だと自己紹介すると後輩の前で頬にキスをして、止めてあった車に彼女を押し込むと終始無言であった。だが、部屋に着くなり聖奈に謝り「好きだ」と告白すると抱きしめて来たのだった。彼の話ではもうずっと聖奈のことが好きで、この状況を利用して偽装結婚を提案したのだと打ち明けた。そんな聖奈の方も兄の様に思いつつ、一緒に暮らすうちに好きになっていたのだと告げるのでした。まあ、そうだろうなとは思ってましたが、辛い少年期を過ごしていた自分に懐き好意を寄せてくれた少女に惚れないわけがなく。随分と綺麗なった彼女が無理矢理結婚させられそうになったとなれば黙っているわけがないのです。お互い初恋同士だったことで偽装が本物の結婚になりそうだけど、ここで悶着が起こります告白されてから三ヶ月ほど経ち、交際をすっ飛ばしての入籍だったので、今になって二人は映画や遊園地に出掛けたりとデートを重ねる日々。そんなある日、インターホンが鳴り、カメラを確認するとなんと伯父と誠だ。どうやってここを突き止めたのか知らないが、部屋に上げたくないので人目のある近くのコーヒーショップに行ってもらった。伯父は柾貴は信用ならないと捲し立て、聖奈と結婚したのは母名義の土地を手に入れるためだと言い捨てた。何でも聖奈の家近辺は再開発区域に当たるらしく土地価格が高騰しているらしい。聖奈はそんな話信じないと部屋に逃げ帰ると、やはり気になってネットで調べ始めた。すると、伯父が言うように確かにあの一帯は再開発区域に入っていた。何やら難しい単語も多くメモを取ろうと引き出しを開けたら、提出したはずの婚姻届けが仕舞われており、聖奈は絶望感に襲われます。そこを帰宅した柾貴に見られ気まずい雰囲気が漂うが、彼は彼女の手を取り、話はオフィスに行ってからだと聖奈を連れ出したのだった。「つばき法律事務所」と書かれた事務所の応接室に入ると母が一時退院して待っていた。少しして伯父も入ってくると事の顛末を柾貴が話し始めた。聖奈はああ言っていたものの、彼は事が事だけに早々に母・恵子に全部打ち明けていたらしい。恵子が言うには確かに伯父に一度だけ借金はしたが大分前に既に完済しており、金額も1千万だなどとんでもないとのことだった。そこで柾貴が伯父の身上調査をしたところ会社経営に失敗し倒産寸前なことが判った。伯父は金策に困り、恵子名義の土地に目を付け、生前贈与狙いで誠と聖奈の結婚を推し進める腹積もりだったようだ。目論見をあっさり見抜かれ伯父も開き直っていたが、柾貴の調べで件の再開発が先日中止になったと聞き青くなった。例えあの土地を売っても希望の金額には到底及ばないと知り、愕然として伯父は帰って行った。恵子は大変な目に合わせたと二人に詫び、何か拗れかけてたようだけど送らなくていいからきちんと話をしなさいとタクシーで病院に帰って行った。土地目当て云々は柾貴ではなく伯父の企てなのは判ったが、婚姻届けの件はどうしてか聞くと、やはり彼は弱みに付け込んだようで罪悪感があったらしい。だが同じ気持ちだと知り、事が片付いたらあの婚姻届けを提出するつもりだったそうだ。彼が聖奈を伴い外に出ると誠が襲い掛かって来た。難なく柾貴に取り押さえられた誠は、彼女に小学6年生の時にプロポーズしたのに忘れていただろうと聖奈を詰った。言われて記憶をたどれば確かにそんな事を言われたなと思い出した彼女は誠に謝ると、これだけは伯父も嘘をついていなかったと思うのだった。色々あった一日であったが、柾貴はホテルのスイートルームに聖奈を連れて行くと改めてプロポーズをし、二人は結ばれます。翌日、彼の薦めでウェディングドレスの試着をしてはしゃぐ聖奈の様子が描かれて、了。作中の時間経過を見るに、伯父の目論見も倒産しかけてた割には随分悠長な計画に思いましたが、細かいとこは突っ込んだら負けですね、きっと。だから聖奈も余計な気を回さずに早めに恵子さんに聞いておけば・・・。それにしても、弁護士ってやっぱり儲かる人は儲かるんですかね(苦笑)評価:★★★☆堅実で前向きなヒロインに好感が持てます。
2022.02.20
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2021年4月刊スターツ出版・マカロン文庫著者:西雲ササメさん「真面目OLの菜々花は、ある夜酔った御曹司の加賀を介抱するため、一夜を共にしてしまう。後日、持病の検査で婦人科を受診するが、それを知った加賀は奈々花を妊娠させたという盛大な勘違いをしてしまい…!? 加賀は「ずっと好きだった」と情熱的に菜々花に迫り、いきなりプロポーズ。2人はプレ新婚生活を始めることになる。戸惑うも、密かに加賀に想いを寄せていた菜々花は抗うことができず、降り注ぐ熱いキスにとろけてしまう。「もう一秒も待てない」ーー誤解はほどなく解けるも、加賀の溺愛はエスカレートする一方。情欲を滾らせる加賀と激しく求め合う本物の一夜を迎えて…。カタブツ御曹司の猛愛本能が覚醒! 懐妊疑惑の初夜から始まる極上オフィスラブ!」↑楽天ブックスより、あらすじ文引用電子書籍のみでの販売です。kindleで購入。調べたら、ベリーズカフェででも最後まで読めるみたいですね。ここからネタバレと感想。ヒロイン・星野奈々花は勤め先の会社社長の御曹司で上司でもある加賀隼世のことを密かに慕っていました。長身でスポーツマンの上ハンサムだが、穏やかな性格で優しい彼は、総務部のパートさん達の恰好の的で毎日のようにからかわれて困っている姿も奈々花には可愛らしく見えた。ある日、25歳になったこともあり婦人科検診を受けた奈々花は、担当医師から卵巣に腫瘍があると告知されます。医師の話ではこの腫瘍のほとんどは良性ではあるが、それでも奈々花ほどの大きさのものだと捻じれることもあるらしい。その危険を避けるためにもと手術での摘出を薦められるも、さすがに入院と手術ともなるとためらってしまう。決心をつけかねていると医師は悪性の可能性も無くはないため、MRIを受けてどちらか判ってからまた考えましょうと言われはしたがガンかもしれないと思うと不安で堪らない奈々花だった。部署の親睦を兼ねた飲み会の日、案の定パートさん達に捕まった隼世はどんどん注がれる酒を断り切れずに飲むうちに酔いつぶれてしまった。隼世を介抱する奈々花を見て、パートさん達は課長を送ってやれといつの間にか呼んでいたタクシーに二人を押し込めるのでした。パートさん達のお節介が嬉しくはあったが、隼世は目黒住まいとしか知らない上に大分気分が悪そうだ。奈々花は最寄りのビジネスホテルへ向かってもらうと彼を運び込みます。ダブルの部屋しか取れなかったが、長身の彼には丁度いい。せっせと世話を焼いていると目を覚ました隼世にしきりと謝られた。こんな時まで気を遣う彼に、何だか話を聞いてもらいたくなって、奈々花は先日の検診結果の話をし、ガンかもしれないと思うと不安なのだと心情を吐露します。神妙な顔をして聞いていた隼世は、思わず弱音を吐いてしまったと恐縮する彼女に、何でも相談して欲しい、何故なら自分は・・・と言いかけたその時、隼世が吐き気を催したことで、その言葉の続きは聞けずじまいだった。吐くだけ吐いてスッキリしたのか彼は寝てしまい、一先ず苦しくないようネクタイとベルトだけ外してやった奈々花は、今夜のことは秘密にしてほしいと置手紙を残して部屋を後にします。翌朝目覚めた隼世は、見覚えのない部屋と乱れた自分の姿に驚愕。ダブルベッドに寝ていてゴミ箱にはティッシュの山、昨夜奈々花が自分を介抱してくれたのは覚えているが、まさか自分は彼女と致してしまったのかとグルグル。サイドボードの上にあった置手紙を読んで更に青くなった彼は、奈々花にどう責任をとればいいのかと思い悩むのでした。隼世さん、思い切り勘違いしてますが、この状況だとそう思っても仕方ないような。憎からず思っていた女性と一夜を共にしてしまったと思い込み、気まずいまま週明けを迎えると奈々花は何事も無かったように挨拶をしてきて拍子抜け。意を決して金曜の夜のことを口にすると、彼女は気にしないでくださいと言いつつ、自分でも整理がついてないから保留にしていると言われ混乱するばかり。止めに課長が初めてだったんですと言い出した。もしや自分は酔って無意識に彼女に告白して、その答えはまだ保留中ということかと内心で納得した彼は、急激に奈々花を意識し、彼女からOKが出たら結婚を前提として付き合うのだと決意するのでした。だが、告白したのはともかくとして、まだ保留中の段階で自分は彼女に手を出したのかと思うと、我ながら最低過ぎる。女性が苦手と噂が立ち暫く女性とは縁遠かったが、そういえば昔付き合った女性達からは悉く女の気持ちの分からない奴だと言われてフラれたっけ。そんな気持ちを抱えたまま一か月ほど経ち、休憩時間の自販機コーナーでパートさん達が奈々花のことを何やら話していた。隼世は物陰に隠れて聞き耳を立てると、パート仲間の一人が婦人科の待合で彼女を見かけたのだと言う。しかも、最近の奈々花は何やら具合が悪そうでトイレで会った時などお腹を押さえていたことから、もしかして彼女は妊娠してるのではと結論付けた。心当たりありありだった隼世は奈々花を捕まえると、再びあの夜のことを尋ねます。彼女は明日結果が出るので、漸く踏ん切りがつくと幾分すっきりした面持ちだったが、隼世にとっては一大事だった。その夜、彼からメールが届き、病院に付き添いたいと言ってきた。面食らった奈々花は彼の意図がよく分からず、やんわりと断るが、隼世は付き添うという意思を曲げない。婦人科の上、腫瘍の位置からしてさすがに恥ずかしい。少しきつめに断ると漸く彼は引き下がったが、必ず結果が判ったらすぐに連絡をくれとのことだった。両親さえ内緒で、初めて彼にだけ打ち明けたから気にしてくれてるのだろうか。とは言え、どうにも最近の彼の自分への態度はおかしい。検査の結果、良性の卵巣嚢腫だったがやはり将来妊娠した際に位置がずれたり、捻じれて激痛で緊急手術という場合も少なくないらしく、摘出手術を薦められた。妊娠に影響あると聞き、漸く手術を覚悟した彼女は約束通り隼世に連絡し手術することになったと告げると、彼は慌てて二週間だけ待ってくれという。その後、部屋まで押しかけて来た隼世は奈々花にプロポーズすると、お試しとして二週間一緒に暮らしてほしいと提案して来た。想い人からの求婚にパニくる奈々花は、ガンかもしれないと言ったせいで彼女が死ぬと思い、それが切欠で奈々花への想いを自覚したのかもしれないと都合よく考えた。身分違いの恋に半分諦め、見ているだけで幸せだったのに両想いだったとは。彼と結婚したら色々柵で苦労しそうだと思いつつ、奈々花は彼の求婚を受け入れるのでした。隼世さんは完全に手術=中絶だと思い込んでるようで、彼女を思いとどまらせるべくプロポーズに至りましたが、元々二人は両想いだったんですよね。あるべき姿になっただけなのだけど、この隼世の誤解が思わぬ騒動になるのです。コンシェルジュ付きの高層マンションにある隼世の部屋で、二人のお試し同棲が始まるが、彼は奈々花に過保護全開で実家から腕利きの家政婦まで連れてきており、仕事まで休めと言ってきた。入院に手術が控えてるとは言え、さすがに仕事は休まないと抵抗すると、出勤と退勤の際は必ず家政婦の近藤さんの送迎でということで手を打った。隼世のこの過保護ぶりには少々げんなりしたが、ふとそろそろ生理がある頃だと気付いた。が、男性の一人暮らしの部屋にサニタリーボックスなど置いていないだろうと、近藤に近々生理が来る旨を伝えると、何故か驚かれた。近藤はすぐに対応すると答えてくれたが、その時の彼女は気付いていませんでした、この会話が更なる混乱を招くことに。翌朝、隼世は近藤から奈々花は妊娠していないようだと報告を受けます。本当に彼女から妊娠を告げられたのかと尋ねられたが、思い返してみるとそのワードは一度たりとも出なかった。婦人科を受診して手術するのは本当のようだから、病気なのは確かでそれを隼世が勘違いしたのだろうと近藤も納得した。だが、それはそれで隼世には大問題だった。彼の勘違いを知らない彼女は自分が責任をとるために求婚したのだと思って、この話は無しにされてしまうかもしれない。もはや奈々花にベタ惚れな隼世は彼女と結婚できないなんて以ての外。彼は近藤に妊娠の件については他言無用を命じます。焦る隼世の気持ちも知らぬまま、奈々花は二人の生活を楽しみ、ついにキスまで経験して天にも昇る気持ちでしたが、ある日勤務中に人事部へ呼び出された彼女は隼世の弟だと名乗った斗真に兄と別れろと言われます。どうやら近藤から話を聞いたらしい斗真は、奈々花を妊娠したと偽り結婚を迫った性悪女だと認識したようで、ネチネチ責め立てた挙句、配置転換まで強行して奈々花を自分の秘書として埼玉支社に連れて行くとまで言ってきた。彼女にしてみれば寝耳に水な話であるが、隼世の言動に漸く合点がいった。彼がプロポーズしたのは責任を取るつもりで、別に自分に惚れてのことじゃないんだと思うと浮かれていた頭も急激に冷えて来た。彼女は誤解を解くべく弁明するも斗真は聞く耳持たず、一日だけ時間をやるとその場は引き下がりました。帰宅後、あるハプニングから二人は事に及びそうになったが、隼世は鉄の意志で拒んだことで、やっぱり妊娠してると勘違いして求婚したのかと確信した奈々花は埼玉に行くことを決意します。様子のおかしかった奈々花のことで近藤に話を聞くと、斗真に彼女のことを話したと聞き隼世はぐったり。他言無用だとあれだけ言ったのに、おそらく早合点した斗真が彼女に何か言ったのだろうとすぐ察しはついた。だが、弁明しようにも彼女は出て行ったあとだった。週明け、出社すると奈々花は埼玉支社への移動の辞令でもう総務部にはいない、パートさん達に口々に責められ、自分も納得いかない隼世は斗真にしつこく電話を入れたがのらりくらりとはぐらかされ埒が明かない。数日が過ぎ、斗真がホテルのレストランに呼び出してどこぞの御曹司を奈々花にあてがってきたが、彼女は隼世でなければ嫌だと断り、いつの間にか泣いていた。そこを総務部のパートの一人である佐藤に見つかって、翌朝総務部では大騒ぎ。隼世の耳にも入ると彼女を取り返すべく埼玉支社へ向かうのでした。斗真は斗真で昨夜のあらましを聞き、改めて彼女の話を聞くと自分がとんでもない思い違いをしていたことに気付き、心から彼女に詫びました。タイミングよくここへやって来た兄の来訪の知らせを受け、せめてもの罪滅ぼしにと一計を案じることに。割と単純な隼世はまんまと斗真の策に引っかかり、奈々花への想いを語るとクローゼットに隠れて聞いていた彼女は嬉しすぎて号泣。かくして、二人は元鞘に戻るのでした。その後、近藤からあらましを聞いた兄弟の父である社長が乱入し、二人はキツいビンタを受けたりしますが、奈々花のことは気に入った模様。誤解から生じた騒動だったが、これを機にお互いの気持ちを確かめ合った二人は結ばれ、晴れて婚約者に。たった三日で総務部に復帰した奈々花の歓迎会にて、パートさん達は隼世がやってきてからずっと、彼女を彼の奥さんにするべく画策していたことが判り、了。TL小説というよりはラブコメって感じの内容で、面白かったです。最初の誤解も、隼世にちゃんと記憶が残ってれば起こらなかった事なので、奈々花は一つたりとも嘘をついていないだけに何とも気の毒でした。二人の邪魔をした斗真はただのブラコンで、兄に付き纏う悪い虫を排除するつもりだったけど、結局それも早とちり故の暴走だったため、憎めない人です。あと、加賀パパと家政婦の近藤さんが結構いいキャラしていたな。評価:★★★★人の話はちゃんと聞こう、が教訓になりそうなお話。
2022.02.12
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2021年4月刊マカロン文庫著者:若菜モモさん「日本支社へ異動が決まったパリ在住のウブなOL・萌音。パリ最後の夜、ひょんなことで知り合った雪成とお酒を飲むことに。「忘れられない一夜を過ごさせてやる」ーー酔った萌音は本能のまま彼に抱かれ、初めてを捧げてしまい…!? 二度と会えないと思っていたが偶然に再会、雪成は御曹司で“帝王”と呼ばれる不動産CEOだったのだ。「俺のそばにいろ」ーー戸惑う萌音だったけど、甘く迫られて彼に惹かれていく。そんな矢先、萌音の妊娠が発覚! 身分の違いから身を引き、ひとりで産み育てようと決意するも、一途な独占欲を身体と心にたっぷり刻まれていき…。【極上の結婚シリーズ】第五弾!」↑楽天ブックスより、あらすじ文引用スターツ出版・ベリーズ文庫の姉妹レーベルで、電子販売オンリーのマカロン文庫です。amazonのkindleで購入して読了。マカロンもベリーズカフェで連載されてたものを纏めて書籍化するパターンが多いんですが、今回のこの作品は書下ろしになります。ピッコマでも公開されてるみたいですね。ここからネタバレと感想。中学生の時、父の海外転勤でフランスに渡ったヒロイン・伊藤萌音。その父が東京の本社勤務となり両親は帰国したが、萌音は大学生になっていたのでそのままフランスに残り、外資系企業に就職。順調にキャリアを積んでいました。が、父に胃がんが見つかり手術でも取り切れず化学療法に切り替えると聞き、今までしてこなかった親孝行のつもりで日本への帰国を決意。幸い東京支社への転属希望も受理された。そして、フランス最後の記念としてバレエ公演を観に来た萌音。そこで座席ミスでもあったのか席につけず困っていた老夫婦の事情を聞くと、萌音ののチケットと重複販売されていたらしい。劇場側のミスにも関わらず、いかにも彼女に席を変われと圧をかけてくる支配人の視線に萌音は席を譲ります。そんな彼女を見ていたある男性が萌音を自分が年間リザーブしているVIP席へ招待してくれました。男性は不破雪成と名乗り、公演後バーに誘われ聞き上手な彼に萌音はあれこれ自分の事情を話します。アルコールが入っていたせいもあったけど、たった数時間で雪成に惹かれてしまった萌音は彼と一晩を供にしてしまいます。翌朝、荷物を引き取りに業者が来るため、まだ寝ている雪成に置手紙を残し一度アパルトマンに戻り荷物を送る手配を済ませ、ホテルへ戻ると彼はもうチェックアウトした後でした。雪成の名前しか知らないが、すぐにスイートルームが取れたり劇場のVIP席を年間リザーブするくらいだから相当の資産家だろう。調べれば見つかるかもしれないが萌音はそれをせず、フランスから旅立ちました。帰国して二か月ほど経ち、可愛い後輩も出来て仕事も順調。お喋りな後輩のもっぱらの話題は自社ビルのすぐ近くに建設された複合ビルのオーナーがまだ30そこそこのイケメンらしいということ。近々、落成式があるため噂のオーナーが来るらしいとはしゃぐ後輩に、今日はこの後人間ドックがあるのだから遅れないようにねと釘を刺す萌音。しかし、検査の後に何故か医師から呼び出された萌音は妊娠を告げられます。相手は雪成しか該当者がおらず、萌音は途方に暮れましたが何故か産むと言う選択肢しかありませんでした。1人で育てようと決心していたその時、自社ビルへの道すがらばったり雪成と再会。あろうことか件のビルのオーナーが雪成でつい先ほど着いたのだと言う。彼は萌音に話があると落成式後のパーテイーに来るよう招待状を渡すと立ち去ります。偶然にも程がある再会ですけどページ数の兼ね合いもあるからかさくさく展開していきます。果たして再会した二人。雪成はあの日消えた萌音に対して少し怒っていましたが、萌音が引っ越し荷物の引き渡しがあったので遅れるわけにはいかず、一旦自宅に戻りその後ホテルに戻ったのだと言うと機嫌を直し、交際を申し込まれます。萌音としては嬉しい申し出でしたが、世界的に有名な不動産会社のCEOだという彼に自分は身分違い過ぎると渋っていると、突然目が回り萌音は倒れ腹部の痛みを訴え気を失いました。救急搬送された結果、切迫流産で2週間絶対安静を言い渡され、挙句付き添いで来た雪成に妊娠がバレてしまった。迷惑かけずに一人で育てるから産ませてほしいと懇願する萌音。だが、雪成は自分の子を何故彼女一人に育てさせなきゃいけないんだと、交際をすっ飛ばして結婚を申し込み、結果根負けした萌音はプロポーズを受け入れます。忙しい中毎日見舞いに来る雪成。赤ちゃんのエコー写真を二人で眺め、萌音は思ってもみなかった幸福に酔いしれますが、そんな彼女をよく思わない雪成の第二秘書が退院の準備をしていた萌音に自分こそ彼の本命なのにと罵しり病室は一触即発。一瞬雪成に疑いを抱くも、タイミング良く現れた本人によりきっぱり否定され事なきを得ます。どうやら、以前から彼に媚びを売ってきた女で相手にせず放っておいたら、雪成の結婚を知り強硬手段に出たらしい。萌音の気分を害した罰として元第二秘書は地方支社に飛ばされたのでした。それにしても、雪成さんいつもタイミング良すぎぃ(笑)退院後、雪成から実は萌音と子供の頃に会ったことがあること、彼にとっての初恋の相手が萌音であり、バレエ公演の時、顔を見てすぐに気付いたから声を掛けたのだと告げられ改めてプロポーズされます。その後、両家の親とも挨拶を済ませ二人は籍を入れました。化学療法中だった父は、雪成の口利きで腕のいい外科医に手術をしてもらえることになり手術は無事成功した。妊娠五か月を迎えた頃、萌音は会社を辞め、数か月後長男を出産。飛行機に乗れるほど育った息子とそのベビーシッターを伴い、思い出の地・フランスへプライベートジェットで新婚旅行に向かった二人はあの日の再現をするのでした。で、了。総ページ数128ページということもあり、出て来た自称恋敵も数ページであっさり消えるし、物事万事うまくいくお話でしたが、とにかくテンポよく進むのでストレスもゼロ。さすがは「極上の結婚シリーズ」、雪成がスパダリ過ぎて萌音もドエライ男捕まえたなって感じ。プライベートジェット持ってる上に、遠方に移動の際はもっぱらヘリの人だもんね。交際期間がほぼ無い感じだったので、それでいいのかとも思ったけど、雪成の初恋話で一応覆ったのかな、それなりに遊んでそうなのに案外一途な人だったんだな。評価:★★★★この作家さんはページ数短めでもやはり安定の面白さ。これぞ玉の輿、なお話でした。
2022.01.31
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