巨匠エル・グレコの傑作群、
めくるめく色彩の美に酔う。
(「無原罪のお宿り」、縦 347bm 、横 174cm )
先週末、大阪・中ノ島の「国立国際美術館」で開催されている 「エル・グレコ展1」 を観に行ってきました。
日本絵画はもとより、西洋絵画にも全く門外漢のリュウちゃん、良い映画を観に行くような感覚で展覧会を観に行ったのですが、大画面いっぱいに展開された素晴らしい色彩のパノラマに圧倒されました。
今回のブログでは、門外漢であるリュウちゃんがこの展覧会で気付いた点、感銘を受けた作品の幾つかについての素人談義をさせて頂きたいと思います。
(1) エル・グレコについて、
エル・グレコは本名ではなく、イタリア語で「ギリシャ人」を意味する「グレコ」という言葉に、スペイン語の男性定冠詞の「エル」を被せた通称です。いはば、「ギリシャの叔父さん」という綽名のようなものです。通称のように、ギリシャのクレタ島出身、本名は「 ドメニコス・テオトコプーロス」です。
(2) マニエリスムについて
エル・グレコはマニエリスム後期を代表する画家の一人とされています。マニエリスムとは、ミケランジェロによって完成された手法(マニエラ)を基に、それを変形し、誇張し、蛇のように曲りくねったような造形にした時代様式のようです。冒頭の「無原罪のお宿り」の中央の聖母マリアの極端にデフォルメされた体型は、マニエリスムの典型的表現と云えるようです。
(3) エル・グレコが採り上げた題材について
エル・グレコは 73 年の生涯に多数の絵画を残しましたが、その大半はカトリックの教義に基づく宗教画です。リュウちゃんは一般的知識として、イエス・キリストの事績に全く無知という訳ではないのですが、エル・グレコの宗教画のタイトルには意味不明なものが多いので、以下に幾つか不明な題材の意味を以下に書いてみます。
( A )「無原罪のお宿り」
冒頭の絵のタイトルです。キリスト教における「原罪」とは、神が自身に似せて創ったとされる最初の人間(アダムとイヴ)が、蛇に唆されて、神が禁じた「善悪を知る知識の木の実」を食べたことにより、アダムとイヴの後裔である人間は全て「原罪」を負った。しかし聖母マリアただ一人は、「原罪」を持たずに生まれ、「無原罪」でキリストを懐胎したという教義。
( B )受胎告知
処女マリアの所に大天使ガブリエルが降り、マリアが精霊によってイエスを身ごもることを告げ、マリアがそれを受け入れることを告げるというエピソード、キリスト教文化圏の絵画では最もポピュラーな題材です。
エル・グレコもこの題材の絵は何点かあり、倉敷の大原美術館の絵は有名ですが、今回展示されたものは、マドリードの美術館から出品されたものです。
(大原美術館所蔵の受胎告知)
( C )三位一体
キリスト教において、「父なる神」と「子なるイエス・キリスト」と、「父なる神と子なるイエスの永遠の愛であり、神の属性である精霊」は、一体(唯一の神)であるという教えです。
( D )聖母被昇天
聖母マリアがその人生の終わりに、肉体と霊魂を伴って天国にあげられたという教義で、 1950 年 11 月1日に教皇ピオ十二世が全世界に向って処女聖マリアの被昇天の教義を公布しました。
( E )聖人
キリスト教の聖人は、十二使徒を始めとして、主にキリスト者として殉教した人たちが聖人に列せられるケースが多いようです。カトリックだけでも 100 人余りが聖人に列せられているようです。
と、いろいろと俄か調べを書いてみましたが、キリスト教の 2000 年に及ぶ教義 を門外漢のリュウちゃんが数日で掴むことは到底無理がありますので、この辺 で俄か薀蓄はお終いといたします。キリスト者でないリュウちゃんのような凡 人は、エル・グレコの絵の前に佇んで、その圧倒的な表現力に心地よく打ちの めされるのみなのです。
大阪での展覧会は 12 月 24 日で終了し、来年1月 19 日から4月7日まで東京の「東京都美術館」で開催される予定です。
関西圏の皆様、
今週末に是非、「エル・グレコ展」に出掛けて見て下さいね。
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