神話の鳥・白鳳のハートマークの尾羽に胸キュン!
現代ポップアートの先駆「老松白鳳図」、遂に登場!
(「動植綵絵」25番、「老松白鳳図 」の尾羽
の部分図)
これまで2回に渡り紹介してきました伊藤若冲の「動植綵絵」も、いよいよ今回でラストになります。これまでリュウちゃんも殆ど無知だった若冲の「動植綵絵」ですが、このブログ作成に悪戦苦闘することにより、おぼろげではありますが、若冲の魅力の一端を垣間見することが出来たと思っています。
例によりまして個々の図には、リュウちゃんの素人丸出しの下手な説明文を付けていますが、若冲をよくお知りの方は無視して下さいね。
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{伊藤若冲「動植綵絵」全30幅その3}
(21) 「薔薇小禽図 (ばら しょうきんず)」 →明和2年(1765年)頃の作、紅、うす紅、白の3種のバラの図に小鳥1羽、画面右上の斑点のある黒い塊は苔むした岩なのでしょうか?、江戸時代以前の日本画でバラの図は珍しいですね。
(22)
「牡丹小禽図(ぼたん しょうきんず)」
→明和2年(1765年)頃の作、(21)の「薔薇小禽図」と一対をなす図と考えられています。両作共、花の中に小鳥が埋まってしまっていて、よく見ないのと小鳥が何羽いるのか、すぐに確認出来ないですね。こちらの図には2羽の小鳥が描かれています。
(23)
「池辺群虫図(ちへん ぐんちゅうず)」
→明和2年(1765年)頃の作、水辺に実った瓢箪の周りに群れる蛙、蛇、蝶、トンボなど、この図には60匹もの小動物が描かれています。リュウちゃん、この図から 「鳥獣戯画」 を連想しました。
(24)
「貝甲図 (ばいこうず)」
→明和2年(1765年)頃の作、「動植綵絵」初めての「海の図」、サンゴ、巻貝、2枚貝、、、いったい、何種の貝が描かれているのか、まるで博物学の精密画のようなリアルな貝類は、標本を見て描かれたのか? 江戸時代に描かれた図とは思えないようなリアルな図ですね。
ここから「第3期」にはいります。
(25)
「老松白鳳図(ろうしょう はくほうず)」
→中国神話に出てくる伝説上の鳥 「鳳凰(ほうおう)」
、この作品は「動植綵絵」を代表する大傑作だとリュウちゃんは思っています。
若冲には「鳳凰」を描いた図が「老松白鳳図」を含め、少なくても4幅あります (「日出鳳凰図(にっしゅつ ほうおうず)」、「旭日鳳凰図(きょくじつ ほうおうず)」、2対から成る「孔雀鳳凰図」の一つ「鳳凰図」、そして「老松白鳳図」です)
以下に「老松白鳳図」に先行する2幅を紹介します。
★「日出鳳凰図」
→「旭日」を背に華麗に飛翔する鳳凰を描いた 「吉祥画」 です(制作年代不明、ボストン美術館蔵)
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「旭日鳳凰図」
→若冲が画業に専念するようになった40歳の時に完成した作品、1つがいの鳳凰の尾羽は既にハート型になっています。
さて、(25)の 「老松白鳳図」
です。「動植綵絵」シリーズ4作目にして最後の「老松図」であると共に、シリーズ8作目にして最後の「白い羽の鳥の図」、「動植綵絵」で追い求めた2つのテーマの集大成のような図だとリュウちゃんには思われました。鳳凰の白い羽は下塗りした金泥の効果で、見事に輝いています。羽の先端のハート型、この造形感覚は現代のポップアートそのものですね!
手塚治虫の漫画に 「火の鳥」
という作品があります。「火の鳥」はエジプト神話に出てきますフェニックス(不死鳥)で、中国神話の「鳳凰」とは違うのですが、手塚治虫さんは「火の鳥」のキャラ(以下の図)を描くに当り、若冲の「老松白鳳図」を参考にしたのではないかとリュウちゃんは妄想しているのです(苦笑)
(26)
「芦雁図(ろがんず)」
→凍てついた水面に真っ逆さまに落ちるような1羽の雁、画面上部いっぱいに描かれた「落雁」が不安と異様な感銘を観る者にもたらす図です。
この「不安感」は、若冲が後継者としていた末弟の宗寂が急逝したことに関係があるとする説があるようです。
(27)
「群魚図(蛸)(ぐんぎょず たこ)」
→マダコを含む16種類の海の魚が画面左下に向かって一直線に泳ぐ図です。海の魚の描写は、魚類図鑑のように正確、若冲が生まれ育った京都の錦市場の魚店で陳列されていた本物を見て描いたのかも知れませんね。上から2番目の魚は「鰹(カツオ)」ですが、腹に特有の横縞があります。このカツオの横縞は死んですぐ現れるもので、遊泳しているカツオにはこの縞が無いのだそうです(現代でも遊泳しているカツオを見る機会は稀ですので、この「間違い」は致し方ないですね)
(28)
「群魚図(鯛)(ぐんぎょず たい)」
→(27)と一対をなす図、こちらは「鯛」が一番大きく描かれているので便宜上「群魚図(鯛)」と命名されたようです。
(29)
「菊花流水図 (きくか りゅうすいず)」
→S字型に配置された流氷を背に、咲き誇る白菊の 「若冲ホワイト」 が印象に残ります。紅い菊の花の周りに遊ぶ小鳥たちは少し印象が薄いですね。これは「動植綵絵」第3期の特徴のようです。白い菊の花と画面下の突き出た岩が若冲の 「男色」 を暗示しているという説がありますが、どうなのでしょうか?
(30)
「紅葉小禽図(こうよう しょうきんず)」
→第1回目に紹介しました(4)の 「秋塘群雀図」 と並ぶ2作目の 「秋の図」 、紅葉の枝にとまっている2羽の小鳥は、秋に南方に渡っていく 「オオルリ」 です。下のオオルリがとまっている紅葉の枝が 「円い輪」 になっているのが面白いですね、こんな枝、実際にあるのかな?
以上で3回に分けて紹介させていただきました伊藤若冲「動植綵絵」は終わりです。
永年憧れていました若冲の
「動植綵絵」、
今年の7月17日に京都・相国寺境内にある「承天閣美術館」の「生誕300年記念・伊藤若冲展」で一挙に観ることが出来まし
た。
このブログを書き終える今、リュウちゃんの「動植綵絵」ベスト3は以下です。
(1位)→(25)の「老松白鳳図」、
(2位)→(20)の「群鶏図」
(3位)→(9)の「老松孔雀図」
3位以下の順位はその日の気分によって左右されそうですが、1位、2位は多分、永久に不動だと思っています。
皆様のベスト3は如何でしょうか?
このブログの最後に、最初にはりつけた
「相国寺・承天閣美術館」での「若冲展」の
ポスターを再掲します。
会場の「相国寺・承天閣美術館」へのアクセスは、京都市営地下鉄「今出川」駅下車徒歩8分です。
尚、この「若冲展」は2016年12月1日(日)まで年中無休で開催されています。複製品ということもあり、殆ど待ち時間無しで入場出来ますので、興味を持たれた方はぜひ行ってみて下さいね。
伊藤若冲の30幅の
「動植綵絵」最
高です!
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