教師の役割 | zikomo days in Malawi

100万ポイント山分け！1日5回検索で1ポイントもらえる

337273

HOME | DIARY | PROFILE

【フォローする】【ログイン】

Profile

あばぷひ★さぶ

フォローする

昨日で、今学期の私の授業は終わりました。
今学期は、栄養に関する内容が主になりました。
以前にも書きましたが、普段接する情報量の違いを痛感しました。

私たちにとっては健康番組や雑誌、CM等で耳慣れた
「カロリー」「食物繊維」などの言葉も、
マラウイの生徒たちにとっては未知であり、
その概念から説明しなければなりません。

日常、そんな情報に接する機会が少なく、
そして進級・卒業時に必要な国家試験の合格のためには、
教科書が唯一絶対のバイブル。

しかし、その教科書が、使えない・・・。

例えば、炭水化物のなかには
体内で消化され、エネルギーとなる「糖質」と、
エネルギーにならない「食物繊維」が含まれていると
説明したところ、
教科書には「炭水化物」としか書いてないですから、
「糖質なんて、存在しない」
と、生徒は言うわけですよ。

また、生物の教科書には、
「タンパク質はエネルギーにならない」
と書かれているそうです。

さらに「栄養不良」の項目の冒頭には
「栄養が足りないこと」と書かれ、
栄養失調の事例として
おなかのぽこっと出た極度のクワシオルコールや
幼児の栄養失調、餓死などが紹介された後、
栄養のとりすぎによる肥満、
（「栄養」というよりもカロリー過多、
　微量栄養素や運動不足に起因すると思うのですが）
先進国の事例として、過食症も紹介されているため、
「栄養不良＝栄養のバランスが崩れ、健康を害していること」
と説明したところ、生徒は嫌がるのですよ。
「教科書の定義と違う」と。

教科書が唯一絶対ならば、
図書室で自学自習していればいいと、私は思います。
何のために授業に参加しているの？　教師の役目は？

ちなみに仕事インタビューも、ほとんどの生徒が
未提出のため、来週まで期限を延ばしたところ、
「私は将来、大統領夫人になりたいけど、
　大統領夫人は亡くなったから、インタビューできない」
「人に給料の額を聞くなんて、失礼だ」
などと、やりたくない、やらない理由を言いたい放題。

職業に対するイメージを明確にする
仕事インタビューの意義をはじめ、
もし、将来自分が就きたい職業の人に直接聞けなければ、
身近な人に、その人の職業観を聞きましょう。
お給料等、その人が言いたくないことは
無理矢理聞き出す必要はないですよ。
などと注意事項は、３月から言い続けてきたのですが。

マラウイの生徒にとって授業は、
教科書に書いてある知識を与えてもらう場であり、
自ら考える、創造することに慣れていません。
自分の生活を見つめ直し、より良くすることができるなんて
思ってもいないかもしれません。
そういう機会を与えられていないシステムの問題が大きいと思います。

つまりこの国では、教師がいかに人の成長に関われるか、
生徒の考える力、生きる力を育む、
生徒とともに育ち合う関係性などの教育観は必要なく、

教師の使命は、

・試験に合格させるため、教科書を教える
その内容が間違っていても、足りなくても、
非科学的な教条であっても、そのまま教える。

そして、

・授業中、騒がしくした生徒に罰を与える

ことなんだろうなというのが、２学期を終えた実感です。

３学期から、マラウイで求められている教師像に近付けるかどうか。
自分がそうしたいか、そうすべきなのか、大いに疑問ですが。