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年が明けた。紅白歌合戦を見た。僕が毎年紅白を見るのは、その後の、ゆく年くる年を見るためのような気がする。けれど、今年、紅白を見て、僕は本当に耳が悪いのだと知った。よく、小説の批評で、この作家は耳が良いと言っているのを読んでも意味が判らなかった。けれど、今年はその意味を痛切に思い知らされた。紅白で歌われた歌の歌詞を僕の耳はうまく聞き取れない。字幕を読んでその歌の意味を知るだけだ。字幕を読んでいると、歌の深みを知らされる。メロディでしか歌を捉えられない。そんな自分が今更ながらもどかしい。耳の良い人がとてもうらやましく思える。歌唄う歌詞口ずさみ年明けて白き息吐く鳥の羽ばたき年明けのときの音して長谷寺の静かなる鐘人の訪れ
2007/12/31
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あれも万引きというのだろうか。中学校の図書室から借りた本を返さずに卒業してしまった。借りていたことを忘れていて、何年か経った頃、背表紙に中学校の刻印のある文庫本を、部屋の中で見つけた。宮沢賢治の詩集だった。中学生の頃、賢治に特に魅かれた記憶はなかった。ただ思い出すのは、国語の授業で、先生が配ってくれたプリントに「永訣の朝」が載っていて、それを暗記させられたことだ。プリントには、他に、島崎藤村や高村光太郎、堀口大学の詩が印刷されていた。その先生は、近代の詩人が好きだったようだ。数編の詩は今でも時々思い出しては、心の中で暗唱している。我のみが我と向かいて闘へり「春と修羅」読む寒の満月
2007/12/29
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夜、空の上では星が散って、ばらばらになった星屑は音もなく輝く。眠りに落ちるとき、その音を聞きながら、人は安らかな眠りに入っていく。泥水を蹴り上げて起つ大鳥の翼の下で眠る幼子 僕は仏教徒だけれど、クリスマス間近なので聖夜の雰囲気で
2007/12/22
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夜が長くて、目が覚めても外はまだ暗い。朝の支度をしているうちに日は昇り、雀の鳴く声が聞こえてくる。歯を磨く鏡の奥を覗き込み光生まれる瞬間と会う
2007/12/15
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公園のベンチで日向ぼっこをしている老人に、冬の日が差していた。傍には、紅葉したイロハカエデが影を落としている。遠目には、そこだけ周りから切り離された、別の世界のようにも見える。遠くて、表情までは判らないけれど、どこか知らない世界を見ているようだ。小春日をひと日ベンチで過ごす人時が世界を開きつつあり
2007/12/08
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子供の頃、菩提寺で先祖供養の法要が行われた。寺の庭の飛び石伝いにお堂があった。法要は長く続いて、夕暮れ近くになると、お堂の上にはひとつ星が出ていた。飛び石を渡る向こうに星ひとつ落ちて此岸の野辺に咲く花
2007/12/01
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