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最近は酔うほどには飲まないようにしている。それでも、毎晩、少し飲む酒がうまい。喉から腹に落ちていった酒が、じんわりと下腹を温めるのを感じる。そのときの幸福感はなにものにもかえがたい。冷房の効いた部屋で飲むのも良いが、やはり、静かに夜風が入ってくる部屋で飲む酒はこたえられない。最近、また暑さが戻ってきて冷房が欠かせない。部屋を暗くして、月明かりの下、虫の音を聞きながらちびちび酒を飲むのが待ち遠しい。夜空には輝く舟が浮かび居る 問ふことありて酒飲み歌う
2007/09/22
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先祖の菩提寺は禅宗で、家の庭には蛇を祀った小さな祠があった。随分と田舎だったので、僕が子供の頃にも、まだ祈祷を生業としているお婆さんがいて、時々、家に来てお釜を焚いた。釜を焚くと家中に響き渡るように釜が鳴って、それで家の吉凶を占っていた。信仰というより土地の慣習のようなものだった。大きな青大将を見たと言えば、それはこの家の主だと聞かされた。今思えば、有難そうなものは何でも受け入れる、何でもありの家だった気がする。現代のスピリチュアルブームを僕は笑って見ているが、昔の家のことを思えば、他人のことはいえないとも思う。それでも、あの頃の家の大人たちの不思議に向かう対し方は、民俗学的というか、土着的な分だけ今のブームよりもずっと健全だったと思う。わが心大人になりて帰りたる古き慣習論理なきもの無縁とは思へどなぜか懐かしき橋の袂の道の石仏
2007/09/15
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日の落ちるのが少しずつ早くなっている。夏の日差しは、地面に濃く短い影をつくっていたが、影も伸びてきた。前に読んだ本に書いてあった。昔の旅人は夕暮れが近づいてくると、手を真っ直ぐ前に出して、伸ばしたその指先が見え難くなるとすぐに日が落ちるとして、宿を探して急いだという。秋の日はつるべ落としともいう。季節がまた廻る。影伸びて空の高さを見る夕べ道行くひとが女郎花摘む
2007/09/08
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週のはじめ頃には、冷房を止めて寝ると汗をかくほどだったのが、週末には、開けた窓から気持ちの好い風が入ってくるようになった。窓を閉めていたときも聞こえていた虫の音が、よりいっそうはっきりと聞こえてくる。一匹の虫の鳴き声だけが、ほかの声よりよく聞こえるようだが、じっと聞いていると、その声の主はいつの間にか入れ替わっているのに気づく。鳴き比べをしているようだ。絶え間なく虫の音聞こえ闇深く部屋の灯りを点けず夜明ける
2007/09/01
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