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高校選手権の全国大会に出場する前に10局ほど集中特訓したY君が、結果の報告をしてくれた。2回くらい勝てればと思っていたが、なんと上位入賞したそうだ。 何局か棋譜も見せてもらった。本番で力以上の出来の良い碁を打ったのかと思ったが、見ると相変わらず強引ないつもの碁である。戦いの力もそれほど強いわけでもなく、持ち味は精神的な落ち着きと、勝負勘だ。しかし、試合ではこれこそが最も威力を発揮する。普段どおりの力を出せるだけで、すごく勝負には有利になる。これから、経験を重ねればたいへんな打ち手になるかもしれない。楽しみである。 彼の話を聞いていて、一つ興味深いことに気づいた。個人戦の県大会の参加者が数人という県も多かった二十数年前と比べて、全体の層は確実に厚くなっているはずである。しかし、男子個人戦の全国大会のレベルは、変わりないか、むしろ下がっていると思われるのだ。 私が、ほとんど勝てなかったのは参考にならないにしても、以前の日記(1月20日)に登場したTさんにしても、3年間で一回くらい入賞があったかどうか、だったと思う。当時Tさんは、すでに県代表の常連でプロを目指していた。 高校生で達するレベルはある程度決まっているのか、または病的に碁に熱中する人間の割合が減っているためか、理由はよくわからないが興味深い。ところで、熱中する対象が分散するという意味ではブログの存在も、悪さをしているかも知れない。
Jul 31, 2005
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先日のオムライスをめぐる味わい深い攻防の一局について(7月7日の日記参照)、後輩に話したところ、彼からも面白い一局を紹介された。 彼が以前勤めていた病院で食堂に入った時の対局である。以下が棋譜と解説である。ウエイトレスの一手目→「何にいたしましょうか?」(右上隅小目)S君の2手目→「日替わり定食の大盛り」(実は、いきなり小目にかかりの奇襲)ウエイトレスの3手目→「今日の日替わり定食は、スパゲティーなんですが。大盛りでよろしかったですか?」(しっかりと受けてきた)S君の4手目→「はい、いいですよ。」(手なりだが好手) ここまでは、私のオムライス対局と似た展開である。S君好調の出足である。ウエイトレスの5手目→厨房と相談してから戻ってきて。「申し訳ありません。スパゲティーの大盛りはできないようです。ライスをお付しましょうか?」(様子見の好手)S君の6手目→「はい、いいですよ。」(豪快な車の後押し) S君、ここで引き下がれないと思ったのである。初志貫徹である。ウエイトレスの7手目→普通盛りのスパゲティーと大盛りのライスを出して来た。(攻守逆転。強烈な逆襲が来た)S君の8手目→何事もなかったかのように涼しい顔で、全部食べる。(ポーカーフェイス) こうなると、意地である。例え碁に負けても、この一手は譲れない。最初の着手の意志を継続したのである。 この一局を観戦しようと、対局場(食堂)にいた全員が注目したという。さらに、次の日には、この壮絶なる一局は職場中に知れ渡り話題になったらしい。 今回の対局は、S君にやや初志貫徹の意識が強すぎて結果的に失敗した一局と言えよう。しかし、これは高段者によくありがちな現象であり、S君を責めるのはやや酷かもしれない。それよりも、ライスを付けるという完全に意表をついた着手を繰り出し、一瞬の難しい判断を迫ってきた相手を褒めるべきであろう。 思いがけず、名局を鑑賞させていただいた。
Jul 30, 2005
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ツールが終わり、例年のように祭りの後の虚脱感に襲われている。さらに今年は、もう2度とランスの走る姿を見られない寂しさも重なっている。 ここ数年、ランスが窮地に陥るのも見たかったが、逆に豪快なアタックで他をぶっちぎる姿にも興奮した。途中まで、もしかしていい勝負なのかなと思わせておいて、ステージ終盤に突然本性を現す。周囲はひれ伏すしかない。これは、子供のころに感じた水戸黄門における印籠が出た瞬間の爽快さに通じる。さすがに大人になって、作り物の白々しさに気づき興奮できなくなったのだが、その興奮がランスによって蘇ってきたのである。焦らしに焦らしておいて、「ついに出たー、出ちゃったよー。」なのである。 ランスは結局今年も圧倒的な強さで、追随を許さなかった。しかし、例年のような総合優勝のためには無駄とも思える魅せ付けるようなアタックを、今年は見せなかった。その余裕がなかったのか、それとも最後の優勝を万全にしたかったのか。ツールはアクシデントも多く、体調を維持するのも大変、しかも一度王者になれば他のすべての選手の標的にされる中での7連覇の偉業ははかり知れない。 今回はスプリンターの役者不足がやや物足りなかったけれど、その替わり最終ステージでの、ビノクロフとマクギーという役者二人のゴール3km前からの豪快な逃げ切りに大興奮した。 いつも山岳で魅せてくれるセラーノとペレイロが、ようやく初のステージ優勝をして喜ぶ姿にも感激した。攻める姿勢を続ければ、いつかは必ず報われる。 総合を狙える新しい芽も間違いなく出てきている。来年はランス不在で心配したけれど、すごく面白い展開になりそうだ。
Jul 27, 2005
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土曜日の今日、仕事が立て込み夕方近く帰宅した。明日は出張なので、今週も家族サービスできないなあと思いながら、帰り道に車中でラジオを聴いていて、とんでもない情報を入手した。何と、今とんでもないものが当地に来てきると言うのだ。そこなら、近い、車で15分くらいだ。早速、妻と子を連れて見物に出かけた。 住宅地を抜けると、工場の跡地の広大な広場があり、その真ん中にそれはいた。 う、う、うおおおーーーーーーーーーー、うおーーーーーーーーーー、魚ーーーーーーーーー,ほげーーーーーーーーーっと、うえーーーーーー、ぎょえーーーーーーーーーーーー,でででででで、でかいーーーーーーーーーーーー そこにいたのは、世界最大の飛行船ツェッペリンNT号。ここ数日の間、ここから名古屋万博会場の間を行き来しているそうだ。 全長約75m、幅約20mという巨体である。思いがけず、すごい物を見られて興奮した。 ところで、このブログを見ている遠州の方に現地の係員から聞いた貴重な情報を提供する。飛行船が停泊しているのは、旧浜北市のアピタ浜北横の日清紡工場跡地。24日の午前9時に飛び立ち、天候が悪いので予定を繰り上げて帰るそうだ。
Jul 23, 2005
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憧れのpgさんのリクエストに応えて、今日は坂井プロとの対戦の話。ところで、前回の話はあくまで一般的な話であり誤解を与えるといけないので、念のため補足する。坂井さんがプロになる最終的な決断をしたのは研修医になった時であったが、これは思いつきや逃避ではなくて、ずっと長い間悩み考え続けてきた上のことだと思う。まじめな彼のことだから、想像を絶するような葛藤があったはずだ。 数年前の、アマ選手権のこと。組み合わせを知らないまま、朝、日本棋院2階の対局場に行った。さっそく組み合わせ表を見て、愕然とした。 何と、一回戦で坂井さんと当たってしまった。彼は、すでに圧倒的な強さでアマでは抜きん出た存在だった。よりによって何十人もいる中から、彼とあたってしまうとは何たる不運。今思うと良い記念になったのだが、この時は最悪の組み合わせだと思った。しかも、せっかくいいところを見せようと妻を連れてきたのに。 対局前に二言三言言葉を交わした時は穏やかな様子だったが、対局が始まった瞬間からの集中力のすごさにいきなり圧倒されてしまった。とても、アマのそれとは思えなかった。 試合は穏やかな碁になったが、そつなくポイントを重ねられて完敗した。どんな、強豪でも一局の中でどこかで多少の隙は生じるものだが、彼は優勢になっても全く隙を見せることなく、歯が立たないという感じだった。私の全然だめな碁だったのだが、対局後は誠実にしっかりと検討してもらって恐縮した。 ただ、あとから振り返って相手の強さもさる事ながら、最初から勝負を諦めてしまったような気分があったのは何とも情けなかった。 妻は、碁も知らないし相手のことも全く知らなかったが、局後に「最初に向かい合って座った様子を見ただけで負けるのがわかった。」と言う。相手の圧倒的な貫禄がすごくて、片や私からは勝てるような雰囲気が全く醸し出されていなかったらしい。実は、この時はまだ彼女の勝敗を当てる超能力を知らなかったので、最初は冗談だろうと思った。 しかし、2回戦の試合を観戦しながら勝敗を当てさせてみて、驚いた。何と碁は全く知らないのに、布石を見ただけで予想した勝敗の結果が、ほとんど当たってしまったのだ。どうも、勝ち負けの雰囲気が画像的に見えてしまうようなのだ。 しかも、「あの人とあの人はは、ただ者ではない。」と言うので、誰のことかと指差す方を見ると、招待選手の平田、菊池選手だった。どうもこの能力は本物だと確信した。 しかし、よく考えてみると恐ろしい。実は、勝負の行方は対峙して対局が始まった瞬間に決まっているのであろうか。
Jul 19, 2005
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NHK杯で坂井プロが登場。今日の解説でも、医師免許取得し研修開始直後に棋士に転身した話題が出ていた。本人はあまり多くを語らないという柳九段のコメントがあった。 おそらく私は、日本中で彼の気持ちをもっともよく理解できる一人だと思うが、それでも推測になるのでその話はしない。あくまで、今日はそれに関連した経験的な話。 国家試験合格後に研修を始めて1ヶ月以内に医師をやめたり、長期離脱してしまう人はしばしば見かける。医師の研修が他のいろいろの仕事の研修に比べてどうなのかは、知らない。ただ、研修初期にはほとんど全員が「つらくて、できればやめたい」と思う時期があるはずである。 学生時代の研修とは一転して、負担が大きくなる。夜遅くから朝早くまで研修する上に、たくさんの課題が出されて、さらに週に1~2回の完全徹夜の当直がある。当直明けの休憩もまずない。 さらに、先輩や看護師など他の医療者からもそれまで言われた事がないきつい言葉をかけられたりするので、肉体的精神的に相当に追い詰められることになる。その過程で、プロとして鍛えられていくのだと思う。 経験年数が増えると肉体的な負担を強いられる機会は減るが、時には仕事が殺到して厳しい状況に追い込まれる場合はある。このような時に、研修時代の経験が何でも乗り越えられる自信につながるのは間違いない。 私自身は、比較的穏やかな病院での研修であったのと、学生時代にしょっちゅう麻雀で4日くらい連続で徹夜していて、不眠には慣れていたので、比較的負担は少ない方だったと思われる。それでも、もしプロ棋士になる道が目の前にあれば飛びついたかも知れない。 看護師の場合は、学生時代の研修からして相当に厳しく見える。医学生の病院実習ではお客さんみたいな扱いをされるのと対照的であり、泣いている看護学生をよく見かける。であるから、新人の看護師の方が最初からすでに覚悟ができている印象である。 ところで話しは替わって、坂井プロが医師であるという記事を時々見かけるが、これは完全な間違いである。教師の免許を持っている人は大勢いるが、そのすべてが教師ではない。当然坂井プロも医師ではないので、これは本人にとっても迷惑な話であろう。 それにしても坂井プロの勝負師魂はすばらしい。そろそろタイトル奪取を期待する。 さらに余談。私は坂井プロと以前にアマ選手権の全国大会で対戦したことがあり、強く思い出に残っているが、また別稿で。
Jul 17, 2005
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昨日たまたま公開対局に関連した話になって、過去の公開対局に思いをめぐらせた。公開対局というのは、どこの県でもよくやっているのかどうかは知らない。私が今まで住んでいた県ではよく公開対局が行われていて、おそらく合わせて10回以上は経験している。そのたびにいろいろ面白い経験をしているので、徐々に書き留めておきたい。 初めての公開対局は、たしかまだ10代のころの梶原武雄九段との3子局であった。東急デパートの最上階の広い会場だった。観客は500人くらいいて、緊張して完全に舞い上がってしまった。さらに、梶原プロのほれぼれするような芸術的な手付きと、手筋の連発に圧倒されて、自分では何をやっているかわからないうちにズタズタにされてしまった。今から思うと完全に手合い違いでもあったのだろう。 梶原九段は、テレビで見ていたそのまんまの動きや発言をされていて、ホントに面白い人だと思った。こちらの拙い手に対して、「ふむふむ、なるほど」「なるほど。それもあるかな、あるかも知れんなあ。なるほど。」などと一手一手応じてくれたのが印象的だった。 必ず秒読みを一杯に使って考えてくれる。面白かったのが、26、27、28と秒を読まれてからである。29と読まれてもなかなか打たず、秒を読む方もそこで一瞬沈黙してしまう。先生「あ、あ、なんだなんだ。おい、しっかり秒読めい。」などと声を上げながら35秒くらいで打っていた。世知辛い最近ならちょっと問題かも知れないが、梶原九段だからこそこれで良いのだ。下手なアマチュア相手にどうやっても勝てるのだけれど、盤面に集中して最高の手で魅せようとする姿勢は、芸術家梶原プロの面目躍如である。 たぶん、最初で最後の梶原先生との対局になるであろうけれど、最高の思い出である。以前、藤沢秀行先生が、「昭和の時代で永久に語り継がれる打ち手は、呉清源、木谷、坂田、高川、梶原であり自分は入らない」と語ったという記事を何かの本で読んだことがある。その時は、ピンとこなかったが今はよく理解できる。梶原九段に匹敵する芸術派は、その後も現れていないし、勝負重視の時代の風潮のためか当分現れる気配もない。
Jul 15, 2005
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最近、会社でのノーネクタイの推奨という話題をよく見かける。いろいろな意見があるであろうが、その方向に行くことに賛成である。ネクタイは伝統文化という面もあるが、どう考えても健康に良くないし、それに今後クーラーを使わない努力を本気でしなければならないと思う。 私は以前から、職場では原則としてネクタイをしない。長時間ネクタイをしていると仕事の能率が落ちると実感しているからである。人を相手にする仕事だからネクタイの効用もあろうし必ず締める人もいるが、最近はかなり少数派である。そういう私も、さすがに冠婚葬祭や学会発表のような場ではネクタイを締める。 昨年、ネクタイをつけるかどうかで、今までで一番悩んだ状況に直面した。それは、地元の新聞社主催で、あるトッププロと公開対局をした時のことである。観客は約200人、相手の棋士は一つ年下だが学年が同じという状況。 1ヶ月くらい前から、悩みに悩んだ。慣れないネクタイをすれば、出せる力が落ちることは間違いない。しかし、相手はトッププロでしかも観客も大勢いる。観客の中には、こういう席でネクタイをしないのは不快と思う人がいるかも知れない。それ以上に、棋士に対して礼を欠くのではないかという思いが一番ひっかかった。以前に碁仲間のSさんが同じ状況に臨んだことがあったが、ネクタイなんて絶対しそうもないSさんがこの時ばかりは締めていた。 悩んだ末に、ネクタイで力を出せなかったという後悔をしたくないという思いから、結局ノーネクタイで臨んだ。相手の先生はきちっとネクタイを締めていた。対局中、「先生に失礼なことをしたかな」、などと余分なことを考えていて、結局力が削がれる羽目に陥ってしまった。ネクタイとは、布切れの分際で人を悩ませる、まとこに困ったヤツである。
Jul 14, 2005
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今年のツールは総合優勝争いが混沌としてきて、すごく面白くなってきた。昨年までは、ランスアームストロングとUSポスタルチームが強力すぎて、他のチームはやりようがないという感じだったが、今年は違う。テレコムを初めとしていくつかのチームが、盛んに仕掛けてしかもかなり成果を上げている。これからもランスを標的にした仕掛けがどんどん見られるであろうから、わくわくする。 ただ、この面白さもランスという王者がいてこそである。絶対の王者が厳しい戦いを強いられて、際どい勝負になる状況こそが最高に面白いのである。しかし、王者が強すぎて他が全く手も足も出ないという状況では面白くない。逆に王者のいない群雄割拠戦国時代というのも、もう一つ焦点が定まらず面白くない。今年のような最高の状況は久しぶりであるとともに、当分ないかもしれない。ランスの引退が決まっているからである。 私と同年代の人が、これと同じ状況を真っ先に思い出すとすれば、おそらく北の潮だと思う。全盛期は、とにかく強すぎて憎らしいばかりで面白くなかった。その王者が、倒される瞬間をとにかく見たかった。その中でも最高潮だったのは、貴ノ花が北の潮を優勝決定戦で破った一番であろう。あの瞬間は、体中をかみなりが走るような電撃的な興奮であった。よく即死しなかったものだ。 ツールの中盤戦、心臓に気をつけて観戦しよう。
Jul 12, 2005
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先日の昼休みに、時々行く職場の近くの洋食レストランでなかなか面白い対局を経験した。店に入りいつもの席に座ると、初めて見るウエイトレスが注文を聞きに来た。<ウエイトレスの1手目> →「ご注文は何にいたしますか?」 まずは、誰でも打てる定石通り。右上隅小目、といったところである。<私の2手目> →「日替わりランチ。大盛りで。食後はホット。」 いつもの注文である。本来なら左上隅星といった普通の手であるが、今日に限ってこれは強烈な奇襲なのである。 メニューに大盛りと書いてあるわけではないが、普段は大盛りと言うとライスだけ大盛りで出される。しかし何と、本日の日替わりランチはオムライスなのである。オムライスは元々この店のメニューにあるのでよく注文するのだが、オムライスの大盛りという注文をした事はない。だから、オムライスの大盛りはないだろうとは思ったが、「日替わりランチ」からの言わば石の調子で、「大盛り」と着手してしまったのだ。<ウエイトレスの3手目> →「日替わりランチの大盛りですね。かしこまりました。」 とあっさり受けてきた。おいおい大丈夫か?それともオムライスの大盛りってあったのか?と相手のことながら心配になってきた。 彼女の行動に注目していると、何やら他のウエイトレスとひそひそ話し始めた。案の上、オムライスの大盛りは想定外だったらしい。<私の4手目> →新聞を広げて読む振りをしながら様子をうかがう。 いわゆる、様子見の一手というやつである。すると、ウエイトレスがこちらに向かって歩いてきた。<ウエイトレスの5手目> →「すみません。今日のランチ、オムライスなんですけど~、大盛りで良かったですか?」 きたきた。しかし、これはいかにも筋が悪い手であり、しかも完全な手順前後である。まずは、シェフにオムライスの大盛りが可能かどうか確認するのが筋の良い手順であろう。<私の6手目> →「はい。いいですよ。」 ここで、「あっ、今日はオムライスだから大盛りはなかったね。」なんて、甘い手を私が打つはずがない。今は完全にこちらの流れである。相手の手に乗って打つだけでどんどん形勢有利になっていく局面である。<ウエイトレスの7手目> →おそるおそるシェフに事情を説明している。 さあ、次の手はどう来るか。興味津々。<私の8手目> →新聞を読む。しばし、読みに没頭する(うまい)。<ウエイトレスの9手目> →「お待たせいたしました。日替わりランチの大盛りです。」 き、き、来たー! まさか本当に作ってくるとは!しかもでかい!半端なでかさじゃない。大皿からこぼれそうだ。やられた。しかも、今日のはデミソースたっぷりで上手い。採算度外視で来たなー。 <私の10手目> →「ありません。まいりました」 それにしても、今までは既成概念に囚われてオムライスの大盛りという概念に思いつかなかったのは不覚であった。でもこれからも注文可能なのだろうか? いい経験をさせてもらった。おそらく、あのウエイトレスも一日で一目上げたであろう。めでたし、めでたし。
Jul 7, 2005
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前回の局面から白は以下の実戦図のように打ってきた。実戦図 3と緩める手が面白い手でうっかりしていた。普通に黒の頭を押さえると、その左へ切ったり、右に当て込む味があって黒もさばけそうであるが、実戦図は黒にいい図ができない。結局、黒が中でつらい生きを強いられる分かれになり、白がここで勝勢となってそのまま逃げ切った。 実力者のカトケンさんがここ数年、県予選で負け続けていたのは、怪現象である。全国大会で招待選手と10局以上打って五分の勝負をしている選手は、おそらく他には数少ないであろう。しかも、えげつなく粘って逆転するようなタイプではないので、中盤までの芸は招待選手に匹敵すると言って良いであろう。 8月の全国大会、気持ちが乗って集中力が切れなければ、楽しみである。眠れる獅子を起こしてしまったわけであるが、この際頂点に登ってほしい。そして、再び眠りについていただきたい。
Jul 7, 2005
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ツールドフランス第3ステージは、エリックデッケルらの大逃げが決まって、最後までハラハラドキドキの名勝負となった。いつものように集団が数の力で迫るのに対して、たった3人で逃げまくる。集団が完全に本気になっているのに、必死で逃げてなかなかつかまらない。ひたすら前を見て走る姿は爽快である。 しかし、集団の力の前にはほとんどの逃げはいつかは力尽きて捕まってしまう。何と無情であろう。でもそこには、美しさがある。捕まる瞬間は、いつも涙が出そうになる。 ところで逃げの美学を語るのならば、何と言ってもジャッキーデュランだ。気がつくといつでも逃げていたが、一つのステージの中で集団に捕まっても2回でも3回でも逃げるのだから、すごい。彼のツールでのステージ3勝はスプリンターの30勝に匹敵すると思う。そして何よりも彼がすごいのは、集団に吸収されるまさにその瞬間まで、けして後ろを振り返らずに全力で走り続けていたことである。これぞ、滅びの美学、武士道(騎士道?)である。 とにかく今年も、前を向いて倒れる武士の姿をたくさん拝んで元気をもらおう。
Jul 5, 2005
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本日の局面 久々本日の局面は、先日の大会でのカトケンさんとの対局からの一場面。私の黒番で、序盤で急所を逃してやや非勢を意識していた局面。ここで、何とか打開しようと黒1と打ち込んだのだが、これで完全に墓穴を掘ってしまった。今見るといくらなんでも無茶な手だが、それだけ圧力を感じていたのであろう。 白の次の2手は?
Jul 4, 2005
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