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リビアへの軍事介入をめぐり、アメリカ国内で綱引きが続いている。介入に積極的なのはネオコン(親イスラエル派)や軍需産業であり、消極的なのは国防総省。例えば、ジョン・マケイン米下院議員やジョセフ・リーバーマン米上院議員のようなネオコン(親イスラエル派)は早い段階からリビアの反政府派に対する武器供与だけでなく「飛行禁止空域」を設定しろと発言、その後は地上軍の投入も要求している。また、巨大軍需企業のロッキード・マーチンから多額の資金を得ているヒラリー・クリントン国務長官も反政府派への武器提供に積極的な姿勢を見せている。それに対し、消極的なのはロバート・ゲーツ国防長官。飛行禁止空域の設定にも反対していたのだが、地上軍の投入は絶対に阻止するという姿勢だ。 こうした中、バラク・オバマ大統領は途中から軍事介入に舵を切った。エジプトはアメリカの意向を受けてリビアの反政府派へ武器を提供していると伝えられているが、サウジアラビアも武器供与のパイプにしようと考えているようだ。さらに、地上軍の投入が現段階では難しいことから、大統領はCIAに対して秘密工作の実行を許可したとロイターやテレグラフ紙は伝えている。 アルカイダ系のグループを含む反政府派を支援し、ムアンマル・アルカダフィ体制を倒すために空爆と秘密工作を欧米軍は展開しているのだが、思惑通りには進んでいないようだ。10日間の軍事介入でアメリカは5億5000万ドルとも6億ドルもと言われる戦費を使っている。アメリカ議会の内部にも介入に反対する議員は少なくない。しかも、カトリック教会ルートの情報によると、米英仏軍による空爆でトリポリでも40名以上の市民が殺されているようで、「血まみれの人道作戦」になりつつある。
2011.03.31
福島第1原発の事故が今後、どのような方向へ進むかはわからないが、この事故を「最悪」と呼ぶことはできない。「運」が悪ければ、地震の直後に配管の破断から圧力容器の爆発、放射性物質の大量放出というシナリオもありえたからである。現在の状況も深刻だが、最悪の事態にならなかったことは幸運だった。 松浦祥次郎という人物がいる。現在は「原子力安全研究協会理事長」という肩書きなのだが、2000年から2006年まで原子力安全委員会の委員長を務めていた。3月31日付けの朝日新聞に掲載された記事によると、全電源喪失というような、「何もかもがダメになるといった状況は考えなくてもいいという、暗黙の了解があった」と松浦は語る。「隕石の直撃など、何でもかんでも対応できるかと言ったら、それは無理だ」とも弁解しているのだが、ならば原発などに手を出すべきではなかった。 3月30日付けの読売新聞によると、松浦理事長はオフサイトセンター(緊急事態応急対策拠点施設)やモニタリング・ポスト(放射線監視装置)について、「壊れないにこしたことはない。ただ、今回のような大地震に耐えられる耐震性を保つにはコストがかかるし、非常用電源を長時間動かす燃料を常備するには防火上の安全性確保という問題もある」と話している。大地震に耐えられるオフサイトセンターやモニタリング・ポストを作れないなら、そんなものは意味がない。強欲さ剥き出しのコメントだ。 松浦理事長の経歴を見ると、1960年に京都大学工学部応用物理学科を経て同大学の大学院工学研究科の修士課程を修了し、工学部原子核工学科の助手を経て1961年には日本原子力研究所の職員になっている。1998年に同研究所の理事長となり、2000年には原子力安全委員会の委員長に就任している。いわゆる「原子力ムラ」の住人だ。
2011.03.31
リビアからムアンマル・アルカダフィを排除するため、アメリカは反政府派を支援せざるをえない状況にあるのだが、アメリカのCIAやイギリスのMI6のスパイたちもリビア国内で空爆を支援する活動を展開、反政府派とも接触しているようだ。歴史に名を刻んできた偵察機U2や無人のグローバル・ホークを飛ばしているほか、RC-135で政府側の通信を傍受、早期警戒管制機のE-3も反体制派支援作戦に参加している。 今のところ間接的ではあるようだが、アメリカ政府は武器も反体制派に供給しはじめている。エジプト軍がアメリカ政府承認のもとで反政府派へ武器を渡しているようなのだ。サウジアラビアを介して反政府派へ武器を提供する計画もあると報道されている。アメリカ自体が反政府派に武器を提供することにもバラク・オバマ大統領は芽向きだ。しかも反政府派には有力勢力のひとつとしてアルカイダが参加している。オバマ政権はかなり危険な橋を渡っている。
2011.03.31
リビアからムアンマル・アルカダフィを排除するため、アメリカは反政府派を支援せざるをえない状況にあるのだが、アメリカのCIAやイギリスのMI6のスパイたちもリビア国内で空爆を支援する活動を展開、反政府派とも接触しているようだ。歴史に名を刻んできた偵察機U2や無人のグローバル・ホークを飛ばしているほか、RC-135で政府側の通信を傍受、早期警戒管制機のE-3も反体制派支援作戦に参加している。 今のところ間接的ではあるようだが、アメリカ政府は武器も反体制派に供給しはじめている。エジプト軍がアメリカ政府承認のもとで反政府派へ武器を渡しているようなのだ。サウジアラビアを介して反政府派へ武器を提供する計画もあると報道されている。アメリカ自体が反政府派に武器を提供することにもバラク・オバマ大統領は芽向きだ。しかも反政府派には有力勢力のひとつとしてアルカイダが参加している。オバマ政権はかなり危険な橋を渡っている。
2011.03.31
原子力利権に多くの人や企業が群がってきた。地震で原発が深刻な事故を起こし、作業員や住民を被曝させたくらいで利権を手放すような連中ではない。「原子力行政が曲がり角に来ているとは思っていない」と3月16日に発言した日本経団連の米倉弘昌会長は、そうした利権構造の中枢にいる人物のひとりだ。福島第1原発の1~4号炉を廃棄すると東京電力も渋々認めたようだが、その影響が他の原発に波及しないよう、事故は「福島第1原発固有の問題」に起因するという宣伝も始まっている。 勿論、今回の事故を「福島第1原発固有の問題」だとすることはできない。この原発固有の問題点はあるものの、どの原発で事故が起こっても不思議ではないのだ。少なくとも外見上、近くにある女川原発で深刻な事態に至っていないのは偶然にすぎない。 2007年7月の新潟県中越沖地震で東電の柏崎刈羽原発は大きなダメージを受け、大事故に至らなかったのは運が良かったにすぎないことが明確になっている。ところが、原発利権グループは自然からの「警告」を無視、逆に「安全」の宣伝に使っている。福島第1原発の事故でも同じようなプロパガンダを展開しようとしている。 バブコック日立で原子炉の圧力容器を設計していた元エンジニアの田中三彦氏の分析によると、地震発生から間もなく、1号炉(おそらく3号炉も)で圧力容器内の配管に大きな損傷が生じ、冷却材喪失事故が起こった可能性が高い。(Part 1、Part 2、Part 3) つまり、圧力容器が爆発しなかったのは「運」が良かっただけということになる。配管が損傷していたとするならば、その原因は津波でなく揺れのはずだ。「津波の脅威」を声高に叫ぶ人がいたなら、警戒した方が良いだろう。「津波対策」で原発事故が防げるわけではない。 柏崎刈羽原発のケースをIAEA(国際原子力機関)も懸念していたことは、告発支援サイトのWikiLeaksが公表した米外交文書でも明らかにされている。 日本の支配層が採算を度外視して原発を推進している理由のひとつはカネだが、それよりも重大な問題が潜んでいる。核兵器開発である。この点を公の場で最初に指摘したのは、おそらく山川暁夫氏。1978年6月に開かれた「科学技術振興対策特別委員会」で再処理工場の建設について、「核兵器への転化の可能性の問題が当然出てまいるわけであります」と発言している。アメリカの友人によると、CIAも日本の支配層が今でも核武装の準備をしていると確信している。この問題に触れないで原発問題を解決することは不可能である。
2011.03.31
福島第1原発の事故が危機的な状況にあるので、多くの人々はリビア情勢に興味がないかもしれないが、深刻な事態になっている。ムアンマル・アルカダフィは徹底抗戦の姿勢を崩さず、米英仏を中心とする攻撃軍は内戦へ引きずり込まれつつある。しかも、米英仏軍が支援している反政府派にアルカイダが含まれていることは否定できない。NATOの欧州連合軍最高司令官、ジェームズ・スタブリディス提督もこの点を懸念しているようだ。 こうしたことを気にもしていないらしいのが「ロッキードの上院議員」とも呼ばれているヒラリー・クリントン国務長官、あるいはネオコン(アメリカの親イスラエル派)たち。戦争ビジネスやイスラエルにとって、リビアの内戦は歓迎すべき出来事なのだろう。 アメリカはサウジアラビアを介して反政府派に武器を提供しようとしていたが、すでにエジプト軍がアメリカ政府承認のもとで反政府派へ武器を渡しているようだ。その提供先にアルカイダがいることをどの程度、バラク・オバマ大統領は考えているのだろうか。 ともかく、アメリカは戦争へ引きずり込まれている。すぐに手を引くようなことを言っているが、行動は逆。すでにリビア攻撃の戦費は5億5000万ドルとも6億ドル以上に達しているとも言われている。アメリカは戦争ビジネスとイスラエルに潰されかねない。そのアメリカに惜しげもなく「軍事費」を提供しているのが日本。巨大地震と原発の大事故で東北地方が壊滅的な被害が出ていることなど気にせず、アメリカへ貢いでいる日本の支配層の神経もいかれている。
2011.03.30
すでにリビアは内戦化、米英仏軍は戦闘機や巡航ミサイルで政府側を攻撃して反政府派軍を支援している。予想されていたように、「飛行禁止空域の設定」とは内戦への介入にほかならなかった。 ここにきてヒラリー・クリントン米国務長官は反政府派へ武器を供与すると発言しているが、インディペンデント紙によると、軍事介入を始める前からサウジアラビアに対し、リビア反政府派へ武器を提供する仲介者になってほしいと頼んでいたという。国連の決議には関係なく、暴走がエスカレートしつつある。アメリカが得意とする手口だとも言える。 振り返ってみると、1978年にズビグネフ・ブレジンスキー大統領補佐官はソ連をアフガニスタンに引き込むための秘密工作を開始、翌年の5月にはISI(パキスタンの情報機関)の仲介でCIAイスタンブール支局長がイスラム武装勢力と会談している。そこでリーダーとして選ばれた人物が麻薬業者でもあるグルブディン・ヘクマチアルだった。ソ連軍がアフガニスタンに軍隊を入れるのは、その年の12月だ。 アメリカの軍や情報機関はソ連軍と戦わせるために武装勢力を組織、武器を与え、訓練しているのだが、その際にサウジアラビアが多額の活動資金を提供していたことも知られている。そのようにして訓練を受けたグループの中にはサウジアラビアの大富豪の家に生まれたオサマ・ビン・ラディンも含まれ、アルカイダも誕生したと考えられている。 しつこいようだが、リビアの反政府派にアルカイダ系のグループ(LIFG)が含まれていることが明らかになっている。この事実は当人たちも認めている。ビル・クリントン政権のころからアルカイダは「テロリスト」に分類されるようになったが、リビアでは今のところ友好的な関係にあり、アフガニスタン時代と似たような構図になっている。 しかし、ムアンマル・アルカダフィ体制が崩壊した後にどうなるかは別。今は反アルカダフィで手を組んでいる反政府派だが、アルカダフィが排除されたなら新たな内戦が始まる可能性がある。アメリカから軍事作戦を引き継ぐというNATO軍が地上軍を投入するという見方が強まっているが、そうしなければならない理由がある。欧米にとって好ましくない体制ができあがる可能性があるのだ。そうなると、アフガン戦争の再現。ネオコン(アメリカの親イスラエル派)が望んでいた展開になっている。 すでにカタールはリビアの「体制変革軍」に参加しているが、サウジアラビアをはじめとする湾岸の独裁産油国も何らかの形でリビアの反政府派を支援することになりそうだ。当然、欧米諸国はこうした独裁産油国の反民主的な体制を擁護、武力を使った民衆弾圧には目もくれない。それが「人道」の実態。血まみれの看板だ。ユーゴスラビア、アフガニスタン、イラク、そしてリビア・・・同じことの繰り返しである。
2011.03.30
中東/北アフリカでは民主化を求める人々のうねりが独裁体制を揺るがしている。それに反比例するようにイスラエルでは「アパルトヘイト」を推進、「イスラエルの主権を害する」と認定された人間から市民権を剥奪できる新しい「市民法」が3月28日に承認された。「非ユダヤ系住民」に対して「ユダヤ人国家」への忠誠を誓わせる法案が昨年10月10日に誕生していることを考えると、イスラエルは「民族浄化」を強化しようとしているように思える。 この新市民法にはイスラエルの防諜/治安機関であるシン・ベトも不必要だと反対している。反国家的な活動には既存の法律で十分に対処でき、新しい法律は別の目的、つまりアラブ系市民を攻撃する道具になると見なされるというわけである。この法律が作られた目的はアラブ系市民に恐怖を与えることにあると知らされ、シン・ベトは新法に反対するようになったともいう。 言うまでもなく、こうした反民主的な法律を作る推進力になっているひとりがアビグドル・リーバーマン。鳩山由紀夫内閣のときに来日、岡田克也外相とは「安全保障について議論し、OECDのイスラエル受け入れで日本の支援に感謝した」という。 このようにイスラエルで「ファシズム的」なシステムが築かれる一方、西ヨーロッパではイスラエルから離れる動きも見られる。フランスのニコラ・サルコジ大統領、ドイツのアンゲラ・メルケル首相、イタリアのシルビオ・ベルルスコーニ首相、首相の座から引きずり下ろされたが、イギリスのトニー・ブレアなど親イスラエル派に分類できる政治家は少なくないが、イスラエルを批判する声が高まっていることも確かだ。スイスのミシェリン・カルミーレイ大統領はガザの封鎖、つまり兵糧攻めを止めさせようと考え、エジプトと交渉する用意があるようだ。 この構図がリビア攻撃でも反映されている。最近までネオコン(アメリカの親イスラエル派)はムアンマール・アルカダフィ政権と緊密な関係にあったのだが、チュニジア、エジプト、サウジアラビア、バーレーンと波及していった民主化運動を乗っ取る形でリビアを攻撃するべきだと主張、シリアにも矛先を向けている。こうした声に呼応する形でフランス、イギリス、アメリカは内戦に介入している。 アメリカには強力なイスラエル・ロビーが存在しているのだが、それでもバラク・オバマ大統領の決断したリビア攻撃を批判する人は少なくない。議会の承認を得ないで戦争に突入したこと、軍事費削減が吹き飛んでしまったこと、そして反政府派にはアルカイダの勢力が存在していることなど、批判の理由はいくつもある。中には、ナポレオンのロシア遠征になぞらえる人もいる。アメリカ帝国の終焉ということだ。
2011.03.29
枝野幸男官房長官にしろ、原子力安全・保安院にしろ、「直ちに影響はない」と連発している。急性症状は出ないものの、内部被曝によってガンなどの晩発性障害は出ると暗に認めているわけだ。 その晩発性障害が発症するまでには数年から数十年はかかると言われている。チェルノブイリ原発事故は1986年4月、つまり25年前の出来事。すでに子供の甲状腺ガンは急増しているようだが、晩発性の影響はこれからが本番だとも言える。ガンが増えても情報を隠し、誤魔化し、表に出てきても「因果関係を証明できない」と言い逃れするだろうが。 フランスのASN(核安全局)のアンドレクラウデ・ラコスト局長は、福島第1原発の事故による放射能汚染と日本は今後何十年も闘わなければならず、汚染地域も100キロメートル以上に広がる可能性があると3月21日に発言しているようだ。 しかし、汚染との闘いが一段落したとしても、晩発性障害との闘いは終わらない。事故の進行具合によっては、さらに深刻な事態も想定できる。ともかく、福島第1原発事故との闘いは始まったばかりだということになる。 この困難な闘いを続けるためには、新たな闘いなど始められない。つまり、浜岡原発をはじめ、日本という地震地帯の上に建設されてきた全ての原発を速やかに止める必要がある。勿論、それでも冷却に時間がかかるわけで、止めたからといって安全になるわけではないが、少しでもマシな方向へ進むしかない。
2011.03.28
日本の支配層は原子力発電を中心として巨大な利権システムを築き上げてきた。この利権システムを破壊できなければ、日本が消滅することになると言わざるをえない。 昔からエネルギーの周辺には怪しげな人間が群がっている。石油利権も巨大だったのだが、原発の場合には「原爆」という要素も加わる。実際、2009年や2010年にも本コラムで指摘してきたように、日本でも1960年代の後半から核武装を目指そうとする動きがあったことが知られている。その後、「核の傘」を条件にして核武装計画は放棄されたとする話もあるが、1970年代に入っても生き続けていた疑いは強く、アメリカの情報機関もそう考えていた。 こうした利権構造の過去を振り返ってみると、1923年の関東大震災に行き着く。この震災を復興するための資金を調達する際に日本政府はJPモルガンに頼り、それ以来、日本の支配層はこの金融機関に頭が上がらなくなる。このJPモルガンが集中的に投資した対象が電力だった。関東大震災の後、外債の半分以上は電力に投入されたという。こうして日米の利権の仕組みはできあがり、戦後も生き続けて原発利権につながったと言えるだろう。
2011.03.28
言うまでもなく、日本列島の周辺は世界有数の地震地帯である。古来、巨大地震に何度も襲われてきた。こうした地域に原子力発電所を建設することは常軌を逸している。良からぬものに取り憑かれ、カネの亡者になっているようだ。 地震に対する原子力発電の脆弱性を指摘する人は少なくないが、そうしたひとりが神戸大学の石橋克彦名誉教授。福島第1原発で事故が起こった後、同教授の警告はイギリスのガーディアン紙にも取り上げられていた。 今回の事故が起こる前、自然からの警告もあった。2007年7月16日に起こった新潟県中越沖地震の際に起こった柏崎刈羽原発の事故である。この地震はM6.8にすぎなかった(今回の地震に比べ、エネルギーは約2000分の1)のだが、それでも大事故になる可能性はあったのだ。この警告を真摯に受け止めたのは石橋教授のほか、元原発技師の田中三彦氏や後藤政志氏ら。一方、原発利権派は無視した。構造的に見ても地震学的に見ても幸運だっただけなのだが。 石橋教授は以前から東北の太平洋側で大地震が発生すると懸念していたが、それ以上に心配していたのが東海・東南海・南海巨大地震。現在の日本列島は東西の圧縮力が蓄積されていて、この歪みはこの地震が発生するまで解消されないという。そこで、浜岡原発を止めるべきだという議論が出てくるのだが、それ以外にも危険な原発は少なくない。福島第1原発の事故は、次の致命的な事故に対する警告なのかもしれない。 東京電力が原発を建設する際に想定した津波は土木学会の原子力土木委員会津波評価部会が出した指針に基づいているそうだが、そのメンバーのいかがわしさを自民党の河野太郎議員が指摘している。同議員のブログでは個人名が削られているので、それをつけ加えたものを本コラムでは掲載する。《土木学会/原子力土木委員会津波評価部会(2011年3月)》【主査】首藤 伸夫(東北大学/元建設省九州地方建設局建設技官)【委員】浅野 彰洋(四国電力 土木建築部)秋山 隆(関西電力 土木建築室)磯部 雅彦(東京大学大学院 大学院新領域創成科学研究科)今村 文彦(東北大学大学院 工学研究科 附属災害制御研究センター)蛯沢 勝三(原子力安全基盤機構 解析部)大坪 武弘(九州電力 土木部)河田 恵昭(京都大学防災研究所 巨大災害研究センター)北川 陽一(日本原子力発電 開発計画室)黒岡 浩平(中国電力 電源事業本部耐震土木)小林 正典(東北電力 土木建築部火力原子力土木)佐竹 健治(東京大学 地震研究所)諏訪 義雄(国土交通省 国土技術政策総合研究所)関島 正浩(電源開発 原子力事業本部原子力建設部)高尾 誠(東京電力 原子力設備管理部)高橋 智幸(関西大学 社会安全学部)田中 良仁(中部電力 発電本部土木建築部)富田 孝史(港湾空港技術研究所)中嶋 光浩(北陸電力 土木建築部)能島 暢呂(岐阜大学 工学部社会基盤工学科)野中 則彦(経済産業省)平田 賢治(気象庁 気象研究所)藤間 功司(防衛大学校)堀江 正人(関西電力 土木建築室)山中 佳子(名古屋大学地震火山・防災研究センター)【委員兼幹事】榊山 勉(電力中央研究所 地球工学研究所 流体科学領域)【幹事長】松山 昌史(電力中央研究所 地球工学研究所 流体科学領域)【幹事】安中 正(東電設計 技術開発本部)稲垣 和男(ユニック)池野 正明(電力中央研究所 環境科学研究所 環境科学領域)及川 兼司(東京電力 原子力設備管理部)栗田 哲史(東電設計)木場 正信(エングローブコンサルタント)芝 良昭(電力中央研究所 地球工学研究所 地震工学領域)藤井 直樹(東電設計 港湾・海岸部)藤田 尚毅(三菱総合研究所)文屋 信太郎(三菱総合研究所)柳沢 賢(東京電力 原子力設備管理部)柳澤 英明(東電設計 港湾・海岸部)山木 滋(シーマス)【オブザーバー】鈴木 義和(一般社団法人 日本原子力技術協会)
2011.03.28
リビア情勢は混沌としている。米英仏を中心とする欧米軍に支援された反政府派が巻き返しているとも報道されているのだが、ムアンマル・アルカダフィ体制が崩壊しても安定化する可能性は小さく、永い戦いが続くと覚悟しなければならない。 本コラムでは指摘済みだが、反体制派にはアルカイダにつながるグループが含まれている。WikiLeaksが公表した2008年2月8日付けの米外交文書によると、反体制派の拠点になっている北東部にはアフガニスタンでソ連と戦った人たちが影響力を拡大しつつあり、反米感情が強いのだという。 そうした人々はサダム・フセイン体制が崩壊した後にイラクへ入り、「ジハード(聖戦)」を展開していたとも指摘されている。イラクで戦闘を続けている外国人には多くのサウジアラビアやリビアの出身者が含まれているする報告もある。ロバート・ゲーツ国防長官がリビアへの軍事介入に消極的だった理由のひとつはここにある。 こうしたアルカイダと関係の深い武装集団として知られているのがLIFG(リビア・イスラム戦闘団)。2004年2月にはジョージ・テネットCIA長官(当時)もLIFGをアルカイダにつながる危険な存在だと上院情報委員会で証言している。 リビアの現体制が崩壊すれば、こうした勢力は反欧米としての姿を現すことになる可能性が高い。LIFGに対抗しそうなグループを考えると、元内務大臣のアブデルファター・ユニス将軍をはじめとする軍からの離反組、あるいはNCLO(リビア反体制国民会議)/NFSL(リビア救済国民戦線)が頭に浮かぶ。NFSLは西側諸国や中央アメリカ諸国でイスラエルやアメリカの訓練を受け、CIAの配下にあるとも言われている。この組織に所属する約2000名がチャド軍に拘束されたこともある。 アルカダフィ体制を倒したとしても、そのあとには新たな内乱が待ち受けていると覚悟する必要がある。つまり市民にとっては地獄の季節が続く。
2011.03.27
原子力発電を擁護/推進するグループの中には、石油を持ち出す人もいる。「石油の取り合い」は戦争の原因になり、多くの人が殺されてきたという。ところが、そうした議論を展開する人はさまざまな石油製品については考えないようだ。要するに、トータルとして石油の使用量を減らそうとは考えていない。 福島第一原発の事故を受け、「原子力行政が曲がり角に来ているとは思っていない」と日本経団連の米倉弘昌会長はコメントしているのだが、この日本経団連は二酸化炭素の排出規制(いわゆる化石燃料の使用規制)には強く反対している。石油を大量に使いたいということだ。 要するに、「原子力対石油」というよう枠組みの中で議論すること自体、大企業の術中にはまっていることを意味している。そもそも、原発は燃料の生産から放射性廃棄物の処理、貯蔵まで多額の資金、膨大なエネルギーを必要とする。 エネルギーだけを考えても、まず外交で紛争を回避する努力をすることは当然だが、石油や天然ガスの輸入先を分散させ、エネルギー源も多様化させる必要がある。原子力へ投下している巨額の資金を考えれば、可能なはずだ。 また、日本政府がエネルギーの消費量を抑える政策を推進してきたとも思えない。自動車産業を経済の軸に据えること自体がエネルギーの浪費を前提にしている。せめてヨーロッパ諸国のように、路面電車を交通手段として広め、自転車専用道路を整備する程度のことはしなければならない。 現在、最もエネルギー効率が良いとされている燃料電池の実用化を真剣に考えているようにも見えない。もっとも、燃料電池が広まると電力会社を中心とする利権構造は崩れる可能性がある。なぜなら、ガスの配管システムを持っているガス会社が強力なライバルになることは間違いないからだ。 石油が絶対的なエネルギー源でないことは、サウジアラビアなどの産油国は理解している。石油価格の高騰は石油使用量の削減や代替エネルギーの開発を促進、石油離れを誘発すると懸念していたのである。 1973年に石油価格が急上昇(オイル・ショック)しているが、この相場急騰に危機感を抱いたサウジアラビア国王は石油相だったザキ・ヤマニをイランへ派遣、イラン国王に相場抑制を訴えている。それに対し、石油価格の高騰はヘンリー・キッシンジャーが望んでいることだとイラン国王は答えたという。 2001年1月14日付けのオブザーバー紙によると、1973年5月にスウェーデンで開かれた秘密会議(同紙では言及していないが、ビルダーバーグ・グループの会議)での討議の結果、オイル・ショックは引き起こされたとザキ・ヤマニが話している。会議の席上、アメリカとイギリスの代表は400パーセントの原油値上げを要求、この決定を受けてOPECは同年10月に原油価格を70%引き上げると決めている。 ともかく、石油をめぐる戦争を避けたいならば、アメリカの独善的な行動を押さえる必要がある。
2011.03.27
福島第1原発の1号炉(おそらく3号炉も)で配管が何らかの形で損傷し、冷却剤喪失事故の起こって「空焚き状態」になっている可能性が高まった。バブコック日立で原子炉の圧力容器を設計していた元エンジニアの田中三彦氏が政府の公表しているデータを分析した結論で、きわめて説得力がある。これまで圧力容器が爆発しなかったのは「運」が良かっただけで、きわめて深刻な状態ということになる。こうした情報を開示せず、適切な対策を講じてこなかった政府や東電など事情を知る立場にある人たちの責任は重い。Part 1, Part 2, Part 3
2011.03.26
リビアで反政府派を率いているアブデルハキム・アルハシディは、自分たちがアルカイダと連携していることを認めた。 本コラムでも指摘したように、LIFG(リビア・イスラム戦闘団)はアフガニスタンでソ連軍と戦ったイスラム武装集団の流れをくみ、2004年にはジョージ・テネットCIA長官(当時)もLIFGをアルカイダにつながる危険な存在だと上院情報委員会で証言している。つまり、現在、リビア政府と戦っているのは欧米とアルカイダの連合軍であり、その攻撃を国連が認めたということになる。アメリカ政府はアルカイダを「テロリスト」の象徴のように主張してきたが、内心では「同志」だと思っているのかもしれない。 アメリカ、イスラエル、サウジアラビア、エジプト、モロッコ、イラク、フランスなどの国々がリビアの反政府派を支援しているが、その理由は資源の分布状況を見れば想像できる。ベンガジの周辺では、BP(イギリス)、ロイヤル・ダッチ・シェル(イギリス/オランダ)、トータル(フランス)、ENI(イタリア)、エクソン・モービル(アメリカ)、レプソル(スペイン)、スタトイル(ノルウェー)などが利権を持っていることがわかる。もっとも、リビア攻撃に批判的な2カ国の会社、ロシアのガスプロムやドイツのRWEの名前もあるが。
2011.03.26
リビアのムアンマル・アルカダフィ体制が腐敗していることは間違いないだろうが、反政府派も圧政に抵抗する民衆とは言い難く、相当いかがわしいようだ。イギリスの情報機関MI6と特殊部隊SASのメンバーが反政府派に接触した時点で化けの皮が剥がれてしまった。そうした反政府派の実態をピーター・デール・スコット・カリフォルニア大学教授の情報を中心に基づいてまとめてみた。 リビアにはいくつかの反アルカダフィ派が存在している。メディアに名前が出ているという点では、元内務大臣のアブデルファター・ユニス将軍をはじめとする軍からの離反組が頭に浮かぶ。このグループは以前からアメリカと連携していた。 ベンガジを拠点とする分離独立派も存在する。石油が生み出す富を国の西部地域が独占していると不満を持っているのだという。東西の対立は歴史的なもので、イギリスは東部と関係が深い。この地域にはサヌーシ教団の影響もある。 反政府派の中心的な位置にいるのがNCLO(リビア反体制国民会議)で、その傘下にはNFSL(リビア救済国民戦線)が含まれている。アルカダフィ体制の打倒を目指し、西側諸国や中央アメリカ諸国でイスラエルやアメリカの訓練を受けてきたと言われている武装組織がNFSL。CIAの配下にあるとも言われている。この組織に所属する約2000名がチャド軍に拘束されたこともある。 チャドを拠点とするリビアの反体制派にはアメリカやイスラエルだけでなく、サウジアラビア、エジプト、モロッコ、イラク、そしてフランスからも支援を受けてきた。1984年5月にはアルカダフィ暗殺を試み、失敗している。アメリカがエジプトにリビア侵攻を求め、断られたのはその翌年のことだった。 現在、最も懸念されている組織がLIFG(リビア・イスラム戦闘団)。1995年に創設された武装グループだが、それ以前にはアフガニスタンでソ連軍と戦っていた。つまり、アルカイダと同様、アメリカの情報機関や軍と協力関係にあったわけだ。MI6と関係があるとする情報もあるが、2004年2月には当時のCIA長官、ジョージ・テネットもLIFGをアルカイダにつながる危険な存在だと上院情報委員会で証言している。反政府派はアルカイダだとアルカダフィは叫んでいたが、まんざら嘘でもないと言えるだろう。 これだけ多くの国や組織が関わってくる大きな理由は、言うまでもなく石油にある。
2011.03.25
福島第1原発の「過酷事故」は日本社会を映し出しているのではないだろうか? 時事によると、「在日米大使館の外交官が2006年の時点で、日本の原発について、コスト削減を優先し安全性をおろそかにしているのではないかと疑念を抱いていた」と22日発行のフランスのルモンド紙は報じている。同紙がWikiLeaksから入手した米国務省の外電に基づく記事だという。 「われわれは経費節減と生産性向上を合言葉に、安全が犠牲になる例をあまりに多く見てきた」とアメリカの外交官は報告したというのだが、これは日本の支配層が一貫して追求してきたこと。そうした政策の中から合理化、リストラ、規制緩和、民営化(私有化)、改革などの標語は出てきた。その結果が大企業への富の集中と貧困化の進行であり、現在、日本社会を崩壊させつつある。 そうした政策の背後では不公正な仕組み、つまり巨大な利権構造が築かれてきた。大企業、政治家、官僚、学者、マスコミがそうした利権構造に組み込まれている。その利権を虎視眈々と狙っているのがアメリカだろう。ここで政策を大転換できないならば、次にはさらに過酷な事故/事態が日本を襲うことになる。とりあず、官僚が独占してきた公的な情報を基本的に全面開示させる必要がある。それが第一歩だろう。
2011.03.25
緊急事態の際、6時間先までの外部被曝線量や甲状腺等価線量などをシミュレーションできるシステムを日本政府は持っている。「SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)」だ。にもかかわらず、23日の午後まで日本政府は結果を公表してこなかった。 東京電力の武藤栄副社長は23日の夜に至っても「意味のある結果にはなっていない」という理由で公表を拒否、東電は24日になってもシミュレーションそのものをしていないとしていた。相変わらず東電は事態の深刻さを理解できず、原発の利権構造を維持することに気をとられている。つまり自分たちの利益だけに興味を持っているわけだ。 しかし、22日にはアメリカのエネルギー省が被災地域の人々が1時間あたりに浴びる放射線量の推定結果を公表していた。福島第1原子力発電所の周辺上空を飛ぶ米軍機などが17日から19日にかけて測定した放射線量や地上のデータから推測したものだという。 つまり、米エネルギー省が推計結果を出してしまったので、日本政府は隠す意味がなくなったと判断したのだろうが、東電はそれでも隠そうとしたことになる。正に鉄面皮。 エネルギー省の推定結果はSPEEDIのシミュレーションとよく似ている。SPEEDIのシミュレーションは「意味のある」ものだったわけだ。このシミュレーションを早い段階で公表していれば、被曝を少なくすることができたはずだ。原発利権集団は今も罪を重ねている。
2011.03.24
中東/北アフリカの全域が揺れている。リビアのムアンマール・アルカダフィ体制を倒すために米英仏軍は反政府派を支援するために軍事介入、制空権は簡単に握ったのだが、政府軍の戦車は日中を避けて夜間に活動、ベンガジ攻撃を続けるなど、米英仏軍の思惑通りには進んでいないようだ。 そうした中、誰が空爆の指揮をするかで揉めている。今のところアメリカ軍が戦闘を主導しているのだが、アメリカはすでにイラクやアフガニスタンでの戦闘で四苦八苦している。早い段階でNATOへバトンタッチしたいところだろうが、この交渉もスムーズには進んでいない。NATO加盟国のトルコがリビアへの軍事介入に反対していることもあるが、泥沼化した場合のことを考えて各国とも及び腰のようだ。 欧米の軍事介入によって反政府派は軍事的には優位に立ったと言えるだろうが、庶民からみると「民主化」のための戦いには見えなくなってきたことも事実。歴史的に中東や北アフリカは欧米の列強に支配され、富を奪われてきた。政府側が米英仏軍を「十字軍」になぞらえる宣伝はそれなりに効果があるだろう。すでにネオコンは地上軍の派遣を主張しているが、そうなるとイラクの二の舞だ。 その一方、サウジアラビアを中心とする湾岸の独裁産油国でも民主化を求める声を暴力的に弾圧、イスラエル/パレスチナでも軍事的な緊張が高まっている。イスラエルのガザ侵攻が人道法や人権法に違反していることは国連も認めた事実。こうした残虐な行為を放置してリビアを攻撃することに疑問を持つ人は多いのだが、アメリカにしろイギリスにしろフランスにしろ、何ら有効な手段を講じていない。 イスラエルの新たなガザ攻撃への報復としてエルサレムのバスが爆破されているが、こうした武装闘争が続く最大の理由は、米英仏をはじめとする「人道」を掲げる国々が人道や人権を無視するイスラエルを放置していることにある。リビア攻撃で民間人は攻撃しないとアメリカ軍は主張しているが、イラクやアフガニスタンでの戦闘を見るだけでも、説得力のないことは明白である。
2011.03.24
福島第1原発は危機的な状態にある。今のところ封じ込められている放射性物質がいつ大量に放出されても不思議ではなく、綱渡りを続けていることは言うまでもない。そうした「最悪の事態」を避けるため、現場では命を削りながら多くの人が作業している。こうした「決死」の作業に加え、「運」がなければ破滅的な状況になってしまう。こうした状況の中、外国政府が自国民に日本からの避難を呼びかけているのは当然である。 ところが、テレビや新聞をはじめとする日本のマスコミは「安全宣伝」を繰り返してきた。こうした「公式発表」を粉砕してきたのが現実。その結果、政府や東電だけでなく、マスコミや学者たちも信頼されなくなっているのだが、本人たちは「裸の王様」状態に気づいていない。 日本を脱出する人たちに対し、「この程度の放射能を気にする人は、飛行機に乗るとかえって大量に被ばくするので、船で逃げだすことを科学者として推奨します。」とからかい半分のコメントをしたのは東北大学の川島隆太教授。(河北新報、2011年3月21日付)なぜ避難しているのかを本当に理解できていないのだろうか?事態が悪化してからでは手遅れだということで、彼らは避難しているのである。 川島教授に限らず、放射線の話と放射性物質の話を混同するコメントも多い。つまり、体外被曝と体内被曝の違いを無視している。飛行機に乗ろうと、医療行為であろうと、限られた時間の体外被曝なのであり、わずかであろうと放射性物質を体内に取り込んでしまった場合とはリスクが全く違う。これは多くの人が理解している事実。「専門家」やマスコミは理解する能力がないのか、大嘘つきなのかどちらかだ。 状況を理解できていないという点では東京電力の幹部も同じである。(大嘘つきなのかもしれないが。) 21日には東京電力の武藤栄副社長が記者会見し、福島第1原発の廃炉について「申し上げる段階じゃない」と述べたという。隠蔽体質の東電が緊急事態を公表せざるを得なくなった時点で廃炉は決定的だったのである。この期におよんで、こうした未練がましいことを言うとは恐れ入る。そもそも経営者としての資質に欠けていると言わざるをえない。 すでにいくつかの国では福島第1原発の事故による放射性物質のシミュレーションを公開している。東電も気象情報などをもとに独自に放射性物質に関するシミュレーションを作成しているのだが、「放射線量の基礎データが確かじゃない」との理由で公表しないのだという。地震にしろ原発の構造問題にしろ、科学的な知見に基づく警告を無視して、全く「確かじゃない」データに基づいて「安全だ」と宣伝してきたのは電力会社である。都合の悪い事実は隠し、自分たちが描くシナリオに添った情報しか公表しないという点で、電力会社は検察と似ている。言わば同じ穴の狢。 電力会社、そしてその背後に蠢く大企業、政治家、官僚、学者、マスコミは原発利権で甘い汁を吸ってきた。その利権集団にとって都合の悪い存在だった福島県の佐藤栄佐久知事を「狢仲間」の検察がでっち上げで逮捕し、失脚させたわけだ。これは必然だったのだろう。
2011.03.22
NILU(ノルウェー大気研究所)が福島第1原発の事故に伴う放射性物質(ヨウ素131、セシウム137、キセノン133)が「最悪のシナリオ」ではどのように分散するかを予測している。限られたデータに基づくものなので正確だとは言えないようだが、それでも参考にはなりそうだ。
2011.03.21
リビアに対する攻撃の中で米英仏軍は「飛行禁止空域」の設定という「限度」を大幅に逸脱、ムアンマール・アルカダフィの邸宅を破壊した。攻撃側の主力はアメリカ軍なのだが、ロバート・ゲーツ国防長官は国連の決議を超えていると懸念を口にしている。リビア政府は市民64名が殺されたと主張、アラブ連盟のアムル・ムーサー事務総長も「話が違う」と困惑しているようだ。こうした声を意識して反政府側は自分たちの犠牲者が8000名を超えていると主張して米英仏軍の攻撃を正当化している。 何度も書いているように、米英仏軍は「人道」のために介入しているわけではない。当初からネオコン(アメリカの親イスラエル派)は軍事介入に積極的だったが、その中心的な人物のひとり、ウイリアム・クリストルはFoxニューズで地上軍の派遣が必要だと言っている。 こうなると、リビアは民衆蜂起でも内乱でもなく、侵略戦争の領域。民主化を望んでいた人々にとって「革命は盗まれた」ということになる。 米英仏が革命を盗んだ理由として想定されているのは石油。リビアを攻撃している国々がサウジアラビアをはじめとする湾岸の独裁産油国の弾圧、民衆殺害に「寛容」な理由も石油にあるだろう。 こうした下心で始めた戦争を中東/北アフリカの庶民が支持するとは思えない。このまま戦争を続けると、アフガニスタンやイラクのようなレジスタンスが始まる可能性がある。サウジアラビアをはじめとする湾岸諸国の軍事的な弾圧はイラクなどを不安定化しつつあり、これから中東/北アフリカ全域に戦乱が広がることもないとは言えない。これがネオコンの目的なのだろうか?
2011.03.21
福島第1原発の事故を東京電力が隠しきれなくなった時点で「廃炉」は決定的だった。枝野幸男官房長官は20日の記者会見で再び稼働することはできないと話していたが、そんなことは最初からわかっていたことである。東電はさらに判断がお粗末で、「福島第1原発の廃炉は避けられないとの見方が強まって」きた段階だという。 これまでにも電力会社は重大な事故を隠し、マスコミを使って安全を宣伝してきた。こうした「成功体験」に基づいて今回も国民を欺こうとしたのだろう。原発利権に目がくらんでいるということもあるが、「安全妄想」が現実を直視させなかったという側面もあるだろう。「安全宣伝」を流しているうちに、自分たちもそうした妄想を信じてしまったということだ。 原発の安全宣伝だけでなく、大企業の利益を維持増大させるために環境破壊が「直ちに影響ない」と宣伝するうえで重要な役割を果たしてきたのが「お偉い科学者(ペーパー・テストで高い得点をとることしか能がない人々)」たち。彼らの責任も重い。 言うまでもなく、地震国日本に原発を建設するという無謀な計画が原発事故の原因。地震と津波は自然の災害だとしても、こうした無謀なことをしなければ、放射能汚染に怯える必要はなく、被災者への支援も今よりスムーズに進んだはずである。人災としての要素も大きいと言うことだ。 ところが、アメリカには違った見方をする人たちがいる。例えば、ティー・パーティーの宣伝係のようなテレビ司会者のグレン・ベックは今回の震災を「神の御業」だとしていた。 こうした人々に大きな影響を与えているキリスト教系カルトの宗教指導者、フランクリン・グラハム(ビリー・グラハムの息子)は今回の地震を「キリスト再臨」のしるしかもしれないとアメリカのテレビで語っている。日本が地震国であり、大きな地震が過去に何度も襲っていることなど、気にしていないようだ。カルトの世界では、日本(Japan)の「J」はイエス(Jesus)の「J」だというこじつけも語られているらしい。 彼らに言わせると、戦争、飢饉、地震は再臨のしるし。見方を変えると、戦争、飢饉、地震は彼らにとって好ましい出来事だということになる。何ともおぞましい「宗教」である。石原慎太郎が似たようなことを言うのは偶然なのだろうか?
2011.03.21
福島第1原発4号機に保管されている使用済み燃料棒を懸念する声が高まっている。中にはチェルノブイリ原発の被害程度で納まればラッキーだという人もいる。燃料棒135トンの多くが昨年12月に取り出されたばかりで、1500度から1800度と高温にあり、少し温度が上昇すると被覆管が融けて放射性物質が外に出てくる可能性があることも理由のひとつだという。ひとえに、水をかけて冷やすしかないようだ。
2011.03.20
地震と津波で破滅的な状況になっている福島第一原発について、「千年に1度の津波に耐えているのは素晴らしいこと」であり、「原子力行政が曲がり角に来ているとは思っていない」と言った人物がいる。日本経団連の米倉弘昌会長だ。原発の実態を理解せず、原発利権のみに関心があるのだろう。 アメリカでは戦争によって国民の富を奪い取ってきたように、日本において原発は支配層が甘い汁を吸うための重要な仕組みになっている。カネと放射能を同時に生み出し、カネは自分たちの懐に、放射能は庶民に押しつけているわけだ。その仕組みを手放すわけにはいかないということ。そうした仕組みの中心に位置しているのが日本経団連(かつては経団連)である。 アメリカにしろ日本にしろ、そうした仕組みを隠すために活躍しているのが教育やマスコミ。何らかの事情で実態が明るみに出そうになると、現場の人間の苦労を宣伝する。アメリカでは戦場の兵士、今回の原発事故では命をかけて作業している消防士や自衛官だ。そうした人々を前面に出し、責任者は闇の中で身を潜めて嵐が過ぎ去るのを待つ。庶民はすぐに忘れると高をくくっているのだ。「エリート」の責任を決して忘れず、これから追及し続けなければならない。日本経済団体連合会【会長】米倉弘昌(住友化学会長副会長)【副会長】佐々木幹夫(三菱商事取締役 相談役)中村邦夫(パナソニック会長)森田富治郎(第一生命保険会長)槍田松瑩(三井物産会長)榊原定征(東レ会長)前田晃伸(みずほフィナンシャルグループ特別顧問)佃和夫(三菱重工業会長)氏家純一(野村ホールディングス会長)大橋洋治(全日本空輸会長)岩沙弘道(三井不動産社長)清水正孝(東京電力社長)渡辺捷昭(トヨタ自動車副会長)西田厚聰(東芝会長)宗岡正二(新日本製鐵社長)川村隆(日立製作所会長)坂根正弘(小松製作所会長)三浦惺(日本電信電話社長)中村芳夫(日本経済団体連合会事務総長)【歴代 日本経団連会長】初代 奥田碩(トヨタ自動車)2002年5月~2006年5月第2代 御手洗冨士夫(キヤノン)2006年5月~2010年5月第3代 米倉弘昌(住友化学)2010年5月~【名誉会長】豊田章一郎(トヨタ自動車名誉会長)今井敬(新日本製鐵名誉会長)根本二郎(日本郵船相談役)奥田碩(トヨタ自動車相談役)御手洗冨士夫(キヤノン会長)【経団連 歴代会長】初代 石川 一郎(日産化学工業社長)1948年3月~1956年2月 (代表理事:1946年8月~1948年3月)第2代 石坂 泰三(東京芝浦電気社長)1956年2月~1968年5月第3代 植村 甲午郎(経団連事務局)1968年5月~1974年5月第4代 土光 敏夫(東京芝浦電気会長)1974年5月~1980年5月第5代 稲山 嘉寛(新日本製鐵会長)1980年5月~1986年5月第6代 斎藤 英四郎(新日本製鐵会長)1986年5月~1990年12月第7代 平岩 外四(東京電力会長)1990年12月~1994年5月第8代 豊田 章一郎(トヨタ自動車会長)1994年5月~1998年5月第9代 今井 敬(新日本製鐵社長)1998年5月~2002年5月
2011.03.20
リビアに対する軍事作戦をフランス、アメリカ、イギリスが始めた。いくつかの報道を見ると、フランス軍は約20機の戦闘機でリビア政府側を攻撃、アメリカ軍とイギリス軍は艦船から110発以上のトマホーク・ミサイル(巡航ミサイル)を発射したようだ。 軍事施設を目標にしているとしているが、ユーゴスラビアにしろ、アフガニスタンにしろ、イラクにしろ、非武装の市民が犠牲になっている。今回も市民が米英仏軍に殺されることは避けられないだろう。未確認ながら、最初の攻撃で少なくとも48名の市民が殺されたという情報もある。いきなり「飛行禁止空域の設定」などという話は吹き飛んでいる。 アメリカ政府の承認を受けた上でエジプトはリビアの反政府派は武器を提供していると伝えられているが、さらにサウジアラビア、カタール、アラブ首長国連合、ヨルダンも今回の攻撃に協力している。 そのサウジアラビア王室は、国内だけでなくバーレーンで民主化を要求する声を圧殺している。バーレーンへはアラブ首長国連邦やクウェートとともに軍事介入した。こうした反民主的な軍事介入をヒラリー・クリントン米国務長官も容認したと言われている。常識的に考えても、アメリカが認めなければ中東の親米/親イスラエル国は動けない。 こうしたサウジアラビア支配層、つまりスンニ派の行動に対する反発がイラクのシーア派の間で高まり、ムクタダ・アルサドルを中心とするグループがデモを行っている。サウジアラビアの軍事行動、そうした行動を容認しているアメリカに対する反発がさらに高まれば、イラク情勢にも影響してくることになる。
2011.03.20
福島第一原子力発電所の事故は破滅的な状況にある。すでに諸外国の政府やIAEA(国際原子力機関)は日本政府や東京電力の発表を信用せずに独自の対策を取り始め、事態の悪化もあり、情報の隠蔽は難しくなりつつある。こうした事態に至った以上、責任者が説明責任を果たすのは当然だろう。そこで、原子力安全委員会の委員、原子力安全・保安院の幹部、そして東京電力の幹部をリストアップしてみた。【原子力安全委員会】班目 春樹 (専門:流体・熱工学)1972.3. 東京大学大学院工学系研究科修士課程修了1995.4. 東京大学大学院工学系研究科教授2010.4. 原子力安全委員会委員(常勤)久木田 豊 (専門:原子力熱工学)1975.3. 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了1996.10. 名古屋大学大学院工学研究科教授2009.4. 原子力安全委員会委員(常勤)久住 静代 (専門:放射線影響学)1972.3. 広島大学医学部医学科卒業1996.4. 放射線影響協会放射線疫学調査センター審議役2004.4. 原子力安全委員会委員(常勤)小山田 修 (専門:原子炉構造工学)1970.3. 東京大学大学院工学系研究科修士課程修了2007.10. 日本原子力研究開発機構原子力科学研究所所長2009.4. 原子力安全委員会委員(常勤)代谷 誠治 (専門:原子炉物理・原子炉工学)1974.3. 京都大学大学院工学研究科博士課程単位取得退学2003.4. 京都大学原子炉実験所長2010.4. 原子力安全委員会委員(常勤)【原子力安全・保安院】原子力安全・保安院長 寺坂 信昭次長 平岡 英治審議官(原子力安全担当、核燃料サイクル担当) 根井 寿規審議官(渉外担当、実用発電用原子炉担当) 黒木 慎一審議官(原子力安全基盤担当) 中村 幸一郎審議官(産業保安担当) 内藤 伸悟【東京電力】取締役会長 勝俣 恒久取締役社長 清水 正孝取締役副社長 皷 紀男取締役副社長 藤本 孝取締役副社長 山崎 雅男取締役副社長 武井 優取締役副社長 藤原 万喜夫取締役副社長 武藤 栄
2011.03.19
地震学者の島村英紀氏が興味深い指摘をしている。つまり・・・1) 今回のマグニチュード9.0というのは、気象庁が「マグニチュードのものさし」を勝手に変えてしまったから。2) いままで気象庁が採用してきていた「気象庁マグニチュード」だと、いくら大きくても8.3か8.4止まり。それを私たち学者しか使っていない別のマグニチュード、「モーメント・マグニチュード」のスケールで「9.0」として発表した。
2011.03.19
宮城県沖を震源地とする大地震が発生した直後、イギリスのガーディアン紙はひとりの地震学者を取り上げていた。神戸大学都市安全研究センターの石橋克彦教授である。東芝で原子炉格納容器を設計していた後藤政志氏も語っているように、地震は原発の安全性に直結する問題であり、その想定規模は設計するうえで重要な意味を持つ。その想定が根本的に間違っていると石橋教授は警告してきたのである。 原発設計者も指摘しているように、想定していた最大規模の地震はマグニチュード6.5にすぎなかった。活断層がなければ、直下でマグニチュード7級の地震は起きないと通産省(現在の経産省)は主張していたのである。 これに対し、全ての活断層が判明しているわけではないとしたうえで、地下に大地震の発生源があっても活断層ができないこともあると石橋教授は主張していた。特に同教授が懸念していたのは静岡県の浜岡原発。マグニチュード8級になると想定されている東海地震の震源断層面の真上に建設されているからだ。 過去を振り返ると、1707年の宝栄地震(マグニチュード8.6)は東海地震、南海地震、東南海地震が連動したと考えられている。1854年12月には安政東海地震(同8.4)と安政南海地震(同8.4)が立て続けに起こっている。しかも翌1855年11月には八丈島のあたりを震源とするマグニチュード6.9の地震もあった。中央構造線の上にある伊方原発など、西日本の原発も危険だと言えるだろう。 現在、世界的規模で原発政策を見直す動きが出ているが、本来なら真っ先に動かなければならない日本は逆。日本経団連の米倉弘昌会長は「原子力行政が曲がり角に来ているとは思っていない」と言い放っている。危機感が全くない。兆円単位のカネが動く原発利権に目がくらんでいるとしか思えない。
2011.03.19
福島第一原発から出た放射能がどのように流れているかを示すシミュレーションをその他の図と一緒にドイツのシュピーゲルが公表しています。すでにインターネット上では広まっている情報ですが、まだ見ていない人のために、お知らせします。
2011.03.18
TwitterやFacebookといった仕組みが携帯電話と同様、支配システムの情報操作を揺るがしているのだが、支配層もこうした新しい仕組みを利用しはじめている。エジプトではインターネットや携帯電話を監視するためにNarusが開発したシステムを使っていた。 ちなみに、この会社は1997年にイスラエルで創設され、現在はアメリカのカリフォルニア州を拠点にしている。同社の追跡装置を使えば、GPSを搭載した携帯電話の使用者の場合、その個人がどこにいるかを特定することも可能だ。 また、アメリカ軍はTwitterやFacebookを操り、親米情報を広めるためのソフトを開発中。架空の人格を作り上げて情報を発信、全体の論調を自分たちに都合の良い方向へ導こうというわけだ。
2011.03.18
コントロールしながら福島第一原発の事故を解決できる段階ではなくなった。欧州委員会のエネルギー担当委員、ギュンター・エッティンガーも言っているように、この原発はコントロール不能な状態である。だからこそヘリコプターから水をまくとか、地上から放水するという「死に物狂い」の手段に訴えるしかないわけだろう。チェルノブイリ原発のときと同じように、封印するしかなさそうだ。 ところが、東電の幹部や日本経団連の米倉弘昌会長は危機的な状況にあると認識してないらしく、この期におよんでも算盤勘定に忙しいようだ。原発事故の被害よりも、原発利権の維持に気をとられている。IAEA(国際原子力機関)の天野之弥事務局長でさえ、日本政府の姿勢に不満を持っているようだ。東京に連絡要員を常駐させて独自に放射能を測定するのも、そうした不満があるからだろう。 なお、原子力資料情報室は本日、「福島原発に関する原子力資料情報室記者発表」(20:00~20:15)と「福島原発に関する記者レクチャー」(20:15~22:00)を実施するという。出席者は後藤政志氏(元東芝原子力設計技術者)と田中三彦氏(サイエンスライター)。
2011.03.18
北海道新聞によると、日本経団連の米倉弘昌会長は16日、福島第一原発の事故について「千年に1度の津波に耐えているのは素晴らしいこと」だとしたうえで、「原子力行政が曲がり角に来ているとは思っていない」と発言したという。 先ず事実認識が決定的に間違っている。言うまでもなく、福島第一原発は地震と津波に耐えられなかったからこそ、スリーマイル島原発の事故を上回り、チェルノブイリ原発の事故に迫るような大事故を起こしたのである。これまでは、運良く大事故にならなかったにすぎない。 一部の研究者やエンジニアだけでなく、IAEA(国際原子力機関)も日本の原発の安全性に疑問を持っていたことが判明しているが、今回の事故で世界各国の政府が日本政府を信用しなくなっている。財界が原発利権にしがみつこうとしても、そう簡単ではないだろう。いつものようにマスコミを使ったプロパガンダを展開すれば、マスコミの致命傷にもなる。 巨大企業、政治家、官僚、学者、マスコミという原発利権構造の中枢は言うまでもなく巨大企業。そうした企業群の総元締めが日本経団連であり、米倉会長は利権の最高責任者とも言える人物。今回の大事故を反省することなく、利権を維持拡大することのみに関心があるらしい。こんな連中をスポンサーに持ち、服従しているマスコミも哀れだ。
2011.03.18
リビアに対する軍事介入の道が開かれた。国連安全保障理事会は17日、リビア上空への飛行禁止区域設定を盛り込んだ決議案を賛成多数で採択、市民を守るために「あらゆる必要な措置」を講じると表明したのである。賛成国はアメリカ、イギリス、フランス、レバノン、南アフリカ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コロンビア、ポルトガル、ナイジェリア、ガボンの10カ国、中国、ロシア、ブラジル、インド、ドイツの5カ国は棄権した。 リビアがガザ支援船を出した影響があるのかどうかは不明だが、早い段階からネオコン(アメリカの親イスラエル派)のジョン・マケイン米下院議員やジョセフ・リーバーマン米上院議員は、リビアの反政府勢力に武器を供与し、飛行禁止空域を作れとアメリカ政府に要求していた。 サウジアラビアを通じて武器をリビアの反政府派に提供する計画をアメリカ政府は描いているとインディペンデント紙は伝えているものの、バラク・オバマ大統領やロバート・ゲーツ国防長官は直接的な軍事介入に消極的だった。結局、ネオコンに押し切られたようだ。 ムアンマル・アルカダフィ政府への武装闘争をリードしてきた人々は状況が悪化してから欧米の支援を模索していたようだが、こうした選択は一般庶民の離反を招きかねない。そうした意味で、イギリスが特殊部隊SASと情報機関MI6のメンバーを潜入させた事実が発覚した意味は小さくないだろう。 アメリカ政府は「アラブ諸国」の参加なしに軍事介入しないとしているようだが、すでにサウジアラビアは関与している。しかも、ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、エジプト軍はリビアの反政府派に武器を提供し始めている。当然、アメリカ政府が承認しているはずだ。 このまま軍事介入に進んだ場合、問題はリビアにとどまらず、エジプトとサウジアラビアへ波及する。地中海の航行も安全とは言えなくなる。アルカダフィが好きか嫌いかは別にして、アメリカやイギリスがイスラム国へ軍事介入することへの反発は強いはずで、エジプトの情勢を流動化させることになりかねない。リビアの反政府派にはいくつかの勢力が参加しているわけで、たとえ現体制を倒したとしても、新たな体制がどうなるかは流動的だ。 また、サウジアラビアは自国だけでなくバーレンにおける民主化要求行動を軍事的に鎮圧しようとしているわけで、リビアへの攻撃が「人道的な理由」に基づくものだとするならば、サウジアラビアに対しても何らかのアクションを起こさなければならなくなる。サウジアラビアの民主化運動鎮圧を黙認するならば、リビア攻撃の口実も崩壊してしまう。
2011.03.18
福島第一原発はコントロール不能になったと欧州委員会のエネルギー担当委員、ギュンター・エッティンガーはEU議会で語っているようだが、そうした認識は世界的に広まっている。アメリカは自国民に対して原発から50マイル(約80キロメートル)以上離れるように勧告しているが、その前にフランスは東京以北の地域から避難するようにとしていた。イタリアやオーストラリアも同じような勧告を出しているようだが、そこにイギリスも加わったという。日本の政府やマスコミは事実を隠しているが、隠しきれなくなっている。
2011.03.17
アメリカにも石原慎太郎のような人間がいた。そのひとりがテレビ司会者のグレン・ベック。今回、東北から関東にかけての地域を襲った地震と津波を「神の御業」だと言い放っている。ベックはいわゆる「草の根保守主義」、その実態は巨大資本の別働隊にすぎないティー・パーティーと深い関係にある。地震をジョークにしたコメディアンのギルバート・ゴットフリードはAflacとの契約を解除されたようだ。
2011.03.16
2008年の時点でIAEA(国際原子力機関)が日本の原発に耐震性で問題があると指摘していた。WikiLeaksが公表した文書の中にそうした記述があると、イギリスのテレグラフ紙は報じている。その文書には、日本政府がそうした指摘を無視してきた事実にも触れている。 日本では耐震基準を35年間で3回しか改定していないとIAEAは批判、実際の地震は原発を設計する際の想定を上回っているとも指摘している。さらに、裁判所の原発閉鎖命令(おそらく2006年3月に金沢地裁が出した志賀原発2号機の運転差し止め命令)に日本政府が反対した事実も報告されているという。また、別の文書には、河野太郎衆院議員が日本の原子力行政を批判している内容を紹介している。
2011.03.16
福島第一原発の事故を小さく見せようと政府、東京電力、大手マスコミは必死に情報操作しているが、世界的にはその深刻度を認識している。そうした中、日本では原発利権を維持しようとする動きが活発化している。石原慎太郎東京都知事は「この津波をうまく利用して我欲を1回洗い落とす必要があると」と発言したようだが、知事自身が我欲の固まりなのであり、先ず自分が我欲を捨てるべきだ。 15日には与謝野馨経済財政相が「日本経済を支えるために原子力を利用するのは避けて通れない」と語るなど原発政策への発言も聞こえてくるようになった。東京電力や東北電力が実施している「計画停電」にもそうした要素がないとは言えない。 言うまでもなく、原発は核兵器と深く結びついている。軍や情報機関の中にはソ連への核攻撃を計画していた(詳しくは拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を参照)のだが、そうした一方、原子力をビジネスと考える人たちもいた。軍需産業だ。原子力の「平和利用」の裏で核兵器の世界展開をアメリカが実行していた。この両者が結びつくことの危険性を警告したのがドワイト・アイゼンハワー大統領である。 しかし、1950年代半ばまで、反核感情を持つ日本人は多かった。1945年8月に広島と長崎に原爆を投下されたことが大きいことは言うまでもない。アメリカの水爆実験で第五福竜丸が被曝した1954年3月にはそうした感情がさらに高まった。 こうした世論を「親核」へ転換させるために動いたのが読売新聞/日本テレビを経営していた元内務官僚の正力松太郎と彼の懐刀と言われた日本テレビ重役の柴田秀利。このふたりが接触していた相手が、「ダニエル・ワトソン」なる人物である。アメリカの心理戦に加わっていたとされているので、おそらくCIAのオフィサーだ。ワトソンと正力/柴田をつないだのはサンデー・タイムズの記者だという。おそらく、この記者はMI6の人間だろう。 このチームは原爆反対を潰すため、原子力の平和利用を大々的に歌い上げ、希望を与えて日本人の反核感情を変えようとした。そして1年余りで世論誘導に成功、1957年には岸信介首相が「自衛のための核武装は合憲」と発言するに至る。この年の11月には日本原子力発電を設立、12月には東海村を発電所敷地候補地に決定、60年1月に着工し、65年5月には初臨界に達した。 今問題になっている福島第一原発の場合、福島県が東京電力に対して原発誘致の敷地を提供すると表明したのが1960年11月、67年9月には1号機を着工、70年11月には試運転を行い、翌年の3月には営業運転を始めている。 しかし、1979年3月にアメリカのスリーマイル島原発で事故が発生すると、原発に反対する声が高まった。事故前の放射能漏れや事故の実態は隠されたものの、アメリカでの原発新設は途絶えることになる。 そうした流れを変えようとしたのがジョージ・W・ブッシュ政権。2001年5月に国家エネルギー政策を発表し、アメリカは原発復活へ向けて動きを本格化させた。2005年8月にはエネルギー政策法を成立させて原子力を重要な柱のひとつに位置づけ、新たに建設される原発に対する融資保証や税の控除をするだけでなく、投資を保護するため、何らかのトラブルによって生じるコストを政府が負担するということも決められた。こうした原発推進政策をバラク・オバマ政権も引き継いでいる。 ブッシュ政権は京都議定書を拒否するなど「地球温暖化」を否定する立場であり、オバマ政権は逆なのだが、どちらの立場でも「原発推進」という点では一致しているわけだ。 地球温暖化を攻撃している実行部隊の責任者とも言える大富豪、コーク兄弟は環境規制そのものを敵視、米ウィスコンシン州では労働者の基本的な権利を剥奪する政策を知事に実行させようとしている。事故を考えなくても、燃料の製造から核廃棄物の処理まで原発は究極の環境破壊システムであり、勿論、大量の二酸化炭素を排出する。 こうしたシステムを利権とする大企業、政治家、官僚、学者、マスコミは今後、必死に巻き返しを図ろうとするだろうが、世界的にみると原発離れは加速しそうだ。現段階では福島第一原発の事故がどうなるか不明だが、運良く最悪の事態は避けられたとしても、原発を使い続けるかぎり、いつか最悪の事態は訪れる。
2011.03.16
民主化を求める声が高まっているバーレーンへ、サウジアラビアを中心とする1000名規模の部隊が送り込まれた。アメリカのロバート・ゲーツ国防長官がバーレーンを訪問した直後の「軍事介入」であり、アメリカ政府の許可を得ている可能性が高い。湾岸の親米/親イスラエルの独裁産油国が揺らぎ始めている。
2011.03.15
前日に続き、14日にも日本外国特派員協会で後藤政志(東芝の元原子炉格納容器設計者)の記者会見が開かれた。福島第1原発3号機が主なテーマで、元エンジニアの立場から現状を分析している。日本政府、原子力安全・保安院、東京電力の発表を各国の特派員は信用していないようだ。 言うまでもなく、原発利権には大企業、官僚、政治家、学者、マスコミ、そしておそらく広域暴力団が群がり、強大なネットワークを形成している。1979年のスリーマイル島原発の事故では事実が隠され、重要な証人たちは中傷され、社会的に抹殺されてしまった。福島原発のケースでも同じことが行われつつあり、「安全宣伝」を有力マスコミは展開している。 しかし、世界的に見ると原発に利権を持つ勢力は今回の事故で大きなダメージを受けている。原発建設を再開しようとしていたドイツでは特に影響が大きいようだ。 放射性廃棄物の処理は技術的に解決されたとは言い難く、その管理には莫大な資金が必要になる。ある意味、大きな利権なわけだが、放射能汚染の恐れだけでなく、金銭的にも国民にとって思い負担になる。二酸化炭素を大量に放出するということでもある。さらに軍事的なターゲットになるという危険性も無視できない。
2011.03.14
中東バーレーンで民主化を求める声が高まり、「改革」だけでなく王制の打倒を唱える人たちも出てきた。バーレーンはアメリダ第5艦隊の拠点であり、中東における金融システムの中心的な存在だが、13日にはその金融センターに数千人のデモ隊が押し寄せて警察隊や武器を手にした王室派グループと衝突する事態になっている。2月の下旬には10万人が抗議活動に参加していることを考えると、王制が安泰だとは言えない。こうした状況を懸念したサウジアラビアは軍事介入の準備を進めている。 その一方、リビアでは抗議行動が武装闘争に移行し、ムアンマル・アルカダフィ政権が武力で反政府派を圧倒しつつある。話し合いのできる状況ではないようだが、イラクやアフガニスタン/パキスタンでの泥沼化した戦闘に加え、サウジアラビアやバーレーンでも軍事的な緊張が高まっていることを考えると、国連やヨーロッパ諸国が相当の負担を引き受けないかぎり、アメリカ政府としても簡単にリビアへ軍事介入(飛行禁止空域の設定)するわけにはいかないだろう。
2011.03.14
14日19時30分から原子力資料情報室が日本外国特派員協会で記者会見。後藤政志(東芝の元原子炉格納容器設計者)も出席を予定。
2011.03.14
日本外国特派員協会が主催した福島原発に関する後藤政志(東芝の元原子炉格納容器設計者)の記者会見(録画)がアップされている。「大手マスコミの報道」ではわからない話を聞くことができる。
2011.03.13
1980年代に「第2関東大震災」が話題になったことがある。アメリカでもこうした事態が生じたときの対応を考えていたようだ。つまり、こうした「ショック」を利用し、自分たちに都合の良い体制を日本に築くということ。1923年の関東大震災を利用してアメリカの金融資本(JPモルガン)は日本を支配するようになり、庶民の貧困化が急速に進んだ。 今回の巨大地震でも、こうした日米支配層の動きを監視する必要もあるだろう。
2011.03.13
中東/北アフリカで民衆蜂起を鎮圧するための暴力がエスカレートしている。イエメンでは治安当局は「催涙ガス」と称して「神経ガス」を使った可能性が高く、サウジアラビアでは抗議活動を禁止していたが、そうした警告を無視した数百名のデモ隊に対して発砲し、数万人のデモが行われているバーレーンでは警察隊と衝突し、ゴム弾や催涙ガスで多くの負傷者が出ているほか、リーダー格の人々が死の脅迫を受けているようだ。 その一方、リビアではムアンマル・アルカダフィ政権が反撃中で、反政府派は押されている。南米ベネズエラのウーゴ・チャベス大統領が話し合いでの解決を呼びかけた頃から状況が大きく変化したようだ。 そうした中、アメリカのネオコン(親イスラエル派)やヨーロッパの一部は政府側の航空機による攻撃をやめさせるためとして飛行禁止空域を設定すべきだと主張しているのだが、こうした空域の設定は制空権を握るということを意味し、軍事介入への第一歩になることは間違いない。アラブ諸国は空域の設定に前向きのようだが、アフリカ諸国は反対している。 イラン・コントラ事件にしろ、ロッカビーの航空機爆破事件にしろ、リビア政府はアメリカやヨーロッパの暗部に関する情報を握っている可能性が高い。イラクのサダム・フセイン政権と同じだ。欧米やイスラエルは口封じする必要を感じているかもしれない。
2011.03.13
福島原発が破滅的な状況になっているが、そうした状況の中で作業している人たちがいる。通常の作業でも大量の被曝は避けられないわけで、命を削りながらの作業になっているのだろうと思うと気が重くなる。 30年以上前、ジャーナリストの堀江邦夫は自らが労働者として原子力発電所で働いた経験に基づき、『原発ジプシー』という本を書いている。被曝の問題は言うまでもなく、1万5000円の日当から9500円がピンハネされていたともいう。とにかく劣悪な労働条件で働かされていたわけである。アメリカの原発メーカー、ゼネラル・エレクトリックが日本の法律を無視する形で労働者を送り込んでいたが、彼らの多くは貧困街の出身だったという。樋口健二や藤田祐幸などもこの問題を告発し続けている。 その後、日本では労働条件を劣悪化させる政策を推進、今では労働者の3分の1が非正規という不安定で低賃金の仕事をせざるをえない状態になっている。いわゆるホームレスの人々は急速に増えてきた。原発産業はそうした人々に危険な仕事をさせているとも樋口や藤田は批判している。 こうした原子力産業の実態を「権威」や「有力メディア」が語ることはほとんどない。そうした隠蔽体質が今回の福島原発における事故でも露骨に現れている。大企業だけでなく、官僚、政治家、学者そしてマスコミも原発利権に群がり、逃げられなくなっている。
2011.03.13
福島第1原発1号機の原子炉格納容器内から蒸気を放出した。格納容器の爆発による放射性物質の「大量放出」を防ぐため、容器の弁を開けて「微量放出」したということ。内部の圧力を低下させるための緊急措置であり、重大な事態に立ち至ったということだが、放射性物質は「微量」でも問題である。 原子力安全・保安院も「スリーマイル島原発事故と同類の事故が起きている」と認めざるをえなくなっているようだが、そのスリーマイル島原発事故も実態は隠されたまま、現在に至っている。福島第1原発の放射性物質放出が環境に影響を与えないということは考えにくい。 自然化に存在しない物質は人体にも大きな影響を与える。一般に「環境ホルモン」と呼ばれる物質についても、世間で話題になるはるか前、遅くとも1976年には「測定限度ぎりぎり、おそらく測定不能なほど微量でも生殖能力に致命的な打撃を与える化学物質が次々と見つかっている」という話を聞いた記憶がある。放射性物質についても同じことが言えるだろう。 その1号機で爆発音が聞こえ、約10分後に白い煙のようなものを目撃したという話が伝わっている。原子力は秘密のベールに覆われているので、何が起こっているのかは不明なのだが、メルトダウンが始まっている可能性があり、容器内の圧力が低下したからといって危機を脱したとは言えないようだ。きわめて深刻な事態になっている可能性が出てきた。
2011.03.12
福島第1、第2原発が危険な状態になっている。とりあえずコントロールしていると言われているが、綱渡りに近い。言うまでもなく、停電でポンプが動かなくなるということは深刻な事態なわけで、アメリカを含め多くの国がメルトダウンを懸念している。そうした認識のもとで在日アメリカ軍は冷却材を輸送したのだろう。外国のメディアはスリーマイル島原発やチェルノブイリ原発を持ち出している。原子炉格納容器内から蒸気を放出するという事態は、スリーマイル島原発事故なみだとする見解もあるようだ。原発に慎重な姿勢を見せていた佐藤栄佐久福島県知事が「でっち上げ」と思える事件で排除されたが、こうした推進してきた原子力行政のひとつの結果が今、目の前で展開されている。
2011.03.12
権力者のアキレス腱が「情報」にあることを中東/北アフリカで広がっている抗議行動が証明している。 まず、チュニジアで人々が立ち上がる切っ掛けは昨年12月7日にWikiLeaksが公表した文書だと考えられている。そこにはジン・アビディン・ベンアリ大統領を中心とする支配層の腐敗が書かれていた。そして始まった民衆蜂起の波はエジプトに押し寄せ、ホスニ・ムバラク大統領を排除するに至ったわけである。 勿論、ムバラクや彼の側近たちが消えても、支配体制に大きな変化はない。今のところ「ムバラクなきムバラク体制」がエジプトを支配しているのだが、その仕組みを揺るがしかねない事態が生じている。 3月4日から5日にかけて約2500名のエジプト市民がカイロの治安機関ビルから機密文書を持ち去り、アレキサンドリアでも1000名以上の民衆が治安機関の建物へ入り込み、同じように文書を外部へ運び出してしまい、インターネット上で公開され始めた。その中にはエジプト治安機関による「偽装テロ」を示すものも含まれているとされている。勿論、その文書が本物かどうかは不明なのだが、内容が内容だけに、エジプトの今後に影響しそうだ。 その一例が2005年7月23日のエジプト革命記念日に引き起こされた爆破事件。紅海に面したシナイ半島のリゾート地、シャーム・エルシェイクにあるフセイン・サレムの施設が狙われて88名が死亡、200名以上が負傷したと言われている。実行声明を出した「アブドゥラ・アザム旅団」はアル・カイダとつながっていると主張していた。ちなみに、サレムはEMG(東地中海ガス社)の大株主で、そのパートナーはイスラエル人のヨセフ・マイマン。 ところが、今回公表された2005年6月7日付けの文書によると、計画したのはエジプト内相だったバビブ・エルアドリーと大統領の息子であるガマル・ムバラクで、実行グループの責任者はモハメド・ハシェムなる人物だったという。 EMGはイスラエルへ天然ガスを輸出する契約を成立させたのだが、その取り分をマイマンに減らされたことにガマルが怒って報復したという話が伝わっている。今年1月にアレキサンドリアにあるコプト教の教会近くで起こった爆破事件もエジプト治安当局が実行した疑いが強いという。 現在、インターネット上を飛び交っている話では、エルアドリー内相は2004年、偽装テロ活動を目的とする部隊を創設、治安機関の幹部22名が指揮することになったとされている。第2次世界大戦が終わって間もない1948年にアメリカはOPCという破壊工作機関を創設(その前から工作自体は実行していたが)、1960年代から1980年頃にかけて西ヨーロッパ(特にイタリア)で「テロ活動」を繰り返していた。エジプトで似た組織が作られても不思議ではない。
2011.03.09
リビアの内乱がどのような幕引きになるのか、混沌としている。政府側の航空機を使った反撃で反政府側に一時の勢いがなくなったことに加え、イギリスやアメリカが介入を画策していることも混乱の一因になっている。 「人道」を理由にした軍事介入も簡単ではない。何しろ、ユーゴスラビア、アフガニスタン、そしてイラクへ軍事介入する際にアメリカは「人道」も理由にしていたが、それは嘘だったことが明らかになっている。軍事介入に賛成であろうと反対であろうと、アメリカが人道的な立場から介入すると思う人は少ないだろう。ちなみに、飛行禁止空域の設定とは制空権の確保にほかならず、戦闘行為になる。 ところで、3月3日にイギリス人、つまり6名のSAS(特殊部隊)隊員と2名のMI6(対外情報機関)メンバーが拘束された状況が少しずつはっきりしてきた。ちなみに、この集団が「外交団」でないことは早い段階で判明している。 ガーディアン紙によると、3日の午前3時ころ、アルカハドラ農場の近くにヘリコプターが着陸した音に農場の警備員が気づいている。そのヘリコプターに8名のイギリス人が乗っていたのだが、彼らを迎えに行ったのが農場で管理職を務めていた「トム」という人物。MI6の人間だと推測されている。そして警備員に拘束され、反政府派のリーダーによって8名は解放されたわけである。 その裏で何が画策されていたのかは不明だが、反政府派の指導者が外国とつながっていると疑われかねない状況になっているとは言える。イギリスの外相は改めて「外交団」を送ると語っているようだが、こうした発言はリビア政府にとって有利に働く可能性が高い。ベネズエラが提案した話し合いによる解決を拒否しているわけで、アメリカなりイギリスなりと手を組んで政府側と戦おうという姿勢が明確になると、多くのリビア人は離反するだろう。アメリカやイギリスの動きはリビア情勢を複雑にしている。
2011.03.08
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