椿荘日記

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けむり男と落ちてきたお月様~3


けむり男と落ちてきたお月様~4


その6


December 21, 2003
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カテゴリ: カテゴリ未分類
愈々クリスマス・デイが間近となり、きっと素敵なパーティのご予定や、既に楽しい一時を過ごされた方も多いことと思います。

楽しみごとの多いこの季節で、マリもご多分に漏れず、十二月の半ばを過ぎた辺りから、お約束やお誘いが多々ありまして、勿論体調を考え考えですけれど、それこそ週末と土曜日曜のお休みは、ほぼ漏れなく予定が入っており、先達ての金曜日は夫の勤務先の方々と青山にあるライブハウスで賑やかに過ごし、土曜日は息子を連れての、茅ヶ崎のお仲間との年末の会合と飲み会、そして日曜日にはクリスマス・パーティがお昼間と夕方からと、二つもありまして(笑)、この日は文字通り「はしご」をして参りました。実はその楽しいばかりの筈の「パーティ」で、とても困ったことが起きたのです。

お昼の部は、茅ヶ崎の議員氏を囲む聊か政治色の強い会で、その様な会は何時もですと少々引け腰になるのですけれど、随分とお世話になっていることもあり今回は出席する事に致しまして、少し遅れてマリの日本画の先生と共に伺いますと、既にたくさんの支援者が集まっており、その中にはマリと先生が親しくしている方々のお顔が、ちらほらと見えました。まだ、さる国会議員の方のお話しの最中でしたので、会費を払った後、目だけで挨拶をし、空いている席に座りソフトドリンクを手に、静かに第二部を待ちます。
第二部は議員氏の支援者による、音楽や舞踊などのパフォーマンスが主で、マリの知人でプロフェッショナルとしてヴォーカルのお仕事をしている女性も出ますので、今度はソフトドリンクを麦酒に変えて、他の方達の演目を楽しみながら、彼女の出番を待ちます。

サンドウイッチや鳥の唐揚げ、ソーセージなどの軽食が、各クロスを敷いた丸いテーブルに並べられ、席を立って歓談する人や、夫々の演技に歓声を上げるなど、第一部とは違いぐっと砕けた雰囲気となり、早くも数人の紳士のお顔が赤くなっているのがわかります。マリも先生と共に演奏や演技を楽しみながら、親しい方々との歓談を楽しんでおりますと、不意に後ろからマリの両肩に触れる手を感じ慌てて振り返りますと、六十年配の白髪の紳士で、確かに見知った顔ではありますが、すぐ様名前も出ず、やっと以前一緒に議員氏の指揮の元、市民活動をした方と思い出しましたけれど、かといって特に親しいわけでもなく、幾らか聞し召してお出でなのか、何事かを話しかけながら嬉しそう(!?)にしているその老紳士を振りほどくのも忘れ、しばし呆然としておりました所、聊か強い語調で「こういうところで、そんなことは・・」と先生が助け舟を出して下さいまして、やっと難を逃れました。その後も先生は「非常識極まりない」と憤慨しておりまして、きっと困惑したまま立ち往生のマリの代わりに怒って下さったのでしょう。その後は何事も起きず、知人の演奏も楽しみ、次のパーティ会場に鉄道で移動致しました。

先生はこのパーティでは夫と共に演奏致しますので、会場時間よりも一時間程早い到着で、同じく夫々のバンドのリハーサルの為に早めに会場に到着していた、友人知人とご無沙汰の挨拶を交わし、近況を尋ね合うなど、会場の時刻までゆったりと過ごしました。先生と夫のバンド(昔懐かしい「セルジオ・メンデス・ブラジル66」のコピーバンドです)のリハーサルも無事終わり(やはり先生のヴォーカル振りが評判だったようです)、定刻より幾らか遅れて開場、早速一番バーコーナーに近い(笑)丸テーブルに陣取りまして、早速遣って来た、親しい友人達と麦酒で乾杯です。
気が付くと広い会場はお客様でごった返して、同じテーブル正面にはマリの知らない、若い日本女性と外国人男性のカップルも立っておりました。

久し振りに会った気の措けない友人達と、他愛なくも楽しく歓談しておりますと、先生がバンドの打ち合わせの為暫時テーブルを離れ、他の友人達も飲み物やお料理を取りに席を外しますと、いつの間にか一人になった件の外国人男性が、マリの傍らに立っております。実は先程から、どうやらこちらをちらりちらりと窺っていたようなのですけれど、マリは気が付かない振りをして、知らん顔を決め込んでいたのですが、誰もいなくなったのを見計らったのか、ライターを貸してくれと言うのです。マリは仕方なく黙ってライターを差し出し、正面舞台の演奏に集中しようと致しますと、流暢な日本語であれこれ話しかけて参りまして、マリはいい加減逃げたかったのですけれど、誰かしらの友人知人では困ると思い、特に邪険にはしませんでした。が、終にある種の言動と要求をマリに示し始め、流石のマリも意を決して、既婚であることと夫がそこの舞台袖にいると言うことを告げ、きっぱりとお断りしたのですが、こちらの言っていることが分かっているにも拘らず、呆れたことに傍を離れようとしないのですっかり気持ちが悪くなり、飲みものを取りに行く振りをして、その場を離れますと、今度は遠巻きにして付いて来るのです。咄嗟にたまたま傍にいた親しい友人のご主人に事情を話し、傍にいて頂きましたら、すっとどこかに行ってしまいましたので、マリはほっとしてテーブルに戻りました。

打ち合わせを終え戻ってきた先生に先程のことをお話致しますと、随分心配され、念の為にずっと一緒にいて下さることに。少し安心し気を取り直して、各バンドの演奏に聞き入っておりますと、いつの間にか件の外国人男性が、また近寄って来ていたのに気が付き、マリは思わず逃げ出してしまいました。先生が睨み付けてくれたらしいのですが、その時だけはふっとどこかに行ってしまい、また戻ってくるのです。


待ちに待った夫達のバンドの演奏が始まり、平静な、楽しんでいる風を装いながら(やはり付近をうろついておりました)、最後の曲で盛り上がる他の女性達と、マリも一緒に舞台に上がり、夫に自分の置かれている状況を手短に告げ、兎に角大急ぎで逃れるように会場を、演奏を終えたばかりの先生と、もう一人の青年(先生のパーカッションの愛弟子です)と共に飛び出しました。会場付近の繁華街らしいごちゃごちゃした町並みさえ厭わしく、吐き気に似た不快感と憤激の思いで、酔いも手伝い、優しい先生と大人しいY青年を相手に、滅多に無いほど激昂した調子で怒りの感情を露にし続け、お終いにはすっかり悲しくなって、涙さえ込み上げて来てしまいました。
折角楽しみにしていた友人達とのパーティはすっかり台無しとなり、疲れ果て、兎に角茅ヶ崎に戻ろうと、先生に伴われ漸く「女王様のカフェ」にたどり着いた時はすっかり具合が悪くなってしまい、ストレスの為か心臓も変調を訴え、心配顔のマダムに休憩場所を拵えて貰い、いつものお仲間に囲まれた時、本当にやっとほっと出来ました。

「頭がおかしいんだよ、あの男は。嫌だって言っても聞かなかったんでしょう?」と何時もなら穏やかで滅多に怒ることのない先生が怒りを隠さず、吐き捨てるように仰います。「それに女性に対して平気で失礼な行動を取るあいつも同じだよ。○○さん(マリの本名です)が優しくて、周りに遠慮して、我慢していることに付け入るなんて、本当に最低だな。女性を尊敬できない奴は本当に許せないよ。」先生の尤もな怒りにマリも全く同感でした。「今度何かあったら、もう我慢しなくていいから。僕も言ってあげるし、それで雰囲気がこわれても仕方が無いよ。気になんてしなくていい」との有り難いお言葉に、少しは気持ちの収まったマリです。先生は弟子であるマリを日頃からとても大切に思って下さり、常に敬意を表しつつ、丁重に扱って下さいますので、その様な無理無体や無遠慮な態度、暴挙が心底許せないのでしょう。
夫もマリが置かれていた状況を、立ち去った後にやっと分かったらしく、随分心配していたそうなのですけれど、やはり同様のことを言っておりまして、これからもし似たようなことがありましても、幾分か安心です。

とは言え、困惑と不快感と恐怖は未だに拭えず、取り合えずその後に控えていた大掛かりなパーティやイベントは参加を取り止めとし、この年末は家族や極親しい友人だけと過ごすことに致しました。何れにせよこんなに不愉快な目に会ったことは殆ど無く、ではやはり可笑しな人間が増えているからと思い勝ちですけれど、考え方の可笑しい人間など昔からいるわけですし、特に女性に失礼な考え方を相変わらず持ち続けている男性は、心得違いな考えを是正することなく、其の侭お年をとることも在り得るわけですものね。マリは未だ怒り心頭ですので、次は容赦は致しません。
婦人らしい配慮や優しい態度が逆効果に成り得るのだと、不愉快ながら思い知らされたマリは、やはり冷たく映ろうとも、必要な時には毅然とした態度で断固として臨むことが不可欠と納得致しました。
ともあれ、礼儀正しく、控えめな紳士方には常と変わらず好意的に接するつもりですけれど、そうでない方にはそれなりに対応致しますので、どうぞお覚悟を(笑)。






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Last updated  December 23, 2003 11:12:26 PM
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