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「富士山噴火」(高嶋哲夫、集英社文庫)を読む。現代日本において富士山の大噴火が起こったらどうなるか? 富士山に最も近い自治体の一つである御殿場市と、降灰が予想される首都・東京を舞台に、何が起きるのかを描いた災害パニックストーリー。筆者はこれまで首都直下巨大地震や南海トラフ地震津波を「起こしてきた」人物だけに、今回もリアリティという言葉だけでは収まらない迫真性を持って、現代の富士山噴火を描き出してゆく。映画「ボルケーノ」に似ているシーンもあるが、あれの比ではない圧倒的なストーリー。それとともに注目したいのが登場人物たち。主人公は、この噴火の3年前の南海トラフ大地震で妻と息子を救えなかった元自衛隊員の新居見。現在は御殿場市の老人ホーム勤務。その娘の奈美恵は東京で医師をしているが、3年前に父に救ってもらえなかったことから心に葛藤を抱いている(こういう自分の親が嫌いな人物に感情移入するのは私の悪い癖だ)。そして、車椅子の若手女性火山学者・秋山有紀。彼女の情報は気象庁より早くて正確だが、若さゆえにひとりよがりで暴走気味。まるで瀬戸口の若かりしころを彷彿とさせる。他にも、御殿場市長や看護師、自衛隊員など、それぞれが自分の持ち場で全力で頑張っている姿はどれも印象的だ。以下、気に入ったところの引用。当面必要ないと自らを誤魔化し、先送りする。日本人特有の危機管理意識とでも言うべきか。「自衛官としての義務を果たしただけです」父の言葉が激しく胸を突いた。「じゃ、親として、夫としての義務は―」「気象庁に頼りすぎるな。彼らにも予知できないことはある。地震、津波がそうだった。火山だって似たようなもんだ」「最後まで話を聞かせろよ。あの女性火山学者の言うこと、気象庁や大学教授より当たってるらしいぞ。ネットで大評判だ。だから、マスコミが注目し始めたんだ」「でもなんで途中でスタジオに変わるんだ。最後までしゃべらせるとまずいことがあるのか。とんでもない被害が出るとか」
2018.11.27
ある女性が電車の中で口紅を塗っていたところ、電車が揺れた拍子に口紅が鼻の穴に刺さってしまった。慌てて引き抜こうとしたら、口紅が根元からポッキリと折れてしまった。もうこれでは、引き抜くこともどうすることもできない。その女性がその後どうなったかは、杳として知れない。信じる信じないは、勿論アナタの自由ですよ。
2018.11.24

今回は「瞳」の話ではなくて、単なる私の妄想話。ちょっと前に出たヤンマガのグラビアの写真を見て思った。写真の彼女は、囚人番号を胸に蛍光ペイントされて収監された女盗賊(峰不二子みたいな)なのではないか、と。あるいは、盗賊でありながら美意識が高い彼女は、ダサいボーダーの囚人服が気に入らなくて看守に向かって服を投げつけたところ、看守の怒りを買ってしまい囚人服を剥がれ、ビキニ姿で収監されているのでは、と。全て単なる妄想だけど。
2018.11.23
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「ミスター・メルセデス(下)」(スティーヴン・キング、文春文庫)を読む。大量殺戮犯「メルセデス・キラー」と元刑事ホッジズの戦いの後半戦。メルセデス・キラーは新たな大量殺戮計画を練る一方、ホッジズも事件の真相に近づきつつあった。迫りくる直接対決の時、果たして結末は?ホッジズに協力するパートナーたちのキャラクタも魅力的。ハーヴァード合格確実と言われる黒人の天才高校生ジェロームと、精神に異常をきたしているもののこちらも頭脳は天才的なホリー。事件が解決できたのもこの2人の力のおかげである。結末まで一気に読ませてしまう疾走感はまるでメルセデスそのもの。読みやすくてしかもミステリとしての完成度も非常に高い。モダン・ホラーの帝王が初めて挑んだミステリとは思えない。しかも、巻末解説によればまだ続篇が2作もあるとのことで、これも楽しみ。それにしてもキングが作風をガラッと変えてこんなモノまで書けてしまうとは…文字通り天才・鬼才以外の何物でもない。あと、これは私の深読みかもしれないが、「デッド・ゾーン」に似てる…?(これ以上は書かないけど)以下、印象的だった箇所の引用。「悲しみに沈む女につけいるチャンスをむざむざと見おくる男だという悪評は防がないと」「人生はOCD―強迫性障害そのものだ」どうせ天国は実在しないし、地獄だって存在しない。平均の半分でも脳味噌があれば、そんなものが実在していないことはわかる。こんないかれた世界しかつくらないとは、超越的な存在なるものはいったいどこまで残酷なのか。「青は忘却の色」ミスター・メルセデス(下)/スティーヴン・キング
2018.11.20
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「ミスター・メルセデス(上)」(スティーヴン・キング、文春文庫)を読む。盗難されたメルセデスが求職者たちの列に突っ込むという大量殺戮事件が発生するが、未解決に終わる。捜査の指揮を執った退職刑事ホッジズのもとに犯人からの挑戦状が届く。ホッジズは再び捜査に乗り出す決意を固める、というミステリ作品。キング作品に特有の序盤の緩慢な立ち上がりがなく、いきなり事件が発生し、読者を作品世界に引き込む。文体も読みやすくスイスイ読めてしまう。ホラー色も全くと言っていいほどなく、これまでのキングの長編とは趣を異にする感じ。でも読んでいて軽快で爽快で面白い。下巻の展開が気になる。他のキング作品との繋がりで言うと、登場するサイトのIDに数字の「19」が含まれていたり、ピエロのペニーワイズそっくりのマスクが出てきたりする。以下、気に入った箇所の引用。売女を文化まで引きずっていくことはできても、売女に考えさせることはできないぞ。好意をいだいていない相手の言葉を、人はあっさりと―あまりにもあっさりと―頭から信じなかったり、払い捨てたりしがちだ。PS.この作品を読み始めた旨をツイッターで呟いたら、誰かから「いいね」がついた。誰だろうと思ってチェックしてみると、何と本作をはじめ多くのキング作品の翻訳を担当している白石朗さんだった!ビックリ&嬉しかった!ミスター・メルセデス (上)/スティーヴン・キング
2018.11.19
「大統領のクリスマスツリー」(鷺沢萠、講談社文庫)を再読。久々に鷺沢作品を読みたくなって、季節的にコレかなと思い、本棚の奥から埃にまみれていたのを取り出して読んでみた。ワシントンで学生時代に出会った治貴と香子。やがて一緒に暮らし始め、二人は夢を次々と実現していく。香子は娘も授かり、絵に描いたような幸せな一家。だが、そんな幸福にも思わぬ綻びが…。読み終わって思い出したのは、高校時代に私が初めて読んだ鷺沢作品である「スタイリッシュ・キッズ」。結末が何となく似ているというのもあるが、登場人物の心理描写などがやっぱり「鷺沢作品」だなぁと思わせられた。以下、いくつか引用。―あとペンタゴンだろ、スミソニアンだろ、アーリントン墓地とか結構気色悪くていいぜ。―バカヤロー、俺はいつだってしたいんだぞ。―月に一度はマイアミに行くことにしてるんです。何週間も「南のほう」に行かないと、あたしの身体は機能を停止するんです。そういえば、本作とは関係ないけど鷺沢さんが「メディア持ち」的な言葉を使ったのって、どの作品だったかなぁ。今はみんなメディア持ちだもんなぁ。
2018.11.14
「虹の歯ブラシ-上木らいち発散-」(早坂吝、講談社文庫)を読む。「上木らいちシリーズ」を読むのは「誰も僕を裁けない」についで2作目。援交女子高生探偵・上木らいちが住むマンションには曜日ごとに通ってくる常連客のために虹の7色の歯ブラシが用意してある。そして、7色の各々をテーマにした7章からなる本作では、各章でエロい難事件が発生、らいちが見事に謎を解いていく。私が好きな「青色」の章の謎解きは緻密かつ科学的で、青がこの話で良かったなどと思ってしまった。話が大きく展開するのは橙の章、そして赤の章では上木らいち自身にスポットがあてられる。らいちはロングウェーブを赤に染めていることから赤はらいちの色である。ところがこの赤の章、一筋縄ではいかない。「らいちはいったい何者なのか?」が語られるのだが、例えて言うなら「エヴァ」や「涼宮ハルヒ」みたいな感じだろうか。更にその先はもっと厄介なことになっており、「頭が痛くなるようなミステリ」が展開される。でも最後の最後には、上木らいちは「発散」することなくひとつに「収束」する。何といっても本作の面白さはらいちという主人公の魅力だろう。いみじくもあるらいちの客が言っている。これだから、らいちのファンはやめられない。と。私も読んでいてらいちを一度抱きたいという思いに駆られたし。それはともかく、「エロミス」はどこか「ホラー」に似ている気がした。どちらも読む人間をかなり選ぶ。しかし、エロやホラーを素材として、人間の本性とか真実とかに迫ろうとする小説家の営みなのではないかと思う。以下、印象的だった箇所の引用。人間、基本的には性欲より食欲が優先されるはずだが、らいちの前では逆転するらしい。「紫は移ろいゆくものの色」よりいや、相手に伝わらない気遣いは、自分の中の整合性を取る作業―すなわち自己満足に過ぎないのかもしれない。藍川にはそういう自分一人で完結しているようなところがあった。独善的、あるいは孤独だった。「藍は世界中のジーンズを染めている色」より「ああ、ヘモグロビンじゃなくてヘモシアニンが含まれているからな」「青は海とマニキュアの色」より
2018.11.13
【下らない話】なので、注意してお読み下さい。いつの頃からか便秘に悩まされるようになった私。その日もヤツは硬かった。その硬さといったら、まるで鋼鉄の塊が体から出てきたような感覚だった。鋼鉄なんかが出てきたら尻が割れてしまうだろうがぁっ、と独り毒づいていて気付いた。「尻は最初から割れている」のだ。だから【下らない話】だと言ったのだ。ほぼ「クレヨンしんちゃん」の次元だよなぁ…。
2018.11.11
「ダーク・タワー 4-1/2 -鍵穴を吹き抜ける風-」(スティーヴン・キング、角川文庫)を読む。実は本書は2回も途中で挫折し、3度目でようやく読了した。ひとつには、角川が最初途中で投げて新潮が完結させたのを、また角川が蒸し返すように出版し、その一環として本作が出たという経緯がある。私の中では「ダーク・タワー」は新潮版で完結なのだ。まぁそれはともかく、読んでみるとやはりこれは「ダーク・タワー」の一部として欠かせない作品だと思った。それは巻末の訳者あとがきによるところも大きい。さて、ストーリーは「ダーク・タワー」を目指す一行がスタークブラストという全てを凍りつかせる嵐に遭遇するところから始まり、その嵐の夜をやり過ごす最中にローランドが語る物語「スキンマン」と、更にその物語中の物語「鍵穴を吹き抜ける風」からなる。「スキンマン」は変身能力を持つ異形の生物にローランドが対峙する物語で、「鍵穴を吹き抜ける風」はスキンマンに父親を殺された少年にローランドが語った冒険譚である。特に印象的なのは後者で、ダーク・ファンタジーの世界観が「ダーク・タワー」ピッタリだし、使いきりの魔法の鍵やドラゴン、ガルーダまで登場してDQっぽいのも気に入った。最後に1か所だけ引用。「運などといった言葉は、心貧しき者が<カ>のかわりに使うのだ、ニューヨークのスザンナ」
2018.11.10
「プラージュ」(誉田哲也、幻冬舎文庫)を読む。「プラージュ(Plage)」とはフランス語で「海辺」という意味。主人公の貴生は仕事も恋愛もうまくいかず、気晴らしに行った店で軽い気持ちで覚せい剤を使用し、逮捕されてしまう。行き場を失った貴生が見つけたのは、「仕切りはカーテンのみ」という一風変わったシェアハウス「プラージュ」だった。ところが、昼はカフェ、夜はバーとなる店を併設したこのプラージュの住民は、どうもみな脛に傷持つ者ばかりのようなのだが…。それと並行して何やら不穏な動きも描かれていく。とあるライターがある殺人事件の真相に迫ろうとしているのであるが…。徐々に明らかになるプラージュの住民の過去とそして今現在起きていること。少しずつ事態は暗雲に飲み込まれていく。前科者の社会復帰という難しい社会問題を描いていながら、最後は颯爽としたさわやかさすら感じさせる作品だと思う。犯罪に手を染めることなど普通の人には縁遠い世界と思うかもしれないが、実はそうではないと感じさせられる。そんなわけで今回は、エンディング部分の一部を引用させてもらおう。何度も繰り返したような夜が、また一つ、過ぎようとしている。同じ夜は一つもないけれど、どの夜も、同じように愛おしい。
2018.11.07
「銀のエンゼル-出会えない5枚目を探して-」(鈴井貴之、幻冬舎文庫)を読む。「水曜どうでしょう」でお馴染みの鈴井さんが監督した映画を自らノベライズした作品。北海道の田舎町でコンビニを経営する一家を主人公に、東京で傷心した娘の帰省を起点にして「家族」を描いた1作。私は自分の家族が嫌いなので、多少ギクシャクしていてもこの一家が少し羨ましくなった。特段変わったことは起きないと言えば起きないのだが、家族って本来「魔法が存在する」場所だと私は思っているからだ。いみじくもこの一家には魔法が存在している。
2018.11.04
「盲目的な恋と友情」(辻村深月、新潮文庫)を読む。音大ではない私大のオーケストラに所属する女子学生や、そこに出入りする人物たちの恋と友情を描いた話。同じ話を2人の別の登場人物の視点で描いた「恋」「友情」の2篇からなる。まず「恋」を読んで思ったのは、周りの誰もが「別れるべき」と助言するような男とも別れることなく寧ろ求め続けてしまうという(女性の)恋への執着心の怖さである。そして結末の意外さと、その怖さもなかなかのものである。そして「友情」のほうは、「自分の唯一の親友」を独占したい女性心理を描いており、それはそれで怖い。そして「恋」で描かれなかった結末に大変驚かされた。辻村というと私は「冷たい校舎の時は止まる」や「スロウハイツの神様」が好きでその印象が強いので、最近作風変わったなと思ったのだが、実は本作はそうではなく、かなりダークでミステリの要素もあり、正直面白かった。まぁ「恋」も「友情」も行き過ぎると「ホラー」だなと思った。以下、気に入ったところの引用。昔から、情緒が薄い、と言われてきた私にとっての、今が思春期なのかもしれない。悪くない気持ちだった。相手の仕事をいつから観ていたとか、作品が好きだとか、そんな、高尚なことは、恋の前には何の価値もないのだ。(以上「恋」より)成績がいい子だけが通う学校では、世界はこんなにも変わって見えるものなのかと驚いた。恋愛が、それほどまでに友達を疎かにしていいことなのだと。その浅はかな信仰がまかりとおる世の中に、ほとんど、嫌悪感を覚えた。(以上「友情」より)好きだからって言うけど、『好き』って気持ちはそんな、何もかもより一番偉いの? それは蘭花ちゃん自身の快楽と欲だよ。(「恋」「友情」より)
2018.11.03
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