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2014.06.22

さらにそのおばあちゃんは一番奥のデスクに座り、背中の後ろはすぐ壁になっていました。そこは非常に狭い場所で、入り組んだスペースでした。おばあちゃんはそこに座っていました。

琴子「……………………。」

琴子ちゃんはその様子を見て「なんだかおかしいな？」とは思いましたが……、相手は取引相手のようですし、めったなことは言えませんでした。それが下っぱ社員と言うものです。そこで琴子ちゃんはひとつ深呼吸をし、姿勢を正してからこう言いました。

琴子「あっ、あのう……、
こんにちは。
わたくし、開数金庫商事から来ました”赤圖　琴子”と申します。」

すると、おばあちゃんは下を向いたまま頭も動かさずにこう言いました。

おばあちゃん「くくくくく……、そうかい、あんたがねぇ？よく来たねえ。」

琴子「あのう……、こちらは森家商事様の事務所で間違いございませんか？」

おばあちゃん「ああ、そうだよ。ここは森家商事の事務所で間違い。
あんたを待っておったんじゃよ。」

琴子「するとあのう……、失礼ですが、そちらは森家商事様の社長様でいらっしゃいますか？」

おばあちゃん「ああ、そうだよ！あたしが森家商事の社長だよ。
ここでずっとアンタを待っておったんじゃよ。もう待ちくたびれてしまった。
ずいぶんと遅かったじゃないか？」

琴子「もうしわけございません！！
途中で変な男にからまれまして……、それと電車が遅れてしまったんです！」

おばあちゃん「”変な男”？」

琴子「あーーーー、それは……、

とってもしつこくて、まるでストーカーみたいな男なんです。」

おばあちゃん「ゴホッ！ゴホッ！ゴホッ！」

琴子「どうされました？風邪ですか？」

おばあちゃん「いや、ゴホッ！ゴホッ！ゴホッ！
そっ、それはもしかして……有限会社銀狼の社員、銀狼　悟とかいう男性じゃ無いかね？」

まあ、よくご存じで！」

このおばあちゃんが相手をズバリと当てたので琴子ちゃんは「このおばあちゃん、さすがに社長だわ」と思いました。

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