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後退する民主主義、拡張の度を強める全体主義・・・世界はどうなるか? 未来を思う団塊の世代は・・・24-2-4 はんぺん 今年は、歴史的にも前例のない規模の「選挙イヤー」だが・・・民主主義は旗色が悪い」(本文)という。 ウクライナ侵略戦争では、侵略者に肩入れして、武器を支援し続ける中国・北朝鮮・イランなどが、独裁国家群として、結束を固めつつあるようだが、ウクライナ側は、アメリカをはじめとしたNATOの軍事支援が、先細り傾向で、先が見通せなくなっているという・・・ 「だが近年、民主主義の退潮は著しく、スウェーデンの調査機関「V-Dem」が昨年発表した「民主主義リポート」は、世界の民主主義のレベルが1986年まで後退し、特にアジアでは78年まで逆戻りしていると指摘した。」という。 世界の現状を正しく理解できない(70年安保闘争の生き残り)は、どうしようもないとしても、世界の民主派やグローバルサウスの多くの国においてさへも、民主主義が、後退を始めている現実は、日本を含めた未来世界に、暗い影を落としていることになる・・・ 最近は、れまでの自分の生き様との関連で・・・よく数十年後の日本や世界の事を考える。僕自身が、より良い未来、明るい未来を信じて、各種の(運動)に関わった。そして、大きな(過ち)も・・・ 皆さんは、どうだろう??? はんぺん―――――――――――――――――――――――正念場の民主主義、日本の熟度は(日曜に想う) 2024-2-4 編集委員・佐藤武嗣 朝日新聞 今年は民主主義が正念場を迎える年になる。世界の50カ国以上で、大統領選や国政選挙が予定され、歴史的にも前例のない規模の「選挙イヤー」となる。 米国やインド、ロシアなど、世界人口の約半数が投票権を握り、結果は国際情勢にも影響するが、民主主義は旗色が悪い、との警鐘が相次ぎ鳴らされている。 米ソ冷戦後の展望を示した政治学者フランシス・フクヤマ氏はかつて、著書「歴史の終わり」で、冷戦で民主主義の優越性が証明され、代替できるイデオロギーは登場しないと論じていた。 だが近年、民主主義の退潮は著しく、スウェーデンの調査機関「V-Dem」が昨年発表した「民主主義リポート」は、世界の民主主義のレベルが1986年まで後退し、特にアジアでは78年まで逆戻りしていると指摘した。 * 民主主義の旗振り役だった米国は社会・政治の分断が激しく、英誌エコノミストはインド同様、「欠陥のある民主主義」に分類。共和党のトランプ前大統領は前回大統領選が不正操作されたと敗北を認めず、支持者が連邦議会を襲撃した。11月の大統領選で再選を目指し、数々の罪で起訴されながら支持は勢いを増す。 民主党のバイデン大統領は、トランプ氏の再選は民主主義への脅威だと警告するが、そのバイデン政権とて、国際会議では「民主主義」を前面に押し出しづらくなっている。 昨年6月、日米中やアジアの防衛・国防相らが集う毎年恒例の「アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)」がシンガポールであり、オースティン米国防長官は演説で「民主主義」という言葉を封印した。同会議に参加した歴代長官演説では初めてのことだ。 取材すると、国防省幹部は「グローバルサウスでは『民主主義』の押しつけを嫌う国も多く、演説から文言を削った」。日本外務省幹部によれば、同じ理由で岸田文雄首相も昨年の国連演説では「民主主義」への言及を避けた。 * 地殻変動は、想像以上に深刻だ。人権侵害や国際法・国連決議違反で批判される中国やロシア、イラン、北朝鮮の権威主義国が欧州や中東で連携を深める。 元国連大使で国連事務総長特別顧問(人間の安全保障担当)の高須幸雄氏は「強権国家には野党への圧迫、市民社会やメディア規制、司法の支配など政権維持のための『教本』があり、互いにまね、他国にも広めている」と見る。 高須氏は、我々は人権の尊重や法の支配など民主主義の原則を掲げ、これを相手に訴えるだけでなく、自ら範を示す必要があると説く。 「一昨年の日本の国家安全保障戦略では国益の柱に『民主主義や法の支配の維持・擁護』を据えた。昨年8月の日米韓共同声明にも『民主主義の促進の連携』が盛り込まれたが、具体的な動きが見られない。まずこれに国内でも取り組む必要がある」 民主主義に選挙は不可欠だが、ロシアなど、既存の権力を追認する形骸化した選挙も多く、選挙だけで民主主義が担保されるわけではない。 民主主義の熟度を測るには、公平・公正な選挙、三権分立はもとより、政権への健全な批判、政治の説明責任、市民の政治参加、報道の自由などが指標となる。低投票率や裏金問題での自民党の対応を見て、民主主義国として胸を張れるか、今の日本が問われていることでもある。 あしき「歴史の始まり」とならぬよう、今年は国内外に目を向け、「民主主義」を考える年にしたい。
2024.02.04
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隠されてきた社会主義の恥部・・・リベラルは、間違えた? 2021-1-4 (はんぺん)慰安婦問題の真実については、ほぼ決着がついている・・・と考える。問題は、それには見て見ぬ振りをして、ウソをつき続けることが出来る人間にある。 悲しいかな、戦争はデマから始まる。メディアや教育により、排外主義的な思想、報復の思想が内外に拡散され、大きなうねりとなる。それは、異見を許さない、全体主義の抑圧体制に繋がっていくのだ。 韓国では時々、少数の(正論)を散見するが、出るクギは叩かれ続けてきた。左翼政権が国を挙げて、反日キャンペーンを展開してきたし、慰安婦像の海外展開をウラから支えてきた。 左翼政権は、500人以上の韓国国民が北朝鮮に拉致されたことが分かっているにも関わらず、その蛮行を糾弾することもせずに、見て見ぬふりをして、「北朝鮮の全体主義」を助けてきた・・・ その北朝鮮では、異論は国家転覆の反革命とみなされ、抹殺の対象になっている・・・・これが、極東の現実で、真実である。 70年安保世代の僕たちは、韓国のファッショ的軍事独裁による蛮行に対して、平和と民主主義の立場から、決して容認できないと考え、韓国民主化支援の署名とかデモをした・・・・ ところが、北朝鮮の共産主義政権の犯罪性は、韓国をはるかに上回る残忍で、非人道的なモノであったことが、隠され続けていたのだ。 北朝鮮の全体主義は、徹底した秘密主義、報道統制で恥部を公にすることは、無かった・・・がゆえに(社会主義幻想)を捨てきれない日本のリベラルたちは、間違った理解を長い間、続けていた・・・ 皆さんは、どう思われるか? (はんぺん) ――――――――――――――――――――――――――――――――――産経抄 2021-12-16 産経新聞ソウルの在韓日本大使館前に最初の慰安婦像が設置されてから、はや10年がたつ。現在の160体のうち韓国国外の像が16体も含まれている。 ▼たとえばドイツ・ベルリン市内の慰安婦像は、日本政府の抗議により一旦は撤去が決まった。それが韓国系市民団体の激しい抗議活動の結果、存続が決まる。地元住民にとってさぞ迷惑な騒動であろう。反日活動家にとってはおかまいなしだ。 ▼外国勢力のロビー活動を国家の危機と受け止めているのが、オーストラリアである。きっかけは、4年前に発覚した野党の議員が中国系実業家から多額の献金を受けていたスキャンダルだった。議員はその見返りに、南シナ海の領有権問題で中国政府を支持する発言をしていた。 ▼そんな事例を思い出すにつけ心配で仕方がない。外国人の投票を認める東京都武蔵野市の住民投票条例案である。「外国人にも地域の課題に意見を表明する権利を認めるべきだ」。松下玲子市長は主張する。とはいえ、そんな「きれいごと」が通用しない現下の国際情勢である。 ▼2017年に中国で施行された国家情報法によれば、在外の自国民にも諜報活動への協力が義務づけられている。条例案が成立して他の自治体にも広がれば、中国が自国民を投票に動員して日本の地方政治を左右しかねない。福井県立大学教授、島田洋一さんが指摘していた。 ▼米海軍は今月はじめ、故イノウエ元上院議員の名を冠したイージス駆逐艦を就役させた。イノウエ氏が第二次大戦中に所属した米陸軍最強の日系人部隊について前に書いた。愛国心を証明した代償に多くの血が流れた。郷に入らば郷に従え。現在暮らしている国のために尽くす。残念ながらそんなお人よしは世界では少数派である。 2021.12.16
2022.01.04
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あのバーミヤンの巨大石仏が、木っ端みじんに爆破されたのは、相当むかしの事だが、鮮明に覚えている。 女性蔑視極まるイスラムの彼らの宗旨には、驚かされるが・・・彼らには、共有すべき共通の価値観(=自由・民主主義・人権)などは、存在しない・・・という事だろう。中国や北朝鮮と、まったく同じだ。 (自由・民主主義・人権・・・)という価値観は、近代先進国の獲得した最大の成果だ・・・と思うが、この現在、地球全体を見渡せば、まがりなりにも(民主主義・・・)を掲げる国家は、むしろ少数派である・・・それが、厳しい現実だ。 科学技術の飛躍的発達にもかかわらず、全体主義を振りかざす独裁国家が、数多く存在し、増え続けている実情は、人間の限界性を示して余りある。 地球文明は、比較的、自由主義的なG7,G20などを中心に(回っている)ように思うのは、実は大いなる錯覚だ。地球上の多くの地域で、これまで多くの人々の生存が、脅かされ続けてきたし、今後も脅かされ続けることが、確実視される中、我々自身の存在の意味が、問われている・・・ 半世紀ほど前、僕の青年時代でもあるが、マルクスレーニン主義は、知性の先端で輝いていたように思えた。明るい未来は、社会主義・共産主義社会の実現の中にある・・・と。 それが、木端微塵に砕け散った・・・・ 社会主義=全体主義が、敗北して、民主主義が勝利したのか? そうは、成らなかった。アメリカの関与政策にもかかわらず、中国は、全体主義の道をまっしぐら・・・ ロシアも、独裁体制を進めている・・・ 1991年の社会主義体制の消滅の後に、人類は、何を提起したのだろうか? 民主主義の退潮と全体主義の膨張が、その結果だとしたら・・・人類に未来は無い。 いつも考えるのは、(あたりまえのことだが)限界性を持つ人間の事。その一因は・・・人間が、動物であることだと思う。知性と感情を持ち合わせながら、肉体的生き物であるがゆえに・・・様々な(失敗)を犯してしまう。 人間が、(神)に昇華できるはずも無く、(生き物)として、あり続けるのだから・・・隆盛もあれば、滅亡もありうる・・・と言うわけだ。 皆さんは、どう思われるか? (はんぺん)―――――――――――――――――――――――――――――――――産経抄 2021-8-17 産経新聞https://www.sankei.com/article/20210817-YZTI5H6D2FOOHNXKWLET4DWHYE/ アフガンにタリバン政権世界中から思いとどまるよう説得の声が届いても、アフガニスタンのイスラム原理主義勢力「タリバン」は、耳を貸さなかった。2001年3月に貴重な文化遺産であるバーミヤンの巨大石仏を破壊する。 ▼偶像崇拝を禁じるイスラム教の教えに従ったというのだ。タリバンとは、アラビア語の学生、「タリブ」の複数形である。隣国パキスタンの難民キャンプで教育を受けた神学生によって結成された。 侵攻していたソ連の撤退後に起こった内戦のなかで、急速に勢力を拡大する。 ▼1996年にはほぼ全土を支配下に置いた。もっともタリバンには、イスラム原理主義という理念はあっても、実務能力は決定的に欠けていた。国際的な孤立を招く大仏破壊という蛮行も、政治の迷走の表れだった。 ▼その半年後に起きたのが、米中枢同時テロである。まもなく米英両国の空爆により、タリバン政権は崩壊する。テロ事件の首謀者とされるウサマ・ビンラーディンを支援したというのが米国の言い分だった。 ▼それから20年間、タリバンはしぶとく生き残ってきた。先月のコラムで、米軍が撤退すれば半年から1年の間にも首都カブールは陥落する、と書いた。 後ろ盾を失った政府軍の弱腰は予想を超えた。大統領は15日、国外に脱出し、タリバンは無血で首都を制圧した。 ▼かつてのタリバン政権下では、スポーツや歌舞音曲さえ禁じられた。イスラム教の根本聖典コーランでも否定されていない、女子教育も認めなかった。 パキスタンで教育の必要性を訴え続け、ノーベル平和賞を史上最年少で受賞したマララ・ユスフザイさんが、女性弾圧の再現を深く憂慮するのも当然である。マララさんを銃撃して瀕死(ひんし)の重傷を負わせたのも、タリバンだった。 ――――――――――――――――――――――――――――――本性現したタリバン、初の警察高官の女性を石で残忍に殴打 2021-9-2 韓国中央日報日本語版アフガニスタン政権を掌握したイスラム武装組織タリバンが女性の人権を保障すると世界に宣言した中、タリバン組織員が警察幹部を務めた女性を集団で暴行したという証言が出た。 先月31日(現地時間)、米紙ニューヨークポスト、英紙デイリーメールによると、アフガン内務省犯罪捜査次長を務めたグラフロズ・エブテカールさんは、ロシアメディアとのインタビューで、タリバンから残酷な殴打を受けたと述べた。 エブテカールさんはアフガンで初めて、警察高官になった女性で、多くのアフガン女性のロールモデルになったという。エブテカールさんは放送やSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)などを介して女性や子どもの権利を主張しており、イスラム過激派などに対抗してきた。 しかし、先月15日、タリバンがアフガン首都カブールを掌握したことで状況は急変した。エブテカールさんも生存のためにアフガンを脱出しようとした。エブテカールさんは首都カブールの国際空港の近くで水も食料もない状態で5日間過ごし、脱出の機会を狙った。 エブテカールさんは外信に「私と家族を救うために、複数の国の大使館に連絡をとったが、いずれも無駄だった」と述べた。エブテカールさんは当時、空港に駐留していた兵士に助けを求めたが、むしろ市内に追いやられたと主張した。 エブテカールさんは再び空港に移動して脱出しようとしたが、タリバン組織員が妨げた。エブテカールさんは「タリバン組織員は拳や武器、軍靴、さらには石で私を殴った」とし「殴られて立ち上がることができず、話をすることさえできなかった」と訴えた。 エブテカールさんは、タリバンから自身の職業のため警告を受けたと述べた。エブテカールさんは「タリバンは私に警察で働いてはならないし、女性の人権について語る資格がないと伝えた」とし「なぜSNSに写真を上げるのかも尋ねた。今はもう、彼らが力を持った」と嘆いた。また「タリバンは決して変わらない」とし「彼らは女性が働いたり公職に参加したりし、自由になることに同意しないだろう」と警告した。 タリバンは女性がイスラムのシステムの中で、教育、医療、就業など、すべての権利を持つことになると述べた。しかし、女性の人権弾圧の事例は、メディアなどを通じて報道され続けている。 実際にアフガン女性がブルカを着用しなかったという理由でタリバンに射殺される事件が発生し、組織員との結婚を強要されたという事例も出てきた。
2021.09.03
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関与政策・・・・長年のアメリカの、いや欧米の大失策だった。香港における(一国二制度)問題でも、全体主義に対する認識の甘さが、露呈されたのは、つい最近の事だが、この関与政策は、ニクソン大統領の米中対話、米中国交樹立の後の長きにわたり、全体主義の成長に(貢献)してきたのだ。 先日の引用を、ここでも再び繰り返すことになる。 「確かに戦争は悪です。しかし、その戦争によってもっと巨大な悪をストップせねばならぬこともあります。もし連合国がヒットラーをストップしなかったら今頃世界はどうなっていましたか」(サッチャー元英国首相) ヒットラーは、ファシズム(全体主義)のリーダーだったが、スターリンも、毛沢東も、共産主義(全体主義)のリーダーであり、罪も無い多くの民衆が、逮捕・拷問のあと、収容所などで大量処刑されている。 習近平は、毛沢東に憧れ、これまで(毛沢東を超える独裁者)を目指してきたが、今や14億の中国のリーダー(皇帝)として君臨するに至り、「自由・民主主義・人権」を脅かしている・・・まさに、現代のヒットラーだと思うわけだ。 しばしば、自分の死んだ後の日本、世界のことを考える。世界は、この暴虐をほしいままにする(全体主義)を制御しうるのだろうか? と。 今回のコロナ禍での、各国対応を見れば、(悲しい現実)を想像するしかない! 非常時に、独裁政治のもと、国民の自由・民主主義・人権を果敢なく(=容赦なくと読め)制限できる中国の真似は、民主主義国では、できないだろう・・・と。 注目したいのは、世に(リベラル派)と呼ばれる多くのグループが、この「関与政策」の信奉者であるということだ。日本では、「平和憲法守れ」「自衛隊反対」「沖縄基地撤去」を叫ぶ人々のことだ。(自分も昔は、同じ過ちの中にいた。) 彼らは、(相手=中国や北朝鮮を刺激するな)(とにかく話し合いで解決を!)と繰り返すばかりで、何の策も無かった・・・ということだ。 そして、侵略的な全体主義者たちが、最も喜ぶ(日本の非武装)を声高に主張する。これで、日本の、ひいては世界の人々の(命と暮らし=平和)を守れるのか???? もちろん、まともな(話し合い)など、できるハズもない。国際間の(話し合い)というのは、当事国間の力関係を背景にしてのみ設定されるものであり、(善意の話し合い)などは、空想的平和主義者たちの絵空事にすぎないからだ。 机上の平和妄想に浸りきり、現実を見ない・・・見ようとはしない彼らの犯罪性は、あまりにも悪質だ。都合の悪い事柄には、見て見ないふりをする(ずるがしこさ)が、彼らの本領なのだろうと、つくづく思うのだが・・・違うだろうか? コロナ禍を境にして、世界は変わる、もう以前の世界には、戻れないだろう・・・と想像してきた。考えることすら、恐ろしい時代の、(終わりの始まり)だ。 皆さんは、どう思われるか? (はんぺん)――――――――――――――――――――――――――――なぜ米国は対中政策を大転換したか。 指針書いた当人語る 2021年4月28日 朝日新聞デジタルナディア・シャドロウ元米国家安全保障問題担当大統領次席補佐官(戦略担当)に聞く(聞き手・園田耕司) バイデン米政権は、中国を「唯一の競争相手」と位置づけ、強硬姿勢をとる。そもそも、中国を「競争国」と規定したのは、トランプ政権の外交安全保障の指針「国家安全保障戦略」(NSS)だった。その主要執筆者、ナディア・シャドロウ元国家安全保障問題担当大統領次席補佐官(戦略担当)が朝日新聞記者のオンライン取材に応じ、なぜ米国は中国への関与政策から競争政策へと転換を図る必要があったのかを語った。 ――トランプ政権は2017年12月にNSSを策定し、中国を「競争国」と規定した。一方、バイデン政権のNSS(暫定版)でも、中国を「唯一の競争相手」と規定し、対中強硬姿勢を継承した。 「バイデン政権にトランプ政権の対中政策の継続性を見るのは興味深いことです。バイデン政権のNSSでも中国を『戦略的競争相手』と言及するなど、多くの共通点があります」 「一方、バイデン政権のNSSでは(トランプ政権の掲げた)強い軍隊を重視する『力による平和』が取り除かれたり、国際機関との協力を重視したりするなどの違いもあります」 中国は「競争国」 ――17年のNSS執筆当時、なぜ中国を「競争国」と規定する必要があると考えたのか。 「この問題はそれよりもずっと以前から指摘されてきました。ブッシュ政権(子)当時の05年にはゼーリック国務副長官(のちに世界銀行総裁)が『責任あるステークホルダー(利害関係者)』という演説を行い、中国の不公平な貿易慣習や米企業への貿易障壁などの問題について懸念を表明したのです」 「オバマ政権でもこの懸念は続き、オバマ大統領は12年の一般教書演説で同様の懸念を表明しています。同政権内の『対中タカ派』と呼ばれるボブ・ワーク国防副長官やアシュトン・カーター国防長官も強い懸念を表明しました。オバマ政権の最後には、中国が安全保障関連の米企業に投資を開始し、重要な知的財産にアクセスしようとしているという報告書も書かれています」 「オバマ政権内で高まっていたこうした中国への懸念をめぐり、直接的に対処しようと決めたのがトランプ大統領です。ご存じの通り、トランプ氏のスタイルは直接的です。彼はシステムを大刷新したり、破壊したりすることを懸念していませんでした。トランプ氏はこれまでと異なる手法をとらなければいけないというリスクを喜んで引き受けました。そうしなければ、米国の不利な立場を転換することは不可能になっていたと思います」 関与政策は「失敗」 ――NSS(17年版)では、「(米国は)競争国に対し関与政策をとり、国際機関やグローバルな通商体制へと組み入れれば、彼らは善良な国家となり、信頼できる友好国になるという想定のもとで政策が取られてきた」と記し、「ほとんどの部分で、この前提は誤っていたことが判明した」と結論づけている。歴代米政権の中国への関与政策は失敗だったか? 「残念ながら、関与政策はそのほとんどの部分で失敗しました。関与政策では、米中両国が共通の利益と目的をもって協力し合えば、米国の政治・経済システムと中国の政治・経済システムは、一つに収斂(しゅうれん)すると考えられてきました」 「しかし、中国は米国とは全く異なる野心をもち、二つのシステムは収斂しませんでした。米中両国は異なる政治哲学、経済哲学、世界観をもっていたのです。ゆえに、NSS(17年版)では、もし我々が関与政策は機能するというそぶりを続ければ、我々は米国の利益をもはや守ることはできなくなると考えたのです」 ものづくり力も維持を ――あなたは新型コロナ感染が拡大して米国内でマスクや防護服不足が指摘されると、米ソ冷戦時代を例に挙げ、米国は中国には頼らず、自国内で必需品を生産できる態勢を整えるべきだと提唱しました。 「米国はこれまで自分たちの製造能力を他国に輸出することで、それが他国に技術革新を与えるということを深く考えてきませんでした。しかし、新型コロナ問題が起きた結果、いくつかの分野の供給網(サプライチェーン)は(国家によって)きちんとコントロールするべきだと議論され始めたのです。米国は、経済・国家安全保障を確実なものにするために必要な製造能力を維持していく必要があると思います」 「その一つの分野が半導体でしょう。米国経済のすべてが半導体に依存しています。コーヒーマシンからジェット機まで、米軍全体も米軍兵士たちも半導体に依存しています。このため、米国が半導体の重要部分を製造する能力を保持することは極めて重要なのです。半導体をめぐっては日韓両国、台湾との間で協議もあるでしょう。一度製造能力を失えば、再びその能力を取り戻すのはとても難しいことなのです」 ――米中対立の近未来をどう予測するか? 「中国との競争政策は危険を伴うものですが、米国としては現在の経済的に不利な立場を変え、同盟国・友好国と一緒に自由で開かれた社会を維持する能力を持ち続けるという以外の選択をすることはできません。中国は攻撃的な路線を取っていますが、それは中国自身が国際法を順守して解決しなければいけない問題です。米国が問題なのではありません」(聞き手・園田耕司) ◇〈関与政策と競争政策〉 歴代米政権は「関与政策」をとり、米国主導の国際経済体制に中国が参加することを歓迎。中国の経済の自由化が進めば、政治の民主化も進み、いずれ欧米諸国のように自由や人権などの価値を尊重する民主主義国家へと生まれ変わると期待した。一方、トランプ政権は中国を既存の国際秩序を転覆させることを狙う「修正主義勢力」と位置づけ、米国のもつ政治・経済・軍事的な国力をすべて結集し、中国との競争に勝つ必要があると提唱し、「競争政策」をとった。バイデン政権もトランプ政権に引き続き、中国を「唯一の競争相手」と定義して、米中対立を「民主主義VS.専制主義」と位置づけ、同盟国と連携して中国に対抗している。――――――――――――――――――――――――――――――― ナディア・シャドロウ トランプ米政権の国家安全保障問題担当大統領次席補佐官(戦略担当)。中国を「競争国」と認定した外交安全保障の指針「国家安全保障戦略」(NSS)の主要執筆者。現在は米ハドソン研究所上級研究員。国家安全保障問題の戦略家であり、主な著書は「War and the Art of Governance(戦争と統治術)」。
2021.05.06
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「自由主義は多くの難題を抱え、民主主義も完全ではありません」… 2019-11-9 毎日新聞
2020.01.04
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日本のサヨク凋落との共通点を意識してしまう。 民主党政権は、多くの国民の期待に応えられず、自壊した。災害による不運も、あったが、尖閣諸島中国漁船衝突事件では、リーダーとしての資質が問われ、国民の期待に背くことになった。 僕の周囲には、民主党政権に期待する声が、大変大きかったことを、今でも覚えている。それだけに、(裏切られた・・・)という思い、その反動は、相当なものだった。 下野してからの(リベラル?)は、坂道を転げ落ちるように転落していく。 日本サヨクに比べて、欧州サヨクは、長い実績を積み重ねてきたという意味で、大人と子供ぐらいの差があるように思えるが、それでも、この間、ナショナリストの進出を許してきた。 世界的格差拡大を助長するグローバリズムが、「XXXファースト」「自国益中心主義」により、大きな曲がり角に立たされているが、リベラルたちのサヨク政治の立場からの「政治改革」には、成功していない・・・というか、処方箋が見当たらないのでは・・・と思うが、間違っていたら指摘願いたい。 今後、地球は、どうなっていくのだろうか? 混沌とした未来には、大きな不安ばかりが立ちふさがっているようにしか思えないのだが・・・ 皆さんは、どう思われるか? (はんぺん)――――――――――――――――――――――――――――――――欧州左派。止まらない凋落 (緯度経度) 2019-12-9 三井美奈 産経新聞
2019.12.27
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「革命の英雄」が独裁者に変わった国――ニカラグア、裏切られた人々の声 2019-11-25 Yahoo! JAPAN ニュース
2019.12.13
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人権問題、米中対立の影(あすを探る 国際) 2019年6月27日 三牧聖子 朝日新聞
2019.10.20
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スレブレニツァ虐殺20年で追悼式、群集がセルビア首相に石 2015-7-12
2019.10.14
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大統領・トランプを生んだポピュリズムの正体とは アメリカ白人労働者の現在 2017年9月14日 金井元貴 新刊JP
2019.03.08
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習近平氏と金正恩氏の共通点【矢板明夫の中国点描】 2019.1.9 産経新聞
2019.01.25
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トランプ氏は負けて、勝った。高投票率があぶり出す分断 2018-11-7 アメリカ総局長・沢村亙 朝日新聞
2018.11.09
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「勝者の裁き」に限界も。ユーゴ戦犯法廷が四半世紀の裁判に幕「国家元首の犯罪野放しにせず」の原則は確立 2017-12-20 産経新聞
2018.05.19
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あえて言おう。安倍総理の韓国・五輪出席は「戦略的」に正しいと 2018-1-26 北野幸伯『ロシア政治経済ジャーナル』 「慰安婦合意見直し」を示唆した韓国・文在寅大統領に対して憤る日本人の声も多く聞かれる中、「平昌冬季五輪」の開会式に出席する意向を表明した安倍総理。この決断により、総理への世間の風当たりが強まることが予想されますが、無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者で国際政治に詳しい北野幸伯さんは、「日本の真の国益のためには正しい判断」との見方を示しています。その論拠はどこにあるのでしょうか。 安倍総理の平昌五輪開会式出席は「戦略的」に正しいのか??? 今、私の目の前に、『嫌われる勇気』という本があります。なぜ、私はその本を見ているのでしょうか? そう、私には今、「嫌われる勇気」が必要だからです。日本の真の国益のために、大多数の意見と正反対のことを書かなければならない。今回は、まさにそんな話。皆さん、この話、もうご存知でしょう。 安倍首相発言全文=平昌開会式出席 時事 1/24(水)10:38配信 安倍晋三首相が24日午前、自身の平昌冬季五輪開会式への出席に関し、首相官邸で記者団に語った発言の全文は次の通り。 事情が許せば、平昌五輪開幕式に出席したい。2020年に東京五輪がある。同じアジアで開催される平昌五輪の開幕式に行き、選手団を激励したい。同時に(文在寅韓国大統領と)首脳会談を行い、日韓の慰安婦合意について日本の立場をしっかりと伝えていきたい。北朝鮮の脅威に対応していくために、日韓米でしっかりと連携していく必要性、最大限まで高めた(対北朝鮮)圧力を維持していく必要性について伝えていきたい。 つまり、安倍総理は、「平昌五輪の開会式に出席する」と言っているのです。これ、おそらく日本人の90%以上は反対でしょう。なぜ? そう、韓国は遠慮なく「慰安婦合意見直し」を要求しているからです。私自身も、この話を聞くたび、胃が痛みますし、胸も痛くなります。だから、安倍総理に対し、「ふざけるな!」と言いたい人の気持ちもわかる。 しかし、私は、「裏で起こっていること」を知っていますので、「戦略的視点」からお話せざるを得ません。何でしょうか? なぜ、韓国は「ああ」なのか?こう聞かれたら、「民度が低いから」とか「そういう人たちだから」とか「国民性」とか答える人が多いです。しかし、慰安婦問題は「中国の対日戦略の一環」なのです。説明しましょう。 08年、RPEで05年から警告していたように、「アメリカ発の世界的経済危機」が起こりました。アメリカは、これで没落します(アメリカ一極世界崩壊)。中国は、逆に浮上し、一人勝ち状態になりました。そして、「アメリカは動けない」と確信した彼らは、国益を遠慮なく追求するようになっていきます。尖閣もターゲットの一つでした。 2010年、「尖閣中国漁船衝突事件」が起こった。中国は、全世界に、「尖閣はわが国固有の領土であり、『核心的利益である!』」と宣言します。さらに、日本に「レアアース禁輸」など、厳しい制裁を課しました。自分(中国)が圧倒的に悪いにも関わらずです。 2012年9月、野田政権は、「尖閣国有化」を断行。日中関係は、戦後最悪になってしまいます。2012年11月、中国の代表団はモスクワで、ロシアと韓国に「対日戦略」を披露します。 皆さん、ご存知ですね。そう、「反日統一共同戦線戦略」です。内容は、 中国、ロシア、韓国で「反日統一共同戦線」をつくろう! 中ロ韓で、日本の領土要求を断念させよう! 日本に断念させる領土とは、北方4島、竹島、尖閣・【沖縄】である。 日本に【沖縄】の領有権はない!!!!!!! 反日統一共同戦線には、【アメリカ】も入れるべし! 「トンデモ~!」「陰謀系~!」と思った方は、この絶対証拠を必ず読んでください。 この提案、プーチン・ロシアは、乗らなかったのです。しかし、韓国は、「喜んで」乗りました。この時は、まだ李さんの時代。「反日統一共同戦線」提案の翌12月、韓国大統領選挙があった。そして、朴槿恵さんが勝利した。彼女は、中国の「反日統一共同戦線戦略」に沿って、世界中で「告げ口外交」を展開。大いに習近平を喜ばせました。 ところが、朴槿恵さん、中国に接近してあまりいいことがなかったようです。特に安保問題で、「中国は、韓国を北朝鮮から守ってくれない」ことがわかった。それで、2015年12月、「慰安婦合意」に至った。 さて、「反日統一共同戦線戦略」はその後どうなったのでしょうか? 日米関係は2013年、かなり悪かったのです。リベラルなオバマさんは、中国のプロパガンダを信じていた。しかし、2015年3月の「AIIB事件」以降、日米関係は急速に良くなっていった(日本は、AIIBに加盟せず、アメリカを裏切らなかった)。日韓関係は、2015年12月の慰安婦合意で良くなった。日ロ関係は、2016年12月のプーチン訪日で、劇的に改善された。これで、一応「反日統一共同戦線戦略」は、「無力化」された。しかし、今も続いているのです。 「慰安婦問題」蒸し返しと、「北朝鮮問題」 現在世界最大の問題といえば、「北朝鮮問題」でしょう。少し前まで、二つの陣営に分かれていた。すなわち「圧力派」の日本、アメリカ、韓国。「対話派」の中国、ロシア。ところが、韓国は「対話派」に転向。実際、北朝鮮と対話を始めています。 これ、理解できます。戦争になれば、一番犠牲者が出るのは、韓国。それに、五輪もぶち壊し。だから、「対話したい」と。そして、韓国が「対話派」に加わるということは、「対話派」のボス、中国の支配下に入ることを意味します。 韓国は、常に米中の間を揺れていますが、中国側に振れると必ず「反日」になり、「慰安婦問題」を蒸し返してくる。つまり、韓国は2013年の状態に逆戻りしているのです。 日本国民は、習近平に踊らされるな!皆さん、「韓国が慰安婦合意見直しを要求!」というニュースを聞いて、何を感じますか?普通は、「ムカッ!!!」とくると思います。私も同じです。しかし、私は、「何が起こっているのか」知っていますから、「落ちつけ! 俺が怒れば、喜ぶのは習近平だ。反日統一共同戦線戦略に嵌るな!」と自分に言い聞かせます。そして、皆さんにもお勧めします。 繰り返しますが、韓国は、中国に操られています。韓国が日本を挑発し、日本が激怒し、日韓関係をぶち壊せば、喜ぶのは中国です。 中国は、次いで「日米関係破壊工作」「日ロ関係破壊工作」によって「反日統一共同戦線戦略」を成功させる。そして、楽々と尖閣、沖縄を奪うことでしょう。 なぜ安倍総理の訪韓は戦略的に正しいのか?慰安婦合意見直し要求について、日本政府は、「1ミリも動かせない」としています。これは、正しい。しかし、韓国側の挑発に乗って、対立を激化させるのは、まさに習近平の「思う壺」です。彼の戦略の骨子は、 日米を分断すること 日ロを分断すること 日韓を分断すること なのですから。日本が挑発に乗れば、習近平は、「愚かな小日本人たちが、思いどおりに踊っておるわい!ふぉふぉふぉ」と大喜びすることでしょう。逆にここで日本が、グッとこらえて、「日韓合意は国と国との約束なので動かせませんが、韓国は日本にとって非常に大事な国なので、その他の分野での協力関係は深化させていきましょう!」といえば、習近平は、地団駄を踏んで悔しがることでしょう。 総理は訪韓中、慰安婦合意見直しに言及されて嫌な思いをされるかもしれません。しかし、日本国のためにグッとこらえて欲しいと思います。 私がもっとも恐れること2012年12月に安倍氏が総理に返り咲いたとき、日本は大変な状態でした。小鳩政権のせいで、日米関係はボロボロになっていた。メドヴェージェフが北方領土を訪問し、日ロ関係はボロボロになっていた。李が「韓国にきたければ日王は謝罪せよ!」と言ったので、日韓関係は最悪だった。「尖閣国有化」で日中関係は戦後最悪になっていた。 安倍総理は、民主党政権がメチャクチャにした外国との関係を忍耐強く改善させてきました。2015年4月、「希望の同盟演説」で日米関係は、劇的に改善された。2015年12月、「慰安婦合意」で日韓関係はよくなった(やっぱり裏切られましたが…)。2016年12月、プーチン訪日で、日ロ関係は大きく改善された。こうして安倍総理は、4年間かけて外国との関係を修復してきた。そして、同時に「反日統一共同戦線戦略」を「無力化」させたのです。 私が恐れているのは何か? 安倍総理が、「日本の真の国益」(=反日統一共同戦線を無力化すること)のために訪韓した。その真意を国民が理解できず、「弱腰安倍を追放せよ!」などと世論が盛り上がり、支持率が急落、そして退陣に追いこまれる。こういう事態になるのを恐れます。 今回の話、きっと感情的には「理解したくない」ことでしょう。私だって、こんなこと書きたくないのです。しかし、「習近平の罠」を知りながら、それを書かずにいることはできません。皆さん、安倍総理の訪韓を非難する大合唱が起こるかもしれません。ですが、せめて中国の戦略を知り尽くしているRPE読者の皆さまは、総理の決断を支持していただきたいと思います。
2018.01.27
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「そうだったのか!朝鮮半島」に学ぶ独裁と民主主義、親日と反日 2015-03-20 柿の種中毒治療日記(ブログ)から
2017.10.01
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ゴルフ場129億・ホテル22億…トランプ氏が所得公開 2017-6-7 朝日新聞
2017.06.17
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英国を2分したEU離脱問題。EUにとっての最大の試練だが、英国に良い未来があるとは思えない・・・民主主義国イギリスが、賢明な判断をしたのだろうか?? かって第一次大戦後のワイマール憲法体制下で、ドイツ国民は、民族主義を煽るナチスヒットラーを選挙で勝利させて、地獄への道を選んでしまった。 歴史は、くりかえすのか・・・??? はんぺん ――――――――――――――――――――――――――――「最も巨大な国益の損失」を選択したイギリス - 細谷雄一 国際政治の読み解き方 2017-4-3 ニューズウィーク日本版 <EU離脱通知を行ったメイ首相だが、離脱をスムーズかつ双方の利益になるように進めたいと考えているのはイギリスだけ。EU側にそのような意図はあまりなく、イギリスにとって厳しい交渉になりそうだ。今後はどのようなシナリオが考えられるか> 2017年3月29日。この日はイギリス史にとって、決して欠かすことのできない決定的な日となった。イギリス政府が正式に、EUに対してリスボン条約50条に基づく離脱通知を行い、EUがそれを受理したのだ。これによって、2019年3月29日にイギリスがEUから離脱することが確定した。イギリスの40年を超える欧州統合のプロジェクトからの離別を意味することになる。 イギリスのメイ首相がブリュッセルのEUに送った通知文の文面は、実に奇妙なものであった。第一に、保守党は1990年代半ば以降これまで、20年近くにわたってEUを罵り、侮蔑し、敵対し、批判を続けてきた。ところがこの通知文では一転して、「イギリスはEUの成功と繁栄を望んでいる」と書かれている。 国民投票前に、離脱派のリーダーであったボリス・ジョンソン氏(現外相)は、EUはナチスと同様だと批判していた。はたしてジョンソン外相は、「ナチス」の「成功と繁栄」を望んでいるのだろうか。あるいは、国民投票前にジョンソンは虚偽を語って国民を欺き、イギリスを離脱に導いたのか。それとも今の政府が語っている言葉は、誠実でないのか。そうでなければ、この1年間でEUが「ナチス」から、そうではなくイギリスにとっての重要な、価値を共有する「パートナー」へと変貌をしたのか。あまりにも言葉が軽すぎる。 第二に奇妙なのは、離脱前にメイ首相を含む残留派が、詳細なデータを用いて離脱がイギリスの政治や経済に破滅的な影響を及ぼすと語っていた、その基本的なトーンが消えていることである。 メイ氏(当時は内相)は、「安全保障上の理由、犯罪やテロリズムからの保護という理由、欧州との貿易上の理由、そして世界中の市場へのアクセスのための理由から、欧州連合の加盟国であり続けることは、国益であるのだ」と語っていた。 イギリスのEU離脱が、経済的にも安全保障上も国益を傷つけることになるリスクを、誠実に語るべきであろう。あるいは、EU残留を強く擁護していたかつての自らの主張が誤っていたと、語るべきであろう。 メイ氏は国民投票前には、イギリスがEUに加盟することを求めていた。しかしながら首相となった以上は、国民が国民投票を通じて離脱を選択したのであるから、民主主義国であるイギリスの政府が国民の信託を受けて離脱を円滑に行うことが義務だと考えているのだろう。そして、そうである以上は、EU離脱をスムーズかつ双方にとっての利益となるように進めたいという決意なのだろう。 イギリスは「無条件降伏」をしなければならない? 問題は、EU側にはそのような意図があまりない、ということだ。イギリスが民主主義国であるのと同様に、EU諸国も民主主義国である。したがって、フランス政府やドイツ政府が迫りつつある選挙に勝つためにも、また国内で台頭するEU離脱を求める極右勢力に対抗するためにも、EU離脱が不利益をもたらすことを示さなければならないのだ。また、EU離脱が誤った選択であることを証明しなければならないのだ。 EU加盟国のいずれの政府も自国の利益、自国が加盟しているEUの利益を最優先するのが当然であって、そのためにはイギリスの利益を損ねるような決断を行うことも躊躇しないはずである。 具体的にEUは、総額約7兆2000億円にも上るEU予算の分担金をイギリス政府が支払わなければ、離脱協定の交渉も、貿易協定の交渉も進展させない意向である。これから2年が経過して、EUとの貿易協定が合意できなければ、もっとも苦しむのはイギリス自身である。だとすれば、イギリスはEUに対して「無条件降伏」をしなければならなくなるかもしれない。あるいは、EU加盟が失効することで、イギリス経済は前代未聞のカオスを経験するかもしれない。いずれも悪夢のシナリオである。 交渉上、イギリス政府は圧倒的に不利な立場にあるが、イギリス政府で交渉を担当するデヴィッド・デーヴィス離脱担当相は経済的合理性よりもEU離脱というイデオロギー的な正義を優先する保守党内の離脱最強硬派である。したがってデーヴィス離脱相にとって、イギリス経済が混乱することは、自らの政治理念を実現する上での必要なコストと考えているのだろう。 国際政治の世界は、基本的にパワーが重要な意味を持つ。EUの経済規模は、イギリスのGDPの約5倍である。5対1の経済力の格差があって、EUが交渉上優位に立つのは当然である。EUは自らにとって有利な貿易協定の締結を模索し、イギリスは必然的にEUの圧力に屈することになるであろう。 貿易協定は2019年3月までの合意は不可能だ それでは、これからイギリスにはどのようなシナリオが考えられるのだろうか。まずは、4月および5月に行われるフランス大統領選挙の結果を待って、5月下旬から本格的な離脱交渉がはじまると考えられる。イギリス政府はデーヴィス離脱相、そしてEU側はミシェル・バルニエ首席交渉官が、両者にとって受入可能な離脱協定の合意を目指して交渉を行う。両者ともに経験豊かな政治家であって、強硬な交渉姿勢を示すであろう。 バルニエ氏は、2018年10月までの離脱協定合意を目標としており、その合意が得られれば次のステージとして貿易協定の合意を目指して交渉を開始する。イギリス政府は、離脱協定と貿易協定の平行した交渉を要求しているが、EU側はそれを明確に拒絶して、離脱協定を合意してから貿易協定をめぐる交渉という次のステージに移る方針を明らかにしている。そこでの最大の問題となるのは、イギリス政府によるEUへの分担金支払いであろう。 貿易協定は、合意に至るまでには5年から10年の期間が必要とされている。2018年10月に開始したとしてとても2019年3月までには合意は不可能であろう。だとすれば、両者の間で暫定協定が必要になる。すなわち、英・EU間の貿易協定の合意が見込まれる2020年代半ばに至るまでに、イギリスはおそらく欧州経済領域(EEA)と呼ばれる自由貿易地帯に参加することで、ノルウェーのようなEU非加盟国と同様に、大陸の「単一市場」加盟を維持することであろう。 その間は、イギリス政府は継続的に分担金を拠出しなければならず、また「人の自由移動」を受け入れるために移民のコントロールも行うことはできない。いわば、離脱派が主張した条件を、貿易協定の合意が見込まれる2020年代半ばまでは実現できないことを意味する。 それまでの間に、おそらくはイギリス国内の直接対外投資は大きく冷え込むであろうし、また生産拠点の多くは、コスト削減競争に生き残るためにも、関税障壁が構築されるまでの間にイギリス以外のEU諸国に移動することであろう。 スイスの金融大手のUBSの調査に拠れば、すでに英国の拠点について調査対象のうちで4割もの企業が国外移転を考えていると返答している。ロンドンのシティの金融機関も、その多くが一部を国外に移転することを明言している。イギリスの雇用は大幅に削減され、また税収も大きく縮小することで、離脱派が訴えていたようなEU離脱にともなう社会保障の充実の実現は非現実的だ。 真珠湾攻撃前の日本のような空気がイギリス政府内に? もしもイギリスにとって有利な条件があるとすれば、それは現在のところユーロ経済圏がきわめて不安材料が多く、大陸の多くの諸国で反EUを掲げる極右勢力が台頭していることからも、EUの結束がより困難となることだ。すなわち、遠心力が働くEUのほうが、EU離脱をして国家主権の回復を目指すイギリスよりも、経済的にはより多くの障害と困難が見られる。 これからの不安定な移行期において、EUとイギリスの双方ともに、多くの困難に直面することが想定されており、両者が「共倒れ」になることを防がなければならない。しかしながら、現在のメイ保守党政権では、メイ首相やハモンド財務相が当初想定していたようなプラグマティックな政策方針は大きく後退して、デーヴィス離脱相のような強硬な対決姿勢が優勢だ。それゆえ、イギリス政府はしばらくの間は、EUへの強硬な態度を示さざるを得ないであろう。それゆえ、短期での交渉妥結は非現実的だ。 真珠湾攻撃前の日本では、一部に合理的な思考からアメリカとの衝突を回避する必要性を説く者が存在した。また、東条英機首相自体がきわめて官僚的で実務的な思考の持ち主であった故に、戦争を回避して外交的な合意に到達する可能性も皆無ではなかったはずだ。 しかしながら、日本政府内には譲歩を語ることが難しい、柔軟性が欠如した空気が満ち溢れ、またイデオロギー的にアメリカの行動を批判するほうが容易(たやす)かった。 硬直的なEU批判を行い、イデオロギー的に「ハード・ブレグジット」を求める姿勢が優勢となっている今のイギリス政府もまた、同じような柔軟性と合理的な精神が欠如した空気が満ちているのではないか。 それは、2016年6月23日のイギリス国民の選択の結果でもある。国民投票は、その後に国益を破滅的に損なうような結果になった際には、責任の所在が不明確である。おそらくはそのような結果になったときには、もはやデヴィッド・キャメロン前首相も、テリーザ・メイ首相も、ボリス・ジョンソン外相も、デヴィッド・デーヴィス離脱相も政治の舞台から退いており、だれもがその責任をとろうとせず、だれもがその帰結を批判するような「無責任の体系」が生まれているのではないか。 それを示すように、デーヴィス離脱相は、EU離脱通知の後に、うまく進展すればEU離脱はイギリスにとっての利益になると、条件付きの楽観論へと後退している。おそらくそれは、EU離脱が巨大な不利益を生んだ際に、それを自らではなくてメイ首相の責任にするための伏線であろう。 それを示唆するように、保守党の長老である元副首相のヘゼルタイン卿は、メイ首相による離脱通知を受けて、「これは私が知る限り、最も巨大なイギリスの国益の損失となるであろう」と批判している。はたしてメイ首相には、そうならないようにするための政治的な指導力があるのかどうか、これから問われることになるだろう。
2017.04.10
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ナチス、ソ連の二の舞を演じ始めた米国 2017-2-6 JBpress
2017.02.14
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ミャンマー軍がロヒンギャ弾圧で「民族浄化」か、国連報告書 2017-2-4 AFP=時事
2017.02.07
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6万人のビザ無効=入国禁止の大統領令―米国務省 2017-2-4 時事通信 入国禁止一時差し止め=全米で即時効力―連邦地裁―ビザ無効は6万人 2017-2-4 時事通信 大統領令、反対が過半数=入国禁止や壁建設-米世論調査 2017-2-3 時事ドットコム
2017.02.05
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トランプ政権始動、「オバマ路線」大きく転換、今後は? 2017-1-21 フジテレビ系(FNN)
2017.02.04
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トランプ大統領、メキシコに軍派遣示唆…薬物対応に不満 2017-2-3 毎日新聞
2017.02.04
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「入国制限」大統領令に49%支持、41%反対 2017-2-1 読売新聞
2017.02.02
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「私たちはみんな米国人だ」…反発強まる 2017年1月30日 琉球新報
2017.02.02
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「関税で壁建設」の落とし穴、 支払うのはメキシコでなく米国民 2017-1-27 Forbesjapan
2017.01.27
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中国、トランプに対決姿勢 「iPhoneが売れなくしてやる」と宣言 2016-11-15 Forbesjapan
2017.01.27
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女性の権利は・社会保障は… トランプ氏抗議デモ世界に 2017-1-23 ワシントン=金成隆一 朝日新聞
2017.01.25
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トランプ米新政権、1,100万不法移民が退去おびえ 2017-1-22 産経新聞
2017.01.23
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フィリピン、麻薬撲滅戦、激化、あふれる刑務所 2016-9-29 毎日新聞
2016.12.09
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世界市場が再び混乱?イタリア、オーストリア、フランスはトランプに続くか 山田健彦 2016-11-27 MONEY VOICE
2016.12.04
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反エリートの波、欧州にも。動き出す「忘れられた民衆」 2016-11-21 ロンドン=渡辺志帆、パリ=青田秀樹、ベルリン=高野弦 朝日新聞
2016.11.22
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トランプ・プーチン・ルペントリオで世界平和へ=仏ルペン氏 2016-11-17 ロイター
2016.11.18
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トランプ氏当選後にヘイト急増、学校で「米国を白人の国に」ナチスかぎ十字も 2016-11-15 ワシントンD.C./米国 AFP通信 【11月15日 AFP】米国ではドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が次期大統領に選出されて以来、差別的な事件の報告が全土で相次いでおり、マイノリティー(少数派)や人権団体はヘイトクライム(憎悪犯罪)を行う団体が勢いづいているとして懸念を強めている。 フィラデルフィア(Philadelphia)ではナチス・ドイツのかぎ十字やスローガンが店頭に落書きされ、ニューヨークの高校では外国人排斥を唱えるコールが上がり、脅迫メールが届き、大学のキャンパスでは差別的な行為が横行している。こうした事例が各地で急増しているのは、今月8日の大統領選以降だ。 米国内のヘイトグループ(人種や宗教に基づく差別・憎悪を扇動する集団)を調査している人権団体「南部貧困法律センター(SPLC)」はマイノリティーに対して増加している攻撃事例を追跡調査しているが、中でも攻撃にさらされているのは、トランプ氏が選挙期間中に最も扇情的な表現を用いて移民排斥の標的にしていたヒスパニック系の人々だ。 トランプ氏は13日に放送された米CBSテレビの番組インタビューで、イスラム教徒やヒスパニック系の人々に対する嫌がらせが急増していることについて質問されると「そうしたことを耳にして悲しんでいる」と述べる一方、そのような行為は「ごくわずかだった」と主張した。そして「もしもこれが役立つなら、まっすぐカメラに向かって言う。やめなさい」と述べた。 ■「移民は荷物をまとめて出て行け」教室で上がる声 ワシントン(Washington)州のある教師はSPLCに対し、大統領選の翌日に「学校のカフェテリアで昼食時間に『壁を造れ』とコールが繰り返されるのが聞こえた。私が担任するクラスでも『この国で生まれたのでなければ荷物をまとめて出て行け』と叫ぶ生徒がいた。ホールでは『スピック(ヒスパニック系を指す差別的な表現)は出て行け』という声が上がっていた」と報告している。 SPLCの元には、大統領選が行われた11月8日から11日までの間に黒人、女性、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)を狙った事件に関する報告が200件以上寄せられたという。 米連邦捜査局(FBI)が14日に発表した報告書によると、イスラム教徒に対する攻撃は昨年67%増加した。 全米各地の教育機関では、リベラルな校風で知られる学校も含め、ここ数日で憂慮すべき事件が立て続けに起こり、学校側は対処を約束するメールを保護者らに送る事態に迫られている。中には、トイレの壁にトランプ氏陣営のキャッチフレーズ「米国を再び偉大に(Make America Great Again)」をもじって「米国を再び白人の国に(Make America White Again)」というスローガンが落書きされていたケースもあった。 ■危惧される暴力の激化 言葉の暴力だけでは終わらなかった例もある。 カリフォルニア州サンノゼ州立大学では、イスラム教徒の女子学生が背後からいきなり白人男性にヘッドスカーフを引っ張られ、首が絞まりそうになる事件が発生。ミシガン大学でも、ヘッドスカーフを外さなければライターで火をつけるぞとイスラム教徒の女子学生が男性に脅される事件があった。 モンタナ州ミズーラでは、ユダヤ人がメディアを牛耳っていると非難するアメリカ・ナチ党のパンフレットが地域で配布され、地元のシナゴーグ(ユダヤ教の礼拝所)が警察に警備を強化するよう要請した。 ■首席戦略官に「極右アジテーター」 こうした緊張の中、トランプ氏は白人至上主義者の間で人気が高い極右のアジテーターとして知られるスティーブ・バノン氏を新政権の首席戦略官・上級顧問に指名した。 反ユダヤ主義に対する監視団体「名誉毀損防止同盟」の代表を務めるオレン・シーガル氏は、ホワイトハウスの高官にバノン氏を選出したことは「非常に緊張が高まっている今のような時期に過激派をさらに勢いづかせる結果にしかならない」として警鐘を鳴らしている。
2016.11.16
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メルケル首相、難民受け入れ政策の重い代償、ドイツで凶悪事件が相次ぐ シュヴァルツァー節子 2016年7月28日 日経ビジネスオンライン
2016.11.16
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トランプ氏、「300万人強制送還」…犯罪歴ある不法移民 2016-11-14 毎日新聞 【ワシントン西田進一郎】米国のドナルド・トランプ次期大統領(70)は13日放送の米CBSテレビのインタビューで、選挙戦の公約に沿って、不法移民対策としてメキシコとの国境に壁を築き、犯罪歴のある不法移民ら200万~300万人を速やかに強制送還する方針を明らかにした。 「壁」については、場所によって「フェンス」も認めるとするなど、現実的な政策への修正を図る姿勢も示した。 トランプ氏はインタビューで、米国内に1100万人いるとされる不法移民について「犯罪歴のある人々、ギャングのメンバーや麻薬密売人を割り出す。200万人か300万人にもなる可能性があるが、国外に退去させる」と語った。 残る不法移民については「すごくいい人たちだ」と表現し、「国境管理をしっかりしたうえで決める」と述べ、国境警備の強化後に判断する考えを示した。 トランプ氏は選挙戦当初、不法移民全員を強制送還すると公約していた。しかし、実現性がないとの批判を受けると、「犯罪歴のある不法移民を強制送還する」と述べるにとどめ、残る不法移民の扱いについて触れることは避けてきた。インタビューでもこの路線を踏襲した形だ。 また、国境の壁についても、当初は「巨大な壁」を築くとしていたが、巨額の費用などから実現性を疑問視する声もあり、共和党内ではフェンスで代用する議論が出ている。インタビューで「フェンスを受け入れるのか」と聞かれ、トランプ氏は「特定の地域では受け入れるだろうが、別の特定の地域では壁の方がより適切だ」と述べ、フェンスを使う可能性を示した。 医療保険制度改革(オバマケア)については、既往症のある人の保険加入を保険会社が拒否することを禁じる点と、26歳未満の子供を親の保険の対象にできる点を改めて評価し、維持する方向で検討していることを強調。オバマケアを撤廃し、「同時に」新しい制度に差し替えると説明した。
2016.11.15
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トランプとの対決姿勢を鮮明にしたメルケル、祝辞に埋め込まれた“毒矢” (熊谷徹のヨーロッパ通信) 2016年11月14日 日経ビジネス・オンライン 11月9日にドナルド・トランプ氏が米大統領選挙で勝利した時、各国首脳は外交儀礼に基づいて同氏に祝いの言葉を贈った。ドイツのアンゲラ・メルケル首相、そして日本の安倍晋三首相が発表した祝辞は、トランプ氏に対する両国の態度の違いを浮き彫りにした。 安倍首相が当たり障りのない表面的な祝辞を送ったのに対し、メルケル首相は祝辞の中にトランプ氏に対する「毒矢」を埋め込んだ。 トランプに示した協力の「条件」 メルケル首相は祝辞の中で、まるで学校の教師が生徒を教え諭すように、ドイツが重んじる価値を並べ上げた。「ドイツにとって、EU以外の国の中で、米国ほど共通の価値によって緊密に結ばれている国はありません。その共通の価値とは、民主主義、自由、権利の尊重、全ての個人の尊厳を重んじることです。人権と尊厳は、出身地、肌の色、宗教、性別、性的な嗜好、政治思想を問うことなく守られなくてはなりません」。 メルケル首相がこれらの言葉によって、わざわざ「性別、宗教や肌の色、同性愛者か否かで人間を差別してはならない」と指摘したのは、トランプ次期大統領が選挙運動の期間中に、女性、メキシコ人、イスラム教徒、同性愛者を蔑むかのような発言を繰り返してきたことに対する、暗黙の批判である。 メルケル首相の最も鋭い「毒矢」はその次に飛んできた。それは、「Auf der Basis dieser Werte(これらの価値の前提の下に)」というわずか5つの言葉だった。彼女は、こう言った。「トランプ氏がこれらの価値を我々と共有するならば、私はトランプ氏とともに働く準備があります」。 つまりメルケル首相は、「トランプ氏がこれまでのヘイト・スピーチで示してきた、女性や外国人、イスラム教徒、同性愛者に対する差別的な態度を改めないのならば、ドイツ政府はトランプ氏と協力する気はない」というメッセージを送ったのだ。同盟国の首相が、次期大統領に「あなたと協力するかどうかは、あなたが一定の条件を満たすかどうかにかかっている」と宣言するのは、極めて異例である。メルケル首相は「あなたとともに働くのを楽しみにしています」という、彼女がこの種の祝辞でしばしば使う言葉も、あえて避けた。 来年トランプ大統領が誕生した後、日米同盟がどうなるかは、未知数である。それにもかかわらず、安倍首相は祝辞の中で日米同盟を「希望の同盟」と持ち上げた。さらに同首相は、「トランプ次期大統領と緊密に協力し、日米同盟の絆を一層強固にするとともに、アジア太平洋地域の平和と繁栄を確保するために、日米両国で主導的役割を果たしていくことを、心から楽しみにしています」と述べ、トランプ氏と無条件で協力すると宣言している。そこには、メルケル首相が埋め込んだような、トランプ氏のヘイト・スピーチへの批判は込められていない。 私はメルケル首相の祝辞を聞いて、政治が「言葉の芸術」であること、そして我々日本人とは異なり、歯に衣を着せずに思ったことを言うドイツ人の国民性を強く感じた。ドイツでは、日本よりも個人主義、そして発言の自由が尊重されている。たとえ発言を向ける相手が、世界最強の国の次期大統領であってもだ。 大半のドイツ人はトランプを嫌っている トランプ氏を批判したのは、メルケル首相だけではない。ドイツのヨアヒム・ガウック連邦大統領が報道機関に向けて出したコメントにも、トランプ氏に対する懸念が込められていた。米国大統領選挙の投票日つまりトランプ氏が大統領にえらばれた日は、11月9日だった。ガウック大統領はコメントの最初で、この日付がドイツでは特別の意味を持っていることに言及した。 ドイツで11月9日は、歴史に残る大事件が起きる特異な日と見なされている。1923年のこの日には、ヒトラーがミュンヘンでクーデターを試みた。1938年には、ナチス政権が全国でユダヤ教会を破壊し、多数のユダヤ人を殺害・逮捕した「帝国水晶の夜」事件が起きた。1989年にベルリンの壁が崩壊したのも11月9日だった。つまり、この「特異日」に起きた一連の出来事に、政界のアウトサイダーが大統領として米国で最高権力を握るという「椿事」が加わったのだ。 ガウック大統領は「米国で大統領選挙が行われている間、世界の多くの人々が不安を感じた」と述べ、彼がトランプ氏の言動について懸念を抱いていることを示唆した。もちろんガウック大統領は、トランプ氏の勝利をナチスの台頭と同列に並べたわけではない。しかし彼のコメントの底に、一抹の疑念が横たわっていることは明らかだ。 ドイツではトランプ氏の勝利は「想定し得る最悪の事態」と受け止められている。大半のドイツ人は、トランプ氏ではなくヒラリー・クリントン元国務長官が大統領になることを願っていた。彼らにとって、トランプ氏が大統領になることは、隣国フランスで、右派ポピュリスト政党「国民戦線(FN)」のマリーヌ・ルペン党首が大統領になるのと同じことだ。 「ポピュリスト・インターナショナルの急先鋒」 メルケル政権の閣僚たちによるトランプ批判は、首相や大統領よりもさらに露骨だった。同政権で副首相を務める、ジグマー・ガブリエル経済エネルギー大臣は「トランプ氏の勝利は、我々ドイツ人にとっての警告である。 彼は所得格差や社会の分裂に対する人々の失望を利用して票を集めた」と述べ、トランプ氏が取るポピュリスト的な姿勢を批判。 ガブリエル副首相は、「現在、世界各国の右派ポピュリストたちが強権的政治家のインターナショナル(国際戦線)を形成しつつある」と考えている。 このポピュリスト・インターナショナルにはロシアのウラジミール・プーチン大統領、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領、フランスのFNのルペン党首などが属している。ガブリエル副首相は「トランプ氏は、このポピュリスト・インターナショナルの先頭に立つ人物だ」と指摘した。 さらに同副首相は「トランプ氏が属する共和党は、時計の針を、旧態依然とした悪い時代に戻そうとしている。彼らは、女性は台所とベッドにいればよいと考えている。彼らは同性愛者を刑務所に押し込め、労働組合を冷遇しようとしている。口を開いたものは、公の場で攻撃される」と舌鋒鋭く批判した。 現在ドイツの政界やメディアは、「欧州で拡大しつつある右派ポピュリズム勢力にとって、トランプ氏の勝利が追い風となる」との懸念を高めている。 ドイツでも反イスラム、反EUの旗を掲げる右派ポピュリスト政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が、州議会選挙で連戦連勝を続けている。その支持率は10%を超えている。旧東ドイツの一部の地域では、有権者の3人に1人がこの党を選んでいる。 特に大きな不安の種は、西欧諸国との対決姿勢を強めるロシアのプーチン大統領が、トランプ氏に好意的な姿勢を示していることだ。米国大統領選挙の選挙運動の期間中に、暴露ポータル「ウィキリークス」が民主党の電子メール約2万通を公開し、米国の政治関係者に衝撃を与えた。ドイツ政府部内では「ロシアの諜報機関が民主党のサーバーからメールを盗み出し、クリントン候補を不利な立場に陥れるために、ウィキリークスに情報を提供したのではないか」という見方が強まっている。プーチン大統領は、トランプ次期大統領にいち早く祝辞を贈っている。 来年9月には、ドイツ連邦議会選挙が行われる。メルケル首相は「ロシアがサイバー攻撃によってこの選挙結果を左右しようとする危険がある」と述べている。 同盟関係への亀裂に重大な懸念 またドイツ政府のフランク・ヴァルター・シュタインマイヤー外務大臣は今年8月、トランプ氏を「ヘイト・スピーチの伝道師」と呼んでいた。シュタインマイヤー外相は、トランプ氏が勝利した後「この投票結果は、多くのドイツ人が願っていたものではない。トランプ氏が大統領になることで、多くの事が難しくなるだろう」と強い懸念を表明。 トランプ氏は、選挙運動の期間中に「米国は友人を必要としない。北大西洋条約機構(NATO)は役に立たない」と発言している。NATOは、米国に率いられて、第二次世界大戦後、ソ連の脅威から西欧を守ってきた軍事同盟である。その同盟を率いる最高司令官となるトランプ氏が、欧州防衛の要であるNATOの必要性を疑問視しているのだ。これは、欧州の安全保障にとって重大な脅威である。 シュタインマイヤー外相は、次期大統領のこの言動について、「今後は米国の外交政策について、先を見通すことが難しくなる。国際関係における大きな混乱が起きないことを望む」とコメントした。 ドイツ国防省のウルズラ・フォン・デア・ライエン大臣も、次期大統領が提唱する防衛政策に対する疑問を隠さなかった。彼女は「トランプ氏はNATO加盟国に対し、『あなたたちは軍事同盟にどのような貢献をしているのか?』と問うてくるだろう。だが我々も米国に対し、『あなたたちは、NATOの将来をどう考えているのか』と問うつもりだ」とコメントしている。 ドイツでは、トランプ次期政権が同盟国に対し軍事的な貢献を増大するよう求めてくることは不可避という見方が強い。これまでNATOでは、ある加盟国が軍事攻撃を受けた場合、他の加盟国はそれを自国への攻撃と同等と考えて反撃する義務を負った。いわゆる集団的自衛の原則である。だがトランプ氏は選挙運動の期間中に、「米国などNATO加盟国が反撃するのは、攻撃された国がNATOに対して十分な貢献を行っていた場合に限るべきだ」と主張した。 米国はこれまで他のNATO加盟国に対し、防衛予算を少なくとも国内総生産(GDP)の2%に増やすよう求めてきた。2015年の時点で29あるNATO加盟国のうち、米国(3.33%)を除くと、2%を超えているのはギリシャ(2.38%)、ポーランド(2.23%)、英国(2.09%)、エストニア(2.07%)の4カ国だけだ。ドイツの防衛費の対GDP比率は1.19%であり、米国の要求にはほど遠い。 政治の経験がゼロで、ビジネスマンであるトランプ氏は、歴代の大統領よりも、安全保障政策の上でコスト・パフォーマンスを重視するだろう。「外国の防衛ただ乗りは御免だ」という態度は、米国の庶民にもわかりやすい。今後米国が、同盟国に防衛支出の拡大を迫る可能性が強い。 ナチス時代への反省が国是 戦後の西ドイツ、そして今日のドイツ政府は、ナチス・ドイツが1930年代から1945年まで欧州で人種差別や他民族の迫害を繰り返したことに強い反省の意を示している。人間の尊厳を踏みにじったナチスの行為を二度と繰り返してはならないという決意は、ドイツの国是である。 ドイツの憲法に相当する基本法は、「人間の尊厳は絶対に侵してはならない。政府は、人間の尊厳を守る義務がある」という一文で始まっている。 メルケル首相や閣僚たちがトランプ次期大統領に拒否反応を示すのは、トランプ氏が選挙期間中に行った言動に、人種や宗教に基づく差別的な態度を感じ取っているからだ。 例えばトランプ氏は選挙期間中に、大統領に就任した場合、米国に不法に滞在している約1100万人の外国人を国外退去させる方針を明らかにしていた。この問題について、欧米のメディアはしばしば「deportation(移送)」という言葉を使う。これはナチスがユダヤ人を強制収容所へ移送した事実をも示す言葉であり、ドイツ人やユダヤ人にとっては、戦慄すべきイメージを伴っている。 もちろんドイツは、超大国である米国を無視することはできない。米国はドイツにとって重要な貿易相手国であり、ドイツは米国に防衛面でも大きく依存している。したがって、ドイツが今後トランプ政権との対話の道を探ることは確実だ(実際、メルケル首相は11月11日にはトランプ氏と初の電話会談を行っている)。しかしドイツ人が、トランプ次期大統領の全ての政策を無条件に受け入れることはない。人権、そして人間の尊厳の擁護は、ドイツにとって越えてはならないレッド・ラインだ。 ドイツ人は、過去のナチスによる犯罪に対する反省に基づき、この一線だけは譲らないだろう。トランプ氏がメキシコ人、イスラム教徒、同性愛者などに対して差別的な政策を取った場合、ドイツ人たちは、トランプ氏をはっきりと批判するだろう。 これが、ドイツと同じく米国と同盟関係にある日本政府との、大きな違いだ。私はドイツに26年前から住んでいる一市民として、ドイツ政府が11月9日に見せた毅然たる態度を、誇りに思う。
2016.11.15
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「大陸の真ん中が真の米国」、大統領選、叫ぶ反既得権層 2016-11-13 金成隆一 朝日新聞 初めてドナルド・トランプ(70)の集会を取材したのはちょうど1年前、テキサス州ボーモントだった。 飛行機で乗り合わせた米メディアのトランプ番記者が、空港から会場まで車に乗せてくれた。「お前、トランプをどう思う?」 私は「見ている分にはおもしろいが、すぐに脱落すると思う」と答えた。 すると番記者は「分かってないな。トランプの遊説場所を地図に落としたことあるか? ほとんど田舎だ。都会に来ても集会の場所はたいてい郊外だ。自分の訴えが誰に響くのかを理解しているんだ」。 番記者はアクセルを踏み込みながら、続けた。 「ハッキリ言おう。彼が共和党候補になる。支持者の熱気が違う。今日の集会を見れば、驚くぞ」 会場に着くと大勢の支持者が立ち上がって声援を送っていた。掲げるプラカードに、こう書かれていた。 「サイレント・マジョリティー(声なき多数派)はトランプを支持する」 集会後、支持者に話を聞くと、せきを切ったように不満を吐き出した。 「スペイン語が当たり前になっていることが不気味」と元教師のマックウィリアムス(59)は言った。食品店に並ぶ商品のスペイン語表示が増えているという。元国境警備隊員のウェイド(55)は「国境は抜け穴ばかり。トランプがやっと一大争点にしてくれた」と語った。 支持者に共通するのは、細かい政策など気にせず、単純なメッセージに共鳴していること。理屈よりも情念が勝っていた。私は頭を殴られたようだった。 それから1年間。かつて栄えた鉄鋼業や製造業が廃れ、失業率が高く、若者の人口流出も激しい「ラストベルト(さびついた地帯)」といわれる、オハイオ州やペンシルベニア州などを歩いた。そこは、トランプの支持が強い「トランプ王国」だった。(金成隆一) ■色あせる「アメリカン・ドリーム」 ドアをノックすると、ぶっきらぼうな返事が飛んできた。「開いてるぞ。靴も脱がなくていいぞ」 3月25日、オハイオ州ウォーレン。ジョセフ・シュローデン(62)は自宅で、おなかを突き出してソファで横になっていた。地元の製鉄所で40年近く働いた。 テレビからトランプのだみ声が流れる。「米国は負けてばかりだ。最後に勝ったのはいつだ?」「メキシコ国境に、誰も見たことのない美しい壁を造る」 シュローデンは笑っている。「本音を言う正直な男だ。プロの政治家じゃない。気に入ったよ」 もう少し支持の理由を教えてと頼むと、政治家への不信感を爆発させた。 「大型ハンマーも削岩機も知らない、ショベルの裏と表の区別もつかない政治家に俺らの何がわかる? 年金の受給年齢を引き上げようとする政治家は許さない。ヤツらは長生きするだろうが、俺の体は重労働でボロボロだ」 15歳から製鉄所の食堂で働き、高卒後は最もきつい溶鉱炉に入った。トランプが、社会保障を守ると言ったことがうれしかった。 「溶鉱炉の同僚の半分は早死にした。政治家なんて選挙前だけ握手してキスして、当選後は大口献金者の言いなり。信用できない」 街の衰退も腹立たしい。閉鎖された製鋼所などの名前を五つ、私のノートに書き込んだ。「3万人の雇用が消えた。人間は仕事がなきゃ幸せになれない。日本人も同じだろ、なあ?」 労働組合員で民主党の地区委員も務めたが、トランプの雇用対策を期待し、初めて共和党に移った。 学歴がなくても、まじめに働けば、子どもは親の世代より豊かになれる。明日の暮らしは今日よりも楽になる。米国の勤労精神を支えた「アメリカン・ドリーム」が色あせている。米国の実質賃金は50年ほどほとんど上がっていない。 7月。オハイオ州で共和党全国大会が開かれた。同州トランブル郡でトランプ支持者の代表を務めるデイナ・カズマーク(38)は「産業政策の失政の被害地域の一人」として招かれ、華やかな党大会を初めて見た。「異端児」が党の正式な候補者になった。 カズマークは4年前、職と弟を同時に失った。弟は失業中でヘロイン中毒だった。喫茶店とホテル清掃の仕事を掛け持ちしたが、精神的にきつい日々を送った。そんなとき、トランプの立候補演説を聞いた。「米国を再び偉大にする」という力強いメッセージに引き付けられた。寝る時間も削って応援に没頭した。「トランプは『忘れられた人々』の声になると約束した。衰退した地元を活性化してくれるはず」 10月1日。同州ヤングスタウンのバーで、失業中のジノ・ジオッポ(32)が悔しがっていた。「8カ月間で142社に応募したが、職が見つからない。街を出るしかないんだ」 1月に年収の半減を通告され、9年間勤めたガス採掘会社を自主退職した。 民主党を支持する両親に育てられ、州立大を2007年に卒業後、就職した。人生が暗転したのは、国際的なエネルギー価格の低迷がきっかけだった。なすすべがなかった。 生まれて初めて共和党候補を支持した。「民主党のオバマ外交は弱腰だ。トランプなら強い米国を取り戻してくれるはずだ」 エネルギー産業が盛況だった当時を振り返る。日当は最高で700ドル(7万円)に達した。日給1500ドルという先輩もいた。 「労働者にカネが入れば街が潤う。1泊79ドルのホテルが改装して300ドルになった。みんな笑顔だった」 取材の最後にジオッポは言った。「でも俺はビル・クリントン(元大統領)は好きだぞ。アーカンソーの貧困家庭からはい出てきた男だ。ヒラリー(クリントン民主党候補)に言っておいてくれ。『ビルを副大統領にするなら、支持してやる』ってな」 別のバーでは、溶接工のトマス・ビガリーノ(42)が携帯電話に保存されている作業現場の写真を見せながら、自分の仕事を説明した。天然ガスの大型パイプラインを屋外で溶接する仕事だ。「毎晩、疲労で手を握ることすらできなくなる。それでも、かつてのような中産階級になれない。掛け金が払えなくて、42歳で人生初の無保険になった」と酒をあおる。 州立大で経営学の学位を取得したが「ちっともいかせていない」。学費の借金は今も8万ドル。毎月700ドルの返済に苦しむ。「トランプに何を期待するか? 米国を再び偉大にしてくれりゃ、それでいいんだ」 ■抗議デモ映像に「負け犬!」 「米大統領にトランプ氏」。トランプ勝利を伝える記事を書き終え、私は9日、再びオハイオ州ジラードに入った。何度も通ったバーに行くと、支持者がトランプの勝利に酔いしれていた。 ところが、店内のテレビに「反トランプの抗議デモ」の映像が流れると空気が一変した。「負け犬!」「家に帰れ!」。彼らの願いが通じ、トランプ大統領は誕生するが、不満と不安は消えていない。 溶接工のトマス・ビガリーノ(42)は顔を真っ赤にして言った。「デモが起きているのはニューヨークやロサンゼルスなど大都市ばかりだ」 トマスは私のノートに米国地図を描き始めた。 「東海岸は政治家、大企業、銀行、マスコミで、西海岸はハリウッド俳優やシリコンバレー。どっちもリベラルの民主党支持者で、物価の高い街で夜ごとパーティーで遊んでいる。テレビが伝えるのは、エスタブリッシュメント(既得権層)のことばかりだ」 そう言いながら地図の両岸にバッテンを書き、民主党カラーの青で塗りつぶした。今度は、共和党カラーである赤のペンに持ち替え、地図の残りを真っ赤に染め上げた。 「大陸の真ん中が真の米国だ。鉄を作り、食糧を育て、石炭や天然ガスを掘る。両手を汚し、汗を流して働くのは俺たち労働者。今回は真ん中の勝利だ」 深呼吸して続けた。 「俺たちが本物の米国人だ。エスタブリッシュメントは外国に旅行するが、ここには来ない。自分たちが俺たちより賢いと思っているが、現実を知らないのは、こいつらの方だ」 すると、トマスの双子の兄フランクが来て「この地図、ちょっと違うな」と言い、ノートに何やら描き加え始めた。 「トランプが美しい壁を造るんだ」。国境に壁が描かれていた。=敬称略 ◇ 大統領選で米国は、トランプ氏が勝った中央部(赤)と、民主党のクリントン氏が勝った西海岸や北東部(青)に大きく二分された。激戦州のオハイオ州内を見ても、州都コロンバスや都市部クリーブランド、大学のあるアセンズではクリントン氏が勝ったが、それ以外の郊外ではトランプ氏の圧勝だった。
2016.11.13
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白人層の怒り・疎外感…「異端」トランプ氏を押し上げる 米大統領選2016ワシントン=五十嵐大介、金成隆一 ワシントン=峯村健司、ニューヨーク=真鍋弘樹 ワシントン=杉山正 2016年11月10日 朝日新聞 米国社会の底流にマグマのようにくすぶっていた「既成政治」への怒りが、ドナルド・トランプ氏を大統領の座にまで押し上げた。 「有権者の反乱」とも言える動きの主役となったのは、政治に置き去りにされ、中流層から落ちこぼれる不安を抱えた白人たちだった。 「今こそ一つに団結した国民になる時だ。分断で広がった傷を修復する時だ」 当選を確実にしたトランプ氏が9日午前3時前(日本時間同日午後5時前)、ニューヨークでの勝利演説で訴えると、白人が多く占めた会場から「USA」コールが沸き起こった。 「分断」を修復すると言うが、選挙戦でその分断をあおったのはトランプ氏本人だった。一部の政治家を「エスタブリッシュメント(既得権層)」と批判。移民や女性、イスラム教徒らマイノリティーへの侮蔑の言葉を吐き続けた。 差別的な暴言は多くの批判を浴び、共和党主流派も離反したが、一方で支持者には「わかりやすい言葉で、本音で語ってくれる」と映った。 鉄鋼業や製造業が廃れた「ラストベルト(さびついた地帯)」にあるオハイオ州トランブル郡で、支援活動を続けてきたデイナ・カズマークさん(38)は9日未明、「昨年6月に応援を始めてから、何度も『勝ち目はない』と笑われた。やっと私たちの声に耳を傾ける大統領が誕生する」と声を震わせた。 ペンシルベニア州レディングに住むリッチ・ハーゾグさん(68)はヒスパニック系移民への敵意を隠さない。街から工場が消えた代わりに移民が増え、人口の6割をヒスパニック系が占めるようになった。ナイフを使った事件が起き、治安が悪くなった。 ハーゾグさんは言う。「米国に変化が必要なことを、首都ワシントンの『エスタブリッシュメント』は気づかないが、トランプ氏は気づいていた。米国には国境の壁が必要なんだ」 ミシガン州デトロイト郊外のトラック運転手ロナルド・ミラーさん(50)も自宅で、トランプ氏の勝利に歓喜した。長年の共和党支持者だが、41代、43代の大統領を出した名門ブッシュ家が大嫌いだ。多くの若者が犠牲になったイラク戦争を何より許せない。 「エリートたちは権力維持が目的で、庶民のことなんて気にしない。この選挙は『クリントン王朝』の誕生を阻止し、エリートから権力を奪い返す革命なんだ。トランプ氏にはワシントンを破壊して欲しい」 「自分たちを代表する政治家がいない」という不満をため込む有権者の支持を得るため、トランプ氏は人種間や党派間の対立を利用して支持基盤を作り上げた。世の中を「敵」と「味方」に分ける手法が人々を引きつける。 分断そのものすら、今の政治が作り上げたものだと支持者たちは信じている。「ワシントンのエリート政治家たちこそが人々を分断している張本人ではないか。それを一つにできるのは彼しかいないんだ」。約30年前にトランプ氏に大統領選出馬を勧める運動を立ち上げた筋金入りの支持者、マイク・ダンバーさん(69)はそう語る。 「トランプ氏は、米国への『罰』なのでは」と例えるのは、政治評論家のアンドリュー・ドラン氏だ。「ワシントンに見捨てられた人々が、今の政治家、エリートたちを罰することのできる人間を選んだ。トランプ氏が自己陶酔的で能力がなかったとしても、他に選ぶことのできる政治家はいなかったのだ」(ワシントン=五十嵐大介、金成隆一) ■拒絶…戸惑うワシントン 大統領選で最大の敗者を挙げるなら、クリントン氏だけではなく、共和党も含めた既成政治の側だった。 「冗談だろう。国民は米国が破滅に向かってもいいと思っているのか」。9日未明、トランプ大統領の誕生が現実となり、米政府当局者は悲鳴を上げた。超大国を牽引(けんいん)していると自負する既成政治が、米国民から「破壊」通告を受け、打ちのめされている。 トランプ氏から最大の「既得権層」の象徴とされた民主党候補のクリントン氏にとっては勝てる選挙のはずだった。トランプ氏の選挙資金は半分ほどで、共和党は分裂状態で党主流派からトランプ氏への応援演説すらなかった。主要メディアもこぞって「トランプ氏不支持」を打ち出した。 民主、共和を問わず、政権中枢で政策を練ってきた担い手の多くが「反トランプ運動」に署名した。8月、ヘイデン元中央情報局(CIA)長官やネグロポンテ元国務副長官らが「史上最も無謀な大統領になる」と警鐘を鳴らした。 これに対し、トランプ氏は「権力にしがみついた腐ったワシントンのエリート以外の何者でもない」と一蹴。そして、米国の有権者は、既得権層の「常識」を覆した。 ウォールストリート・ジャーナル紙は「トランプ氏の想定外の勝利は、米国でめったに起きない政治の地震だ。政治とメディアのエスタブリッシュメントは途方に暮れた」と指摘。ワシントン・ポスト紙は9日、「選挙民からのサプライズ」と題した社説で「トランプ氏は大半の専門家の予想よりも力強い選挙戦をみせた。地方やラストベルトの有権者のエスタブリッシュメントへの深い恨みなど、探り出すべき多くの教訓がある」と記した。(ワシントン=峯村健司、ニューヨーク=真鍋弘樹) ■「変化望む」最多 CNN出口調査 CNNが約2万5千人の有権者を対象に行った出口調査では、現状に不満を持つ有権者がトランプ氏に投票したことが浮き彫りになった。 政府に対して、「不満」か「怒り」を感じている人は69%に上り、その58%がトランプ氏に投票した。「満足」か「非常に満足」と答えた人は29%だった。 この傾向は、今回の大統領選で勝敗のカギを握るとされた「ラストベルト」と呼ばれる産業が廃れた地帯でより強く出ている。 接戦州の一つとされたオハイオ州では、政府に対して「不満」か「怒り」を感じた人が71%で、全国平均よりも高く、そのうちトランプ氏に投票した人は65%となり、平均よりも7ポイントも高かった。 年齢が高くなるほど、トランプ氏へ投票する傾向も強い。18~29歳の投票先はクリントン氏が55%、トランプ氏が37%だった。45~64歳になると逆転し、クリントン氏が44%で、トランプ氏が53%となった。 また、白人の58%がトランプ氏に投票し、37%のクリントン氏を上回った。逆に、非白人でトランプ氏に投票した人が21%で、クリントン氏は74%だった。大学を卒業していない白人に限ると、トランプ氏に投票した人は67%に上った。 大統領に求める資質については、経験や判断より「変化をもたらすこと」が39%で最多。そのうち83%がトランプ氏に投じた。 軍最高司令官としての適性や外交政策に関しては、トランプ氏よりもクリントン氏に期待する意見が上回った。一方、経済への取り組みに関しては、トランプ氏に期待する声が多かった。(ワシントン=杉山正)
2016.11.10
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(分断大国、米大統領選)「それでもトランプ」 置き去りにされた人々の「最後の手段」 2016年10月23日 朝日新聞 米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ(70)は、米メディアから「無知、ペテン師」などと評され、人種差別・女性蔑視の発言で批判される。計3回のテレビ討論会でも劣勢を跳ね返せず、窮地に陥った。それでもなお、支持を続ける人たちがいる。なぜ、こんな人物が大統領候補になったのだろう。 ■廃虚の目立つ街「国に見捨てられた。エリート支配のワシントンを壊せ」 「トランプが国境を守れるように頑丈なフェンスを作っている」。米東部ペンシルベニア州シャロンのバーで、フェンス工場で働くロニー・リッカドナ(37)が冗談を飛ばした。 近くを流れる川沿いにはかつて製鉄所が並んでいた。グローバル化による国際競争に敗れて、多くは閉鎖や縮小に追い込まれた。一帯は典型的な「ラストベルト」(さび付いた地帯)と呼ばれ、工場や住宅の廃虚が目立つ。 「たまたま生まれたのがさびれた町だった」とグラスを傾ける。時代や生まれた所が違えば、違った人生があったはずだ、と。 大学でデザインや広告を学んだが就職できず、二つ目の大学で父と同じ航空管制を専攻した。2008年に優秀な成績で卒業し、連邦航空局に願書を出した。毎年書類を更新し、尿検査や身体検査も受け続けた。しかし、8年が過ぎ、年齢制限で出願すらできなくなった。「大学で借金7万ドル(約730万円)を背負ったが、国に見捨てられた」 6歳の息子を一人で育てる。「息子が俺のすべてだが、高校を卒業したら『この街をとっとと捨てろ』とはっきり言うつもりだ」 別れ際に本音が出た。ずっと民主党支持だったが、今回はトランプに投票するという。「あいつは大バカ野郎だ。人種差別的な発言もする。でも、権威ある相手にもひるまず、本音むき出しでやり返すカウボーイ。エリートが支配するワシントンを壊すため、1期4年だけ任せてみたい」 * 長く民主党を支持した白人労働者が悩みながらもトランプ支持に流れていく。 ラストベルトのど真ん中、オハイオ州ジラードに住む元道路作業員ジョン・ミグリオッジ(48)は民主党支持が強かった労働組合の元委員長だ。 父は小学3年の教育しか受けなかったが、勤務先の製鉄所で労組委員長を務めた。労働者を守る活動を代々誇りにしてきた。 街の衰退が心配だ。薬物汚染が広がり16歳のめいは過剰摂取で死んだ。地元紙は連日、若者の死を伝える。 現大統領のオバマや民主党候補のヒラリー・クリントン(68)ら政治エリートには「あなたに必要なことを、私はあなた以上に知っている」という「上から目線」を感じる。その割には、暮らしぶりは変わらなかった。 そんな時にトランプが現れた。「メキシコ人が薬物と犯罪を持ち込んでいる」「米国の自由貿易の交渉人たちはバカで、利益団体に操られている」 分かりやすい言葉でエリート政治家を敵に回す「規格外」の魅力があった。 ミグリオッジは「実業家のトランプに何ができるか、お手並み拝見したい。オバマ政権3期目になるヒラリーよりは期待できる」と話す。 * 労組は民主党の支持組織のはずだが、もはや一枚岩ではない。 ペンシルベニア州スティールトン。赤茶けた巨大な工場近くの人影のない事務所で、全米鉄鋼労働組合(USW)支部長のレイモンド・ナポリ(63)は「将来を懸念する組合員も多い」と表情を曇らせた。壁には「ストップTPP」のポスターが貼ってある。 ナポリが勤める鉄鋼の世界最大手アルセロール・ミッタルの工場は今年、売却話が出た。業況は悪化し、5カ月前に比べ勤務時間は半減。年収も平均で約4万ドル(約410万円)に半減した。 組合は組織としてクリントンの推薦を決めたが、約500人の組合員の3割がトランプを支持する。「白人労働者が考えていたことを口に出してくれる人が、ようやく現れたのだろう」 一方で、トランプの「暴言」は確実に票を減らしてもいる。イスラム教徒やヒスパニック、女性を侮辱する発言が原因で、学校で「トランプが大統領になったら、お前は壁の向こうに行く」などと言う、いじめの事例が相次いでいる。 同州の約18万人の教員でつくる労組のワイズ・キーバー(57)は「教育に携わる者として今回の選挙はいつになく重要だ。どんな子どももいじめられるべきでないというのは最低限譲れない」と憤る。一度はトランプに流れた支持が、また離れつつあるという。(敬称略) (シャロン=金成隆一、スティールトン=五十嵐大介) ■ハチに刺された民主主義の行方 「トランピズム」という言葉が米国で生まれている。トランプ的ポピュリズムといった意味である。 グローバル経済によって中間層からこぼれ落ちた白人労働者層の不安、怒りと、そこから生じた反エリート、反移民、反自由貿易の情念……。あえて説明すると、こうなるだろう。 トランプ氏の支持者たちは、もっと簡潔にこう言う。自分たちは置き去りにされている。これは他に選択肢のない「最後の手段」なのだと。 首都ワシントンが「ベルサイユ宮殿」に見える。 政治評論家のアンドリュー・ドランさん(41)は現状をそう例える。なぜ、トランプ氏のような「怪物」が支持されるんだと友人が嘆くのを聞き、気づいた。 「フランス革命の際の農民のように人々が苦しんでいるのに、ワシントンの住人は全く気付いていない」 約180年前に書かれた名著「アメリカの民主政治」の筆者トクビルがトランプ氏の台頭を知ったとしても、意外には思わないだろうという。「トクビルは米国の個人主義と自治に強い感銘を受けた。それなのに、今の米国の政治は『普通の人々』から遠く隔たっているのだから」 トランピズムは決して新しい現象ではないと指摘するのは、ポピュリズム研究の第一人者、ジョージタウン大学のマイケル・カジン教授だ。人民主義、大衆迎合政治とも訳されるポピュリズムという言葉は、そもそも米国で19世紀末に「人民党」と名乗った農民中心の政治運動から生まれた。 「痛みを感じている人々がいるのに、政治が具体的な解決策を示せず、従来のやり方を続ける。苦しんでいる人々を代表する政党も組織もない時にポピュリズムは生まれる」 ポピュリズムの語源はラテン語の「人々(ポプルス)」という言葉だ。 多民族国家・米国では、「人々」と言っても一様ではない。トランプ氏の支持者には大卒未満の中下層白人が多いが、黒人やヒスパニック系など少数派の大部分は反発している。米国社会に走る断層をさらに押し広げることで、トランプ氏は足場を築いた。 米国の民主主義の危機とは、トランプ氏を選ぶ人々ではなく、「他に選択肢がない」政治そのものだ。人々の統合を目指すはずの選挙が、逆に分断を進める。 米国の歴史家、リチャード・ホフスタッターは、トランプ氏のようなポピュリズム政治家を「蜂」に例えた。一度刺すと針が取れて死んでしまうように、いくら支持を集めても、それは一時的なもので終わるのが定めだという。 トランピズムという蜂に刺された米国の民主主義は、これからどこへ行くのか。トランプ氏が大統領選で勝とうが負けようが、彼を支持した「人々」は決して消えはしない。 (ニューヨーク支局長・真鍋弘樹) ◆キーワード <米国の製造業> 米国の製造業の就業者数は戦後、自動車産業などを中心に増え続け、ピークの1980年前後には2千万人近くに増えた。その後も生産額は増えているが、生産の自動化や国外移転などが進み、今では約1200万人程度にまで減っている。
2016.11.02
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(朝日新聞・社説)ハンガリー、不安あおった国民投票 2016年10月5日 朝日新聞 戦火や迫害を逃れてきた人を守るのは、国際社会の一員として重要な責任だ。 もちろん、難民受け入れには国民の不安が伴う。だからこそ政府は、その意義を冷静に説く姿勢が欠かせない。 逆に「犯罪が増える」「テロリストが紛れ込む」と政府が宣伝し、不安をあおれば、世界の人道主義は成り立たない。 難民を分担して受け入れることを決めた欧州連合(EU)の政策の是非を問うハンガリーの国民投票で、投票者の98%が「受け入れ反対」に投じた。 有効投票が有権者の過半数に届かず、結果は無効となる。それでもオルバン首相は、民意は示されたとして、自らの主張に沿った憲法改正を行い、政策の撤回をEUに迫る構えだ。 首相は投票を前に、すべての難民を不法移民と決めつけ、リスクばかりを強調した。客観的な判断材料が国民に提供されておらず、理性的な民意が示されたとは到底いえない。 昨年、大勢の難民や移民が欧州に押し寄せると、オルバン政権は国境にフェンスを築いて阻止する姿勢を鮮明にした。現在も流入する難民に対する警官の暴力が絶えない。 治安優先を掲げ、EUから決定権を取り戻す「強い政治指導者」を演出すれば、経済低迷への国民の不満をかわせる。そんな思惑が透けて見える。 だが、自身の支持固めを優先して民主国家の責任や人権重視の価値観を軽んじるのは、ゆゆしきポピュリズム政治だ。オルバン政権が尊重すべきは、むしろ投票を棄権した5割を超える「声なき声」である。 懸念されるのは、今回の国民投票のように、難民という人道危機を政治利用する風潮が広がっていることだ。 ポーランドやスロバキアなど中欧諸国の政権も、保守層の支持を意識して難民受け入れに難色を示す。 グローバルな課題に結束して取り組むEUの求心力を損ないかねない動きだ。 東欧や中欧の国々の政治家には、自分たちの20世紀の歴史を思い起こしてもらいたい。 旧ソ連の軍事的脅威にさらされ、自由と民主主義を希求してEU加盟を果たしたのではなかったか。国境が開かれているおかげで自国の若者が外国で活躍するチャンスを得られている。 長い目で見れば、移民や難民が経済を活性化する源になってきた事実も、国民に丁寧に説明すべきだろう。 難民や移民が急増する世界の中で何ができるか。日本でも積極的な議論を盛り上げたい。
2016.10.05
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反難民、あおるハンガリー、受け入れ分担の是非問う投票 (ブダペスト=喜田尚)2016年10月1日 朝日新聞 ハンガリーで2日、欧州連合(EU)が昨年決めた難民受け入れ分担の是非を問う国民投票がある。 政府は、国民の総意で拒否の姿勢を示すよう訴え、「受け入れ反対」が多数を占めるのは確実な情勢だ。ただ政府キャンペーンに対して人権団体などは「難民への憎悪をあおる」と批判。「やり過ぎ」との声は政権支持者にも出ている。 汚れた服で荷物を担ぐ人々が長蛇の列を作る写真。さらにページをめくると、男性が石を振り上げ、何かを壊そうとしている写真があった。「混乱」や「暴力」をイメージさせるものであるのは明らかだ。 国民投票に向けたハンガリー政府作製のパンフレットだ。20ページ総カラー。9月から全戸配布が始まった。 見出しは「私たちには、誰と一緒に住みたいか決める権利がある」とうたう。「難民」という語句は一切ない。「昨年150万の不法移民が欧州に来た」としており、シリアなどの紛争を逃れた人も「不法移民」とみなすものだ。 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)中欧代表部のババル・バロ報道官は「排外主義をあおるやり方を強く懸念している」と語る。 極右政党を除く野党はみな、国民投票を「政権の人気浮揚策」と批判する。 しかし多くは棄権を呼びかける一方で、EUの受け入れ分担策も批判してきた。 7月の世論調査では、与党や極右の支持者の8~9割、野党支持者も6割が国民投票で受け入れ反対票を投じると答えた。 昨年9月まで、ハンガリーは西欧を目指す人々の経由地だった。だが政府は国境フェンスを建設して入国を阻止。それ以後、ほとんどの国民は直接難民を目にする機会がない。 難民を支援する「ハンガリー・ヘルシンキ委員会」のリーデレル・アンドラーシュ氏(36)は「本当の難民の姿が見えないまま、国営テレビが『テロリスト』『経済移民』と描き続け、憎悪があおられた」と嘆く。 ■首相、国内の支持固め狙う オルバン首相は「ブリュッセル(EU本部)に対して、明確なメッセージを」と訴える。ただ、首脳会議で決まったEUの政策を加盟国の国民投票で覆すことはできない。狙いはむしろ、国内の支持固めだ。またEU内で自らの存在感を高めることももくろむ。 研究所「ポリティカル・キャピタル」のアナリスト、フニャディ・ブリュチュ氏(36)は「オルバン氏は、各国に広がるポピュリストやEU懐疑派の勢いに着目し、自分を『大衆の声を実現する強い政治家』の代表に見せようとしている」と分析する。 政権の唯一の懸念材料は投票率だ。成立には50%が必要だが、各種世論調査で「必ず投票に行く」と答えているのは4割前後。たとえ成立しても投票率が低ければ、オルバン氏が期待する「勢い」はそがれる。 政府のキャンペーンを「過剰」と批判する声は支持者の中にもある。首都ブダペストの会社員コバチ・レナートさん(41)は難民の受け入れには反対だが、「政府がこの問題ばかりとり上げるのは、経済などほかの深刻な問題を隠すためだと思う」と話した。 市民団体「二つの尾を持つ犬の党」は政府広告のパロディー版ポスターを貼る「対抗キャンペーン」を始めた。幹部のドゥダッシュ・チョボさん(50)は「問題は賛否じゃない。ヘイトキャンペーンや排外感情をあおる政治は社会に取り返しのつかない禍根を残す」と話した。(ブダペスト=喜田尚) ◇ 〈欧州連合(EU)の難民受け入れ分担〉 EUでは本来、難民の受け入れは最初の上陸国が責任を負う。しかし密航船でイタリアやギリシャに渡る人々が激増。負担を軽減するため、EUは昨年、両国に到着した計16万人を他の加盟国で分担して受け入れると決めた。しかし、受け入れ反対のハンガリーとスロバキアは欧州司法裁判所に提訴。分担が実現したのは6千人に満たない。
2016.10.01
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難民対応で問題認める=「時計の針戻したい」―独首相 2016-9-20 時事通信 【ベルリン時事】18日のベルリン市議会選挙で「反難民」を掲げる新興右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が躍進し、 国政与党が大きく後退した結果を受け、ドイツのメルケル首相は19日の記者会見で、中東などからの難民受け入れ対応に問題があったことを認めた。 難民への寛容姿勢を貫く首相の方針には、国民の不満が根強い。首相としては、こうした世論に配慮することで、 来秋の連邦議会(下院)選までに国民の反発を和らげたい考えとみられる。 首相は会見で、昨年殺到した難民の問題を十分に管理できない時期があったとし、「あの状況の再来は、私を含め誰も望んでいない」と強調。 「できることなら時計の針を何年も戻し、政府全体で備えをしっかりし直したいくらいだ」と率直に語った。 難民受け入れの決意を込めて首相が昨年用いた「われわれは成し遂げられる」というスローガンについても、 「ほとんど空虚な決まり文句」になってしまったと指摘。今後は使用を控える考えを改めて示した。 ただ、人道的見地から難民に国境を開いた判断自体は「完全に正しかった」と明言。連立与党の一部から出ている 受け入れ上限設定要求をのまない立場も崩しておらず、今回の「反省」が首相と与党の人気回復にどの程度つながるかは不透明だ。
2016.09.22
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「人道主義」が招いた混乱、出口なきドイツ難民問題 川口マーン惠美(作家、拓殖大学日本文化研究所客員教授) 2016年09月14日 読売オンライン 中東などから押し寄せてくる難民の波に翻弄されるヨーロッパの国々。難民受け入れの旗振り役であるドイツで、その流れに反対する声が大きくなり、混乱に拍車をかけている。一体どうしてこんなことになってしまったのか。ドイツ・シュツットガルト在住の作家、川口マーン惠美さんに寄稿してもらった。 メルケル首相のお膝元で厳しい審判 「過去数か月に行った根本的な決定は正しいと信じている」 中国・杭州で開かれていた20か国・地域(G20)首脳会議に出席していたドイツのメルケル首相はこう言うのが精一杯だった。9月4日に旧東独のメクレンブルク・フォアポンメルン州で行われた州議会選挙で、メルケル首相のキリスト教民主同盟(CDU)が大敗北を喫したことへのコメントだ。この州はメルケル首相の選挙区でもある。 敗北の原因は明らかだ。メルケル首相が推し進めてきた「寛容な」難民受け入れ政策に対する反発が高まっているのだ。メルケル首相は「私に責任があるのは明白」と認めたが、政策そのものは間違っていないとの認識を示した。 ドイツが大量の難民を受け入れるようになったのは、それほど昔のことではない。メルケル首相が“Wir schaffen das(私たちにはできる)!”と言ったのが昨年8月31日。「困っている難民を受け入れよう。私たちにはそれができる」という意味だ。 欧州連合(EU)ではダブリン協定により、難民の申請はEU域内に入ってからしかできないと決まっている。しかも、難民が最初に足を着けたEUの国が、その難民を登録し、保護しなければならない。また、難民を勝手に通過させて、他のEU加盟国に出すことも禁じられている。そのため、ここ数年、EUの南の外壁となっていたイタリアやギリシャに、アフリカや中東の難民がたまりにたまって、あちこちで混乱が起こっていた。 ハンガリーも難民が大量に入った国の一つで、昨年の8月、ドイツに行きたい難民たちがブダペスト駅やその周辺に籠城し、惨状を呈していた。 それを見かねたメルケル首相が、ハンガリーにいる難民を例外的に受け入れる宣言をしたのが9月4日。こうしてダブリン協定は停止され、ドイツによる前代未聞の難民受け入れが始まったのである。 プラカードを手に難民を歓迎 それまでの難民は、アフリカ大陸からボロ船で地中海を渡り、イタリアやギリシャにたどり着くケースがほとんどだった。だが、メルケル首相の一言に勇気付けられる形で、シリア、イラク、アフガニスタンなどの祖国を捨て、バルカン半島を北上してくる難民が急増した。それに便乗して、アルバニアやコソボやセルビアからも経済的な理由でドイツを目指す人たちが続々とやってきた。 ドイツの心優しき市民は、特別列車で到着する難民を“Welcome to Germany(ドイツへようこそ)”、“I love refugees(私は難民を愛している)”などと書いたプラカードを持って歓迎した。何万もの人々が古着を寄付し、難民施設へ奉仕活動に駆けつけた。メディアもそうした人々を「素晴らしい国民」と褒め称たたえた。 2015年秋、文字通り、中東やアフリカ、東欧からドイツへの民族大移動が展開していた。寒くなってもその数は減らず、11月だけで30万人がドイツに入った。 当時も、「難民を無制限に入れるのはよくない。上限を決めるべきだ」という意見はあった。イスラム教徒の若い男性ばかりが増え続けることに不安を表明した人たちもいた。 本来、難民とは政治的な迫害、あるいは戦禍のため、母国で生活し続けるのが困難になった人たちのことを言うが、ドイツに着いた大量の「難民」の中には経済的な理由だけで母国を後にした人が多く混じっていたし、イスラム過激派が潜んでいる可能性もあった。しかしそれらの意見はいずれも、非人道的、反民主主義的であると退けられた。 懸念の声を一蹴したメルケル首相 そのうちハンガリーのオルバン首相が、自国を通過していく難民のあまりの数に恐れをなして国境を閉じると、ドイツのメディアはそれを声高に非難した。一方、メルケル首相が難民施設で、難民の男性と仲良くツーショットで自撮り写真に納まると、それは美談として広められた。 そのかたわらで、難民の受け入れを義務付けられたドイツ国内の州や自治体は困窮していた。何万人もの言葉の通じない人々を相手に、衣食住の供給と費用負担の増大……と、全てが至難の業だった。 難民の数の上限を決めるべきだという意見は根強かったが、メルケル首相は、「上限を決めたら、それを超えた1人目は追い返すのか? そんな国は私の国ではない」と、断固拒否した。EUで一番強い人間が、人道という葵(あおい)の御紋を掲げてそう言ったのだから、もう、この波にブレーキをかけられる者はいなかった。 難民は善で、それを受け入れるドイツ国民も善だという空気が熟成された。 こうして、15年、隣人愛にあふれたドイツに、計110万人の難民が入った。 この「難民ようこそ政策」の背景には、人道以外にどのような動機があったのか。四苦八苦する自治体をよそに、住宅建設など難民ケアに繋つながる業種は特需景気に沸いていた。政府は「良い技術者の確保」、「少子化対策」などを挙げて、難民は“ドイツのチャンス”であると宣伝していた。 しかし実際には、「良い技術者」よりも、「安い労働力」を期待する産業界がメルケル首相の背中を押していたことは確かだ。そして何より、メルケル氏が、世界からドイツに寄せられる信望で、自らの権力がさらに膨れていくのを意識していないはずはなかった。 ビジネスと化した難民問題 難民は、何千キロもの距離を自力で移動してくるわけではない。彼らをEUに運ぶのは、国際的な犯罪組織である。中東難民の中継地はトルコ(トルコはシリアともイラクとも国境を接している)。そこから、「運び屋」がぼったくり値段で難民をボートに乗せてギリシャの島に出す。 いくつかのギリシャの島はトルコから目と鼻の先だ。そこに到達した難民はフェリーでギリシャ本土へ渡り、その後も、やはり「運び屋」の誘導により、車や徒歩でバルカン半島を北上する。難民ビジネスは、今、麻薬よりも、人身売買よりもはるかに儲もうかる一大産業になっているという。 つまり、ドイツに到達する難民は、間違いなくお金と体力のある人たちなのだ。本当に貧しい難民、特に子連れはトルコまでも来ることができず、ヨルダンやレバノンの難民収容所で行き止まっている。 メルケル首相の軌道修正、他国はそっぽ 一方、このころメルケル首相も、難民問題のタガが外れかけていることは察知していたと見え、「EUレベルの解決策」を模索し始めた。彼女はEU諸国に向かって、ギリシャにたまっている難民を皆で手分けして受け入れようと呼びかけた。 しかし、これを良いアイデアだと思った国はなく、南欧諸国は、口では賛成しながらも体良く無視を決め込んだ。一方、東欧の国々は、「ドイツが好きで入れた難民だ。自分たちで対処しろ」という不快感を隠そうともしなかった。 すでにギリシャ金融危機への対処で亀裂が入っていたEUは、難民問題でさらに分解し始めた。「ヨーロッパは一つ」という美しい理念は、各国の利害の前に、風前の灯となっていた。 そうするうちに、11月、パリで無差別同時テロが起こった。犯人は、難民としてEUに入っていた男たちだった。 ドイツ国民の間にも不安が走ったが、それでもなおドイツ政府は、難民全員を危険視することは間違いだと主張し、メディアも難民擁護の姿勢を貫いた。しかし、ドイツの難民フィーバーは、その年の12月31日、一瞬で冷めることになる。ケルンの中央駅前広場で集団女性暴行事件が起こったからである。 分水嶺となったケルンの集団暴行事件 ヨーロッパの大みそかは、大勢が戸外に繰り出し、深夜、カウントダウンで新年を祝う。しかしこの日のケルンでは、その平和な祭りの場が、すでに夜10時頃より不穏な雰囲気に包まれていたという。何千人もの「ドイツ語を話さない男性」や「中東や北アフリカ風の男性」が、まるで湧き出したように広場を埋め尽くしていた。そして、そんなことを知らずにやってきた女性たちが、あっという間に包囲された。 被害者の証言によれば、徒党を組んだ何十人もの男性が、身動きの取れなくなった女性たちに、執拗(しつよう)な性的暴行を加え、ついでにスマホや財布まで盗んだ。警察はこのような事態を予測しておらず、人員不足のため、混乱をただ眺めているしかなかったという。被害届は700件を超えた。 ただ、国民が本当に怒ったのは、そのことだけではなかった。このニュースがようやく1月4日になって報道されたからだ。なぜ4日もかかったのか。しかも、その報道でさえ、当初は、容疑者の多くが難民申請中の男性であることが伏せられたままだった。 「メディアは何をしている?」「国民の人権より難民の人権の方が大切なのか?」 多くのドイツ人は、当局にもメディアにも、そして難民にも裏切られたように感じたはずだ。これが、ドイツにおける難民論議の分水嶺れいとなった。 「解決策」第2弾を打ち出したが…… 困ったメルケル首相は、「解決策」の第2弾を打ち出した。すでにトルコまできて、ドイツに渡るスキをうかがっている250万人もの難民を、そのままトルコに留め置いてもらおうという画期的(!)な作戦だ。その見返りとして、資金援助もしよう、トルコ国民のEUへの入国ビザも撤廃しよう、EU加盟交渉も再開しよう、といった呼び水が用意された。 ただ、多くの人は反発した。難民の運命をトルコに委ねるやり方は、お金の力で臭いものにフタをするようにしか見えない。それでもメルケル首相は強引にEUを説得し、3月、EUとトルコの間でこの取引を成立させた。国内ではメルケル氏の人気は急降下した。 そのころドイツの隣では、やはり増え続ける難民にしびれを切らしたオーストリアが、スロベニア、マケドニアなど、難民の通り道になっている国々を支援して国境を閉じさせ、バルカンルートを遮断するという実力行使に出た。EUの肝は国境の廃止であるから、これはすでにEU解体への第一歩とも言える。しかもこのころ、難民受け入れに上限を作らないと言いながら、実はドイツ国境もすでに厳戒状態だった。 EU内で深まるドイツの孤立 バルカンルートが閉鎖されたあと、どうにかしてEUに入りたい難民は、再び危険な地中海ルートに回帰した。8月30日には、たった1日だけで、ボロ船で地中海を漂っていた難民が計7000人も救助された。 難民問題は一切解決していない。解決のメドさえ立たない。EUと外の世界を隔てる「壁」の外にいる人たちは、壁の向こうに楽園があると信じている。だから、どんな危険を冒しても越えようとする。それは、水が高きより低きに流れるように、防ぐことのできない現象だ。 メルケル首相は、昨年夏に「難民を受け入れる」と言って、その壁に外から来た人を招き入れる「ドア」を作った。しかし、それは実質的には半年余りしか続かず、再びドアは閉じられた。結果としてドイツはEUで孤立し、しかもEUがバラバラになりかけている。 6月にEU離脱(Brexit)を決めたイギリス人も、ドイツに入った難民がいつかドイツの国籍を得て、EU市民としてイギリスに移住してくることを恐れていたとも言われている。いずれにしても、メルケル首相の「人道主義」はあまりにも弊害が多かったと、ドイツ人は気付き始めている。 ゆらぐメルケル政権の足元 一方、メルケル首相の失策で漁夫の利を占めたのが、13年生まれの新党、「ドイツのための選択肢」(AfD)だ。メディアが「右派ポピュリスト」と呼んで毛嫌いするこの党は、現在、各地の州議会で急激に議席数を伸ばしつつある。メルケル首相に反発した多くの有権者が鞍(くら)替えしたのである。 AfDは難民問題に関しては首尾一貫、数の制限と、秩序だった受け入れの必要性を主張してきた。また、膨張するイスラム勢力に国民が漠として感じている不安にも真摯しんしに向き合う姿勢を見せてきた(もっとも、それをポピュリズムと批判しているのが、ドイツの既成の政党とメディアではあるが)。 旧東独のメクレンブルク・フォアポンメルン州は小さくて、普段はあまり重要視されないが、9月4日の州議会選挙は、来年の総選挙の試金石として注目された。ここはメルケル首相のお膝元であり、現在、ドイツ人の関心事であるメルケル首相4選の有無も、今回の選挙結果と無関係ではないとみられる。 結果はAfDの一人勝ちだった。社民党(SPD)は第1党の座を維持したものの、得票は最低を記録。メルケル首相が率いるCDUは、彼らが蛇蠍(だかつ)のように嫌っていた「右派ポピュリスト」であるAfDに及ばず、第3党に転落した。第2党にのしあがったAfDは、連立を組む相手がおらず、与党にはなれないが、存在感を増した。 今月18日には、ベルリン市議会(州議会扱い)の選挙も控えている。このままではまた大敗してしまうので、メルケル首相が何と言おうが、おそらく難民政策の修正は必至だろう。悪化しているトルコとの関係修復、経済難民の速やかな送還など、対処すべき問題は山積している。ただ、どれも言うは易やすく、行うは難かたしで、混乱は避けられそうにない。 それにしても、ドイツの政治をここまで見通せなくしてしまったメルケル首相の責任は誠に大きいと、今さらながらに思う。
2016.09.18
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選挙公報ってのは・・・!!! 2016-7-8 (はんぺん) 先日、期日前投票に行ってきた。大阪選挙区は、自民党への(一極集中)を嫌って、渡辺 結(共産)に投票した。自民党一党独裁は、ロクなことはないから。 しかし、その渡辺候補の(選挙公報)を見て・・・・ガッカリした。 「公報」には、こうある・・・・ ―――――――――――――――――――――――――――― 「戦争法(安保体制)は廃止。憲法9条にもとづく平和外交戦略を」 私が、大阪外国語大学で学んだのは、言葉がわかれば各国の人々と直接ふれあい、よりわかりあえると考えたからです。 沖縄の基地問題やTPPなど、なんでもアメリカ言いなりの政治を転換します。 民族や文化の違いを お互い尊重しながら、自主的で、憲法にもとづいた平和の外交をすすめます。 紛争を戦争にしない。 「北東アジア平和協力構想」をすすめます。 ――――――――――――――――――――――――――――― とある。 皆さんは、真剣に、これを読んで、どう思いますか?? 僕のは、あまりにも 現実離れした「絵空事」だと思った。 「憲法に基づいた平和外交」をどうすすめるのか? お聞きしたいものだ! 「言葉がわかれば、より分かり合える・・・」のであれば、世界の平和は、はるか昔に、実現していますよね! 「アメリカの言いなり」だから、なんでも反対するのですか? (基地問題)(TPP)それぞれ、正の部分、負の部分があるハズだが、アメリカの言い分にも、耳を傾ける余裕が無ければ、 外交を進めることは、出来ないのでは・・・? 外交とは、そういうものでしょう? (日本の平和と安全)にとって、アメリカの基地の存在が、「脅威」なんですか? この「選挙公報」は、(皆さんの家庭にも届けられているから、是非、確認してください) ・・・本当の平和の「脅威」である、北朝鮮の核・ミサイル開発や、中国共産党独裁政権に寄る南沙諸島や尖閣周辺への挑発・恫喝に、 一言も触れられていない!!!!!! それで、どうして、「平和」が守れるのですか? そして、共産党の「北東アジア平和協力構想」をすすめます・・・・となる。 この戦略とは、いったいどういうものか?? この「公報」からは、逆立ちしても、中身が見えてこない。 たいていの共産党や社民党の人たちは、「戦争は、いけません。話し合いで・・・」「国連に相談して・・・」と答えてきた。 これは、「赤旗」などにも書いていますね。これでは、答えになっていないと思う。 共産党だけでなく、社民党や新社会党っといった、「リベラル」たちは、どういうわけか、平和を語るときに、 北朝鮮や中国の脅威を語らず、「戦争反対」「憲法守れ」だけで、国民をごまかしてきた。 これで、国民を説得できるのか? 皆さんの意見を、お聞きしたいと思う。 (はんぺん)
2016.07.09
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こういう人物を都知事に選んだ者の責任は、どうなるの? 有権者が、(その人となり)を見抜く力が無ければ、民主主義的と言われている選挙は、堕落するしかないと思うが・・・・ (トランプが大統領になったら、世界は、どうなるの・・・)と心配する人がいるけれど、悲しいかな、それが選挙というものだ。 現代社会では、マスコミの責任は、限りなく大きいが、天にツバするのが、選挙であって、結局、自身に、跳ね返ってくる。 皆さんは、どう思われるか? (はんぺん) ―――――――――――――――――――――――――――― 舛添要一は「確信犯的タカリ体質」 新党改革・山内元事務総長が激白 2016-5-31 夕刊フジ 東京都の舛添要一知事(67)の「セコさ、卑しさ」を、目の当たりにした人物がいる。 舛添氏が代表を務めた新党改革で、事務総長を務めた元側近、山内俊夫元参院議員(69)だ。舛添氏の逆ギレ記者会見(27日)に批判が集まるなか、夕刊フジの単独インタビューに応じ、舛添氏を「確信犯的タカリ体質だ」「こんな人物を首都の知事にしておけない」と切り捨てた。週刊誌が報じた「借金2億5000万円返済」疑惑についても、法的措置を検討していることも明かした。 新党改革は、山内氏や渡辺秀央元郵政相らの「改革クラブ」が、自民党が下野した後に離党した舛添氏を「代表」として迎え入れ、2010年4月、党名を変更して再スタートした。 山内氏は「舛添氏は『自民党の歴史的使命は終わった』といい、勢いよく自民党を飛び出した。当時、国民的人気は高かったが、(自民党議員は)1人しか付いてこなかった」と振り返る。 同年7月の参院選に向けて走り出すはずだったが、舛添氏は「忙しい」と言って候補者の選定作業なども任せきりにし、候補者に公認料を渡そうとしなかったという。山内氏は続ける。 「結局、彼は自分のことしか考えていない。『自分の知名度で200万票ぐらい取って、政党交付金をもらえる政党要件だけ満たせばいい』といった発想だった。党のために汗をかいた候補者のことなど、どうでもよかったのだろう」 舛添氏の狙い通り、新党改革は参院選比例代表の得票率が2%を超え、16年まで毎年約1億2000万円の政党交付金を受給することになった。 「10年の参院選後、舛添氏は手のひらを返したかのように候補者に支部の解散を命じた。支部があれば運営費がかかるからだろう。引退したわれわれ元議員も『あなたたちはバッジがないので、もう関係ない』と排除された。党は乗っ取られ、党のカネは舛添氏が(事実上)独り占めした」 舛添氏は13年7月の参院選に出馬せず、翌14年2月の都知事選で初当選した。知事選出馬に伴い、舛添氏が代表を務めた新党改革比例第4支部は解散したが、直前、当時の資金管理団体「グローバルネットワーク研究会」(現在は解散)に計約526万円が寄付されていた。週刊文春19日発売号は、これを「ネコババ疑惑」と報じた。 文春は都知事選直前の14年2月にも、「舛添要一 投票直前スキャンダル!」「政党助成金で借金2億5000万円返済」という衝撃的記事を掲載している。舛添氏が勝手に約2億5000万円を借金し、政党助成金などで返済していたという内容だ。 山内氏は「2億5000万円の件で、舛添氏に対する法的措置(=背任など)を考えている。近く弁護士と協議する予定だ」といい、続けた。 「舛添氏は、正月の家族旅行(=千葉県の温泉施設)で『会議をした』を説明していたが、新党改革時代、あれほど会議が嫌いな男はみたことがなかった。あの言い訳はあり得ない」「彼は今、何とか6月1日まで知事職にとどまって、ボーナス(約381万円)をもらおうとしているのではないか。あんな人物を東京都知事にしておくわけにはいかない」
2016.06.04
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アルメニア事件は「虐殺」、独下院が決議、トルコ反発 2016-6-2 産経新聞 ドイツ連邦議会(下院)は2日、オスマン帝国末期の1915年に始まったとされるアルメニア人殺害事件を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と非難する決議を与野党の賛成で採択した。 事件を「虐殺」と認めていないオスマン帝国の後継国トルコは、決議採択に反発し、駐ドイツ大使を本国に呼び戻した。 アナトリア通信などによると、トルコのユルドゥルム首相は今後の対応を協議するための措置だと説明し、決議を「過ちだ。われわれの過去に、恥ずべき事件などない」と批判した。 トルコ政府はドイツの在トルコ大使館幹部を外務省に呼び出した。 ドイツは当時、オスマン帝国の同盟国で、議会にはドイツにも一定の責任があるとの声が根強い。だが決議採択を受け、トルコとドイツの関係が悪化し、欧州連合(EU)とトルコが合意した難民流入抑制策に悪影響を与える恐れもある。(共同) ウイキぺディアから・・・・アルメニア人虐殺は、19世紀末から20世紀初頭に、オスマン帝国の少数民族であったアルメニア人の多くが、強制移住、虐殺などにより死亡した事件。ヨーロッパ諸国では、特に第一次世界大戦に起きたものをオスマン帝国政府による計画的で組織的な虐殺と見る意見が大勢である。それによれば、この一連の事件は「アルメニア人ジェノサイド」と呼ばれ、21世紀に至る現代でも、オスマン帝国の主な継承国であるトルコ共和国を非難している。トルコ政府は、その計画性や組織性を認めていない。 以下、映画『消えた声が、その名を呼ぶ』のイントロダクションから抜粋 ◆ アルメニア人とは? アルメニア人の故郷であるアルメニア地方は、世界最古の文明であるメソポタミア文明を育んだティグリス・ユーフラテス川の源流に位置する。旧約聖書の「ノアの方舟」伝説の舞台と言われるアララト山が最高峰。紀元前2世紀に建国されたアルメニア人の国家、古代アルメニア王国は、東部アナトリア地域で独自の言語と文化を持ち、繁栄していた。西にギリシア、東にペルシアがあり、ローマ帝国、イスラム帝国、モンゴル帝国、オスマン帝国などの支配下に入るなど、古代から様々な民族による政治的な影響を受け続けた地域である。また、世界で初めてキリスト教を国教とし、独自の文字を創造した歴史を持つ。世界中にいるアルメニア人の大半はキリスト教東方教会の一派、アルメニア使徒教会の信徒。 ◆ 多民族国家オスマン帝国の中のアルメニア人 オスマン帝国内では、1461年にメフメト2世が首都イスタンブールにアルメニア教会の設立を許可するなど、アルメニア人の経済力が重要視されていた。イスラム教徒のトルコ人を支配層とする帝国は多民族国家であり、宗教的にはイスラム教徒のほか、ユダヤ教徒、キリスト教徒などが、人種的にはトルコ人のほか、クルド人、アラブ人、ギリシア人、そしてブルガリア人などのスラヴ系住民などがいた。キリスト教徒であるアルメニア人もその中におり、イスラム教徒の優位性を保ちながら自治を認めるというミッレト制の下、商業と産業、とりわけ建築部門で才能を排出するなど、比較的安定した環境の中で生活していた。 ◆ 突然始まったアルメニア人の悲劇 1915年4月に発生した東部アナトリアの都市ヴァンで発生したアルメニア人による暴動をきっかけに、4月24日にアルメニア人政治家や知識人など約600人が官憲に連行され、その多くが後に殺害された。これ以降、オスマン政府はロシア国境地帯のアルメニア人を居住地域からシリア、イラク方面に“移送”した。その方法は、「イスラムの歴史上、類を見ない蛮行」という証言もあるほどだった。 ◆ 現在も続く論争 アルメニア共和国政府は、1915年の事件について犠牲者は150万人(第一次世界大戦前のアルメニア人の人口は約180万人)であり、アルメニア人の民族根絶を狙った「ジェノサイド(集団殺害)」だと主張している。一方、オスマン帝国の後継国であるトルコ共和国政府は事件の実態は「戦乱の中で起きた不幸」として「ジェノサイド」ではなかったと主張し、両国の国交正常化交渉の障害となっている。一方でロシア、カナダ、フランスなどの21か国はアルメニア人迫害を「ジェノサイド」と認定し、欧州議会はトルコのEU加盟の条件として「アルメニア問題」の解決を要求しているなど、100年を経た現在でも国際社会を巻き込んだ論争になっている。 ◆ 世界に広がるアルメニア人コミュニティ 劇中のナザレットは、現在のトルコ南東部のマルディンから大西洋を渡り、アメリカ・ノースダコタまで、各地のアルメニア人コミュニティを訪ねていく。アルメニア人は現在ロシアに110万人以上、米国に48万人以上いるとされ、在外アルメニア系住人は本国の人口298万人を上回る。現在の在外アルメニア人にとって、「1915年のオスマン帝国による迫害という民族の非劇を共有できるものがアルメニア人」という考え方も根強い。
2016.06.03
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政権党は、左派も右派も、世論操作をするのは、どこも同じなんだなあ・・・と、悲しく思う。特に、プーチンや習近平のマスコミ掌握と言論封殺は、突出している。最悪の事例は、北朝鮮だ。国民が知りたい事実は、とことん国民から遠ざける。そして、思いのままに、国民を操ろうとする。民主主義とは、ほど遠い世界の状況だ。 (稗田)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー国営放送が大統領選で情報操作 2016-5-21 長谷川 良 アゴラ(言論プラットフォーム) ここまでやるのか……。これが当方の最初の呟きだった。オーストリア国営放送(ORF)が19日夜のプレミアタイムに100分余りの大統領候補者2人の討論番組を放映したが、その中で司会者(Ingrid Thurnher 女史)が極右政党「自由党」候補者の信頼性にダメージを与える狙いから間違った情報に基づき、「あなたの話は作り話」と批判した。しかし、その直後、国営放送が政治的意図から情報操作していたことが明らかになると、国民に大きな衝撃が起きている。国営放送のスキャンダル事件を報告する。 オーストリアで22日、極右政党「自由党」のホーファー氏(45)と「緑の党」前党首バン・デ・ベレン氏(72)の間で大統領決選投票が行われる。 番組は司会者の質問に2人の候補者が答える形式で進められた。投票日を3日後に控え、最後のテレビ討論となることから、候補者は緊張感すら漂わせていた。 問題は、司会者がホーファー氏の2014年7月30日のイスラエル訪問の話に言及した時に生じた。今年の4月インタビュー時に、ホーファー氏はオーストリアのメディア関係者にエルサレム寺院を訪ねた時に目撃した事件を語った。それによると、ホーファー氏の傍にいた1人のイスラエル女性が武器を持ってエルサレム寺院に入ろうとしたところ、警備員に警告され撃たれたという臨場感溢れる話だ。 番組は突然、国営放送のイスラエル特派員がエルサレム市警察報道官にインタビューするシーンを放映した。同報道官は特派員の質問に答え、「エルサレム寺院でその日、そのような銃撃事件は生じていない」と述べ、ホーファー氏の話の信頼性を完全に否定した。司会者は勝ち誇ったように、ホーファー氏のエルサレム訪問時の銃撃事件は作り話だったということを示唆したのだ。 ホーファー氏は唖然とし、「自分の話は事実だ。あなたは意図的に私の信頼性を傷つけようとしている。私は当時の写真をもっている。あなたのやり方はORFの客観報道がいかなるものか端的に物語っている」と反撃した。司会者は直ぐにテーマを変えて別の質問に移った。 上記の場面を見ていた国民は、「ホーファー氏は嘘を言っていたのか」と衝撃を受けたかもしれない。大統領選で誰に入れるかまだ決めていない有権者ならホーファー氏に投票しなくなるかもしれない。それだけインパクトのある瞬間だった。 ところが、番組終了後、イスラエルの「エルサレム・ポスト」が「(ホーファー氏がエルサレムを訪問した日)、エルサレムで1人の女性が警備員に撃たれた事件があった」と報じ、ホーファー氏の話を裏付けたのだ。 同メディアによると、一人のイスラエル女性が警備関係者の“止まれ”を無視してエルサレム寺院に入ろうとしたため、警備員が発砲した。「女性は負傷したが、武器は持っていなかった」と報じている。ホーファー氏の話は武器所持以外はほぼ事実だったわけだ。 ORFは討論番組後の夜10時のニュース番組の中で、「ホーファー氏のイスラエル訪問時に不祥事があった」という報道内容を紹介しただけで、なぜ情報を確認せずに誤報を垂れ流したかについては何も言及しなかった。 ORF側はイスラエル特派員をエルサレム警察当局者にインタビューさせて、ホーファー氏のエルサレム訪問時の話が嘘だったことを報じたかったわけだ。狙いは明らかだ。ホーファー氏の信頼を失墜させ、大統領選をバン・デ・ベレン氏有利にしようとしたわけだ。イスラエル側の報道がなければ、ORFの意図は大成功だっただろう。 当方は外国人の一人として外国人排斥を標榜する自由党を全面的には支持できないが、国営放送が情報操作して、国民を反ホーファーに誘導する報道のやり方には同意できない。それはメディアの自殺行為だからだ。 現地の新聞各紙は20日、前夜の討論番組の内容を大きく報道したが、OFRの誤報にも言及し、「昨夜の討論は二人の大統領候補者の戦いではなく、司会者対ホーファー氏の戦いだった」(代表紙プレッセ)と皮肉を混ぜながら報じている。 前日のコラム「ヒトラーは本当に再現するか」でも書いたが、投票日が近づくにつれ、与党第一党「社会民主党」を中心に“ホーファー落とし”が組織的に行われている。19日の国営放送のミスリードはその頂点を飾るものだった。 ちなみに、ORFは昔から社会民主党関係者の縁故主義の巣窟で、左翼ジャーナリストが情報番組の主導権を握ってきた。今回の大統領選討論番組の制作はそのことを改めて思い出させた。 編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2016年5月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。
2016.05.22
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舛添知事、ヤフオクで絵画落札 政治資金、「資料」と説明 2016-5-16 毎日新聞 東京都の舛添要一知事が、インターネットオークションサイト「ヤフーオークション(ヤフオク)」で購入した美術品代の一部を、政治資金管理団体から「資料代」として支出していたことが分かった。 知事就任前に購入した絵画、掛け軸などの一部で、舛添知事は「インターネットオークションで購入した書や浮世絵などは、海外の方との交流のツールや研究資料として活用している」とのコメントを出した。 舛添知事がヤフオクで美術品を購入したのは2012年3月〜16年4月とみられ、舛添知事のIDで、全国の美術商や個人が出品した美術品137点を落札していた。 知事就任後の政治資金収支報告書には、資料代名目で美術品を購入したとする記載はない。 舛添知事は、12年9月〜13年12月、美術商や骨董(こっとう)商などに資料代名目で140万9184円を政治資金管理団体から支出したと政治資金収支報告書に記載していた。政治資金の私的流用を一部認めた13日の記者会見では、資料代について問われ「外国の方へのプレゼントとして浮世絵を買ったり、今の東京を考える上で江戸時代の美術品を研究用で買ったりしている。(こうした)政治活動とプライベートなものとは分けている」と述べ、法的な問題はないとの見解を示した。【篠原成行】 舛添都知事、政治資金で私的飲食、謝罪 辞職は否定 2016-5-13 毎日新聞 東京都の舛添要一知事は13日記者会見し、自身が代表を務めていた政治団体の収支報告書に、私的な飲食費が計上されていたことを認め、「不徳の致すところで、心からおわびしたい」と謝罪した。近く報告書を訂正する意向を表明。「全力を挙げて都民のために働く」と述べ、辞職はしないとの見解を示した。 家族との旅行費を記載していた疑いがあると指摘されていることについても「事務所関係者らと会議をした」とした上で、「家族と宿泊していた部屋を利用していたことから懸念を招いた」とし、報告書から削除するとした。(共同) 舛添都知事、「家族旅行費に会議費を流用」 舛添氏巡り文春 2016-5-12 毎日新聞 東京都の舛添要一知事の資金管理団体「グローバルネットワーク研究会」(既に解散)が千葉県木更津市のホテルに「会議費」として支払った約37万円は、実際には家族旅行の費用に充てられており政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いがあると11日発売の週刊文春が報じた。 舛添知事は同日、報道陣に「解散した団体もあるので分からない。事務所に精査を指示した」と説明した。 政治資金収支報告書によると、知事就任前の2013年1月3日と14年1月2日に「龍宮城スパホテル三日月」に、それぞれ23万7755円と13万3345円を会議費名目で支払った。 舛添知事は報道陣から、自身の記憶ではどうなのかと問われ「不正確なことは言いたくないので時間を頂きたい」と述べた。【飯山太郎】 舛添都知事、参院議員時代の政党支部、09年から豪華支出 ミシュラン★★6.8万円、「鉄人」の店で意見交換も 2016-5-17 毎日新聞 政治資金の私的流用などさまざまな問題が浮上している東京都の舛添要一知事。毎日新聞が、舛添氏が参院議員時代に代表を務めていた自民党、新党改革の政党支部の支出を調べたところ、沖縄の高級リゾートホテルやミシュランガイドで星を獲得したイタリア料理店など高額な支出が新たに見つかった。 両政党支部の収入の9割は税金が元の政党交付金で賄われており、識者は「公金という認識があまりに欠けている」と批判する。【杉本修作】 国会議員の政治団体は2009年から政治資金規正法の改正で1万円超の支出を全て報告書に記載するようになっており、毎日新聞は同年以降、舛添氏が代表を務めた自民党東京都参議院比例区第28支部と新党改革比例区第4支部の政治資金収支報告書を調べた。 それによると、09年と11年のお盆時期に那覇市の高級リゾートホテルに宿泊し、09年に約14万円、11年に約12万円を支出した。10年のお盆時期には山口県下関市の一の俣温泉の観光ホテルに約7万6000円を支出した。 このうち09年に宿泊したホテルは沖縄県内最高級ランクのホテルの一つ。宿泊費は最高級スイートルームで1人1泊約20万円、次のエグゼクティブスイートが1人1泊約5万円(いずれも素泊まり)という。一方、10年に泊まった温泉ホテルは最も高い「ふぐプラン」で1人1泊2万2000円余。これらの価格と収支報告書を対照すると複数人で宿泊したことが分かる。 10年8月29日は大阪市の最低価格1人1泊7万3000円のホテルに泊まった。11年1月3日には横浜市の高級ホテルに19万5000円余を支出した。このホテルの正月時期の価格は、スイートルームが1泊約26万円、ジュニアスイートが約15万円という。 2団体はこのほか「意見交換の経費」として、東京都内の高級レストランでの飲食費を度々支出していた。09年1月、民放の料理対決番組に「鉄人」として出演していた料理人がオーナーを務める渋谷区のフランス料理店に11万6000円余を支出した。ミシュランガイドで星二つを獲得した同区のイタリア料理店には09年10月に6万8000円余を支出していた。 2団体には09〜14年に政党交付金から計1億4880万円の収入があり、これは献金などを含めた総収入の91%にあたる。 舛添氏は13日の定例記者会見で、これまで問題視されていない支出についても「精査したい」としている。 お盆、正月に集中 舛添氏の政治団体は09年以降、お盆や正月時期にリゾートホテル、温泉旅館に8件の宿泊費を計上していた。 このうち、資金管理団体「グローバルネットワーク研究会」(14年に解散)は13年1月3日と14年1月2日、千葉県木更津市のスパリゾートホテルに「会議費」として計約37万円を支出した。舛添氏は13日の会見で家族と宿泊したことを認め、「都知事選に向けた打ち合わせなどをした」としつつも誤解を招いたとして返金する意向を示した。お盆時期では12年8月13日、栃木県日光市の温泉旅館の宿泊費約8万4000円が同団体に計上されたほか、14年に資金管理団体として設立された「泰山会」の収支報告書に同年8月18日、東京・お台場の高級ホテルの約9万3000円が計上された。
2016.05.17
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鳩山政権では、11位だったのが、安倍政権では72位まで下がった・・・しかも、中国の抑圧の中にある香港(69位)や 大統領のスキャンダルを書いた日本人記者を出獄禁止にした韓国(70位)よりも、下とは、信じられない・・・・「国境なきXXX」というのは、もっと信頼できるのか・・・と思っていたが、NPOというのはそんなに、政治的だったんだ! 皆さんは、どう思われるか? (はんぺん)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日本の「報道の自由」は香港や韓国より下なのか?国連を利用して「醜い日本人」を世界に売り込む活動家 2016-4-29 池田 信夫 JBpress 日本の報道機関の状況を調査するため来日した、国連人権理事会の「特別報告者」デービッド・ケイ氏は4月19日、外国特派員協会(FCCJ)で記者会見し、「日本の報道の独立性が重大な脅威に直面している」と述べて、安倍政権を批判した。 国連特別報告者といえば、2015年10月に「日本の女子学生の13%が援助交際をしている」と発言して騒ぎを起こした、マオド・ド・ブーア=ブキッキオ氏を覚えている人もいるだろう。 彼らは特別報告者といっても国連職員ではなく、人権活動家にすぎない。日本語も分からない彼らに歪んだ情報を吹き込んでいるのは、日本の活動家だ。 「安倍政権が言論を弾圧している」という幻想 国連人権理事会というと、日本人は各国の代表の集まる国際機関だと思うだろうが、参加している人の多くはNGO(非政府組織)の左翼活動家である。国連ではアメリカも日本も1票、アフリカの小国も1票なので大半は途上国で、今や国連は「途上国クラブ」だ。 そこで正式の機関決定が行なわれるわけでもなく、「特別報告者」は報告するだけで、その内容に何の法的拘束力もない。日本政府も無視していたが、慰安婦問題で国連の報告書が悪用されてから、外務省が出席して反論するようになった。 今回もケイ氏の中立性が疑わしいため、外務省は昨年12月に来日を拒否したが、先方が重ねて要請してきたため、認めた。ただし彼が求めていた高市早苗総務相との会見は、国会日程を理由に拒否した。 彼の記者会見を聞いても、中身がほとんどない。彼が問題視したのは、政治的公平を規定する放送法第4条に違反した場合、政府が停波を命じる可能性があるという高市氏の国会答弁だが、これは免許人が免許要件に違反した場合は免許を取り消す可能性があるという当たり前の話で、問題は放送法の規定だから国会が改正すればいい。 あとは記者クラブが閉鎖的だというおなじみの話で、これは政府の問題ではなく、大手マスコミの談合なのだから、彼らが記者クラブを廃止すればいい。 それ以外に、ケイ氏のいう「政府の圧力」の具体的な根拠はなく、「多くのコメンテーターが同時期に一気に降板することが重なった」といった週刊誌レベルの話ばかりだ。 国連を売名に利用する「人権派」弁護士 ケイ氏やブキッキオ氏を日本に連れてきたのは、日本の「人権派」弁護士だ。彼らは国内では相手にされないので、国連の権威を利用して騒ぎを大きくしようとする。その走りが、1996年の「クマラスワミ報告」で慰安婦問題を世界に売り出した戸塚悦朗弁護士だ。 彼は国連のNGOに所属する立場を利用して、慰安婦問題について国連人権委員会が勧告を出すよう執拗に働きかけ、20回近い会合に出席して、吉田清治の「済州島で慰安婦狩りをした」という話を英訳して配布し、慰安婦をSex Slaveと英訳して世界に紹介した。 最近出てきたのが、伊藤和子という弁護士だ。彼女はナビ・ピレイ国連人権高等弁務官が2010年に日本を訪問した際に「日本政府に対し、全ての性的奴隷に関する訴えを調査し、実行者を訴追するために効果的な法的・行政的措置を直ちにとるよう求める」という見解を紹介している。 戦争責任の問題は東京裁判と日韓条約で解決ずみであり、それ以外に訴追や個人補償をすることは国際法違反だ。こうして「醜い日本人」のイメージを世界に拡散して注目を集め、国連を売名に利用するのが、彼らの常套手段だ。ブキッキオ氏のときもケイ氏のときも、伊藤弁護士が同行している。 「黄色人種は醜い」という偏見に迎合する左翼活動家 この記者会見と前後して、20日に「国境なき記者団」というフランスのNGOが「報道の自由度ランキング」なるものを発表した。彼らのランキングによれば、・香港69位 ・韓国70位 ・日本72位となっている。ランキングの根拠は何も書いてないが、中国政府を批判した出版社の社長が拉致された香港や、朴大統領のスキャンダルを書いた産経の記者が出国禁止になった韓国より、なぜ日本が下になったのか。 それも鳩山政権では11位だったのが、安倍政権で72位まで下がった。 彼らが日本に報道の自由がない理由としていつも挙げるのは記者クラブだが、民主党政権でもクラブはあった。なぜ自民党政権になってから、急にランキングが下がったのか。 これは彼らにおかしな情報を提供する活動家が、日本にいるためとしか考えられない。 FCCJを取り仕切っているのは、デビッド・マクニールというフリー記者だ。「特派員協会」といっても、FCCJのメンバーに大手海外メディアの特派員はほとんどいない。新聞社の経営が悪化して、東京支局が次々に閉鎖されているからだ。 1980年代には東京支局は花形ポストで、90年に『日はまた沈む』を書いた英エコノミスト誌のビル・エモットは、のちに本社の編集長になった。しかし今ではエコノミスト誌に日本発の記事はほとんど出ない。CNNやBBCのニュースを見ても、日本はほとんど話題にならない。 残念なことだが、欧米人は日本にほとんど関心をもっていない。中東では戦争が続き、ヨーロッパでは難民問題、アメリカでは大統領選挙と派手な話題があるが、日本は何もないので、白人の目を引くネタを捏造するしかないのだ。 特に「黄色人種は醜い」という偏見に迎合するのが彼らの手口だ。もちろん直接そう言うと批判を受けるので、「いまだに戦争責任を清算していない日本人」とか「右翼で危険な安倍首相」といったネタで、正義の味方の顔をして人種差別を再生産しているのだ。 戦争で話題になるよりはましだが、これは日本政府が世界に対して情報を発信する努力を怠ったことも原因だ。「クールジャパン」などという自己満足ではなく、悪質な「人権屋」を排除して正しい日本の姿を世界に伝える対外広報の戦略を考える必要がある。
2016.05.12
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国連が、不公正な動きをするのは、今に始まったことでは無いが、日本のリベラルの中には、国連を無批判に擁護する流れが、依然としてある。 国連の内実は、各国の利害対立や、ロビー活動の力関係など。複雑怪奇。 信用できない事柄、間違いも、多々あるが、今回の場合、日本政府の反論も聴かず(聴く耳を持たず?)一方的に、広報宣伝活動をしているわけだから、とても公正とは言えない。 こういう現実を、 サヨクの皆さんは、どう思われているのか? 自分の頭で、しっかり考えてほしい。 (はんぺん) ------------------------------- どこが公正?日本叩きに手を貸す国連特別報告者・デービッド・ケイ氏が反日の急先鋒と公開討論 2016.5.11 古森 義久 JBpress 米国のカリフォルニア大学アーバイン校のデービッド・ケイ教授がこの4月、国連特別報告者として「日本の表現の自由」を調べるために来日し、1週間の滞在で「日本の報道の自由は政府の抑圧によって脅威にさらされている」という結論を出した。日本政府はこの結論は誤りだとして、反論の準備中だという。 そのケイ氏が、5月12日に母校で「日本の言論の自由への脅威」と題する公開討論を開く。注目すべきなのが討論の相手である。 その相手とは、日本の慰安婦問題を長年、糾弾し、特に安倍晋三首相への一方的な非難を続けてきた米国コネチカット大学のアレクシス・ダデン教授なのだ。さらに討論会の共催者には、同じように慰安婦問題で日本政府を攻撃してきたジョージタウン大学のジョーダン・サンド教授が名を連ねている。 ケイ氏は、日本側の反論がまだ出ないうちに、米国で一方的に日本の「言論弾圧」を断罪しようとしている。 この動きに対して米国の別の日本研究者からは、「米国学界の一部の日本叩きの勢力が国連まで利用しようとしている。非常に政治的な動きだ」という批判も出ている。 「反日」の急先鋒、アレクシス・ダデン教授 ケイ氏は国連特別報告者として4月12日から19日まで日本に滞在し、日本での報道の自由の実情を調査するとして日本側の官民両方の関係者多数と面談した。その結果を4月19日に東京で記者会見して、「日本の報道の自由は政府の圧力や抑圧により危機に瀕している」と報告した。 この結論に対し日本政府の外務省などやニュースメディアの一部は「そんな事実はない」と即座に反論した。日本政府は近くケイ氏への反論を文書にまとめて公表し、国連本部へも伝達するという。 ところが日本側のそうした公式な対応がまだ出ないうちに、ケイ氏の母校カリフォルニア大学アーバイン校では、「アレクシス・ダデン教授とデービッド・ケイ教授の『日本の言論の自由への脅威』についての対話を5月12日に開催する」という告知が流された。 この「対話」は、共催者が米国のアジア研究学会の機関誌「アジア研究ジャーナル」となっている。アジア研究ジャーナルの編集長格であるジョージタウン大学のジョーダン・サンド教授は、ダデン教授とともに慰安婦問題で日本への批判を続けてきた人物である。 ダデン氏は2000年に東京で「女性国際戦犯法廷」という模擬裁判を開いて慰安婦問題を追及し、昭和天皇に有罪判決を出した。日本の北方領土や竹島、尖閣諸島の主権主張も「日本の膨張主義的な野心」の表れだとして批判している。 日本の歴代政権に対しても糾弾を続け、特に安倍晋三氏に対しては「悪漢」「軍国主義志向」「裸の王様」などというののしりの言葉を浴びせてきた。その一方で韓国とは親密な関係を保ち、韓国政府の対米政策の相談に乗ってきた。 またダデン氏は2015年、欧米の日本研究学者らの多数の署名を集めて取りまとめ役となり、日本の国民や政府、安倍首相あてに「日本の慰安婦問題への態度が不適切だ」と非難する書簡を送った。その際に、サンド氏も書簡草案の起草や発信の役を担っている。 このように「反日」「日本叩き」という言葉が当てはまる政治活動家的な人物と、国連特別報告者としての日本での調査活動を終えたばかりのケイ教授が、日本での「言論の自由への脅威」について公開討論をするというのだ。そのうえ共催組織の代表のサンド氏も日本糾弾という政治色の濃い履歴を持つ人物である。 つまり、ケイ氏の日本での調査がダデン氏やサンド氏の日本叩きの材料として提供されるというわけだ。その意味で、今回のケイ氏の今回の調査は、最初から安倍政権非難という結論ありきだったのではと疑われても仕方がない。 米国の学会に「ケイ氏の日本断罪は不公正」との声も そもそもケイ氏の調査結果は国連への報告が主目的のはずである。 「報道の抑圧」を非難された日本政府は、その非難は事実に反するとして公式の反論を現在準備している。それにもかかわらず、ケイ氏は自分だけの結論を米国内ですでに一方的に広めようとしているのだ。日本にとっては、まさに不公正な動きである。 米国の学界にもケイ氏の今回の動きを不適切だとする意見がある。ウィスコンシン大学博士課程の日本歴史研究学者、ジェーソン・モーガン氏は次のように述べた・・・・ 「ダデン氏は米国の学界全体の中で最も過激な反日派であり、韓国と親密な政治活動家としても知られる。国連特別報告者の肩書きを持つケイ氏がダデン氏と密接に協力していることが明らかになった今回の『対話』は、米国学界の安倍叩き、日本叩きの勢力が政治目的のために国連を利用している実態を示したと言える。 日本のことや日本語を知らないケイ氏がわずか1週間の滞在で日本の報道や政治の全容をつかむというのは不可能だ。ケイ氏の日本断罪は不公正であり傲慢だ」 米国の反日勢力とケイ氏の結託に日本側がどう対応するか。日本のメディアも無関心ではいられまい。
2016.05.12
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