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京都のよさは、単に名所旧跡やお店を回って見るだけでなく、個性的な町並みやさまざまな道・景色を楽しんでこそ味わうことができる、といいます。 ”景観を歩く京都ガイド”(2004年11月 岩波書店刊 清水 泰博著)を読みました。 京都で育った環境建築家が、歩きや自転車で回る京都のとっておきの1日コースを紹介しています。 清水泰博さんは、1957年に京都市で生まれ、早稲田大学理工学部建築学科を卒業し、東京芸術大学大学院美術研究科を修了しました。 1991年、1995年に環境芸術大賞を受賞し、現在、東京芸術大学デザイン科助教授で一級建築士です。 東京発の情報にはステレオタイブ化した地方イメージが多いようです。 京都のイメージといえば、舞妓さん、祇園、祇園祭、大文字の送り火などなどではないでしょうか。 京都本来の歴史的な場所は、断片化されてきてしまっているように思われます。 しかし、場所を選べば日本の空間のすばらしさを感じられるのです。 京都の魅力のひとつは、屋内の部屋と屋外の庭が作りだす内外一体となった建築空間ではないでしょうか。 今の建築ではなかなか見ることができなくなっていますが、古の寺院の多くにはそのような空間が残されています。 この内と外をうまくつないでいく手法は、古の町家などの住宅や寺社の内側だけでなく、寺社と町家のあいだにもあるように思われます。 さらに、日本の空間の大きな魅力は、シークエンス=継起性のすばらしさではないでしょうか。 奥へ奥へと導かれるアプローチ、そこでは周りの景観がドラマティックな変化をもって迎えてくれ、建物内でも周りの庭がさまざまな表情を変化させながら見せてくれます。 それらは植栽や水といった自然物によって作られていますので、常に同じということがありません。 今の京都の観光の状況を見ていると、どうも少し違うのではと思わずにいられないそうです。 有名寺院にばかり人が集まり、マイカー観光では多くの時間が駐車場待ちに使われていたりしています。 いかに多く回るかといったふうになっているように思えますが、京都観光の場合、その途中にも、また途中にこそ京都の魅力があるそうです。 京都はそんなに広い都心ではありませんので、主だったところには、歩くか、または自転車で行けます。 自転車も含め足でつないでいくのに、最もふさわしい街が京都なのです。 本書は一日ずっと日本の空間の美しさを味わえるような旅のガイドブックであり、思いつくままに9つのコースが紹介されています。 岩波アクティブ新書は活字が大きく図版も多われていて、ビジュアルに読むことができます。1東山を歩く1-歴史をつなぐ小径2東山を歩く2-自然と街の作りだす景観3嵯峨野を歩く-ひなびた世界4御室を歩く-洛西の小都市5大徳寺界隈を歩く-枯山水の造形6北山を歩く-平安からの道をたどる7洛中を自転車で巡る-古都に息づく小さな家々8鴨川を自転車で走る-下から見た京都9東山トレイルを歩く-上から眺める京都
2013.05.28
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密教は秘密の教えを意味し、通常の仏教が広く民衆に向かって開かれ世界観を明瞭な言葉で説くのに対し、非公開的な教団の内に自己を閉鎖し秘密の教義と儀礼を師資相承によって伝持しようとする秘密仏教です。 ”密教”(2012年11月 筑摩書房刊 正木 晃著)を読みました。 密教の定義にはじまり、インド・チベット・中国、日本における歴史・思想を概説し、伝統的な密教教学を分かりやすく解説しています。 かつて密教といえば空海を開祖とする真言宗のいわゆる東密や、密教を導入した日本天台宗のいわゆる台密を指していました。 近年、インドやチベットにおける仏教思想の存在が認知され、現代ではそれらも合わせて密教と総称するようになっています。 正木晃さんは、1953年神奈川県生れ、筑波大学大学院博士課程修了、国際日本文化研究センター客員助教授、中京女子大学助教授、純真短期大学教授を経て、現在、慶應義塾大学文学部・立正大学仏教学部非常勤講師で、日本密教・チベット密教を研究しています。 密教はむずかしく、いわゆる鎌倉新仏教とは比べものにならないくらい複雑で精緻な構造をもっています。 鎌倉新仏教のように、念仏や題目や座禅の1つでよいとするのでなく、密教はすべてを統合しようとしています。 仏教を精神や心と呼ばれる領城に閉じこめず、霊肉一如の理論を主張し、修行や儀礼において身体の領域から働きかけて精神の領域の変革を試みようとします。 文字だけにたよらずマンダラなどの視覚表規を多くもちい、儀礼を通して真理を獲得しようとし、神秘的な呪文を駆使し梵字や読むのも困難な漢字熟語が頻出します。 そこで、密教の定義にはじまり、インド・チベット・中国における密教の歴史・思想を概説し、日本の密教をインド以来の仏教史全体の中に位置づけ、伝統的な密教教学をできるかぎり分かりやすく解説しています。 また、マンダラの理論と実践、チベット密教の性的ヨガをふくむ代表的な儀礼・修行についても詳細に解説しています。 最後に、密教の手引きとして、寺院案内とブックガイドが添付されています。 寺院を訪ねれば、いまでも生きている密教を体験できるそうです。 ブックガイドは現時点で入手できる文献がほぼ網羅され、参考文献一覧を兼ねて掲載されています。第1章 密教とは何か 密教の定義/インド密教/チベット密教/中国密教第2章 キーワードで考える日本密教 密教と顕教/雑密・純密・左道密教/即身成仏/三密加持/十住心/真言/不動信仰第3章 マンダラの理論と実践 マンダラとは何か/胎蔵マンダラ/金剛界マンダラ/両部不二第4章 修行と秘儀から考える日本密教 月輪観と阿字観/虚空蔵求聞持法/五字厳身観と五相成身観/四度加行/後七日御修法第5章 日本密教を知るための手引き 訪ねてみたい密教寺院/さらに深く密教を知るためのブックガイド補 遺 修験道の世界
2013.05.21
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マレーシアは、住みたい国調査で6年連続第一位になりました。 ”マレーシアで暮らしたい! ”(2012年11月 講談社刊 山田 美鈴著)を読みました。 マレーシアにロングステイするための公式カイドブックです。 マレーシアは、東南アジアのマレー半島南部とボルネオ島北部を領域とする連邦立憲君主制国家で、イギリス連邦加盟国です。 マレー半島南部とボルネオ島北部を領域としています。 隣接国はタイ、シンガポール、ブルネイ、インドネシア、フィリピンです。 人口の6割をマレー系、3割を華人系、1割をインド系が居住する国家です。 山田美鈴さんは、1952年に岐阜県で生まれ、異文化交流コーディネーターを経て、(財)ロングステイ財団主席研究員を務めています。 ロングステイ財団は、ロングステイに関するニーズに対応したさまざまな情報の収集・提供やロングステイに関する調査研究、ロングステイヤーのサポート、ロングステイにかかわるあらゆる活動を行うことを目的として、1992年通産省の認可を受けて設立された公益法人です。 マレーシアはマハティール政権がルックイースト政策を掲げて親日的で、承継したアブドラ政権の下でも緊密な関係が維持されています。 熱帯雨林、透明度抜群の海、神秘的な山々などの自然美あふれる国です。 ペナン島は、古くから開発が始まったリゾートアイランドでアクティビティが充実しています。 アンダマン海に浮かぶランカウイ島は、ビーチはもちろん、島全体が免税なのでショッピングも魅力的です。 また、首都クアラルンプールは、高層ビルが立ち並ぶ近代都市で、大きなショッピングセンターや観光スポットも豊富です。 ロングステイは、移住でも永住でもない比較的長期の海外滞在型余暇です。 海外に居住施設を保有、または賃借して、余暇を海外でより豊かな自由時間を過ごし、現地の人々との草の根交流などの余暇活動を行います。 生活資金の源泉は日本国内にあり、現地での労働や収入を必要としません。 日本を一度離れてみることで、日本という国、あるいは家族関係を再認識できます。 とくに人気があるのがマレーシアで、アンケート調査で6年連続1位となっています。 マレーシアの2011年のGDPは2786億ドルで、一人当たりのGDPは9,699ドルです。 シンガポールには及ばないものの、タイの2倍近くの水準です。 マレーシアは多民族国家の為英語が広く使用されていて、言葉の心配があまりありません。 また主要都市では道路病院、宿泊施設も充実し生活水準は日本と大差が無いのに、物価は日本の約3分1です。 観光や商用目的の場合、特別なビザは不要で、1度の入国につき90日まで滞在が許可されています。 また、マレーシアマイセカンドホームプログラムでビザを取得して、長い期間マレーシアに滞在する道も開かれています。「住みたい国」No.1マレーシアの魅力「親日国家マレーシアへお越しください」 ――ノール・アズラン(マレーシア政府観光局東京支局長)序章 ロングステイの「基礎知識」1章 マレーシアの「基礎知識」2章 ロングステイヤーが語る「マレーシアの生活」& ロングステイアドバイザー座談会「マレーシアで気持ちよく暮らすための知恵」3章 マレーシアのビザ(査証)情報& ――マレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)ビザとは MM2Hビザ解約と帰国まで4章 滞在施設と不動産購入「最新情報」5章 ロングステイのための「生活情報」6章 現地サロン紹介&ロングステイ体験ツアー案内&「お役立ち」電話帳
2013.05.14
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