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2014.08.12
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カテゴリ: 歴史
図書館で借りた『砂漠と人間の歴史』だが・・・ええでぇ♪
「月の砂漠」のエキゾティックに魅惑された大使は西域にあこがれて・・・・
ドングリスタンの大使を務めるまでに至ったのです(嘘やでぇ)



砂漠

ロズリン・D.ヘインズ著、原書房、2014年刊

<「BOOK」データベース>より
特異な生態系を育み、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教を誕生させ、資源や軍事開発の拠点となった、この地にひそむ力。砂漠のメカニズムと歴史を、地学、生物学、宗教、芸術など多角的な視点から描きだす。地球科学と文化史を結ぶ新しいタイプの自然誌入門。【目次】
第1章 砂漠の多様性/第2章 さまざまな適応能力/第3章 過去と現在の砂漠の文化/第4章 先祖たちの芸術/第5章 砂漠の宗教/第6章 旅行家と探検家たち/第7章 想像の砂漠/第8章 西洋芸術における砂漠/第9章 砂漠の資源と可能性

<大使寸評>
砂漠に対する主な三つの反応―その広大さへの畏敬、その過酷さへの恐怖、その野生への興味―は、そのままmysterium(神秘)、tremendum(戦慄)、fasinans(魅惑)といった特徴と一致する。
幼少の頃「月の砂漠」のエキゾティックに魅惑された大使であるが・・・・
その後、読書とか仕事を通じて砂漠へのこだわりを持つに至ったわけです。

この本も、「 砂漠への憧れ 」の中に収めておきます。
rakuten 砂漠と人間の歴史


今日、ベドウィン族はアラブの全人口の10%に満たないが、ベドウィン族の美徳は今も純粋なアラブ・イスラム文化の手本とされるそうです。
ベドウィン


<砂漠の文化> p68~69より
 伝統的なベドウィンの遊牧民は、横長で天井の低い黒いテントに住んだ。山羊やラクダの毛でつくられ、中心を背の高い一連のポールで支えられたテントは、その数によって一族の富や地位が示された。こうしてテントは砂漠の生活によく適応したものだった。一時間足らずで片づけることができるうえ、羊やラクダの毛でできた生地は濡れると膨張するため、水も弾いた。

 それは寒い夜には暖かく、風の強い日には避難場所となったばかりか、暑い真昼には両側面と背面を巻き上げて微風を入れることもできた。テントの前面部分は男性の領域で、客を迎えるためにも使われたが、家族が寝起きし、料理するのは仕切りのカーテンの奥にある女性用の部屋だった。

 今日、ベドウィンの裕福な家族のテントには、電灯やテレビといった電化製品のために発電機を備えているところもあれば、ラクダや羊の群れと並んで、外にトラクターやライトバンが駐車されているところもある。

 一方、オアシスは遊牧よりも安楽な生活様式をもたらし、紀元前5世紀頃から、そこに定住民の社会が発達した。その代表的なものがメッカである。こうした集落ではナツメヤシや穀物が栽培され、スパイスや象牙、金などをアラビア南部やアフリカから肥沃な三日月地帯へと運ぶ隊商のちょっとした交易拠点となった。
 砂漠の遊牧民と町の住人、そして小作人を区別する社会的階層は、たとえそれが必ずしも各階層の相対的な豊かさを反映したものでないにせよ、今もアラブ世界の特徴である。
 遊牧生活を支えるのに必用な広大な領地は、もはや手に入らない。18世紀のオスマントルコによる土地法では、共同体による土地の所有は無効とされた。最近でも、人口増加や都市化、産業化、石油ブーム、そして基地を求める軍の要請によって、これまでの放牧地はひどく侵されている。1950年代、サウジアラビアとシリアはベドウィン族の放牧地を国有化した。また、ヨルダンは山羊の放牧を厳しく制限し、イスラエルはネゲブ砂漠のベドウィンが利用できる土地を縮小し、彼らを支配しやすくするために村や町へ追いやった。
 今日、ベドウィン族はアラブの全人口の10%に満たず、本物の遊牧民は1%にも満たない。彼らはたいてい社会の最貧困層にあり、その進歩から取り残され、軽んじられている。ところが、おかしなことに、伝統的な遊牧民の美徳は今も純粋なアラブ・イスラム文化の手本とされ、彼らは観光客のためにその伝統的な生活様式を演じさせられている。実際、アラビア政府は、黒いテントや伝統的な家具調度品を完備し、観光客のイメージ通りの格好でラクダを引くベドウィンのテーマパークを建設しようとしている。
 また、ベドウィンの伝統に基いた祭りや「婚礼」も観光客に大人気だが、当の演じ手たちはこれを下劣と考えているかもしれない。


砂漠の遺跡から、最古の印刷本「金剛般若経」が発見されたが・・・・・過酷な自然がかつて栄えた文明を隠して保存していたわけですね。

<先祖たちの芸術> p105~107より
 シルクロードに代わる海上ルートが発展すると、この危険で困難な陸の交通路は衰退し、オアシス都市もほとんど忘れ去られた。わずかに洞窟に残っていた僧たちも、第17窟に大量の写本類が眠っていることには気づかなかった。これは壁画の奥につくられた秘密の洞窟で、蔵経洞として知られている。20世紀の偉大な考古学的発見となったこの貴重な資料は、1900年、石窟の院長で守護者を自称する王円録という道教の僧によって見つけられた。
 1907年、ハンガリー出身の英国人考古学者で探検家のマーク・オーレル・スタインは、噂を聞きつけて莫高へやって来ると、王円録を説得して内部を案内させた。
(中略)
 スタインは5万点もの写本をはじめ、絹や紙に描かれた絵や経典、織物など、何世紀にもわたって蓄積されてきた何百という遺物を発見するとともに、サンスクリット語やソグド語、チベット語、チュルク語、中国語、ウイグル語などで書かれた貴重な仏教の書物を見つけた。
(中略)
 スタインのもっとも貴重な発見は、「金剛般若経」だった。
 中国唐朝の868年に印刷されたこの書物は、最初のグーテンベルク聖書の刊行に先立つこと587年、日付のついた完全な印刷本としては世界最古のものである。それは仏陀と弟子の須菩提によるソクラテス式問答の形式で書かれており、存在や悟りの本質についての彼のそれまでの先入観が問われている。

 スタインは王円録を説得し、7000点の完全な写本のほか、6000点の絵の断片や箱、刺繍などの遺物を220ポンドで売らせた―そのお金は他の石窟の修復に使われることになった。
 現在、この膨大な書物のコレクションはロンドンの大英博物館にあり、絵画類はニューデリーの国立博物館と大英博物館に分割して収蔵されている。その後、他の多くの収集家がスタインの後に続き、写本や彫像はもちろん、壁画が描かれた壁の石板さえ持ち去った。訪れたジャーナリストや写真家たちは世界中にこの貴重な遺物の詳細を伝え、それが1951年の敦煌文物研究所の設立や、1961年の中国政府による莫高窟の全国重点文物保護単位の認定につながった。



<砂漠の宗教> p115~117より
 砂漠の宗教的な重要性は、瞑想によって神への超自然的な畏怖の念を呼び起こせることにあった。ドイツのルター派神学者ルドルフ・オットーは、その代表作『聖なるもの』(1917年)において、この超自然的な体験をヌミノースと呼び、それを戦慄と魅惑の両方を伴う神秘と定義した。
 砂漠に対する主な三つの反応―その広大さへの畏敬、その過酷さへの恐怖、その野生への興味―は、そのままmysterium(神秘)、tremendum(戦慄)、fasinans(魅惑)といった特徴と一致する。
 果てしない空虚な広がりは、「崇高なもの」がその空間に置き換えられていることを表わす。そしてこの圧倒的な広がりは、やがて無限の感覚―永続性―を呼び起こす。多くの人びとがこの時間と空間の融合するような体験を、強烈で、幻想的で、まさに意識が飛ぶようなものとして感じるのは、それが合理的なものを超越しているからである。

 文字通りの意味で砂漠に住むことが現実的でなくなっても、「荒野の教父や教母」たちの言葉は、彼らの清貧、貞潔、服従、断食、祈りといった共同体のルールとともに、修道院生活の基礎となり、砂漠の窮乏は象徴として再現された。クエーカー教やアーミッシュが簡素な生活を実践したり、プロテスタントの敬虔派が内面的信仰を深めたりするのは、物質主義による心の乱れや誘惑を断つためのものだった。

 13世紀のドイツの神秘主義者マイスター・エックハルトはこう説いている―人は「神性の砂漠」を見つけるために、「自我とこの世界の物事に関するかぎり、砂漠のようにある」べきだ。



<砂漠の資源> p200~202より
 石油や天然ガスを埋蔵する砂漠地帯では経済が急速に成長したが、環境破壊による生態系の損失は、その利益をはるかに上回る。土地や淡水域への石油の流出は、北アフリカやアラビアの砂漠で頻発している。これは地上の資源はもちろん、人間の食料源を含む複雑な食物連鎖で結びついた地下の多様な有機体にも影響を及ぼしている。

 さらに、それは動植物にとって致命的な油膜や石油そのものの毒性によっても環境を損なっている。
 湾岸戦争が行われていた1991年、イラク軍はクウェートの1164もの油井を破壊し、その砂漠に6000万バレルの石油を流出させ、土壌と地下水を汚染した。彼らはペルシャ湾にも200万バレルの石油を流出させ、何千羽もの海鳥を死なせ、ウミガメやジュゴン、イルカ、魚類やエビを含む水界生態系に深刻なダメージを与えた。9ヶ月にわたって鎮火できずに続いた石油火災は大気も汚染した。猛スピードで砂漠を横切る戦車は大地の表面を傷つけ、不安定で崩れやすい砂丘を生んだ。
 さらに悪いのは、湾岸戦争で米軍の低空飛行機から発射されたウラン弾や、米軍・NATO軍によって落とされた300トンもの劣化ウランによる長期的な影響で、それらは土壌と水を汚染した。

 こうした環境災害は戦争中に故意に引き起こされたものだが、カラクム砂漠の中央にあるトルクメニスタンの村ダルヴィザの付近では、災害が事故として起こった。1971年、天然ガスを求めてボーリング調査をしていたソ連の地質学者たちは、ガスが充満した大洞窟を発見したが、その洞窟の下の地盤が崩れ、直径70~100mもの穴が合いてしまった。有毒なメタンガスの放出を防ぐため、ガスに着火することになったが、火はそれ以来ずっと燃え続け、大量の炭素を大気中に放出している。地元の人々はそれを「地獄の門」と呼んでいる。

 (中略)

 4500km2の敷地をもつ米国海軍航空兵器基地は、モハーヴェ砂漠西端のチャイナ・レークにあり、1950年から米軍の航空兵器システムの開発・実験を行っている。また、タクラマカン砂漠の端にあるロプ・ノールは、1964年から核兵器の実験場所になっている。オーストラリアでは、1955年から1963年にかけて、英国政府がグレート・ヴィクトリア砂漠で核実験を繰り返し、アボリジニーの土地を含む広大な地域をプルトニウム239、ウラン235といった放射性物質で汚染している。






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Last updated  2014.08.13 18:42:06
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