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2014.08.17
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カテゴリ: 気になる本
日曜日の朝日新聞に読書欄があるので、ときどき切り取ってスクラップで残していたのだが、これを一歩進めて、無料デジタル版のデータで残すことにしたのです。
・・・・で、今回のお奨めです。

・眠る魚
・白熱講義 これからの日本に都市計画は必要ですか

***************************************************************


眠る魚 より
魚

<震災後、日本と家族への葛藤:内澤旬子(文筆家・イラストレーター) >
 今年一月に癌で急逝した坂東眞砂子の小説が二冊刊行された。『瓜子姫の艶文(つやぶみ)』(中央公論新社)は、著者が長年書き続けてきた男女の性愛がテーマ。江戸後期の松坂を舞台に女が一生で味わう性の極みの甘さと暗闇との変転を描いた完成度の高い作品。

 一方未完の絶筆となった『眠る魚』は、東日本大震災後の物語。日本社会から飛び出し、バヌアツに暮らす女性が主人公。父親が亡くなり関東の田園地帯にある実家に一時帰国し、海外のニュースサイトで報じられてきた放射能汚染の深刻さとは裏腹に、たいしたことないと言い張る人々に茫然とする。不安を口にし、行動を起こせば村八分にされる。錯綜する情報の中、安全と危険の両軸のどちらにもつけずに茫漠とした不信と不安を抱え、突き付けられる。私たちは何をなくしたのか。

 亡父が生前に付き合っていた女性を相続人に指名していたことが判明し、主人公は実家と土地の相続権を失う。そこではじめて、故郷の土地に依拠していた自分を見出す。個人性を押し殺す日本の感覚を嫌悪し、故郷を守る親兄弟を敬遠してきたにもかかわらず。しかもその最後の砦のはずの土地は放射能で汚染されてしまった。葛藤の末、今後の身の振り方を心に定めたところで、舌癌が見つかってしまう。

 あくまでもフィクションであり、日本の現実とぴたり重なるわけではないし、バヌアツに住み故郷に特別な愛情を抱き続けてきた著者の実体験そっくりそのままでもない。
 けれども主人公の葛藤の一言一言が、著者の心の叫びのようにも、私自身が抱く屈託を抉(えぐ)るようにも聞こえ、時々読むのが苦しくなった。
 現実の話をすれば、余命宣告を受け、著者は東京での治療を切り上げ、自力では歩けない状態を押して帰郷する。
 書き手を失った物語の続きは、私たち読み手の今後の生き様に引き継がれる。
    ◇

坂東眞砂子著、集英社、2014年刊

<「BOOK」データベース>より
 2011年3月11日。日本から遠く離れた南太平洋のバヌアツにも、地震による津波警報が出されていた。旅行ガイドや通訳をしながらこの島に暮らす伊都部彩実は、そのしばらく後、実父の訃報を受けて一時帰国する。
 放射線被害について海外メディアが報じる危機感に反比例するかのような日本の実像、また、相変わらず保守的な家族たちの思考と言動に噛み合わない思いを抱きながら日々を送るうち、「アオイロコ」という奇妙な風土病の噂を耳にする。父の遺言で、母が亡くなった後に父が交際していた女性に、代々の土地家屋を明け渡すことになり、思いのほか動揺する彩実。国に縛られない自由な生き方を望んで海外に飛び出したはずなのに、戻る場所を求めている自分に気づく。そんな折、口中の腫瘍が悪性と診断され、即刻入院となり、期せずして日本に留まることになるのだったー。

<読む前の大使寸評>
この小説のジャンルは、私小説なんだろうけど・・・
波乱万丈であり、政治性も帯びており、骨太の私小説ではあるな~♪
郷土の作家ということで、彼女の作品を読み始めたのであるが、普遍性も申し分がないようです。

<図書館予約順番:35(8/19予約)>

rakuten 眠る魚




白熱講義 これからの日本に都市計画は必要ですか より
都市

<縦割り崩れた今を刺激的に:隈研吾(建築家・東京大学教授)>
 都市計画の世界が、またおもしろくなってきた。ということは、裏を返せば、いままではつまらなかったということで、その裏の理由も、本書は明かす。

 一言でいえば、日本的縦割りが、本来諸分野を串刺しすべき都市計画をつまらないものにし、機能不全に陥れていたのである。様々な縦割りのひどさに唖然とした。ひとつは、行政の縦割り。都市計画とは人間の生活全体をデザインすべきなのに、「農林」「公園」「道路」という名のガチガチの役所の縦割りが、人間自体を分断していた。統合的マスタープランを作らなくてはいけない法律があっても、内実、マスタープランは団子の細い串でしかなく、実際の計画は道路団子とか公園団子などの、ジューシーで利権たっぷりの団子に委ねられていたのが、戦後日本の寒い姿だった。

 もっと寒かったのは、開発型、計画主義型、グローバリズム型などのイケイケの都市計画と、保存型、まちづくり型、非計画型の草食系都市計画との縦割り。2派が不毛な議論を続け、都市をつまらなくしてきたとも指摘される。
 これらの戦後的縦割りが、今崩れつつあるナマな状況を本書は伝える。縦割りの裏のエンジンであった開発圧力、不動産圧力自体が消滅したからである。その結果、日本の都市は一種の無重力状態にあり、やがて、無重力が世界を覆うことはまちがいなく、日本がモルモットになる。拡大するスプロール都市から、虫食いだらけのスポンジ都市への転換という一大ドラマが日本をおそっているのである。

 本書はこのスポンジに挑戦する「今の都市計画」を刺激的に描く。市民参加、ビッグデータ、環境テクノロジーがスポンジに挑む様子も具体的で迫力があった。60年代、開発圧力のスタートに、丹下健三を中心として都市計画ブームがあった。開発時代の終わりの今、もう一回都市に目を向けるきっかけを作る本だ。
    ◇

蓑原敬、他著、学芸出版社、2014年刊

<商品説明>より
日本の都市計画は何をしてきたのですか?近代都市計画とは何だったのですか?3.11で何が変わるのですか?今、私たちが引き受ける課題は何ですか?1930年代生まれのベテラン都市プランナーへ、1970年代生まれの若手が投げかける、差し迫った問いと議論の応酬。都市計画の現実、矛盾と展望を明らかにした現役世代に訴える一冊。

<読む前の大使寸評>
【縦割りの裏のエンジンであった開発圧力、不動産圧力自体が消滅したからである。その結果、日本の都市は一種の無重力状態にある。拡大するスプロール都市から、虫食いだらけのスポンジ都市への転換という一大ドラマが日本をおそっているのである】
…と、現状を熟知した隈さんが、鋭く指摘しています。

都市計画については、シロウトの大使であるが…それでも、画一的で潤いの無い町並みが増えたと感じる昨今である。
たぶん、お役所の規制、お役所の発想あたりに問題があるが、どうすればいいのか?
お役所の所轄部署の若手に読んでもらいたいが、縦割りに切り込むことは不可能なんだろう。

rakuten 白熱講義 これからの日本に都市計画は必要ですか


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(新聞紙面のデジタル版はだいたい2~3日後にUPされています。)
朝日デジタルの書評から45
朝日デジタルの書評から(目録)





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Last updated  2014.08.20 07:58:10
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