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過日、市川塩浜で海ガモを観察した件をリポートしたところ、鳥友から図鑑に少ないとだけ記載があるがはビロードキンクロの個体数についてどんな現状なのかと質問をもらいました。同じ調査方法で個体数が調査されたデータは見当たらないので、文献に報告されているものを下記に紹介します。報告を見てみると、底質が砂の水深5-20m の海域で軟体動物(二枚貝類)や甲殻類が採食できるフィールドで生息していると整理できます。(文献に報告されているビロードキンクロの個体数)日本鳥学会(2004)は、2000 年から2003 年に、茨城県から千葉県の海岸で個体数および分布を把握するための調査を行い結果を報告しています。それによると、ビロードキンクロの最も大きな群れは3,531 羽で、2001 年3 月27 日に千葉県新川から栗山川間の砂浜で確認されたと述べています。調査域北部で384 羽/km、中央部で16 羽/km、南部313 羽/kmの密度だったとしています。また、その分布は、底質が砂の水深5-20m の海域で、主に軟体動物(二枚貝類)や甲殻類などを潜水して採食するためそのような条件にあう水面で分布していたと報告しています。千葉県(2015)は、三番瀬海域の鳥類の状況を調査した結果を報告しています。それによると、船橋三番瀬海浜公園先の水面でビロードキンクロ6羽を観察したと述べてます。日本生態学会(2021)は、日本の沿岸海域(オホーツク海及び瀬戸内海を除く)、海岸から1km及び3km沖合について高翼式飛行機を使用し調査をした結果を報告しています。記録できたカモ科の個体数合計は19318羽で、ビロードキンクロは113羽記録できたと述べています。(引用文献)日本鳥学会.2004.2004年度大会公園要旨集.茨城県から千葉県の海岸におけるビロードキンクロ属2種の個体数変動と分布.千葉県.2015.平成25年度三番瀬鳥類個体数経年調査結果.pp34日本生態学会第68回全国大会.2021.日本沿岸海域における航空機を用いた海鳥の広域分布調査.日本生態学会大会講演要旨.(写真)いずれも浦安市日の出で撮影、2021年2月、1月、2020年12月撮影
2022.11.30
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これから本格的な冬になると、フィールドでコミミズクの姿を見かけます。姿はともなく、その鳴き声については文献のほとんどが鳴かないと解説しているものが多い傾向です。しかし、下記のような報告がありますので紹介します。しかし、石川(1985)は、千葉県習志野市の海岸部に位置している埋立地で1980年から1985年の間に調査をした結果を整理し報告しています。それによると、コミミズクの鳴き声は日没後の夜間に聞くことができ、鳴き声は「ギャーウー」という大きな叫び声で連続して鳴くことが多い、そのほか「ギャウー」とか「ギャー」という鳴き声もだし、まれに「ケッケッケッケシ」という連続した鳴き声、「ピーピーピー」、「ホーホー」と小さな鳴き声も確認していると報告しています。さらに、石川(1985)は、警戒心の強いネズミ類の不意をつく採食方法を行なう本種にとり夜間の活動時間中に飛びながら大声をだして鳴くことは、採食行動に対し不利益なので鳴かないことが多いのではないかと指摘しています。高野(1980)が日本にいる期間は鳴かないことが多いとしている記述、高野(1985)では、越冬中の縄張り争いをしている場合にはキッキッ、ビイー、ビーイときしるような声を出すとしている点、叶内(2011)も同様で越冬中はあまり鳴かず飛翔中の争いでギャア、ギーャと鳴くと述べているのは、石川(1985)の解説と同様です。(引用)高野伸二.1980.野鳥識別ハンドブック.p198.日本野鳥の会. 高野伸二監修.1985.カラー名鑑.日本の野鳥.p336.山と渓谷社.石川 勉.1985.コミミズクの鳴き声について.Strix.p67-68.日本野鳥の会.叶内拓哉.2011.山渓ハンディ図鑑 日本の野鳥.p382-383.山と渓谷社.(写真)アップしたのは2013年1月、2月千葉県流山市、2015年1月茨城稲敷市、2020年1月、4月手賀沼沿岸、2021年3月茨城県稲敷市の順です。
2022.11.29
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カワセミが暮らす柏市内の小さな谷津田にシジュウカラの様子を観察に立ち寄りました。10羽前後のシジュウカラが鳴きながら谷津田に飛来したと思ったら、池の葦原に直行。葦の茎をつつき、葉鞘(茎を覆う皮のようなもの)の下に隠れているカイガラムシ類を採食していました。カイガラムシ類は半翅目(はんしもく)に分類され、国内で400種程度生息しているそうです。我々の身近なものとしては、カイガラムシの分泌物から樹脂ができレコード盤に加工されたり、ハムの着色料にも使われるのだそうです。カイガラムシは、寄生した植物の幹、枝、葉などの汁を吸い、株の生育が悪化されたり最悪の場合は、枝や株が枯れるとされていますので、シジュウカラは救世主というわけです。谷津田の一角で待機していたら、昨日も姿を現してくれたカワセミが鳴きながら登場。何度も池の小魚を採食してお腹いっぱいになると杭にとまり、しばらく休憩を繰り返していました。(写真)2022年11月29日撮影
2022.11.29
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午後、短時間ですが、ホームグランド手賀沼とその沿岸を探索しました。到着し観察と撮影ツールを整えていたら、すぐ脇の田んぼからコミミズクがカラスに追尾されて飛び立ち、ふわふわと飛翔し移動していきました。このほか、沼の浅瀬ではコサギが中国武術の舞いのように水面を移動しながら餌の魚を追尾している姿、水面の工作物に餌の魚を持ったミサゴがカラスと睨んでいる光景、浅瀬で弁足を披露しながら移動するオオバンの姿を観察しました。(写真)2022年11月28日撮影(なお、コミミズクは2021年2月撮影もの)(備考)2021年冬まで手賀沼沿岸に滞在していたコミミズクを巡って地元の農家の皆さんと撮影者の間でのトラブルがあった模様で、現在は沿岸の水田地帯への車両侵入ができなくなっています。このような関係で本日の観察箇所については、お問い合わせをいただいていもおこたえをいたしかねます。あしからず。
2022.11.28
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柏市内に小さな谷津田があり、そこはカワセミがなわばりとしています。紅葉とコラボした記録を撮影できないかと現地で待機していましたら、今シーズン、なわばりとしているカワセミの雄が鳴きながら登場してくれました。景色の移ろいとカワセミのコラボ、これからも記録できたらと思います。(写真)2022年11月28日撮影
2022.11.28
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JR京葉線市川塩浜駅近くにオープンした塩浜三番瀬公園から三番瀬の鳥を探索しました。浦安市日の出側から観察すると、船橋海浜公園側の水域の水鳥が確認しずらかったのですが、塩浜側からですとぐっと確認しやすくなりました。トイレ、駐車場、遊具が整備され親子づれ、釣り人、散策と実にいろいろな方々が楽しめるところとなっています。塩浜三番瀬にはホシハジロ、ススガモ、ウミアイサ、カンムリカイツブリ、ダイサギ、オオバン、ハマシギ、ウミネコ、セグロカモメの姿がありました。アップした写真は、上面が黒褐色で下面が褐色で眼先が白いスズガモ成鳥雌、嘴が細く上嘴先端が下に曲がっていないウミアイサ、ボラをとらえたカンムリカイツブリがえいっばかりに丸呑みをした光景です。(写真)2022年11月27日撮影
2022.11.27
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鳥友からハシビロガモとオカヨシガモは、手賀沼で見られなくなっているのはどんな要因かと質問をもらいました。ホームグランド手賀沼ではかつて大津川河口先の水面にはオカヨシガモの群れが見られ、東端の手賀沼フィッシングセンター近くの水面にはハシビロガモの大群が羽を休めていました。手賀沼の鳥(1994)は、ハシビロガモは1985年1月には1285羽が記録されたが以降激減したと報告しています。また、オカヨシガモは1988年11月に164羽を記録したと述べています。ところが拙宅の亭主と11月7日、14日に手賀沼の水鳥調査をした際にはオカヨシガモの姿は確認できず、その激減ぶりが目立ちます。(1)ハシビロガモの採餌松原(1996)は、ハシビロガモの嘴の形態に着目しその食性についての調査結果を報告しています。それによると、動物プランクトンのワムシ類、ケンミジンコ類を採食し、特にケンミジンコ類が増加する時期に最も増加する水域で採餌していたと述べています。また、ケンミジンコ類はタンパク質に富み、渡りに備えて大量の動物質を必要とする時期に好適なものて゜あることも記しています。(2)オカヨシガモの採餌松原(1996)は、ハシビロガモとともに頻繁に採餌しているのはオカヨシガモで、日中の採餌の場として利用していると述べています。しかし、オカヨシガモは他のカモとくらべて植物性の餌を多く利用する種類であり、採餌に時間を費やす種類と述べています。(3)手賀沼で見られなくなったハシビロガモとオカヨシガモすでに述べたように、ハシビロガモは動物質の餌を採食する種類、オカヨシガモは植物性の餌を多く利用する種類で、これらの餌が手賀沼で激減した可能性が高いと思います。また、最近の手賀沼は水位が高く、オカヨシガモが水底の藻や種子を食べるために頭を突っ込んで食べることができなくなったことがその姿が見られなくなった要因として考えられます。逆に柏の葉公園のように、水深が浅く、水底の藻などの餌を逆立ちして採食できるところにオカヨシガモが集まっているものと考えます。(引用)手賀沼の鳥.1994.20年の観察記録.P81.我孫子野鳥を守る会.松原健司.1996.ハシビロガモの嘴の形態と生息地選択および食性との関係.我孫子市鳥の博物館調査研究報告.第5巻.P1-83.
2022.11.26
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昨年11月おわりに野田市内公園内でアトリの群れを観察していたので、今シーズンの様子を見に出かけました。昨年群れが集まっていたモミジバフウとモミジの種、桜の蕾は昨年と同様なので丁寧に探索してみました。残念ながら姿を見つけることはできませんでしたが、近郊の松戸市、柏市にはすでに飛来しているので今後のお楽しみです。公園内を探索した後、近くの水路に羽を休めるカモたちに注目してみました。マガモ、カルガモ、コガモ、ハシビロガモの姿に続き、トモエガモを発見しました。嘴の付け根の白くて丸い斑、肩羽の先端が尖っている個体でコガモとの違いがわかりやすかったです。でも、水面に映り込む水路沿いの草原の模様が不思議な模様となってしまいすっきりとした写真とできず、ちょっと残念。(アップした画像)・トモエガモ雌は水面を移動しているシーン、後ろ向きに振り向いてくれたものです。・そのほかは、コガモ雌、ハシビロガモ雄、上面が暗色のハシビロガモ若鳥、マガモ雌、紅葉をバックにしたカワセミの写真をアップしました。(写真)2022年11月25日撮影
2022.11.25
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夕方近くの時間帯、短時間ですが柏の葉公園を訪ねました。水面にはオカヨシガモが圧倒的で200羽弱、ヨシガモが20羽あまり、コガモ10羽弱、ハシビロガモ5羽、ヒドリガモ20羽弱といったところで、採餌に余念がありませんでした。特にオカヨシガモは、水面に浮かんだまま猫がふみふみするように足を動かして水中の餌が浮かんでくるようにしている仕草、水底の藻や種子を食べるために頭を突っ込んで餌をとるといった仕草を披露くれました。なお、19日に水面で姿があったトモエガモ雄の姿は今日は認められずでした。アップした写真は、オカヨシガモ雌が水面で足をふみふみしていた光景、雌雄ペアで逆立ちして採餌していた光景、ヨシガモ雄幼羽が生殖羽に換羽している個体、三列風切基部が淡色(幼鳥は黒褐色)のヨシガモ雌非生殖羽、肩羽に褐色斑のあるオナガガモ雌成鳥、上面が黒っぽく脇の赤褐色味が弱いヒドリガモ雄若鳥、雨覆が白いヒドリガモエクリプスが生殖羽に換羽中の個体、黄色の嘴で嘴爪が黒いマガモ雄エクリプス、ハシビロガモ雌雄、帰り際に池の縁に登場してくれたジョウビタキです。(写真)2022年11月24日撮影
2022.11.24
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(財)山階鳥類研究所と環境省生物多様性センターが発行のバンディングかわら版5号に1961年から2017年に行われた標識調査で初放鳥から回収された日までの最長記録が報告されていました。ホームグランド手賀沼で観察記録のある種類について抜粋してみました。(カモ科)オオハクチョウ23年1ヶ月、カルガモ11年2ヶ月、オナガガモ23年0ヶ月(サギ科)ダイサギ21年6ヶ月、コサギ12年5ヶ月(ウ科)カワウ17年2ヶ月(シギ科)キョウジョシギ14年9ヶ月(タカ科)トビ8年4ヶ月、オオタカ18年8ヶ月(カモメ科)ウミネコ32年10ヶ月、ユリカモメ27年1ヶ月、コアジサシ21年10ヶ月(フクロウ科)フクロウ19年0ヶ月(山野の鳥)キジ4年11ヶ月、キジバト10年0ヶ月、、カワセミ5年1ヶ月、ハシブトガラス19年4ヶ月、シジュウカラ7年11ヶ月、ヒヨドリ10年4ヶ月、ツバメ8年11ヶ月、ウグイス9年0ヶ月、ムクドリ7年7ヶ月(標識調査で得られた鳥類の生存期間について)大迫・三原(1998)は、福井県大野市にある神明山で行った標識調査で装着した標識が再回収された鳥類の経過日数を報告しています。それによると、最も長い生存が確認されたのは、コゲラで723日、ヒガラで366日、ヤマガラで1504日、シジュウカラで1514日だったと述べています。バンディングからわ版ではシジュウカラは7年11ヶ月と報告されていますが、大迫・三原(1998)では1514日(約4年3ヶ月)で差異があります。(引用)大迫義人・三原学.標識調査から得られた鳥類の外部計測値,捕獲時期および生存日数.Ciconia 福井県自然保護センター研究報告.7:7-12.p1-6.バンディングレター.2022.バンディングかわら版.第5号.(財)山階鳥類研究所・環境省生物多様性センター.pp2.(webで解説のある鳥類の寿命)webで鳥類の寿命について解説がされているものを目にしますが、大方は下記に示す日本野鳥の会のBIRD FANの解説をそのまま引用しているものと思われます。https://www.birdfan.net/b-kids/kids-consultation/kids-faq/faq009/#解説文多くの小鳥は、春に生まれた子どものほとんどが次の年の春まで生きのびることができずに死んでしまうため、平均寿命は短く、スズメで1年3か月、シジュウカラは1年8か月、ツバメで1年1か月ほどです。ただ、数は少なくても、1年間生きのびたものは、経験や学習をつんで、数年から10年以上生きることも知られています。#ここまで#ただし、この解説はどんなエビデンスによるものかが記されておらず、後段の経験や学習をつんで数年から10年以上生きるとある裏付けも不明で注意が必要です。(写真)カワウ2022年3月手賀沼、キョウジョシギ2021年4月三番瀬、ダイサギ2022年2月柏市、トビ2022年11月手賀沼、フクロウ2022年5月千葉県、ユリカモメ2022年3月水元公園でそれぞれ撮影。
2022.11.23
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狩猟期間がスタートして一週間経過した手賀沼の沿岸の様子を見に出かけました。狩猟対象のカモ科の鳥類は、ヨシガモ、ヒドリガモ、マガモ、カルガモ、ハシビロガモ、オナガガモ、コガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ、クロガモの11種。これらのカモが増加していれば、周辺地域から鳥獣保護区の手賀沼とその沿岸に移動してきたと考えられます。手賀沼大橋から東側の水域には、マガモがぐっと増加し300羽を超えていました。しかし、そのほかではヒドリガモ、コガモがそれぞれ30羽程度、ホシハジロが5羽といった状況でした。近郊の柏の葉公園、柏の葉キャンパス駅近郊、利根川の利根町の水面にカモの大群が見られるのと比べると寂しい限りです。それでも、葦原で複数のベニマシコがピッポッと鳴きながら移動していく光景を目撃しました。このほか、赤い眼瞼(まぶた)のセグロカモメ、中央尾羽がまだ伸びている途中のオナガガモ、上面が明るいグレーとなっているホシハジロ生殖羽、同じホシハジロですがまだ灰色味がかなり残る個体、コガモ雌非生殖羽と幼羽、頭部の緑色がまだらになっているマガモエクリプス、沼のあちこちに姿が目立つカンムリカイツブリ、眼先が黄色になったコサギ冬羽、杭に止まっていたミサゴなどをしつかり観察できました。(写真)2022年11月22日撮影(ベニマシコは2017年11月撮影のもの)
2022.11.22
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20日にアトリを目撃したとの鳥友からのニュースを耳にしていたので、千葉県松戸市の八柱霊園に出かけました。園内は紅葉が終盤となっていて見事な景色が広がり、その周辺をシジュウカラが30羽前後、エナガ2羽、ヤマガラ1羽の混群が移動していました。見ていると、シジュウカラ同士はいくつもの声を出しているのに、エナガ、ヤマガラは一声のみ。シジュウカラは複数の音を組み合わせて175パターン以上の複雑な音でコミュニケーションをとっていると文献で書かれていたのはこのことかと思い出しました。また、帰り間際に上空をハイタカが飛翔するのを発見。期待していたアトリの姿は、見つけられずでしたが、秋景色をたっぷり楽しんだ時間となりました。(写真)2022年11月21日撮影(アトリのみ2019年1月撮影のもの使用)(観察ポイント)・カラの混群が移動していたのは、ふれあい広場の東側、いこいの広場周辺でした。・ハイタカが飛翔する姿を目撃したのは、東門から南中央門方向にかけてでした。
2022.11.21
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トモエガモについて、環境省生物多様性センター(2021)は、調査結果から全国的に飛来数が多い年があり、2 013 /14 年と 2 019 /20、2020/21 年に多かったと報告しています。かつて、田尻(2005)が数万から10万羽を超える越冬群が見られる韓国では60万羽が記録されているのに、日本では多くても2000羽程度が記録されるのみで絶滅が危惧されると報告していることからすると、韓国の個体が飛来した、繁殖地のロシアでの繁殖状況が良好だったかなど要因が注目されています。(引用文献)田尻 浩伸.2005.トモエガモ日韓合同カウント調査.Bird Research News Vol.2 No.1.p2-3.バードリサーチ.環境省生物多様性センター.2021.モニタリングサイト1000 ガンカモ類調査.2021年度ニュースレター.
2022.11.20
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10日ぶりに柏の葉公園を訪ねました。県民プラザの前に広がる調整池にトモエガモの姿を見つけました。ヨシガモ、オカヨシガモとともに近距離で観察できるのでその羽色をよく観察できました。このほか、マガモ、中央尾羽がぐんと伸びたオナガガモ、水面を移動していたオオバンと出会えました。(トモエガモ)脇最上列の羽に丸みがあり、幼鳥の尖ったV字状には見えないので雄エクリプスが生殖羽に換羽している個体とわかりました。今日は調整池の一角にある小島の生えている木の葉を飛び上がって何度も採る仕草を見せたり、水に落ちた葉をついばむ光景を目撃しました。(ヨシガモ)成鳥雄は肩羽、脇の羽に丸みがあり肩羽の細い模様は目立たないのでエクリプスから生殖羽に換羽中であることがわかります。このほか、三列風切基部が淡色な雌非生殖羽など実にいろいろな羽色のものを観察。(オカヨシガモ)灰色主体の配色の雄生殖羽、褐色が強い三列風切の雄幼羽が生殖羽に換羽中の個体、黒褐色をベースに橙褐色の斑がある雌生殖羽を見かけました。(写真)2022年11月19日撮影
2022.11.19
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鳥友からある方のブログでメジロガモとキャップションがついていたが、その後アカハジロと訂正されていた。そもそもアカハジロの識別はどんなところを確認したらよいかと質問をもらいました。2017年2月に都内浮間公園で観察したアカハジロ雄の画像をアップします。下記のすべてを満たしていることが必要だと考えています。(観察した個体の特徴)(1)光彩は、観察した個体では淡黄色でした。(個体によっては白色に見える場合もあります)(2)頭部の緑色で光沢のある色、あずき色の胸(3)脇のほぼ上端まで白色部が食い込んでしました。(4)白い下尾筒(メジロガモ、ホシハジロとの雑種)氏原(2015)が観察記録と撮影画像を示し、アカハジロとメジロガモについて解説をしています。雑種については次のとおり記しています。(メジロガモとの雑種)頭頂周辺に赤褐色があり脇の赤褐色の広い個体はメジロガモとの雑種です。(ホシハジロとの雑種)嘴の黒斑が幅広い、光彩に赤味が混じる、脇や体上面にはっきりと波状斑があり灰色がかる、下尾筒の白色部が小さいなどがある場合はホシハジロとの雑種です。(アカハジロのエクリプス)アカハジロ雄のエクリプスは頭部は緑色の光沢がなく、嘴基部や耳羽に褐色部が出ます。脇の褐色部は雄生殖羽より広く、白色部への食い込みもはっきりしません。(引用)氏原巨雄・氏原道昭.2015.日本のカモ識別図鑑.p188-196.文一総合出版.
2022.11.18
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八丁堰と呼ばれる灌漑用の小さな池には、狩猟期間から年明けまで数千羽の鴨たちが羽を休める県内有数の飛来地です。ここには、多数のトモエガモ、マガモ、ハクチョウたちが降り立つので毎年楽しみに通っています。今日も、数えてみると、マガモ7200、トモエガモ259、オナガガモ331、ヒドリガモ20、コハクチヨウ6羽が羽を休めていました。トモエガモは、脇に丸く幅広いエクリプス羽が残る雄エクリプスが生殖羽に換羽中の個体、顔の巴模様がまだはっきりとしない雄幼羽が第一回生殖羽に換羽中の個体、嘴基部に白斑のある雌個体と実にいろいろ。このほか、マガモ成鳥雄、同幼羽が生殖羽に換羽中の個体、雌の非生殖羽を見かけました。さらに帰り道に近郊の水田でコハクチヨウ150羽程度の群れを目撃。これから真冬になると、さらに個体数がふえ、種類もさらに増えるものと思います。(写真)2022年11月17日撮影
2022.11.17
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水元公園で14日にメジロガモを観察・撮影したと情報を耳にして仕事の合間に現地に立ち寄りました。出かける前に撮影なさった方の画像を予習していたら、メジロガモであれば頭は中央が高く三角形に尖るのが認められないこと、頭部に赤色と緑色が混じって見えること、などの疑問を持ちました。そうは言っても、現地で個体を確認しないと気がすまないので水面を丹念に探索。しかし、残念ながら、その姿は見つけられずでした。小合溜の水面には、ホシハジロ300羽以上、キンクロハジロ20羽以上、ヒドリガモ60羽、マガモ、カンムリカイツブリ、カイツブリ、ユリカモメが羽を休めていました。このほか、メタセコイヤの林の前の水域でヒドリガモとアメリカヒドリの交雑個体を発見。短時間でしたが、いろいろな出会いがありました。(写真)2022年11月16日撮影
2022.11.16
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今日から2月まで狩猟期間に入りました。カモたちは、狩猟が可能な水辺から安全な湖沼に移動するものと思います。湖沼をはじめ沿岸域、平野部などさまざまな環境に生息するのがホシハジロです。このホシハジロについて、興味深い報告がありますので紹介します。神山(2017)は、ホシハジロの分布、生息環境、食性、文献に記されている事柄を整理し報告しています。その中で、ホシハジロの雄と雌には地域的な差があり、2014~2016年の1月に行った調査で、日本列島を北および東に進むほど(緯度と経度の数値に比例し)ホシハジロの群れに占める雄の割合が高いと述べています。また、ヨーロッパ、北米でも潜水ガモ類で同様の傾向が見られるとしています。理由については、攻撃的な雄がよい餌場からメスを追い出していること、雄の方が寒さに強い、オスは繁殖地に近い場所で越冬する、オス・メスで好む食物が異なるなどの説が存在するが、解明されていないと記しています。みなさんが普段ご覧なっているフィールドでのホシハジロの雌雄の割合は、さていかがでしょうか。(引用文献)神山和夫.2017.ホシハジロ.Bird Research News Vol.14 No.2.p1-2.
2022.11.15
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明日11月15日から翌年2月15日までは狩猟期間となるので、ホームグランド手賀沼の水鳥の様子を見に出かけました。先週、オシドリ、ホオジロガモの姿を目撃したと鳥友から聞いていたので期待して沿岸を探索しました。しかし、北よりの風が強い影響なのか、柏市大井から岩井の水域ではカンムリカイツブリ、カイツブリ、カルガモの姿のみで、かつて手賀沼といえばオカヨシガモの名所と言われた面影もありませんでした。その後、岩井新田から片山新田の間の水域で、ようやくマガモの群れ、ヒドリガモ、コガモ、ユリカモメ、セグロカモメの姿が目撃できたのみでした。近郊の印旛沼には水面を埋め尽くすマガモ、トモエガモ、ヨシガモ、ヒドリガモ、オナガガモの群れが飛来しているのと比べると大きな差です。もっとも、印旛沼では水生植物などの餌が豊富であり、葦原の面積が広く厚いのでカモの退避場所が残されているといった環境なので当然ですが。こんなホームグランドですが、今日はカモ、水禽の羽衣のいろいろを楽しむことにしました。緑光沢の頭と黄色の嘴が目立つマガモ雄成鳥、橙色の嘴と胸から腹にかけての斑が大きめのマガモ雌、嘴基部から頭上にかけて緑色で頬から後頭にかけて茶色、嘴峰には暗色斑がない雄エクリプスが生殖羽に換羽している個体と実にいろいろ。また、ヒトでいえばモミアゲが素敵なカンムリカイツブリ、水面の杭に止まり周囲を見渡したり上空を旋回していたトビを目撃。(写真)2022年11月14日撮影
2022.11.14
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昨日、印西市の水田地帯でハクチョウを観察してきました。若鳥について渡来初期では上嘴の鼻孔周辺の赤色を観察することでオオハクチョウとコハクチヨウの識別は可能とされています。コハクチョウでは、ピンク色が鼻孔周辺部、特に嘴峰上部まで及びます。端的に言えば嘴の前の部分がピンク色と表現できます。これに対してオオハクチョウでは、ピンク色が鼻孔下部と嘴のつけ根の方にはあまり見られない傾向です。しかし、コハクチョウで黒い部分が鼻孔で止まり、細長く見える個体が観察されることがあり、観察を続ける必要があります。なお、コハクチョウの鼻孔周辺部、特に嘴峰上部のピンク色は、渡来初期を過ぎると白色となっていきます。(写真)コハクチヨウは2枚とも2022年11月12日印西市で撮影、オオハクチョウは2013年11月に同地で撮影コハクチョウの鼻孔下部の白色となった個体は2015年11月に同地で撮影
2022.11.13
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今シーズンも印西市の水田地帯にコハクチョウが飛来しました。地元のメンバーのカウントによると、本日の渡来数は248羽の由。現地に到着した14時すぎでは、オオハクチョウ8羽、コハクチョウ178羽。渡来初期の幼鳥は、上くちばしの鼻孔周辺の赤色でもある程度オオハクチョウとコハクチョウの識別が可能と言われています。コハクチョウでは赤色部が鼻孔周辺部、特に嘴峰上部まで及ぶとされ、オオハクチョウは赤色部が鼻孔下部とくちばしのつけ根の方にはあまり見られない傾向がと聞いています。これらについては、まだ観察を積み重ねていきたいと思っています。帰り道には、近郊の水田地帯に羽を休めるタゲリを探索。成田市側の水田で40羽弱、印西市側で15羽の群れが羽を休める姿を見つけました。成鳥冬羽、雄第一回冬羽、成鳥雌の冬羽などを観察しました。(写真)2021年11月11日撮影
2022.11.12
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晩秋から真冬の間、水田地帯でチドリ科タゲリを見かけます。観察していると、羽色はじつにいろいろです。(1)成鳥冬羽一枚目の個体は2022年2月に手賀沼沿岸で観察した成鳥冬羽です。額から頭頂は黒褐色で後頭に長い冠羽、目の周りに黒線模様があり、上面は緑色で赤紫の光沢があります。二枚目の個体は、2019年1月に印旛沼沿岸の田んぼで観察した成鳥冬羽です。一枚目と特徴はほぼ同じですが、顔はより白っぽく見えました。(2)第一回冬羽三枚目の個体は、2020年11月に茨城県稲敷市で観察した第一回冬羽です。上面の羽縁がバフ色なのが特徴です。また、わかりにくいと思いますが胸の黒い部分に白色の羽縁がありました。四枚目は2017年11月に茨城県稲敷市で観察した若鳥から第一回冬羽にかけての個体と思われるものです。三枚目と比べると上面の羽縁のバフ色がより目立ちます。(成鳥冬羽の上面の色が紫色の強い個体)五枚目は2020年2月に印旛沼沿岸の水田で観察した冬羽です。上面の色が緑色より紫色のインパクトが強く感じた個体です。
2022.11.11
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10日ぶりに柏の葉公園と市内のフィールドを訪ねました。県民プラザの前に広がる調整池ではカモの数がぐんと増え、羽色もだいぶ変化していました。ヨシガモ雄生殖羽は、鎌状に下垂した三列風切はまだないものの、緑と赤紫の頭がきれいになってきていました。また、雄エクリプス羽は頭部は暗色傾向で、肩羽には斑が目立たない状態でした。このほか、コガモはエクリプス羽が生殖羽に移行しつつある個体が復数見かけました。それ以外では、ハシビロガモのエクリプスが生殖羽に移行途中の個体、キンクロハジロの雌雄、オカヨシガモの雄生殖羽個体、水面を鳴きながら移動していたカワセミ雌個体を目撃しました。コンパクトにフィールドでありながら、いろいろなカモの姿を観察できるおすすめの探鳥地です。帰路、近郊の公園に立ち寄りましたら、アキニレの実を食べにオオカワラヒワと思われる個体を見つけました。灰色味のある頭部、三列風切の白い部分の広いのが目立ちました。(写真)2022年11月10日撮影
2022.11.10
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柏市内の小さな谷津田を訪ねました。青空が広がり、上空をオオタカが旋回し、ウグイスの笹鳴き、シジュウカラが葦の茎に潜む虫を器用に食する光景を観察しました。その一角にある柿の実の上に小鳥が飛来したのが目に入り、双眼鏡をむけてみるとヤマガラでした。実をついばむ光景と実の上でしばらくじっと静止していました。ヤマガラというとエゴノキの実をしっかり足でつかんで嘴で突き割っている光景で、柿の実はメジロやヒヨドリがよくついばむのは目撃していましたが、ヤマガラでははじめてでした。帰宅後、叶内拓哉さんのハンドブックを見てみると、私は柿の実を食べない鳥を知らないと記されていました。また、、茅ヶ崎市(2007)には「実のなる木」の食べられる優先順位ではカキ→ピラカンサ→ナンテン→センリョウ→マンリョウ→イヌツゲ→ヒサカキと記されているではありませんか。イメージが支配してしまうとこんなことも知らなかったんだと自戒。(写真)1枚目、2枚目は2022年11月9日撮影、3枚目は柏市内で2022年2月撮影、4枚目は柏市内で2017年12月撮影、5枚目のメジロは2021年12月柏市内で撮影(参照文献)茅ヶ崎市.2007.特別展 ちがさきの野鳥と自然~里の鳥たち.茅ヶ崎市教育委員会.p28.叶内拓哉.2006.野鳥と木の実ハンドブック.p35.文一総合出版.
2022.11.09
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昨日、ホームグランド手賀沼沿岸でコチョウゲンボウと出会いました。じっと電柱に止まっていましたが、それも開放的な環境で捕食活動を行う関係でのものです。これから冬にかけて、捕獲した小鳥を貯蔵する行動を見かけることがあります。コチョウゲンボウの捕食と貯蔵行動について文献で報告があります。参考までに紹介します。松村(1993)は、1987年をのぞく1980~1991年の8月~翌4月に福井臨海工業地帯内の工場敷地内の草原、造成後人工的に吹きつけをした草原、造成後自然に草原が復元し,裸地と草原がパッチ状に分散している海に面した草原とクロマツ林、池、港、海の環境から構成されるエリアで、ワシタカ類の捕食行動などについて調査を行った結果を報告しています。(1)捕獲行動と場所おもに、獲物が隠れる場所のない開放的な草原で行なわれ、地上近くの杭や砂山などで「とまり型」を行ない、おもに飛期中の獲物を発見すると追尾や急降下を交えて捕獲していたと述べています。そのほか、地上または低木にとまっている獲物の場合は,接近により飛び立たせてから捕獲行動に移ったことも記しています。(2)貯蔵行動チョウゲンボウとチョウゲンボウの貯蔵行動は,11月上旬の小鳥が次々に渡る日に観察され、コチョウゲンボウは、貯蔵後すぐに上空を探索する行動をとり、獲物を発見するとすぐに捕獲の体勢に入る行動が連続的に観察されたと報告しています。また貯蔵場所は、あまり茂っていない草の根元であり貯蔵のあとも食物の所在が容易に観察できたとしています。(3)捕食していた3つのタイプなお、コチョウゲンボウが捕食していた小鳥は、草原低木種(スズメ、カワラヒワ)、上空通過種(メボソムシクイ、メジロなど)、地上種(タヒバリ、ヒバリなど)の3つのタイプだったと報告しています。その他では、キジバトやハマシギなどを狙ったが成功しなかったと述べ、捕獲行動の成功率は52.3%と述べています。(引用文献)松村俊幸.1993.松村工業埋立地における非繁殖期のワシタカ類の捕食行動と優劣関係.Strix.第12号.p61-71.日本野鳥の会.
2022.11.08
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10日ぶりにホームグランド手賀沼を訪ねました。今日のお目当ては、そろそろ飛来するホオアカ、コチョウゲンボウ。手賀沼大橋の東側のポイントを丁寧に探索してみました。東端の葦原でお目当てのひとつホオアカの姿を発見しました。胸の赤褐色の境界線、胸から上の白色、胸から下面は褐色、耳羽の赤褐色が広く雄成鳥冬羽と思われました。ホオアカを見かけたポイントのそばの入江でタシギ、田んぼの中の電柱にノスリがとまり、水面の杭にはミサゴが捕獲した魚を食べ始めたシーン、そして葦原の上空をハイイロチュウヒが飛翔する姿を目撃しました。ハイイロチュウヒは体下面と下雨覆に褐色斑、風切全体に明瞭に横斑を観察できました。その後、さらに柏市と印西市の堺に広がる水田地帯に移動し探索すると、電柱にコチョウゲンボウの姿を発見。白い眉斑、目の下にひげ状斑、体下面の縦斑をしっかり観察できました。(写真)2022年11月7日撮影
2022.11.07
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ジョウビタキについて、鳥友から年によって雌のほうが飛来数が多い印象があるがどうしてかと質問をもらいました。文献を調べてみると、田中・佐藤(2013)が1999年秋から2011年春まで高知県内で観察したジョウビタキの渡来数と性比について報告しています。12年の越冬期合計で1173羽を記録し、年による増減が大きかったと述べています。この文献の中で、雄が越冬地に先に到着しなわばりを確保していると雌がなわばりを確保できる可能性が低いと記している点が興味深い部分です。このような要因で雌の割合が高い地域があると読み取ることができます。今シーズン、ようやくジョウビタキが飛来したばかりですが、観察した個体が雄か雌か、個体数はどうかを記録しておく価値があると思います。(報告概要)注目されるのは、2002年、2007年、2009年は高知県へのジョウビタキの飛来が多かったが平野部での越冬個体数は多かったのに、寒さが厳しい山地では少ない結果だったとの点、高知県では雌が雄より多かったと述べている点です。前記筆者は、鳥類の生まれた時点での性比には違いがなく、ジョウビタキも同様と考えられていると述べています。しかし、繁殖地により近い越冬地にいち早く到着した雄ほど繁殖に適した場所をなわばりとして確保でる可能性が高い。一方、雌も越冬地でなわばりを形成するが、越冬地に雄がすでに渡来していると雌がなわばりを確保できる可能性は低い。このため、雌は繁殖地からより遠い場所での越冬地に飛来すると記しています。ジョウビタキは中国北部からシベリア南東部などで繁殖し、日本、韓国、中国南部で越冬するが、高知県で越冬期で雌のほうが多かったのは、繁殖地に近い越冬地に雄が先に飛来していたために、繁殖地から遠い高知県では雌の個体数が多い結果となったものと思われると報告しています。(引用)田中正春・佐藤重穂.2013.高知県におけるジョウビタキの性比と越冬個体数の年変動.四国自然史科学研究.第7巻.p12-13.
2022.11.06
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一ヶ月ぶりに茨城県南部のシギ・チドリの様子を見に出かけました。しかし、あちこちに防鳥ネットが張り巡らされていて、シギ・チドリの姿は限られたスポットに見つけたのみでした。防鳥ネットに足や翼が絡んで逃げられない状況に至っていたのは、タゲリ、コガモ、マガモと復数の鳥たちでした。何とかネットを外せないかと試みましたが、いずれも畦から鳥たちが絡んでいる場所が遠く、ネットを揺さぶるのが精一杯。そんな場面に遭遇し対処していたので、観察する時間は限られたものとなり、コチドリ、オジロトウネン、トウネン、カワセミといった鳥たちと遭遇したのにとどまりました。帰路にヒシクイが毎年飛来する江戸崎に立ち寄り、水田の真ん中にオオタカが杭に止まり、獲物を狙っている姿を遠目に発見。(写真)2022年11月5日撮影
2022.11.05
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3日に宮城県伊豆沼と蕪栗沼を訪ねました。鳥友からマガンは何を食べているのか、餌を食べるのに活発な時間帯はと質問をもらいました。嶋田・鈴木・石田(2002)は、伊豆沼とその周辺に飛来しているマガンの食物内容を糞分析法をもちいて調査した結果を報告しています。マガンの糞内容物は、10~1月にかけてどの月もモミの削合がもっとも高く、全休の40.0~53.8%、イネの葉と単子葉類,双子葉類の葉が26.0~47.0%で、その後イネ葉の割合の減少にともなって単子葉類と双子葉類の割合が増加することが判明したとの述べています。また、エネルギー価の高いモミが積雪でとれなくなると、畔などの草本類に食物に移行すると採食時間は増加したと述べています。また、マガンの採食行動の活性が高くなるのは早朝から10時までの時間帯で、11時から14時まで一度低下した後15時から夕方にかけて再び増加する結果だったとも述べています。(引用文献)嶋田哲郎・鈴木康・石田みつる.2002.糞分析法による越冬期のマガンの食性.STRIX Vo1.20、pp,137-141,2002.日本野鳥の会.(写真)1枚目、2枚目は2022年11月3日撮影、3枚目は2014年12月、4枚目は2017年12月撮影(参考)双子葉類(子葉の枚数が2枚)アブラナ・エンドウ・タンポポなど単子葉類(子葉の枚数が1枚)イネ・ツユクサ・トウモロコシなど
2022.11.05
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2日の夜から3日にかけて宮城県伊豆沼・蕪栗沼を訪ねました。3日の朝から日没までの間、ひたすら水田と沼を見て回りました。お目当ては今シーズン200羽程度、姿が見られているシジュウカラガン、そして少数目撃されているカリガネです。伊豆沼の北側に広がる伊豆沼2区と呼ばれるエリアからスタートし、JR新田駅前の水田、蕪栗沼とその周辺の水田、JR瀬峰駅の南西側に広がる水田を見て回りました。(なお、現在、伊豆沼、蕪栗沼周辺の田んぼでは稲わらロールづくりの作業が行われおり、伊豆沼2区、蕪栗沼西側の野谷地地区の水田にはガンの姿はほとんどありません)お目当てのシジュウカラガンの姿は、瀬峰地区の水田に12羽見つけました。距離がかなりありましたが何とか証拠写真を撮影できました。また、カリガネは上畑岡地区の水田で羽を休めるマガンの群れの中に1羽発見。黄色のアイリングを見つけたのですが、その後は寝入ってしまい記録はできず。(写真)2022年11月3日撮影写真は、瀬峰地区のシジュウカラガン、伊豆沼二区のヒシクイ、蕪栗沼のヒシクイ、マガン、オオハクチョウ、獅子ヶ鼻地区の景色、オオハクチョウ、志波姫地区のマガンの成鳥と若鳥の順です。(観察ポイントメモ)・昨シーズン、ハクガンの姿を見つけた伊豆沼二区では稲わらロールが相当数あるのでガンの姿はなく、畑岡小学校前から光明寺前の水田に5000羽程度のマガンの群れを見かけたのみでした。しかし、この中にカリガネを目撃しました。・蕪栗沼本体の水面では、オオヒシクイ200羽、オオハクチョウ、コハクチョウの群れが100羽程度、タゲリの25羽程度の群れを見かけました。沼近くの野谷地地区の水田では、夜明けの沼を飛び立ったマガン、ヒシクイたちが再び帰還する10時頃、上空を真っ黒に埋め尽くす群れが移動・旋回を繰り返していました。この中にシジュウカラガンの多くがいた可能性が高いと思われます。・瀬峰地区でも稲わらロールがあちこちにあり、マガン、ヒシクイが羽を休める場所が限られますが、マガン1600羽前後の姿があり、その中にシジュウカラガンの姿がありました。・かつて伊豆沼の観察ポイントとして多数の方が訪ねた獅子ヶ鼻地区では、14時すぎにはマガン、ヒシクイ、オオハクチヨウ、コハクチョウの群れ2000羽程度が羽を休めていました。15時すぎには20羽程度で飛び立ち、近郊の田んぼで餌を補給し、再び沼の降り立ちます。・新幹線くりこく高原駅地区は、17時前後をピークにおもにマガンの大群が新幹線高架上空を鳴きながら通過していきます。群れの通過は真っ暗になってからも続き、19時頃まで目撃できます。この地区では小さい家族を目撃することが多く、成鳥と若鳥を一緒に観察できます。
2022.11.04
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オオハクチョウとコハクチョウは、上くちばし側面の黄色部分の形で識別できることが図鑑類の多くで記されています。しかし、嘴側面が見えない場合には両種を識別できないのかと聞かれることがあります。角田(2020)は、下嘴の左右で確認できるピンクラインと下嘴両側口角隅のEポイントの有無でオオハクチョウとコハクチヨウを識別できることを紹介しています。コハクチヨウのピンクラインは、くちばしを閉じていても確認できる個体も存在しますが、オオハクチョウでは嘴を開いていても確認できません。また、Eポイントは、オオハクチョウは嘴を閉じていても確認できますが、コハクでは注意しても確認できる個体とできない個体が存在することを指摘しています。このことからピンクラインを確認できる個体はコハクチョウで、Eポイントを確認できるのはほぼオオハクチョウと識別できると述べています。(引用文献)角田 分.2020.オオハクチョウとコハクチョウ識別の2つの新観点.バードリサーチ水鳥通信.2020年12月号.p4-5(2つの視点のもうひとつは、、下くちばしの黄色と黒の形状の違いを用いる識別方法ですが、野外ではなかなか確認できない場面も多いと思いますので割愛します)(写真)1枚目2014年12月手賀沼で観察したコハクチョウ、2枚目2020年1月手賀沼で観察したコハクチヨウ3枚目2015年1月茨城県北浦で観察したオオハクチョウ4枚目2012年印西市で観察したオオハクチョウ
2022.11.02
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