まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2022.07.24
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メール産声送信ドバイは大夕焼 恋を終わらせ平日の海月見る メールぴこんぴこんシャワー中だってば 羽蟻わく今宵ロマンス詐欺メール アルパカを返す手配り雲の峰 白雨受くネットショップの段ボール 緋ダリアや「メール不達」のメール来る 社食から花火原稿音読す 月見草文箱の底に出さぬ文 夏の雲逝くな逝くなと文字叩く 夕涼の竹富未読メール百 晩涼のRe:Re:Re:セットリストの見せ場 故人との弾みしメール夜の秋 真夏来てサブスクのtrf 風鈴鳴る千の躊躇を弔って

お題は「メール」。

今回は女性が上位を独占しました。

水彩画などのアート系査定では、
もともと女性が男性を上回ってましたが、
俳句査定では、以前は男性ばかりが上位を占めていた。

しかし、最近は、
女性の特待生もだんだん増えてきて、
ついに今回は女性陣が男性を圧倒した形です。
そういえば芥川賞も直木賞も女性だらけ!






順不同で、2位の犬山紙子から。
恋を終わらせ平日の海月 くらげ 見る


唯一の映像であるはずの「平日の海月」が、
ある種の心情描写になっていて、
最後の「見る」が主人公を浮かび上がらせる。

2つの動詞「終わらせ」「見る」を重ねていますが、

前回の、
喪服着てメロンソーダの列に居る
における「着て」「居る」と同じ構造で、
動詞の使い方が、描写というよりモノローグ的なのですよね。



1位の中田喜子。
産声送信 ドバイは大夕焼


おめでたい!

そして壮大なスケール感!

これは「ドバイ」という地名の勝利でもある。



11位のかたせ梨乃。
夕涼の竹富 未読メール百


これも「ドバイ」と同様に、


都会の喧騒から切り離された、
ゆったりした時間の流れがおのずと対比される。



3位の森口瑤子。
メールぴこんぴこん シャワー中だってば


本人はネガティブな意図で詠んだらしいけれど、
ミッツが言うように、ちょっと嬉しそうですよね(笑)。

よくもわるくも森口瑤子らしくなくて、
なんだかアニメ声優みたいな俳句だなと思いました。



以下も順不同で。

安藤和津。
白雨 はくう 受くネットショップの段ボール


玄関先の「人気 ひとけ の無さ」にこそ詩情を感じます。

段ボールが白雨を 「受く」 という動詞は擬人化した用法だけど、
これも無人の状況のなかで功を奏してると思います。



キスマイ千賀。
緋ダリアや 「メール不達」のメール来る
ダリアは緋 「メール不達」のメール来る
(添削後)

原句は良く出来ている。

かたや、
「ダリアは緋」とする添削の論理はちょっと難しくて、
これには賛否両論があるんじゃでしょうか。
客観写生というよりも、
ダリアへの「意味づけ」があまりに強調されすぎなのでは?



勝村政信。
夏の雲 逝くな逝くなと文字叩く
夏雲や 逝くな逝くなと文字叩く
(添削後)

わたしも先生と同様に、
かなり痛切な衝迫を詠んだ句かと思ったのだけど、

本人の説明を聞くと、意外にそうでもなくて、
「参列者たちのメールを打つ様子がそのように見えた」
という作者のファンタジーだったのですね。



梅沢富美男。
月見草 文箱 ふばこ の底に出さぬ文


悪くないと思ったけど、
凡と言われてしまった…(笑)。

ちなみに「ふばこ」という読み方をはじめて知りました。



ミッツ・マングローブ。
真夏来てサブスクのtrf


先生からは「奥行きに乏しい」との評。

たしかに薄っぺらいとも言えるし、
いつものミッツらしい妖艶さは足りなかったですね。

たぶん、本人的には、
夏の歌謡曲にもじゅうぶん色気を感じてるのだろうけど(笑)。



5位のフジモン。
アルパカを返す手配り 雲の峰


そもそも、
「アルパカを返す」という状況が一般的ではないので、
何のことを描いてるのか、まったく分かりませんでした。

しかも、
「手配 てはい 」ではなく「手配り」としたことで、
手で何か配ってるのかな?と誤読してしまう。

テレビやイベントなどの業界で働く人でなければ、
ちょっと分からない言い回しじゃないでしょうか?

かりに、
「アルパカを返す手配や」
とか、
「アルパカの返却手配」 なら、
だいぶ誤読は少ないかもしれません。



久代萌美。
社食から花火 原稿音読す
原稿を下読み 社食から花火
(添削後)

一瞬、「花火原稿」と誤読してしまいました。
花火大会に行けない人のもとへ、
花火の様子を伝える原稿が届いたのかな、と。

説明を聞かないと、
何の原稿なのかも分からないのですよね。

添削句では、
そういう読みの迷いや誤読の余地はなくなっています。



4位の東国原英夫。
羽蟻わく今宵 ロマンス詐欺メール


切れがどこにあるのか迷いました。
強いていえば、それが欠点かなと思う。

「羽蟻わく / 今宵ロマンス詐欺メール」 だと、
古びた家屋と、
なにやら「コンフィデンスマンJP」みたいな状況が、
ちょっと不釣り合いになるけれど、

「羽蟻わく今宵 / ロマンス詐欺メール」 だと、
2種類の《望まない害悪》が同等に響き合って、
「古びた家屋」と「ロマンス詐欺」という不釣り合いが、
かえって風刺や哀れみや滑稽味を生むのですね。



キスマイ横尾。
晩涼のRe:Re:Re: セットリストの見せ場


本人いわく、
「Re:」はメンバー同士のメールのやり取りとのことらしい。

わたしは、
てっきり歌詞のリフレイン (繰り返し) のことかと思いました。
ライブが盛り上がって、リフレインが止まらないのかと。

そもそも、読んだだけでは、
ソロ歌手なのかグループなのかも判断できないわけですし。

これも、ちょっと分かりにくいです。



千原ジュニア。
故人との弾みしメール 夜の秋


中七「弾みし」の是非かなあ…。

弾んでいたのはすでに過去のことだから、
この動詞の躍動感が浮いてしまっている気がする。

ちなみに「夜の秋」という夏の季語ははじめて知りました。



最下位のフルポン村上。
風鈴鳴る 千の躊躇を弔って


秋川雅史の「千の風になって」のパロディに見えるけど、

実際は、死者とは何の関係もなくて、
「躊躇を弔う (=送信しなかった文言を消す) 」という比喩であり、
しかも「弔うのは風鈴である」という擬人化。

詩情には優れてると思うけど、ちょっと分かりにくいです。





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最終更新日  2022.07.25 11:21:30


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