まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2025.07.04
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Eテレで「日曜美術館」ビアズリー特集を見ました。

ビアズリーといえば山岸涼子と思うけれど…
コメント出演したのは萩尾望都でした。


山岸涼子はビアズリーよりミュシャに憧れてたそうです。



番組を見て思いましたが…

ヴィクトリア朝末期のロンドンって、
ハプスブルク朝末期のウィーンに似てたのかも。

19世紀末ヨーロッパの西端と東端だけど、
どちらも王朝末期の文化が爛熟・頽廃するなかで、



一方、
本来の禁欲主義的なヴィクトリアニズムは、
新大陸のプロテスタント社会へ受け継がれた気がします。



ビアズリーの挿絵を載せたのは、
オスカー・ワイルドの「サロメ」だけど、
この物語は、
あらゆるエロスのてんこ盛りなのよね…(^^;

・ヘロデヤの密通と殺人
・不義の娘サロメの死体愛
・ヘロデ王の権力欲と近親愛
・オスカー・ワイルド自身の同性愛

この嗜虐的なエロスが、
王朝末期の文化的な爛熟と頽廃にも、
結核に冒されたビアズリーの死の恐怖にも、



ヨカナーンの首を掲げるのは毛の生えた腕?



もともと、
パリのサディズムとウィーンのマゾヒズムは、
ファムファタールの理想を共有してたと思うけど、
その英国的な回答がサロメだったのでしょうね。


プラハやパリで活躍したミュシャと、
ロンドンで活躍したビアズリーには共通性があるし、

高度な印刷技術が発達した時代に、
おもにイラストレーションの分野で、
縦長の構図に女性を描いたところも両者は似てる。





わたしは90年代に、
ケンちゃんの映画「サロメ」に心酔し、
岩波文庫でオスカー・ワイルドの戯曲を読み、

そこでビアズリーの挿絵を目にしたわけですが…

もともとオスカー・ワイルドの戯曲が、
フランス語で書かれたのも知らなかったし、
挿絵を描いたときのビアズリーが20才だったとか、
彼が25才の若さで亡くなったとかも知らなかった。


岩波文庫の解説にはちゃんと書いてあったんだろうな…(^^;

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ビアズリーは詩や小説も書いてたんですね。
みずからを「詩人の残骸」と呼んでたっぽい。

さらには、
文芸誌「イエローブック」の創刊にも関わってます。
当時のフランスに黄表紙の小説が多かったので、
それに倣って創刊された文芸誌らしい。

そういえば、
大河「べらぼう」にも江戸の黄表紙が出てきましたね。


ビアズリーは詩才や文才だけでなく、
母譲りの音楽の才能もあったようで、
かなりピアノが弾けたとのことです。

番組の解説によれば、
ワグネリアンを嫌うワグネリアンだったそうでw


一方、
父方の祖父が金型細工の職人だったらしく、
それがペン画の才能に結びついてる気がします。

今回のEテレの番組サブタイトルは、
《禁忌 タブー の線/戦慄の白黒 モノクローム ですが、
彼の残した作品はモノクロの線画ばかり?

色彩を感じさせる作品はあるものの、
明瞭にカラー作品と呼べるものは出てきません。


岸辺露伴は「もっとも黒い絵」を探してましたね…。



なお、オスカー・ワイルドは、
「俺の戯曲はビザンツ風なのに、ビアズリーの挿絵は日本風すぎる」

と批判してたそうです。

ビザンツ風ってのは、
ギリシャ語聖書の世界ということもあろうけど、

それこそクリムトやミュシャなんかも、
ギリシャ神話を題材にした作品を描いてたし、
サティは「ジムノペディ」みたいな曲を作ってたし、
当時は荘重なギリシャ風が流行りだったのでしょう。

そこから見るとビアズリーの線描画は、
シンプルすぎて荘重さに欠けたのかもしれません。



日本人がサロメの挿絵を見ても、
あれを「日本風」とは思わないけれど、

当時のヨーロッパの人たちから見ると、
版画のようなシンプルな線画のスタイルが、
浮世絵風 (あるいは漫画風) に見えたのでしょうね。

たしかに、
ビアズリーのイラストレーションには、
ちょっと漫画っぽく見えるものもあるし、

実際に日本の漫画にも影響を与えたのだから、
オスカー・ワイルドの認識は間違ってないと思う。


ちなみに萩尾望都は、
「縦横の直線のなかに曲線的な女性を配置する」
…というビアズリーの特徴を指摘してましたが、


それは日本の葛飾応為にもいえる気がします。
ビアズリーが日本の浮世絵を見てた可能性もなくはない。



他方、
オスカー・ワイルドの「サロメ」は…

日本では、
松井須磨子と島村抱月の不倫や後追い自殺、
さらに三島由紀夫の同性愛や自決にまで、
禁断のエロスのイメージが繋がっていきますね。


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最終更新日  2025.07.04 16:58:11


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