まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2025.10.20
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携帯に縦型ドラマ父に古酒 居待月門限ずらすまたライン 古き名を知らず笑えず月見かな 秋の暮れ知らぬ流行りは老いた友 片耳を貸せど寄らない冬隣 辞書になき「じぇねぎゃ」をぐぐる秋の夜 秋の宵デンモク英字ばかりなり 秋雨やレンタルショップ無人なり

お題は「世代ギャップ」。




矢柴俊博。
携帯に縦型ドラマ 父に古酒


助詞「に」を用いて、
〇〇に〇〇/〇〇に〇〇

と対句っぽくしてるけど、
前者は「on」で後者は「for」の意味なので、
厳密に対句とは言いがたいと思う。

二句一章としては、
携帯の縦型ドラマ 父の古酒





石野真子。
居待月 門限ずらすまたライン
秋の夜のライン 門限またずらす
(添削後)

動詞「ずらす」の主語が分からない。

親が門限を早めたのか?
子供が門限を遅らせたのか?
夫や恋人が門限をずらしたのか?

子供が主語なら動詞は 「破る」 とすべきです。

他方、
さすがに「ライン川」とは誤読しないにせよ、
「何の線?」と思う人はいるはずなので、
「LINE」 と書いたほうがいいのでは?

副詞「また」も説明くさいですね。

原句が意図したとおり、
子を待つ親の姿を季語に託せば、
待宵の月や 門限後のLINE

とも出来ると思います。



山崎怜奈。
古き名を知らず笑えず 月見かな
古き名を知らず月見の座の端に
(添削後)

技術的なことをいうと、
文語なら 「古き」「笑ふ」 と統一すべきだし、
切れ字「かな」を使うなら途中で切らずに、
中七は連体形で 「笑へぬ」 と繋げるべきです。

しかし、それ以前に、
上五「古き名」が何のことか分かりません。
人名なのか、地名なのか、物の呼称なのか。

作者によれば、
《年長者のトレンディドラマの話題についていけない》
という場面らしい。

直裁に口語で書けば、
年寄りのネタに戸惑う月見酒

のようになるかと思います。



マユリカ坂本。
秋の暮れ 知らぬ流行りは老いた友
流行の理由は知らず 秋の暮
(添削後)

原句はちょっと分かりにくいですが、
作者の話によれば、
《老友が得体の知れない流行の渦中にいた》
…ってことらしい。

原句の描写が間違いとも言えないけど、

これも直截に、
老友のバズるミームや 秋の暮

と書いたらいいのでは?




吉田仁人。
片耳を貸せど寄らない冬隣
イヤホンの片耳を貸す冬隣
(添削後)

ワイヤレスなので、
イヤホンを片方ずつ共有しても寄り添えない、
…みたいな内容の句です。

原句の「貸せど」と「寄らない」は、
文語と口語の混用と言われかねません。

かたや添削句のほうは、
「イヤ」と「耳」が重複だから、
中七は 「片方」 と書くべきです。

視点を逆にすれば、
イヤホンを借りれど寄れぬ冬隣

のようにも書けると思います。



森口瑤子。
辞書になき「じぇねぎゃ」をぐぐる秋の夜
辞書になき「じぇねぎゃ」よ 秋の夜をググる
(添削後)

ジェネレーションギャップの略語と、
グーグル検索について詠んだ句。

原句は、
意味の分からない「じぇねぎゃ」と、
かろうじて覚えたての「ぐぐる」を、
どちらも平仮名にしてる滑稽味がある。

添削句のほうは、
「ググる」を周知の動詞として扱ってます。
添削の意図も分かるけど、
原句のままで悪いとは思わない。



梅沢富美男。
秋の宵 デンモク英字ばかりなり


カラオケの電子目次本についての句。

ちょっと季語に芸がないのでは??

老齢の作者なら、
「宵の秋」「夜半の秋」
などの季語を使って、
むしろ「秋」のほうを強調すべきでしょ。




清水アナ。
秋雨や レンタルショップ無人なり


字面だけでは、
客がいないとも誤読できるので、
「無人レンタルショップ」としたほうが、
店員がいないのだと明瞭になる。

そして、
切れ字「や」と「かな」は併用できませんが、
同じく「や」と「なり」も併用しないほうがいい。

助動詞「なり」は切れ字じゃないけれど、
強い断定には詠嘆の意味合いもあるので、
切れ字との併用は感動を分散させるからです。

断定的に書くならば、
秋雨に無人レンタルショップあり

推測もふくめた詠嘆なら、
秋雨に無人レンタルショップかな

でもいいと思います。




▽過去の記事はこちら
https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/ctgylist/?ctgy=12



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最終更新日  2025.10.21 13:28:49


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