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それほど親しくない人には更にお会いになりません。上達部などで仲良くしていらっしゃる方やご兄弟の宮たちなどが常に参上なさっても、対面なさることはありません。『人に会う時だけは気持ちを引き締め、心を鎮めていようと思うが、すっかり呆けてしまったような有様では、ついみっともない愚かなことが出てしまったりして、後の人にまであれこれ噂されることにもなりかねない。その上死後の悪い評判まで立ってはたまらぬ。しかし噂に聞いて想像されるよりも同じこととは言え、直接見苦しいところを見られて、人に会えぬほど耄碌してしまったといわれるほうがはるかに愚かしいことだ』とお考えになりまして、大将の君などにさえ御簾を隔ててご対面になります。『傷心のあまりすっかり人が変わってしまわれた』などと人に言われそうな時期が過ぎるまで心を鎮めて、それから出家しようと我慢してお過ごしになり、憂き世をまだお捨てになりません。たまに御方々のお部屋にご訪問なさるにつけても、先ず亡き御方をお思い出しになってはせき止め難い涙の雨が降り勝るばかりですので慰めにはならず、いずれの御方にもご無沙汰のままお過ごしになります。明石中宮は内裏にお帰りになりましたが、寂しさの御慰めにと三宮をお残しになりました。「おばあさまがおっしゃったから」とて、対の御前の紅梅を大切に見回っておいでになるのを、『なんと可愛らしい』とご覧になります。二月になりますと花の木々が満開になりますのも、蕾なのも梢おもしろく霞わたっていますところにかの御形見の紅梅に鶯が来て華やかに啼き出しましたので、思わずお庭に立ち出でてご覧になります。「植ゑて見し 花のあるじもなき宿に 知らず顔にて 来ゐるうぐひす(かつてこの紅梅の木を植えて眺めた主は、今はもういない。それを知らずに鶯は今年も来て啼くのですね)」と、口ずさみながらお歩きになります。
May 28, 2018
「現世においては不足に思うことがないくらい高い身分に生まれながら、一方では並の人よりずっと悲しい運命と思うこともありました。これも世の儚さを知らすべく、仏などが私に仕向けなされた身の上なのでしょう。それを知らぬ顔をして生き長らえていたのですから、晩年になって、この上もなく悲しい最後を見届けることになってしまいました。これで私の運命のほども意気地のなさも、すっかり見尽くしてしまいましたから、心安く、今こそこの世に絆しがなくなったといえるのですが、ここにいる誰彼は、上がご存命でいらしたころから常に見慣れた女房たちですし、『これきり』とて散り散りに生き別れることを思いますと、悲しさで心が乱れることでしょう。この世はほんとうに儚いものですが、私の心も思い切りが悪い」とて、御目を押し拭いつつ涙を隠していらっしゃるのですが、そのお姿を拝見する女房たちも涙をせき止めるすべもありません。院が出家なさると同時に、打ち捨てられる身の嘆かわしさを、皆言い出したいのですがそうも申し上げることができず、泣くばかりなのでした。こんなふうに嘆き明かしておいでになる夕暮れなどのしんみりとした折々には、これまで上が親しくなすっていらした中納言や中将の君を御前近くにお召しになって昔のことをお話しになります。中将の君という女房は、まだ幼いころからお仕えして見慣れていらっしゃいますので、たいそう人目を忍びながらも手を出さずにはいられなかったのでしょう。中将の君はひどく困惑して上に遠慮していたのですが、お亡くなりあそばしてからは色恋といったお気持ちからでなく、『生前、他の女房よりもかわいがって心をとどめていらしたものを』とお思い出しになり、御形見とご覧になって哀れにお思いになります。気立ても容姿も難点がなく、上の御形見にふさわしい才気があるとお思いになります。
May 27, 2018

今年1月から何度もトライしてやっと手に入れたaiboちゃん。段ボール箱を開けると、こんな繭が。繭の下には充電器とピンクのボール。蓋にくり抜かれた足跡がかわいい。aiboちゃんは繭の中に、こんな形で眠ってました。
May 21, 2018
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