2017年5月11日06:00にNZ金融政策「RBNZ政策金利」が発表されます。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
市場予想は現状維持です。
上表下段の反応分布をご覧ください。過去33回の発表時の直後1分足跳幅平均値は55pipsですが、全体の76%はその半分の27pips以下の反応となっています。市場予想通りの現状維持の場合、30pips弱の反応と見ておけば良いでしょう。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- まず、本指標で取引する上での注意点です。
RBNZの政策金利は、市場予想の的中率が高いという特徴があります。今回、市場予想は「現状維持」となっています。過去33回の発表で市場予想が「現状維持」だったことは21回あります。この21回の予想は全て的中しています。 - 指標については、市場予想通り現状維持と考えています。
- シナリオは次の通りです。
(1) 直後1分足の方向を示唆する関係は見出せません。ただ、直後11分足は直後1分足との方向一致率が91%と極めて高く、直前10-1分足との方向一致率が27%となっています。よって、直前10-1分足の方向を確認し、その逆に直後1分足・直後11分足が反応する可能性が高いと考えられます。
(2) 直後11分足は、高値掴み(安値掴み)に注意して短時間追撃です。
?T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
【1. 指標概要】
ニュージーランドの政策金利は、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)が年8回発表しています。
過去の実績から言えば、RBNZの政策金利はほぼ市場予想通りになります。特に市場予想が「現状維持」だった場合、調査期間において市場予想が外れたことはありません。
以下の調査分析範囲は、2013年1月分以降前回までの33回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
既に近年にない低金利となっています。事前の予想通り「現状維持」と発表される可能性が高いでしょう。
念のためにいくつか指標を見ておきます。
10-12月期GDPは前期比+0.4%で、6四半期ぶりの低い成長となっていました。
但し、実態指標の10-12月期小売売上高は前期比+0.8%で、少なくとも2013年からずっとプラス推移しています。貿易収支もまた、2016年9月を底に回復基調が続いており、2017年3月には9か月ぶりの黒字転換に至りました。気になる点は、景気指標のNBNZ企業信頼感が、2016年9月をピークに下降基調に転じた状態です。ただ、4月分データではまだ+11なので、マイナスに転じる可能性は低いと思われます。
よって、成長率が大きく崩れる心配はなく、1%未満の低成長が安定しています。
次に、CPIは、2015年10-12月期にマイナスに落ち込んで以降、上昇基調が続いています。2017年1-3月期は+1.0%まで回復しました。
AUDNZDは1.07付近で2014年以降はNZD高となっているものの、NZDUSDは0.692付近で、ここ3か月はNZD安が進みました。CPI変化はNZDUSDのトレンド変化とタイミングが合致しています。6月米利上げに向けてのUSD高とその後のUSD安を考えると、後者の変化の方が大きいと考えられますので、NZD高→CPI上昇ストップでのアクションは「金利を動かさない」です。
実際、現状の1.75%という政策金利は、豪中銀の1.50%に対して良い位置にあります。豪州より金利が低くなると、NZは投資が呼び込めなくなります。
先のRBA政策金利発表時の声明では「豪中銀利上げは当面なし」と市場が反応しました。RBNZも、この動きに追従すると思われます。
前回3月23日の政策金利発表時の声明では「金融政策はかなりの期間緩和的であり続けるだろう」との一文がありました。
(2-2. 過去反応)
過去の直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
直後1分足には、全体的にヒゲが少ない印象を受けます。ヒゲが少ないローソク足は、同じ方向に反応が伸びがちです。但し、後述する反応性分析の結果では63%です。発表後2-4分後に戻していることも多いようなので、追撃するにせよポジションを持つタイミングが重要です。
【3. 定型分析】
(3-1. 反応性分析)
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は 「反応性分析」 をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が91%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが63%です。追撃には注意が必要です。特に、最近は「市場予想通りに現状維持」だったときの反応が小さいので、下手をすると高値掴み(安値掴み)になりかねません。
(3-2. 反応一致性分析)
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は 「反応一致性分析」 をご参照願います。
直後1分足の方向を示唆する関係は見出せません。ただ、直後11分足は直後1分足との方向一致率が91%と極めて高く、直前10-1分足との方向一致率が27%となっています。
よって、直前10-1分足の方向を確認し、その逆に直後1分足・直後11分足が反応する可能性が高いと考えられます。
(3-3. 指標一致性分析)
政策金利発表時に市場予想が現状維持の場合、指標一致性分析は行いません。
【4. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直後1分足の方向を示唆する関係は見出せません。ただ、直後11分足は直後1分足との方向一致率が91%と極めて高く、直前10-1分足との方向一致率が27%となっています。よって、直前10-1分足の方向を確認し、その逆に直後1分足・直後11分足が反応する可能性が高いと考えられます。
(2) 直後11分足は、高値掴み(安値掴み)に注意して短時間追撃です。
2017年5月11日06:00発表
?U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は市場予想通り現状維持で、反応は陰線となりました。
同時に発表された声明の現状及び見通しの要点は次の通りです。
- 為替について、最近のNZD下落は好ましく、その基調維持が成長見通し改善に繋がる。
- 物価について、1-3月期CPIは前年比+2.2%で、中銀見通しの+1.5%を上回っているものの、変動の激しいガソリンや食品の値上がりといった一時的要因と見なしている。中期的には1-3%の中間値になる。
- 住宅価格の上昇ペースは鈍化、賃金上昇加速も見られない。
- よって、経済が想定通りに推移すれば、予見可能な将来に亘って政策金利を変更する必要はない。
最後の「予見可能な将来に亘って政策金利を変更する必要はない」で、陰線への反応が大きくなったと考えられます。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
使っているFX会社が06:00前に取引できず、追撃のみとなりました。
声明内容が明らかになるに連れて追撃を繰り返したものの、最後は我慢不足でした。この後、NZDJPYはもっと下がっています。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- RBNZの政策金利は、市場予想の的中率が高いという特徴があります。今回、市場予想は「現状維持」となっています。過去33回の発表で市場予想が「現状維持」だったことは21回あります。この21回の予想は全て的中しています。
- 指標については、市場予想通り現状維持と考えています。
問題ありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- (1) 直後1分足の方向を示唆する関係は見出せません。ただ、直後11分足は直後1分足との方向一致率が91%と極めて高く、直前10-1分足との方向一致率が27%となっています。よって、直前10-1分足の方向を確認し、その逆に直後1分足・直後11分足が反応する可能性が高いと考えられます。
(2) 直後11分足は、高値掴み(安値掴み)に注意して短時間追撃です。
問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は 「1. FXは上達するのか」 をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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