?T.指標予想要点
2017年8月25日08:30に日本物価指標「CPI(消費者物価指数)」が発表されます。発表は「全国」と「東京都区部」について行われます。「全国」は2017年7月分、「東京都区部」は同8月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月23日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴と興味対象は以下の通りです。
- 全く取引には適していません。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で何と2pipsしかありません。スプレッドが大きいFX会社で取引しているなら、本指標で勝負すべきではありません。
本指標は、経済指標そのものに興味がなければ、無視してもよいでしょう。 - 東京都区部CPIは全国CPIよりも調査対象期間が1か月先行して発表されます。その意義を強調する解説も散見されるものの、これはFX参加者にとって意味のない話です。
例えば「東京都区」データに改善の兆しがあったとしましょう。でも、同時発表される「全国」はその前月データです。だから、来月発表の「全国」には「東京都区」と同じく、改善の兆しが生じるのかも知れません。でもその来月は、また再来月の「東京都区」も同時発表されるのです。もし先行性重視でFX取引したいのなら、初めから「東京都区」だけを見れば良いのです。
だから、同時発表される先行指標は、FX取引上の意味がありません。話がややこしくなるだけです。 - 指標取引とは関係ないものの、先に発表された4-6月期GDP速報値は年率換算+4.0%にも達しました。主要先進国で日本の成長率が最も高かったことなんて、いったい何10年ぶりのことでしょうか。
もしも、です。これでインフレ率上昇が加速し始めたら、普通だったらJPY買いです。日銀が超低金利・超緩和政策を実施中ゆえ、そうはならないでしょう。ではどうなるのでしょう。
そのため、興味を持って注視しています。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「?T.調査・分析」に記しています。
?U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
総務省統計局 に依れば、「全国CPI(消費者物価指数)は、全国の世帯が購入する財及びサービスの価格変動を総合的・時系列的に測定したもの」であり、「家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によってどう変化するかを指数値で示したもの」と定義されています。
発表内容は、「総合指数」「生鮮食品を除く総合指数」「生鮮食品とエネルギーを除く総合指数」で、それぞれ海外各国の「CPI」「コアCPI」「コアコアCPI(海外主要国ではこれをコアCPIと表記しています)」に相当します。
統計範囲に含まれない対象として、非消費支出の直接税や社会保険料等や、貯蓄・財産購入のための支出である有価証券・土地・住宅等の購入等は、指数の対象に含まれていません。信仰・祭祀費、寄付金、贈与金、他の負担費及び仕送り金等も、含まれません。
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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で何と2pipsです。スプレッドが大きいFX会社で取引しているなら、本指標で勝負すべきではありません。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は 「反応性分析」 をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は 「反応一致性分析」 をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は 「指標一致性分析」 をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
【4. シナリオ作成】
本指標では取引しません。
以上
2017年8月25日08:30発表
以下は2017年8月25日21:20頃に追記しています。
?V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
指標取引とは関係ないものの、先に発表された4-6月期GDP速報値は年率換算+4.0%にも達しました。主要先進国で日本の成長率が最も高かったことなんて、いったい何10年ぶりのことでしょうか。
もしも、です。これでインフレ率上昇が加速し始めたら、普通だったらJPY買いです。日銀が超低金利・超緩和政策を実施中ゆえ、そうはならないでしょう。ではどうなるのでしょう。
そのため、取引もしないのに本指標には興味を持っています。
結果は少しずつですが物価上昇しつつあるようです。反応は陰線で、JPYがインフレ率上昇で買われるのは自然です。
それにしても反応しない・・・。
指標のグラフ推移は、今回の発表で明らかな上昇基調となったように見えます。
内容を検証しておきましょう。
上昇理由は、原油価格が前年よりも高水準なことで動力費(電気代やガス代)が+5.8%となったことが挙げられます。コアコアCPIも前年比で+0.1%となったようです。
但し、物価上昇が動力費中心だということは、原油価格が下がればCPIがまた下がる、ということです。
よって、グラフ推移では上昇基調が堅いように見えても、内実はいつまた下がるかわからない情勢、ということになります。
(5-2. 取引結果)
取引結果する予定はありませんでした。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容は、巻頭箇条書きに書いた通り、来月も修正の必要がありません。
(6-2. シナリオ検証)
取引予定がないので、シナリオはありません。
どんなシナリオを用意しても、この程度の反応ではどうしようもありません。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は 「1. FXは上達するのか」 をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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