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玉昭令 No Boundary Season 1第16話愛する端木翠(ダンムーツェイ)を守るため身を引いた展顔(ヂャンイェン)。そうとは知らず端木翠は展顔の心変わりに深く傷ついていた。温孤(オンコ)と気晴らしに朱雀街へ出かけても思い出すのは展顔との幸せな日々。温孤は大好きな人形を買おうと言ったが、端木翠はもう子供ではないからいらないという。そんな端木翠を遠くから密かに見守る展顔の姿があった。…端木、君のことを捨てたわけではない、ただ私は君にふさわしくないんだ…一方、端木翠もまた人知れず夜回りする展顔を幽族の魔の手から守っていた。|ω・`) ∀;)展顔~ ←気持ちは展顔の後ろにwその夜、啓封(ケイホウ)で再び黒猫が人々に襲いかかった。温孤は医館で負傷した人々を治療していたが、ある男の傷口に仕込まれていた邪毒に侵されてしまう。すると龍族の原形が現れ、慌てて手で隠した。温孤の異変に気づいた紅鸞(コウラン)は治療を中止して部屋にかくまうことにしたが、その時、患者に紛れていた黒猫が密かに攻撃を仕掛ける。温孤は咄嗟に掌を放って邪気を蹴散らしたが、手を離したせいで首に現れた原形があらわになった。それを見た患者たちは温孤が幽族だと気づき呆然、さらに黒猫は自分の前にいる男に密かに邪気を放って殺してしまう。患者たちは温孤が殺したと勘違いして騒然となり、黒猫は騒ぎのどさくさに紛れて姿を消した。その頃、巡回を終えた端木翠は自然と足が啓封府に向いていた。すると人々が幽族だと叫びながら逃げて来る。「どうしたの?!」「温孤神医が幽族だったんだ!」驚いた端木翠が医館に駆けつけると、温孤は患者たちに詰め寄られていた。端木翠は急いで温孤を救出、端木草盧(ソウロ)へ連れ帰る。実は端木翠も温孤が半分幽族だと知っていた。温孤の話では診察中に突然、邪毒に侵され、感情を抑えられなくなったという。「幽族の血を抑えられなければ上仙ではいられず、蓬莱からも追われるだろう 修練を積んで上仙になったが、一夜で水の泡だ 端木、いつか私の中の幽族の血が暴れ出し、完全に幽族になっても受け入れられるか?」すると端木翠は自分が知っている温孤は今の温孤だと言った。温孤は端木翠が将軍だった頃を思い出し、ようやく笑顔を見せる。『命を懸けてくれる兵を守れなければ将軍である資格はない 温孤、お前を信じている、だから自分を蔑むのはよせ、私が認めた男なのだから』『命に代えても戦い抜き、信頼に応えます!』…君は千年前も似たことを言ってくれた…「ありがとう、端木」端木翠は温孤の一件に違和感があった。神仙になってもう長い温孤、急に幽族の特性が現れるはずがない。…九獄の仕業かもしれない…その頃、黒衣の使者は温孤の正体を暴いた長老に反発していた。「温孤は脅迫されるのを最も嫌います!」「私を諌めるとは何様のつもりだ!」長老は温孤を自分の臣下にできれば解毒薬を渡すと条件を出し、拒むなら死ねと一方的に通信を切ってしてしまう。その一方で黒猫の働きには満足していた。今や啓封の民は温孤に憎悪の目を向けており、端木草盧を攻撃する日も近い。「端木翠から蓬莱図の断片を奪い取ることも忘れるな、それが取引の条件だ もう一つ、紅鸞を監視しろ、別の思惑があるようだ、絶対に私の邪魔をさせるな」黒衣の使者の正体は紅鸞だった。( ๑≧ꇴ≦)知ってた~!啓封府にまた奇怪な遺体が運び込まれた。端木翠と展顔は私情を挟まず協力して捜査を始めたが、どことなくぎこちない。すると遺体の腕に温孤と同じような毒の症状があり、端木翠は被害者が邪毒で死んだと気づいた。展顔は民たちをなだめるためにも温孤を連行すると決めたが、端木翠が許さない。そこで展顔は自ら端木草盧へ出向くと、すでに民たちが端木橋の前に集まり、温孤を出せと抗議していた。端木翠は改めて展顔に手を引くよう訴えたが、展顔は温孤から話を聞くと譲らない。「気持ちは分かるが私の任務だ」「なら私から力ずくで温孤を奪うのね」その時、温孤が自ら姿を現し、一緒に啓封府へ行くと言った。「大丈夫だ、展大人が必ず潔白を証明してくれる」啓封府で温孤の審問が始まった。展顔は府尹(フイン)・江文卿(コウブンケイ)を差し置いて温孤に質問したが、端木翠が邪魔をする。「温孤神医、昨夜はどこにいた?」「実は…」「端木草盧よ、温孤も怪我をしたから私が昨夜、世話をしていたの」しかし展顔は端木翠の嘘だと見抜く。「違う、昨夜は私と一緒だった」「はあ?なぜ私とあなたが?!…嘘はやめて」「それは私のセリフだ」すると書記の上官策(ジョウカンサク)が慌てて2人の痴話喧嘩を止めた。江文卿も場を弁えるよう叱ったが、思わず咳き込んでしまう。そんな江公爵の様子を物陰から黒猫が心配そうに見ていた。温孤は確かに昨夜は草盧にいたと話し、細花流の皆が証人だと言った。しかし展顔は身内の証言だけでは信憑性が低いと退け、怪我をしたなら傷を見せて欲しいという。温孤は素直に袖をまくると、展顔は確かに被害者と同じ毒の痕だと納得した。これで温孤も被害者だと証明されたが、展顔は容疑が晴れるまでは留まってもらうという。憤慨した端木翠は意地でも温孤を連れ帰ろうとしたが、展顔が阻んだ。「端木翠!」展顔は端木翠の腕をつかみ、中庭まで引っ張って行った。「冷静になれ」「冷静よ、啓封府を燃やさずに我慢しているわ」「私に怒っているのは分かるが心から君の力になりたいんだ…狙いは君かも知れない 端木、啓封府に任せろ、必ず事件を解決する」「手強い相手だと知りながら邪魔する気?…展顔、死にたいの?」「私を心配してくれるのか?」すると温孤が江公爵と一緒にやって来た。温孤は細花流を巻き込まぬよう自ら留まりたいと申し出たという。驚いた端木翠は反対したが、江公爵は温孤の身の安全を約束し、細花流を信じていると言った。「はお…私も啓封府を信じるわ」紅鸞は温孤が啓封府に収監されたと聞いて動揺した。…温孤は明日までもたないかも、どうやって啓封府から救出すればいいの?…するとその夜、温孤の牢に黒衣の使者が現れた。温孤はすでに喀血していたが、細花流を守るためにも牢に残るという。仕方なく黒衣の使者は温孤の気を失わせ、連れ去った。一方、展顔は細花流を守るため昼夜を舎かず捜査していた。しかし手がかりは見つからず、今や端木翠が温孤に命じて襲わせたと根も葉もない噂まで流れている。展顔はもう一度、温孤から話を聞こうと決め牢へ向かった。すると回廊で怪しい黒い影を見つける。「何者だ!」すると黒衣の使者は桃花の妖術で展顔を足止めし、その間に温孤を連れて逃げた。温孤が脱獄した。衛兵の話では昨夜、何者かが壁を越え府内に入ったが、てっきり端木門主だと思って見逃したという。しかも牢には細花流の令牌が落ちていた。江公爵は端木門主の仕業だと確信したが、端木翠を良く知る展顔や上官策たちはまだ断定できないとかばう。そこで展顔は自分が必ず真相を突き止めと誓い、猶予をもらった。展顔は端木翠に温孤が脱獄したと伝えた。何も知らなかった端木翠は慌てて牢に駆けつけたが、温孤の血痕が残っている。「何者かに連れ去られたのね」端木は急いで探しに行こうとしたが、そこへ江公爵たちが駆けつけた。江公爵は端木門主を収監すると決め、抵抗するなら容赦しないと迫った。そこで衛兵たちが端木門主を包囲したが、端木翠の仙力を前に手も足も出ない。しかし展顔が立ちはだかり、手を出せば敵の思う壺だとなだめた。端木翠は展顔をどかそうと掌を放ったが、展顔は避けずにまともに受けてしまう。その場は騒然、端木翠はその隙をついて逃げ出した。温孤が目を覚ますと黒衣の使者がいた。黒衣の使者は薬湯を飲ませようとしたが温孤は拒否、そこへ温孤を探していた端木翠がやって来る。仕方なく黒衣の使者は姿を隠し、端木翠が温孤を連れ帰るのを黙って見送った。端木翠の仙術を受けた展顔は静養することになった。あの時、端木翠は明らかに手加減していたはず、江公爵は展顔が端木翠を逃すためにわざと避けなかったと気づいていたという。「捜査に私情を挟むなとあれほど教えたのに…」「罰を受けます…失望させてしまいましたね」「もうよい、しっかり傷を治せ」一方、紅鸞は何食わぬ顔で草盧に戻っていた。端木翠は温孤に薬湯を飲ませていたが効果はなく、どうすればいいのか分からない。この状態では蓬莱に相談することもできなかった。「何とかする、温孤を頼んだわ」床を離れた展顔、すると部屋に飾ってあった桃花を見て、あの日の夜、桃花の枝に襲われたことを思い出した。桃花と言えば紅鸞だが、今回の脱獄と紅鸞には何か関係があるのだろうか。すると上官策が傷の手当てにやって来た。しかし誤って火鉢を倒し、桃花の枝が下敷きになってしまう。「あ!…あれ?炭火に触れたのに何ともないぞ?」展顔は端木翠の話を思い出した。紅鸞は桃花の妖怪で、紅蘭が植えた桃花は折っても枯れることはないという。「…やはりな、細花流に間者がいる」つづく( ๑≧ꇴ≦)ヒャッハー!回廊をダッシュする展顔、カッコいい!
2022.11.29
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皎若云间月 Bright as the moon第11話「発見した記録」軍機大営で新兵の選考試験が始まった。試験の中でも難しいのは騎射、しかも冷(レイ)王の息子・冷邵卓(レイショウタク)が副試験官とあって見る目も厳しい。四皇子は拓跋(タクバツ)葉倩(ヨウセイ)がここで脱落すると期待したが、葉倩は密かに弓に細工をして競争相手を蹴落とした。次の格闘技では得意の武術であっさり勝利、すると憤慨した四皇子は自ら葉倩と手合わせするという。しかしこれが災いし、冷邵卓は張拖把(チョウタバ)という新兵が実は女子だと気づいた。その夜、冷邵卓は父と一緒に三皇子を訪ね、四皇子が軍営で女を囲っていると報告した。しかし三皇子はどこか上の空、そこで冷王は話を切り上げさせ、息子を外へ出す。「三殿下、心ここに在らずでは邪魔者を蹴落とす機会を失います」冷王は雲浅月(ウンセンゲツ)が原因だと気づいたが、三皇子は誤解だと否定した。翌朝、朝議で四皇子が軍営で女を囲っていると告発があった。そこで皇帝は退朝後、三皇子と容景(ヨウケイ)に閲兵を口実にして調査に向かうよう命じる。一方、雲王はてっきり孫娘が男装して四皇子に会いに行ったと誤解、屋敷に戻るなり浅月を叱った。すると事情を聞いた浅月が驚いて茶を吹いてしまう。「\(^o^)/オワター!爺爺!軍令牌を貸して!」三皇子と容景は直ちに軍機大営に出かけた。すると四皇子の天幕に確かに女子がいる。しかしそれは祖父の令牌を持って正式に訪ねて来た浅月だった。見れば四皇子は顔中に赤い発疹が現れ、浅月は心配して看病に来ていたという。布団の中に隠れていた葉倩は苦しくなって危うく飛び出しそうになったが、何とか切り抜けた。浅月は容景と一緒に軍営をあとにした。しかし容景は四皇子の天幕にいた浅月に憤慨、帰りの馬車で冷たく突き放す。「ハイハイ〜今日から男友だちはあなただけと誓うわ…ふふっ あなたがこんなにやきもち焼きだなんてね~今回だけは許して?ね?」容景は甘える浅月にほだされ、すぐ機嫌を直した。三皇子は四皇子をかばった浅月に憤り、屋敷に戻るなり酒をあおった。すると藍漪(ランイ)が駆けつけ、ある情報を伝える。「…確かか?」「藍家の情報に間違いはありません 不吉とされる双子が生まれ、当時は噂が広まって陛下も怯えていたとか…」一方、宮中では皇帝が災難続きの天聖(テンセイ)に心が休む暇もなかった。その日は風邪を引いた総管・呉虞(ゴグ)の代わりに弟子が仕えていたが、実は皇帝に上奏したいことがあるという。「先日、訪ねて来た同郷の者が言うには郷里にえらく羽振りの良い老婆がいるそうで… 何でも昔、雲王府で働いていたというのです 重大な秘密を知ってしまったため、大金をもらって暇を出されたのだとか 昔、雲王妃が男女の双子を出産、不吉ゆえ1人は殺されたはずでした しかし雲王爺が密かに1人をどこかへ…」その夜、雲王府は突然、封鎖された。何も知らずに屋敷へ向かっていた浅月だったが、途中で待っていた彩蓮が急を知らせる。「秦玉凝(シンギョクギョウ)が鷹揚衛(ヨウヨウエイ)に少姐を探させています」「一体、何があったの?!」すると三皇子が現れ、自分に策があると言って浅月を屋敷へ連れて行った。浅月は事の発端は皇帝が双子の噂を聞いたせいだと知った。すると三皇子は雲王府との結託を疑われる危険も顧みず、浅月を助けたいという。「私を信じて待っていればいい」浅月は三皇子のおかげで無事に屋敷へ戻った。そこで書斎に閉じこもっている祖父に差し入れを持って行く。「無遠慮に入ってくるのはお前だけだな」「ふふ~爺爺、とろこで双子の噂は本当なの?」「いいか、2度とその話を口にするな、口は災いの元だぞ?」雲王は双子の話があくまで糸口に過ぎず、恐らく最終的には雲王府から雲皇后にまで飛び火すると懸念した。皇帝に雲王府を告発した太監が殺された。三皇子は封鎖された雲王府が動けるはずもなく、誰かが雲王府を嵌めた可能性もあるという。「鼎(カナエ)の3本の足の1本でも折れれば崩れます、大局を見失ってはなりません」皇帝は三皇子の冷静な分析に感心し、その場で三皇子を監国に命じた。三皇子は事件を解決し雲王府を救った。知らせを聞いた浅月は感謝してくれたが、やはりまだ心を開いてはくれない。一方、慕容(ボヨウ)家事件を調べている上官茗玥(ジョウカンメイゲツ)は、生存者から雲王府が虐殺に関わっているとの証言を得た。そこで容景に自分たちで記録を探し、真相を調べようと提案する。容景は悩んだが、結局、浅月を利用することにした。浅月は容景から文で急かされ、昔の記録を探すことになった。そこで祖父に屋敷の管理を任せてほしいと懇願、泣き落としが効いたのか、雲王が15日の試用期間を設けてくれる。「15日?それで十分よ!」こうして屋敷のあらゆる鍵を手に入れた浅月は早速、記録を探し始めた。しかし一日中、くまなく探してもそれらしき記録は見つからず、すっかり疲れて浅月閣に戻る。するといつの間にか部屋に潜んでいた容景が現れた。「私が探そう」容景は使用人の話から雲王がちょうど留守だと知り、書斎へ忍び込んだ。そこでついに隠し扉を発見、昔の記録を手に入れて脱出する。すると浅月はすで居眠りしていた。容景は後ろめたさに苛まれながら、鍵だけ返して黙って帰ってしまう。栄王府に戻った容景は茗玥と記録を確認した。…泰熙(タイキ)9年、慕容氏が淇地(キチ)を掌握との一報があり、その意図は淇国の再興であると…本官は慕容家を捜索し書簡を発見、差出人は淇国再興を企む一派…天聖に帰順して久しく功もあるが、物証が明らかなため一族全員の誅殺は妥当茗玥は慕容家が淇国の残党と通じたなどあり得ないと憤怒、噂通り雲王が慕容家暗殺の首謀者ではないかと疑った。ならば生存者抹殺のため跡継ぎを南梁(ナンリョウ)まで行かせたのも納得できる。しかし容景はまだ信じられず、当時を知る人物を探そうとなだめた。茗玥は容景が郡主への情で惑わされていると指摘、今のうちに縁を切れと迫る。一方、浅月は偶然、侍女たちの噂話を耳にした。双子の件は景世子の密告ですって!>(*´・ω・)(・ω・`*)えー!王府を封鎖していた衛兵が話してたわ>(*´・д)(д・`*)マジか!実は噂を流させたのは藍家だった。明日は乞巧(キツコウ)節、彩蓮(サイレン)は果物と赤い布を用意していた。全く興味がない浅月だが、彩蓮は1年に1度だけ牽牛(ケンギュウ)と織女(シュクジョ)が会える日には都の男女がこぞって出かけると教える。「ああ~七夕デートってヤツね」そこで浅月は全く連絡をくれない容景に自分から会いに行くことにした。つづく(^ꇴ^)謎の公子の名前が上官茗玥と判明しました!お騒がせしました~でも名前、出て来たかな?なぜ栄王府に住んでるの???(←ちゃんと見ているのかw)
2022.11.28
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皎若云间月 Bright as the moon第10話「謎の万年筆」気晴らしに侍女の彩蓮(サイレン)と街へ出た雲浅月(ウンセンゲツ)。すると彩蓮がうっかり栄(エイ)王府へ見舞いに行くのかと口を滑らせた。「なぜそう思うの?…え?あいつ、また病気に?」「(はっ)大丈夫だと思いますが、弦歌(ゲンカ)が言うには体調を崩されたとか…」「ふ~ん(ニヤリ)私に隠れて弦歌と会ってるんだ~」浅月が彩蓮をからかっていると、やけに賑わっている露店を見つけた。浅月は人だかりができている露店に立ち寄った。すると驚いたこと箱の中から万年筆を見つける。「これ、私の万年筆よ!どこでこれを?!」しかし店主は各地で行商しているため覚えていないという。「買うわ!」万年筆は李蕓(リウン)が高校時代に父からもらったものだった。誰かが盗んでこの世界に持って来たのだろうか。浅月はその現代人を見つければ戻る手がかりを得られると期待し、かつて容景(ヨウケイ)から借りた10万両を使って人探しを始めた。…下の句を当てた者には報酬あり…すると1人の公子が立ち止まり、この対聯(ツイレン)を知っているという。「″奇は変え偶のまま″…″符号は象限次第″」「正解よ!」浅月はついに現代人を発見した。しかし公子はこの対聯を教えてくれたのは浅月だという。「んなワケないじゃない、私はね、別の世界から来たんだけど…」「知ってるよ、10年前もそう言ってた」浅月は意味がわからず、万年筆を出して持ち主を探していると言った。すると公子は持ち主なら見つからないという。「だってその万年筆は君のだから…対聯は三角関数の公式の覚え方だろう? 確か量子力学にエネルギー保存の法則も教えてくれたよ …信じられないなら作り話だと思って忘れてくれ」「ちょっと待って、名前は?」「楓(フウ)だ、会いたければ栄王府に来てくれ」栄王府に天雪(テンセツ)山で武者修行していた弟・楓が戻って来た。弟との10年ぶり再会、容景はふと健在だった両親と弟との幸せだった日々を思い出す。すると楓は街を見物して来たと話し、偶然にも雲郡主に会ったと教えた。「街は祭りで何かと騒がしい、正体を知られぬよう慎んでくれ」「はお、そうだ、記憶喪失という噂は本当なんだね」浅月は祖父に言われて容景から簿記を習うことにした。すると栄王府で楓と再会、容景の弟だと知る。楓は兄の寒毒が悪化して調子が良くないと嘘をつき、外出に付き添って欲しいと頼んだ。そこで浅月は容景と馬車で出かけたが、容景は三皇子への嫉妬から浅月に冷たく当たってしまう。「つっかかるならいいわ、馬車を降りる!簿記は三殿下から習うわ!」憤慨した浅月はまだ動いている馬車から飛び降り、足を捻った。容景は驚いたが、意地を張って様子も見ずに通り過ぎてしまう。一方、皇帝から罰として軍機大営に送られた四皇子は自制するどころか兵士たちをこき使って気ままに過ごしていた。そんな四皇子の天幕に兵士に扮装した月岐(ゲツキ)の公主・拓跋(タクバツ)葉倩(ヨウセイ)が現れる。四皇子は浅月の差し金だと聞いて自分と会えずに寂しいのだと喜んだが、葉倩は浅月なら何とも思っていないと教えた。その夜、四皇子は葉倩を心配して兵士の天幕を訪ねた。するとちょうど先輩兵士たちにいじめられている葉倩を発見、自分の天幕に連れて行く。そこで早く荷物をまとめて出て行くよう説得したが葉倩は拒否し、図々しくも寝台を独り占めした。四皇子は葉倩を追い出すため襲い掛かろうとしたが、四皇子が好きな葉倩は黙って目を閉じ、覚悟を決める。驚いた四皇子はもはや手の打ちようがなく、仕方なく葉倩の顔に足を向けて横になり、寝台を分け合った。容景は浅月が心配で眠れずにいた。実は浅月からもらった薬を飲んで以来、発作は起きていない。容景は居てもたってもいられず、夜更けというのに雲王府に忍び込み、勝手に浅月の部屋に入った。「ちょっと?何の用?どういうつもり?」「…馬車から飛び降りたから様子を見に来た、足を痛めたか?」その時、偶然、浅月が箱から出しっぱなしにしていた三皇子からの鳥文に気づく。「月岐には楊樹(ヨウジュ)の葉で思いを伝える風習がある…金の葉の文とは粋なことをするもんだ」容景は激しい嫉妬に駆られ、思わず浅月の腕をつかんで壁に押し付けた。「郡主は噂のような愚者ではない、私さえ手のひらで踊らされるほど聡明だ 奇行で悪評を立てたのも太子との婚約破棄を狙ったからだろう ふっ…自分の評価を下げてまで恋人の帰りを待つとはな」「そうよ!あの人に会うため月岐に行った!愚かな行いもあの人のため!そう言えば満足なの?!」するとカッとなった容景は浅月に口づけしてしまう。浅月は力一杯、容景を突き放した。「(痛っ!)噛みつくなんて…正気なの?!」「正気ならあなたへの想いに苦しんだりしない… 雲浅月、私が疎ましいのだな、もう会わない、これが最後だ」「私をどうでもいいと思うなら出ていって!」すると容景は浅月を抱きしめ、確かに今まで本心を隠して来たと認めた。「あなたを愛している…」翌朝、四皇子と葉倩はいつの間にか抱き合って眠っていた。四皇子は驚いて飛び起きたが、葉倩は既成事実が出来たとばかりに四皇子と月岐で婚礼を挙げたいという。「決心がつくまで待つわ」そこで四皇子は軍営に残るなら正体を隠して命令に従うよう強要、公主をこき使って追い出そうと企んだ。しかし料理に唐辛子を入れられたり、沐浴中に衣を奪われたり、逆に公主に仕返しされてしまう。浅月と容景は紆余曲折を経てようやく想いが通じ合い、幸せな時間を過ごした。「そう言えば口づけしたのに発作が出なかったわね」すると容景が思い出したように胸を押さえて苦しみ出し、浅月は驚いて距離を取る。容景は焦った浅月の様子に失笑、実は浅月の薬を飲み始めてから調子が良いと教えた。「あなたへの深い愛が解毒剤になる…」その夜は裏山で2人で寄り添い、月を眺めた。「私ばかり見ていないで月を見たら?」「私の月は浅月だ…あなたと結ばれるのは私しかいない」一方、葉倩にやられっぱなしの四皇子は新兵の選考試験を利用して追い出そうと考えた。しかし天幕の外で四皇子の企みを盗み聞きした葉倩は先回りして手を打つことにする。つづく(* ゚ェ゚)四と公主はどうでもいいとして…なぜか噛まれる浅月w
2022.11.27
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第43話「うごめく陰謀」方海市(ホウハイシー)をかばって負傷した方鑑明(ホウカンメイ)。海市を襲った尼華羅(ジカラ)の副使はかつて鑑明を刺した子供と同じように毒で操られていた。意識が戻った鑑明は海市の無事を知って安堵したが、副使が死んだと聞くと表情が一変する。「陳哨子(チンショウシ)…紅木(コウボク)の箱を持って来い!」方鑑明は重い身体を引きずって皇帝に謁見した。副使が昭明(ショウメイ)宮で死んだと尼華羅に伝われば挙兵する口実を与えることになるだろう。「陛下、私の越(エツ)州行きをお許しください」鑑明は箱を差し出し、この中に雷(ライ)州諸部の弱みや交渉の要点を記してあると伝えた。雷州との諍いを海市は独りで収めるつもりなのだろう。鑑明は海市に自分と同じような生き方をさせたくないと訴え、まして自分の役割などもってのほかだと嘆いた。「愛する者には幸せになって欲しい…」すると旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は方鑑明から箱を受け取り、越州行きを認めた。「長旅に耐えられるよう李(リ)侍医の薬を飲んで眠っておけ」「はい陛下…」褚仲旭は脇殿に隠れていた淳容(ジュンヨウ)妃を呼んだ。すでに皇帝から師匠の病状を聞いた海市、これまで師匠に捨てられたとばかり思っていたが、実は守ってくれていたと知る。しかし師匠の願いを聞いてもなお海市は師匠を救い、万民を戦から守るため、龍尾神を天啓へ連れて来ると決意した。「急がなくては、直ちに越州へ向かいます」「方海市、鑑明なら李侍医の薬で数日は目を覚まさぬはずだ」海市は昭明(ショウメイ)宮に方鑑明を訪ねた。何も知らずぐっすり眠っている鑑明、海市は愛する人の頬に触れ、大きな手を握りしめる。「私に同じことをさせたくなかったのね、その苦しみを知っているから… あなたは民のため、陛下と国のため身を捧げてきたけれど、誰かがあなたのために動いたことはない だからこたびは私があなたのために動く あなたを守ってみせるわ、私の幸せはあなたと共にあるのだから…」すると海市は鑑明にそっと口づけした。副使の死で都はにわかに騒がしくなった。皇弟・褚季昶(チョキチョウ)はこれで尼華羅が兵を起こせば、龍尾神の披露も間に合わないと期待する。しかも方海市は重傷を負ったのか、鳳梧(ホウゴ)宮にこもりきりで護衛が増えていた。黄泉(コウセン)営では湯乾自(トウカンジ)が張承謙(チョウショウケン)と符義(フギ)に兵5万を与えて都に送ったという。「はお、符義が率いる兵馬は私のものとなる」厳戒態勢の愈安(ユアン)宮で思わぬ事件が起きた。実は淑容(シュクヨウ)妃の薬湯を運んでいた宮女がうっかりこぼしたところ、薬がかかった草が枯れたという。褚仲旭は緹蘭(テイラン)の安胎薬に毒が入っていたと聞いて愕然となった。しかし残りの薬にも薬に触れた者たちにも怪しい点は見つからないという。方鑑明が眠ってから多くの事が起きた。尼華羅の水軍が西南一帯に達し戦況は一触即発、また天啓には諸部の使者が次々と到着して緊迫している。しかも宮中では淑容妃と子を害する者まで現れた。褚仲旭は鑑明の寝顔を眺めながら、目を覚まして方海市を越州に行かせたと知れば鑑明がさぞ怒るだろうとぼやく。その夜、緹蘭は安全のため皇帝の寝宮に移った。「緹蘭…幼い頃から私の好んだ物や心を許した人々は皆、私の元から消えて行く…」「ならば私が陛下の散らぬ朝雲、砕けぬ瑠璃になりましょう」海市は越州行きを悟られないよう寝宮に自分の替え玉を置いて出発、秘密裏に越州へ到着した。そこで鮫人の印がある右手を海水に浸けると、やがて海底から琅嬛(ロウケン)が現れる。琅嬛は海市の手を握り締め、これまでの海市の記憶をたどった。すると琅嬛は海市と鑑明の深い愛情と悲しみを知り、思わず涙を流す。「海市、よく耐えてきたわね…あなたと天啓に行くわ 私が行くことで戦乱を避けられるなら、あなたの力になる意義がある」感激した海市は琅嬛の恩にどう報いれば良いか分からなかったが、必ず守ってみせると誓った。注輦(チュウレン)の新たな特使は淑容妃の弟・索蘭(サクラン)だった。索蘭は叔父・蒲由馬(ホユウバ)が罪を犯した件で謝罪に来たと話し、どう処罰されても注輦は遺恨を残さないという。すると褚仲旭は緹蘭との再会を引き伸ばすため、初めて来訪した王子のため大臣に各地を案内させると言った。その夜、褚仲旭は緹蘭に弟が特使として来朝したと教えた。しかし緹蘭は会いたいような会いたくないような複雑な気持ちだという。確かに弟とは宮中で仲良く過ごしていたが、それは幼い頃だけのこと、注輦で唯一の後継者である索蘭は多くの物を背負っているはずだ。父王は索蘭に非常に厳格だったという。緹蘭は弟と再会して思い出話ができたらと思う反面、今の互いの身分では不都合が生まれることも分かっていた。「姉として会えばいいのか、使者の引見なのか…失望するくらいなら会わない方がましです」褚仲旭と緹蘭は共に離れ離れになった弟との難しい関係を共有し、全て杞憂に終わることを願った。海市の母の家に天啓から兵士がやって来た。葉夫人の護衛・郭大成(カクタイセイ)は聖旨を見て驚き、慌てて葉夫人に知らせる。「君命である…斛珠夫人・方海市は被災民救済で功を上げた 母を思う夫人の心情をおもんばかり、大徴軍を迎えに遣わす、天啓にて再会を果たされよ」すると兵士はこれからすぐ出発すると急かした。方鑑明は海市が自分の柏奚(ハクエイ)となり、喀血して倒れる夢を見た。「海市!」飛び起きた鑑明は実は李侍医の薬で数日、眠り続けていたと知る。配下は陳哨子が淳容妃を迎えに行ったと話し、預かっていた密書を差し出した。「目覚めたらすぐお渡しするようにと…」一方、海市は琅嬛を連れて帰路に着いた。皇帝は琅嬛のため海底で集めた黒檀(コクタン)で特製の車を作り、桐油(トウユ)を塗っているおかげで3年間は海水を入れ替えずとも水質が保てるという。しかし道中、海市は自分たちに付きまとう鷹に気づいた。「なるべく早く天啓に戻ろう!」方鑑明は皇帝に謁見、海市を越州に行かせた褚仲旭を非難した。「志願するように仕向けたのですね?!海市の母を盾にするなんて!」「何の話だ?」褚仲旭が困惑すると、鑑明は罠だと気づいた。「陛下ではないのか…」すると鑑明は褚仲旭が事情を聞く間も無く、暗影団を連れて皇宮を飛び出した。つづく( ゚д゚)索蘭が…何だかマイケ…ゲフンゲフン↓ラスト5時間だけ半額!ラスト5時間→1,870円(11/26 21:00 -- 11/27 01:59)大判ストール 秋 冬 秋冬 ウールたっち マフラーよりストール派 巻き方いろいろ【大判ルーシーストール】羽織にも出来る価格:1870円(税込、送料無料) (2022/11/26時点)楽天で購入
2022.11.26
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第42話「狙われた命」愛する方海市(ホウハイシー)の幸せを願い、冷たく突き放す方鑑明(ホウカンメイ)。師匠の命がわずかだと知らない海市は深く傷つき、昭明宮を早々に出て行った。陳哨子(チンショウシ)は淳容(ジュンヨウ)妃の好物の菓子を差し入れに来たが、すでに帰ってしまったと知る。「今度また来た時に作りましょう」「もう来るまい」すると鑑明は黙々と涼亭を片付けた。一方、瀚(カン)州では鞠柘榴(キクシャリュウ)が右菩敦(ウホトン)王・額爾済(ガクジセイ)の娘・塔拉(トウラ)から頼まれた奪罕(ダツカン)の衣を仕立てていた。かつて自分の手で測った方卓英(ホウタクエイ)の寸法、今でも昨日のことのように覚えている。柘榴は卓英との幸せな時間を思い出しながら、心を込めてひと針ひと針、縫った。塔拉が衣装店に衣を受け取りにやって来た。見事な出来栄えに感激する塔拉、すると蘇姨(ソイ)はなぜ中州の衣を贈るのか尋ねる。すると塔拉は少し寂しそうに奪罕には想い人がいると吐露した。「大徴(ダイチョウ)にいる人だから瀚州には来られないのでしょうね 彼はよく中州の方をながめながら浮かぬ顔をしている… そんな姿を見るのが忍びなくて、何かしたいけれど方法がないの でもこの衣を受け取ったら笑顔になるはずよ、ありがとう!」柘榴は工房で塔拉の話を聞きながら、愛する人との再会が叶わぬ運命に独り涙した。右部で盛大に奪罕と塔拉の婚儀が開かれた。額爾済は甥に愛娘を託して一安心、これで奪罕が草原の王だと認める。しかし密かに塔拉を想っていた将軍・魯爾丹(ロジタン)だけはやけ酒で気を紛らわしていた。奪罕と塔拉は床入りの儀を迎えた。どこかぎこちない2人、すると塔拉が奪罕のために準備しておいた衣を贈る。奪罕は衣を気に入ったが、結局、塔拉を独り残して出て行った。「今日は疲れただろう、早く休め」一方、2人の婚姻を知った褚季昶(チョキチョウ)は憤慨していた。思いがけず厄介な存在となった奪罕、しかしこのまま左王の奪洛(ダツラク)が黙っているとも思えない。「夏までにはまだ時間がある…最後に誰が勝つかはまだ分からぬ」雷(ライ)州諸部はすでに天啓(テンケイ)に向けて使者を派遣、各部の船が次々と涂潦(チョロウ)海に入った。近日中にも西南の各港に着くだろう。しかし西南は干ばつを経たばかり、そこで旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は民心を安定させるため都の10万の兵を駐屯させると決めた。大臣たちは都の守備が手薄になるため黄泉(コウセン)営から兵を動かしてはどうかと進言したが、黄泉営は西南から遠く、皇帝は兵を動かす時間と労力の無駄だと反対する。そこで方鑑明は黄泉営の5万の兵を天啓の守備に戻せばいいと進言した。方鑑明は警備を再編成し、左衛の大半の兵を移動することになった。そこで敵に付け込む隙を与えぬよう各将軍に万全の準備を命じ、ようやく昭明宮へ戻る。すると書斎で海市が待っていた。留守の間に海市が何か見つけのではと気になる鑑明、しかし海市は雷州に関する書を見ていただけだという。実は海市は薬瓶に入った鮫珠を見つけたが、黙っていた。「また私が来るとは思わなかったでしょう? …実は師父が教えてくれた言葉を思い出したの、″天下の利を受ける者は災いも担う″ 民のため雷州の問題を解決することが最重要、だから師父が何を恐れようと来たいから来たわ」海市は雷州諸部の使者の船が出航したと知り、この機に何者かが戦を仕掛けるのではと警戒した。そのため急いで龍尾神の使者として遊説に出たいという。方鑑明は反対しようとしたが、その時、陳哨子が急報を知らせに駆けつけた。何でも尼華羅(ジカラ)の特使・波南那掲(ハナンナケイ)と注輦(チュウレン)の特使・蒲由馬(ホユウバ)が駅館から逃げ出し、行方不明だという。褚季昶は故郷が恋しいだろうと蒲由馬に注輦の菓子を差し入れていた。すると菓子の中から密書が現れる。…波南那掲を駅館から会仙(カイセン)楼へ連れ出せ…蒲由馬は酒に目がない波南那掲をそそのかし、中原の衣に着替えて塀から脱出していた。方鑑明は騒ぎにならないよう暗衛営に使者たちの捜索を任せた。すると会仙楼で泥酔している蒲由馬を発見する。蒲由馬は初めこそ波南那掲の行き先を知らないとごまかしたが、陳哨子から追及されて外へ出て行ったと教えた。そこで衛兵が裏庭へ出ると、刺客に刺されて井戸に落下した波南那掲を発見する。一報を聞いた海市は愈安(ユアン)宮で休んでいる皇帝に知らせることにした。しかし愈安宮には誰も入れないと門衛に止められてしまう。「急用なの、陛下は私の出入りは認めていたはずよ?」褚仲旭は淳容妃が足止めされたと聞いて驚いた。「波南那掲に関わることだ、なぜ通さなかった?! 伝えよ、淳容妃の拝謁願いはすぐ伝えろと!行くぞ!」海市は身重の緹蘭(テイラン)を気遣い、事が済めば皇帝も戻ると安心させて出て行った。しかし侍女・碧紫(ヘキシ)は淳容妃が皇帝を連れて行ってしまったと誤解、不満を漏らす。緹蘭は皇帝と海市の本当の関係を伝える事ができず、ただ碧紫を戒めることしかできなかった。波南那掲は一命を取り留めた。しかし侍医の話では目覚めるのがいつになるか分からないという。「4日後になるか、あるいは数月後かもしれません」すると方鑑明は刺客が現場に何の痕跡も残していないことから、何か裏があると疑った。恐らく大徴と尼華羅の紛争をそそのかす者がいるのだろう。そこで褚仲旭は鑑明と海市と一緒に一芝居うつことにした。翌朝の朝議、尼華羅の副使は波南那掲が刺客に暗殺されたと聞き及び、まだ遺体も見ていないと抗議した。そこで蒲由馬はひざまずき、先の謁見で皇帝の機嫌を損ねてしまったせいで暗殺されたと証言、自分も死を賜りたいと嘆願する。しかし方鑑明が調査の結果、蒲由馬が波南那掲を騙して会仙楼に連れて行ったと報告した。蒲由馬は波南那掲が泥酔するのを待ち暗い裏庭に行くよう誘導、待機していた刺客に襲われたという。「裏庭を指差しているお前を給仕が見ていた、衣を2着、盗んだことも分かっている」「波南那掲大人に厠の方向を教えただけだ、波南那掲大人が会仙楼に連れて行けと頼んだ!」すると副使が嘘だと反発した。確かに特使は酒が好きだが駅館にも美酒が揃っており、何より酒のために掟を破るような人ではないという。「そこまでだ、ここで言い争っても何もならぬ」褚仲旭は波南那掲が目覚めたら真相を聞けばいいとなだめた。波南那掲は生きていた。皇帝の話では龍尾神の使いである斛珠(コクジュ)夫人が祈祷したおかげで一命を取り留めたという。蒲由馬は井戸から引き上げられた波南那掲に息がなかったと聞いて死んだと思い込み、馬脚をあらわした。そこで方鑑明は蒲由馬を投獄して調べるべきだと上奏する。驚いた蒲由馬は思わず昶王に濡れ衣だと泣きついた。褚季昶は冷静を装い、蒲由馬をひとまず駅館で禁足にして波南那掲の意識が戻ってから調査するよう嘆願する。仕方なく褚仲旭は弟の顔を立てて認めたが、注輦から新しい特使を派遣させねばならなかった。すると海市が夏まで駅館の守備を強化すべきだと諫言する。方鑑明はすかさず雷州に詳しい昶王に任せてはどうかと上奏、褚仲旭もこれを認めた。方鑑明が昭明宮に戻ると陳哨子が待っていた。そこで今回の件に関係している昶王と蒲由馬を見張るよう命じる。「拝命します…公爺、淳容妃が副使を連れて波南那掲の見舞いに来ています 様子を見に行かれては?」「いや必要ない」鑑明は一度は書斎に戻ろうとしたが、ふと嫌な予感がして足を止めた。その頃、海市は見舞いを終えた副使を見送ることにした。すると回廊で急に副使が胸を押さえて苦しみだし、倒れてしまう。海市は玉苒(ギョクゼン)に侍医を呼びに行かせて副使の様子を見ようとしたが、その時、副使が急に短刀を取り出して襲いかかった。しかし危ないところで方鑑明が駆けつける。「師父っ?!」鑑明は海市をかばって斬られながらも副使を退けたが、そのまま意識を失った。方鑑明は昏睡した。駆けつけた皇帝と侍医の話を聞いていた海市はようやく師匠が毒に侵されていると知る。「毒とは何ですか?一体、どういうこと?」つづく(* ゚ェ゚)師父が何かカッコいい良いこと言ってたけど…端折ったわw
2022.11.25
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玉昭令 No Boundary Season 1第15話今日は乞巧(キッコウ)節、上官策(ジョウカンサク)はそれとなく展顔(ヂャンイェン)に端木翠(ダンムーツェイ)と過ごすよう勧めた。しかし展顔は人手が多いので巡回すると出かけてしまう。上官策から話を聞いた江(コウ)夫人は展顔の様子がおかしいと江公爵に報告した。どうやら端木門主と仲違いしたようだという。江公爵は何か事情があるのだとなだめたが、ふいに咳き込んで薬を飲んだ。その様子を黒猫が見ている。…もし神仙の身体なら苦しまずに済むのに…展顔は自分がふさぎ込んでいるせいで義父母に心配をかけていると知った。しかし街に出ても思い出すのは端木翠のことばかり、気がつけば端木翠の好きな飴細工や櫛(クシ)、団扇を買ってしまう。すると端木翠の大好きな人形の露店を見つけた。「老板、なぜ牽牛郎(ケンギュウロウ)と織女(シュクジョ)の人形がないんだ?」「それは一緒になれない2人だからだ」その声は温孤(オンコ)だった。「贈り物なら私が渡しておこう、お前は会いに行くな」一方、端木翠は忙しい展顔のために手料理を作っていた。しかし火の扱いは得意だが、塩や砂糖の違いも分からず上手くいかない。そこへ温孤が土産を持って帰ってきた。まさか展顔が揃えた贈り物だとは知らず喜ぶ端木翠、すると温孤が料理を教えてくれるという。こうして端木翠は何とか料理を完成させ、啓封府へ向かった。その途中、偶然、朱雀街で巡回中の趙武(チョウブ)と張瓏(チョウロウ)を見つける。2人は端木門主に気づいて思わず逃げようとしたが遅かった。すると趙武がうっかり展顔が端木門主を避けていると口を滑らせてしまう。驚いた端木翠は真偽を確かめようと啓封府に乗り込み、ようやく展顔を見つけた。端木翠は涼亭で手料理を振る舞うことにした。「端木…もうこんなことはやめてくれ」展顔は冷たくしあしらったが、ふと端木翠の手の傷に気づく。「その指…」「あ…法術でちょっと怪我をしただけよ、さあ食べて」展顔は端木翠の真心を無下にできず料理を食べたが、その時、端木翠に天罰が下る幻覚を見てしまう。「どうしたの?もっと食べたら?」「端木…話がある」実は端木翠の料理には幻覚が見える花粉が入っていた。紅鸞(コウラン)は温孤の仕業に気づき、門主を傷つけたくないと訴える。しかし温孤は自分がこの世で絶対に傷つけないのは端木翠だけだと言い捨て行ってしまう。↓(´・_・`).oO(すでに門主を傷つけているのに…展顔は心を鬼にして端木翠に別れを告げた。「もう疲れた…君と恋仲になったのは一時の気の迷いに過ぎない」「嘘よ!信じない!」「これが本音だ、信じなくても構わない、どうぞご勝手に…」すると端木翠は思わず展顔に抱きつき口づけした。しかし展顔は表情ひとつ変えない。「以前のようにお互い自由に生きよう…不満でも?」「私と縁を切るの?…嫌よ、認めない」「知ったことか、これから君と私は赤の他人だ」展顔は悲しみに暮れる端木翠を残し、部屋に戻ってしまう。草盧に戻った端木翠は紅鸞に人間の心変わりの早さを嘆いた。温孤のせいだと知っている紅鸞は展顔に同情し、ままならぬ事があるのかもしれないと言葉を濁す。そこで端木翠は密かに啓封府に忍び込み、展顔の本音を探ることにした。しかし展顔は端木翠の気配を感じ、上官策に心にもないことを言ってしまう。「気づいたんだ、私の理想の伴侶は穏やかに寄り添える賢妻だ 幽族との戦いに明け暮れる神仙とは一緒にいたくない、端木と一緒では義父母も心配だろう」展顔は端木翠への気持ちが愛情ではなく啓封府を助けてくれた感謝だったと説明し、端木翠を娶ることなどあり得ないと断言した。その時、憤慨した端木翠が姿を現す。「安心して、もう邪魔はしない、怖がらせることもない、理想の伴侶を見つけて…」「やっと分かってくれたか、端木翠、君の言うとおり神仙に姻縁はない、一緒には生きられないのだ」…端木、すまない、私と一緒になれば君が傷つく、ならばいっそ私を恨んでくれた方がましだ…その夜、温孤は露店で泥酔している端木翠を見つけた。すると端木翠は温孤を展顔だと間違え、苦しい胸の内を打ち明ける。「私が何か悪いことをした?…悪いところは直す…欲しい物があるなら何でもあげる… 迷惑はかけないわ…だって…私は蓬莱で最も美しく有能な上仙なのよ?…なのにどうして?」温孤は神仙に姻縁がなく情とは無縁の存在だとなだめたが、端木翠はならば神仙を辞めると言って歩き出した。「ついて来ないで!」その様子を屋根の上から黒猫がながめている。…そうさ、お前は神仙になるべきではなかった…端木翠は月老を訪ね、強引に姻縁糸を取り上げた。そこで自分の手首に巻いてみたが、巻いても巻いても赤い糸は勝手に切れてしまう。月老は端木翠をあきらめさせるため、奥殿の床に散らばる細切れになった赤い糸を見せた。「己に結んだ姻縁糸です…神仙は永遠の命を生きます、誰かを愛することもある でもなす術がない、神仙の道が無常なのは神仙に姻縁がないからです 私は己の姻縁糸も結べない、展顔との関係を取り持つことはできません」月老は落胆して帰って行く端木翠を見送った。「端木、悪く思うな…蓬莱のためにも心を動かしてはならぬ」端木翠は寝静まった街を独り歩いた。「私ひとりで何をしてるのかしら…バカみたい…」今となっては展顔の告白も何もかも偽りのように思えてる。端木翠はこらえられなくなり、ふと立ち止まって号泣した。その様子を密かに展顔が見守っている。すると憔悴した端木翠が急に立ちくらみを起こした。展顔は驚いて駆け出したが、その前に温孤が現れ端木翠を抱き留める。「大丈夫だ、私がいる」展顔は端木翠が心配で草盧までやって来た。その夜はこっそり端木翠に付き添い、翌朝になると庭から無事に目を覚ます様子を確認して姿を隠す。そうとは知らず、端木翠は怒りに任せて思い出の人形を端木橋から捨てた。紅鸞が無理に展顔を忘れる必要はないとなぐさめると、端木翠は慌てて人形を探しに向かう。しかしすでに流されてしまったのか、人形はどこにもなかった。「展顔との思い出さえ残しておけないの?」すると温孤が現れた。「人間のために泣くのはこれで最後だ」温孤は端木翠を抱きしめ、思いきり泣いて全て忘れれば良いという。「端木、私がいる、永遠にそばにいるよ」まさかその様子をびしょぬれになった人形を持った展顔が見ているとは知る由もなかった。↓びしょびしょの人形から滴る水のスローとかwその頃、黒猫は九獄の長老と接触していた。端木翠が蚕の繭となった蓬莱図の断片を持っているが、温孤がいるため近づけないという。そこで長老はかつて幽王が聞き分けのない幽族を操るために用いた呪術を使わせることにした。実は北東の林にある宝器が埋めてあるという。「それを使って温孤を罠にかけよ…温孤にあの術をかければ法力を奪われて原形を現すだろう 細花流が幽族をかくまっていると噂が流れ、端木翠は民の非難を浴びる」つづく( ;∀;)ダンムーが可哀想すぎる〜
2022.11.24
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玉昭令 No Boundary Season 1第14話晴れて恋仲となった展顔(ヂャンイェン)と端木翠(ダンムーツェイ)。展顔は内勤中も上の空で、早々に切り上げて端木翠に会いに出かけてしまう。上官策(ジョウカンサク)はいつも一緒だった盟友に裏切られた気分だが、展顔は運命の人が見つかれば上官策も変わると笑っていた。(´・_・`)<俺の運命の相手?…どこにいるんだよ~展顔と端木翠は暇を見つけては共に過ごした。その日は細花(サイカ)流の山河でのんびり過ごしていたが、展顔がわざと端木翠を川に落とそうとする。「端木…」「展顔!私が川に落ちたらどうするの?!」「あり得ない」「万が一、落ちたら?」「絶対に大丈夫だ」「だから万が一の話よ!」「ふっ!」♪キャッキャウフフ~「もぅっ、驚かせないで」「私がいれば川に落ちぬ、それに…もし落ちるなら私も一緒だ」(↓動画参照)そんな2人の仲睦まじい様子を温孤(オンコ)が見ていた。…展顔、私の忠告を聞き入れぬなら残酷な現実を受け入れろ…今日からお前は私の敵だ、端木の前から消えるまで許さぬ温孤は夕暮れから酒を飲み始め、泥酔した。心配した紅鸞(コウラン)は温孤から目を離せず、海までついて行く。「私は展顔に及ばぬか?どこが劣っているというのだ?!」「私にとって上仙以上の方はいません」「だが端木は違う…展顔しか目に入らぬのだ」「…自棄にならないでください、女子は門主だけではありません」「いいや、母を亡くした時から私には端木翠しかいない…端木翠を誰にも渡すものか」激情に駆られた温孤は龍族の力を使い、嵐を巻き起こしてしまう。啓封(ケイホウ)が突然、暴風雨に見舞われた。そこで展顔は衛兵たちに街の見回りを任せ、海岸の様子を見に行く。するとびしょ濡れになった温孤と紅鸞を見つけた。「展顔、これで満足か?お前のせいで啓封は水没し、民は塗炭の苦しみをなめることになるぞ お前が元凶だ…啓封の大罪人め!」展顔は温孤が酒に酔っていると気づいて端木草盧(ソウロ)まで送ると言ったが、温孤は拒んだ。「端木の名を口にするな!…たかが人間のくせに上仙と一緒になれると思うか?! 天に逆らえば必ず罰が下るぞ?…これは天災ではない、人災だ!何もかもお前が悪いっ!」紅鸞はこのままでは温孤が自分の正体を明かしてしまうと焦り、慌てて温孤を連れて帰った。酔い潰れていた温孤が目を覚ました。すると激しい雨に気づき、自分が巻き起こした嵐だと思い出す。温孤が慌てて結界を張っていると、ちょうど端木翠が現れ、力を貸した。おかげで草盧だけは雨が止んだが、端木翠はこのままでは古い街の啓封が水没してしまうと心配する。「奇妙だわ、これほど酷い暴風雨は啓封で初めてよ…はっ! もしや龍族の末裔がいるのかも?蓬莱に知らせなくては!」驚いた温孤は千年前の戦いで龍族の血筋は絶えたとなだめ、雷神が雨を降らせ過ぎただけだとごまかした。その時、信蝶(シンチョウ)が姿を現す。『端木、恐らく津波が起こる、しっかり身を守れ!』「展顔?!どこにいるの?!」しかしそこで交信が切れてしまう。啓封ではすでに大勢の被害者が出ていた。江(コウ)公爵は我が身も顧みず衛兵たちを連れて救援に向かうことにしたが、その様子を保護された黒猫が見ている。一方、端木翠は啓封を救うため法力を消耗していた。温孤は紅鸞と共に医館で怪我人の対応に追われながら、一時の気の迷いで端木翠の大切な街を壊しかけてしまったと反省する。しかしすでに雨も上がり、紅鸞は必ず乗り越えられると励ました。翌朝、展顔たちは次の嵐が来る前に民たちを避難させていた。その途中、端木翠が朱雀街で独り法術で嵐を抑え込んでいる姿を見つける。「端木!逃げろ!」「ここは任せて」その時、街の至る所に巨大な竜巻が現れた。展顔は端木を守るためその場に残り、強風で飛んで来た巨大な柱を身体で受け止め喀血してしまう。「展顔!」「…端木、たとえ死んでも君から離れない」端木翠は展顔の言葉に激しく心を揺さぶられながら、力の限り法力を放って竜巻を吹き飛ばした。「展顔、さっきの言葉は本当なの?」「この世が果てるまで君のそばにいる」すると啓封の空に虹がかかり、青空がのぞいた。しかし端木翠は突然、意識を失ってしまう。展顔は急いで端木翠を細花流へ連れて帰った。しかし温孤が治療しても端木翠が目を覚ます様子はない。「忠告したはずだ、端木と縁を切れと…さもなければ端木に害が及ぶ」「私が傷つけていると?」…千年前、人族の将軍だった端木翠には觳閶(コクショウ)という許嫁がいた将軍の觳閶は崇(スウ)城を落としたら端木翠を娶る約束をしていたが、悲劇が起こる觳閶が戦死したのだ端木は悲憤しながら出陣し、惨死した觳閶との約束のせいで多くの兵が亡くなり、良心の呵責に苛まれていた端木その後、神仙に冊封されるも己を許せず、そのため端木翠の記憶は情債(ジョウサイ)箱に封印される…この千年、記憶を封印したおかげで端木翠は穏やかに過ごしてきた。しかし展顔との出会いで心が動いてしまう。温孤は展顔のせいで封印が破れれば端木翠は悲しみに耐え切れず、生き地獄を味わって魂が砕け散ると教えた。「展顔、良心があるなら彼女の手を放せ…」その時、端木翠がうなされながら展顔の名を呼び、展顔は枕元に駆け寄る。…端木、私が生きている限り君を守ってみせる…すると展顔は後ろ髪を引かれる思いで草盧を後にした。端木翠が目を覚ますと草盧に戻っていた。温孤は啓封なら無事だと教え、展顔もすでに帰ったという。そこで端木翠は信蝶で連絡しようとしたが、展顔は交信しなかった。天災のあとで啓封府は忙しいのだろう。「君より民のほうが大切なんだな」「構わないわ、民を守ることは色恋より大切よ…お互い役目がある、理解できるわ」「そうか…もし私なら天地がひっくり返っても君に冷たくしない」すると端木翠は展顔とは心が通じ合っているため問題ないと言った。「それに同志だもの」展顔は啓封府の書庫で歴史書を探した。すると確かに多くの戦功を立てた将軍・端木翠の記録があり、許嫁・觳閶は崇城で戦死している。「端木翠は出陣するも…命を落とす…」展顔は温孤の話が事実だと知り、悲しみに打ちひしがれた。翌朝、元気になった端木翠は啓封府に展顔を訪ねた。しかし任務で出かけているという。端木翠は展顔の仕事が終わるまで待つと頑なに居座ったが、結局、夜になってあきらめた。寂しそうに帰って行く端木翠、展顔はその後ろ姿を見つめながら胸がつぶれる思いだった。つづく( ;∀;)展顔…
2022.11.23
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皎若云间月 Bright as the moon第9話「公主の入隊」帰京が決まった三皇子は雲浅月(ウンセンゲツ)と一緒に帰るつもりだった。しかし容景(ヨウケイ)が雲王と郡主を守る約束をしたと横槍を入れる。「郡主、参りましょう」すると浅月はさっさと容景の馬車に乗り込んでしまう。皇帝は勝手に月岐(ゲツキ)へ行った四皇子を叱責した。これまでの教えは無駄だったと嘆く皇帝だったが、四皇子は壮大なる天下の多様な民を知るため、経験に勝るものはないという。「天下は皇宮の中にあるんじゃない!外にあるんだ! ←とは言ってないw 井の中の蛙になりたくないのです」「よく言った」しかし軽率で無謀な行動だったことから、皇帝は罰として軍機大営で反省するよう命じた。一方、半月も姿を消していた浅月は祖父に叱られていた。すると彩蓮(サイレン)が小姐は蛇に咬まれた傷が治っていないと援護、お陰で罰を免れる。しかしうっかり彩蓮は浅月が実は景世子を追いかけて行ったと暴露した。雲王はようやく孫娘も片付きそうだと喜んだが、皇帝の勅命でもない限り浅月を娶る者などいないだろう。「失礼な!月岐では南梁の世子から嫁にしたいと言われたわ」「南梁の世子だと?…装飾品を付けていたか?」「緊箍児(キンコジ)を…扇子も見せびらかしていたわ」そこへ宮中から皇后の使いが現れた。辺境で7年、三皇子はついに皇宮へ戻った。皇帝は立派な青年になった三皇子を暖かく迎え、離宮にいる生母・蕭(ショウ)妃に顔を見せに行くよう勧める。すると三皇子と入れ違いに容景が報告にやって来た。結局、月岐に出兵を求めた黒幕までは突き止められなかったが、一連の騒動で利益を得る者がいるはずだという。しかし皇帝は小国の騒動に過ぎないと告げ、なぜか追及しなくていいと笑った。↓なぜママが冷遇されたのかも依然、不明( ̄▽ ̄;)秦玉凝(シンギョクギョウ)は回廊で容景を待ち伏せしていた。「お聞きしたいことが…お役目は無事に?」「順調だったか否かは秦都官の方が良くご存じなのでは?」すると容景は捕縛した密偵が持っていた鷹揚衛(ヨウヨウエイ)の軍牌を返した。「次はありませんよ…目的は知りませんが、自分を貶めるような真似はおやめください」「そんなに浅月が良いと?だから私を咎めるのですか?」通関証の紛失や賊の襲撃は秦玉凝の預かり知らぬことだったが、嫉妬からかえって容景を怒らせてしまう。皇帝は三皇子の帰還を機に蕭妃を離宮から出した。安堵した三皇子は王府へ戻り、自分が留守の間に都に潜伏していた藍家の当主・藍漪(ランイ)を労う。しかし急に表情が一変し、雲浅月を巻き込んで記憶喪失にしたと追及した。皇太子の失脚を目論み望春楼を襲撃した藍家、確かに藍漪は現場に雲郡主がいると知っていたが、報告するまでもないと思ったという。「私情を挟んでは大業を果たせませぬ…それよりご報告が」藍漪は話題を変え、容景が慕容(ボヨウ)家の事件を調べていると伝えた。冷(レイ)王はすでに三皇子が皇太子になれるよう手を回していた。蕭妃も離宮から解かれ、重臣20名余りとも話がついているという。しかし三皇子は父皇が自分を警戒しているように感じると言った。冷王はどちらにせよ皇太子にふさわしいのは三皇子しかいないと安心させ、宰相たちが動き出す前に立太子を奏上するつもりだという。「殿下は雲郡守と離れずに、雲王の支持はかかせません」皇后は浅月が月岐から戻ったと聞いて参内させた。思えば三皇子が月岐に発った後、浅月は何日も泣いていたが、やっと再会できたと思えば記憶喪失とはつくづく運がない。その時、三皇子が皇后へ帰還の挨拶にやって来た。浅月は叔母の赤子をあやしてやり過ごそうとしたが、気を利かせた皇后に2人で散策へ行くよう勧められてしまう。三皇子は浅月を連れて街に出た。今日は五穀祭、民は面をつけて歌い踊り、女媧(ジョカ)に五穀豊穣を願う。すると三皇子が急に浅月の手を握りしめた。「月児…以前はよくこうして散歩したものだ」驚いた浅月は人の目があると慌てたが、その様子を運悪く容景に見られてしまう。浅月は露店で面を買おうと誘い、三皇子が面をつけている間に逃げ出した。すると偶然、月岐の使者として天啓にやって来た拓跋(タクバツ)葉倩(ヨウセイ)と再会する。実は葉倩は四皇子に会いたくて一足先に到着したが、四皇子の居場所が分からなかった。浅月は葉倩を連れて四皇子がいる軍機大営にやって来た。ちょうど今、新兵を募集しているため、男装して潜り込めば四皇子に会えるという。早速、受付の長い列に並んだ葉倩、うっかり拓跋と名乗りそうになったが慌てて″拖把(タバ)″と言い換えた。すると華奢な身体つきを見た長官から不合格を言い渡されてしまう。葉倩は乗馬が得意なので騎兵で役に立てると売り込み、何とか受付を通過することに成功した。しかし次が身体検査だと知り、慌てて引き返す。その時、ちょうど厠から肥料を運んでいく荷車を見かけた。葉倩は身体を糞尿まみれにして身体検査へ乗り込むと、長官はあまりの臭さに絶え切れず、検査を免除して着替えに行けと命じた。弦歌(ゲンカ)は主と雲郡主の仲を取りもつため、占い師に協力を頼んだ。すると街に戻った浅月が占い師の露店の前を歩いてくる。「そこの姑娘、婚姻の相が現れていますよ」浅月はどうせいかさまだと呆れたが、占い師は浅月の悩みをぴたりと言い当てた。「望む人とは添えず、望まぬ人から求められているのでは?」「お金は払うわ!運命の人はどこにいるの?」「草木の橋のたもとに良縁ありだ」「草に木…″栄″のこと?」しかしその時、三皇子に見つかってしまう。三皇子は何としても自分の気持ちを分からせると迫り、これから皇宮へ行って婚姻を認めてもらうと決めた。強引に連れて行かれてしまう浅月、すると机の下に隠れていた弦歌が顔を出す。「まずいまずい、どうしよう~!」三皇子はちょうど庭園にいた皇帝と皇后に雲月との婚姻を嘆願した。「これは月岐に発つ前、浅月にもらった手製の手巾です」浅月は自分の刺繍ではないとごまかしたが、そこへ急報が届いた。「西山の兵糧大営から出火し、半焼しました!」すると皇帝は今日は縁起が悪いと縁談話を後回しにして三皇子に調査を任せた。( ๑≧ꇴ≦).oO(危なっ!火事のおかげで結婚しなくて済んだ~容景の策は成功した。西山大営の訓練は過酷で兵士たちも疲労しているため、失火もあり得る。弦歌は証拠を残すようなヘマはしないと自慢したが、容景はそもそも弦歌が原因だと咎めた。「はあ?お手柄の間違いでは? 苦労して情報を探ったんですよ?雲郡主と三殿下が結婚しても良いと?」しかし容景は黙って出て行ってしまう。つづく( ತ _ತ)出た…面倒なお騒がせ公主w
2022.11.22
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玉昭令 No Boundary Season 1第13話展顔(ヂャンイェン)への恋心を自覚した端木翠(ダンムーツェイ)。そこで展顔の気を引こうと講談本の恋物語を参考にして啓封(ケイホウ)府に高価な贈り物を届けた。しかし門前に積まれたお宝は賂と誤解され、しかも前王朝の玉璽(ギョクジ)や皇帝の遺失物があったことから、啓封府は大騒ぎになる。すると″展顔″と書かれた細花(サイカ)流のお札が見つかった。展顔は端木翠の仕業だと気づき、咄嗟に朝廷のために端木門主が遺失物を探してくれたと取り繕う。結局、贈り物は目録を作って朝廷に献上されたが、これを知った端木翠は激怒した。「私が駆け回り、2度と土地神や河神を邪魔しないと約束して、乾坤袋の宝と引き換えに集めたのよ? それを朝廷に渡すなんて…」温孤(オンコ)は傷ついた端木翠のため取り返しに行くと決めたが、驚いた端木翠が止めた。もし展顔が罪に問われたらかえって困るという。「ずい分、展大人(ダーレン)に関心があるんだな」「ぁ…啓封府には色々と助けられたから、御礼をしただけよ」温孤は司法星君・楊鑑(ヨウカン)に連絡した。実は端木翠がすっかり展顔に心を奪われてしまったという。しかし展顔はまだ求愛に気づいていないため、今ならまだ間に合うはずだ。温孤は早く展顔と李瓊香(リケイコウ)を結婚させた方が良いと進言、楊鑑も月老を急かすと約束する。(๑•̀ㅂ•́)و✧<端木、君のそばにいられるのは私だけだ江(コウ)公爵夫妻は展顔を呼んだ。実は李瓊香の縁談がまとまり、自分たちの養女として啓封府から嫁がせるという。そこで展顔に婚礼の準備を手伝って欲しいと頼んだ。展顔は了承して任務に戻ったが、江公爵夫妻は端木翠と展顔の仲が気にかかる。古来より神仙と人間は一緒になれず、端木門主も幽族退治が終われば蓬莱に帰るのだろう。江伯爵は2人が結ばれる前に展顔に別の縁談を調えようと決めたが、江夫人はあきらめるのはまだ早いと訴えた。紅鸞は端木門主と展顔の恋を応援していた。2人が結ばれれば自分も温孤に近づける機会ができる。そこで今度は展顔好みの装いに変えてはどうかと勧めた。端木翠は早速、紅鸞と街の装飾店に出かけたが、そこで偶然、婚礼道具を選んでいる展顔と李瓊香を見かける。2人が結婚すると誤解した端木翠は嫉妬に駆られ、密かに李瓊香が揃えた婚礼道具一式を燃やそうとした。しかし展顔が現れ、端木翠を制止する。「最近、李瓊香に絡んでばかりだ、どうした?いつから気分屋の癇癪持ちになった?」「キーッ!ついに本音を言ったわね?」「端木、君が心配なんだ」「結婚を邪魔されるから心配なの?!…ふん、私はしつこくつきまとう女じゃない これからは別々の道を行きましょう、さようなら!」展顔はなぜ端木翠の機嫌が悪いのか分からなかった。しかし李瓊香が端木翠は展顔を好きだからこそ嫉妬して癇癪を起こすのだという。「神仙の端木が嫉妬するか?」「どれほど偉大な神仙でも嫉妬はするわ」展顔は端木翠を追って草盧(ソウロ)にやって来た。しかし端木翠は怒りが収まらず、会ってくれない。すると趙武(チョウブ)と張瓏(チョウロウ)が駆けつけ、民が獣に襲われたと報告した。展顔は青花(セイカ)小仙に端木翠の世話を頼んで帰ったが、それがまた端木翠を苛立たせてしまう。「あっさり帰ったぁ?!…もう細花流は啓封府のことに関わらないから!」展顔たちが街へ戻ると獣に襲われ負傷した民たちが手当てを受けていた。傷跡は猫の引っ掻き傷のように見えたが幽族の可能性が高い。そこで展顔は肩を叩いて信蝶(シンチョウ)を呼び出したが、また端木翠は通信を切っていた。しかしこれも嫉妬なのだと思うと展顔は思わず笑みがこぼれてしまう。無視されたのに嬉しそうだぞ…>(*´・д・)(・д・`*)ヒソヒソ一方、江公爵は啓封府へ戻らず、猫を探し回っていた。すると物陰に隠れている黒猫を発見する。「いたいた…さあ、啓封府へ行こう」ある朝、端木翠は妖精たちの賑やかな声で目を覚ました。「何なの?眠れないわ」「今日、啓封府で婚礼が行われるそうですよ!」何も知らなかった端木翠は花婿を奪いに行くと奮起、妖精たちを引き連れて出かけてしまう。紅鸞は慌てて温孤に報告、後を追った。啓封府で李瓊香の婚礼が始まった。しかし拝礼の儀の途中でいきなり端木翠が現れ、新郎を引きずり出そうとする。「結婚なんて許さないから」すると前から展顔が現れた。実は青花小仙に頼んで端木翠にわざと婚礼を知らせたという。そこへ李瓊香が新郎と一緒にやって来た。李瓊香は江公爵の義理の娘として嫁ぐと教え、今や展顔は自分の義兄だという。端木翠は自分が誤解していたと知り、居たたまれなくなって帰ろうとした。しかし展顔が引き止め、自分を奪いに来たなら最後までやり遂げろと笑って口づけする。そこへちょうど温孤と紅鸞が駆けつけた。「ついに心が通じ合ったのですね、門主は報われました」紅鸞は端木翠の幸せを喜んだが、温孤は絶望して帰ってしまう。展顔は端木翠を連れて遠乗りに出た。眼下に広がる啓封の町並み、その時、たくさんの天灯(テントウ)が空に舞う。実は展顔は前日にこの時間に天灯を飛ばして欲しいと民たちに頼んでいた。「私の想いに気づいていたのね…」「実は瓊香が教えてくれたんだ、私は仕事一筋で恋に疎く、君を待たせてしまった」すると展顔は木に掛けておいた天灯を見せた。天灯には2人の絵姿と詩が書いてある。…賽子に小豆をはめ込むようにあなたを骨の髄まで愛す… ←何だそれ?※玲瓏骰子安紅豆 入骨相思知不知 (温庭筠)2人は一緒に天灯をあげた。「天地が見守る中で想いを打ち明けたい、端木、君のことが好きだ、私と一生を共にしてくれるか?」「展顔…もちろんよ」端木翠は幸せだった。しかし神仙は姻縁糸で結ばれず、こんな演出も意味はないと落胆する。すると展顔は自分と端木翠の手をツタで結んだ。「相思相愛ならこの世の万物が姻縁糸になる」夜更けに突然、温孤が巻物を抱えて展顔の部屋に現れた。巻物は全て啓封の妙齢の女子の姿絵、端木翠と縁を切ればどんな女子でも娶れるという。「皇女の夫になることもできるぞ」「…だが断る!端木とは決して離れない」温孤は神仙と人間が想い合ってもは悲恋に終わると言い聞かせたが、展顔は必ず幸せになれると信じて疑わなかった。「全て聞かなかったことにする、帰ってくれ」「天意に背けば天罰が下るぞ?」「端木との出会いこそ天意のはずだ」すると温孤は必ず後悔すると捨て台詞を吐いて帰って行った。翌朝、展顔は端木翠を連れて江公爵夫妻に挨拶にやって来た。江公爵は神仙と人間では苦労が絶えないと心配していたが、相思相愛なら止められないとあきらめる。「互いを大切にな」こうして2人の仲は公認となった。つづく(  ̄꒳ ̄)展顔のその赤い衣は…制服マジックェェェ___
2022.11.22
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玉昭令 No Boundary Season 1第12話啓封(ケイホウ)府の宴、端木翠(ダンムーツェイ)は展顔(ヂャンイェン)が自分のために好物を並べてくれたと知って喜んでいた。しかし思いがけず展顔と李瓊香(リケイコウ)の姻縁糸が結ばれていると気づく。李瓊香はすでに縁談を望んでいないはずだが、赤い糸が消えないのは天が定めた良縁だからだろうか。だとしても展顔は喪が明けるまで3年も待たねばならない。端木翠は抗議すべく月老(ゲツロウ)廟を訪ねたが、月老は小言を聞くのが嫌で無視した。そのせいで自分の像にいたずら書きされてしまう。端木翠は月老を探して町外れに祀られた土地神を訪ねた。すると地面から土地神の妻・土地婆が現れる。「端木上仙、嫁入り前の娘が何かと夫を訪ねては困るの あなたのせいで河神夫婦が離縁したと知ってるの?今すぐ帰りなさい!」(* ゚ェ゚)<ずいぶん、怒りっぽのね~私が優秀すぎるからかしら端木翠は仕方なく端木草盧に戻った。すると中庭で茶碗の青花(セイカ)小仙が小薬瓶からお仕置きされてる。「白状なさい!」「…夜中に小皿と月見に 行 き ま し た !」「反省して!2度としないわね!」「うわ~ん!」端木翠は紅鸞(コウラン)をつかまえ、今日は皆の様子がおかしい訴えた。事情を聞いた紅鸞は失笑し、薬瓶と土地婆が怒った理由はどちらも″やきもち″だと教える。「気になる人が他の女子と話していたら怒ったり、難癖をつけたりします 何だか胸がざわついて、すべてが気に障るのです」端木翠はまさに展顔への自分の反応だと気づいたが、上仙には姻縁がないため恋することはない。そこで紅鸞は確かめてはどうかと言った。「しばらく相手に会わずに連絡を断つのです、会いたくて頭から離れなければ好きな証拠です」(  ̄꒳ ̄).oO(私を誰だと?ふふ、展顔に数日、会わなくても平気よ!その夜、展顔は部屋の窓に絡まる絹糸を見つけた。「まさか…まだ事件は終わっていないのか?」展顔は端木翠に連絡しようと信蝶(シンチョウ)を呼んだが、交信できない。すると花瓶の桃花の蕾が急に開いて床に落ち、そこから絹糸が伸びて行った。端木翠は展顔と1日会わないだけで落ち着かなくなり、結局、啓封府の前までやって来た。( ˙꒳˙ )<まさかこれって恋?そこへ医館に来ていた温孤(オンコ)が通りかかった。端木翠は見回りだとごまかしたが、その時、啓封府へ入る李瓊香を見かける。面白くない端木翠は後を追いかけたが、展顔の部屋から李瓊香の悲鳴が聞こえた。展顔は蚕妖の繭で全身を包まれていた。端木翠は法力を加減しながら三昧真火(サンマイシンカ)で絹糸を焼き、繭を回収する。しかし展顔はなかなか目を覚さなかった。「呼吸が止まっている…鍼を打とう」温孤は鍼を出したが、端木翠は展顔を救おうと咄嗟に口づけしてしまう。すると帰墟(キキョ)に繋がれた端木翠の情債(ジョウサイ)箱が激しく揺れ始めた。端木翠の情債箱を繋いでいた鎖が切れた。驚いた司法星君・楊鑑(ヨウカン)は月老府に怒鳴り込んだが、逆に月老から司法星君が無理を言ったせいで姻縁糸が混線してしまったと責められてしまう。「そんなに大事なら自分で守りに行け」そこで楊鑑は何か口実を作って人間界へ降りようと決めた。展顔が無事に目を覚ました。端木翠は信蝶の交信を切っていたことを後悔し、思わず展顔に抱きついてしまう。「あなたに何かあれば誰と幽族を追えばいいの?誰が一緒に街を歩き、雲呑代を払うの?!」「…端木、君の許しなく死んだりしないよ、だって君は性格が悪いから放っておけない」「何ですって?!」「いやつまり何が言いたいかって言うと…ありがとう」「いいのよ、それよりどうしてあなたは幽族に絡まれやすいのかしら?」展顔は繭から殺意を感じなかったと話し、どうやら自分の記憶を探られたようだという。記憶を探る術と言えば死んだ幽王の秘術、その時、展顔は義父から巨闕(キョケツ)を託された時の夢を見ていた。「そうだ、繭の中で木の香りがした」医館に戻った温孤は展顔のため力を尽くす端木翠の姿が頭から離れなかった。…まさか端木翠は展顔に心が動いたと?…そんなはずはない、情を封じられているのだから「今日は上の空ですね」紅鸞は温孤を心配しながらそれとなく情報を聞き出そうとした。「展大人は江(コウ)公爵の息子なのに姓が違うのですね」「…展顔は養子だからな」「では実子はいないのですが?江公爵夫婦は結婚してから長いはず…江公爵は啓封生まれですか?」すると温孤はなぜ江文卿(コウブンケイ)に興味があるのかと迫り、何か企んでいると疑った。しかし紅鸞はただ温孤と世間話がしたかっただけだという。「どうだかな…」端木翠は展顔を失いそうになって初めて恋をしていると自覚した。そこで紅鸞と一緒に街の書店に出かけ、神仙の恋物語を読みあさる。(^ꇴ^)<やだ、相手が男か女か分からないの?w(* ゚ェ゚)<来世で恩返し?これが拒絶の言い訳?容姿が不満なのね〜(๑≧ꇴ≦)<え、主と騎獣の恋?ちょwww小天はまだ子供よ?!すると紅鸞がある法則に気づいた。「講談本の主役は優しい女子ばかり、人助けを喜びとし、小さい動物を大事にしています」端木翠は早速、人助けすることにした。そこで親とはぐれた子供を家まで送ることにしたが、方向音痴のため自分が迷子になってしまう。今度は青花小仙を連れて展顔を訪ね、怪我した青花を一緒に治療しようと誘った。「ね、展郎〜♡」「今何と呼んだ?!」「じゃあこれならどう?展大哥〜♡」展顔はいつもと様子が違う端木翠を心配して温孤から薬をもらおうと言ったが、端木翠は怒って帰ってしまう。↓青花小仙講談本を参考に優しい娘を演じても展顔を振り向かせることができない端木翠。すると紅鸞が心を攻略すればいいと提案した。「周囲の人に愛を注いで真心を示すのです、相手の身近な人に親切にすれば心をつかめます」翌日、端木翠は啓封府へ出かけ、捕吏たちに尽くした。しかし今度は展顔がやきもちを焼き、かえって捕吏たちは訓練を増やされ、上官策(ジョウカンサク)の机には資料が山のように積まれてしまう。端木翠は徹夜になりそうな上官策に粥を差し入れることにしたが、上官策はこれ以上、展顔の恨みを買うまいと断った。温孤は近頃、夜遅くまで外出している端木翠を心配していた。そこで紅鸞に理由を聞いたが、思いがけず端木翠が展顔に恋していると知る。「実は門主から上仙には秘密にして欲しいと…」温孤は端木翠が初めて自分に隠し事をしたことに深く傷つき呆然となった。すると紅鸞は急に胸が痛み始め、慌てて出て行ってしまう。その様子を黒猫が見ていた。九獄の長老は噬心咒(ゼイシンジュ)で黒衣の使者を呼び出した。黒衣の使者の話では繭が糸を吐き出して元に戻れず、端木翠に繭を奪われてしまったという。すると長老は温孤が龍王の子でありながら隠していたと非難した。黒衣の使者は神仙となった温孤が協力を拒んだため報告できなかったと釈明したが、長老は温孤を連れ戻すよう命じて通信を切ってしまう。しかし黒衣の使者が去った後、後をつけて来た黒猫が法器に触れた。その夜、端木翠は捕吏たちを喜ばせようと花火を打ち上げた。しかしうっかり火の粉が庭に落ちてぼやを起こしてしまう。江公爵夫妻は端木翠の女心だと気づいて追求しなかったが、端木翠は面目丸潰れだった。すると紅鸞が今度は街で一番人気の講談本を買ってくる。「これをご覧ください…貴公子が高価な品を意中の美女に贈ると、美女は瞬く間に恋に落ちたと… 贈り物の価値が想いの大きさです!」端木翠は男にも効果があるのか半信半疑だったが、紅鸞はひとまず試してみようと言う。「門主…私が気の引き方を教えたと温孤上仙には内緒にしてください」「気を引く気はないわ、学んだことを実践したいだけよ」つづく( ๑≧ꇴ≦)あーっ!そうだ忘れてた!この黒猫、第1話で事件現場にいたんですよね〜細花流の猫のはずですが、何かありそうです
2022.11.21
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玉昭令 No Boundary Season 1第11話凌霄紅(リョウショウコウ)の鑑賞会で李瓊香(リケイコウ)の父・李松柏(リショウハク)が遺体で発見された。啓封(ケイホウ)府へ戻った展顔(ヂャンイェン)はちょうど一緒だった温孤(オンコ)に検死を頼み、遺体の首に12の指の跡があると分かる。「桂花蛋(ケイカタン)の店主・鄭巧児(テイコウジ)だ」展顔は女店主が6本指だと思い出し、早速、端木翠(ダンムーツェイ)と一緒に出かけた。独り残った温孤は遺体の衣に付着した髪の毛を見つけた。「髪から幽族の匂いが…」その時、殿内をうかがう黒い影に気づく。「誰だ?!」黒衣の使者は急いで逃げ出したが、裏道に入ったところで温孤が立ちはだかった。すると黒衣の使者は急に左胸を押さえて苦しみ始める。「噬心咒(ゼイシンジュ)?!九獄の者か?」温孤は何者かが噬心咒を使って幽族を操っていると知った。実は噬心咒は幽王が幽族を操るため使った術で龍族の血を使う。「私の発作を見てすぐ噬心咒だと気づきましたね?龍族の血が流れている証しです 幽族の血を継いでいるなら共に戦いましょう 龍族の血は呪術に反応します、いつでも九獄と接触し協力できるはず、お帰りを待っています」黒衣の使者はそこで姿を消した。展顔は鄭巧児に啓封府まで同行するよう頼んだ。鄭巧児は適当にあしらおうとしたが、端木翠に幽族と人間の娘だと見抜かれ逃亡する。しかし端木翠が幽族だけに効果がある蓬莱の縄を投げ、捕縛することに成功した。鄭巧児は人間と蚕の子だった。半妖は普段は力を抑制できるが、月夜に月光を浴びれば力を抑えられなくなる。そこで展顔は昨夜、錦繍布荘(キンシュウフソウ)の当主・李承伯が殺され、犯人は6本指だと教えた。しかし鄭巧児は急に高笑いし、当然の報いだという。すると知らせを聞いた鄭巧児の乳母が駆けつけた。乳母は確かに鄭巧児は李家に恨みがあるが、決して犯人ではないとかばう。実は李家と鄭家には因縁があった。資料によれば鄭巧児の父・鄭万里(テイバンリ)は15年前に殺されていた。検死結果から父親は人間、つまり母親が幽族だと分かる。しかし当時、借金のカタに取られていた凌霄紅は妻・劉喜妹(リュウキマイ)と共に消えていた。ならば錦繍布荘にある凌霄紅は一体…。「(はっ!)錦繍布荘が危ない!」展顔は深夜の工房に駆けつけた。工房に並ぶ機織り機と衣をまとった人像、そこへ偶然、李瓊香が現れる。「織り機の音がして様子を見に来たの」すると突然、機織り機が動き出し、織り上がった凌霄紅が襲い掛かってきた。展顔は咄嗟に李瓊香を外へ逃して戸を閉めたが、凌霄紅に巻きつかれてしまう。一方、黒衣の使者は長老に蓬莱図の断片を見つけたと報告していた。実は蚕妖の持っている繭が断片だという。…あの夜、黒衣の使者は錦繍布荘にいる蚕妖を探しに行ったしかし蚕妖が姿を現さず、仕方なく火を放ってあぶり出すすると李瓊香の部屋にある機織り機の凌霄紅から蚕妖が現れた凌霄紅は蚕妖が修練の全てを費やして織った布だったそのため幽族でありながら人間である李承松に殺されてしまったという蚕妖が死んで凌霄紅は法力を失い、ほどけて赤い絹糸になった絹糸に取りついた蚕妖は人間界で再び凌霄紅が織り上げられた時、肉体を持って李承伯を殺し、夫の敵を討てるというしかし人間の力で織ることは難しく、残りの法力を李瓊香に授け、凌霄紅を織らせていたすると黒衣の使者は一縷の魂となった蚕妖の脆弱な法力では凌霄紅の完成など無理だと気づくそこで協力する代わりに繭を渡すよう取引したその時、火事に気づいた蕊児(ズイジ)が駆けつけ、黒衣の使者に殺されてしまう…黒衣の使者は蚕妖に噬心咒をかけたため裏切らないと報告した。喜んだ長老は功績に免じて噬心咒の解毒薬を少量あたえ、痛みを軽くしてやるという。「それで幽王の遺児は見つかったか?」「…まだです」「見つけ次第、すぐ連れて来い」そんな2人のやりとりを温孤が見ていた。展顔が行方不明になった。李瓊香の話を聞いた上官策(ジョウカンサク)たちは端木翠に相談、ひとまず錦繍布荘を調べることにする。すると工房には展顔の神剣・巨闕(キョケツ)が落ちていた。端木翠は蚕妖が力を取り戻すため凌霄紅を織っていたはずだと気づき、凌霄紅を探すことにする。その時、真紅の布をまとった人像を見つけた。「展顔!」しかし凌霄紅は展顔の身体に密着し、強引に剥がせば皮膚が裂けてしまう。「氷の塊がいるわ」温孤は黒衣の使者が九獄と交信していた法器を見つけ、長老に接触した。「来てやったぞ…」長老は鏡に映った王子を見て驚愕、見つからないと言う報告が嘘だと気づく。すると温孤は何をしても干渉しないが端木翠だけは巻き込むなと釘を刺した。「境界を越えてみろ、お前の醜い爪を切り落としてやる」長老は龍族と知られれば端木翠からも敵と見なされると脅したが、温孤は無視して交信を切った。一方、端木翠は氷の塊と法術を使い、展顔の身体から凌霄紅を剥がすことに成功した。すると凌霄紅に潜んでいた蚕妖が逃げ出してしまう。端木翠は娘の鄭巧児をすぐ呼んでくるよう頼んで飛び出し、郊外の林で蚕妖に追いついた。「端木翠、私を追い詰めるな!李松柏の他は誰も傷つけたくない!」…九獄から逃げ出した時に深手を負った蚕妖は布店を営む鄭万里に助けられた蚕妖は恩返しに養蚕や紡織を教えようと決め、劉喜妹として店で働き始めるやがて2人は恋仲となり結婚、店も繁盛したそんなある日、商売に失敗して多額の借金を作った盟友が偶然にも店に物乞いにやって来る鄭万里は落ちぶれた李松柏の面倒を見ることにしたが、突然、鄭万里が賊に殺された悲しみに暮れる劉喜妹、しかし事件が解決すると李松柏は実は賊を雇ったのは自分だと明かし、劉喜妹まで手にかけてしまう…そこへ鄭巧児が駆けつけた。端木翠は母娘の涙の再会に胸が痛んだ。すると上官策は啓封府が事件を再捜査して真実を白日の下にさらすと約束する。事情を知った李瓊香も錦繍布荘の儲けを全て鄭巧児に返すと言っていた。蚕妖は李瓊香が善良な娘だと知り、子供の代にまで恨みを残したくないと告げ消散してしまう。「母さん!…15年来の恨みから解放されたのね 私は大丈夫、元気で生きて行くわ、安心して眠って…」しかし端木翠は蚕妖が残した繭に気づかず、桃花に奪われてしまう。↓目を覚ましてうっかり端木を押し倒してしまう展顔w啓封府では李瓊香が展顔との縁談を辞退していた。しかし府尹(フイン)・江文卿(コウブンケイ)は哀れな李瓊香を見捨てることなどできず、喪が明けてから婚姻すればいいという。李瓊香は展顔を交えて再考して欲しいと頼んで帰ることにしたが、ちょうど展顔と出くわした。「宴は遠慮します」「義父上の招待なんだ、無下にしないでくれ」展顔は自分を助けてくれた端木翠に感謝し、手料理でもてなすことにした。しかし端木翠は未だ李瓊香が展顔の許嫁として扱われていることに苛立ちを隠せない。すると上官策がどの料理も甘いことに気づいた。端木翠は展顔が自分の好物を並べてくれたと知り、その努力に免じて機嫌を直すことにする。つづく
2022.11.20
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风起陇西(ふうきろうせい)第十八計「連環の計」馮膺(フウヨウ)は李厳(リゲン)に豪華な別荘を用意、気兼ねなく柳瑩(リュウエイ)と過ごせるよう手配していた。その裏で柳瑩には見聞きしたことを時折、報告するよう指示しておく。「安心して、恩は必ず返す、私は永遠にあなたのものよ…」「命が惜しければ口には出すな」柳瑩は馮膺を翻弄しながら、李厳には寄る辺のない身ゆえ情けをかけて欲しいと潤んだ目で訴えた。すると李厳は柳瑩を決して見捨てたりはしないと約束する。一方、西曹掾(ソウエン)の地位を得た陳恭(チンキョウ)は荀詡(ジュンク)の家で夕餉を共にしていた。「まさか朝廷が馮曹掾の監督不行き届きを許すとはな、波紋を広げたくないようだ」陳恭はこれ以上の追求は危険だと警告したが、実直な荀詡は良心に背かなければいいという。「予感がするのだ、燭龍の事案の謎を暴くことが人生の意義だと…」そこへ裴緒(ハイショ)が息せき切って飛び込んできた。「一大事です!高堂秉(コウドウヘイ)が自害を!」李厳は馮膺に皇帝から密勅を賜ったと教えた。今回の朝議を機に諸葛亮(ショカツリョウ)とはいずれ決裂することになるという。しかし丞相の影響力があまりに大きいため、痕跡を残さずやり遂げなければならなかった。そこで密かに諸葛亮を陥れて君主を欺いた罪に問いたいという。「分かりました、周到な計画を練ります」陳恭と荀詡が牢に駆けつけた。裴緒の話では酉の刻(18時頃)に夕餉を届けた後、亥の刻(22時頃)に夜回りに来た時には死んでいたという。高堂秉は机を割った木片で喉を突き刺していた。陳恭は落胆する荀詡に手を貸して立たせると、むしろ都合良く死んでくれたという。翌朝、陰輯(インシュウ)は高堂秉の自害を知り安堵していた。実は荀詡の調査には批判がでており、司聞曹の古株を一掃するつもりだと揶揄されていたという。馮膺は燭龍を捕らえるため大きな代償を払った荀詡をかばい、陰口を叩くなと憤慨した。すると孫令(ソンレイ)が根拠のない批判ではないという。「荀詡が高堂秉を調べる動機は不純です、怪我をしてから性格が一変しました、姐夫を恨んで…」「口を慎め!」馮膺は話を遮り、荀詡とは個別に話すと言った。陳恭は高堂秉が死んだことで燭龍の事案に決着がついたと言った。「いいか、自害として処理しろ、それがお前のためだ」裴緒も確かに木片が刺さった角度や力の大きさ、血が飛び散った方向を見るに自害だと納得する。しかし荀詡はどうしても自害とは思えなかった。「あいつは自害するようなヤツではない…机を割ったにしては指に傷ひとつなかった 割ったのはヤツではない」天水(テンスイ)郡守に復帰した郭剛(カクゴウ)、すると郭淮(カクワイ)が五仙道の大祭酒・黄預(コウヨ)を連れてやって来た。黄預は漢中で30年あまり隆盛した五仙道が1日で滅亡し、曹魏が賢士を集めていると聞いて庇護を求めたという。すると郭淮は陳恭が自分たちの仲間だと明かした。「今後は陳恭を追及するな、私の命を受けてしたことだ」実は皇帝が天下統一において大きな役割を果たした五仙道を国教に考えているという。郭淮は漢中に戻ったら陳恭と協同するよう指示し、大局を重んじるよう黄預を説得した。陳恭は李厳の別荘を訪ねた。李厳はまだ到着していなかったが、柳瑩が対応する。「高堂秉が死んだ…これでそなたの身元は割れぬ ただ残念ながら荀詡は徹底的に追及するつもりだ…静観していろ、でそちらは?」「将軍は私に惚れ込んで詩まで書いてくれたわ」柳瑩は陳恭に茶と一緒に李厳直筆の詩を渡した。馮膺は荀詡を呼んで高堂秉の件を聞いた。荀詡は正直に陳恭から自害にするよう言われたと報告したが、どうしても腑に落ちないという。すると馮膺は陳恭が正しいと言った。朝廷の権力争いに終わりはなく、丞相が再び北伐するため司聞曹は平穏を保たねばならないという。しかし馮膺は荀詡の性格上、手を引けと言っても無駄だとあきらめ、表向きは自害で処理し、秘密裏に捜査するよう提案した。陳恭は数日以内に馮膺を捕らえると伝えた。「罠を仕掛ける、この日を3年も待った」そこで柳瑩に馮膺の伝達経路について刺史から聞いているか確認する。すると柳瑩は付近を警戒しながら声を落とした。「″青石谷(セイセキコク)の赤岩(セキガン)峰…」「分かった」馮膺が屋敷に戻ると復職した楊儀(ヨウギ)が待っていた。すると楊儀はそろそろ″網″を引く時が来たという。馮膺は街亭(ガイテイ)の事案後、郭淮が青萍(セイヒョウ)計画を始動したが、連弩を盗むのは目くらましで、狙いは李厳を制圧することだったと教えた。そこで敵の裏をかくため計画の実行を阻まず、自ら李厳の腹心になったという。「お前に売られた時、計画を実行するのだと悟ったよ」「ですが決心がつきません…丞相は何もご存じない、我々の連環の計は大勢を巻き込みます 非常手段であり公にできません、露呈すれば李厳は我々を許さないでしょう 当然、司聞曹にも累が及ぶ、罪は免れません」「だが危険を犯すしかない、李厳を倒す唯一の機会だ」馮膺はついに覚悟を決め、これから李厳と昼餉を共にする際、計画を伝えることにした。李厳がこの計画を始動すれば破滅したも同然、自分たちも無事ではいられないだろう。ただし馮膺には気がかりがあった。ひとつは陳恭だが、楊儀は10年前の父親のことなら機会を設けて釈明すればいいという。あとひとつは荀詡のことだった。「私の段取りより嗅ぎつけるのが早く、高堂秉の死への関与を暴かれるやも…そうなれば台無しです」↓何も知らず姐夫を心配する孫令荀詡は裴緒からもう一度、当日の話を聞いた。当直だった裴緒は高堂秉が亡くなったとされる2時辰(トキ)半の間は誰も独房に入っておらず、重罪犯の牢に痕跡を残さず侵入するなど無理だという。馮膺が李厳の別荘を訪ねると陳恭の姿があった。すると李厳は陳恭も仲間だと安心させ、早速、諸葛亮を陥れる策を聞くことにする。馮膺は今回の目的を総括、北伐は国力を削ぎ国本を危うくするゆえ密勅により北伐を阻止すること、実際の行動に李厳が関わらないことだと切り出した。「連環の計を考えました、全部で3段階です この計画を簡単に言うと″刀を借りて人を殺す″、以上です」今回の北伐の戦術はかつて韓信(カンシン)が使った策を模倣している。魏延(ギエン)が陽動作戦で隴西(ロウセイ)を攻める隙に丞相は主力を率いて故道を通って陳倉(チンソウ)を奇襲、その後、陳倉を兵糧の拠点にして長安を狙うのだ。そこで1歩目はこの情報を曹魏に流し、魏延の部隊を殱滅するという。その目的は丞相の攻勢を遅らせ、陳倉の攻略を滞らせることで、2歩目の時間稼ぎを行うことだった。李厳は陳恭に目配せした。そこで陳恭はこの計画には難点があると指摘する。諜報機関の情報は虚実ないまぜ、曹魏の上層部が信じる保証があるのだろうか。するとついに馮膺は郭淮と直接、連絡する経路があると白状した。李厳もこれには恐れ入ったが、馮膺は漢復興のための非常手段だという。計画の2歩目は呉(ゴ)軍に変装した李厳の腹心が関所を襲い、呉と蜀の商道を断って東呉の侵略を装うことだった。しかし東呉は丞相に曹魏を討つと請け負っている。李厳はまた陳恭に目配せした。「つまり東呉の侵略が真実である必要はないと? 情報が伝われば丞相は不在のため皇帝は李厳に勅命を下すはず…」「その通り」李厳はようやく自分が東呉との戦に備えるという口実で東呉との前線に兵糧を送り、北伐を覆すと分かった。すると急に険しい顔になる。「これは謀反だぞ?!」つづく( ๑≧ꇴ≦)全然、ついていけない管理人が通りますよwで、馮膺も楊儀も陳恭が父の件で恨んでいると知ってるのか〜何だそれ?
2022.11.20
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第41話「苦肉の策」旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は金価の件で特使と引見するため偏殿へ向かった。すると穆徳慶(ボクトクケイ)がその前に李(リ)侍医から急ぎの報告があると引き止める。李侍医は先日の清海公(セイカイコウ)の脈診では言い出せなかったが、やはり皇帝には事実を伝えるべきだと思い直していた。実は清海公は毒の影響を抑え切れておらず、血液の中にも毒が入り込んでいるという。鮫珠(コウジュ)を使い切って効果が薄れてくれば、もはや仙人でも救えなくなるだろう。「グッ…残された時は?」「鮫珠がなくなった時が最期の時かと…」その時、偶然にも方海市(ホウハイシー)がやって来た。海市は金価の件で力になりたいと上奏した。そこで褚仲旭は特使との面談に海市を連れて行くことにする。偏殿ではすでに尼華羅(ジカラ)の特使・波南那掲(ハナンナケイ)と注輦(チュウレン)の特使・蒲由馬(ホユウバ)が待っていた。2人は金を放出して暴落させた大徴を厳しく非難し、雷(ライ)州諸部と南疆(ナンキョウ)の部族が大損害を被っていると訴える。すると褚仲旭は夏に諸部の使者が天啓に集う時、龍尾神を見に来るよう勧めた。「瑞兆である龍尾神を迎えれば大徴は繁栄する」大使たちはにわかに信じられなかったが、それ以上、口出しできなかった。褚仲旭は雷州諸部が崇める鮫人を利用して騒ぎを収束させようと考えた。そこで海市に龍尾神を天啓へ呼ぶよう命じたが、海市は例え厳罰に処されても応じられないという。「陛下、龍尾神などいないのです、雷州一帯では確かに鮫人を龍尾神として崇めます それは鮫人が鮫から民を守ってくれるからです、でも鮫人は神ではない ただ私たちと違って海水の中で暮らしているだけです、海水を離れたら死んでしまう 皇宮に向かう途中で琅嬛(ロウケン)が死んでしまったら何と説明を?!」方鑑明(ホウカンメイ)も淳容妃の言う通りだと反対、別の案を考えるよう進言した。しかしこれが鑑明を救う唯一の方法だと信じる褚仲旭は勅命だと脅し、出て行ってしまう。その夜、褚仲旭は愈安(ユアン)宮に淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)を訪ねた。緹蘭は自分を守るように盟友を守ろうと苦悩する皇帝に寄り添い、素直な気持ちを口に出してはどうかと進言する。「分かってくれます」「…また話してみよう」実は緹蘭は今回、蒲由馬の謁見を断っていた。褚仲旭も緹蘭が身重だと知ればまた何か企むかもしれないと警戒、会わない方が良いという。緹蘭は皇帝が外套を忘れて行ったことに気づき、すぐ届けるよう命じた。するとしばらくして宮女が碧紫(ヘキシ)に届けたことを報告に来たが、思わぬ不安を口にする。「実は陛下が鳳梧(ホウゴ)宮の前でずっとお待ちになっていました 陛下は昼間、淳容妃に激怒したそうです…姐姐、万一、陛下が淳容妃に心変わりしたら…」驚いた碧紫は口は災いの元だとたしなめ、他言無用だと釘を刺した。海市が愈安宮にやって来た。久しぶりに会った緹蘭のお腹はすっかり大きくなっている。「西平港(セイヘイコウ)の土産を今、医官院で検査させているわ、あとで取って来てくれる?」「分かりました」碧紫は早速、出かけることにしたが、ちょうど門前で皇帝の輿と出くわした。「今、淳容妃とお話ししています」すると皇帝は出直すと言って帰ってしまう。海市は緹蘭に雷州の民にとって龍尾神とはそこまで大事なのかと聞いた。緹蘭の話では龍尾神は雷州で至高の神であり、首に掛けている龍尾神の飾りは王族の印だという。「護身符として全員が肌身離さず持っているの、龍尾神は私たちの守り神なのよ」すると緹蘭は龍尾神の使者とされる海市が我が子を守ってくれたら嬉しいと笑った。妻となり愛する人の子を宿した緹蘭、海市は自分が手に入れられなかった幸せを目の当たりにして感傷的になってしまう。「海市?…どうかした?」「何でもない」そこへ碧紫が淳容妃からの土産を運んできた。海市は土産の説明をしながら緹蘭の大きなお腹に手を当てたが、驚いたことに子が動く。「陛下が話しかけても動かないのに…あなたのことが好きなのね、縁があるんだわ」「…私にとって今日は一番、幸せな日かも」海市はその足で昭明宮に師匠を訪ねた。やはり恩人である琅嬛を危険な目に遭わせることはできず、その代わり龍尾神の使者である自分が雷州へ赴き、遊説して取り決めを交わすのはどうかという。方鑑明は海市に危険を冒させるつもりはないと反対したが、海市はすでに決意を固めていた。ただし皇帝を説得するためにはどうしても師匠の協力が必要だという。すると鑑明は身体が辛くなり、咄嗟にまた出直して欲しいと頼んだ。瀚(カン)州にある鞠柘榴(キクシャリュウ)の衣装店に再び右王の娘・塔拉(トウラ)がやって来た。塔拉は婚姻のしきたりで夫となる奪罕(ダツカン)に衣を贈るため、大徴の殿方用の衣を仕立てて欲しいという。奥で話を聞いていた柘榴は激しく動揺し、思わず涙があふれた。すると蘇姨(ソイ)が現れる。「断ってもいいんですよ?お辛いでしょう?」「…あの人のために衣を仕立てられるのはこれが最後になるわ」鞠柘榴は笑顔を見せた。そこで蘇姨は店に戻り、王女の結婚ならお祝いとして衣を贈ると伝えた。翌朝、海市は改めて昭明宮を訪ねた。すると方鑑明は雷州についてゆっくり話せるよう、涼亭に席を設けたという。中庭には霽風(セイフウ)花の木が美しく花を咲かせていた。方鑑明は海市の希望通り雷州の習慣や政局について説明を始めた。しかし海市はふと昔もこうして師匠の講義を聞いていたことを思い出し、集中できない。その時、鑑明は上の空の淳容妃に気づき、ここまでにすると言った。「…師父は毎日、昭明宮にいらっしゃるからいつでも質問に来られる 私たちに残された月日は長い、そう思うと集中が途切れました」「月日が長い?…今日はここまでに」すると鑑明は急に席を立った。海市は慌てて師匠を怒らせてしまったのかと聞いたが、鑑明は誤解だという。「先ほどの淳容妃のお言葉で気付かされました 淳容妃は皇帝の妃であり幼い子供ではない、今後の月日は長く、私はずっとそばにいられないと」「皇帝の妃と朝臣はこうして話すことさえ許されないと?」「そうです…あらぬ噂を立てられます」本当の理由を知らない海市は深く失望し、結局、師匠にとって大事なのは自分の名誉なのかと言い捨て帰ってしまう。つづく(  ̄꒳ ̄)そろそろ佳境に入ってもいいはずだけど…で、どうしたいんだろう?w
2022.11.19
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第40話斛珠(コクジュ)夫人は雨に濡れたせいか風邪を引いた。するとその夜、密かに方鑑明(ホウカンメイ)が海市(ハイシー)の様子を見にやって来る。机には風邪薬が置いてあった。鑑明は眠っている海市の脈を診て立ち去ろうとしたが、その時、海市が手をつかんで引き止める。「病になればきっと会いに来てくれると思ったわ…安心して、目は開けない、夢だと思うことにする」そこで海市は西平港(セイヘイコウ)刺史・劉昌平(リュウショウヘイ)と百里塬(ヒャクリゲン)の処遇について意見を求めた。鑑明は一部始終を明らかにして減刑を検討するよう助言し、皇帝も情状酌量を認めてくれるという。…あなたへの想いを断ち切らせたいなら冷たくすればいいのに、これじゃ諦められない…方鑑明は海市が救済の任を果たすまで遠くから静かに見守ることにした。そんな鑑明の深い愛情の中、海市は被災民のために炊き出し所に立ち、ついに米売却問題について結審の日を迎える。「劉昌平と百里塬による米売却について調べがついた 被災民を救うための行為であり、横領とは一線を画す…だが法を犯したことに変わりはない、 劉昌平は減棒3年、売却分の米を全て返還するように、その他の官吏は減棒1年とする 百里塬、海上通商の許可証を3年、役所預かりとする、しかし家名に恥じぬ行いだった」死罪に相当する罪を犯した劉昌平は寛大な措置に戸惑ったが、海市は巡回の印を持つ自分の言葉は皇帝の言葉であり、これが皇帝の裁定だと言った。旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は淳容(ジュンヨウ)妃の見事な処断を知って大喜びだった。しかし方鑑明は表に出ることもなく、一体どうするつもりなのか。すると司庫監の呉(ゴ)主事が切羽詰まった様子で謁見した。皇帝の命により国庫の財貨を放出して修築に使ったが、そのせいで金が暴落しているという。世の金の8割は中州産だが実際に市場に流通しているのは銅で金の大半は国庫にあった。さらに皇帝が地方の収める銅銭を雷(ライ)州諸部で金に換えるよう命じたため、金は暴騰する。金商人は銭を借りて金を買い東陸(トウリク)で売りさばいていたが、暴落で元手まで失い、自害する者まで出ていた。「金価の安定を図り、恐慌を防いでください!」「金商人の対処をせよ、朕に考えがある」海市は西南一帯の被災民の庇護に尽力していたが、皇帝から呼び戻された。居北(キョホク)鎮には斛珠夫人を見送りたいと多くの被災民が駆けつけ、西南の恩人に感謝の声を上げる。その様子を遠目から方鑑明が見ていた。…″方海市″という私人から大徴(ダイチョウ)の斛珠夫人となったのだな…一方、鞠柘榴(キクシャリュウ)と蘇姨(ソイ)は瀚(カン)州の外れに衣装店を出し、老庄を介して右菩敦(ウホトン)王・額爾済(ガクジセイ)に情報を送る任務についていた。そんなある日、衣装店に右王の娘・塔拉(トウラ)がやって来る。塔拉は店主の蘇姨に大徴の衣が見たいと頼んだが、警護の将軍・魯爾丹(ロジタン)は大徴の衣はつまらないと言った。しかし塔拉は奪罕(ダツカン)から大徴に最上の刺繍師がいたと聞いたという。奥の部屋にいた柘榴は方卓英(ホウタクエイ)が今も自分を覚えていると知り、自然と笑みがこぼれた。その頃、奪罕は奪洛(ダツラク)から迦満(カマン)人を助けるため、右王に兵権を借りたいと嘆願していた。右王は迦満人のために左部と戦うわけにいかないと反対していたが、奪罕の熱意にほだされ、ある条件を出す。「私の娘を妻にしろ」そこで右王は左部の間者から届いた刺繍の密書を渡した。明日の昼前、奪洛が蘭茲(ランシ)に最終攻撃をかけるが、これが好機になる。「もし塔拉を娶るならお前の考えを支持しよう、夜になる前に答えをくれ」方卓英は刺繍の密書に困惑した。まさか鞠柘榴なのか。しかし他界して半年、柘榴のはずがない。草原の湖畔で独り悶々とする卓英、すると縁談を知った塔拉が走って来た。「奪罕哥哥?…私のことで悩んでいるの?」塔拉は奪罕がいつも寂しそうに中州の方を見ていることから、想い人が中州にいると気づいていたという。「私は平気よ、奪罕哥哥の思うようにして 婚姻しても想い人を忘れる必要ない、いつか心の片隅に私の居場所ができるのを待つわ」「…ありがとう」塔拉は迦満人が奪罕を助けてくれたおかげで出会えたと感謝し、恩返しすべきだと理解を示した。斛珠夫人は無事に帰京した。しかし大街で早々に身を投げた金商人に出会してしまう。すると密かに見守っていた方鑑明が慌てて駆けつけた。海市はこれを機に清海公(セイカイコウ)に宮中までの護衛を頼み、わずかな時間ながら堂々と鑑明をそばに置くことが叶う。…顔色が悪いわ、ますます痩せているけど、なぜかしら?…鳳梧(ホウゴ)宮に戻った海市は霽風(セイフウ)館から密かに侍医を呼んだ。聞けば侍医は昶(チョウ)王の誕生祝いで毒にあたった清海公を脈診して以来、清海公を一度も診ていないという。何でも清海公自身が脈診を断り、その理由も侍医には分からなかった。褚仲旭は無事に帰って来た方鑑明の姿に安堵していた。しかし未だ未生花(ビセイカ)の解毒薬が見つからず、李侍医への怒りが爆発する。鑑明は侍医の責任ではないとなだめたが、実は李侍医は皇帝を恐れて清海公の本当の病状を言えずにいた。褚仲旭は方鑑明が留守の間、ある策を思いついていた。鑑明を助けられるのは龍尾神のみ、そこで深海に住む鮫人(コウジン)を天啓まで連れてくるという。しかし鮫海(コウハイ)を捜索させてみても鮫人の影すら見えず、鮫に食われて犠牲者まで出していた。「方海市なしでは鮫人を探せまい」「解毒しうるという話は推測に過ぎません、捜索はあきらめてください」鑑明は海市が毒の件を知った末に鮫人に解毒の力がなかったとなれば辛くなるだけだと訴えた。「賭けには乗れません」「そこまで大事なら海市のために生きろ!」褚仲旭は愛するものを失った悲しみは自分の方が良く分かると言った。「猶予をやろう、だが良い策が見つからねば放念することはできぬ」方鑑明が昭明宮に戻ると陳哨子(チンショウシ)が大公子からの密書を届けた。…師父、左王奪洛は迦満攻略をもくろみ、激しい抵抗に遭って瀚州の勢力が変化しました…私は叔父の信頼を得て軍を預かり、奪洛の隙をついて左部を蘭茲から放逐、迦満と盟約を結びました…師父と海市と離れ長い時が経ちますがお元気でしょうか…いつの日かまた再会できることを願っていますまたも海市の暗殺に失敗した褚季昶(チョキチョウ)、すると皇帝が朝議に斛珠夫人を呼んだ。慣例では后妃の参政は許されないが、大功を上げた海市に巡回の印を正式に授与し、政への参与を認めるという。大臣たちからは当然、反対の声が出たが、褚仲旭はそもそも淳容妃を救済に行かせたのは大臣たちのはずだと揚げ足を取った。「方海市は男どもより有能であると証明された」すると西南での斛珠夫人の評判を聞いた大臣が妥当な判断だと上奏、昶王派の大臣たちの声はかき消されてしまう。海市は巡回の印を賜り、朝堂から下がった。しかし依然、金価の問題は解決されず、各地で不安が噴出している。各部の使者が天啓に向かっており、自害した死者の家族も謁見を求めていた。方鑑明はひとまず各使者たちの来意を確かめるのが先だと進言、そこで褚仲旭は偏殿で各部の使者と引見すると決める。つづく(  ̄꒳ ̄)師父の健診…否、献身
2022.11.18
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风起陇西(ふうきろうせい)第十七計「反間の計」陳恭(チンキョウ)は紫煙(シエン)閣に柳瑩(リュウエイ)を訪ね、自分が燭龍(ショクリュウ)だと明かした。自分たちがこの重要な位置まで来れたのも、郭淮(カクワイ)将軍が五仙道と高堂秉(コウドウヘイ)を犠牲にして導いてくれたおかげだという。「…ただ犠牲も大きかった」「将来得る結果に比べれば些細なことだ…」「では翟悦(テキエツ)は?」「…柳姑娘、李厳(リゲン)のそばにいるそなたに死なれては困る ゆえに今日は殺さぬが、今後その名を出すことは許さぬ」「失言でした…しかし組む以上、弱点があってはならない、同じ船に乗る者同士、信頼が大切では?」すると陳恭の殺気が消え、腹が減ったと言った。陳恭は食事を済ませ、次の標的が馮膺(フウヨウ)だと示唆した。恐らく李厳は楊儀(ヨウギ)の復職と引き換えに馮膺を残すはず、しかし馮膺が死なねば青萍(セイヒョウ)計画はついえる。「極端な手を使うやもしれぬ、準備を整えろ」「覚悟はできているわ」すると陳恭は次の連絡を待つよう伝え、席を立った。青萍計画の本当の目的は連弩(レンド)の設計図ではなく、真の燭龍を敵の上層部へ送り込むことだった。しかし郭剛(カクゴウ)は叔父から陳恭が燭龍だと聞いてもにわかに信じられない。陳恭が己の使命に背き、西蜀を裏切って大魏につくだろうか。実は郭淮は陳恭が潜入した当初から西蜀の間諜だと気づいていた。そこで陳恭をわざと侍衛長に昇進させ、初めて情報を盗んだ時に現場を取り押さえたという。「お前を長安で学ばせているのは罰ではない、知って欲しいのだ 最も落としがたいのは人の心だと、だが最強の武器となるのもまた人の心なのだ」正確には陳恭は裏切ったと言うより、裏切りを憎悪していた。郭剛もそんな陳恭の律儀さを知っており、だからこそ天水(テンスイ)で疑ったことなどなかったという。すると郭淮はそのこだわりこそが弱点になったと言った。「奴に馮膺との取り引きの記録を見せた」郭淮はかつて馮膺と情報を取り引きしていた。もちろん機密に関する情報ではなく、ある種の取り引きは互いの出世に役に立つ。つまり密偵の命だ。郭剛は憤慨、陳恭も当然、受け入れられるはずがない。すると郭淮は諜報というものを徐々に理解すればいいとなだめた。「よいか、この世には正義も悪もなく、天はかくも非情だ」10年前、当時、漢中を守っていた夏侯淵(カコウエン)は劉備(リュウビ)率いる10万の兵と対峙した。郭淮は夏侯淵を助けるため囲魏救趙(イギキュウチョウ)の計を思いつく。そこで秘密裏に西蜀の馬秦(バシン)・高勝(コウショウ)を説いて挙兵させ、資中(シチュウ)県を包囲させた。実は資中県の情報を郭淮に渡したのが馮膺だという。李厳はほぼ全軍を失った。しかし危機に立ち向かったのは李厳ではなく、影武者の陳黻(チンフツ)だったという。…陳恭は馮膺が情報を漏洩したせいで父が命を落としたと知ったしかも郭淮から情報を得る見返りに密偵を差し出していたという陳恭は呆然としていたが、郭淮は証拠となる取り引きの一覧を示した『司聞曹の状況と一致するか確かめてみろ』『…馮膺は建威(ケンイ)の王善人(オウゼンニン)まで売ったのですか?』王善人と言えば家は裕福で3代も曹魏の官職を務めていた馮膺の情報がなければ西蜀の密偵だと気づかなかっただろう結局、王善人は一族皆殺しとなり、江湖の仇打ちに遭ったと処理された陳恭は父の仇討ちを決意、指示を仰いだすると郭淮は3年は動かなくて良いという馮膺の目を欺くため任務をこなし、司聞曹で手柄を上げて馮膺に尽くせというのだ『予感がするのだ、お前は間諜というものを根底から変えられる男だと… 私の使命はお前をそのように育てることだ』しかし陳恭の才は郭淮の予想をはるかに超えていた…郭剛は叔父の計画に敬服した。しかし何も知らなかった自分を哀れみ、今後は欺かないで欲しいと懇願する。郭淮は言える時機ではなかったとなだめ、街亭(ガイテイ)の事案が西蜀を大きく揺るがした後、陳恭に2つ目の指令を出したと教えた。「″帰国せよ″と…」「つまりそれが青萍計画の本当の始まりだったのですね」「そうだ」南鄭(ナンテイ)では荀詡(ジュンク)が日々、歩く練習を重ねていた。一方、馮膺には朗報が届く。陰輯(インシュウ)の報告によれば丞相が楊儀復帰の条件として馮膺の免責を許し、李厳も応じたという。俸禄1年分の剥奪だけで済んだ馮膺は幸運を喜んだが、まだ微妙な状況なのは事実、そこで陰輯に高堂秉の件を注視するよう頼んだ。「扱いを誤れば別の災いを招く…例えばお前は高堂秉と仲が良かったな?」実は陳恭を国外へ行かせたのは友の荀詡と離すためだったという。「今は司聞曹内部で揉め事は起こせぬ」皇帝が北伐を許した。不満げな李厳だったが、朝議の後、単独で参内せよと勅が下る。狐忠(コチュウ)は馬車をひと回りさせてから皇宮の北門へ向かい、李厳は偏殿で知らせを待った。すると祈祷中の皇帝に代わり太監が密勅を届けにやって来る。「先帝が崩御の際、つけていた玉帯を陛下より授けます ″生姜と酢″をすする思いで耐え、陛下を支えて漢の復興を頓挫させぬように…」役所に戻った李厳は早速、先帝の玉帯を念入りに調べた。一見すると何も分からなかったが、帯を切り開いてみると小さく折りたたんだ紙が出て来る。しかし紙には何も書かれていなかった。その時、李厳はふと太監の言葉を思い出し、生姜水と酢を混ぜた汁を紙に塗ってみる。すると驚いたことに文字が浮き上がった。…朕は即位した後、諸葛亮(ショカツリョウ)を武郷(ブキョウ)侯に任じ、益州を任せ、朝廷での決定権を与えた、だがいまだ天下は不穏で朕は安心できぬ、しかも諸葛亮は専横を極め重大事案も上奏せず、皇太后も罪を問いたがっている、さらに諸葛亮は張飛(チョウヒ)の娘を勝手に皇后に立てた、献帝に対する曹操(ソウソウ)さえこうも酷くはなかった、先帝いわく″諸葛亮には曹丕(ソウヒ)の10倍の才がある、朕に価値なくば諸葛亮が国を奪え″と言ったが、その言葉は先帝の疑念を表す…荀詡が取り調べにやって来た。しかし高堂秉は2つの条件を呑まない限り話さないという。荀詡は仕方なく谷正(コクセイ)の件を後回しにし、設計図を盗み出したとしても定軍山からどうやって脱出つもりだったのか聞いた。「それなら話せる、軍謀司は朝廷の掟により漢中の兵糧と輸送を点検している こたび武都に兵糧を運ぶこととなり、成藩(セイハン)校尉が責任者だった」山を封鎖しても全ての輸送車を調べるのは不可能、高堂秉は設計図を兵糧の中に隠すつもりだったという。そこで高堂秉は話せることなら全て話したと訴え、肝心な話を聞きたいなら赦免が先だと言った。すると荀詡はそこで切り上げることにする。「安心しろ、私はそんな取り引きには応じない…殺された翟悦のためにも決してお前を許さぬ あと1日やろう、話すかどうかは任せる、ただし口を割らなければ生き地獄が待っていると思え」南鄭への道中、狐忠は将軍の内弟子である陳恭が戻った今、馮膺と楊儀の交換は割に合わないと訝しんだ。しかし李厳は一極集中を嫌い、忠誠心のある陳恭と経験がある馮膺2人を抱えてこそ安定するという。すると急に馬車が止まった。「司聞曹の馮膺がいます」馮膺は命の恩人である李厳の帰りを平伏して待っていた。そこで李厳が柳瑩と気兼ねなく過ごせるよう、贅を凝らした別宅に案内する。「ここは周囲5里が司聞曹の土地なので静かで安全です」「馮曹掾(ソウエン)がそこまで言うなら…なあ?」荀詡は陳恭に訓練の成果を見せた。陳恭は足の回復ぶりに驚きながら、実は陰輯に頼んで高堂秉に会ったと伝える。「尋問では私情を挟まず冷静になれ、いっそ私に任せるか?」荀詡は陳恭が本気なのか冗談なのか分からなかった。つづく※囲魏救趙=魏を囲んで趙を救う兵法のひとつ、敵を一箇所に集中させず奔走させて疲れさせてから撃破する戦略のこと
2022.11.18
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玉昭令 No Boundary Season 1第10話展顔(ヂャンイェン)の縁談のせいで機嫌が悪い端木翠(ダンムーツェイ)。展顔から甘味処に誘れたものの、意地を張って忙しいと断ってしまう。しかしやはり展顔のことが気になり、端木翠は皆に散歩に行くとごまかして草盧を出た。そんな端木翠を見送った温孤(オンコ)は何とも虚しくなってしまう。待てば報われると信じて千年も見守って来たが、結局、無駄だったのだろうか。すると紅鸞(コウラン)が待つをやめてはどうかと訴えた。「ならお前は?」「…私は無理です」「そうだ、我らは後戻りできぬ」それでも紅鸞に悔いはなかった。展顔は独りで甘味処へ出かけた。机の上に端木翠が好きな人形を置いて待ってみたが、なかなか現れない。その時、急に人形が不自然に動いた。展顔は法術で姿を消した端木翠が側にいると気づき、山桃の蜜汁をもう1杯、頼んで巡回に戻る。(  ̄꒳ ̄)<さて今日は急がないからゆっくり行こうかな~すると端木翠は急いで蜜汁を飲み干し、慌てて展顔を追いかけた。展顔は端木翠の気配を感じながら巡回を始めた。すると偶然、縁談相手の李瓊香(リコウケイ)と出くわしてしまう。李瓊香は助けてもらったお礼に自分が織った生地を啓封(ケイホウ)府に届けたところだと話し、展顔に刺繍入りの手巾を贈った。実は江夫人に頼まれて作ったものだという。展顔は義母の注文ならと受け取ったが、後日、配下に銀子を届けさせるとあくまで他人行儀だった。密かに2人のやり取りを見ていた端木翠は李瓊香が本気で展顔に恋していると気づいた。そこで展顔をからかうのは止めて李瓊香について行ってみる。するとどうやら人間界では李瓊香のような女子が展顔にふさわしい令嬢だと知った。一方、黒衣の使者は九獄の長老に蓬莱図の断片を奪ったと報告していた。しかしこの断片は奇妙で、ある場所に行くと振動するという。実はバラバラになって人間界に落ちた蓬莱図は互いに反応するため、この特徴を利用して他の断片を見つけることができた。「その場所はどこだ?」「錦繍布荘(キンシュウフソウ)です」そこで長老はすぐ住人を調べるよう命じた。それにしてもあの温孤という上仙、幽王が人間との間に設けた王子ではないだろうか。驚いた使者は間髪入れず違うと否定したが、長老はもし生きていたら全て王子に託せたのに残念だと漏らした。翌日、端木翠は巡回中の展顔を見つけると、李瓊香を真似て淑やかに振る舞った。(´゚艸゚)∴ブッ!<いつまで保つかな?…あ、令嬢には手巾が必要だろう?展顔は端木翠を安心させるため、李瓊香がくれた手巾を渡した。しかし受け取った端木翠はその手巾から幽族の匂いを感じ取る。そこで2人は早速、錦繍布荘を訪ねた。錦繍布荘には幽族の気配がなかった。すると李瓊香が展顔のために仕立てた衣がある。嫉妬した端木翠は急に寒くなったと嘘をついて展顔用の衣を着ようとしたが、その衣から幽族の匂いを感じ取った。しかし怒った侍女・蕊児(ズイジ)に衣を奪い返され、その隙に幽族は衣から逃げ出してしまう。端木翠は李瓊香を疑い、半ば強引に機織り機を買い取って草盧へ帰った。しかし展顔は証拠もなく、みだりに善人を疑わないようたしなめる。すると温孤が自分は端木翠の直感を信じると援護した。「門主が怪しいと言うなら絶対に問題があるはず」「さすがは温孤、私の理解者ね…誰かさんとは違うわ(ボソッ」「私は直感で捜査はしない」すると温孤は互いに分かり合えないなら捜査協力はできないと断った。人間の李瓊香に負けたくないと何かと張り合う端木翠。一方、展顔との縁談が決まった李瓊香は夢見心地で展顔の房飾りを眺めていた。すると部屋に飾ってある桃の花から妖気が現れ、李瓊香に取り憑いてしまう。その頃、展顔は巡回に戻っていた。趙武(チョウブ)と張瓏(チョウロウ)は自分たちが夜番なので先に帰るよう勧めたが、展顔は構わないという。(*´・ω・)<こっちは細花流へ行く道だ…行く必要あるのか?あんた怖いんでしょう?>(・ω・`*)しかし展顔が急に道を変えた。細花流を避けた…>(*´・ω・)(・ω・`*)<門主と喧嘩か?その時、錦繍布荘から火が出たと叫ぶ声が聞こえた。翌朝、端木翠は錦繍布荘の奥で火事があり蕊児が死亡、李瓊香は啓封(ケイホウ)府にいると聞いた。温孤は要請がなければ動けないと言ったが、端木翠は展顔とのわだかまりがあっても出かけてしまう。「錦繍布荘が妙なのは本当なの、展顔がどうであれ幽族退治には行かなくちゃ」すると温孤は紅鸞(コウラン)の衣に穴があるのを見つけた。紅鸞は昨夜、料理中に焦がしてしまったと答えたが…。展顔は端木翠に誤解されないよう李瓊香を避けていた。しかし中庭でばったり李瓊香と会ってしまう。李瓊香は思わず駆け出して展顔に抱きつこうとしたが、その時、2人の間を割って入るように端木翠が地面から現れた。「どうしてここに?」「約束でしょう?啓封府を掃除するって?」端木翠は2人が接近しないよう邪魔しながら掃除を始めたが、急に李瓊香が手がかりを思い出したと言った。「凌霄紅(リョウショウコウ)が勝手に動き出し、程なくして私は気を失ったんだわ」すると展顔は端木翠を置いて李瓊香と一緒に錦繍布荘に出かけてしまう。展顔が店で待っていると、李瓊香が深紅の布を持ってやって来た。「これが凌霄紅よ…織り上げたらあなたとの婚礼衣装を作るわ、採寸するわね」李瓊香はどこか様子がおかしかったが、その時、端木翠が現れた。「お前が火をつけたのね!」すると李瓊香に取り憑いていた妖気が逃げ出し、李瓊香は急に倒れてしまう。展顔は端木翠が何かしたと誤解し、急いで李瓊香を病院へ連れて行った。黒衣の使者は蚕妖が蓬莱図の断片を持っていると気づき、その夜、錦繍布荘にやって来た。蚕妖は復讐のため凌霄紅を織り上げて法力を回復する必要があり、黒衣の使者から幽族の力を借りている。「蓬莱図の断片はどこ?…断片はお前の繭ね?私の蓬莱図が反応しなければ気づかなかったわ」「隠す気はなかった、ただ悲願を果たすまで渡せない」すると蚕妖は復讐さえ果たせば断片を渡すと約束した。展顔は先日、李瓊香が採寸しながら自分を殺そうとしていたことに気づいていた。そこで端木翠に一緒に凌霄紅の鑑賞会へ行って欲しいと頼む。実は検死では蕊児の喉から全く灰が発見されなかった。「つまり火事の前に死んでいたんだ…あの日は君に助けられた 君を信じるよ、ただ証拠がつかめていない」端木翠はすっかり機嫌を直し、男装して展顔と一緒に錦繍布荘へやって来た。本来は人混みを嫌う温孤だったが、李瓊香に手を焼いている端木翠を心配して同行する。すると鑑賞会に李瓊香が登場した。「この凌霄紅は父が15年前、私の婚礼衣装にと買った赤い生糸で織られたものです 凌霄紅は鮮やかな赤ですが染料は使っていません、希代の珍品です…ではご堪能ください」こうして徐々に帳がまくり上がり、凌霄紅の婚礼衣装が見え始めた。招待客たちはその美しい紅に感嘆の声を上げたが、やがてそれは悲鳴に変わる。実は凌霄紅の婚礼衣装をまとっていたのは李瓊香の父・李松柏(リショウハク)の遺体だった。「でぃぇええええーっ!」つづく( ๑≧ꇴ≦)何それ?!で、掃除うんぬんの話は蚊男の時の約束です
2022.11.16
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玉昭令 No Boundary Season 1第9話端木翠(ダンムーツェイ)と展顔(ヂャンイェン)の関係に気を揉む司法星君・楊鑑(ヨウカン)。そこで神獣の小天(ショウテン)を人間界に残し、展顔を端木翠に近づけるなと命じて蓬莱(ホウライ)へ帰った。小天は人間の衣を拝借して早速、監視を始めたが、呆気なく端木翠に見つかってしまう。端木翠は小天を懲らしめるため、ちょうど巡回中だった啓封(ケイホウ)府の趙武(チョウブ)と張瓏(チョウロウ)に李家から洗濯物を盗んだ子供がいると教えた。小天は危うく衣を盗んだ罪で連行されそうになったが、隙をついて逃げ出すことに成功する。しかし蓬莱の麒麟(キリン)が人間から屈辱を味わわされとあってはこのまま黙っていられない。そこで姻縁糸を使って展顔たちに仕返しした。すると展顔はなぜか鶏やあひるに付きまとわれ、追い払おうとした趙武と張瓏はぶつかった拍子に抱き合い、唇が差なってしまう。|´゚艸゚)ブッ!<天下の神獣を盗人呼ばわりしたからだぞ(  ̄꒳ ̄)<お前の仕業ね ヒイィィィ!!(゚ロ゚ノ)ノ<ダッ、ダンムー上仙端木翠は小天から姻縁糸を全て取り上げると、展顔に近づかないよう釘を刺して蓬莱へ帰した。趙武は責任を取って張瓏を娶ると決めた。「母から″女子と口づけしたら娶れ″と言われてる」しかし端木翠の話では月老が縁を結ばなければ娶れないという。実は鶏たちが展顔に懐いたのも、2人が口づけしてしまったのも、さっきの子供が姻縁糸でいたずらしたせいだった。展顔は姻縁糸が本当に存在すると知って驚いた。すると端木翠が急に展顔の背中に抱きつき、身体を調べ始める。「端木門主!ちょっ…人目が…」その時、端木翠は展顔の背中から赤い糸を見つけて引っ張り出した。「あった!ほら姻縁糸…月老がまだ結んでいないからほどけたのね」「・・・」実は人間がいくら月老に良縁を祈願しても意味はなかった。人間の良縁を定めるのは天であり、月老は姻縁簿に書かれた男女を糸で結んでいるだけの簡単な仕事だという。「姻縁糸は月光によって赤く照らし出される、その糸の先には運命の相手がいるの」「自分の姻縁を調べたことがあるのか?」「いいえ、神仙には姻縁がないから… あ、今度あなたの姻縁を調べてあげる、どんな女子がいいの?力になるわ」「う~ん…」展顔が真っ先に思い浮かんだのは端木翠だった。「微笑みを湛えた顔、颯爽とした姿、正義感にあふれ強情だが優しい… それから愛憎がはっきりしている」「展顔、それって私のこと?」展顔は照れ臭くて目をそらしたが、端木翠も悪い気はしなかった。小天は端木翠の監視に失敗して蓬莱に戻った。報告を聞いた楊鑑は端木翠の心が展顔に傾いていると気づき、早急に手を打とうと決める。そこで月老を訪ね、展顔の姻縁に手を加えるよう頼んだ。月老は掟を破れないと断ったが、楊鑑はかつて月老が西王母(セイオウボ)の酒を盗んで飲んだ後、酔って仕事をしていたとほのめかす。「分かりました!」月老廟は今日も妙齢の娘たちの参拝で賑わっていた。錦繍布荘(キンシュウフソウ)の長女・李瓊香(リケイコウ)も月老像に手を合わせ、早く良縁に恵まれるようにと祈っている。病弱だった李瓊香は地方で育ち、まだ先月、啓封に戻ったばかりだった。しかしその美しさから早速、縁談の申し込みが殺到している。すると月老は李瓊香の手首に姻縁糸を巻き、供え物の房飾りを受け取った。月老廟からの帰り道、李瓊香が乗った馬車は朱雀街で思いがけず展顔たちの捕物に巻き込まれた。すると驚いた馬が御者を振り落として疾走、しかし危ないところで展顔が馬を停めてくれる。「姑娘、大丈夫ですか?」「お助けくださり感謝します、」李瓊香は展顔に一目惚れ、上客だけに渡す店の佩玉を贈った。そんなある日、啓封府に続々と展顔への縁談話が持ち込まれた。なぜか令嬢たちは展顔でなければ嫁がないと言っているという。ちょうど端木翠と一緒に啓封府に戻った展顔は驚愕、自分の姻縁糸はほどけているはずだ。端木翠にも事情が分からなかったが、展顔の嫁選びなら自分が見定めなければならないと変な使命感に燃えた。展顔は江(コウ)夫人に結婚など考えていないと訴えた。しかし江夫人は姿絵を全て並べながら、展顔の令牌の房がないことに気づく。「一度も外したことなどないのに…さては誰かを見初めて贈ったの?」展顔は馬を食い止めた時に落としたと思い出したが、怒った端木翠に腕をつねられてしまう。「結婚する気はないって嘘だったのね?」「誤解だよ、令嬢たちに興味はないんだ」「だったら私が代わりに見てあげる」端木翠は令嬢の姿絵を見ながら、次々に欠点を指摘しては却下した。すると誰が見ても美しく非の打ち所がない令嬢の絵姿を見つける。端木翠は慌てて李瓊香の絵姿を隠そうとしたが、展顔は動揺する端木翠を見てからかいたくなった。(^ꇴ^)<待った!…お、なかなかの美人だ(# ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)<あ、そう、なら心ゆくまで見たら?…もう帰ります!展顔はうっかり端木翠を怒らせ、慌てて追いかけた。しかし端木翠はすっかりヘソを曲げ、李瓊香を娶ればいいと突き放す。「義母上には誤解だと説明するよ、そもそもよく知らない相手と夫婦にはなれぬ」「そうよね、じゃあ月老があなたに悪縁を結ばないよう私が目を光らせる」「あぁ〜私の婚姻は君に任せるよ」するとすっかり機嫌を直した端木翠は食事に行こうと誘った。医館で密かに療養していた温孤(オンコ)はようやく傷痕が消え、草盧(ソウロ)へ戻った。するとちょうど端木翠が紅鸞(コウラン)と涼亭でお茶を飲んでいる。聞けば端木翠は展顔の婚姻を任され、案じているというのだ。「それは江大人と夫人が決めることだ、細花流(サイカリュウ)には関係ない 人間の姻縁は天が決めるもので本人の意志は関係ない」しかし端木翠は酒好きの月老が酔った勢いで展顔に悪縁を結ぶかもしれないと心配になり、急に出かけてしまう。一方、月老は密かに占い師に成り済まし、ちょうど巡回中の展顔を呼び止めた。「待たれよ…公子、そなたの紅鸞星が動いた、近々、姻縁が訪れる 近頃、身近に特別な娘が現れていないか?…そなたの運命の相手だ」展顔は端木翠のことを思い浮かべ、喜んで銭を払った。しかし月老は金ならいらないと返し、その隙に李瓊香が供えた房飾りを展顔の腰に下げてしまう。月老が廟へ戻ると、ちょうど待ちくたびれた端木翠が月老像を壊す寸前だった。「端木上仙!ちょっと待った!(危なっ)で、今日は何用で?」「姻縁簿を見せて…見せないと酒瓶に変えるわよ?」仕方なく月老は掟を破って姻縁簿を渡した。すると展顔の相手があの絵姿の李瓊香だと知る。「なぜ李瓊香と?」端木翠に見つかった月老は慌てて姻縁簿を取り返し、逃げるように姿を消してしまう。展顔と李瓊香は天が定めた良縁だった。2人の縁談話はとんとん拍子に進み、焦った展顔は義母に李瓊香を娶る気はないと訴える。実は江夫人は展顔が絵姿を見て美人だと誉めていたため、すぐ李家を訪ねていた。すると李瓊香が展顔の房飾りを持っていたという。「それに…あら、それは李姑娘の蝶の飾りでしょう?やはり慕い合ってるのね」展顔の腰にはなぜか身に覚えのない蝶の飾りがついていた。「義母上、とにかく娶る気はありません」その夜、端木翠は啓封府に侵入し、李瓊香の資料を調べた。すると李瓊香は美しいだけでなく琴棋書画にも精通し、欠点など見つからない。その時、展顔が気配を感じて書庫にやって来た。端木翠は慌てて姿を消したが、うっかり折本を落としてしまう。…展顔と李瓊香は本当に運命の相手なのかしら?…展顔は落ちていた折本を棚に戻したが、床に小さな飾りが落ちているのを見つけた。翌朝、端木翠は食事も取らず、様子がおかしかった。何があったのか分からず困惑する温孤と紅鸞、すると信蝶(シンチョウ)が現れ、展顔の声が聞こえる。「端木、いないのか?」「いないわ!」「端木、乾坤袋のかけらが啓封府に落ちていたぞ?用事があって来たのだろう?」「資料を探しただけよ、あなたを訪ねたわけじゃない…忙しいの、あなたに会う暇なんかないわ」展顔は端木翠がやきもちを焼いて拗ねていると分かった。「残念だな~朱雀通りに甘味処ができた、端木門主とご一緒できないなんて」すると展顔は上官策(ジョウカンサク)が来たので蝶を隠した。つづく(  ̄꒳ ̄)ちょっとどうでもいい話?でも展顔が端木の手を取って逃げ出すシーン、何度もリピしちゃうのよね(๑´ω`๑)
2022.11.15
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第39話「奇跡の雨」飢饉に見舞われた西南。西平(セイヘイ)港刺史・劉昌平(リュウショウヘイ)は朝廷に援助を上奏していたが、なぜか食糧ではなく斛珠(コクジュ)夫人がやって来た。西平港商会会長・百里塬(ヒャクリゲン)は女子に救済役など務まらないと高を括っていたが、淳容(ジュンヨウ)妃方(ホウ)氏と言えば前左菩敦(サホトン)王を仕留めた凄腕、劉昌平は見抜かれやしないかと気を引き締める。すると海市(ハイシー)は早速、百里塬の自尊心をくすぐった。「″百里″とは宛州南淮(エンシュウナンワイ)の百里氏か?」「さようです、よくご存知で…ですが百里氏は衰退し、今ではその話をする者もおりません」「方氏も百里氏も名門ゆえ当然、知っている、かつて先祖たちは交流もあっただろう」おだてられた百里塬は上機嫌だったが、劉昌平はやはり侮れない相手だと警戒した。一方、方鑑明(ホウカンメイ)は鮫珠のおかげで小康状態となった。しかし鮫珠で血毒を取り除いても大本を絶てたわけでないと分かっている。すると鑑明は早速、皇帝に謁見し、淳容妃の出発はいつだったのか聞いた。( ー̀ωー́ )<…チッ、誰から聞いた?!( ತ _ತ)<陛下が昏睡中の私に…(; ̄▽ ̄)<朕か…褚仲旭(チョチュウキョク)は海市自ら救済の任を努めたいと申し出たと釈明した。「方海市は籠の鳥ではない、翼を広げて飛んでこそ幸せになれるのだ… 心配なのは分かる、だが生涯、守り続けられるわけではない 鑑明…お前にも手放すべきことがある」その夜、駅間でささやかながら歓迎の宴が開かれ、斛珠夫人は気分良く部屋へ戻った。百里塬はやはり夫人は張子の虎だったと安堵し、名門出身の深窓の麗人が被災民を本当に気にかけるはずがないという。どうやら用意していた偽の公文書さえ出番がないようだ。「片付けますか…決めた通りに進めればいかようにも対処できます」しかし劉昌平はどこか懐疑的だった。海市は酔ったふりをして部屋へ入ると、急にしらふに戻った。どうやら刺史たちは何か隠している様子、そこで早速、偵察に出かけることにする。玉苒(ギョクゼン)は指示通り夫人の服を着せた張り子を座らせ、窓辺に常に影を映して居留守を使うことにした。「覚えておいて、干ばつに苦しむ西平港のため私は部屋で雨乞いをする 雨が降るまで一歩も外へは出ないとね」夜の炊き出し所。被災民たちはここで水のような粥だけもらい、なぜか街を追い出されていた。海市は状況を探るため被災民たちをつけて行くと、実は被災民たちは斛珠夫人が去るまで山の窪地で過ごさねばならないという。「以前は2つの市場に炊き出し所があって朝晩の粥には飼料も混ざっていたけど生きられた 倉の白米は数月前まだ平穏だった頃に劉昌平が船団の頭領に売ったわ、倉に残ったのは飼料だけ 龍尾神の使者・斛珠夫人が運んできたのは食糧ではなく厄介ごとだけよ 劉昌平と商会は事実を知られることを恐れ、残り少ない米を穀物倉庫へ入れた 体裁上、臓物の汁を粥に変えたけど、数が足りないから私たちを追い出しているの」翌朝、劉昌平は駅館に斛珠夫人を訪ね、劇団を手配するので観劇してはどうかと勧めた。しかし玉苒は夫人が雨乞いの祈祷に専念するため部屋から出られないという。劉昌平はならば食事を届けると食い下がったが、その時、殿内から声が聞こえた。「劉大人、心遣いに感謝する、だが留まられては気が散る」「では何なりとお申し付けください、失礼いたします」劉昌平は引き下がったが、夫人の声が違うと気づいていた。駅館に戻った海市は大徴軍からの鳥文に目を通した。すると食糧を乗せた船がまだ越州を出港していないという。商会は荒波で船を出せないと言っているとか、しかしこの季節の波は高くないはずだ。「故意に引き延ばしているのね」一方、刺史府では劉昌平と百里塬が密偵の報告を聞いていた。斛珠夫人は確かに駅館の部屋にこもっているという。2人はひとまず安堵したが、百里塬はこのまま越州から食糧が届かなければ当地の白米はもたないと焦った。「…夫人は雨を降らせると自らおっしゃった、ならば我らはそれを利用しましょう」玉苒は越州に鳥文を放った。「この知らせが届けば船は出ますか?」「待たねば…」なぜか夫人は雨が降るのを待つという。その頃、食糧の到着が遅れていると聞いた方鑑明は再び皇帝に救援への派遣を嘆願していた。このままでは暴動に発展するのは必至、この機を利用して海市の命を狙う者が現れる可能性がある。「死んでも他の者には任せられません!」しかし褚仲旭は方海市なら対処できると信じ、むしろ鑑明の身体の方が心配だと反対した。すると鑑明は拝跪し、海市の無事を見届けなければ死んでも死にきれないと訴える。褚仲旭は鑑明の決意が変わらないとあきらめ、せめて鮫珠の薬を持って行けと言った。褚季昶(チョキチョウ)は方鑑明が出立したと聞いた。方向から察するに西平港だという。「私の策を見抜くとは賢い、しかし残念だ〜西南は遠すぎる、方海市を救たくても手遅れだ」被災民たちは時間になると炊き出しに集まった。そこで兵士は斛珠夫人が来ても食糧は届かず、雨乞いと言って炊き出しに顔も出さないと触れ回る。こうして被災民の怒りの矛先は斛珠夫人へ向かった。そこで劉昌平と百里塬は官吏たちと駅館を訪ね、夫人の安全のためにも西平港を離れた方がいいと説得する。しかしその時、暗雲が垂れ込め、雷鳴と共に雨が降り出した。「何とか間に合ったわ…船はすでに越州を出港した、食糧は3日以内に到着するでしょう 明日からは町を見ます、そうだ、劉大人、食糧が足りるなら被災民を戻してはどうかしら?」「直ちに手配します」やはり夫人は只者ではなかった。一方、方鑑明は道中で海市の動向を知った。食糧は斛珠夫人の命で大徴軍が護送、すでに越州を出港したという。また西平港では大雨が降り、暴動どころか斛珠夫人は被災民から本当に龍尾神の使いだと崇められていた。玉苒はなぜ夫人が雨を降らせることができたのか不思議だった。すると海市は駅館に到着した時、中庭で″風雨花″と呼ばれる赤い花を見つけたという。故郷で良く見るこの花は湿気に敏感とされ、急に花を咲かせた時は7日以内に必ず雨が降った。「到着した日にはもう十分に開いていたわ」確かに南方の形勢は複雑だが、多くの人々が龍尾神を信仰していた。海市はその信仰心を利用し、雨乞いが成功すれば必ず自分に畏敬の念を抱くと考えたという。そこで越州に潜入していた大徴軍に″西平港で雨が降ったら食糧を運ぶ船を掌握せよ″と命じていた。もし失敗した場合は巡回の印で脅すつもりだったが、血を流さず済んだのは運が良い。玉苒はここで初めて夫人が巡回の印を大徴軍の首領に預けていたと知った。「夫人は思慮深く機知に富み、男なら将軍か宰相の器です」「ふっ、それより食糧が到着する前に西平港の虫けらを退治しなくては…」斛珠夫人が官吏たちを引き連れ居北倉の視察にやって来た。被災民たちは夫人の姿に驚き、何事かと集まり始める。すると倉にはわずかだが確かに白米があった。劉昌平と百里塬は胸を撫で下ろしたが、その時、海市の号令で大徴軍が現れる。大徴軍は朝から軍営に出かけ兵糧を回収、しかしその中身は全て飼料に取り替えられていた。海市は民を蔑ろにして西平港を苦境に立たせた劉昌平と百里塬を弾劾、さらし首にするよう命じる。驚いた百里塬は全て自分の考えだったと認め、劉昌平は無関係だとかばった。「1斤の白米を飼料に替えれば10斤です! 数ヶ月前にはすでに干ばつの件を上奏しました だが奏状は陛下まで届かず、越州からの食糧も来ない! 海は季節の強風が吹き荒れ、瀚(カン)州への商船は出航しても食糧を運ぶ船は来ません 劉大人は倉の食糧を売るしかなかった、その銭で飼料を買いました だから今日まで皆、生きてこられたのです!」全てを知った被災民たちは劉昌平と百里塬を許して欲しいと訴えた。海市は善悪を一面からでは判断できないと話し、良心に恥じることがなければ生きられるという。「必ず公正に判断しましょう」すると再び恵みの雨が降り始めた。海市が手のひらをかざすと、龍尾神が与えた印が光る。被災民たちは海市が確かに神の使いだと感激し、その場で平伏し崇めた。その様子を見ていた方鑑明は形勢が安定したと知り、海市に会わず、陰で見守ると決める。つづく( ๑≧ꇴ≦)師父、なぜねずみ男にw
2022.11.13
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第38話「宿命への挑戦」執拗に方海市(ホウハイシー)の命を狙う皇弟・褚季昶(チョキチョウ)。しかし海市が淳容(ジュンヨウ)妃に封じられ、簡単に手を出せなくなった。それにしてもいくら方海市を守るためとは言え、龍尾神の使者に祭り上げるとは方鑑明(ホウカンメイ)にも恐れ入る。そこで褚季昶はこれを逆手に取り、海市を誘き出すことにした。西南は年初の大干ばつにより作物が不作だった。各州府は秋の収穫まで倉を開け救済していたが、結局、稲が育たず不作が続き、冬に入り被災民が流浪しているという。西南の民は龍尾神への信仰が深く、飢饉は龍尾神の怒りに触れた罰ではないかと噂が広まっていた。すると昶王の息のかかった大臣が朝議で淳容妃を派遣して民の不安をなだめて欲しいと嘆願する。言い伝えによれば龍尾神の使者が西平港(セイヘイコウ)で祭祀を行えば状況を回復させられるというのだ。当然、皇帝も清海公(セイカイコウ)も反対したが、大臣たちからの上奏文が途絶えることはなかった。海市が寝殿に戻ると侍女・玉苒(ギョクゼン)が魚の粥を運んで来たところだった。「魚?…誰が作らせたの?」「清海公から淳容妃の好物を書いた紙が届きました」「…お腹は空いていないの、下げて」すると海市は小六(ショウロク)から届いた報告を見るなり、柏木か柏木製の器を探すよう頼んだ。旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は方鑑明が安心して静養できるよう国庫の財貨を放出して援助すると決めた。それでも鑑明はこれが最後の仕事だと覚悟し、西平港へ行きたいという。褚仲旭は生きることが情義だと言い聞かせたが、そこへ玉苒が現れた。「陛下、すぐ淳容妃のところへ…」すると真っ先に鑑明が飛び出した。庭園にいた海市は皇帝と師匠が来たと気づき、慌てて手を隠した。しかし柏木には海市の血が流れている。海市は自傷ではないと否定して下がろうとしたが、急にめまいを起こした。玉苒の話では淳容妃は食事を取っていないため、そこに今の流血がたたったのだという。方鑑明は海市を抱き上げ、鳳梧(ホウゴ)宮へ連れ帰った。恐らく″柏奚(ハクケイ)″を解く方法を探していたのだろう。鑑明は海市の傷の手当てをしながら、もう探すなと止めた。「私のすることに清海公は関係ない」海市は何も教えてくれない師匠に冷たく当たったが、鑑明は海市が知っているのは表面的なことだけだという。「柏奚を解けるのは流觴(リュウショウ)方氏の血を継ぐ者だけだ」方鑑明は昭明宮に戻った。しかし中院で急に激しく喀血、そのまま昏睡してしまう。…グハッ!方鑑明、お前に残された時間は長くない…一方、褚仲旭は未生花(ビセイカ)の解毒方法を求め、各州府に医典を探させていた。するとかつて注輦(チュウレン)が紛失した医典が半冊だけとは言え瀾(ラン)州で発見される。淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)は運が良いと喜んだが、褚仲旭は解毒法を見つけるまで安心できなかった。その時、穆徳慶(ボクトクケイ)が駆けつける。清海公が危篤だというのだ。驚いた褚仲旭は藁にもすがる思いで、皇帝のために保管された霊薬・応龍角を使うよう命じる。そのおかげで鑑明は命をつなぎ止めたが、あくまで一時しのぎに過ぎなかった。海市は流觴方氏について調べ始めた。方氏に関する文献によれば師匠を除く清海公52代のうち先代・方之翊(ホウシヨク)を含めて17名が皇帝より後に死去している。しかしどの書にも詳細は記されておらず、依然、柏奚の解明はできなかった。…まさか本人以外は解くことができないと?…一方、褚仲旭は方鑑明が安定したと分かり、誰かに察知されないよう昭明宮を訪ねないと決めた。翌朝、海市はさらなる情報を求め、自ら蔵書閣へ行くことにした。すると寝宮の前で女官が泣いている声が聞こえる。海市は念のため様子を見に行ってみると、女官は母と妹を助けて欲しいと懇願した。聞けば父と兄は餓死、今回の飢饉は西南の海を埋めて堤防を造り龍尾神を怒らせたせいで、龍尾神の使いである淳容妃が祈れば鎮められると噂になっているという。海市は皇帝に謁見し、西平港の救済に行きたいと嘆願した。しかし今の西南は危険この上なく、万が一、民が蜂起すれば2度と戻れなくなる。褚仲旭は複雑な状況だと知りながら自薦するのかと驚き、見込みがあるのか聞いた。「見込みは3割ほど、西平港に行って調査すれば5割になります」海市は大徴と民のために危険を冒せることが自分の存在価値だと訴えた。すると褚仲旭はついに決断、海市に勅命を下す。「この巡天の印を持てばお前は朕の代わりだ…直ちに西平港へ行き、救済せよ」海市は巡天の印を受け取り、その足で昭明宮に向かった。驚いた陳哨子(チンショウシ)は清海公なら留守だと嘘をついたが、淳容妃の要件が別だと分かって安堵する。「人手を派遣し援助をお願い…あの人には私が来たことを言わなくて良いわ」褚季昶の思惑通り淳容妃が西南に向かうことになった。西南は被災民があふれており、龍尾神の使いが嘘だと暴かれれば死ぬことになるだろう。それにしてもこの数日、方鑑明は朝議を欠席し、顔も見ていない。すると執事がもしや傷病のため隠れたのではと疑い、早速、少府監の主事・施霖(シリン)に探らせると言った。褚季昶は半信半疑ながら、本当に方鑑明が傷病で姿を見せられないなら方海市は孤立無縁となり、ますます面白い芝居が見られそうだという。海市は方鑑明の危篤を知らぬまま出発の日を迎えた。皇帝や朝臣たちは淳容妃を盛大に見送ったが、そこに師匠の姿はない。一方、方鑑明は5日経っても意識が戻らず、褚仲旭は不安を募らせた。しかし思いがけず緹蘭が医典から解毒の手がかりを見つける。それはいかなる毒にあたっても龍尾神のご加護があれば治るという記述だった。褚仲旭は伝説に過ぎないと肩を落としたが、緹蘭はあながち嘘ではないという。実は雷州には龍尾神の毛と血と鱗は薬となって人を救うという逸話があった。「…ならば鮫珠でもいいのか?!」「鮫珠?…陛下、鮫珠は龍尾神の涙、きっと救えます!」褚仲旭は医官院に命じて鮫珠の薬を作り、自ら方鑑明に飲ませた。「鑑明、方海市は西南へ行った、お前がこのまま手を離したら永遠に会えなくなるぞ? …方海市のためにも早く目を覚ますのだ」しかし鑑明は再び激しく喀血してしまう。驚いた褚仲旭は慌てて侍医に診せたが、実は鑑明は鮫珠のおかげで毒素を排出していた。淳容妃の一行は間も無く西平港へ到着しようとしていた。確かに西南は飢餓に苦しむ民たちであふれていたが、偵察によると城内の人は減っておらず、逆に集まっているという。「倉を開けて救済しているからかしら?」しかし玉苒は西平港刺史・劉昌平(リュウショウヘイ)が幾月前に食糧の援助を上奏して来たはずだと言った。かつて淑容妃が嫁いできた際に西平港を訪ねた海市、当時の刺史は陳赫然(チンカクゼン)で西平港は活気にあふれていたが、新任者は一体、何者なのだろうか。つづく( ๑≧ꇴ≦)いよいよヤンミー社長のターン!
2022.11.11
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风起陇西(ふうきろうせい)第十六計「手に順(シタガ)いて羊を牽(ヒ)く」驃騎(ヒョウキ)将軍・李厳(リゲン)は燭龍(ショクリュウ)の件の報告で成都(セイト)へ戻ることになった。馮膺(フウヨウ)は幕府に妓女が入り浸りでは外聞が悪いため、孫令(ソンレイ)に将軍が帰って来るまでに屋敷を見繕っておくよう頼む。すると孫令は高堂秉(コウドウヘイ)の裏切りが姐夫にとって不利なのか聞いた。馮膺は当然、危ういと認め、楊儀(ヨウギ)が庶民に落とされた今、自分以外に責任を負える者がいないという。「役人は人情で動かぬ、利害関係が全てだ、上官の利害と一致して初めて安然が保証される 分かったか?」丞相・諸葛亮(ショカツリョウ)が再び北伐に向けて動き出した。恐らく燭龍が捕まったことで懸念が払拭できたと思ったのだろう。李厳は皇帝が支持するかどうか分からなかったが、丞相たちは馮膺の処分を考えているはずだ。すると陳恭が挨拶に来たと知らせが届く。李厳はすぐ通すよう命じ、弟子との再会を喜んだ。李厳は陳恭の功績を称賛し、司聞曹に人材がなく困っていたと話した。しかも軍謀司(グンボウシ)の司尉(シイ)が燭龍だったとなれば残党がいても不思議ではない。そこで陳恭は自分が戻った以上は徹底的に調べると安心させた。実は李厳はすでに馮膺に陳恭を李邈(リバク)の後任にするよう話をしたという。一方、諸葛亮は朝議を前に北伐について諸公との会合を終えていた。すると参軍の蒋琬(ショウエン)が楊儀を復職させるべきだと進言する。「長年、丞相のために尽くし、働いてきた忠臣、曹魏との戦いを前に暇を出しておくのは惜しいかと」李厳は諸葛亮が朝議を開くため臨時の招集で成都に出かけると話した。恐らく2度目の北伐の話だろう。そこで陳恭に丞相の北伐についての意見を聞いた。陳恭は丞相が北伐にこだわるなら譲歩してはどうかと進言する。「独断で突き進めば丞相は自滅します…先帝の遺言を?」「もちろん忘れもせぬ」先帝は諸葛亮の才を高く買い、″君には曹丕(ソウヒ)の10倍の才がある、劉禅(リュウゼン)が補佐するに値するなら助け、不可なら国を奪え″と言った。「″国を奪え″に殺意が見えますが…」「(はっ)…しばらく会わないうちに成長したな」荀詡がついに高堂秉の牢へやって来た。ようやく高堂秉は自分が原因で荀詡が拷問を受け、しかも五仙道に密告した密偵の女が荀詡の表妹であり白帝の妻だと知る。「…お前まで巻き込むつもりはなかった」しかしこれが諜報であり、もし主が同じなら今も仲間だったはずだ。荀詡は確かに翟悦(テキエツ)が惨殺され、自分の脚が動かないのも″仲間″である高堂秉のせいだと激高、思わず松葉杖に八つ当たりしてしまう。もはや何も言い返せない高堂秉、すると荀詡は怒りと悲しみをこらえ、裴緒(ハイショ)に調書を取るよう合図した。高堂秉は軍技司の夜回りが使う合言葉を黄預に教えたと認めた。また暗号解読用の木版は間抜けな孫令を利用して手に入れたという。当時、有事の際は孫令が木版を持ち出し、12人の白毦(ハクジ)兵が護送する決まりだった。道中では手が出せないことから全く同じ箱を用意し、孫令が出かける前に偽物とすり替えたという。高堂秉は急いで木版の型を取り、孫令が目的地に着いた後に本物を戻していた。すると荀詡は曹魏との連絡方法を尋ねる。「司聞曹の軍機の伝達経路を使った、赤帝(セキテイ)という密偵をでっちあげたんだ」高堂秉はうっかり口を滑らせた。「…いつ谷正(コクセイ)の存在を知ったんだ?」それまで流暢だった高堂秉は表情が硬くなり、質問を変えろという。「時間をやる、良く考えるんだな」荀詡はひとまず帰ることにしたが、高堂秉が呼び止めた。「2つ条件がある、陛下に免罪の割り札を賜り、私を赦免すること…そして2度と追って来るな」しかし荀詡は何も言わず行ってしまう。一方、司聞曹に戻った陳恭は馮膺を訪ねた。馮膺は高堂秉の件で責を負う覚悟だと話し、心血を注いで育ててきた司聞曹を陳恭に任せたいという。そこで陳恭にまず西曹掾の令牌を渡し、先を見据えて曹魏に反撃したいと言った。「その前に目標を明確にしよう、諜報の対象は2つ、1つは曹魏でもう1つは国内だ」実は第二次北伐について丞相が朝議を開くため、街亭の時のような失敗は2度と犯せないという。しかし外勤だった陳恭なら対外諜報を熟知しているため、司聞司を率いるよう命じた。馮膺は孫令に陳恭から要望があれば聞くよう助言した。孫令は姐夫が育てた陳恭なら身内も同然だと了承したが、実は陳恭は李厳の内弟子、後ろ盾が大きいからだという。「あ?…じゃあ、私たちの仲間ではないと?」「とにかく私の言う通りにやれ」馮膺は自分がいなくなったあとの孫令を心配したが、何よりこれは自分の命を守るためでもあった。紫煙閣(シエンカク)の柳瑩(リュウエイ)は新しい客をもてなすことになった。「どのような遊びがお好みですか?…琴や簫はどうです?」「高尚な趣味がなくてな」「紫煙閣の掟をご存じないのでしょう、他の遊び方もありますが、急いてはいけません」すると陳恭は懐から笛頭部を出して渡した。柳瑩は笛頭部を確認、自分の竹笛の本体にはめてみるとぴったり合う。「″神亀は命流し時期を待つな″」「″騰蛇(トウダ)は飛翔し天地のごとく輝く″」「…お待ちしておりました」一方、雍(ヨウ)州の叔父に呼び戻された郭剛(カクゴウ)は意気消沈していた。(´・_・`)<叔父…私は陳恭が生きていることも何も知りませんでしたすると郭淮(カクワイ)は郭剛の軽率な行動なら読み通りだったと話し、失敗から学べば良いと励ました。「荷をまとめよ、天水に戻るぞ」しかし郭剛は罪を償うまで復職はできないと令牌を返してしまう。「青萍(セイヒョウ)計画が仕上げに入った」実は青萍計画の本当の目的は連弩(レンド)の設計図ではなく、曹魏の手の者を敵の上層部に送り込むことだった。燭龍が司聞曹の曹掾になれば軍事機密をもれなく入手できる。「良く分かりません…高堂秉は捕まったのでは?」「″燭龍″は秘匿名だ、捕まった瞬間から高堂秉は燭龍ではない」郭淮は高堂秉が真の燭龍を育てる踏み台に過ぎないと教えた。「では新しい燭龍とは一体…」いよいよ諸葛亮の朝議が始まった。皇帝は北伐を続ける必要性を感じていなかったが、諸葛亮は先帝の意志を継いで打って出るべきだと上奏、蜀漢と東呉を相手に曹魏が疲弊している今こそ好機だという。しかし李厳は反対、ならば東呉の戦で亡くなった先帝の敵を討つため、東呉を討つべきだと訴えた。諸葛亮は東呉と決裂すれば曹魏に侵攻の隙を与えてしまうと指摘し、そうなれば漢中を明け渡すことになるという。「陛下、漢中に入り多くの臣下を失いました… また数年経ち、3分の2の兵力を失えばもう戦えません!蜀漢は曹魏を討つ機を失います!」すると皇帝はもっともだと納得した。つづく(  ̄꒳ ̄)なるほど~で最後にもう1回どんでん返しが来るか?
2022.11.10
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风起陇西(ふうきろうせい)第十五計「東に声して西を撃つ」高堂秉(コウドウヘイ)は古澗(コカン)渓へ到着、約束通り樟(クスノキ)で連弩(レンド)の設計図を見つけた。しかし筒の中は空っぽ、その時、突然、男が現れ、右胸を刺されてしまう。「設計図は私の手にある…やっと会えたな」「ゥ…あなたは?」「白帝(ハクテイ)だ…お前には生き地獄を味わってもらう」陳恭(チンキョウ)は手始めに傷口に指をねじ込むと、高堂秉は激痛のあまり悲鳴を上げた。馮膺(フウヨウ)はようやく司聞曹(シブンソウ)へ戻った。すると門の前で待っていた陰輯(インシュウ)が連弩の設計図が奪われたと報告する。しかも荀詡(ジュンク)が自分の官印がある通行証を手に軍技司(グンギシ)に忍び込み、譙峻(ショウシュン)校尉に捕まっていた。驚いた馮膺は荀詡の引き渡しを頼むため急ぎ照会状を書くことにしたが、役所で予想外の人物と再会する。「白帝?!」「曹掾(ソウエン)…設計図は私が」一方、定軍(テイグン)山では荀詡が拷問を受けていた。孫令(ソンレイ)は直ちに荀詡を司聞曹へ戻すよう掛け合ったが、自分の命が掛かっている譙峻が認めない。そこへ馮膺たちが到着したと報告が来た。譙峻は馮膺の頼みでも荀詡を解放するつもりはなかった。しかし思いがけず設計図が戻って来る。馮膺の話では曹魏(ソウギ)の間諜・燭龍が軍の指揮系統に潜入、荀詡たちのおかげで捕まえたという。こうして荀詡は解放されることになったが、なぜかなかなか牢から現れなかった。痺れを切らした陳恭は強引に中へ入ると、血まみれになった荀詡が倒れている。「おい!起きろ!燭龍を捕まえたぞ!」「…良かった…お前が戻るまで耐えられないかと…」すると荀詡は再び意識を失った。陳恭と荀詡は街亭(ガイテイ)の真相を明らかにするため一計を案じていた。そこで陳恭は青萍(セイヒョウ)計画の実行役として五仙道に潜入、設計図を受け取りに来た燭龍を捕らえたという。すると高堂秉の屋敷から複製した白帝専用の木版が見つかった。馮膺は入手経路を聞いたが高堂秉は依然、口を割らず、何でも荀詡でなければ証言しないという。しかし荀詡は動くこともままならなかった。胸を痛めた馮膺は孫令から荀詡の偽造した通行証の扱いを聞かれたが、自分が渡したことにする。「燃やしてくれ」陳恭は荀詡の家を訪ねた。するとちょうど裴緒(ハイショ)が華佗(カダ)唯一の後継者である華医者を見送りに出て来る。裴緒は荀詡の意識が戻ったと報告したが、医者は全快するかは運次第だと言って帰った。実は荀詡は拷問で経路が傷つくほど足を打たれており、ゆっくり歩けるまでには戻れるという。陳恭の顔を見た荀詡は笑顔になった。それにしても陳恭の次に親しかった高堂秉が燭龍だったとは、人間とは分からないものだと嘆く。「お前が尋問に来るまでしゃべらないと言っている」「混乱している、考えを整理しないと…ところで曹掾から官職の褒美は?」「何も…祝宴を開く話も断った」陳恭はそれより気がかりを片付けたいと言ったが、これ以上、荀詡に打撃を与えるわけにいかない。しかし荀詡は陳恭にとってもっとの気がかりなのは翟悦(テキエツ)だと分かった。「まさか…悦児の身に何か?」「…ああ」「なぜ露見した?!」「お前と会っているのを高堂秉が見ていた、あいつが五仙道に警告したんだ」荀詡はたった1人の親族を、しかも自分のせいで失ったと聞いて全身を震わせながら泣いた。「お前は悪くない…迎えに行って来る、必ず会わせてやるから、まず身体を治せ」。゚(∩ω∩`)゚。狐忠(コチュウ)は李厳(リゲン)に白帝が街亭の事案の真相を暴いたと報告していた。幼い頃に両親を失った陳恭を引き取り、親代わりでもあった李厳は内弟子の功績に鼻が高い。かつて皇帝に陳恭を推挙しようとしたが、陳恭は退屈な役人が嫌で書き置きを残し、姿を消していた。まさかよりによって司聞曹に入って曹魏に潜入していたとは思いもよらず、何年も連絡がなかったのも頷ける。一方、庶民に降格となった楊儀(ヨウギ)は丞相の言い付け通り読書に明け暮れていた。しかし何とも落ち着かず、身が入らない。すると諸葛亮(ショカツリョウ)が現れ、燭龍の件が解決したと教えた。「白帝は裏切っていなかった、荀詡と協力して燭龍を捕らえたそうだ 捕まったのは高堂秉、白帝の情報をすり替えていた、証拠もある」「そんな簡単に解決する事案でしょうか?」楊儀は長年、競ってきた曹魏の諜報は慎重かつ智謀に富むため、まだ何か裏があると疑った。荀詡は翟悦が命を懸けて手に入れた情報を解読した。五仙道と燭龍が交わしていた暗号文は軍技司が夜回りで使う合言葉の番号だったという。曹掾の決める変更順を通達するのは軍謀司、裴緒はやはり高堂秉に間違いないと言った。「高堂秉に…会いたい…」李厳は陳恭の生還を知り感慨深かった。実は陳恭の父・陳黻(チンフツ)は資中(シチュウ)県での謀反で李厳の影武者となって李厳を成都に逃し、戦死している。「あれから10年、今でも悔やまれてならない」しかし陳恭は父が国に殉じたということ以外、詳しいことは知らないはずだった。その日、南鄭は激しい雨になった。陳恭は翟悦の亡骸と一緒に城門に到着、すると松葉杖をついた荀詡が表妹を出迎える。その様子を密かに柳瑩(リュウエイ)が見ていた。陳恭と荀詡は見晴らしの良い山に翟悦を埋葬し、屋敷に戻って位牌を置いた。すると陳恭は翟悦がくれた宝剣を見せ、いきなり自分の左手の小指を切り落としてしまう。驚いた荀詡と裴緒は慌てて陳恭の指を止血した。「この剣で黄預(コウヨ)を殺し、この指を一緒に埋葬する…」間諜が迎える最期などろくでもないと割り切っていたが、まさか己の手で愛する妻を送ることになるとは思いもよらなかった。荀詡はまだ高堂秉に会っていなかった。頭が切れる高堂秉から証言を引き出すには準備がいるという。すると荀詡は陳恭に黒幕がいると言い出した。「谷正(コクセイ)を覚えているか?燭龍が陰輯だったなら納得がいく、しかし高堂秉とは…」谷正と接点があるのは司聞司、軍謀司の高堂秉が谷正を知るはずもなく、谷正も軍謀司の司令を受けるはずがない。「陰輯も仲間だと?」「いいや…馮曹掾だ」しかし陳恭は馮膺が曹魏の間諜なら自分と翟悦の正体はとうに暴かれていたはずだと否定した。荀詡も当初は疑っていなかったが、疑念が湧いたのは李厳に近づいてからだという。「燭龍の正体を知っていた上で謀略のために泳がせたのかも…」「つまり曹掾は間諜ではないが、間諜を使って曹魏と取り引きしたと?」「そうだ、証拠はある」五仙道からの押収品を見た荀詡は黄預を平南将軍に封じる書状を書いたのは誰か聞いた。陳恭は郭淮(カクワイ)が起草し、曹叡(ソウエイ)自ら署名したと教える。「やはりな、去年、郭淮の字を曹掾の机の上で見た」荀詡は以前、馮膺に陽平閣からの検問依頼書を届けた時、床に落ちていた文を拾って机に戻したことがあった。「白帝の木版を高堂秉が持っていた、分かりやすい証拠が出ればそちらに目が向く これで馮曹掾の思うままだ」野心のある馮膺が権力を得るため曹魏と結託したと疑う荀詡、一方、陳恭は指が痛むのか落ち着きがなく苛立っていた。「確かな証拠が見つかるまで、今の話は誰にもするな」つづく(  ̄꒳ ̄)おう?まだ折り返し地点で燭龍の敗北宣言ですかこれはやはり・・・
2022.11.10
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玉昭令 No Boundary Season 1第8話蚊女は双子を連れて林の中へ逃げた。我が子を怪物に育ててしまった自責の念に駆られる蚊女、しかし双子たちは再び血を求めて出かけようとする。蚊女は双子を引き止めたが、その時、展顔(ヂャンイェン)の放った巨闕(キョケツ)が双子の触角を切り落とした。激怒した双子は展顔に向かって飛び出したが、端木翠(ダンムーツェイ)が蚊の天敵である崑崙蜘蛛(クモ)の巣を使って捕縛することに成功する。蚊女は涙ながらに命乞いし、まだ分別のない子供だと訴えた。しかし人間の血の味を覚えたら最後、端木翠は幽族の使者とどんな取り引きをしたのかは知らないが、見逃すことはできないという。「今ここで禍根を絶たないと…」端木翠は双子に三昧真火(サンマイシンカ)を放った。驚いた蚊女は子供たちに駆け寄って覆いかぶさり、夫婦で犯した罪を自分が償うという。端木翠は母の強い愛情を目の当たりにし、燃え盛る母子から真火を消した。その時、蚊の母子から邪気が消え去り、3人は穏やかな笑顔で消散して行く。展顔はうつむいた端木翠が泣いていることに気づき、黙って手巾を差し出した。「…ちょっと砂が目に入っただけよ」「嘘が下手だな」展顔は端木翠がどんな経験をして来たのか知る由もなかったが、今の端木翠はもう独りではないとなぐさめた。すると端木翠は展顔の背中を借り、泣き顔を隠す。「泣いてもいいんだ、我慢するな」「…でも目が腫れちゃうから」「三界一の美貌を誇る上仙なら、目が腫れても美しいだろう? それに君は蚊男を倒して啓封を救った英雄だ」「英雄なんて興味はない、ただ親子には罪を犯さず幸せになって欲しかった…」そこで端木翠は啓封(ケイホウ)の王府に向かい、門に祈福(キフク)灯を掛けた。すると2つの魂が導かれるように灯籠へ吸い込まれて行く。その時、屋敷から王夫人が男女の双子を産んだと喜ぶ声が聞こえた。平穏が戻った啓封、展顔は端木翠を誘って街に出たが、端木翠はどこかやりきれなかった。「昨夜、多くの人が死んだのに、もう明かりがあふれているなんて…悲しみはすぐ忘れ去られるのね」「これが人の世だ…誰かが死んでも営みは続く」しかし端木翠が被害を食い止めてくれたおかげで、こうして美しい光景が見られるという。「民に代わって感謝するよ」端木翠は朱雀街の灯籠をながめながら、神仙には家がないため、明かりを灯して帰りを待つ人はいないと話した。思い立った展顔は店に飛び込み灯籠を買うと、端木翠に贈る。その時、夜空に花火が上がった。事件が解決する度に近づいて行く端木翠と展顔の距離、すると端木翠も草盧まで送ってくれた展顔に贈り物を渡した。「帰ってから開けてね」紅鸞(コウラン)は端木翠の法力が完全に戻る前に蓬莱図を盗もうと企んだ。そこで端木翠の部屋に忍び込み、恐る恐る乾坤袋に手を伸ばす。「いけるわ」紅鸞はついに乾坤袋から蓬莱図を取り出したが、自分に優しくしてくれる端木翠を思うと後ろめたさに苛まれた。展顔は啓封府で事件の詳細を報告した。すると府尹(フイン)・江文卿(コウブンケイ)は端木門主の功績を朝廷に報告すると決め、民にも知らしめるという。展顔は端木門主の代わりに感謝したが、上官策(ジョウカンサク)は真っ先に展顔の変化に気づいた。「おかしい、どうも変だ…顔顔、門主とは犬猿の仲のはずなのに…」展顔は部屋に戻ると端木翠からもらった化粧箱を開けた。すると蝶が飛び出し、端木翠の声が聞こえてくる。『展顔?贈り物を見たのね?』「また蝶か…ここは花園じゃないぞ?」『それは漆園(シツエン)蝶って言う特殊な蝶なの』展顔は荘子(ソウシ)が詩に詠んだあの蝶かと驚いたが、端木翠の話ではあれはあくまで伝説に過ぎないという。夢に誘う漆園蝶は蟻のような身体を持つため夢の蟻と呼ばれ、端木翠は眠り虫と呼んでいた。展顔はようやく端木翠が寝つきの悪い自分のために眠り虫をくれたのだと気づく。「ありがとう、端木」回廊では上官策が展顔の部屋の様子をうかがっていた。急に静かになったが、丑の刻まで眠ることがない展顔を眠らせるとは眠り虫の威力はすごいらしい。そこで仲間を連れて部屋に忍び込んだが、寝たふりをしていた展顔に見つかり、不法侵入の罰で停給1ヶ月を言い渡されてしまう。端木翠は事件の件で啓封府を訪ねることになった。展顔とは朱雀街で待ち合わせ、珍しく化粧をして新しい衣を着て出かけて行く。一方、温孤は蚊の毒にあたった民たちの治療で医館にこもりきりだった。ようやく患者も元気になり帰って行ったが、そこへ着替えを届けに紅鸞がやって来る。「草盧にお帰りになりますか?」しかし毒を吸い込んだせいか温孤は原型の鱗が消えず、癒えるまでは草盧に戻るわけにいかなかった。「門主は上仙が龍族だと知らないのですか?」「半分、幽族であること以外、正体は明かしていない」すると温孤は紅鸞に決して口外するなと釘を刺した。龍族は幽族の王、紅鸞は尊い身分を隠す必要はないと言ったが、温孤は自分のせいで端木に面倒をかけたくないという。「千年前、父は覇権を狙い戦争を始めた…負けたからには償う、全ては因果応報、幽族の運命だ」「でも私やあなたは悪くない、九獄から救ってくださるなら上仙に忠誠を誓います」「己の身分をわきまえろ」温孤は幽族を解放する気などないと言った。一方、九獄では長老が幽族を集め、いかに自分が新王にふさわしいか訴えていた。中には長老が龍族でないことを指摘する者もいたが、長老はすでに龍族は滅したという。「先王には遺児がいたと聞いたぞ!」「そうだ、生きていると聞いた!」「仮に生きていても九獄に戻らない臆病者、そんな王が救ってくれると思うか?」すると幽族は長老に従い、九獄を脱出しようと声を上げた。展顔は朱雀街まで端木翠を迎えにやって来た。「展顔!」振り返った展顔は美しい端木翠の姿にしばし見惚れてしまう。すると展顔はこの機会に民たちに端木門主を紹介した。民たちは蚊を退治してくれた上仙だと感謝し、端木翠もようやく認められ満更でもない。「端木門主、ずいぶん嬉しそうだな?」その頃、端木草盧に司法星君・楊鑑(ヨウカン)が神獣を連れてやって来た。しかし草盧は霊気が乏しく、従者の精霊たちは修練をさぼっているのかまだ人形(ヒトガタ)も手に入れられない。楊鑑は義妹を心配しながらお茶を飲んだが、あまりの不味さに吐き出した。何でも肝心の温孤は患者の治療で医館に缶詰めだという。「妹子も一緒か?」すると青花(セイカ)小仙が上仙なら展顔に会いに行ったと教えた。「展顔?…誰だそれは?!」楊鑑は端木翠が最近、展顔という捕吏の男と一緒に捜査していると知った。端木翠と展顔は街で噂の桂花蛋(ケイカタン)を食べることにした。人気店の桂花蛋は滑らかで口に入れるととろけるという。「次は手作りをご馳走するよ」「あっ!アチチチチチ!」そんな仲睦まじい2人の様子を横道から楊鑑が見つめていた。端木翠は義兄の姿を見つけ、お腹が痛いと嘘をついて席を離れた。「大哥?何しに来たの?」「妹子…どうして人間と同じものを食べている?蓬莱と違って汚れているぞ?」楊鑑は食べ物が必要なら乾坤袋に入れておくと言った。しかし端木翠は義兄が詰め込んだ食べ物のせいで道具が取り出し辛いと訴え、そもそも美味しくないという。確かに人間の食べ物は美味しいが、ともかく楊鑑は人間との付き合いをほどほどにしろと注意した。「そなたが辛い思いをする…」「そうね、この食べ物とお別れするのは辛いわ」「人間とは?」「人間?人間は何でもないわ」楊鑑はまだ情が深くないようだと安堵し、小天を残して世話をさせると決めた。すると端木翠は温孤も展顔もいるので大丈夫だという。「妹子…早く使命を果たして戻ってくれ 人間界の汚れに染められて己を見失うと大変なことになる」「(*゚▽゚)*。_。)*゚▽゚)*。_。)ウンウン…じゃあ用があるから、早く帰ってね~!」つづく( ๑≧ꇴ≦)大哥www
2022.11.09
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玉昭令 No Boundary Season 1第7話蚊男は温孤(オンコ)に口吻を切り落とされ、動揺した。しかし紅鸞(コウラン)が自分を人質にするよう助言、逃げ道を与える。そこで蚊男は紅鸞を盾にし、一瞬の隙をついて隔仙(カクセン)陣の中に戻った。慌てて追いかけようとした温孤だったが、陣に阻まれてしまう。その時、紅鸞が温孤を追いかけ陣にぶつかりそうになった折り鶴を助け、激しく跳ね飛ばされた。「あなたの折り鶴を守れてよかった…」温孤はまた折ればいいだけだと冷ややかだったが、紅鸞が急に意識を失ってしまう。温孤は紅鸞を連れて、端木草盧(タンボクソウロ)へ戻った。すると紅鸞が目を覚まし、激しく喀血してしまう。しかし桃花妖とは言え蚊男など敵ではないはず、温孤は紅鸞が蚊男を逃したと気づいていた。「上仙は私の″行方不明の友″に似ています…大事な人を騙したりしません」「私はその友ではない…」温孤は否定し、端木翠(ダンムーツェイ)を傷つけたら許さないと釘を刺した。「私は端木ほど寛容ではないぞ」温孤は部屋に戻ると密かに幽王の典籍を招喚した。幽王が幽族を守るため創ったという隔仙陣。陣は刻々と変化し、入口が布陣者のいる方向によって変わるため、無理に突入しようとすれば身体を傷つけてしまうという。すると温孤は蚊男から斬り落とした喙(クチバシ)に血がついていることを思い出した。「これがあれば布陣者になって陣に入れる」一方、端木翠と展顔(ヂャンイェン)は女神(メガミ)廟にいた。2人はここで蚊男を待ち伏せすることにしたが、やがて端木翠は疲れて居眠りしてしまう。そこで展顔は端木翠を寝台で横にしてやると、端木は展顔の手を握りしめて離さなくなった。「立派な上仙なのに無邪気なものだ、おやすみ、良い夢を…」典籍には己の血肉を切り取って布陣者の血と融合させることにより、布陣者と交代できるとあった。そこで温孤は原形である鱗を出して剥がし、蚊男の喙を入れた銅鍋に入れる。「端木…すぐに見つけ出す」しかし温孤は激しい痛みのせいでそのまま意識を失ってしまうその様子を庭から紅鸞が見ていた。翌朝、端木翠と展顔は廟の前に残された血を発見、蚊男が近くにいると知って探しに出かけた。やがて蚊の巣窟に辿り着いたが、そこで行方不明になっていた王(オウ)夫人を見つける。端木翠は夫人に怪我がないことから、蚊男の目的が血ではないなら罠だと気づいた。その時、蚊男の声が聞こえてくる。「その通り!私が欲しいの神仙の血だ!」すると端木翠は法力の6割が戻ったと楽観し、展顔に王夫人と逃げるよう告げて飛び出した。しかし展顔は夫人の縄を解くと、必ず迎えに来ると約束して端木翠を追いかけてしまう。端木翠と蚊男が対峙した。すると蚊男は端木翠が恐れる蚊を招喚、辺りはまるでもやがかかったように視界が悪くなる。蚊を見た展顔は近くに端木翠と蚊男がいると気づき、巨闕(キョケツ)を抜いて蚊を追い払った。展顔の気配を感じて振り向く端木翠、しかしその一瞬の隙を突かれ、蚊男に胸を刺されてしまう。展顔が駆けつけると、ちょうど蚊男が喙を端木翠の胸に刺し、血を吸い込んでいた。激怒した展顔はいきなり斬りかかり、蚊男は急所の喙を切り落とされ、逃げ出す。「端木!すまない、遅くなって…」「…展顔…なぜ来たの?…死にたいの?」展顔は端木翠の手を握りしめ、必ず自分が蚊男を食い止めると安心させた。一方、温孤は自分と蚊男の血を融合させることに成功、隔仙陣までやって来た。すると胸に激痛が走り、端木翠の身に何かあったと気づく。もはや入口を見つける時間も惜しくなった温孤、そこで龍気を解放し、陣を破って中へ入った。蚊男は端木翠の血が入った喙を妻に託した。「俺はもう長くない…これを飲んで元気な子供を産んでくれ」そこへ温孤が現れた。蚊女は残り少ない命、見逃して欲しいと懇願したが、蚊男は無駄だという。「まだ分からないのか?この者は以前とは違う…今や神仙なのだ」その時、温孤は蚊女が持っている喙に端木の血がついていると気づいて激高した。蚊男は妻が巻き込まれないよう遠くへ追いやったが、そこへ折り鶴が現れ、温孤に端木の足取りを教える。すると温孤は蚊男にとどめを刺して先を急いだ。しかし蚊女は夫の死を嘆きながら端木翠の血を飲んでしまう。展顔は端木翠を支えながら出口を探した。しかし端木翠は蚊の毒で血が止まらず、いよいよ立っていられなくなる。そこで展顔は端木翠を座らせ、傷から毒を吸い出し始めた。血を吸っては吐き出し、また吸っては吐き出す展顔、その時、うっかり展顔と端木翠の顔がぶつかり、図らずも唇が重なってしまう。すると端木翠の首にある封印が反応し、帰墟(キキョ)にある端木翠の情債(ジョウサイ)箱が揺れ始めた。「そのぉ~…毒は出した、止血しよう」「もういいの、人間の血を失った…人間界にはいられない…」端木翠の身体が消え始めた。焦った展顔は人間の血があれば端木翠を引き止められると気づき、自分の手首を切って血を飲ませてみる。「幽族を捕まえるのは君の役目だ、約束しただろう?」すると端木翠の消散が止まり、再び目を覚ました。端木翠は展顔の血のおかげで元気になった。しかしめまいがすると嘘をついてよろけてみせる。展顔は嘘だと分かったが、甘える端木翠を背負ってやった。「展顔、あなたって優しいのね…だから面目を守るために今回のことは黙っていてくれない?」「お世辞の目的はそれか~でも頼み事をするならそれなりの代価を払わないとな~ そろそろ啓封(ケイホウ)府を掃除しなくては」「ちょっと!私に掃除させるつもり?!」端木翠は怒って展顔の腕をつねると、展顔はその馬鹿力なら大丈夫だと笑って下ろした。「1つだけ約束してくれないか?…端木、人間界に留まってくれ」「お安い御用よ」「ではもう1つ、もう″小捕吏″とは呼ばないで欲しい」「分かったわ、展大人(ダーレン)」司法星君・楊鑑(ヨウカン)は神獣・小天(ショウテン)から義妹の情債箱が揺れていると聞いて急いで駆けつけた。「一体、妹子(メイズー)の心を動かした命知らずはどこの誰だ?!世を危険にさらしおって…」もし端木翠が心を動かし魂が消えれば、世を滅ぼしかねない。楊鑑は心を鬼にして情債箱に法術をかけた。すると端木翠は刀で心臓をえぐられるような激しい痛みに襲われ、意識を失ってしまう。展顔は何が起きたのか分からず、端木を抱きしめて何度も呼びかけた。そこへ温孤が現れ、激しく嫉妬する。…千年、守り続けた者を奪われてたまるか…温孤は法術で端木翠を自分の元へ引き寄せると、端木翠を守れなかった展顔を非難した。返す言葉もない展顔、そこで蚊男に血を吸われてしまったと説明する。温孤は驚いて自分の指を切り血を飲ませようとしたが、なぜか端木翠は受け付けなかった。すると展顔が一度、自分の血を飲ませたと教え、再び手首の血を端木翠に与えてみる。「私の血なら飲む…」温孤は懐疑的だったが、驚いたことに端木翠は本当に展顔の血を受け入れた。その時、温孤は端木翠の手首に現れた変化に気づく。…これは情債箱を縛る鎖、なぜ身体に現れた?…端木翠は再び戦場の夢を見た。すると激しい戦闘の最中、足止めされている馬車がある…『觳閶(コクショウ)…』端木翠が車の中をのぞくと、将軍が横たわっていた『觳閶?』…そこで端木翠はふいに目を覚ます。「觳閶!(はっ!)温孤…あ、展顔…!」端木翠は展顔の手首の傷に気づき、布を巻いた。「君こそ大丈夫か?急に倒れて…」「倒れたんじゃないわ、ちょっと居眠りしただけよ…蚊男には油断しちゃったけど…ボソッ」展顔は端木翠の唇についた血をぬぐいながら、強がりさえも愛おしく思えた。「確かに端木門主は強い、策など弄したりしないから罠にはまったんだよな…クスッ」2人の親密な様子に複雑な心境の温孤、すると端木翠は血を失ったことを義兄には黙っていて欲しいと頼んだ。蚊女は女神廟で無事に男女の双子を出産していた。しかし子供の気息に気付いた端木翠たちに見つかってしまう。双子は幽族の血筋だけでなく人間の血で大きくなり、さらに神仙の血のおかげで驚異的な速さで成長していた。端木翠は3種族の血を継ぐ子供は怪物になると教えたが、蚊女は死んでも自分の子を守ると反発する。その時、端木翠はふいに母と生き埋めにされた辛い記憶が蘇り、上の空になった。蚊女は隙をついて端木翠に毒を放ったが展顔が阻止、激怒した温孤に刺されてしまう。「逃げて!」すると双子は姿を消した。紅鸞はいつまでも戻って来ない温孤を心配し、街へ向かった。そこへ蚊の大群が現れ、民たちが次々と襲われてしまう。紅鸞は双子の蚊を見つけて攻撃したが、双子はたかが桃花妖だと鼻で笑った。すると端木翠たちが駆けつけ援護、しかし蚊女が現れ、子供たちを連れて逃げてしまう。端木翠と展顔は子供とは思えない双子の悪行を見過ごせず、蚊女を追いかけることにした。温孤も続こうとしたが、紅鸞が引き留め、息がある者を救おうという。倒れた民は蚊の毒が身体中に回っていた。すると毒が舞い上がり、温孤は咄嗟に紅鸞をかばって吸い込んでしまう。温孤はふと思いつき、民を救いたいという端木翠の望みを叶えるため、自ら民の毒を回収することにした。その時、紅鸞は温孤の手首から垣間見える龍の鱗痕に気づき、その正体を確信する。紅蘭は蚊が桃花の天敵だと知りながら、温孤を手伝い毒を回収した。しかしやはり喀血してしまう。温孤は咄嗟に紅鸞へ法力を送って助けると、集中して蚊の毒を抑え込むよう助言した。(*゚▽゚)*。_。)ウン!つづく(  ̄꒳ ̄)どうしたんだろう…温孤がカッコ良く見えて来たw
2022.11.09
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皎若云间月 Bright as the moon第8話「反乱の黒幕」容景(ヨウケイ)は月岐(ゲツキ)国王の病を治し、両国の関係を見事に仲裁した。そこで王子・拓跋(タクバツ)業成(ギョウセイ)は父王に変わって宴を開き、三皇子たちを歓待する。容景はこの機会を利用して国師に接触、庭へ連れ出した。国師はかつて天聖(テンセイ)の大理寺卿(ケイ)だった。しかし慕容(ボヨウ)家の事件後にこつ然と姿を消し、名を変えて月岐の国師になっている。国師は自分の正体を知る景世子を警戒したが、容景はただ当時、何があったのか聞きたいだけだと訴えた。「なぜ慕容家は滅びたのですか」「慕容家がはめられたのは確かだ、だがそれは陛下の命ではなかった 何者かの画策により皆殺しに…」国師は心ならずも慕容家に謀反の汚名を着せてしまい、良心の呵責に耐えかねて職を辞していた。ただこれ以上、詮索しない方が良いという。「私も詳しいことは何も知らぬ、巻き込まれぬ方が良い、今回の挙兵にしても藩属国が発端ではない」「事件と関係が?!」その時、屋根から盗み聞きしていた密偵が暗器を放ち、国師の口を封じた。一方、公主・葉倩(ヨウセイ)は四皇子に謝罪し、和解しようとしていた。しかし許してもらえず、四皇子は公主を無視して逃げ出してしまう。そこで雲浅月(ウンセンゲツ)は公主を呼び止め、玉板指を譲ってもらえないか聞いた。実はこの玉板指は代々、王室に伝わる秘宝、公主から売るのも貸すのも無理だと断られてしまう。国師が暗殺された。三皇子は国師と一緒にいた容景をそれとなく疑うが、容景は国師が今回の反乱を誰かが画策したものだと話していたという。ともかく国師を失ったことは月岐にとって大きな不幸となった。容景は国王も療養中ゆえ長居は無用だと遠慮し、三皇子も賛同する。すると葉倩は月岐の恩人である容景に玉板指を贈った。容景は遠慮したが、浅月が勝手に受け取ってしまう。三皇子は葉成と結託し、反乱を起こさせていた。昨夜も三皇子の密偵が国師を暗殺、すでに国師の手の者を全て始末してあるという。葉成は手回しの早さに感心し、三皇子が即位した暁には月岐も呼応して周辺国を併呑すると約束した。三皇子は皆を連れて軍営に戻った。すると四皇子は浅月が蛇に咬まれていたと知り驚愕する。容景はわざと自分が全て毒を吸い出したので心配ないと話し、三皇子と四皇子を牽制した。面白くない三皇子は毒が抜けても記憶が戻っていないと指摘、治そうという。しかし浅月は拒んだ。「…このままでいい」浅月が逃げるように幕舎を出ると、四皇子は確かに毎日が楽しければ記憶喪失でも構わないと喜んだ。その夜、容景は再び喀血した。弦歌(ゲンカ)は薬を飲ませたが、寒毒を持ちながら蛇の毒を吸ったからだと諌める。「それにしても郡主は本当に三殿下がお好きなのでしょうか?むしろ惹かれるのは…」「静かにしてくれ!」すると容景は外の空気を吸って来ると言った。三皇子はちょうど幕舎の前を歩いている浅月に気づいた。「月児!…久しぶりに会ったのにつれないな」「三殿下、その話はやめませんか?」しかし三皇子は離れていても文で思いを伝え合っていたはずだと食い下がる。「とても信じられない、何か悩みがあるなら私が解決しよう… 君のことを思わなかった日はない、面と向かって気持ちが失せたと言われても信じられぬ」その様子を偶然、容景が見ていた。容景は2人の親密そうな様子に傷つき、急いで引き返してしまう。三皇子は浅月が幼い頃から自分を兄と呼び、どこへでも付いて来たと話した。男児の遊びが好きで、乗馬に弓、氷遊びも三皇子が教えたという。針仕事は嫌いだったが、それでも花朝節には手作りの品を贈ってくれた。ある時、街で婚礼の籠を見た浅月は、いつか三皇子のお嫁さんになると言ったという。「なのに私を忘れるなんて…」「私も辛いのです…何と言ったらいいのか、私は三殿下の知っている雲浅月じゃない それは私の身に起こったことじゃないんです、つまりその~」しかし三皇子は必ず浅月の記憶を戻すと言った。そこで浅月は自分も″三皇子の浅月″を連れ戻すと伝え、帰ってしまう。浅月は独り暖をとりながら酒をあおっている容景を見つけた。すると泥酔した容景はいきなり浅月の腕を引っ張って隣に座らせる。「いつの間に酒豪になったの?…ねえ見て!月岐の星はきれいね~何だか手が届きそう!」「美しいものほど幻なのだ…つかもうとしても触れることすらできぬ」「知ってる?星って本当は大きいのよ?」浅月はしみじみ別の次元の人間同士がこうして並んで座っていることに不思議な縁を感じた。しかし急に容景が浅月の肩にもたれかかって酔い潰れてしまう。…もしこれが夢だとしても、いつか目覚めるとしても、ここに来られたことに感謝します…夢でも美しいものは美しい…でもやはり早く現実に帰して、どんなに美しくてもいつか目覚めるのだから浅月は容景を幕舎へ送り届け、寝台に寝かせた。「ゆっくり休んでね」すると容景が急に先月を寝台に押し倒し、口づけしようとする。浅月は自然と目をつぶったが、ふと我にかえり、容景を拒んで慌てて帰った。しかし容景の幕舎から出てきたところを三皇子に見られてしまう。浅月は動揺していた。まさか容景を好きになったのか、遅かれ早かれ帰る日が来るというのに…。そこへ彩蓮(サイレン)が茶を運んで来た。彩蓮の話では確かに浅月と三皇子は幼なじみで両思いだったらしい。「さっき切々と気持ちを訴えられて鳥肌が立ったわ___ 浅月の身体を借りてその恋人を拒んでるなんてね」するとさすがに彩蓮も三皇子に同情した。南梁(ナンリョウ)の世継ぎ・南梁睿(ナンリョウエイ)は月岐王の病を直したのが天聖の容景だと知った。容景と浅月の一行は軍営にいるという。「手練れというのはそいつか?!」葉倩は四皇子を花市場に誘いにやって来た。しかしあっさり断られ、憤慨してまた毒虫を操って脅す。虫が苦手な四皇子は雲月の幕舎へ逃げ込むと、雲月は自分が付き合うと申し出た。月岐にはたくさんの薬草があった。そこで浅月は公主に寒毒に聞く薬草がないか聞いてみる。葉倩は以前、医学書で″氷炎花(ヒョウエンカ)″が寒毒に効果があると見たことを思い出したが、希少な花で極寒の岩壁でしか育たないと説明した。「そう言えば医者が言ってたわ、伊林(イリン)山の岩壁で見かけたって…」浅月は葉倩に頼んで伊林山へやって来た。すると断崖絶壁に咲いている氷炎花を発見する。そこで縄を下ろし、浅月は自ら花を摘みに降りていった。しかしあと少しというところで足を滑らせ、落下してしまう。その時、浅月を付けていた南梁睿が現れ、浅月を抱えて崖を駆け上がった。南梁睿はこれで浅月を助けのは2回目だと恩を着せた。しかし葉倩が駆けつけ、女癖が悪いと評判の南梁世子を揶揄する。「世子、父親に妾を譲れと泣きついたそうね?だけどいざ譲られると初夜も過ごさず追い出したとか」「昔の話だ!酔っ払っていただけだよ!私はそんな男じゃない!」南梁睿は浅月を連れて帰るつもりが面目丸潰れ、浅月に逃げられてしまう。朝議では冷(レイ)王と息子の冷邵卓(レイショウタク)が三皇子の活躍で月岐との関係悪化を避けられたと称賛していた。そこで長年にわたる国への貢献を鑑み、三皇子を帰朝させるよう進言する。秦(シン)宰相は反対したが、皇帝は三皇子の帰京を認めた。三皇子は浅月たちと一緒に天聖へ帰ることになった。四皇子と離れたくない葉倩は四皇子の馬の手綱をつかみ、もう数日だけ残ってほしいと懇願する。しかし四皇子はもうこりごりだと言わんばかりに一行より先に出発した。一方、浅月は現代の方法で作った漢方薬を容景に贈った。容景は効くはずないと断ったが、三皇子の姿に気づいて急に態度を変える。「…やはり頂こう、私のために作ってくれたあなたの真心こそ何より尊い」面白くない三皇子は浅月に自分の馬で一緒に帰ろうと言った。つづく(  ̄꒳ ̄)うむ…確かに三皇子の扱いが酷すぎるかも〜
2022.11.07
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玉昭令 No Boundary Season 1第6話月心(ゲツシン)湖で全身を水疱で覆われた骸が発見され、次々に水疱に苦しむ民たちが温孤(オンコ)医館に運び込まれた。早速、端木翠(ダンムーツェイ)と展顔(ヂャンイェン)は捜査を開始、すると幽族に取り憑かれた妊婦を見かける。「待ちなさい!」端木翠に気づいた幽族は王(オウ)夫人の身体から抜け出した。しかし端木翠は蚊男を見て動揺し、直視できないまま火術を放ったせいで取り逃してしまう。王夫人もやはり身体中に水疱ができていた。夫の話では芝居を見ている時に物売りが来て砂糖漬けをもらったという。端木翠と展顔は不思議と息が合い、何をすべきか以心伝心のように合致した。そこで2人は物売りを片っ端から当たることにする。すると端木翠が一見、人間のように見える物売りの男から幽族の気息を感じとった。(」゚ロ゚)」<ぢゃんいぇん!端木翠はすぐ展顔に合図したが、目を離した一瞬の隙に逃げられてしまう。人里離れた草むらにある女神(メガミ)廟。蚊女は泣き叫ぶ子供を哀れに思い、夫がいないうちに逃すことにした。すると蚊男が現れ、子供を殺してしまう。「あなた!なぜ子供の命を…」「お前が無事に赤子を産むには十分な血が必要だ」実はこれまで蚊女がもらった血も人間の血だったという。蚊女は人間を殺せば天罰を受けて修練が無駄になると訴えたが、蚊男は九獄(キュウゴク)に幽閉された自分たちは輪廻できず、神仙にもなれないと憎しみを募らせた。端木翠は展顔と夫婦を装い、妊婦のふりをして蚊男をおびき出すことにした。すると端木翠はまた露店の人形が欲しいと言い出し、展顔は仕方なく一対だけ買って店から遠ざける。その時、端木翠は舟に客を乗せて小島へ向かう物売りを見つけた。九獄に黒衣の使者から報告が来た。罠を仕掛けたが端木翠の法力は強大、力を貸して欲しいという。そこで長老は幽王が作った隔仙(カクセン)陣を授け、この機会に必ず端木翠を仕留めろと命じた。「お前に残された時間は少ない、噬心咒(ゼイシンジュ)によってお前は瞬時に朽ちるぞ」長老が手を動かすと、黒衣の使者は激しい胸の痛みでへたり込んでしまう。端木翠と展顔は再び芝居小屋へやって来た。そこで怪しい物売りの男を発見、端木翠が火術を放つと、男は蚊の姿に戻って逃げてしまう。同じ頃、温孤医院に黒衣の死者が忍び込んだ。すると夫が眠っている間に王夫人を連れ去ってしまう。端木翠と展顔は蚊男を追って郊外へ出た。すると端木翠は病み上がりの展顔を心配し、信蝶(シンチョウ)を肩に忍ばせておく。「肩を叩いて呼び出せば私がすぐ助けに行くから」「ありがとう…でも君が危険な時は?!」「私の名を聞いただけで誰もが怖がるわ」しかし端木翠は無数に集まる蚊を見つけ、思わず展顔の後ろに隠れてしまう。展顔は桟橋でも端木翠が怯えていたことを思い出し、実は提灯の明かりに集まった蚊のせいだったと気づいた。「端木門主…ひょっとして蚊が怖いのか?」「まさか~この私に怖いものなんてないわ…ただ嫌いなだけよ」(´゚艸゚)∴ブッ端木翠と展顔は蚊が集まる水辺に向かうことにしたが、突然、蚊男が現れた。「人の命を奪った者は私が成敗するわ!」「ふん、その昔、お前たち人族も幽族を殺し尽くしただろう?!」蚊男は幽族が今も九獄でもがき苦しんでいると嘆き、ただ自分の子供が無事に生まれて欲しいだけだという。「端木…ヤツは時間稼ぎをしている、気をつけろ」すると展顔が警告した通り、無数の蚊が現れ2人を包囲した。端木翠はまとわりついた蚊のせいで恐ろしい記憶が蘇り、意識を失ってしまう。その時、紅鸞(コウラン)が現れ、2人を守ろうとした。しかしあえなく吹き飛ばされ卒倒、そこへ温孤が駆けつける。蚊男は温孤の一撃を受けて慌てて逃げ出し、端木翠たちは危ないところで助かった。端木翠は恐ろしい夢を見て飛び起きた。温孤は展顔なら無事に啓封(ケイホウ)府に戻ったと安心させ、蚊を寄せ付けない香袋を渡す。しかし紅鸞は蚊の毒でまだ幻覚から目覚めておらず、しかも医館から王夫人が突然、消えていた。驚いた端木翠はすぐ出かけようとしたが、立ちくらみを起こしてしまう。「温孤…蚊を見るたびにある情景が脳裏に浮かぶの、私は無数の蚊に刺され棺の中にいる」「無理に思い出さない方がいい」蚊男が洞窟に戻って来た。外で待っていた蚊女は夫が怪我をしていることに気づき涙する。「神仙に目をつけられた…もう赤子のために血を取って来られぬ」「何もかも私と赤子のせいね…」すると黒衣の死者が現れた。「大人、今日は王子が…」「お黙り!まだ時機ではない!…お前は面が割れた、啓封には行くな」しかし使者はもう一度だけ機会を与えると伝え、蚊男に隔仙陣を授けた。これは神仙を封じ込められる陣で、中にいれば端木翠は神仙の法力が弱まり、しかも心の奥底の嫌な記憶を呼び覚まして恐怖を高めるという。「この餌を使え」使者は連れ去った王夫人を残し、姿を消した。翌朝、端木翠は法術でこっそり展顔の部屋へ入った。しかしちょうど着替えていた展顔の背中を見てしまい、驚いて燭台を倒しそうになってしまう。「…今度、部屋に入る時は戸を叩いてくれないか?」「戸を通らないから無理…って、誤解しないで、王夫人が消えたの!」驚いた展顔は早速、出かけようと言ったが、思いがけず上官策(ジョウカンサク)が戸を叩いた。「顔顔!…イェンイェン!起きてるか?!」展顔は慌てて端木翠を物陰に隠した。「何よ?!」「女子の名節が汚れてもいいのか?!」「はっ!そうか、人間の男女は同じ部屋にいるところを見られたら結婚するのよね? 了解、結婚しなくて済むよう隠れるわ」端木翠と展顔は温孤医館を調べた。すると医館に謎の足跡と街中にはない葦(ヨシ)の葉が落ちているのを見つける。「蚊の気息が付いてるわ…どこの葦?」「蚊は水辺にいる…城東だ」温孤は端木翠の様子を見に来たが、すでに寝台はもぬけの殻だった。そこへ司法星君・楊鑑(ヨウカン)が現れる。温孤は端木翠が蚊を捕まえに行ったと伝えたが、楊鑑の顔色が一変した。「何だと?!」実は端木翠は昔、母親と一緒に生き埋めにされ、救出された時は全身を蚊に刺されていたという。それ以来、端木翠は何より蚊を恐れていた。「さっさと探して来いっ!」端木翠と展顔は罠とも知らず城東へやって来た。曲がりくねった水路に生い茂る葦、やがて2人の前に蚊男の幻術が現れる。端木翠は乾坤袋から出した玉で幻術を爆発させたが、展顔は咄嗟に端木翠を抱きしめてかばった。守ってもらう必要はなくとも悪い気はしない端木翠、しかしその隙をついて蚊男が陣を敷き、端木翠だけ引きずり込まれてしまう。端木翠は戦場で戦う自分の姿を見ていた。その惨状に驚愕する端木翠、すると霧が晴れるように幻覚が壊れて行く。一方、展顔はこつ然と消えた端木翠を必死に探していた。そこで肩を叩き信蝶を呼び出したが、端木翠の気息がなく戻って来てしまう。その頃、温孤も端木翠の行方を追っていた。すると折り鶴が駆けつけ、葦原にいると報告する。折よく紅鸞(コウラン)も目覚めたと知り、温孤は蚊男と戦った紅鸞が役に立つと考えた。端木翠は法陣を壊せず、小舟で水路を回っていた。「嫌な予感がする…」そこで岸に上がったが、ついに蚊男が現れる。するとお腹の大きな蚊女が駆けつけ、子供のためにも上仙と戦ってはならないと訴えた。蚊男はもはや引き返せないと覚悟を決め、上仙と言っても蚊が怖いならまたとない好機だという。「なぜそれを?!(はっ)怖いわけないじゃない、嫌いなだけよ」端木翠は精一杯、強がって三昧真火(サンマイシンカ)で決着をつけようとしたが、炎が弱い。「ぶはははは~!これは幽族の使者から賜った隔仙陣、神仙の法力を弱めるのだ」蚊男は端木翠から蓬莱図を奪おうと飛び出したが、端木翠は咄嗟に温孤がくれた香料をまいた。香料を浴びた蚊男は身体に無数の火傷を負った。憤慨した蚊男は再び端木翠に襲いかかったが、その時、展顔が現れ端木翠を救う。しかし蚊女が急に腹痛を訴え、蚊男が気を取られているうちに端木翠と展顔は舟に乗って逃げ出した。迷宮に入った端木翠と展顔、気がつくと小舟は何度も同じ水路を回っているだけだった。そこで展顔は陸路へ移動しようと提案する。端木翠は法術を使おうと構えたが反応なし、すると展顔が端木翠の手を取り、軽功で飛び上がった。2人は恋人同士のように手を繋ぎ、しばし空中遊泳を楽しむ。一方、温孤は紅鸞を連れて葦原に到着した。しかしある地点まで来ると端木翠の気息が急に途絶えてしまう。…はっ!隔仙陣?幽王の死後、途絶えていた陣だ、一体、誰が?…その時、蚊男が偶然にも近くを通りかかった。温孤に気づいた蚊男は慌てて逃げようとしたが、温孤に足をつかまれてしまう。「端木翠はどこだ?!」「知るか!」温孤は蚊男に襲いかかった。すると蚊男は口吻を切り落とされ、動揺する。その時、紅蘭は助太刀するよう見せかけ、咄嗟に蚊男の前に立ちはだかった。「私を人質に…」つづく( ๑≧ꇴ≦)恐るべし制服マジックw
2022.11.06
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第37話「龍尾神の使者」懇意の大臣を使って密かに清海(セイカイ)公・方鑑明(ホウカンメイ)を追いつめる皇弟・褚季昶(チョリチョウ)。すると旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)が方海市(ホウハイシー)を紫宸殿に呼んだ。「清海公はそなたが幼少の頃、神仙に会ったと言ったが、大臣たちは懐疑的だぞ」「陛下、清水が一杯あれば海市が自分で証明しましょう」海市は水を手のひらにかけて鮫人の証しを現し、手をかざしただけで斛珠(コクジュ)を操って見せた。臣下たちは一様に驚いたが、ある大臣は龍尾神の話が本当だとしても男だと偽っていた罪は免れず、清海公と方海市は結託して方卓英(ホウタクエイ)を逃し、清海公は私欲を満たすために方氏を妃にするつもりだと非難する。すると海市は思わず失笑した。「師父から言われました ″神仙との出会いは瑞兆ではない、大徴(ダイチョウ)を陛下という名君が治めていることこそ瑞兆だ″と… 陛下が必要なら私は瑞兆になり、そうでなければ死士となる 死士とは命懸けで陛下に尽くす者、陛下に忠誠を尽くす以外の道理は存在しない ふっ、そなたらに清海公の何が分かる?」清海公は数々の功績だけでなく、この数年は鵠庫(コクコ)人を撃退し、辺境を守って来た。黄泉(コウセン)営の兵士たちが清海公の教えに従い命をかけて守っているのは大徴の安寧と民の平穏、もし誰より国を愛する良将が朝堂で陥れられていると知れば、兵士や民は黙っていないだろう。その時、武官たちが海市に追従した。「小人たちめ、清海公だけに戦わせておいて、いざとなったら責めるのか?! 自分は命懸けで戦ったことがあるのか?!」ネー(*´・ω・)(・ω・`*)ネー海市の訴えで形勢は逆転、清海公をかばう声が上がり始め、褚季昶も流石に手を引いた。「朕も方海市が女子であると知っていた、霽風(セイフウ)館に入れるよう命じたのも朕だ 方卓英の件も結論が出て清海公も罰を受けた、2度と蒸し返すな…退朝だ!」褚仲旭は臣下を黙らせると、追及していた大臣たちも新しい妃の誕生を祝うしかなかった。褚季昶は怒り心頭だった。まさか方鑑明が腹心である方海市を皇帝に捧げるとは予想外、それにしてもなぜ方海市を襲う計画が外部に漏れたのだろうか。しかし執事が徹底的に調べ上げても怪しい者は見つからなかった。褚季昶は仕方なく奥に入ることができた使用人を全て始末するよう命じる。「龍尾神か…ただの伝説に過ぎぬのにそれを利用するとは…私も油断したな」翌朝、海市は皇帝に謁見し、師匠との″柏奚(ハクケイ)″の関係を解いて欲しいと懇願した。しかし他人が解くことはできず、褚仲旭も方法を知らないという。実はこれまで何度も解くよう説得したが方鑑明が拒否していた。先日、ようやく鑑明は自ら解くと決めたところだったが、時機を失ってしまったという。海市は昭明宮に師匠を訪ねた。方鑑明はいきなり書房に乗り込んできた海市に戸惑ったが、海市はすでに自分が皇帝の柏奚だと知っている。「…自由を取り戻して家庭を築きたいと思ったことはないの?」「あった、だがもう過去のことだ」鑑明は余命わずかだと明かすこともできず、ただ拳を握りしめてこらえていた。「初めて会った時、師父は言ったわ…″私の館に来て女子として生きるなら安逸のみが得られよう だが男子として生きるなら安逸以外の全てが得られる、どちらか選べ″と… こたびはなぜ私に選ばせてくれないの?!…私たちの縁はもう、これまでです」海市は何も教えてくれない鑑明に深く失望し、昭明宮をあとにした。鳳梧(ホウゴ)宮で方氏の冊封の儀が執り行われた。方鑑明は愛する海市を自分の手で皇帝に託し、ついに冊封の詔が下される。するとその帰り、鑑明が急に吐血した。驚いた褚仲旭は鑑明を金城宮(キンジョウキュウ)で侍医に見せたが、心労が重なって発作が起きたと分かる。しかし肝心の解毒薬はまだ見つかっていなかった。実は数十年前にも注輦(チュウレン)の王が未生花(ビセイカ)の毒にあたり、解毒は叶わなかったという。その夜、褚仲旭はようやく禁足中の淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)を訪ねた。しかし緹蘭は拝礼もせずぽかんとしている。「今日は冊封の日ですし…夜はてっきり淳容妃と…」褚仲旭は人払いすると、この数日の疲れがどっと出て横になった。褚仲旭は注輦に使者を送っていた。使者の報告では王妃も王子も無事で、密かに暗衛営の精鋭を護衛につけておいたという。また自害した侍女・碧紅(ヘキコウ)もきちんと弔って埋葬しておいた。何も知らなかった緹蘭は心から感謝し、皇帝が初めから自分を疑ってなどいなかったと知る。「ずっと考えていた… そなたはなぜ1人で対処しようとしたのか、なぜ真っ先に朕に報告しなかったのか はあ~朕が頼りないせいだな」「違います、私は昔から問題を独りで解決し、誰も頼らずに生きて来ました…」「一生を共にするなら、全てを独りで抱え込まず、2人で背負えばいい、それが夫婦であろう?」「夫婦?…そうです、緹蘭は陛下の妻、一生をおそばにいて生死を共にします」翌朝、久しぶりによく眠った褚仲旭は穆徳慶(ボクトクケイ)に起こされた。そこで緹蘭を起こさぬよう寝台を出て身支度を始めたが、すでに淳容妃が朝の挨拶に来ているという。褚仲旭は慣例の朝晩の挨拶を免除すると伝えたが、その時、緹蘭が目を覚ました。緹蘭は自分に遠慮して方氏に会わないのかと心配し、海市は恩人であり、知己でもあると気遣う。仕方なく褚仲旭は方海市を妃に封じたのは方海市と清海公を守るためだと明かした。自分たちの関係は夫婦ではなく君臣であり、時が来たら方海市を自由にするつもりだという。少府監の施霖(シリン)が昶王府にやって来た。今や町では子供たちが方海市は幸運をもたらす龍尾神の使者だと歌っているという。褚季昶は方海市を守るため方鑑明がでっち上げた話だと呆れたが、確かに誰も龍尾神の姿を知らないため否定もできない。「待てよ?…神の使者か?これは面白い」海市が愈安(ユアン)宮へ挨拶にやって来た。暖かく迎える緹蘭、実は緹蘭は初めて会った時から海市が女子だと気づいていたという。「陛下がいずれあなたを自由にするとおっしゃっていた…事情は全て聞いたわ」海市は淑容妃が自分の秘密を守り続けてくれたことにいささか驚いた。すると緹蘭は大徴に来たばかりの自分に優しくしてくれた海市へのせめてもの恩返しだという。「辛い時は何でも私に話してね」「謝謝」一方、方鑑明は陳哨子(チンショウシ)から報告を聞いていた。愈安宮の毒の件はまだ手がかりがなかったが、宮中に詳しい者の犯行だという。実はもう一つ、気がかりなことがあった。淳容妃の冊封が決まった日の夜、昶王府で23名の使用人が誤って毒を飲み死んだという。鑑明は昶王が手っ取り早く間者を始末したと気づき、見張りの強化を命じた。「今後、また大きな騒動が起きるはずだ」「それからもう一つ報告があるのです…それが…鳳梧宮の者が淳容妃の好物は何かと… 実は淳容妃が食事に手をつけないそうです」すると鑑明は淳容妃の好物や習慣を紙に書いて渡すよう命じた。つづく(  ̄꒳ ̄)いやあ〜めでたしめでたし〜ってまだ何も終わっていなかったw
2022.11.05
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第36話「明かされた秘密」方鑑明(ホウカンメイ)は皇弟・褚季昶(チョリチョウ)が海市(ハイシー)を狙っていると知り、弾劾を覚悟して海市が女だと公表した。旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)はひとまず海市を偏殿にかくまったが、鑑明を追求する。実は海市の首から鑑明の玉板指が下がっているのを見た褚仲旭は、鑑明が余生を共に過ごしたいと願っている相手が海市だと気づいていた。「今日まで朕を欺いて来たとは…この騒動をどう収めるつもりだ?!」「陛下、海市を入内させてください…」海市は偏殿で美しい衣に着替えて待っていた。するとようやく方鑑明がやって来る。海市は安堵して駆け寄ったが、鑑明はどこかよそよそしかった。「陛下はお前を妃に封じる… 男と偽っていたことは君主を欺く大罪だ、私ではかばい切れぬ 陛下の庇護があれば衆人の怒りは収まるだろう お前は陛下に仕え、お守りせよ…これで丸く収まる」突然、夫に突き放された海市はぽかんとしていた。もしやこれもまた何かの策なのだろうか。しかし鑑明は心を鬼にして海市を説得した。「入内をもちかけたのは私だ…初めて会った時からお前に期待していた、不世出の逸材だとな 今後はすべて陛下のお言葉に従え、しっかりとお守りせよ」海市は思わず鑑明の頬を平手打ちした。「私を帰京させたのは他の人に私を差し出し、私の人生を終らせるためだったと? …嘘でしょう?嘘だと言って!」海市は師匠に詰め寄ったが、鑑明は黙ったまま何も言ってくれない。「私の人生よ…例え師父でも勝手に決めることはできない」絶望した海市はかんざしを抜き、自分の首を刺そうとした。その時、咄嗟に鑑明が手を出し、かんざしは鑑明の手のひらを貫通してしまう。師匠の手を見た海市は急に全身の力が抜け、その場でへたり込んだ。方鑑明は多くの敵がいることから、自分が世を去った後、海市に復讐の刃が向けられることを恐れた。『海市を愛しています、陛下が紫簪(シサン)を愛したように…』余生を海市と2人で過ごしたいと思ったが、もはやその時間はない。鑑明は海市の無事こそが最後の願いだと訴え、今は残酷でも、いつか悲しみは消えるはずだと言った。『陛下、私の願いを叶えてください、私を遇したように海市を重んじてください』すると褚仲旭は自分の犠牲となった鑑明のため、海市を必ず守り通すと約束した。その夜、一部の大臣たちは方海市の処罰を求めて紫宸殿で嘆願を始めた。海市は皇帝に謁見しようと思いついたが、見張りが立ちふさがり偏殿を出られない。憤慨した海市は思わず衛兵の帯剣を引き抜いて刃を向けたが、そこへ皇帝が現れた。褚仲旭は人払いし、誰も近づけないよう命じた。すると海市は拝跪し、君主を欺き、罪人を逃した罪を認め、死を請う。確かに海市を殺せるなら話は早いが、褚仲旭は方鑑明から海市を託されたと教えた。思い詰めた海市は剣で自ら首を斬ろうとしたが褚仲旭が阻止、しかし抵抗した海市は皇帝に斬りかかってしまう。一方、昭明宮に戻った方鑑明は独り虚しく婚礼飾りが残った部屋に座っていた。その時、急に頬が切れて血が流れる。鑑明は海市が皇帝に抵抗していると分かった。すると今度は左腕に激痛が走り、袖をめくってみると歯形が浮き上がって血があふれてくる。実は海市は皇帝に剣を奪われ、柱に押さえつけられていた。何とか逃れようと皇帝の腕に噛み付いた海市、しかし皇帝に首を突かれて意識を失ってしまう。碧紫(ヘキシ)は太監から馬場での騒動を聞き、淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)に報告した。しかし緹蘭は驚くこともなく、実は初めて会った時から海市が女子だと気づいていたという。すると驚いたことに皇帝が方海市を連れて偏殿にこもったまま出てこないと知った。宮中では新たな妃が誕生するのではともっぱらの噂だという。↓縛られ放置プレーな海市↓婚礼セットで悶々とする師父↓既成事実を作るため独りで碁を打つ皇帝↓寵愛を失ったと落胆する緹蘭( ̄▽ ̄;)何だかシュール翌朝、褚仲旭は方海市と一夜を過ごしたと見せかけ、海市を淳容(ジュンヨウ)妃に封じると命じた。侍女・玉苒(ギョクゼン)は直ちに淳容妃に沐浴をさせ、冊封の儀の準備を始める。「皇后に次ぐ三夫人の位です、でもお支度は皇后のように豪華ですよ 早朝に清海(セイカイ)公が参内し、斛珠(コクジュ)を献上しました 聞けば淳容妃が鮫人から贈られたものだとか… 陛下は吉兆であるとご満悦で、すぐ冊封をお命じになりました 別称も賜りましたよ、斛珠夫人です」「幼い頃、臨碣(リンケツ)郡を遠く離れ、都に来たの 目を閉じるたび深い海に大きな渦が巻く情景が思い出され、悪夢にうなされたわ 師父は私に思い出させないよう斛珠を全て隠すよう命じた それ以来、見ていなかったのに…」すると海市は独りにして欲しいと頼んだ。海市は湯殿に身体を浮かべ、師匠の言葉を思い出していた。すると水に浸かった手のひらに鮫人族・琅嬛(ロウケン)が残した法陣が浮き上がる。その頃、方鑑明は皇帝と一緒に海市の支度が整うのを待っていた。「会わぬのか?」「君臣のけじめです」しかし湯殿から茶碗の割れる音が聞こえた。玉苒は湯殿で浮いている淳容妃を見て誤解し、うっかり盆を落として茶碗を割った。そこへ血相を変えた方鑑明が駆けつけ、咄嗟に海市を抱き上げてしまう。しかし海市は目を閉じて湯に浮かんでいただけだった。「玉苒は下がって」すると海市は師匠の頬に傷があることに気づき、昨夜、自分が皇帝を切り付けた場所だと思い出す。「それはいつの傷?いつ傷を負ったの?」海市は立ち去ろうとする鑑明の袂をつかんで止めたが、結局、放した。…この人が一度、決めたことは誰も覆せない、それなのに…海市は自分だけは師匠を変えられると思っていた自分の浅はかさに落胆した。海市は支度もせず、ぼんやり湯に入っていた。すると見かねた皇帝が湯殿へやって来る。褚仲旭は方鑑明の傷を見たかと尋ね、さらに袖をまくって腕をかめと命じた。そこで海市は鬱憤を晴らすように皇帝の腕にかみ付いたが、なぜか皇帝の腕には歯形が残っていない。実はその頃、鑑明は急な腕の痛みに顔を歪めていた。褚仲旭はついに方家の秘密を明かした。この国の朝廷が開かれた時、褚氏以外で領土を与えられた唯一の人物は方景風(ホウケイフウ)だという。それ以来、方家の子供たちは皆、幼少期に宮中に送られ、皇子の勉学の供となった。帝位は褚仲旭で53代目、また清海公の爵位も鑑明で53代目となる。「…670年あまり、歴代の清海公で天寿を全うした者はいない」実は方氏はもとより武門ではなかった。しかし流觴(リュウショウ)方氏は特殊な体質を持ち、歴代の清海公は全て皇帝の“柏奚(ハクケイ)″になるという。方氏は栄華と名声、一族の繁栄と引き換えに皇帝の身代わりになっていた。儀王の乱で大徴は焦土と化し、残った方氏の嫡流は方鑑明のみ、即位できる皇子は褚仲旭だけだった。鑑明は皇帝を守り国を安定させるため、自ら柏奚を望んだという。「今はお前の思惑など構ってはいられぬ…鑑明のことを守りたいと思わぬか? お前にしかこたびの騒動を収めることはできぬ」紫宸殿に皇帝が現れた。昨夜から嘆願を続けていた大臣たちは寒さに震えながら賊臣の排除を訴えると、皇帝は朝議で聞くという。一方、海市は玉苒を呼んだ。「最も威厳のある衣を用意して…紫宸殿へ行くわ」昶王の配下である大臣は仲間を煽り、清海公と方海市を糾弾した。褚仲旭は自分が妃を娶るだけで清海公を責めるのかと呆れ、これまで何かと清海公をそしり、自分を挑発して来たと嘆く。しかし大臣たちは鵠庫(コクコ)王子の事変が起きてから方海市を入内させたことを訝しみ、納得のいく説明が欲しいと訴えた。すると方鑑明が斛珠の検分を進言、海市の幼少期の奇遇が真実だと証明したいという。穆徳慶(ボクトクケイ)は大臣たちのもとを回って斛珠を見せた。その大きさと美しさに大臣たちは感嘆の声を上げたが、褚季昶がそれとなく大臣に目配せする。すると大臣は初めて見るため本当に龍尾神の物なのか分からないと訴えた。「方氏が偽造した品かもしれません!」しかし褚仲旭は真贋を確かめる簡単な方法があると言って穆徳慶に合図する。「呼べ」「はは…淳容妃、拝謁せよ~!」つづく( ゚ェ゚)来るか?( ゚ロ゚)来るのか?!コネ━━━━(。A。)━━━━ii
2022.11.04
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风起陇西(ふうきろうせい)第十四計「無中に有を生ず」青萍(セイヒョウ)計画当日、燭龍(ショクリュウ)・高堂秉(コウドウヘイ)は陰輯(インシュウ)に譲ってもらった定軍(テイグン)山の巡視へ出発した。一方、荀詡(ジュンク)も腹心の裴緒(ハイショ)に当直の代わりを頼み、偽造した通行証を持って南庭(ナンテイ)を発つ。やがて日も暮れる頃、定軍山の関所に到着、荀詡は譙峻(ショウシュン)校尉へ急報を伝えに来たと嘘をついて総成部へ急いだ。荀詡は途中で馬を草むらに隠し、巡回の兵を避けてついに総成部の正門に到着した。そこで門衛に見つからぬよう橋の下を伝って堀を渡り切り、そこから崖伝いに裏門へ回る。同じ頃、陳恭(チンキョウ)と五仙道の精鋭たちは蜀漢の兵士に扮し、黄預(コウヨ)の指示通り総成部の向かいにある崖を下っていた。計画では黄預が西側の谷底で倉庫を燃やし、その後、信徒を率いて東側の谷底に撤退、設計図を盗んだ糜冲(ビチュウ)と合流することになっている。直前には黄預に燭龍から今夜の暗号と倉庫の鍵が届き、陳恭は準備万端だった。荀詡は崖を上って裏門に到着、鍵をこじ開けた。その時、西側の倉庫から火の気が上がり、兵士たちが慌ただしくなる。「倉庫が燃えた!消火に向かえ!」すると総成部の正門が開き、兵士たちが飛び出して行った。「行くぞ!」陳恭は精鋭たちに合図、火事騒ぎのどさくさに紛れて正門から侵入することに成功する。不意を突かれた守衛たちは次々と倒され、陳恭は難なく軍技司の密室へ到着、設計図を手に入れた。しかし敵襲に気づいた蜀軍が戻って来てしまう。関(カン)長老は陳恭を援護し、東の崖へ案内した。ここから竹鵲(チクジャク)で脱出すれば、ちょうど大祭酒たちと合流できるという。その時、陳恭がいきなり関長老を刺して逃げた。関長老は虫の息となったが、急を知らせるためにも最後の力を振り絞って崖から転落してしまう。その頃、兵糧の基地を視察した高堂秉は馬岱(バタイ)将軍の酒席に招かれていた。すると急報が届き、総成部が襲撃され、譙峻校尉から援軍の要請が来たという。「あんな奥地に敵兵が?」「状況は不明です」しかし朝廷の掟で兵糧の基地では勅命や兵符がなければ一兵卒さえ動かせなかった。高堂秉は五仙道の青萍計画だと不安を煽ったが、将軍たちは自分たちを誘き出す作戦かもしれないと警戒する。そこで高堂秉に白羽の矢が立った。馬岱は自分の配下の手練れ200人を高堂秉に預け、軍技司を救うよう頼む。「拝命します」こうしてすべては燭龍の思惑通りに進んで行った。陳恭は翟悦(テキエツ)の指示通り荀詡が開けてくれた裏門から脱出、竹鵲で崖から飛び降りた。一方、荀詡は急いで南鄭へ戻ることにしたが、帰りの関所で暗号を言えず足止めされてしまう。実は総成部が襲撃され、譙峻校尉は定軍山の周囲20里を封鎖していた。「ここでお待ちください、譙峻校尉に確認してもらいます」荀詡は譙峻校尉に偽造した馮膺の通行証を見せた。通行証には確かに馮膺の官印があったが、念のため譙峻は合言葉を聞いてみる。荀詡は言葉につまり、馮膺から聞いていないとごまかした。「あり得ぬ、合言葉は馮曹掾が決めた、発案したのはお前ではないか!」譙峻校尉は荀詡の嘘に困惑し、馮膺の確認が取れるまで拘束すると決めた。南鄭の司聞曹に軍技司の使者が駆けつけた。しかし馮膺が留守のため孫令が対応する。何でも荀詡が曹掾の命で譙峻校尉に機密を伝えに行ったというのだ。孫令はすぐ確認したが記録はなく、しかも今夜は荀詡が当直だと分かる。そこで靖安司に駆けつけると、荀詡の衣を来た裴緒がいた。「誰か!こいつを捕らえろ!」孫令は馮膺の代わりに定軍山へ行くことになり、戻ってから裴緒を尋問することにした。その頃、馮膺は柳瑩(リュウエイ)を連れて李厳(リゲン)の幕府を訪ねていた。李厳は柳瑩の見事な演奏を聞くと、ふと昔を思い出して涙ぐんでしまう。あれは建安23年、先帝・劉備(リュウビ)は陽平関で曹操配下の夏侯淵(カコウエン)らと対峙、一方、曹操は長安に赴き、陣頭指揮を執っていた。その隙をついて馬秦(バシン)や高勝(コウショウ)が謀反を起こし、当時、まだしがない資中(シチュウ)県の県令だった李厳はわずか4千の兵士で対抗したという。「柳姑娘の演奏を聞いて当時の激戦が目に浮かんだ…馮曹掾、よくぞ逸材を見つけてくれた」そこで馮膺は柳瑩を幕府に残し、独りで帰ることにした。夜が明けても糜冲は黄預たちが待つ東の谷底に現れなかった。しかし崖下で関長老の骸が見つかる。もし落ち合えなければ糜冲が燭龍に直接、設計図を渡してくれるはず、長老たちはこれ以上、留まれば逃げられないと訴えた。その時、偵察から戻った信徒が現れ、すでに西郷(セイキョウ)の小道を塞がれ、古澗(コカン)渓には行けないと報告する。すると黄預はついにあきらめ、重い腰を上げた。「天水(テンスイ)へ行く」夜が明けると総成部の凄惨な現場が明らかになった。昨夜の奇襲は五仙道の精鋭で、倉庫の火事は目くらましだったという。「狙いは設計図だったようです」「荀詡め!」激怒した譙峻は荀詡を尋問するため牢へ向かった。すると一足先に尋問していた孫令が荀詡は一言も発しないと教える。極秘任務で留守の馮膺にはまだ確認は取れていないが、明らかに軍技司への命は嘘だった。「当直でありながら腹心を替え玉にし、我々を欺いたのだ」譙峻は顔見知りの荀詡の裏切りに深く失望した。設計図が盗まれたとなれば自分の命がかかっている。その時、ようやく荀詡が口を開いた。「譙峻校尉、命にかけて保証しよう、設計図はいずれ戻る…ただ詳しいことはまだ打ち明けられぬ」しかし痺れを切らした譙峻は荀詡の胸ぐらをつかみ、五仙道を手引きしたのかと迫った。驚いた孫令は掟通り司聞曹で尋問すると止めたが、譙峻は孫令を追い出して拷問を始めてしまう。一方、陳恭は無事に着陸、竹鵲を壊して草むらに捨てた。そして古澗渓へ向かうと、確かに入り口に大きな樟(クスノキ)がある。燭龍が設計図を取りに来るのは巳の3刻だ。つづく(  ̄꒳ ̄)おじいちゃん、イチコロな件それにしても意味不明…見逃したかな?( ̄▽ ̄;)
2022.11.04
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风起陇西(ふうきろうせい)第十三計「美人の計」その夜、曹掾(ソウエン)に復帰した馮膺(フウヨウ)の屋敷に陰輯(インシュウ)が訪ねて来た。孫令(ソンレイ)は姐夫を裏切った男を門前払いにしようとしたが、馮膺は会うことにする。実は馮膺は陰輯が罪を認めに来たと分かっていた。陰輯が敵国に情報を売って私腹を肥やしていたことなど、前々から知っていたという。「だが私がお前を脅したことがあったか?」すると陰輯は土下座して命乞いし、2度と馮膺を裏切らないと誓った。一方、五仙道では陳恭(チンキョウ)が密かに牢へ忍び込んでいた。翟悦(テキエツ)は拷問の末に神仙丹を飲まされ、倒れたままぐったりしている。「悦児…私だ…しっかりしろ、逃げるぞ」しかし翟悦は拒否、逃げたら燭龍(ショクリュウ)を捕まえられず、全てが水の泡だという。どちらにせよ神仙丹には毒消しがなく、手遅れだった。すると翟悦は自分と一緒に無駄死にするなど陳恭らしくないという。「これは私にできる最後のことよ…」翟悦は暗号文を解く鍵が″太平天書″にあると伝えた。「どの巻かは分からなかった…解読文は…″五仙道の高位にある蜀漢の密偵は女子″… 届いた暗号文は…9…27…15…6…」しかし翟悦が激しく咳き込んだ。心配した陳恭は設計図を奪ったら助けに戻るとなだめたが、翟悦は必死に最後まで暗号を伝え切る。すると翟悦は荀詡(ジュンク)からもらったという猛毒を塗った短刀が欲しいと頼んだ。陳恭は駄目だと言ったが、翟悦は陳恭の懐から取り出してしまう。「これから舌を裂くわ…中毒の症状と同じだからあなたも疑われずに済む… 絶対に燭龍を捕まえて…無駄死には嫌よ… 哥に伝えて…私はやり切ったと…恥をさらさなかっ…た…」間諜としての決断に苦悩し、翟悦を強く抱きしめる陳恭、その時、翟悦の身体から急に力が抜けた。陳恭は悲しみをこらえ切れず、翟悦の身体に顔を押し付けながらしばし号泣してしまう。高堂秉(コウドウヘイ)が待っていると馮膺の屋敷から陰輯が出て来た。馮膺は確かに陰輯を見逃してくれたが、助言したのが高堂秉だと気づいていたという。「全てお見通しだった…それから言付けがある、″こざかしいことをするな″と…」一方、孫令はなぜ姐夫が陰輯を許したのか分からなかった。馮膺は全て心に関わると諭し、自分を裏切った陰輯は後ろめたかったはずだという。何より自分たちの基盤である司聞曹(シブンソウ)に波乱を起こすことはできず、卑しくとも能力ある陰輯は欠かせない人物だと教えた。「賢い男だ、今後は私の意のままに動くだろう」五仙道の大祭酒・黄預(コウヨ)は約束通り、亥の刻に糜冲(ビチュウ)を呼びに来た。悲しみに暮れていた陳恭は居眠りしていたふりをして涙をごまかし、黄預と一緒に牢へ向かう。しかし聖姑はすでに死んでいた。見張りの話では亡くなって半刻ほど、神仙丹を過剰に飲んでの中毒死だという。翌朝、荀詡は馮膺と高堂秉が紫煙閣(シエンカク)に柳瑩(リュウエイ)を訪ねると知った。そこで先回りして柳瑩を訪ね、笛を返して欲しいと頼む。しかし柳瑩は真心を込めて贈った笛を軽々と返したと不機嫌だった。荀詡はおろろするばかりだったが、柳瑩が急に失笑する。「…クスッ、からかったのです」荀詡は急に緊張が解け、これからは笛を肌身離さず持つと約束した。すると柳瑩は本当の用向きは何かと尋ねる。確かに荀詡には頼み事があった。「馮曹掾が君を訪ねると聞いた…官印を借りたい」柳瑩は恩人である荀詡のためなら見返りも求めず、何でもすると言った。陳恭は翟悦からもらった宝剣を携え、いよいよ定軍(テイグン)山へ出発することになった。糜冲を守るのは大祭酒が準備した18人の死士たち、しかしあまりに都合良く聖姑が死んだことから、黄預は念のため関(カン)長老に糜冲の監視を頼む。「糜司馬が所定の場所から飛ぶか見張れ、いざとなったら手を下せ」馮膺と高堂秉が昼餉と称して紫煙閣に到着、静かな金沙(キンサ)亭に落ち着いた。そこへ柳瑩が現れ、馮膺はようやく恩人である柳瑩の顔を知る。その才気と度量もさることながら、柳瑩は並はずれて美しく、つややかな肌をしていた。すると高堂秉は定軍山の巡視へ行くと断り、早々に引き上げてしまう。その頃、荀詡は裏門で待っていた。すると約束通り柳瑩の侍女・影(エイ)児がやって来る。影児は荀詡を物置部屋に通して待つよう告げ、どこかへ行った。馮膺と柳瑩はすっかり意気投合し、酒も進んだ。しかし馮膺は柳瑩を李厳(リゲン)の元に送り込む計画のため、自分が情にほだされるわけにはいかない。そこで柳瑩は急に外衣を脱ぎ捨て、一緒に庭にある温泉に浸かろうと誘った。「何もしませんからご安心を…」「そこまで言われて断ったら男ではないな」←とは言ってないw影児は柳瑩と馮膺が温泉に入るのを確認、馮膺が脱ぎ捨てた衣から官印が入った巾着を持ち出した。「これですか?」「間違いない、ありがとう!」「ふふ、柳姑娘を見た時より嬉しそうですね」( ̄▽ ̄;)<ぁ…外で待っていて下さい荀詡は急いで偽装した通行証に馮膺の官印を押した。そして廊下で待っていた影児に巾着を返し、感謝を伝えて足早に帰って行く。つづく( ゚ェ゚)え?…( ゚ロ゚)えーっ!って最近、こんなのばっかりw
2022.11.04
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皎若云间月 Bright as the moon第7話「恋人との再会」蛇に噛まれた雲浅月(ウンセンゲツ)だったが、容景(ヨウケイ)のおかげで無事に目を覚ました。侍女・彩蓮(サイレン)は安堵し、改めて景世子にとって主は特別な存在なのだと実感する。そこへ容景が現れた。「礼には及ばない、救ったのは代わりを探せなかったからだ…月岐(ゲツキ)城に向かうぞ」その夜、容景は公主に扮装した浅月を馬車に乗せ、弦歌(ゲンカ)と彩蓮を従者にして月岐城に向かった。「止まれ!何者だ?」「公主の馬車を遮るのか?」容景は浅月を咬んだ蛇を見せると、門衛は確かに公主の蛇だと気づいて馬車を通してしまう。しかしそれから間もなく本物の公主が四皇子を連れて帰って来た。拓跋(タクバツ)葉倩(ヨウセイ)は自分の偽物が現れたと知り、しかも自分の蛇を持っていたと聞いて驚く。「この疫病神!弁償して!」なぜか八つ当たりされ困惑する四皇子、すると公主は償いとして駙馬(フバ)になれと命じた。通関証を奪われた容景は策を弄して月岐城に潜入した。しかし弦歌が追っ手に気づき、馬車を止めて自分たちが偽物だとばれたと伝える。そこで容景は弦歌に彩蓮を任せ、酔香楼(スイコウロウ)で落ち合う約束をして浅月と逃げた。容景と浅月は一足先に酔香楼へ到着、弦歌たちが来るのを待った。しかし弦歌と彩蓮は店の前で兵士たちに囲まれてしまう。容景は2階から飛び降りて救出に向かったが、彩蓮が人質に取られた。そこで容景は自分が身代わりになると訴え、彩蓮を解放する代わりに捕まってしまう。驚いた浅月は急いで助けに行こうとしたが、突然、見知らぬ公子が行く手を阻んだ。すると浅月に一目惚れした公子は侍女たちに命じ、浅月を連れ去ってしまう。↓( ゚д゚)蝎王だ@山河令鷹揚衛(ヨウヨウエイ)の密偵が戻った。景世子が月岐の役人たちに捕まったが、そこに郡主はいなかったという。しかし入城前には景世子が郡主のため蛇の毒を吸い出し、発作を起こしていた。報告を聞いた秦玉凝(シンギョクギョウ)は動揺し、思わず杯を叩き割ってしまう。浅月を連れ去ったのは南梁(ナンリョウ)の世継ぎ・南梁睿(エイ)だった。南梁睿は浅月を追っ手から守ったと恩を着せ、明日、南梁に連れて帰るという。客桟に軟禁された浅月、そこで部屋にあった帳(トバリ)を外して紐を作り、難なく2階から脱出することに成功した。しかし侍女たちがしつこく追いかけて来る。その時、物陰から突然、見知らぬ公子が浅月を引っ張ってかくまった。「月児!」「あ…あなた誰?」その時、侍女が投げたつぶてが浅月に直撃、意識を失ってしまう。すると手練れの公子が侍女を撃退、浅月を連れて走り去った。翌朝、南梁睿は浅月を取り逃した侍女たちに激怒していた。「あと一歩というところで謎の手練れが…」「手練れ?」謎の手練れとは三皇子・夜天逸(ヤテンイツ)だった。浅月が目を覚ますと昨夜の公子が付き添っていた。「公子、ありがとうございました」「公子?月児、帰国が遅れたゆえ怒っているんだな?何度も文を出して説明しただろう?」「なぜ私の名前を?」三皇子は他人のふりをする浅月に困惑したが、聞けば浅月は火事に巻き込まれて以来、記憶がないという。「私だ、夜天逸だ」名前を聞いた浅月は、伝書鳩が運んできた葉に″逸″とあったことを思い出した。実は三皇子と雲浅月は幼なじみで長年、恋仲だったという。三皇子は浅月に別の男がいるのかと疑ったが、浅月は否定した。すると運良く急ぎの報告があると兵士の声が聞こえる。三皇子は仕方なく幕舎を出ると、浅月はようやくここが三皇子の軍営だと分かった。浅月は聞き耳を立てた。何でも月岐の北司(ホクシ)が男を2人捕らえ、それぞれ四皇子、天聖の特使だと訴えているという。兵士の報告が終わると、浅月は慌てて三皇子に経緯を説明した。実は探し物があって月岐へ来たが、途中で通関証を失くし、公主に成り済まして入城したという。「三殿下、景世子を助けて!」三皇子は急に感情的になった浅月に驚き、もしや容景に心変わりしたのかと疑った。驚いた浅月は記憶がないだけだと釈明したが、三皇子は何やら考え込んでしまう。…藍(ラン)家は何のつもりだ?なぜ報告しなかった?…「三殿下?」「…景世子は父皇が派遣した使節だ、国事ゆえ当然、対処するよ」その頃、四皇子は公主の玉板指を盗んでいないことを証明するため、葉倩の前で衣を脱いでいた。しかし葉倩はどうしても解放してくれない。「俺に惚れたのか?」「だから何?」四皇子は天聖を敵に回すつもりかと警告したが、葉倩はまだ皇子だと信じていなかった。容景の牢に思いがけず四皇子が収監された。四皇子は容景と浅月がはぐれたと知り、慣れぬ国で独りになった浅月が心配で仕方がない。すると牢番たちが賭け事を始める声が聞こえた。「金を出せ、脱出しよう!」「四殿下、本気で脱出を?」「もちろんだ」そこで四皇子は牢番を呼び、金の塊を見せびらかした。「朝廷の貴族にことづけしてくれたら、これはお前にやる」国師は牢番から報告を受け、念のため収監した男たちを尋問することにした。四皇子は月岐の対応に怒り心頭だったが、容景は公主を騙ったことを認め、素直に謝罪する。しかし通関証が盗まれ、公主の蛇に咬まれた者がいたため、止むを得なかったと事情を説明した。「恐らく両国の友好を壊さんとする輩の仕業でしょう 陛下は辺境での戦の知らせに両国の友好が第一と私を遣わせ、不和の芽を摘むおつもりです」そこへ葉倩が兄の王子・業成(ギョウセイ)を連れてやって来た。葉倩は親切で城に入れたが玉板指を盗んだと非難、すると四皇子は蠍のような性格だと言い返す。「何てひどい男なの?!鞭打ちにしてやる!」「お待ちください」すると浅月が三皇子と一緒にやって来た。四皇子は無事な浅月の姿を見て思わず抱きしめた。憤慨した三皇子が浅月を四皇子から引き離すと、三皇子が浅月に触れるのを見た容景は面白くない。すると国師は三皇子を丁重に迎えた。しかし王子と公主は月岐を攻める口実ではないかと三皇子を疑う。一触即発となる三皇子と王子、その時、国王の病がぶり返したと報告が届いた。そこで容景は医術の心得があるため、国王の容体を見たいという。容景は鍼治療で国王の血の巡りを整え、処方箋を渡した。薬剤に使用するのは蛇の毒とカエル、そこで容景は公主に蛇を返し、公主を騙ったことを詫びる。しかし葉倩は父の恩人を責められないと許し、蛇を受け取った。すると浅月が蛇のお腹が膨れていることに気づく。「何か変な物でも食べたんじゃない?」そこで葉倩が尻尾をつかんで蛇を揺らしてみると、蛇は玉板指を吐き出した。浅月はついに念願の玉板指を発見して歓喜したが、そう簡単に譲ってもらえない。一方、玉板指のことで散々、公主に辱められた四皇子は怒りが収まらなかった。葉倩は立場がなかったが、三皇子が公主の顔を立てて四弟との仲を取り持ってくれる。その時、ついに国王が目を覚ました。国王は恩人である容景に感謝し、挙兵の経緯を説明した。あれは少し前のこと、出所不明の3千両が持ち込まれ、送り主の要求は月岐の出兵だったという。期間は3ヶ月、その後、直ちに撤退すれば金を全て与えると言うのだ。月岐の国庫は空っぽ、3千両ともなれば無視できる額ではない。ただ民のことを考えると実行はためらわれた。そんな時、突然、藩属国が挙兵し、事態が動いたという。国王は何か裏があるに違いないと訝しんだ。すると王子は藩属国が月岐の意図であるよう見せかけ両国の関係を危うくしたと指摘、調査して三皇子と父に報告すると約束する。こうして天聖と月岐の誤解は解け、その夜、王子は父に変わって歓迎の宴を開いた。つづく( ̄▽ ̄;)公主と四皇子ネタはカットでいいかしらw
2022.11.02
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玉昭令 No Boundary Season 1第5話端木翠(ダンムーツェイ)が現実世界へ戻った。笑顔で迎える温孤(オンコ)、そこで端木翠は鏡妖から託されたかんざしを見せる。するとかんざしが独りでに姿を変え、蓬莱(ホウライ)図の断片になった。蓬莱図は神仙の冊封後に消えたはず、なぜ人間界に断片があるのだろうか。端木翠は幽族の目的がこの蓬莱図だと分かったが、その理由までは見当がつかなかった。「幽族に使い道はないはずなのに…」端木翠はまだ目覚めていない夢蝶(ムチョウ)に鏡妖の修練を与えた。すると夢蝶は意識が戻り、目が見えることに気づく。「彼は9千年分の修練を差し出したのよ」しかし鏡妖を失った夢蝶は自暴自棄になって目を潰そうとした。端木翠は夢蝶の腕をつかみ、目を傷つければ鏡妖が苦しむと諭す。「元気を出して、彼はいつか戻ってくるかもしれないわ」「本当に?」夢蝶は号泣し、愛おしそうに銅鏡を抱きしめて家路についた。展顔(ヂャンイェン)の曙の炎を守るため紅鸞(コウラン)は手に火傷を負っていた。上官策(ジョウカンサク)から事情を聞いた端木翠は休むよう言ってくれたが、温孤の仕打ちを思うとやりきれない。すると中庭いる紅鸞のもとへ温孤がやって来た。温孤は端木が無事だったため命までは奪わないが、すぐ出て行けという。驚いた紅鸞はひざまずいて行き場などないと訴えた。九獄(キュウゴク)は大海亀の腹の中で四季も昼夜もなく、飢えた幽族たちが毎日のように殺し合っているという。「怖いのは一度、得たものを失うこと、草盧(ソウロ)から追い出されるくらいなら死んだ方がましです」紅鸞は覚悟を決めて目を閉じたが、結局、温孤は見逃し、薬を渡した。一方、温孤医院では迷夢に捕らわれていた元神が肉体に戻り、次々と被害者が目を覚ましていた。江(コウ)夫人は夫や義子たちの姿に気づき、自分のために皆が心配して集まってくれたと知る。「夢の中ではあなたが甘い言葉をかけてくれたのよ?顔児は嫁をもらったの…でも所詮、夢なのね」しかし中には夢に固執し、目覚めようとしない者もいた。展顔は迷夢から戻って来なかった。しかも身体の腐敗が始まり、上官策は呆然となる。実は展顔は両親を失った日への未練を捨てられず、迷夢の生家に足を踏み入れていた。『母上、遅くなりました…』『どんなに遅くなっても食事を用意して待っているわ』優しい母との時間、しかし時が止まっている母は展顔をまだ12歳だと思っている。『母上、私はもう25歳になりました…啓封(ケイホウ)府の捕頭ですよ、大人になったのです』上官策は端木翠に助けを求めた。しかし鏡妖は消散し、再び迷夢に入ることができない。すると展顔の様子を見ていた端木翠が急に上官策を引き離し、展顔の耳元で訴えかけた。「私の声が聞こえるでしょう?3つ目の条件をまだ果たしていないわ… 決めた、3つ目の条件は今すぐ目覚めることよ」温孤は取り乱す上官策を連れて出て行った。そこで端木翠は展顔に寄り添い、わざと心おきなく逝ってくれという。「これからは私が啓封府を取り仕切るわ、きちんとやれる、それで良ければずっと寝ていて もしそれが嫌なら直ぐに起きるのよ?今から3つ数えるわ…い~あ~さん!」その時、展顔が目を開けた。「本気か?」「何のこと?」端木翠は急に照れ臭くなって寝台から離れようとしたが、展顔が腕をつかんで引き寄せた。鼻と鼻が触れ合うほど接近する端木翠と展顔、しかしそこへ上官策が戻って来る。「顔顔!目が覚めたのか!」2人は慌てて離れると、上官策は喜んで展顔を抱きしめた。「そうだ、端木門主が細花(サイカ)流は啓封府に従うと言ってくれた」展顔は端木翠の揚げ足を取ったが、上官策が上仙の顔を立ててくれる。「啓封府と細花流は協力関係ですが、協力の仕方は端木門主が決めるべきです」すると上官策は念のため全快するまで展顔を預かって欲しいと頼んだ。神仙と神医がいる細花流にいるなら安心だという。「大丈夫、こんな弱った人を追い出さないわ…いいのよ、お代は日割りで計算するから」端木翠が出て行くと上官策は首を傾げた。今のが本気なら神仙なのにケチだが、冗談だとすればいつのまに展顔と端木翠はそんなに親しくなったのか。すると展顔は寝たふりをしてごまかした。「白状しろよ~どういうことだ?いつのまに仲良くなったんだよ?」展顔は聞こえないふりをしたまま、自分を守ってくれた端木翠の耳飾りを握りしめていた。端木草盧に珍しく客人が滞在し、端木翠の人形たちが押しかけた。しかし眠っていると思った客人が突然、目を覚ます。逃げろ~!>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ<ワーワー!そこに温孤が薬を持ってやって来た。「門主の部屋に置ききれない人形たちだ、門主は純真で好みも変わっている…可愛いだろう?」「(´・ω・`)お、おぅ」すると展顔はいつもこうして常に門主を見守っているのかと尋ねた。温孤は神仙になる前から門主に従って献身的に支えて来たと話し、もはや習慣だという。一方、九獄ではまともな茶も飲めず、長老が憤慨していた。崇城(スウジョウ)の決戦で幽王が死ななければ九獄に幽閉されることもなかったはず、その時、鏡に使者の姿が映る。{{{鏡妖も端木翠に敗れました…蓬莱図の断片は端木翠の手中に、まだ奪えていません}}}長老はかつて崇城を攻め落とした端木翠への恨みを募らせ、必ず蓬莱図の断片を奪えと命じた。しかし端木翠の三昧真火(サンマイシンカ)の威力はすさまじく、蓬莱図を乾坤袋に入れているため手が出せない。そこで長老はまず端木翠から法力を奪おうと決めた。「安心せよ、よき方法を授けてやろう」その夜、紅鸞は端木翠が寝入った頃を見計らって部屋に入った。しかしまだ寝ていなかった端木翠が寝所から現れる。「あ、洗濯するので門主の衣を取りに来ました」「洗濯なんて必要ないわ、神仙の衣は常にきれいで汚れないの」←そうだったのか?!w「でも着替えた方が…迷夢から戻ったばかりです 衣を薬湯に浸せば厄払いができて幽族も遠ざけられますよ」紅鸞は着替えを手伝おうとして乾坤袋に手をかけ、激しく吹き飛ばされた。「大丈夫?この乾坤袋は老君が創った品で幽族は近づけないの 触れば身体が傷つき、命を落とすことさえあるわ」「そうなんですか、驚きました」すると端木翠は一回転して新しい衣に着替え、そこまで言うならと洗濯を任せた。展顔は無事に回復、翌日に帰ると決めた。そこで化粧箱に入れた耳飾りを返したが、端木翠はすぐ失くすからと温孤に預けてしまう。翌朝、展顔は静養で鈍った身体を動かすことにした。すると背後から端木翠が奇襲をかけ、2人はしばし手合わせに興じて心を通わせる。「たかが人間が神剣の巨闕(キョケツ)を扱えるなんて…」「義父上から頂いた、江家に代々、伝わる宝だ」「(ちょっと貸して…)見覚えがあるわ、でも私は記憶力がない」「端木門主は道も覚えられないからな~」「馬鹿にしたわね?!」そこへ啓封府の捕吏たちが駆けつけた。実は昨夜、月心(ゲツシン)湖に水死体があがり、全身に水疱があったという。民は悪鬼の仕業だと騒いで怯え、金持ちたちはこぞって大金で道士を呼び、厄払いする始末だった。啓封府に運び込まれた遺体は検死の結果、もともと病弱で溺死と判断された。水疱はどうやら蚊に刺された痕らしい。遺品らしい遺品はなかったが、果物の砂糖漬けが残っていた。すると端木翠が乾坤袋から黒い粉を出し、遺体の手に吹きかける。「やっぱりね~」予想通り遺体の水疱は幽族が原因だった。温孤は水疱の患者たちを医館で治療した。しかし毒だと判明しただけで、それ以上、詳しいことは分からないという。すると手伝いに来ている紅鸞が果物の砂糖漬けを持って外へ出て来た。驚いた展顔はどこで手に入れたのかと尋ねる。「患者のご家族が温孤神医にと…月心湖で物売りからもらったそうです」展顔と端木翠が月心湖に到着する頃にはすっかり日も暮れていた。すると湖の小島に芝居小屋が見える。「天聖元年、袁彬(エンビン)が建てた芝居小屋だ…石と木が混然一体となり四方を見渡せる」「捜査と何の関係があるの?」「死者はここで溺死した、蚊に刺された痕もあった、きっと糸口がある…さあ、船に乗ろう」しかし珍しく端木翠は気乗りしないように見えた。「怖いのか?」「まさか!」芝居を見た端木翠は我が子のために全てを投げ出せる母親を見て感傷的になった。展顔はそれが母性だと言ったが、端木翠は我が子の世話をしない母親もいるという。「やむにやまれぬ事情があるのでは?」「事情?…本当にそうかしら」その時、鑑賞していた1組の夫婦が物売りから果物の砂糖漬けをもらった。夫人は夫に勧めたが夫は遠慮し、夫人だけが食べてしまう。すると夫人は独りでふらふらと歩き出したが、身ごもっていた。端木翠は幽族に取り憑かれた妊婦を見かけた。「待ちなさい!」すると夫人の身体から妖気が抜け出し、その姿が一瞬だけ見える。( ゚д゚)あ!つづく( ๑≧ꇴ≦)もう本当、楽しいわwそう言えば草花だと思ったら、門主の人形だったのね( ̄▽ ̄;)
2022.11.02
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玉昭令 No Boundary Season 1第4話展顔(ヂャンイェン)は迷夢の中で胸を刺された。すると現実世界で眠っている展顔の胸から血がにじみ出て来る。温孤(オンコ)は仙術で心拍を安定させたが、中で何かあったのだと分かった。迷夢では端木翠(ダンムーツェイ)が深手を負った展顔を抱えて結界から飛び出し、啓封(ケイホウ)府に逃げた。そこで急いで手当てしようとしたが、展顔は神仙とはいえ女の端木翠に身体を見せるわけにいかないという。「命と名節、どちらが大事なの?!元神が傷つけば肉体は死ぬのよ?!」すると展顔は仕方なく自分で脱ぐと言った。端木翠は展顔の切り傷を火術で焼くことにした。「我慢して」展顔は激痛に顔を歪ませたが、やがて傷が閉じて楽になる。すると端木翠がまじまじと展顔の顔を見つめた。「美しいわ~お手入れ法は?肌がきれいね~」物おじしない端木翠に困惑する展顔、その時、急に江(コウ)夫人の叫び声が響き渡る。2人は慌てて正殿に駆けつけると、江夫人の身体に再び鏡妖が乗り移っていた。端木翠は人間の元神を奪った目的を聞いた。すると鏡妖は幽族の使者と取引したと答える。端木翠はその使者の狙いが例のかんざしだと気づいたが、鏡妖は江夫人の身体を捨てて逃げ出してしまう。鏡妖を追って朱雀大街へ飛び出した端木翠、しかし街は霧に包まれ、ただでさえ方向音痴の端木翠は道に迷った。その時、展顔が現れる。「端木門主、また迷子ですか?w」端木翠にとって鏡妖など敵ではなかった。しかし江夫人のかんざしを奪って何をするのか気にかかる。「展顔、あのかんざしに不思議なところはなかった?」「誕生日にだけ挿す嫁荷で、ごく普通のかんざしだった…」行き詰まった端木翠は温孤がくれた鏡妖の術を退ける水をまいた。すると霧が晴れて雨になり、人々は家路を急ぐ。展顔は端木翠が濡れないよう外套を広げてかばい、軒先に移動して雨宿りすることにした。その時、琵琶弾きの夢蝶(ムチョウ)が相合傘で歩いて来るのが見える。「鏡妖の目的が分かったわ…思った通りね」端木翠と展顔は夢蝶の家に乗り込んだ。驚いた鏡妖は逃げようとしたが展顔に阻まれ、端木翠から銅鏡を壊すと脅されてしまう。観念した鏡妖は全て夢蝶のためにやったと認め、実は蓬莱図の断片と引き換えに幽族の使者から人になる方法を教えてもらうはずだったと明かした。「蓬莱図と江夫人のかんざしに何の関係が?」「かんざしは図ではないが、蓬莱図も図とは限らぬ」「図じゃない?何を言ってるの?」端木翠は意味がわからなかったが、幽族の使者に騙されていることだけは事実だ。幽族が人になるには千年の修行が必要で近道などない。鏡妖ももちろん知っていたが、普通の人間である夢蝶は100年も生きられず、急がねばならなかった。「邪魔はさせぬ…たとえそれが神仙だろうと…」鏡妖は雄叫びを上げ、迷夢と一緒に端木翠たちを葬ることにした。「展顔…決戦が始まるわ」そこで端木翠は折り鶴を外の世界へ送り、今すぐ夢蝶を送り込むよう頼んだ。「鏡妖の法陣を破る鍵は必ずここにあるわ…展顔、私を信じて」「端木門主、君を信じている」迷夢が崩れ始めた。すると夢蝶の幻影が消え、街も次第に消え去って行く。端木翠は咄嗟に結界で守ったが、展顔の身体も透け始めた。「私の元神も長くはもたないだろう…君は早く離れろ」しかし端木翠は展顔を救うため、自分の元霊(ゲンレイ)を与えてしまう。一方、現実世界でも温孤が自分の元霊で曙の炎を守っていた。紅鸞(コウラン)は上仙の根幹に関わると止めたが、温孤は何としても端木翠を守らねばならない。温孤は炎が安定したところで上官策(ジョウカンサク)に見張りを任せ、夢蝶を探しに行くことにした。「この火は展大人の命も同様、誰も近づけてはならぬ」すると紅鸞(コウラン)を外へ出し、法陣の中に閉じ込めてしまう。「千年前、お前は私を邪魔して端木を死なせた」「今はここが私の家、どうか私を信じてください!」「私は端木しか信じぬ」端木翠は鏡妖が戻って来たことに気づき、銅鏡に一撃を与えた。ついに姿を現した鏡妖、しかし応戦した展顔が反撃され、曙の炎が消えかかってしまう。見かねた紅鸞は内傷を負ってまで法陣を破り炎を守ったが、そこへ夢蝶を連れて温孤が帰って来た。事情を知った夢蝶は迷夢に入ることに同意、温孤は夢蝶に法術をかけると、端木翠への伝音符を託す。…あと1年で修練を終える…迷夢に夢蝶が現れた。幸せな夢の世界では目が見える夢蝶、しかし鏡妖は激しく取り乱し、自分を見るなと怯えてしまう。「あなたなのね…分かってる」その時、展顔が壁に浮き上がる文字を見つけた。端木翠はその意味を悟り、展顔にもう少しだけ我慢して欲しいと頼む。「私は心のしこりを解く、あなたは結界を守って」温孤は夢蝶を送り出すと、法陣を破った紅鸞を叱責した。実は結界は紅鸞の接近を防ぐただの壁に過ぎず、展顔を守っているのは端木の耳飾りだという。するとその場にいた上官策と青花(セイカ)小仙が紅鸞は危険を顧みず展顔を守ってくれたと証言した。鏡妖はあと1年の修練で人になれたと聞いた。夢蝶のため気が急く心を幽族の使者に利用され、人になる夢が水の泡になったという。その時、結界を守っていた展顔の力に限界が来た。端木翠は早く決着をつけようとしたが、展顔は夢蝶たちが向き合える最初で最後の機会を守りたいという。仕方なく端木翠は一緒に結界を守り、夢蝶と鏡妖の心のしこりが解消されるのを待った。…あの日、夢蝶はうっかり鍛冶屋の店先に迷い込んだそこで偶然、人間に捕まった鏡妖の化粧箱に触れ、縁を感じて買うことにする鏡妖は命の恩人に感謝し、人になる修練中の妖怪だと明かした『私では力になれないわ…もっと用心してね』夢蝶は鏡妖を自由にして帰って行った鏡妖は初めて優しくしてくれた夢蝶を忘れられず、夢蝶の目の代わりになろうと考えたそこで美しい銅鏡となって天香(テンコウ)楼の店先に並ぶ鏡妖はここで人間の身体を借り、夢蝶を見守って来たのだ…実は夢蝶は鏡妖がそばにいることを感じ取っていた。「どれだけ人がいてもあなたの存在は分かる」そこで夢蝶は無辜の人々を解放し、2人でここに残ろうと懇願した。人にならねば夢蝶に寄り添えないと思っていた鏡妖、しかしようやくそれが間違いだったと気づく。すると端木翠が2人の間にある結界を外した。鏡妖と夢蝶はついに抱き合い、涙した。展顔は意外にも端木翠が愛し合う2人に情けをかけたと驚いたが、端木翠は照れ隠しに人助けが好きだと言う。「人間は容貌に惹かれると思ってた、でも本当の愛もあるのね」「心を惑わすのは情だ、容貌ではない」「幸い神仙の情は情債(ジョウサイ)箱に封じられてる さもないと蓬莱(ホウライ)中で男女がイチャついちゃうわ…さ、もう時間よ」鏡妖は独りでもしっかり生きるよう言い聞かせ、夢蝶に幸せな記憶を贈って現実世界へ戻した。夢蝶は最後まで一緒にいたいと泣いていたが、光の中に吸い込まれ消えてしまう。…来世があれば君と幸せになりたい…鏡妖はかんざしを端木翠へ返した。そして最後に自分のこれまでの修練を使って夢蝶に光を取り戻したいと懇願する。「夢蝶の目となり、この世の彩りを見てみたい…」「約束するわ」こうして鏡妖は消えた。すると展顔の身体も次第に消えて行く。「人は夢ではなく己の心に囚われている…細花流で会いましょう」「(コクリ)」つづく(  ̄꒳ ̄)いや容貌もありじゃない?w
2022.11.01
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