うりぼうず

うりぼうず

2006.09.25
XML
 満洲帝国というのは、もちろん、日本が作った満州国のこと。しかし、10章からなるこの本で、いわゆる日本の満洲建国については、始まるのがなんと8章から。それまでは、満州と呼ばれた地域の歴史が語られている。
 ある意味では、ワタシなどほとんど知らなかったこの地域の通史とみれば「そうだったのか」と思う部分は多い。中国の王朝を、都市に住む市場の管理者として成長していったという視点も面白いものであった。長い歴史からみれば、この地が漢民族が多数派になったのは、つい最近のことだ。
 ただ、やはり満洲帝国の部分が短すぎやしないか。そして、第9章では、「関東軍が抗日ゲリラ討伐のため一般の農民を弾圧した話、アヘン専売からの収入を機密費として利用した話、731部隊の話など、関東軍の犯した罪の告発部分が本書にないのは、すべて今後の精緻な研究を待ちたいからである」としているのは、やはり疑問だ。それを言うなら、ここに書かれていることが、すべて精緻な研究の成果として確定している事実ばかりではないだろう。

 著者の基本的立場は、日本の満洲支配について、やむをえなかった、あるいは、当時の中国に統治能力がなかったというのが基調になっているように思われるが、それで、こういった部分に触れないのは、やはりフェアではないではないだろうか。
 最後のところでも、戦後の満洲は中国の重工業生産の9割を占めた。東北地方は国有企業が中心で、たとえば大慶油田は純収益の90パーセントを政府に上納(中略)満洲帝国の遺産を食い潰したのち始められたのが、改革開放路線であったのである。と結んでいる。

 要するに、日本の満洲への投資がなければ、中国の工業化はありえなかったということか。しかし、大慶油田は、確かに満洲にあるが、すくなくとも日本支配の時代に出たものではない。これが、日本が開発した遺産であるかのように記述するのは、やはりオカシイ。

 いや、もちろん、軍閥の抗争や国共内戦、共産党の暴走による多くの惨事があったことは確かだろうが、それで、日本の支配がよかったかのような(そうは書いていないが、比較の問題としてそう受け取れる)記述は、やはり違う。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006.09.26 01:15:33
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

泣いた!笑った!中学… ぽむぷり。さん
ようこそ、ももちや… ももちやんさん
つるのオルゴール つる310さん
とむやんくんの受験… とむやんくんままさん
つぶやき日記 yunoma0504さん
亜州茶亭へようこそ 玲小姐さん
すずめのお宿か山茶… すずめのお宿か山茶花のお宿さん

Comments

どぴゅ@ みんなホントにオナ鑑だけなの? 相互オナって約束だったけど、いざとなる…
ドライブ好き@ 風呂入るのメンドクサイ! http://feti.findeath.net/vx-qau0/ 今日…
リナ@ 今日は苺ぱんちゅ http://kuri.backblack.net/oge803a/ 今…
地蔵@ 驚きのショックプライスw コウちゃんがこないだ教えてくれたやつ、…
まさーしー@ なんぞコレなんぞぉ!! ぬオォォーーー!! w(゜д゜;w(゜д゜)w…
アゲチン@ ありがとうな!!!! http://bite.bnpnstore.com/ansx9vp/ ア…
大岩井@ 目覚めたら巨チンってぉぃ あの女ー・・昨日チソコが痛くなるくらい…
池ちゃん@ ふぁいふぁいふぁーい!!!! 試しに第一間接曲げて手 マ ンしてみたら…
和尚@ ハゲプレイwwwww いやー坊主にして良かったよwwwwww…
痴女と痴男@ どこでもしゃぶるのな^^ うおっぷ!!!エレベーターでフ ェ ラし…

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: