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乱視に老眼が入るとまことに生きづらい。 あらゆるものの距離を計りそこなう。 今日はどうしても銀行に行かねばならず 窓口でいろいろ説明をうけ 狭い枠のなかの数字の乱舞を突きつけられて 乱視に老眼の筋肉はますます草臥れていた。 ひきこもり主婦は地下街の入り口で 日ごろの運動不足を反省し エスカレーターではなく 宝塚のような長い階段を 若干の誇らしさ(運動してます・・・みたいな)と ともに下っていたのだけれど ああ、そうなのだけれど 乱視老眼の目は、長く続く階段が だんだん見分けられなくなってしまい ああ、そうのなのだ・・・ 最後の一段を・・・踏み外した。帰りのつらかったこと。 地下街のひとの波のなかで 自分だけスローモーションで それはまったくもっておいてけぼりの感覚で これまでも、いろんなこと踏み外してきて ひとのペースにあわせらんなくて どんどん取り残されていく人生も重なってきて なんとも情けなかったのだけれど 痛い痛いと思いながら 一歩ずつ歩いていく自分のこと どうしようもないお馬鹿だなと思いつつも まあ、それでも歩いていくしかないんだから って気になってくる。 つまりそれでもどんなふうに痛んでも どの人生も自分の足で歩いていくしかないんだもんな ってことだなと思ったりするわけで そんなふうに思うために 必要な捻挫だったのかもしれない。 なんて負け惜しみのように言ってみる 足首腫れる夜であります。
2007.06.27
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いささか体調悪くごろごろと日をやりすごす。とはいえ、暮らしに必要なものは求めにいかねばならない。片頬のわたしは外に出る時は武装をする。元気がないときはそんなことがわずらわしい。だから、夜、おつかいにいく。風が吹き髪をかきあげ武装をしない片頬をさらす。ああ、くらがりはやさしい。誰の視線も刺さらない。遠く団地の風鈴が鳴る。ちがった音色がいくつも聞こえてくる。それぞれの暮らしがあって自分にとってはそれは遠く聞くものなのだなと思えてくる。コンビニで欲しい品物をかごに入れ言われた金額を払ってまた来た道を戻る。公園に寄り道する。夜の空気に浸りに行く。気がつくと土の上にガマガエルがいる。土と同じ色をしてそこにじっといる。くらがりにやすらぐかのように。公園の入り口のポールにもたれて柳の木を見上げる。柳は昼間と変わらぬダンスを舞う。それでも、夜になったら昼間は見えない何かあやしげなひとならぬものがそのダンスに寄り添っているような気もしてくる。足音が聞こえる。わたしの後ろを回って団地の前を歩くおんなの人がいる。そろりそろりと歩いている。壊れ物の自分を運んでいるような歩き方。痩せた背中が見える。だぶだぶにあまったズボン。跳ねた髪の毛。病み上がりのひとか。手には小さなビニール袋。明日へいのちを繋ぐ糧。そのひとは立ち止まったかと思うとためいきひとつついて団地の一番奥の階段をゆっくり上っていった。夜がやさしいのはすべてを包み込んでいながら余人と違うもののありかたに目くじらたてることなくふっと知らんぷりをしてくれるからかもしれない。
2007.06.21
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都営地下鉄のパンフレットに「いっとく」とひらがなが大きく筆書きされたものがある。「一日乗ったら一日遊べる。お得でうれしい特典いろいろ」というコピーが付いている。1ページ目に特典マップが描いてある。一日乗車券、ワンデーパスでいける路線図が一目瞭然だ。大江戸線、浅草線、三田線、新宿線、都電荒川線。土地勘がなくていつまでたっても路線が覚えられない関西出身者にはありがたい図だ。その路線の施設やお店でチケットを見せるとなにやらお得なサービスが受けられるらしい。ぺらぺらとページをめくってみると写真付きで施設が紹介されている。ふむふむと見入るとかつてたずねたことのある場所があってなんだか満足げな気分になる。行ったことあるのは・・・あらかわ遊園 ルミネtheよしもと 江戸東京博物館月島 丸ビル 旧古河庭園 向島百花園清澄庭園 旧岩崎邸庭園 浜離宮恩賜庭園六義園 小石川後楽園 松下電工汐留ミュージアムカレッタ汐留 コルド日本橋 ZOE銀座森美術館 六本木ヒルズ 東京ドームシティときて、全制覇かと思うがおっと「としまえん」に行ったことがないの気づく。三井美術館にも行っていない。まだまだ楽しめそうだ。東京都品川区の住人になってそろそろ丸4年が経つ。人生の思い出は生まれ育った京都の22年と息子たちが幼稚園から大学、専門学校まですごした横浜にみんな置いてきたような気がしていたがこうやって振り返ってみるとこの東京にも自分の足跡がたくさんあるのだと気づかされる。
2007.06.11
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ここで一ダース作った文袋の最後のひとつがこれ↓行く先は小説の先輩のkinuさん。是非ともと乞われてもらわれていった幸いな文袋だ。気に入ってもらえてよかった。kinuさんにはいろいろお世話になって5月末日にご馳走してもらったりして・・・。ありがとうございました。
2007.06.03
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