椿荘日記

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けむり男と落ちてきたお月様~2


けむり男と落ちてきたお月様~3


けむり男と落ちてきたお月様~4


その6


November 26, 2004
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カテゴリ: 生活
今年は暖冬なのでしょうか。

平年より高い気温が一向に下がらず、寒さに弱いマリに取りましては有難いことなのですが、少々気味の悪さを感じてしまいます。けれど早朝は流石に十一月の末らしく、幾らか冷え込んで、お散歩の際には温かいフォックスなどの毛皮のマフラーは欠かせません。今朝も空が白むのを待って戸外に飛びだし、大分歩くのに慣れた足を速めて、公園脇を行き過ぎ、乾いた喉を潤す為、珍しく冷たい炭酸飲料を自動販売機で求めました。
昨夜は、マリが常に日本画の先生と共に週に一度は顔を出す(そうでないとマダムに怒られてしまいますので)、「女王様のカフェ」と呼び習わしている、お友達のお店の五周年の記念イベントで、強か飲んでしまったからなのでした。

茅ヶ崎の駅から幾分離れたマンションの半地下にあるこのお店は、元々はマリと先生の共通の友人である県会議員のI氏(当時は市議でした)のお店だったのですが、公私共に忙しくなり、その後を引き受ける形で、全く素人だったマリのお友達、S夫人が始めたのでした。
最初はお料理好きなS夫人、マダムの手になるビーフシチュウやビーフカレー、ピッツアが自慢の、ランチやディナーの営業を中心とする「カフェ・レストラン」だったのですが、何時の間にかバーボンを中心としたウイスキー類やジン、ウオッカ、マール、カルヴァドスなどのハードリカーが種類多く置かれる「バー」となってしまいました。
「あなたのお陰なのよ」と機会あるごとに言われまして、マリはその度に首を傾げてしまうのですけれど、つまりはお酒好きで我侭(!)なマリがお店を訪れる度に「あれが飲みたい、これが飲みたい」と酔いに任せて気ままに「お願い」していたことが端を発した様で(苦笑)、今や茅ヶ崎でも類を見ないほどの品揃いで知られるだけでなく、ブラジル音楽好きな夫と先生が主催するボサノヴァバンドが、毎月ライブを行う音楽のお店としても、堂々の(!)展開で、数多ある洋酒を扱う競合店との差別化は、どうやら図ることが出来た模様です(笑)。

開始は七時からですので、先生と作業を終え(マリは現在、お稽古だけでなく助手としてお手伝いもしておりますので)、身支度を整え迎います。
この夜は、常連客である小父様達によるロックバンドの演奏や、マダムの息子さんが率いるポップス系のバンドが出演するということで、お店に到着致しますと既に演奏は始まっておりました。
ご親切にも、大方は立食というスタイルの中で、「高年齢(?!)」の為か、マリと先生の席は既に確保されており、感謝しつつ着席し、早速マリはバーボンソーダで、先生はテキーラのストレートで乾杯です。

律儀で気の利いた常連のお客様達は、花束や贈り物の包みを手にしておりますけれど、マリは昨年の4周年パーティで、「おしゃれをして手ぶらで来て頂戴」と厳命されておりますので、約束を守り今年も何も持参致しませんでした。「あなたが来ると場が華やぐから」とお世辞であっても嬉しいことを言ってくれまして、そう言えば昨年の個人の売り上げでは、マリは堂々の二位だそうで(苦笑)、プレゼントよりも一日でも多く来て、一杯でも多く飲んで欲しいとのことでしょうか(笑)。

そう、この夜もやはり女王様の「ご命令」通りに、ジャケットの袖口が折り返しのダブルカフスになっているエレガントな黒のパンツスーツに、プラチナやダイアモンドの装身具でお召かしを致しまして、女王様もご満悦の様子です。マダムの息子さんも既にカウンター内で忙しくしており、お給仕は、マダムともとても仲の良い、息子さんの可愛らしい年上のガールフレンドのY嬢で、良家のお嬢さんらしくとてもおっとりとしていて、気立ても良く、マリや先生に随分親しみを感じてくれているらしく、お代わりの飲み物を運んでくれる度に、二言三言楽しく言葉を交わし、次々と掛けられる注文の声に、黒の凝ったデザインのスカートの裾を揺らめかせながら、また慌しくカウンターに戻って行きました。

小父様たちのロックバンドは、アコースティックピアノにドラムス、リードギターとヴォーカル、ベースというシンプルな構成に関わらず、流石に年季が入っている所為か堂に入った演奏振りで、ディープ・パープルやレッド・ツエッペリン、ローリングストーンズなどの往年のロックの名曲を次々と演奏し、特にマリと先生と親しくしている、葬祭場に勤務するI氏の歌声は声量も音色も申し分なく(とは言え、イアン・ギラン、ロバート・プラントには勿論及びませんけれど~笑)、皆から喝采を浴びておりましたが、多少お酒が入っている所為かだんだんと音量が大きくなって参りまして(苦笑)、歓談をしたい向きに次第に煙たがられる様になり、斯く言うマリと先生もお互いに、耳元に口を寄せて大声で話すのが億劫になって、終には休憩を待ちわびるといった感じになってしまいましたけれど、小父様達は久しぶりの人前での演奏にすっかり興奮してしまったのか、休憩の言葉が掛かっても暫く楽器を手放さず、中々お洒落なメンバーですのに、つい、カラオケで熱唱する赤ら顔の人々を思い浮かべ、申し訳ないと思いながらも、その想像に先生と顔を見合わせ笑ってしまいました。

暫しの休憩の後、バーテンダーである息子さんの手になるマティーニを美味しく味わっておりますと、今度は息子さん達の若手バンドの演奏です。
昨年は中々の「迷(苦笑)演奏」でしたが、今年は問題だったヴォーカルも代わり、「下手くそだから」とのマダムの言葉を物ともせず、期待しつつ演奏に耳を傾けたのですけれど、やはりまだまだ努力は必要の様で(苦笑)、熱心さと音量だけは小父様バンドに引けを取りませんし、幾分酔いも回って参りましたのでその事を理由に、失礼ながら早めに退散することに。
今回は、音楽に関してはうるさい事が自慢(?)の、夫も誘ったのですが、生憎別の用事があり同道出来ませんでしたので、偶然ではありながら賢明であったと思わざるを得ず、時計を見ますとまだまだ宵の口で、飲み足らず楽しみ足りない飲兵衛師弟は、次のお店にほうほうの体で向かったのでした。





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Last updated  November 27, 2004 07:54:40 PM
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