椿荘日記

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その6


August 5, 2006
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カテゴリ: 生活
何時まで続くかとさえ思われた、長い梅雨が終わり、いきなり頭の上に落とされた猛暑に驚きと恐怖を覚える、真夏がやって参りました。

例年の如く夏バテに悩ませられているマリですが、28日の地元の花火大会を夫と麦酒を片手に楽しみ(そう、高校二年生になる息子は、家庭教師と共に家で留守番でした。少々可哀想な気が致しましたけれど仕方ありません)、この土日は、婚家の義母や義姉と共に恒例のお墓参りと、炎天下の近くの海岸で家族と共にバーベキューに舌鼓を打つなど、毎夏の光景と変わり無い様に見えますが、今年は家族にいくらかの変化と申し上げたらいいのでしょうか、例年と違う状況に、手放しの「夏休み」は、この二日間だけなのでした。

夫は、長く奉職しておりました会社を昨年早期退職の後、現在では独自でソフト開発などを行い、勿論以前とは違って個人でやっておりますので会社の与えてくれる有給休暇などなく、下手をすれば土日返上での仕事振りですし、息子は来年に大学受験を控え、日々の学習を怠ることは出来ず、マリはと申しますと、師匠である日本画の先生のお仕事が、今年のゴールデン・ウイークを境に前にも増して忙しくなりまして、当然の如く弟子であり助手のマリの忙しさもいや増し、家族に取りましてやっと開けた梅雨空の後の夏気分を楽しむ余裕は殆どといって良い程有りませんでした。

それでも、この土曜日は皆で万障繰り合わせ、何とか夫の実家のお墓参りに行ける様予定を調節し、その中でも日程的に一番難しかったマリが、同道出来ると分った時の義母の笑顔が、何よりも嬉しいことでした。
今年米寿を迎えた高齢の義父は、八王子までの長い道程(マリの住む湘南地域からはどんなに速くても一時間半は掛かるのです)に体力的にとても耐えられず、昨年の夏以来、お墓参りは諦めており、墓参を大切に、また楽しみにしている義父は寂しげで、マリも夫も気懸かりなのですが致し方ありません。道路の込み具合を考え早朝に出発、日頃の疲れなのか、助手席と後部座席で早速舟を漕ぐ(最初は夫がハンドルを握っていたのですが、眠たそうにしているということで、義姉に運転席を追い出されてしまいました~笑)、男性陣を尻目に、義母、義姉、マリと、お喋り好きな女性陣はお話を途切れさせる間も無く、屈託無くお喋りに興じ、笑ったりしながらやがて墓地に到着です。

梅雨時の、あの寒いほどの気温が嘘の様な暑さと強い日差しに、皆で辟易しながらもお墓の草むしりとお掃除を済ませ、お花とお線香を手向けて会ったことのない夫の祖父母の霊に手を合わせます。
マリが夫の家に嫁ぎまして早くも十数年立ちましたが、以来イギリス滞在中の儘ならない時分を除いては婚家の墓参は欠かしたことが無く、今回も日程調整の難しさで、思わず同道を諦めようとさえ思ったのですが、「皆勤賞」を狙う(?)マリと致しましては矢張り心残りでしたので、何とか調整し今回も訪れることが出来まして今年の夏も無事お役目を果たすことが出来、ほっと致しました。

帰途も義姉の運転で(あなたの運転はやはり信用出来ないとの「御託宣」に、流石の夫もたじたじで~苦笑~尻尾を丸めて~笑~またもや寝てしまいました)、何時も家族との会食に使っている大磯の「蒼浪閣」での昼食の為に元来た道を戻ります。
「蒼浪閣」は現在は、プリンスホテル系列のレストランとして当地では有名で、元々は伊藤博文公や吉田茂元首相など、著名な人物に所縁のある、歴史的な場所としても知られておりますけれど、その歴史的な価値や文化財としての価値をも認められながらも、来年の三月一杯をもって閉店、店舗として使われているその貴重な建物も他の施設と共に売却されてしまうそうで、部分的な混雑を縫いお昼過ぎにやっとたどり着いた、お馴染みの建物を前に暫し感慨に耽ってしまいました。


勿論、今様の青少年らしい軽い反発は見せますけれど、息子は息子なりに楽しそうで、その表情に思わずマリも夫も心が和みます。コース外の追加注文のお料理を、皆を驚かすほどの健啖振りで平らげて見せた後、杏仁豆腐は嫌い、と滅多にない好き嫌いで、また皆を驚かせます(苦笑)。
義母の、家に一人残してきた義父を心配し、食後覚束無い様子で携帯電話を掛け様子を聞く姿に、つい耳を欹てつつ、身近に住まう安心の故か、母の柔らかな表情に安堵感を覚えながらも、ふと心に掛かる翳りを禁じえないマリなのでした。





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Last updated  August 9, 2006 09:22:11 AM
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