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本日付の『日本経済新聞』朝刊の消費面で、「高速ツアーバス快走 シニア・女性の利用増える 飛行機とセット/地方へも路線」と写真入りで大きく報じていただいた。リード部分を引用すると<夜間を中心に都市を結ぶ高速ツアーバスの利用が広がっている。これまで割安な料金を武器に主に大都市間で乗客数を伸ばしてきたが、飛行機など他の交通機関と組み合わせたセット商品の充実や、地方都市への路線網拡大により利便性が増してきた。シニアや女性客も増えており、待合室の整備など運行会社側も対応を急ぎつつある>。としている。地方都市路線拡充についての私のコメントもそのままお使いいただいている。会社名が記事中に出ない場合も含め、このようなご取材は引き続き増えており本当に感謝である。私としては、既に「高速ツアーバスだけの側」の立場ではないので(従来からも個人的にはそのつもりだったが、会社としても正式に「両方?の販売のお手伝いをする立場」に脱皮することができたから)、そのようなご取材の際にお話しする内容も変わってきている。これまでは「高速ツアーバスが新しい手法で乗客数を増やしている」という趣旨だったのが、最近では「需給調整撤廃と高速ツアーバス業態容認による競争激化がサービスの多様化を生み、それが高速バス市場全体の成長を促している」というお話をするように変わったのだ。直接はまだ契約がない高速路線バス事業者もふくめ、最近がんばっているなと思える会社の名前を何社かお伝えすることも多い。実は今回のご取材にあたっては、思い切って<最近の傾向としては……そうですね、一言で言えば「高速路線バスの逆襲」です>と切り出してみた。本ブログ上部のリード部分にあるとおり、「眠れる獅子」がとうとう立ち上がったんですよ、とお伝えしたのだ。何社かが、高速ツアーバスと同一画面上に並ぶことを覚悟で私たちのサイトで販売するようになった例などを挙げながら、これまで規制に守られてきた分「おくて」だった既存事業者も、最近では変わりつつありますよ、と。しかしそれから何度かの追加取材も経て完成した記事は、「高速ツアーバス快走」であり、高速路線バスの話題は残念ながら一つも出てこなかった。高速バスについて知識の無い記者さんでは決してない。私自身も過去に何度もご取材を受けており、今回も1ヶ月以上追加取材も続いた上での本日の記事だから、信用ある新聞社として、あるいはプロフェッショナルの新聞記者として読者に伝えないといけないのは、「高速バス快走」ではなく「高速ツアーバス快走」だと判断した、ということなのだろう。やれ行政が(規制緩和が)悪い、やれ旅行会社が悪いと全てを外部環境のせいにしたがる人たちはよく、「メディアはわかっていない」と言いたがるものだが、いやそうではなく、綿密に取材を重ねた上で、ましてや私のように「高速路線バスの逆襲が始まった」と伝える者がいたにもかかわらず、プロの新聞記者の目には、引き続き高速ツアーバスのみが新しい工夫をして乗客数を伸ばしているように映ったという点を、高速路線バス事業者やその関係者は肝に銘じるべきである。最近、ウィラー・トラベルと平成エンタープライズがメディアに採り上げられる例が多くその2社が高速ツアーバス急成長の代名詞のようになっている(今回の記事でも、その2社とオリオンツアーとが紹介されている)。その2社に対し既存事業者がどう感じているか。ある高速路線バス事業者の課長さんは<○○バスさん(隣接する路線バス事業者)の高速バスには、正直、脅威だとは感じなかった。でもウィラーさんの便に乗ってみて「なるほど。これじゃあウチは負けてるなあ」と感じた>とおっしゃった。多くの事業者からは逆に<ヤツらは見た目はきれいに見えるけど、しょせん見た目だけだからライバルとしては怖くもなんともない>という声を聞く。もちろん、両者が100%本音かどうかはわからない。もしかしたら前者は<とりあえず成定さんの前だからウィラーのことを褒めておこう>と考え、後者は、私の前では虚勢をはりつつ裏では必死で勉強しているのかも知れぬ。しかし素直に受け取るならば、この人と協力してお互いの事業を一緒に成長させていこう、この会社の高速バスの成長のためにせいいっぱいお手伝いしよう、と感じるのは、言うまでもなく前者である。なにも、ウィラー・トラベルや平成エンタープライズが100点満点だと言っているのではない。彼らの課題は彼らの課題として、厳然と存在する。「協議会」事務局として、あるいは受託販売会社として、それは私自身の課題でもある。上記「後者」の方々は、運行管理全般や特に集合場所での安全確保、法令遵守の問題について指摘をしたいのだろう。その気持ちはもちろんわかる。それは重々わかるんだけれども、全てを外部環境のせいにし、多少目立ち始めた新規参入者にはその不足点だけをあげつらい、その長所に目をそむけ続ける限り、既存事業者の高速路線バスはこれ以上成長しないとお伝えしたいのだ。本日の記事をきっかけに私があえて書かずにおられないのは、なにせ日経の本紙という影響力の大きいメディアだけに、<ツアーバスの連中は目立つことだけ得意で>、いや場合によっては<メディアは何にもわかっていない>と、今ごろ誰かを悪者にしている人たちがいるだろうからこそ、逆に、なぜそうなったのか、自分たちは世間からどのように見られているのか、にも考えをめぐらせていただきたい点である(もちろん、高速ツアーバス関係者が考えないといけない点が数多いことも忘れるわけにはいかない)。結局、こうやって文章にしてみると、私「個人」としての思いは高速路線バス、あるいは既存事業者をどう元気づけるか、という点にあるんだなとあらためて感じる。その意味では、ここまで一緒に成長してきた「仲間」である高速ツアーバスの関係者が、このブログをあまり読んでいないことを密かに願っているのだが(苦笑)。
2010.09.29
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<遅ればせながら、ウチもようやく「ツアーバス対策」を始めてね>などと、最近よく耳にするようになった。それは大きな大きな前進である。まあ、競合の新規参入があって初めて、やれ価格施策だ、やれ増便だと、まるで夏休みの宿題を溜め込んでいた小学生のようにあたふたすることが満点かどうかは別として、そもそも収益事業であり、かつ鉄道や航空に対する挑戦者の立場である高速バス事業は、競争によるサービスレベル向上(価格低下を含む)が業界全体の規模拡大を後押しすることは間違いなく(その点が、競争が即、全体の規模拡大につながらない公益事業としての平場の路線バスとの相違点だ)、それこそが私が思い描いてきた業界の構図である。ただ、その「ツアーバス対策」。一昨日書いたような「現状認識」と「因数分解」が無いまま経営者や担当者の頭の中で感覚的に進んでしまいがちなのが少し気になる。<ツアーバスなんかに負けたくない。なんとかしろ!>では、うまく行くはずがないのだ。事業者によっては、あるいは担当者によっては、<ツアーバスが安いから客を奪われているんだ→だから我々も値下げするしかない>と言うし、別の事業者や別の担当者は(私の言葉が効きすぎたのか)<ツアーバスはウェブマーケティングによって新規需要を掘り起こしたんだ→だから我々もウェブを活用して新規客を取り込もう>と言う。それぞれの意見は間違っているわけではないが、現在置かれた状況からある事象だけを採り上げ、それだけが原因で、だからそれに対応すれば状況が変わると考えてしまうのは短絡的だ。「結論への跳躍」というやつである。<我がチームは打撃が弱い。だから強打者を補強しよう>というのと同じだ。得点が少なくても投手力が強ければ勝てるし、得点数が少ないのは、個別の打者の打率が低いからではなく打線のつながりが悪いからかも知れないのだ。だから、まず、自社の置かれた状況の全体を「俯瞰」してみる必要がある。その上で一つひとつ個別の項目に分けて考えないといけない。急成長する高速ツアーバスに比べ、低成長または縮小傾向にある自分たちの高速路線バスのどこにどんな問題があるのか。例えば「新規客と既存客」という分け方ができるかも知れない。「ツアー」側は【1】ウェブをうまく使って新規客を開拓した。同時に【2】既存客も少しずつ奪われていってしまっている。ならば、「路線」側が対応すべきなのは、自分たちも同じように新規を開拓しながら、これ以上既存が流れないようにブロックすることである。では【1】の新規について、「ツアー」は何をやったのか? そこで初めて【1-1】ウェブによるプロモーションという話が出てくるし、【1-2】高級志向/低価格志向、男性向け/女性向けなど細分化された商品設定という点も忘れてはいけない。【1-3】も【1-4】もある。で、一口に【1-1】ウェブによるプロモーションと言っても【1-1-1】検索エンジンで「高速バス」などと検索された際に自社サイトが上位表示されるよう努力しているという話もあるし、【1-1-2】予約サイトに席を預けることで、楽天会員のようにふだん高速バスに乗らない人たちへ配信するメールマガジンに掲載されるなどして高速バスの認知が向上したという話もある。【1-1-1】検索エンジンでの上位表示に限っても【1-1-1-1】SEOと【1-1-1-2】リスティング広告に分けられる。SEOはサイト構築そのものの問題だからすぐには結果を出せない。リスティング広告は、すぐに対策は可能だがコストが必要だ。【1】の新規の部分でこのように細分化できるのと同様、当然、【2】の既存客についても細分化が可能である。<検索エンジン(Googleなど)で「高速バス」と検索してもウチのサイトが上位に出てこない>というのは、たしかに一つの事実かも知れないが、かといってそれがその事業者に最もクリティカルな課題とは限らない。「新規客の取り込み」という課題のうち、「ウェブ」という分野の、さらに<高速バスに乗りたいと考えているが、走っている会社名や予約方法がわからず、とりあえずGoogleで「高速バス」と検索した>というユーザーに限って有効な話である。特定の地方都市を発着する路線に乗りたい乗客候補のうち、いったい何%が、あまりに漠然と「高速バス」と検索するだろうか? ましてや、従来から自分たちの高速路線バスを使ってくれていた既存客が高速ツアーバスに逸走してしまっているという現実に、この「検索での上位表示」問題はなんら関係がない。つまり、まずは自分たちが置かれた状況について全体を見渡し、それを一つひとつ大項目から中項目、そして小項目へと切り分けていく。なるだけ細かく分けられた項目と、それぞれに対する対応策の中で、いかに優先順位をつけていくか。つまり、どの項目への対応策が「小さいことだけど、今すぐカンタンにできること」ないしは「カンタンにはできないけど重要なこと」か、見つけ出すことがポイントだ(いや、高速路線バスに限っては、「カンタンにできて、かつ重要」な項目さえ、まだまだたくさんあるようにも思えるが)。逆に最も避けなければならないのは、何か特定の分野にだけ対応策を実施して、それで「ツアーバス対策」を打ったと満足してしまうことである。よほどビジネスに関して動物的な「嗅覚」に優れた人物でない限り、結論を急ぐのでなく、上記のように一つひとつ順番に考え優先順位をつけていくのが、まどろっこしいように見えて結局早道のはずだ。その手間を惜しむなら、いつまで経っても、せっかくの「ツアーバス対策」は結実しない。もう一つ。<何を面倒な。ツアーバスなんてなかったら、あるいは規制緩和さえなければもっと平和だったのに>という気持ちがどこかに残っているなら、それもまた「ツアーバス対策」の実現には妨げになる。右肩上がり経済の終焉とともに変化を迫られているのはどの業界も同じ。この国全体に共通した課題だ。既存事業者各社がいま求められている変革は、この国全体が求められている変革でもある。誰かの判断で変えさせられるのではなく、変わらなければ未来が無いから、変わらざるをえないのだ。この状況でなお「バスは特別」という意識があれば、どこかに甘えが出る。そして業界全体で仲良くするのは楽かも知れない。ただし、業界全体で仲良く、一緒にずぶずぶと沈んでいく覚悟があるのならば、だ。
2010.09.24
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昨日は久しぶりの更新だったので内容がモリモリになってしまい、書かねばならぬことを全て書ききれず遅ればせながら本日追記する。まず、しばらくサボっている間に「死んでないか?」と心配してメールを下さった方をはじめ、全く更新していないにもかかわらず本ブログをチェックして下さった多くの方にお詫びとお礼を。次に昨日書ききれなかったトピック。昨日から取扱が始まったのは、実は「ハローブリッジ」号だけではない。東武バス株式会社が企画実施し東武バスセントラルが運行する「佐野プレミアム・アウトレット ショッピングライナー」もまた昨日スタートだった。同種の商品としては、小田急箱根高速バス、京成バスシステムに続く3社目ということになる。毎日運行し繁忙日には続行便も設定される箱根高速の御殿場に比べれば週末のみの設定ということでおそらく取扱高もこじんまりしているだろうが、大手私鉄系事業者とのお付き合いという意味では重要な意味を持つ。会員向けメールマガジンで紹介するなど私たちのサイトで集客すると同時に、実は東武バスの公式サイトからも「インターネット予約」のボタンをクリックすると私たちの予約システムにリンクする。つまり、本商品に対し私たちが提供している役割は本来のそれを超えている。それには以下の事情がある。まず、東武線の新越谷を基点としアウトレットモールを訪れる商品だから、ターゲットは言うまでもなく東武沿線在住者である。最も有効なプロモーションは、車内吊りポスター、駅置きチラシ、東武鉄道の広報誌などだ。それらを見た利用者がいざ予約しようとする際、従来は東武トラベルに行く必要があった。東武トラベルの各店舗は沿線の駅前に立地し便利だが営業時間の制約がある。一方、アウトレットモールを訪れる利用者は、属性から見てウェブと親和性が高い。ではウェブ予約を導入すればいいかというとそれは簡単ではない。募集型企画旅行形式である以上、旅行条件書の手交(ウェブの場合は予約ステップ上で「同意する」旨の表示など)が必要である。電話予約センターで係員が座席数と予約内容を管理するだけなら、紙の台帳のほか、同社が導入済みの高速路線バス用の発車オーライネットでも代用できるが、上記理由からそのままウェブ予約に対応とはいかない。募集型企画旅行用のウェブ予約エンジンは数多くあるが、この1コースのためだけにエンジンを導入しても固定費が回収できない。そこで、取扱高に応じてコストが発生する私たちのサイトが「とりあえず」の候補として登場するのだ。未だ私たちのサイトを発車オーライネットのライバルかのように言う人がいるし、中には「楽天があれだけツアーバスに対し送客しているんだから、発車オーライネットももっと集客をがんばれ」などという意見も聞くが、失礼ながらとんでもない勘違いだ。東武バスが東武沿線でアウトレットの需要を掘り起こすのが得意なように、各事業者は既に、相応のコスト(見えないコストも多いが)を投下して自らの沿線で高速バスの認知向上を図っている。特に地方側の事業者は十分にそれを成し遂げている。だから、「○○バスが○○行きの高速バスを運行している」と既に知っている利用者が相応に存在する以上、発車オーライネットらの役割は、いかにそれらの利用者が簡単に予約することができ、かつ、いかにコストを抑えて事業者にシステムを安定提供できるか、という点に尽きる。それに対し私たちのサイトは、多少の手数料を頂いてでも一人でも多くの新規利用者を送客することが本来の役割であり、だからこそ、仮に「全国のあらゆる高速バス」の取扱が実現したとしても、事業者側は全ての座席を私たちのサイトに登録する必要はない。ヨドバシカメラでは「全メーカーのテレビ」を売っているが、かといって「全てのテレビ」がヨドバシカメラ“だけ”で売られているわけではない。「このままだと売れ残りそう」「認知度が上がればもっと伸びそう」な便や、それに相当する座席数だけを取扱うのが私たちだ。「飛び道具」なのである。だから、発車オーライネットに対しそのような新規利用者の開拓を求めるのは(むろん全く効果ゼロではないだろうが)、それに対応した結果、発車オーライネットのシステム利用料に反映してしまえば事業者にとってむしろマイナスになってしまう。一人でも多くの新規需要を開拓することが私たちに求められているのに対し、少しでも安く提供するというのは、発車オーライネット最大の意義である。むしろ考えるべきは、例えば○○市に住んで通勤に毎日○○交通バスを使っている人が、車内ポスターで同社の東京行き、大阪行き高速バスの存在を知ったとして、いざ予約しようとした際、○○交通バスの自社サイトで情報を確認したあと予約エンジン(発車オーライネットなど)にリンクされ予約成立まで導かれるウェブ上のステップはストレスフリーだろうか。せっかく自社サイトで該当路線のページを開き時刻や運賃に納得して「予約しよう」と試みているのに、予約エンジンに飛んだ瞬間、またもう一度エンジン側のトップページから路線検索などさせられていないだろうか? あるいは、いまさら時刻も運賃も車両グレードも確認する必要がないくらい毎週のようにリピート利用している乗客が予約エンジンに直接訪れたとして、日付と便を選ぶだけで1ステップでも少ない動作でカンタンに予約まで辿り着いているだろうか? 事業者は、ウェブ予約ひとつをとっても、既存客あるいは自社で需要喚起した利用者に対して最適な予約エンジンと、認知向上や新規需要開拓に適した外部の予約サイトとをうまく使い分ける必要がある。もちろん東武バスのように「1コースのために自社予約エンジンを準備するのは固定費がかかってしまうから自社エンジンの役割まで楽天さんに任すよ」というのも一つの選択肢であるし、予約エンジン側に「リピータ向けの機能をもっと充実させてよ」などとオーダーすることも選択肢である。大切なことは、これはウェブに限らない話だが、自分たちの置かれた状況(自社の強み、弱みや外部環境の変化)を冷静に把握した上でそれを因数分解し、それぞれのテーマに対して適切な選択を重ねていくこと。結局、まず最初のステップとして「冷静な現状認識」と「適切な因数分解」を習慣づけられるかどうかにかかっている気がする。
2010.09.22
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この夏は本当に色々なことがあって、バタバタしている間にブログの更新もついつい怠ってしまった。思い返せばバタバタの幕開けとなったのは、7月の人事で、お世話になっていた国土交通省の方々が数人、異動になってしまわれたことだ(逆に、協議会立ち上げの前後に本当にお世話になってその後他省庁に出向し長らく東京から離れていた方が本省に戻ってきたりもした)。その後、お盆の繁忙期こそ大きな問題なくクリアしたものの、お盆明けに高速ツアーバスの大きな事故があり、受託販売会社としても高速ツアーバス連絡協議会事務局としても対応することとなった。また数字の面では、この夏休みの取扱高の目標は対前年で約3割増であったのに対し約2割増で終わってしまい会議の度に胃が痛い。ただその中でも、首都圏~秋田県、山形県の路線が対前年2倍を越す成長で、それ以外にも首都圏~青森県や京阪神~鹿児島といった大都市と地方都市を結ぶ夜行路線が比較的好調だったのは従来からの傾向である。ちなみに秋田はウィラー・トラベルが今年から3列シート車を投入、山形はお盆の時期限定で庄内交通観光バスが高速ツアーバスに参入、青森は弘南バスの高速路線バス取扱開始や南部バスとウィラー・トラベルの提携、鹿児島は九州産交バスの高速路線バス取扱開始という風に、利用者の選択肢が目に見えて増えた路線がサイト全体でも相乗して好調であった。そして異常に暑かった夏の最後に来たのが、総務省行政評価局により国土交通省に対して行なわれた「貸切バスの安全性確保に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」であった。総務省行政評価局とは一般企業でいう「内部監査部」に当たる組織で、本件についても非常に長い期間をかけ丁寧に評価を行なってこられた。たしかにここ数年国土交通省が行なってきた規制緩和とは、事後における適切な監視とそれに対応した罰則が機能することが前提であったことは論を待たない。本ブログでも経済人@尾張藩氏から何度もコメントをいただいている通りである。その観点から厳しい指摘をされている。立場上、今回の勧告に深くコメントすることはできないが、次の2点を感じたことだけは表明しておきたい。一つは、国土交通省や観光庁の皆様にはこれまで色々とご協力、ご決断をいただいていただけに、結果としてこのような勧告が出ることになったのは、お互いに目指す形にまだ辿りつけていなかったわけであり、少なくとも単純に個人的な気持ちとして忸怩たる思いが強いこと。もう一つは、今回もまた旅行会社が悪者視されている点には大いに不満な点である。ちなみに私たちの会社は旅行業界では鬼っ子であり、本来は私は旅行業界の意見を代弁する立場には一切ないし、代弁しようと考えたこともないI(そんなことをしたら多くの旅行会社から嗤われるかもしれない)。それでもあえてこの件を取り上げるのは以下の思いだ。「旅行会社は(企画旅行の場合)貸切バス代金を値切って、(手配旅行の場合)手数料をがっぽり取ってバス会社の儲けをさらっている」と言うのは簡単だが、旅行会社が本当に楽でおいしい事業なら、業界大手3社が揃って赤字(それも最大手は年間150億も)のはずがない。さらにこの貸切バス代金に限って言えば、公正取引委員会から旅行会社がカルテルとして摘発された例も多い。公取委は、価格競争を行なって消費者に還元しろという姿勢なのだ。それを、国交省(と、それに対して勧告する総務省)と公取委とで一貫性がないと非難することは容易である。だが、やれ旅行会社が悪い、やれ行政が悪いと、不都合なことは全て外部のせいにし続ける限り、バス業界はこのまま衰退するよりないだろうと考える。競争がありながらも安全性が強く問われる業界も、メーカーが作って販売は小売業者が担う業界も、この世の中には貸切バス業界だけではないのだ。(決して旅行会社が悪くないと言うのではなく、あるいは旅行業界の擁護のために言うのではなく)変わることができなければ衰亡への道が目に見えているバス業界自身の構造変革のために、これ以上、全てを外部環境のせいにして被害者面を続けるのは終わりにしようと言いたい。とはいえ協議会事務局としては、本勧告中、高速ツアーバスに関する部分で「ツアーバス関係者による自主的な改善を促すこと」とされている点を肝に銘じ、従来から長い期間かけて準備を進めている改善策も足元ですぐに実現する改善策も含め、真摯に対応していきたい。さて、季節も、そんな夏からまもなく一つ進もうとしている。特に高速路線バスの取扱を増やすという点に関しては年末にかけ大きな動きが続く。その第一号として、本日から西東京バス/四国高速バスによる八王子・新宿・横浜~高松・丸亀線「ハローブリッジ」号の取扱を開始した。本路線は、私自身が新宿高速バスターミナル(通称「西口」)でのアルバイト時代に、毎日のように見送ってきた路線である。京王本体(当時は京王帝都電鉄自動車事業部)から西東京バスに移管されたので、私たちのサイトにとっては、金沢線、そして成田空港線に次ぐ西東京バス3路線目の取扱という位置づけだが、私個人としては、自身の原点である西口を発着する路線を初めて取扱させていただけるわけで感慨深い。大きな、大きな一里塚という気がする。言うまでもなく、乗車対象初日である10月1日には、西口まで「ハローブリッジ」を見送りに行くことになろう。西口には知った顔が何人もいるわけだが、あらためて「これからお世話になります」と挨拶しないといけないのかなあ。実際に自分たちが需要喚起したお客様が、勝手知った西口からご乗車されると想像すると(あくまで個人的な思いだが)感無量である。「取引先」の立場として西口のプラットフォーム上で初めてバスに頭を下げるとき、涙をこらえられるかどうか、今から少し心配している。
2010.09.21
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