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3月1日出発分からお取扱が始まった、弘南バスの高速路線バス「津輕号」(青森~東京)、3月いっぱいに関しては、続行便も含めほぼ毎日満席の大盛況だった。私も何度か東京駅八重洲口に足を運び、自分の会社の予約確認メールをご持参になるお客様が弘南バスの乗車改札を受ける様子を確かめた(周囲から「仕事と称して実はバスを見に行っているだけだ」とか言われながら)。また弘南バスのご担当の方も、座席管理にアグレッシブに取り組んでくださった。自社の基幹システム「発車オーライネット」(電話予約、ウェブ予約→コンビニ発券に対応)側の座席が満席になりそうなら私のサイトから席を引き上げ、逆に私のサイトの残席が少なくなると「発車オーライネット」から席を抜いて追加投入し、という具合に、毎日を満席に導くようこまめにコントロールしてくださったのだ。結果としてどの便も早々に満席になったのだから、私が言うのも変だが、余計な送客手数料を負担しなくてもいいよう「発車オーライネット」に優先して座席を「温存」すべきだったと言ってもいいくらいだ。もっとも、3月いっぱいは特別割引を設定しておられたことを考えても、目先の損得ではなく「まず乗っていただく」ことを優先した結果だろう。私のサイト全体でも東京~青森線は好調だった。弘南バス観光部、オリオンツアー、ウィラートラベル、ロータリーエアーサービスと、毎日運行の便だけでも4往復の高速ツアーバスが安定して運行するという、ほどほどの規模感にまで成長しさらに今でも成長基調にある区間にもかかわらず、なぜか全社「4列ゆったりシート」(スポット運行の便はもちろん「4列スタンダード」)それもトイレなし車両ばかりだったこの区間に「3列シート・トイレつき」車両が登場したことで、もともと私のサイトで高速ツアーバスを予約していたリピータのお客様にも新しい選択肢を示すことができたわけだ。さらにこの「津輕号」の件は東北では新聞やテレビで大きく報じられたこともあり、新しいお客様の流入もそれなりにあったと推測している。メディアに紹介されたりメールマガジンを発行したりして高速バスの認知を上げつつ、お客様が便利に予約できる環境(さまざまなタイプの高速バスを比較検討しながら簡単に予約できる場)を提供すればさえ、高速バス市場全体も、その中で高速路線バスも、ともに成長できるということを証明できたのではないか。実は正直に言うと、この「津輕号」についてちょっと不安に感じていたことがあった。それは「3月についてはキャンペーン割引期間中だからよく売れているのではないか」ということだ。弘南バスは、もともと片道10,000円していたこの路線に3月いっぱいは6500円という割引を設定した。私のサイトから高速ツアーバスを予約していたお客様にも、また全く同一区間を運行する他社の高速路線バスを利用しているお客様にも「まずは乗っていただきたい」という考えだったということだが、6500円というのはたしかに安い。4列シートで運行する自社の高速ツアーバス「弘南バスツアーズ」とほぼ変わらない価格なのだから。したがって、3月出発分については、「その価格なら一度『津輕号』に乗ってみるか」と価格の安さに惹かれ他の交通機関や他社の高速路線バスから転移した利用者や、私のサイト上で各社の高速ツアーバスと比較検討のうえ「津輕号」を選んだお客様が多いのであれば、平日・日曜8500円、金曜・土曜・祝前日9000円に“戻る”4月以降は予約数が少ないのではないかと危惧していたのだ。その4月が近づいてきたが、しかし4月以降も順調に予約が入っているようでほっとしている。4月は高速バス市場全体が落ち込むシーズナリティであるし、価格も上がっているので、すごい勢いでどんどん売れていった3月に比べるとさすがにペースは落ちるが。「多少高くてもいいものは売れる。お客様は“価格だけ”で選ぶのではなく、“品質と価格のバランス”で高速バスを選んでいる」とご説明してきたが、それも間違いではなかったと心底ほっとしている。座席タイプやアメニティといった「目に見える品質」にとどまらず、安全に対する投資や運転・接客技術など「目に見えない品質」についても価格とのバランスをお客様が見極められるようにすることを、私たちは次に求められているのであろう。もう一つ、ほっとしたことがある。私のサイトではほとんどのお客様が「乗車県→下車県 ○月○日出発 大人○人」と条件を入れて「空席検索ボタン」を押すわけだが、3月中の出発日を入れて「東京→青森」や「青森→東京」と検索すると、「津輕号」がなかなか表示されなかったのだ。理由は簡単、早々から満席になっていたからである。私のサイトでは、満席の日やもともと設定のない日を乗車日として検索すると便自体が表示されないのだ(この仕組みこそが、高速ツアーバスの爆発的な成長に重要な役割を果たしたのもたしかだが・・・)。「うれしい悲鳴」とも言うべきだろうが、青森までの高速バスを予約しようと私のサイトを訪れたお客様に、せっかくの「3列シート・トイレつき、老舗事業者、立派なバスターミナルからの乗車」という商品をお見せできないのは、(先月まではお見せする術もなかったくせに)すごく悔しいというか、もったいない思いを感じていたのだ。それが4月以降は少し予約ペースが落ちているためにほとんどの日にまだ空席があり、お客様に「津輕号」を見ていただけることは、(実際にどのバスを選ぶかは別として)少し逆説的だが、個人的にはほっとしている。青森方面のお客様に「津輕号」のような新しい選択肢をお示しすることができ、かつ事業者側の乗車率向上にも寄与することができ・・・・・・という状態を一度経験してしまうと、例えば既に最大17往復にまで育った東京~富山・金沢や東京~四国各県など多くの夜行路線で3列シートが圧倒的に不足し“蒸発”するように売切れてしまっている状態だし、次はそういった区間で高速バスを予約しようと空席検索しているお客様に3列シートを、そして既存事業者の高速路線バスを選択肢としてお示ししたいし、伊豆など近郊温泉地の旅館を予約するお客様に高速バスの存在をお示ししたい。欲は止まらないというか、早く高速路線バス取扱をもっともっと拡大したい。もっともそのためには、地道にご提案活動を続けるよりないわけだが。
2010.03.25
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レベニューマネジメント(RM)の教科書によく「早期予約割引」という概念が出てくる。日本では、航空運賃の規制緩和が行なわれた際に、ANAが「早割」というストレートな商品名(ちなみに同社の登録商標)とともに導入して以来、運輸や旅行関連にとどまらず世間で定着した感がある。運賃制度変更以来、高速路線バスに導入している会社も多い。では、なぜ「早く予約すれば、安い」のか? 早期予約割引制度を導入している高速路線バス事業者にとって、同制度導入はどんなメリットをもたらすのだろうか。割引しても乗車率が向上すれば結果として売上ならびに利益が増えるから……たしかにそのとおりなのだが、ではなぜ「早く予約する」人にだけ割引を提供するのか、という質問である。RMの基本は、利用者をセグメント化し、それぞれの顧客群に「適切なタイミングで、適切な価格で」在庫(座席)を販売することである。では顧客セグメントとは何か? RMの先輩格にあたる航空業界を例にもっともわかりやすく言えば、プレジャー(旅行)のために航空を利用する人と、ビジネス(出張)のために利用する人、の分類である。そして、それぞれの予約リードタイム(何日前に予約を取るか)を比較してみると、概してプレジャー客はリードタイムが長くビジネス客は短い。私自身を例にしても、次の旅行に向けては、同行する家族と調整した上で会議の日程や上司のご機嫌を見比べ、ずいぶん前に日程を確定させ休暇を申請する。対して出張はおおむね直前に決まる。私なら地方の路線バス事業者にお邪魔するわけで、ギリギリまで各社の担当者とアポイントを調整する。では、プレジャー/ビジネスそれぞれのバジェット(予算)はどう違うだろう。航空の場合、プレジャー客なら航空運賃は「自腹」なので、コストコンシャスな選択をすることになる。多少不便な時間帯(真昼間など)であっても運賃が安い便を選ぶケースが多いだろう。あるいは、沖縄に行くのとグアムに行くのとで航空運賃がさほど変わらないなら今度の旅行はグアムにしようか、など、旅行先を変更してしまう(つまり羽田~那覇を飛ぶ航空会社にすれば乗客を1組ロスする)こともあるだろう。それに対して出張客はというとコストを会社が負担するから価格差は意識しない。それより、なるだけ早く現地について多くの取引先に訪問したいとか、本社で何時から開かれる会議に出席するために東京に向かうとか明確な目的がはっきりしているから、行き先を変更できないばかりか自分の都合に合った時間の便に乗るしかない。結果として航空会社は、事前予約では割引としてプレジャー客を集客し、低単価でも搭乗率を高め最低限のレベニュー(売上)を確保した上で、直近に予約するビジネス客には正規運賃で販売し利益率を高める、という筋書きになる。ホテルの場合は、というと、アメリカ市場では航空と同じスタンスで問題ない。プレジャー客は自腹を切るからコスト意識が高く、ビジネス客は「会社を代表して出張するのだから、ハイアットなど相応のホテルに泊まるのは当たり前」という商習慣だからだ(逆に安ホテルに泊まったりすると、取引先から「会社の代表」として信用してもらえないかも知れない)。しかし日本のホテル市場は違う。家族旅行、あるいは若いカップルのホテルステイは、いわば「ハレの日」だ。夏休みに家族で旅行に行くなどというと、極端な話、お父さんががんばって子供の服もバッグも新調して…という話になる。代わりに出張では、会社から宿泊費として8000円もらえるから、6000円のビジネスホテルに泊まればビール代くらい捻り出せるな、となる。これは商習慣の問題であり文化の問題である。日本の企業は出張時の宿泊代に関しては実費ではなく上限額を支給し、どのホテルを選ぶかは社員本人に任せることが多いし、アメリカとは逆に「あの人、いい社長さんだね。偉くなっても安いホテルに泊まって倹約して…」というような文化だからだ。結果として、日本のホテルのRMにおいて、早期予約割引という概念はなじみづらい。現実に、早期予約割引を明確にルールとして打ち出しているホテル・旅館はさほど多くない。あっても「一見、早期予約割引に見える、ただの割引」だ。すなわち、航空業界やアメリカのホテル市場においては、顧客セグメントとリードタイムとバジェットの関係性が早期予約割引向きだが、日本のホテル市場はそうではないのだ。では日本の高速バス市場においてはどうか。理屈で言えば、早期予約割引である必然性はない。もっとも、高速路線バスの従来の運賃制度の下で割引運賃を設定するに当たって、その「理由付け」として、既に航空で定着している「早期予約」がちょうどよかったことは間違いがなく、高速路線バスで早期予約割引が導入されていること自体を否定するつもりはない。しかし今後、仮に高速路線バスにおいても「ゾーン運賃」が導入され、一定の幅の範囲内では事業者がリアルタイムに任意に運賃を変動させられるような制度になるようなことがもしあれば、「早く予約したから安い」という概念は、完全なダイナミックプライシングのためには邪魔となってくるだろう(それは「往復割引」においても同様だ)。その点、「トクワリきっぷ」で平日のみ実質大幅割引の先鞭をつけた中央高速バス甲府線、「繁忙日運賃」「閑散日運賃」を導入(同時に往復割引を廃止)したJR「ドリーム号」、最近設定されたJRバス関東の「中高生割引きっぷ」(中高生限定で安いわけだが、期日限定なので事実上の平日割引。乗車日を問わず使える「学割」とは異なる)などは、概念としてはRMに大きく近づいていると言えるだろう。繰り返すが、現状において高速路線バス各社が早期予約割引を導入していること自体の是非は問わない。だが今後、運賃関係の規制が緩和され、また基幹(座席管理)システムの技術が向上するにつれ、運賃施策ひとつにしても事業者の自由度が大きく増すだろう。つまり、慣習による横並び施策では「お隣」に勝てないということを意味する。自由度が増すということは、事業者の腕がより試されるということに他ならない。さあ、どんな事業者のどの担当者が、どんな施策を打ってくるか、今から楽しみだ。アグレッシブか、それとも保守的か。社風や担当者のパーソナリティが出て面白いだろう。その施策が成功するかどうかの基準は一つ。「業界の常識」をいかに排除し、マーケット(乗客)と真摯に向かい合うことができるかどうか、である。
2010.03.24
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就職活動にあたって私はホテル業界を選び、かつ国内系ホテルチェーンの本社機能に志望先を絞った。その頃から既に「新御三家」を中心に外資系ホテルの方が世間の評価は高かったが、それでも国内系にこだわったのは(英語が得意でない、というような話は別として)、運営受託やフランチャイズなど、実際のホテルの経営主体(社員の所属企業)とブランドが異なる仕組みの元で、自分自身の帰属意識、愛社精神というのが正常に保てるのか、自分なりに心配だったからだ。大阪で最高級される「ザ・リッツ・カールトン大阪」を例に取れば、鉄道線路を地下化した後の余剰地に阪神電鉄がビルを建て、その中で阪神グループがホテルを経営している。社員は原則、阪神電鉄の100%子会社「株式会社阪神ホテルシステムズ」所属だ。一方、阪神は高級ホテルの運営ノウハウや国内外でのブランドを持たないから、米国の「ザ・リッツ・カールトン・カンパニー」に運営を委託。具体的には、人事権まで持つ総支配人の派遣を受け、その指揮の元、リッツ側が作成した運営マニュアルに基づいてサービスや調理を行なう(阪神側は、売上高等に応じ運営委託費をリッツ側に支払う)。当然、社員の名札にも「リッツ」のロゴが入っており、普通に利用する分には、そのホテリエ(スタッフ)が阪神の社員であることはまずわからない。「ヒルトン」「ハイアット」など一般に「外資系ホテル」と呼ばれるホテルチェーンで、実際に「外資」、つまりそこで働く社員の所属企業が外国資本である例は多くない。「外資系ホテル」ではなく「海外ブランドのホテル」というのが正しい。当時の私は、例えば阪神や、あるいは小田急(「ハイアットリージェンシー東京」の経営は「株式会社ホテル小田急」)などの社員としてその会社から給料をもらう一方で、お客様の前では「リッツ」や「ハイアット」の制服を着て「ザ・リッツ・カールトンの成定でございます」と胸を張って言えるのかどうか心配だったのだ。それで「いいホテル」「ベストなサービス」をそれで実現することができるのか、生意気にも勝手に疑問視し、「所有」「経営」「運営」を三位一体で行なっている国内系老舗ホテル企業にこだわったのだ。そのようなホテル企業を選んだことを後悔はしていないものの、その後ホテル経営を学んでいく上で上記の心配が杞憂だったことはよく理解できた。「ホテル経営の三要素」(所有・経営・運営)をあえて分離することの意義は実に幅広い。本日ここでは「いいホテル」「ベストなサービス」を実現するという目的にどう寄与しているかに絞って話を進めたい。一言にまとめると「甘えの排除」である。上記事例で言えば、仮にリッツ側が、もらっている委託料に満たない分量しか阪神側にもたらすものがなければ(例:リッツ側から大阪に派遣された総支配人が能力不足、とか、世界的にリッツのブランド価値が低迷し海外での集客が少ない、など)、阪神側はリッツ側に委託条件を低下させるよう圧力をかけるだろうし、極端な話、委託契約を延長せず「パークハイアット」等の別ブランドに委託先を鞍替えする可能性を示唆するかもしれない。リッツ側からすればそれは困るから、スタッフがベストなサービスを行ない売上や利益がより増加するよう必死の支援をする。逆に阪神側が手を抜けば(例:人員不足でサービスレベルが低下、とか、カーペットが擦り切れているのに補修しない、など)、リッツ側は「ザ・リッツ・カールトンのブランド基準に達しないからすぐに改善しろ」と言うだろう。極端な場合、ブランド供与を断ち切り、大阪でのリッツブランドの展開は他の企業とパートナーを組んで行なうぞ、とプレッシャーをかけることもあるだろう。互いに「いがみあう」ことがいいと言っているのではない。しかし、同一の会社が所有も経営も運営も一貫して行なえば、(その利点も多くあるものの)どこかに甘えが出る。総支配人の人選も、食材仕入れやスタッフ配置等、現場でのコスト管理も、最終的には一つの会社、一人の社長の判断になる。「売上が伸びないから、利益を確保するために食材のレベルを下げてコスト削減しておくか」という誰かの意見に対し「それをしてしまうとウチのホテルのブランド価値を保てないよ」という対立意見は出てこなくなってしまう。学生時代の私自身がそう感じたように、一つのホテルをよりよいホテルに育て上げるにあたってこのような「牽制」関係を持ち込みことは、「和」を重要視する日本人にはとっつきづらい印象を与える。一つの会社がホテル全部を司れば全員で一丸となって邁進するのに…とつい考えてしまう。しかしよく考えてみれば、そのホテルがよいサービスをしてブランド価値を上げ売上や利益を増やすことができれば運営側(米リッツ)にも経営側(阪神)にもメリットがあるわけで、お互いに大切なパートナーなのだ。大人の企業であれば、お互いに得にはならない足の引っ張り合いなどしない。いがみあうデメリットより、より高めあうメリットの方が大きい。それなら「耳が痛い」ことをお互いに言える関係は重要だ。「所有」「経営」「運営」の分離は、これ以外にもまだまだ多くの利点がある。その利点を高速バスにも、と考えるなら、それは高速ツアーバスに近くなる(もっともそれは「理念」としての高速ツアーバスであり、現状が理想に遠いことはお恥ずかしい限りだが)。少なくとも既存事業者では、高速バスの運行と営業を別セクションにすることがその一歩となるだろう。例えば私の会社では、毎月末、集客が目標に満たなければ各サービスの事業側責任者が全社員の前で詫びるし、システム障害などがあればシステム側責任者が同様に詫びる。各自に与えられた責任範囲を全うできていないからだ。だが一人の課長が「運行」も「営業」も両方に責任を負えば、それぞれに甘えが生まれる(以前は「運行だけ」考えておればよかったのかも知れないが)。実は電鉄会社には、百貨店やホテルなどマーケティングのセンスが求められるグループ会社も多く、新卒社員は数年目に「運輸系」「流通系」などと振り分けられるケースが目立つが、「高速バス営業課長」のようなポジションができ、(「運輸系」ではなく)「流通系」の有望な若手のキャリアパスの一環として定着するようであれば、今より大きく前進だ。航空会社の組織・人事システムなど、参考にできるものはたくさんある。
2010.03.23
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■NTTドコモ「iモード」の生みの親として有名な夏野剛氏が、ウェブ上の連載『夏野剛のネオ・ジャパネスク論』で、こんなことを書いている。<所得倍増計画などという威勢のいい言葉が叫ばれ高度成長し、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われた経済大国化の時代に形作られた終身雇用、年功序列、官僚主導、長期政権、サラリーマン社長、多様性欠如、ものづくり神話、外国語軽視などの特徴は今も根強く日本社会のシステムに根付いている。これらの特徴はすべて、右肩上がりの成長基調のなかで、「みんなで成長し、みんなで困難を克服する」システムである。><横並びで業界意識が強く、プレーヤーの淘汰よりも全体の成長を重視する仕組み。したがって、各々の企業は他企業との差別化よりも他社と同じような製品、サービスを一律に提供する傾向が強い。 このようなシステムが有効に働いた時代は、日本が世界にキャッチアップする過程であった。>その上で夏野氏は、バブル崩壊後の10年を、政府が様々な手法で「なんとかした」が、その結果<これらの施策に助けられた金融機関や企業経営者は一時的に息をついたものの根本的なシステムの転換・改善を怠り、高度成長型のあらゆるシステムが温存された。そのツケは若い世代の低い雇用や給与レベルに回され、結果的に50代以上の世代に優しい社会システムとなってしまった。>としている。「逃げ切り」ができる経営者たちは自己変革、社会変革を怠っている一方で<特にIT革命以降のこの10年は、変化のスピードに拍車がかかっている。そんななか、変化を嫌い、過去となるべく同じように仕事をし、政策を考えていては、状況についていけないことは明白>だと断定している。■小説家の幸田真音女史は、わが国の金融界の裏側を描いた作品『傷 邦銀崩壊』で、<銀行協会側は、あくまでこれまで通り、金融機関の提携や合併は、同じ金融機関の範囲内にとどめておきたいと主張した。もし異業種の参入を許すことになれば、これまで保ってきた業界内の暗黙の了解や、商習慣が破られることになる>というような、架空の銀行「康和銀行」を中心としたわが国の銀行業界に関して、主人公に次のセリフを言わせている。<「救えって、あの不良債権の固まりみたいな康和銀行をどうやって救えというんですか。周囲がこれほど心配しているのに、当の本人たちには危機意識が薄いのか、ただ手をこまねいて見ているだけだ。自分達の手で腐った部分を削る勇気も、膿を出す知恵もありはしない」>■一橋大学の一條和生教授は3月21日付の「日本経済新聞」読書面の書評『日本の製造業、試練に直面』で『グローバル製造業の未来』(カジ・グリジニックほか著)を取り上げ<「ものつくり」信仰から抜け出せない日本の製造業に成長への指針を示している。具体的には、自社および完全子会社で内製化すべき分野、提携先や合弁企業に委託すべき分野、外部のサプライヤー(部品会社など)から調達すべき分野を切り分け、過去へのしがらみなく事業モデルを見直すことである。ボトムアップ型の「ものつくり」に強い日本メーカーは、逆にトップダウンが必要な意思決定が苦手であり、製品削減や事業撤退の判断ができない。そこに日本企業の弱みがある>としている。■評論、小説、書評と、手近にあった稿から気になった部分を引用した。なお夏野氏と一條教授の文章に共通して「ものつくり信仰」と出てくるが、大鑑巨砲主義と匠の精神との組み合わせから生まれる「いい製品」「凝った商品」への徹底したこだわりと、その裏側にあるシステム化や経営観念の不足を指しており、幸田氏が取り上げた金融業界などのサービス産業も含めわが国の産業全てに共通する特徴といっていいだろう。既存事業者の経営者や担当者の皆様とお話をしていると、明確に二つのタイプに分かれる。「自分たちは地域の公共交通という大切な役割を担っているんだ。そこに競争原理や金儲けを持ち込むのは許せない」と、私が「経営観念」というような話をすればするほど、まるで金の亡者の振り込め詐欺の首謀者を見るかのような軽蔑した目で私を一瞥するタイプ。もう一方で「既存事業者は規制に守られすぎたから、戦おうと思っても体がついていかない。新しい発想をしないといけないと思っても、どうやったらどんどんアイデアが生まれてくるのか」と、もがくタイプの二つだ。当然、前者は私の言動に否定的、後者は個人としては肯定的協力的なわけだが、共通するのは、「バス業界は特別」だという前提条件だ。しかし、だ。上記を読むだけでも、バス業界が特別でないことは理解できるはずだ。幸田氏の小説中の銀行業界を「路線バス業界」と読み替えても、『グローバル製造業の未来』中の「日本の製造業」を「路線バス業界」と読み替えても、そのまま通用すると言っていいくらいである。「官僚主導」による「護送船団」で成長してきたのは、どの業界も同じなのだ。そしてその背景にあった右肩上がりの経済成長は既に終わっている。「業界みんなで仲良く」を否定するつもりはない。私の会社では、取引先に当たる企画実施会社はもちろん競合相手に当たる他の予約サイトとの間でもずっと電話がなりっぱなしだ。事業が複雑になればなるほど、時にはトボケあい、時には探りあいながらも、心が通い合う「同志」の存在が、取引先はもちろん競合相手にもいないといい仕事ができなくなる。私自身も、高速ツアーバス連絡協議会を事務局として立ち上げた経験も含め、この4年間で高速ツアーバス、そして(まだ会社としては取引のない相手も含め)高速路線バスの業界に多くの仲間を作ることができた。しかし、そのことと「みんなでぬるま湯に浸かる」こととは意味が違う。いや、それが「ぬるま湯」の間はきっとそれでいい。だがやがてそれは冷め切って「ただの水」となっても、凍えながらも浸っているのは誰のためにもならない。わが国の路線バス産業を永続させたいと本当に願うなら、求められることは一つ。自らの体にメスを入れ、どこが悪いのかを直視し、その病巣を取り出す勇気である。心配はいらない。バスに限らず周囲のどの業界も、これから同じことに取り組まなければならないのだから。
2010.03.21
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昨年の高速ツアーバスの年間輸送人員は、年間400~450万人だったと推計している。2010年はその約30%増を目指している。業界全体の数字は集約できていないが、私のサイトに限って言えば今年に入ってから対前年20%台半ば増ということで、目標には少し不足だ。そもそも2007年は前年に対し約80%増、2008年は前年に対し約50%増、そして2009年は約30%増と、成長率は着実に鈍化してきている。ポートフォリオ別に見ると、全体の40%近くを占める首都圏~京阪神の成長率が10%前後の増加にとどまっている。その次の規模の首都圏~名古屋、首都圏~仙台が20%を切る成長率。上記3路線で全体の70%ほどのポーションを占めているから、他の路線(首都圏~青森や京阪神~鹿児島など)がいくら高い成長率を見せても全体の成長率は上がってこない。私たちの会社が高速ツアーバスの予約受付事業に参入した2005年11月の時点で、全体の60%以上を首都圏~京阪神が占めていた。理由は二つ。高速ツアーバスという業態自体が、京阪神からTDRに、首都圏からUSJに観光客を送るというバスツアーの延長線上で生まれたため、元より同区間を中心に展開されていたこと。もう一つが、路線ポテンシャル(※)に比べて既存の高速路線バスが需要の掘り起こしを十分にできていなかったことだ。いつも書いている通り、既存事業者は大都市でのマーケティングがおおむね不得手だ。また他の同距離の夜行路線に比べて路線ポテンシャルが非常に大きいことから、何往復かを採算ベースに載せただけで「ドル箱」だと満足してしまっていたのである。※「路線ポテンシャル」=「同区間の、鉄道・航空・自家用車などを含む総移動量」×「距離や競合条件等を勘案した上で、高速バスが本来占めるべき市場シェア」。「本来占めるべきシェア」は、例えば長距離になればなるほど所要時間差が大きくなるためバスは不利なので下がっていくし、鉄道側の直行列車の有無とか、鉄道駅と市街地中心地との距離、などの条件で変動する。だから私たちでは、まず徹底して首都圏~京阪神を育て上げる戦略を採った。企画実施会社側で価格をリアルタイムに変動させられるようシステム改修すると同時に、私たちの側で徹底したデータ分析を随時行なって各社に情報をフィードバックし適切な価格設定をサポートすることで高速バスにおけるレベニューマネジメントの手法を確立。自社で旅行業免許を保有する貸切バス事業者に対し自社企画・自社運行のスタイルを提案し、商品ラインの拡充を急いだ。あわせて、メールマガジンやポイント付与キャンペーンなどウェブならではの手法で新規需要を開拓した。2007年、同区間の伸び率は最大で対前年3倍を超えた。その成功を踏まえ、同一の手法を2番手にあたる首都圏~名古屋、首都圏~仙台にも展開。実質初年度にあたる2006年に比べると、2009年の高速ツアーバス各社への送客人数は全国で3.5倍に増加している。だが冒頭に書いたように、成長率は着実に鈍化しつつある。これも理由は二つ。一つは、全体の規模が大きくなったために、成長「率」で見るとどうしても数字が小さくなってしまうことだが、問題なのはもう一つの「頭打ち感」の方である。大都市間路線には「既存事業者が耕し忘れていた広大な空き地」があったために、いわば敵がいない状態で簡単に需要を掘り起こすことができた。その過程で一部の高速路線バスに影響を与えたことは確かだが、大都市間路線の高速バスのシェアは以前の数倍にまで成長したことも間違いない。しかし、その「空き地」はそろそろ尽きつつある。残る「空き地」は、大都市~地方都市・観光地間の路線の、大都市側の潜在需要である。国交省のデータを分析し、高速路線バスの輸送シェア(ある区間の総移動量のうち、高速バスを使って移動している人の率)を方向別にソートしてみると、地方側居住者のシェアが大都市側居住者のシェアの約2倍となっている。中央高速バスにたとえて言うと、首都圏から山梨・長野に向かう出張者や観光客が(鉄道や自家用車ではなく)高速バスを選んでいる比率に比べ、長野・山梨から首都圏に向かう出張者や買い物客が高速バスを選んでいる比率が約2倍なのである。大都市側の、特に観光客については、間違いなく掘り起こし余地がある。これは長距離夜行路線でも同じ傾向なのだ。だからこそ私たちは、高速路線バスの取扱いをさせてもらい乗車率の向上に役立ちたいと、高速路線バスを運行する既存事業者にご提案している。ただそれも、「予約サイト」の立場だからできることだ。高速ツアーバス各社の立場に立てば、「おいおい、我々を置いていくのかよ。一緒に成長させてくれよ」ということになるだろう。ただ、ほとんどの企画実施会社はウェブによる集客だけに頼っている。大都市間のような「空き地」ならともかく、既存事業者が地元での圧倒的な存在感から市場の掘り起こしを済ませ、それを元に多頻度で便利な高速路線バスを運行している区間に、ウェブによる集客だけで後発参入するのはかなり難しい……その意味で高速ツアーバスは「踊り場」に差し掛かりつつある。さて、既存事業者やその関係者の方で、ここまで読んで「そうか、憎きツアーバスは頭打ちなのか。一息つけるな」と感じた方、どれくらいいらっしゃるだろうか。もしいらっしゃるなら、その考え方、その危機感不足こそが高速路線バスを、いや路線バス業界全体をこの体たらくに導いてしまったことを大いに反省すべきである。頭打ちなのは「これまでの」高速ツアーバスの事業モデルでしかない。高速ツアーバスの第1フェーズは(安全面等のブラッシュアップは除き、ビジネスモデルとしては)ほぼ完成に近づきつつあるが、高速ツアーバスの挑戦の「第2フェーズ」がこれからスタートするだけのことだ。そのための戦略、必要なパートナー……一つ一つ組み立て上げることこそ私たちの腕の見せ所だ。私のサイトでは、高速路線バスの取扱いも今後順調に増えていくだろうが、高速路線バス“だけ”の味方をするつもりもまた、いっさいない。路線やツアーといった業態を問わず、高速バスの「知恵袋」として取引先にアイデアを提供し、かつ高速バスに1人でも多くの利用者を掘り起こすことこそ、私たちの役割である。業界全体でさらに成長できると確信しているからだ。「成長なんてしなくていいから、とにかく波風は立てないでほしい」などという後ろ向きの事業者やその担当者なら、申し訳ないが、お役に立てることはないだろう。もちろん、高速ツアーバス企画実施会社でもそんなメンタリティの会社なら同様だ。私たちは今後とも、「1人でも多くのお客様に自社のバスに乗ってもらうにはどうすればいいか」を本気で考えている会社とだけ、お取引させてもらえればそれでいい。
2010.03.19
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先日、学部学生さんの卒業論文について書いたばかりだが、別の大学の大学院生さんからも修士論文が届いた。こちらは、バス産業の(特に規制のあり方についての)研究では有名な教授(私も日ごろよりいろいろ勉強させていただきお世話になっている先生だ)の研究室に所属する学生さんである。『高速バスと貸切形態ツアーバスの競争条件適正化に関する研究』。タイトルを読むだけで先日の卒業論文とよく似ている。先日のものは、指導担当の准教授が主に環境学や交通でも安全面がご専門の先生ということで、どちらかというと「安全性の公平な比較と、それに基づいた今後の制度の提言」という趣旨だったのに対し、こちらの先生はずばり「規制」「制度」がご専門だから、より営業面、制度面での比較と提言になっている。ただ、高速路線バスと高速ツアーバスという近いけれども異なる業態を比較し今後のあり方を提言している点では非常によく似ている。もちろん、似た論文を2篇続けて目にすることになったのは決して偶然とは言い切れないだろう。それだけ、この問題が注目を集めているということなのだ。そしてお二人とも、きわめて公平に、客観的にこの問題を捉えているという点で共通している。特に制度面で比較をする前提として、既存事業者の側からよく耳にする「競争条件が不公平→高速ツアーバスの方が廉価にサービスを提供できる→だから高速ツアーバスに乗客が流れている」という論理が正しいのかどうか、この学生さんは冷静に分析している。総合予約サイト(例えば私のサイト)が<インターネットの検索エンジン対策を行うことにより潜在的利用者を誘導する。また、居住地や嗜好に合わせたメールマガジンの発行、実際の利用者の感想をホームページに記載するなどの戦略をもち、高速バスとは別の方法で市場開拓を行った。その結果、現在のツアーバス増加につながった>とした上で、<都市部ではバス事業者が多く1社あたりの事業規模は小さい。事業規模の小ささ故に、マーケティング能力には限界がありテレビでコマーシャルを流すようなことは不可能だろう。ツアーバスは中小の事業者が多いこともあり、事業規模はさらに小さい。しかし、インターネットを巧みに使いこなす旅行社や商品取扱者の存在により、ここまで成長してきたと言える>と、ウェブの活用度合いの差が高速ツアーバス成長の大きな要因であることを突き止めている。逆に、駅前一等地に停留所を確保でき、かつ予約なしの当日発券にも対応できる高速路線バスの有利さも明記している。また、誤謬の典型として私がよく引き合いに出す「内部補助理論」についても、<高利益路線が他の高速バスやツアーバスに奪われて赤字の乗合バスの内部補助が不可能となると言う点である。もっとも、赤字の乗合バスの維持は内部補助におけるのはあまり好ましいと筆者は考えていない。それは高利益路線がいつまでも続くわけではないという点に尽きる。赤字の乗合バスについては内部補助ではなく、運行を民間委託するなど経費を節減しつつ、市町村による運行が望ましい>としており、きわめて客観的な書きぶりである。これは先日の卒業論文も同様で、<この内部補助そのものに関しては元来から議論があり、高速バスの利用者がなぜ赤字路線の赤字を運賃として負担しなければならないのかという意見がある。私の考えはその意見と同じであり、加藤(2006)p34 ※にある様に、赤字路線が地域振興のために必要であるならば、公的補助を検討すべきではないかと考える>としている。ちょっと先まで考えれば内部補助に頼った事業のあり方がいかに不安定か、研究者の先生方はもちろん学生さんでも理解できているのに、一生バスで生活していくはずの事業者の社員自らが将来の自分たちの首を絞めるような論理からなぜ脱却できないのか私は理解できない。※ここでいう「加藤(2006)」とは名古屋大学・加藤博和准教授の論文を指すが、恐らくは誤記で「加藤(2009)」とすべきではなかったかと思われる。『運輸と経済』2009年3月号「特集・新時代の高速バス」に掲載された同先生の論文『日本における高速バスの現状と課題~ツアーバス台頭を踏まえて~』p34ではないかと。ちなみに加藤先生ご本人は「誤植を見つけるのが特技」だから、もし本論文にお目通しされていれば既にお気づきかも知れない…。話を戻すと、そのような背景を冷静に分析した上で、本学生さんは新しい高速バスの制度のあり方についてきわめて前向きな提言をしている。私がこれまで拝見した中ではもっとも私自身の腹案に近い内容となっている。だから逆にここでは詳しく紹介できない。今の私の立場から私案段階で発表してしまうのは、その案の良し悪し以前に実現が遠のく状況だからだ。機が熟すまで私の中にとどめておき、タイミングを見て正しい手順で発表するよりないだろう。しかし一般論として言えることは、【1】EUなど諸先進国では「平場の路線バス」「貸切バス」の他に、名称はともかく「高速バス」に相当する制度的分類があること、【2】高速バスには「繁閑の差」がつき物で(かつ高速バス繁忙日はおおむね貸切バス閑散日でもあり)、繁忙日には余裕のある貸切車を活用することで多くの乗客のニーズに応えられること、【3】あえて「企画・催行」と「運行」とを分けることで(もちろん、事業者の希望により両方を担うことはかまわないが)、相互に役割と責任範囲を明確にでき、双方がより専門的な取り組みができること。以上を踏まえ、誰かの既得権益を守るための規制ではなく、高速バス全体の発展に寄与する制度であるべきだということであろう。将来的に新しい制度を模索するとして、従来の高速路線バスのあり方だけを「正」とするのは避けなければならない。もし高速ツアーバスという事業モデルが確立していなければ、もしそこに競争という概念が取り入れられておらず結果としてウェブマーケティングの活用に消極的なままであったら、例えば今日、例えば明日、私のサイトなどから予約して各社の高速ツアーバスに乗る、万を超える数のお客様はどうなっていたのか? その数は大都市間路線に限って言えば高速ツアーバス誕生前の高速路線バスの輸送人員など軽く超えた数字なのである。これだけの数の取りこぼしにも気づかず、従来どおりの業界秩序が守られ従来どおりの事業者が従来どおりのやり方で高速路線バスを運行することを指して「バス業界のためにはその方がよかった」と言うのなら、そこでいう「バス業界」とは誰のものなのか? 繰り返すが高速ツアーバスの現状を満点などというつもりは私にはさらさらないが、高速路線バスの従来の姿だけを「正」として一切の変化を拒む姿勢とは、私はずっと戦い続けたい。1人でも多くのお客様が高速バスを利用してくださることこそ、私たちの希望なのだから。
2010.03.18
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縁あって、ある大学の経済学部の学生さんの卒業論文を読ませていただいた。『ツアーバスと高速バスの現状とあるべき姿 ~ネガティブ情報を用いた安全性の比較と運輸安全マネジメント制度への提案を通じて~』。もちろん一学生さんの論文であって、よく目にする研究者の皆様のそれに比べると不足している部分もあるだろうし、事業に直接タッチする者から見ると実態と合っていない点もないわけではなかったが、客観的、かつ真摯にこの問題に取り組んでおられた。本学生さんはもちろん、指導担当の先生のことも私は存じ上げなかったのだが、この論文を読んで何かを感じるのは誰も同じらしく、たまたま目を通した私の知人がわざわざ送ってくれたものだ。そして私も、研究者ら多くのバス産業の関係者に転送させてもらった。本学生さんは、あずみ野観光バスのスキーバス事故や近鉄バス「フォレスト号」の横転事故などの報に接し、この問題に興味を持ち始めたそうだ。特にあずみ野の事故は彼の身近なところで起こったようで、それがこのテーマを選んだ大きなきっかけらしい。当時は、制度面で共通するスキーバスと高速ツアーバス(この二つは運用面では大きく異なるのだが…)が同一視され高速ツアーバスに対しても否定的な報道が相次いでいたのは確かだ。一方で彼は、「高速(路線)バスは安全、ツアーバスは危険」と安易に決め付ける報道のあり方に疑問を抱き、客観的な評価を本論文で試みている。その客観的評価の基準として用いたのが、国土交通省が公表している、事業者ごとの「ネガティブ情報」である。ただ高速ツアーバスについては、実際にどの事業者が運行しているかは公開情報からだけでリスト化できるはずもなく、実際に高速ツアーバス各社の集合場所に繰り返し足を運び運行事業者を特定したとのこと。このあたりの熱心さには本当に頭が下がる。一方、「ネガティブ情報」から事業者ごとの事故・違反点数をデータで収集し、それを分析することで「必ずしも高速路線バス事業者に事故・違反が少なく、高速ツアーバス運行事業者に多いというわけではない(むしろ、一部の事業者分類においては逆転している)」という結論を導いているが、まあ、事故・違反点数だけで比べると、事業者の規模が傾向として圧倒的に大きい高速路線バス側に不利にはなろうから、私もこれを持って「ほらみろ、高速ツアーバスが危険という考え方は間違っている」と吹聴するつもりは一切ない。大切なことは、客観性をもってこの問題に取り組むその姿勢なのだ。いわゆる「内部補助の問題」(高速バスの利益が圧迫され平場の路線バスの縮小を余儀なくされる問題)についても、本来的には事業者は内部補助のスタイルを転換すべきとしつつ、<現実にはそのような転換はなかなか上手く進んでおらず、高速バスの採算悪化による赤字路線の廃止という問題を抱えたまま、ツアーバスとの価格競争に望んで>いると、本来あるべき姿とそれについていけていない現実とを公平に目配りしている。安易に「高速バスの競争激化が地域の交通ネットワークを崩壊させている」と叫ぶ人には、そのような発言が結果として乗合バス事業者や地域住民にとって長い目でプラスになるのか、該当部分だけでいいから本論文を読んだ上で考えていただきたいくらいだ。先日、私の仕事に好意的な既存事業者の経営者の方から「高速路線バス取扱は増えそう? 営業は順調?」と尋ねられ、具体的な事業者名はお伝えできないながら「おおむね順調です」とお答えした後、「でも」と付け加えた。「でも、地方の事業者さんを中心に、私の会社がマーケットプレイス(総合予約サイト)だということを未だ認識してくださっていない会社も多いようで……。私の会社が高速ツアーバスを自ら企画実施していると勘違いなさっているんですよね」と申し上げたところ、「えっ? そんなこと、サイトの画面見たら簡単にわかるじゃない!?」おそらく、この一言に集約されていると思う。既存事業者が本当に高速ツアーバスに負けたくないと考えるなら、たとえ5分間だけでもサイトを見るはずだ。面倒でもなければ、コストがかかるわけでもない。私のサイトの画面を見れば、ウィラー・トラベルもオリオンツアーもキラキラ号も(そして一部の高速路線バスも)予約が取れることはすぐ理解できるはずだ。自分たちの事業を大きくしよう(少なくとも、これ以上小さくならないようにしよう)と本気で考える人なら、ライバルたる高速ツアーバスに自分で乗ってみるだろうし、そこまではともかく、サイトくらいは見るはずだ。ウェブを使わない年配の経営者の方であったとしても「そのツアーバスなるものは、どんな会社がやっているんだ?」と部下に尋ねるのが普通だろう。それが、現実には上記実態なのである。お題目のように「ツアーバスは安全性に問題がある」「地方の路線バスを縮小させている」と叫ぶことが、失礼ながら、自社の高速バスの将来に「本気」である証だとは思えない。もちろん必死で新しい取り組みを行なっている事業者も、担当者レベルはそれを望みながら会社全体ではそうはいかず歯がゆい思いをしている課長クラスや若手も私は多く知っているが、一方で、自分たちの数字が悪いことを高速ツアーバスのせいにして(それも最近は「1000円高速」の“おかげ”で下火だが)、会議の言い訳に使っているに過ぎない担当者も多く知っている。「昨日と同じようにバスを走らせていればさえ昨日と同じようにメシが食えるんだから、余計な話を持ち込まないでくれよ」と迷惑顔の担当者には、まずはぜひ、本論文を読んでいただきたいものである。(内容より先に)一学生さんでさえバスの将来をここまで真摯に考えてくれているその姿勢を学んでいただきたい。ましてや、道路運送法が改正され需給調整が撤廃されたとはいえ、主に「バス停の権利」を中心に実態として参入障壁が大きく残る寡占業界なのである。寡占主体の側が変化を拒み結果として市場をシュリンクさせている罪深さを、認識すべきである。本学生さんに卒業後の進路を尋ねると、バスとは関係ない某一流企業の名前が返ってきた。このような優れた学生さんにも「一生バスにかかわる仕事をしよう」と選んでもらえるような業界に、変わっていくことはできるだろうか。
2010.03.15
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本日から、富山県のイルカ交通の高速ツアーバスの取扱を開始した。イルカ交通といえば、乗合バス事業にまったくの新規参入でありながら2008年に高速路線バス(高岡~名古屋線「きときとライナー」)を運行開始したことが特徴的である。私も「きときとライナー」のニュースを聞いた際には大変驚いた。道路運送法が改正されて以後も、乗合バス事業については事実上のさまざまな参入障壁が残り続けたため、しばらく高速路線バスへの新規参入は見られなかったからだ。そのあたりは東京海洋大の寺田先生が詳しいが、既存事業者の越境的新規参入や、既存事業者の分社子会社による参入などを除くと、高速路線バスへの純粋な新規参入は富士交通/桜交通、おびうん観光(ただし既存事業者と共同運行)、それにこのイルカ交通くらいだろう(空港連絡バスを入れると、高知駅前観光の例もある)。本ブログの読者の方にはイルカ交通は人気なのか、たしか2度ほど、「イルカ交通を取り扱ってください」というようなコメントをいただいた。特に2度目のときは、ちょうどイルカ交通と細かい打ち合わせを進めていたタイミングだったから、しかし個別の案件の進捗状況をこのブログに書くわけにはいかないから、なんとお答えしたらいいか迷った記憶がある。私たちが同社とお話をし始めたのはずいぶん前の話になるのだが、双方でかなりゆっくりとお話を進めてきた。上記のようにファンの方にはずいぶん人気のある同社だが、やはり既存事業者の反応を考えると、大手事業者の乗合商品よりも先にイルカ交通の商品を取扱うことは私たちにはずいぶんとリスキーだったからだ。イルカ交通の経営者である村西会長は、既存事業者の既得権益に風穴を開けようというよりは、新しいことにいろいろ取り組むのが本当に大好きなだけ、というメンタリティだと思われるが、既存事業者のなかには、「新しいことに取り組む」会社自体に極端にネガティブな反応を示す方が多い。今回は、イルカ交通の「次の、新しいこと」として、東京線の高速ツアーバス「ドルフィンライナー」をまずは毎週1回、自社で企画・運行することになり、私たちはその販売のお手伝いだ。空港連絡などを含む、比較的短距離の路線や昼行路線は高速路線バス形式で、比較的長距離の路線は高速ツアーバス形式でと使い分けるのは、上記の高知駅前観光のほか、サンデン交通、イーグルバスと共通で、当面(つまり新制度ができるまで)のひとつのあり方ではないかと思われる。高速路線バス名古屋線「きときとライナー」の取扱については今の時点でははっきりと書けないが、実現したら当然この場でもご紹介することになるはずである。私たちでも乗合商品の取扱が開始しそれが大きく報じられ、それがさらに拡がりを見せそうな手ごたえを実感している今のタイミングでイルカ交通の取扱を開始するというのは、ちょうどいいタイミングだったわけだ。しかしまあ……せっかくこのように地方の新興バス事業者のチャレンジをお手伝いするという前向きなニュースのはずなのに、「業界の秩序」なるものに配慮しなければならないこの業界の実情を考えると、いやいや、悔しいというか、悲しい思いさえしてくる。ぜんぜん別の話になるが、私のサイトで高速路線バスの取扱を開始したことを聞いて、ある高速ツアーバス企画実施会社の担当者が、「ウチら、これからは“路線さん”とも戦うことになるんですね」と言っていた。その会社はかなり手広く高速ツアーバス事業を行なっておりその担当者とも私が今の会社に入社して以来の付き合いだから業界の「古株」に当たるわけだが、その彼の上記発言は、高速ツアーバス各社は高速路線バスと戦っているつもりはこれまで一切なかったことをよく表わしている。昨日書いたように、高速ツアーバス各社は新しいマーケット(例えば私のサイト。もちろん各社の自社サイトも含めたウェブマーケティングの世界、といってもいいだろう)において、他の高速ツアーバスと毎日、いや毎時毎分競争しているわけで、“路線さん”のことなどほとんど視野に入っていなかったのだ。高速ツアーバス各社は新しいマーケットを求めて、かつその新規マーケット内で少しでも大きな存在感を得ることを目指して競争し、その競争がさらにマーケット拡大を加速させてきた。高速路線バスの世界では、ダブルトラックがまったくないとはいえないものの、おおむね事業者同士の競争はない。いろいろ確執?がないわけではなさそうだが、とはいえ既存事業者同士は相互不可侵の関係だ。それに慣れている既存事業者の皆さんは、高速ツアーバス各社(と、イルカ交通のような新規参入事業者)が一致団結、束になって攻めてきているような印象をお持ちのようだ。しかし実際に高速ツアーバス各社は、“路線さん”のことを意識する前に、むしろ自分たちの世界での競争に忙しい。その競争こそがマーケット拡大を誘引しているから、外から見れば「一致団結、仲良くやっている」と見えるのかも知れないが、高速ツアーバス企画実施会社同士は一義的には競争相手だ。既存事業者から「成定さんの所が4条の高速バスを扱ったりしたら、ツアーバス会社は怒らないの?」などと聞かれることも多いが、高速ツアーバス各社は競争の中でビジネスをするのが当たり前であり、私のサイトで高速路線バスを扱っても彼らにとっては既に数多いコンペティターが1社増えるだけに過ぎない。既存事業者の側から「ツアーバス陣営は」などという発言を聞くたびに、両方の「陣営(?)」の気持ちがわかる私には、あまりにも一方的にかつ過剰に意識しているのが見えて、少し悲しいというか、むしろ滑稽にも見えてくる。まあ、どのような背景があれど、イルカ交通のような元気な新興事業者のお手伝いができるというのはうれしいことだ。とにかく面白いこと、新しいことをするのが大好きなイルカ交通の村西会長が次はどんなアイデアに挑戦なさるか、楽しみに待っていよう。
2010.03.11
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3月5日付の朝日新聞(中部本社版)朝刊で、高速バスのことを大きくご紹介いただいた。かなり大きな記事だが、見出し部分だけをなぞると<貸切VS路線 高速バス激戦><ツアー業者参入 需要を開拓><東京-名古屋間の高速バスが、価格とサービスで激戦を展開している。ツアーバスに大手バス会社が対抗、需要を底上げしている>とあって、ウィラー・トラベルの新型車両「シアター」や富士セービングバス「旅の散策」の大型座席、JR東海バスの「プレミアム・シート」が写真入りで紹介されている。<大都市を結ぶ高速バスは、これまで路線バス会社の独壇場だった。しかしインターネットの普及が新規参入を促した>とし、同区間で高速ツアーバスの便数が急激に増加した構図を説明している。その上で、「かつては『路線バスは高級』『ツアーバスは安い』だったが、今はツアーバス事業も充実したサービスの競争に向かっている」という私のコメントを使ってくださった。またそういった高速ツアーバスの攻勢に対し、既存事業者側もさらなる高級化や割引の充実など対抗策を講じている状況も紹介されている。何度も書いているが、首都圏-名古屋間は、本来のマーケット・ポテンシャルに比べ需要の掘り起しが余り進んでいなかった区間だ。要するに「伸びしろ」がまだまだ大きいのである。だから、ウェブマーケティングの活用により私たちが新規需要を開拓すると同時に、朝日のような影響力のある新聞やテレビで「激戦」「サービス競争」と取り上げられ新型シートや高級シートが一般の方の目に触れることが、高速バスマーケット全体をさらに大きくしていく。競争が「磁場」を生み、そこに利用者が集まるのだ。いつも既存事業者の皆様とお話をしていてちょっと違和感を覚えることが多いのは、「ツアーバスは安いから成長した」というご発言が多いことだ。もちろん、一般論として高速ツアーバスの料金が高速路線バスの運賃より低めであることは間違いがないし、それが集客の武器になったことも否定しない。しかし本当に価格の安さだけが高速ツアーバス成長の鍵だったのか。例えばこんなデータがある。まずオリオンツアーが、次に西日本ツアーズ(現ウィラー・トラベル)が高速ツアーバス事業を「0」から開始したのが2001年。その4年後、2005年の高速ツアーバス年間輸送人員を「1」とすると、さらに4年後(2009年)の高速ツアーバス輸送人員は「17.5」である。つまり高速ツアーバス誕生以来最初の4年間に成し遂げた成長の16.5倍もの成長を、その後の4年間に実現しているのだ。もう一つ、こんなデータもある。2005年度(つまり高速ツアーバスが爆発的に成長する直前)の首都圏-仙台間の高速路線バスの輸送人員を「1」とすると、その時点での同区間の高速ツアーバス輸送人員は「0.3」だった。しかし2009年の高速ツアーバス輸送人員は「4.1」にまで成長している(高速路線バスの輸送人員の最新データは手元にはない)。つまり、極端な話、同区間で高速路線バスを高速ツアーバスが「食って」しまって高速路線バスの輸送人員が「0」になっていると仮定しても、同区間の高速バスマーケット全体は4年間で約3倍以上に成長していることになる。実際には高速路線バスも苦戦はしつつも運行は継続されているわけで、同区間の高速バスマーケットは4年間で5倍近く(もしかしたら5倍以上)にまで成長し、その成長部分のほぼ全てが高速ツアーバスに流入している、ということになる。高速路線バスから転移した乗客はいるだろうが、それは高速ツアーバス輸送人員のごく一部に過ぎないことが上記の数字からわかるはずだ。高速ツアーバスが生まれた2001年から2005年末までの4年間と、2006年初めから2009年末までの4年間。最初の4年間は「鳴かず飛ばず」だった高速ツアーバスが、新規需要を掘り起こしながら爆発的に成長した後半の4年間とは、いったい何だったのか。その前の4年間とは、何が異なるのか。単に「安いから伸びた」のであれば、成長のカーブは一定の角度で上り続けるはずだ。しかし2005年を境に、成長カーブの角度が桁違いに変わっているのはなぜか。答えは簡単だ。彼ら(高速ツアーバス各社)がウェブマーケティングを積極的に活用し始めたのが2005年の末ごろだった、というその1点に尽きる。ちなみに、私たちのサイトが高速バス予約事業に参入したのが、まさにこの2005年11月なのである。「安いから伸びた」という高速ツアーバス観を間違いだと言う気はない。高速路線バスを頻繁に利用していたヘビーユーザーが、低価格に惹かれ高速ツアーバスに移ったケースも無くはないだろう。しかし、「安いから伸びた」だけに目をやりすぎると次の戦略を見誤る。「安い」のも、「豪華」「快適」「安心」も、それぞれ各社の高速バスの、相応の魅力なのだ。しかしその魅力を有効に利用者に見せなければ何の意味も無い。本記事に掲載されているように、現在、首都圏-名古屋間の高速バスの最安値はJR系の高速バスだ。これは首都圏-京阪神でも同様である。逆に最高値は繁忙日の高速ツアーバスの高級車両である。平均単価では高速路線バスの方がまだ高いだろうが、少なくとも最高値・最安値どうしの比較では高速ツアーバスの方が高めの価格になっている。それでも、高速ツアーバス(少なくとも私たちのサイトの取扱)は対前年で約30%増のペースで成長を続け、高速路線バス側からはいいニュースを聞かない。高速ツアーバス利用者の多くは、高速路線バスとの価格の比較の上に高速ツアーバスを選んだわけではなく、高速バスを予約しようとした際に目の前にあったのが高速ツアーバスだったからそれを予約しているのに過ぎず、高速路線バスの存在も、例えば「ドリーム号」といった愛称さえ知らないのである。高速路線バス側が販路を拡げないまま運賃を下げても価格弾力性が働くわけがなく、単価減による運賃収入減を招く以外の結末はありえない。戦略を立案する上で、もっとも重要なのは現状認識である。もしそこで誤れば、十分に戦えるはずがない。既存事業者側から高速ツアーバスを見る際にどうしても感情が先に立つことは理解できなくはないが、そのような状況の時ほど冷静さや客観性を失わないよう努めることこそ、経営者(既存事業者など日本の伝統的企業の場合は、社長さん個人ではなく本社部門全体を指す)に求められているはずである。
2010.03.10
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