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昨日から、「西口バイト」時代の仲間たちと1泊でバスを乗りに。今回は、なぜか某路線バス事業者の高速バス担当の2人も加わり合計5人で銚子に向かった。もちろん単純に銚子を往復しただけのはずもない。蒲田駅東口集合→羽田空港→箱崎……コースの詳細はご想像にお任せするが…。バイト時代の仲間には卒業したあと路線バス事業者に就職した者も多いから、<路線バス事業者の社員と一緒>であること自体は以前と変わらないし、仕事で知り合った事業者の高速バス担当者の皆さんと食事に行ったりする機会は多いわけだが、今回のように仕事上でのお付き合い先(それも取扱をご提案中の相手)と趣味の場を同席するのは初めてで、いつも以上に盛り上がって大満足。もっとも、メンバーがどうであれ、車内で、またお酒を飲みながら話すその内容は変わらないのも事実だが。ちなみに復路のコースは、路線バス事業者の若手から<成田空港へ移動して、キャブさんのスーパーシャトル>というアイデアも出たが、ガチガチの「アンチ・ツアーバス論者」である(?)私が即却下。平場の路線と高速路線バスを乗り継いで戻ってきた。宿泊したのは銚子の「居酒屋民宿」。1階の居酒屋で遅くまでうまい魚を楽しみそのまま2階で寝るという、今回の目的にはぴったりの宿。腰の低いご主人と愛想のいい奥様(たぶん)で切り盛りなさっていた。もちろん期待通りの味とサービスで、ご主人によれば私たちのような目的での宿泊が、それもウェブで予約する例が増えているのだという。たしかにそうだ。ウェブが無ければ私はこの宿を予約しなかっただろう。理由は二つ。一つは、そもそもこの宿を知る術がない。2~3室程度で、さらに単価も安い宿では、大手旅行会社も取扱うことができないしガイドブックに掲載されることもない。広告出稿したところで、この部屋数では広告費を取り戻す売上にはつながらない。もう一つ、民宿というと若干の不安がある。今回、気心知れているといえ仕事上の付き合い先も一緒だから変な宿を選ぶわけにはいかない。その点、他の利用者のレビュー(感想)をウェブで確認できるのは安心だ。たとえ多少ネガティブなコメントがあっても、それを許すかどうか私自身が判断すればいいのだ。できれば、この宿には、さらにサイトを活用して欲しい。新鮮なお魚、民宿ながらタオル類や歯ブラシなど完備している様子、そしてご主人と奥様のお人柄が伝わるような笑顔の写真などを掲載(簡単な操作で宿自身が掲載することができる。それは高速バスも同じ)し、ぜひ、お二人の「体温」をサイト上で再現すれば、予約はもっと増えるはずである。話は変わるが、今回の旅では利根川を何度か渡った。河口に近い銚子では、川というより海峡といった迫力がある。利根川を渡る度、思い出すことがある。それは「利根川の東遷」という歴史的事実だ。江戸初期まで、利根川は現在の隅田川や江戸川の流路で江戸(東京湾)へ流れていた。江戸幕府は、その流れを徐々に東へ移し最終的には鬼怒川の流路に合流させ銚子で太平洋へ注ぐよう大規模な土木工事を実施する(厳密には、明治以降、足尾銅山事件の影響などもあって現在の形ができあがる)。その結果、政治と経済の中心地江戸は洪水から守られ、広大な農地も誕生し、北日本と江戸を結ぶ流通網が一気に成長し多くの人々に豊かさをもたらした。ご先祖様たちは、川の流れを変えるという壮大な事業を考え、300年もかけてそれを実現したのである。私たちは、ついステレオタイプ的に、この国を「平和主義的で協調主義的で、どちらかというと手堅く守るタイプの国民性」と規定しがちである。特に江戸時代を、平和だったが進歩がなかった時代と捉えがちである。しかしこのような歴史を振返り、大規模な「人工河川」とも言える利根川の壮大な流れを目にするとき、実はこの国は常に挑戦をし成長を目指してきたことに気づかされる。この国の長い歴史の中で、<十分に豊かだし、これ以上成長しなくてもいいよね>と守りに入っていた時期はおそらく無い。今回、思い出話のなかであらためて感じたこと。私は長野線開業の直後からバイトを始め高山線開業の直前に卒業した。5年もいながら路線の新規開業に立ち会ったことがない。卒業後就職したホテルでも新規オープンの機会はなかった。仲間たちとバスに乗りに岐阜に行ったとき、急成長中の格安ビジネスホテルチェーンの岐阜店が開業初日ということで特別料金で宿泊した。翌朝、ロビーで朝食をいただいていると、壁側に置かれた棚が気になった。<私なら、あの棚をあっちの壁側に置くな。その方がお客様の動線がいい>。5分後、チェーン本社から派遣されたらしい若い担当者が現地の支配人らしき人に対し、私が感じたことと全く同じ指示を出しているのを見て<どうしても新規オープンに立ち会いたい>という衝動にかられた。翌日出社して上司に<私を3年間、格安チェーンに出向させてください。絶対にいい勉強をして帰ってきます>と伝えたら<お前アホか>と一言返ってきた。しかし今、私は新規開業にどうしても立ち会いたいとは思わない。高速ツアーバスにたずさわってそれなりに楽しんだというのもあるが、それ以上に私の役割をよく認識したからだ。ローソクが消える直前のように輝いたバブルの崩壊とともに高度経済成長が終焉した直後、私たちの世代は社会に出た。長かった「いい時代」を忘れられず変革を拒むこの国の中で、それでも必要な変革を推進することこそ、私たちの世代に求められた役割なのだ、きっと。私には国全体を変える様な力は無いが、愛するバス産業だけは、なんとか変え抜きたい。その黒子として、その宣教師として、バス産業に変革を呼びかけ続けよう。本年、本ブログ読み続けていただいた皆様に心から感謝を申し上げる。そして来年は、私自身にとって大きな大きな意義ある1年になる予定だ。さあ、もうすぐ、その大きな1年の幕が開く。
2010.12.31
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「高速バス」、なかんずく「高速バスのマーケティング」についての講演やプレゼンならば何度も経験しているので、<今日は20分バージョンで>とか<60分あげるよ>とか急に言われてもソラで時間に終わらせられるだろうし資料も使い回しが聞くのだが、年明けすぐの日程でご依頼をいただいているある講演の場で、少し違う話をしてみようとたくらんだのが冒険過ぎたかもしれない。年の瀬も押し迫る中、月末や年末の定例の仕事に加え、足元の年末年始の出発ピークに向けた仕込みも加わりタダでさえ仕事が山積みなのに、その講演の資料、そして行政主催の「バス事業のあり方検討会」第2回に向けた資料とPCの上にはいくつものパワポファイルが開いたままになっている。まあそれでも、年末には「西口バイト」時代の仲間たちと1泊で高速バスに乗りに出かけるのは忘れていないけど。その講演。聴衆は大学院(ビジネススクール)を出て第一線でご活躍中の皆様と伺っているから、単に当社(または高速ツアーバス業界)がこんな工夫で成長してきました、という話では済ませられないだろう。既得権益、とまでは言わずとも既成のビジネスモデルに抗することで成長したビジネスなど世の中では少なくない。業界団体から批判され続け<洗髪台が設置されていないから不衛生だ>と県によっては出店を制限するような条例まで制定されながらも全国展開した理髪店チェーンとか、既存店の店主たちによって出店予定地に座り込みされるなど嫌がらせを受けながら成長した酒販店チェーンとか、同様の事例は聴衆の皆様もご存知のはずだ。だから、もうちょっと背伸びしてみたい。戦後日本バス産業の長い歴史を踏まえ、いまバス産業が置かれている状況と今後の変革への期待、そしてその変革がこの国の中でどのような意義を持つのか。非常に長い講演の持ち時間を頂戴しているので、年末年始をかけて準備したい。そんな風に新しい話をしようとすると、当然新しい資料がいる。資料を作るということは、頭の中で理解していることでも事実かどうかウラを取り、データも生の数字がいるということだ。そういえば小学生の頃、学習塾の宿題に「ノートまとめ」というのがあったが、感覚的に理解するのではなくちゃんと紙に書くことで知識を整理することが目的だったのだと今になって納得する(その習慣が大学まで続いていれば人生も違ったかも知れない)。昨晩、戦後の「乗合バス輸送人員の推移」をグラフにしていてハッとした。この「へ」の字型カーブは様々な先生の専門書やバス関係の勉強会の場で何度も目にしてきたが、自身で数字を調べ自らグラフを作成してみて初めて実感することがあったのだ。1955年に35億人/年だった乗合バス輸送人員は、65年に約100億人/年に達しそれが10年続いた後は35年間も降下を続けている。だからこそ「へ」の字カーブと呼ばれるわけだが、その左端と右端の高さがどれほど違うのかについてはあまり深く考えたことがなかった。実は2008年時点で43億人/年にまで減っているのだ。ここ数年は下げ止まっているものの、少し何かあれば1955年当時の輸送人員へ逆戻りしてしまう。1955年と言えば終戦10年後。「武蔵野乗合自動車」が「小田急バス」と名を変えてわずか5年しか経っていない。大先輩たちが、1955年からのわずか10年間で3倍近くまで成長させ、さらに10年間の黄金期を味わったバス産業を、我々は35年かけて元のサイズまで食いつぶそうとしている。大学生だった私が「西口バイト」としてバスに出会ってから20年だから、シュリンクを続けた35年の半分以上に、既に立ち会ってしまっていることになる。私たちがいま置かれているのは、<地方の事業者は厳しい環境の中よくがんばっている>などといった感傷的な評価で覆すことのできる軽微な逆境ではない。誰かのせいにしておけば神様が助け舟を出してくれるような甘い状況ではない。最近でこそ、研究者のみならず既存事業者の経営者からも、<公共交通の維持は「公」の役割であるのに、民間に「丸投げ」してきたのが間違い(そのような制度は先進国では日本だけ)>という声が上がるようになり、客観的にはそれは事実だから全く同意するものだが、もしも短期的な公的補助の増額のためにその論理を使っているだけだとしたら、周囲を敵に囲まれながらも「最後にはきっと神風が吹く」と信じて戦い続けたどこかの国となんら変わらない。むしろ、<公共交通は「公」の役割であるのに、民間に「丸投げ」してきた>という表現を、せめて<公共交通は「公」の役割であるのに、民間が「丸抱え」してきた>とあらためることから何かが始まると私は信じる。政府や自治体が都合よく丸投げしてきたことは例え事実であっても、上記のとおり1975年まではバスの「黄金期」であり、バス事業そのものから大きな利益が上がっていたこともまた事実なのだ。さらに流通や不動産、観光事業など付帯事業とのシナジーを考えると各事業者は十分に「いい時代」を味わったのだ。輸送人員のカーブが下降に転じた際、早期に「大政奉還」をしておくべきだった。もちろん、なんとか持ちこたえようと高速バスや貸切バス事業、流通などの付帯事業からの利益を平場の路線バス維持に注ぎ込んだ使命感には共感もするし敬意も払うが、その結果、事業スキームの抜本的な変革をするずる後回しにすることを許してしまい、産業全体が後退する結果になったこともまた確かである。やれ行政が悪い、やれ旅行業界が悪いと他人のせいにし続ける限り、その後退は止まらない。バス産業の後退は、他の誰の問題でもない。バスにたずさわる一人ひとりの問題である。本日、ある研究者の先生からのメールに有名な狂歌が添えてあった。<泰平の眠りを覚ます上貴撰 たった四杯で夜も寝られず>。お前も4隻の黒船のうちの1隻になれ、とのありがたいメッセージだ(他の3隻の顔ぶれはご想像に任せる)。既存事業者には、黒船とはいえ、青い目の人たちではなく「バス語」が通じる同国人の分、まだマシだと理解して欲しい。いや、そんな甘えさえ許さない異国人に乗り込んできてもらった方が、本当の意味ではバス産業のためとも思う。それとも、もしかしたら異国人が操る蒸気船はこの国に興味さえ示さず沖を通過するだけなのか。もしそうなら、私にはもっと悲しい。
2010.12.27
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おかげさまで最近、既存の乗合事業者の経営者の皆様とお話しする機会が多い。既にお取引先になっていただいた会社、なろうとしている会社、それに、将来そうなるであろうと私が勝手に考えているだけの会社もある。担当者とビジネスの話を長い間かけて詰めてきて「今度はウチの社長に会ってもらって…」というケースもあれば、第三者のご紹介、オフィシャルな会議の場などシチュエーションは様々だ。私個人としては、自分の会社を大きくすることより「業界全体の黒子」として業界全体に影響を与える方が自分の仕事観、人生観に合っているから、多数の経営者の方にお目にかかることができるのは非常に嬉しい。どこかの事業者の社長になってその会社の業績を上げることよりも、主に高速バスの数字を伸ばす戦略を1社でも多くの事業者に説明しそれを実現してもらうことの方が嬉しいのだ。大会社の社長になって100のことを自分で決済するより、私がご提案する100の戦略戦術のうち1つずつであっても、それを100社が採用してくれる方が喜びが大きい。既に契約済みの事業者や、まさに取引先になろうとしている事業者の場合、その経営者は当然、私たちの会社の理念を理解してくださっている。私たちが自ら高速ツアーバス事業を営んでいるわけでないことも、高速ツアーバスだけを取扱う気はそもそもなかったこともご存知だ。それでも私に会うと、「ツアーバス問題」について一言モノ申さないと気が済まない様だ。もちろん、その気持ちは私にはわかる。自分自身が、高速ツアーバス企画実施会社の連中が既存事業者についてちょっと非難めいた発言をすると、今でも<いやいや、彼らにすればね>と懇々と既存事業者の立場で説教を垂れてしまうくらいだからだ。自分たちがいかに地域交通に使命感を持ち、高速バスの収益を平場の路線バス維持のために費やしてきたか。自分たちがいかに輸送の安全性確保に腐心してきたか。自分たちが路線の改廃新設の際にどれだけ面倒な手続きをしているか。私自身も共感し敬意を覚えるだけに、応接室のソファで、黙ってうなずきながら拝聴する。<いやいや、成定さんのトコロが悪いわけじゃないんですよ。お宅は売ってるだけだから>とこちらの立場を慮る言葉が混じったら、ただ頭を下げる。それどころか<ウィラーさんが悪いわけでもないんだよ>とまで言い出す方もいる。<「お上」が認めたんだからヤツらは違法じゃない。いい加減な通達を出した方が悪いんだ>と、たいてい最後は行政批判になって終わる。しかし、<これも儀式だ>とばかり全く黙っていたら、私の思いは実現しない。私としては、高速路線バスをサイトで取扱うことそのものがゴールではない。既存の乗合事業者の皆さんに、それをきっかけにより積極的なマーケティング意欲を持ってもらうことが大切なのだ。だから少しは反論する。例えば<現行の道路運送法では、過疎路線の維持は内部補助によって行なうべきとはなっていないですよね>。例えば<御社はそれだけ立派な安全対策を行なってこられたのに、それを効果的に利用者に伝えてこられましたか>すると、これまで滔々と「演説」してきたその口調のまま再反論が始まるのだが、どうもしゃべっているうちに調子が狂ってくるらしい。行きつ戻りつ、頭の中で考えながらしゃべるように口調が変化してくるのがよくわかる。皆さん、大事業者の経営者ばかりだ。例えばメディアの取材で、例えば株主総会で、例えば春闘などの労使協議の場で、言葉を選んで発言する機会は少なくないはずだ。少しずつそれを思い出すのだろう。その度に私は感じる。<ああ、この人たちは、こと「ツアーバス問題」に限っては、意見を同じくする人たち同士でしか話をしたことがないんだな>と。だからこの問題に関して「考えながら話す」習慣がない。自分の考え方とは異なる考え方が存在する可能性に気づいていないのだ。結果としてこの問題に限っては「議論する力」がどうも不足する。それゆえ、例えば全くの第三者から、<そこまでツアーバスの方が有利で不公平だと言うのなら、なぜあなた方の会社が運行する高速路線バスをツアーバス業態に移行しないのか>などと客観的質問が飛んできたりするとそこでスタックする。たしかに、これは答えるのが難しい質問なのだ。<ツアーバスは違法だから>と答えれば、行政が違法ではないと通達に明記している以上事実に反するし、むしろ誹謗中傷とか名誉毀損と責められるリスクがある。<ツアーバスの低い客単価では利益が出ないから>では、高速ツアーバスこそ価格設定が自由な上に最近では価格が逆転している事象や、客単価を高く設定しても結果として乗車率が上がらねば収益性を落としてしまう可能性を説明できない。<旅行会社が企画し貸切バス会社が運行する形式では安全性が担保されないから>という答えでは、自社の旅行業部門が企画実施するバスツアーや、自社の貸切バス部門が旅行会社からバスツアーの仕事を請けることまで否定することになる。一番無難なのは<ツアーバスは違法だという信念を持っているから>という回答だろうが、それだと一企業のポリシーの問題で、銀座の高級寿司店が<ウチは回転寿司には進出しない>と明言するのと同じ結果となり、高速ツアーバスの存在そのものを否定する根拠とはなりえない。うーん、この質問への「本当の」「素直な」答えは、<ツアーバスはレベルの低い新免事業者がやる仕事だと思い込んでいたから>ですよね、きっと、と私としてはちょっと言ってみたい。と、そこまでをバス業界関係者の何人かの知人に話してみた。すると、上記会話の場にも一緒にいた業界に詳しいある人は<いやいや、成定さん。事業者の経営陣はもっとしたたかだよ>と言葉を濁す。ちなみに別の関係者はもっとストレートだった。あまりにストレートな解説が返ってきたために、ここではあえて紹介しないと決めたほどだ。ごくごく率直に私は思う。皆さんは経営者だ。従業員の給料にも株主への還元にも責任がある。だから経営者が自社の権益を守ろうとするのは当然。そのためには「したたかな発言」も重要だ。株主総会や労使協議の場をうまく切り抜けてきたように、この問題に関しても「議論力」を鍛える必要がある。そしてそのためには、意見を異にする人の意見にあえて耳を傾けることで、自らの主張に客観性を補強していくしか方法はないですよ、と。
2010.12.26
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両備グループの公式サイトで、同社・小嶋代表のメッセージ『地域公共交通を延命策から夢のある21世紀の政策へ!』が発表されている。公共交通の再生に関して数々の実績を残してきた同グループ小嶋代表の最新メッセージである。本メッセージ中にも「違法と思われるツアーバス」という表現もあり、ここだけは立場の違いというか以前から私としてはどうしても同感しかねる部分だが、それ以外は小嶋代表のご発言に個人としていつも共感しており今回も心から賛同する。「公共交通」という錦の御旗の元に自分たちを正当化し、事なかれ主義で自己変革を拒む形ばかりの経営者が多い中で、社内で強いリーダーシップを発揮する姿に私は大いに憧れるものである。小嶋代表のご主張と公共交通再生への情熱は以前から変わりないが、今回は以下の点を明確になさっているところが目新しい(以下はいずれも原文中でも太字で強調されている)。・「先進国で公共交通を民間に任せきったのは日本だけ」・公共交通衰退の理由は、マイカー普及などとともに「補助金行政の副作用により」「経営不在を助長する結果になったこと」および「顧客不在の自滅的な労使不仲を助長する結果となったこと」である。前者の<公共交通は本来的には民間が担うべきものではなかった>という考えは、研究者のみならず、最近ようやく事業者の経営者からも言われるようになってきた。人口密度の大きさや高度経済成長、土地の値上がり神話、「物言わぬ株主」といった恵まれた外的環境の元、日本の公共交通は戦後ずっと民間企業に任せられてきた。もちろんその過程で、沿線経営というビジネスモデルを構築した阪急の小林一三を筆頭に、地域交通への責任感使命感をもって業務に当たってきた一人ひとりの真摯さには心から共感する。だが外的環境が大きく変化を続けている今日、「古きよき時代」の手法は限界を迎えつつある。この状況においてなお、<不動産や流通、高速バスなどの黒字で路線バスの赤字を埋め合わせることで公共交通ネットワークを何十年も維持してきたんだ。だからこれからも同じように食っていけるはずだし、そうするべきだ>と主張する経営者がいるなら、四面楚歌になりながらも<精神力で敵機を撃ち落せ>と指示した某国の戦時中の指導者となんら変わらない。路線バス部門の中において内部補助は当初から行なわれてきたものの、高速バス部門など他部門から補助が行なわれ始めたのはここ20~30年ほどの話でしかなく、しかもその間の路線バス部門の収支悪化の勢いは急激だ。歴史家的視点に立てる(というほど格好いいものではなく、要するに10年スパンで物を考えられる)経営者なら、内部補助の原資を守るために高速バスの競争を制限することや、公的補助の申請に分厚い書類を書くことが担当者のルーティンワークになっている現状が、短期的な延命処置にしかならないことはすぐに理解できるはずだ。そして後者の、「補助金行政の副作用」としての「経営不在」「自滅的な労使不仲」については、お見事、さすが内側から変革を促し公共交通の維持(地元岡山)と再生(和歌山、福山、三重など)を成功させてきた同氏ならではのご発言である。公益性が大きい企業として競争が制限され、地元の名士企業として、保守系政治家との強固な関係をベースに生きてきた多くの既存事業者の経営力がいかほどであったか、その点については誰も指摘できずにいた(かくいう私自身、いろんな方に遠慮して本ブログでもぼやかしていた)。性善説にもとづいた<地方の路線バス会社は苦しい状況の中で一生懸命がんばっている>という感傷的な評価はこれまでから何度も出されてきたが、では全てのバス事業者の経営者は、異業種の経営者と比較して高い評価を受けることができるだろうか。規制産業ゆえの構造が、先送り経営と特有の労使関係を誘発してはいなかったか。異業種からバス事業者の経営者となり変革を進めてきた同氏ならではの鋭いご指摘である。本メッセージ中の、規制緩和に関する評価については個人的には気になる(私の考えは、競争原理導入によって市場が拡大する蓋然性が大きい事業分野とそうでない事業分野とで対応を分けるべき、というものであって、なんでもかんでも規制緩和は悪というのは違和感がある)ものの、全てを外部環境のせいにし続けてきた他の多くの経営者とは大きく違う。まずは自らの体に自らメスを入れ、癌を取り出す勇気が必要だ。このまま変わることができなければ、バスという産業の余命はそう長くはない。繰り返すが、小嶋代表の勇気あるご発言に大いに賛同し、同氏には心から憧れるしだいである。さて全く話は変わるが、昨日から岩手県北自動車の「帰省・上京バス」(正式な契約先は旅行会社である「岩手県北観光」)の取扱を開始した。最近、乗合系事業者の取扱開始であっても、「乗合」形式ではなく「ツアー」形式の場合、イルカ交通の高速ツアーバス参入(同社を「乗合系」と呼ぶかどうかは別にして)を最後にこの場で紹介していなかったが、本ケースは、全国に高速路線バスの路線網が完成する前から化石?のように残っていた「帰省バス」である点が興味深くあえてご紹介するものである。スタッフから<県北さんは、まずは「帰省・上京バス」から取扱させてくださるとのことなので準備に入ります>と報告を受けた際、「帰省・上京」という「昭和」感あふれた懐かしい響きに、この国における高速バス事業(という言い方で悪ければ「都市間のバス輸送サービス」)成長の歴史の長さをまず思った。そして、過去よりも未来の方がさらに長いであろうその歴史を意識し、いま自分たちが直面している課題を年表のどこにプロットすべきなのか常に考えながら仕事をすることを忘れないようにしよう。そんな風に思いを新たにしたのだった。
2010.12.21
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高速バスの制度を今後どのような方向に導くべきか。言うまでもなく難しい問題である。人により立場の違いも、短期的に何かを求めるのか長期的なのかの差もある。「バス業界の将来を考えて」などとキレイな言葉を誰かが使ったとして、そこでいう「バス業界」の範囲さえ人によって理解が違うわけだから、何が正で何が誤か、白黒つけることは難しい。大切なことは、関係者一人ひとりが他の関係者の立場を理解しようと努めることだ。自分の考えを、市民や利用者がどう捉えるか想像しようと努めることだ。客観性を失った発言は事態の収拾を難しくするばかりか、発言した側自身が思わぬ非難を浴びるリスクさえある。一例を挙げるなら「内部補助理論」だ(いつも書いていることだが)。私自身は、公的補助の絶対額が十分と言えないなか、各事業者は地域への責任感と使命感から我が身を削って地域の公共交通ネットワーク維持に腐心していることを知っているし、それを尊いと感じるからこそバスに興味を持った。しかし多くの事業者は株式会社であり、全ての株主が将来も同じように感じ続けてくれる保証はない。あるいは「高速バスの競争が激化し収益性が低下したため過疎地の路線バスを維持できなくなった」ということを、それを「事実」として伝えることはよくても(事実として伝えるだけなら、メーカーが「海外製の安い商品が入ってきて当社の売上が減った」という事実を言っているのと同じだ)、政策への不満として表明するということは、捉え方によっては「過疎地の路線バスを維持するために高速バスの競争を制限すべきだ」と主張しているように受け止められるリスクがある。現行の道路運送法では内部補助による路線維持の考え方が否定されていることは事実だし、過疎路線維持に関するモラルハザードの問題もある。そして上記主張は、裏を返せば路線バスの赤字が今後どこまで増えても社内のやりくりでなんとかすると社会に約束しているようなものだが、そんな約束が本当にできるのか。また「過疎地の路線バスを維持するため結果として高速バス利用者が不当に高い運賃を支払わされている」という論理がメディアを通して市民に流布するリスクが全く無いと誰も言い切れないだろう(現実に研究者の論文には見られる指摘である。まだ市民の目に触れていないだけだ)。ましてや、既存バス事業者に対し市民がどのような感情を持っているかという点を考慮に入れれば(「地元の大切なバス会社さん」と感じてくれているありがたい市民もいるだろうが、運輸政策研究機構・公共交通支援センターの座談会で鉄道事業者が自ら告白しているように「電車は要るけれど○○電鉄は要らない」という感情を持つ市民がいないとは、どのバス事業者も言い切れはしないだろう)、上記のようなリスクは最小限にとどめた方がいいはずだ。そこを判断するのが経営者の仕事である。高速ツアーバスの集合場所のあり方に対する過ぎた非難も、舵取りを誤ると、「停留所の権利」とは一体何なのかという議論に進みうる。空港の発着枠でさえ「新規参入枠」が設けられている今、バスの停留所に関して再配分の制度、少なくとも新規参入を望む者に対し公平性が担保された配分の仕組みが無い現状について、メディアの採り上げ方によって市民がどう反応するかシミュレーションだけはしておくべきだ(つい先日も、オフィシャル感が強いお立場の方が停留所の権利について、<そんなの、ブンヤ(新聞記者)が一つ書いちまえばすぐにガラガラポンだ>と笑っておられた)。万に一つでも都心の停留所について再配分の機能が作られ(あるいは停留所の権利に入札制度でも導入され)たりしたら、高速バスの世界に何が起こるか想像だけはしておくべきだ。新規参入高速バスのほとんどが「ツアー」形式であるゆえ事前予約・決済が必須とされ長距離の夜行便にほぼ特化している現状を正しく把握しているなら、万に一つでも既存事業者の都心の停留所の一部が強制的に取り上げられ、ウィラーや平成に優先配分されたなら何が起こるか、想像できるはずだ。新規参入側が大手を振って停留所から「路線」形式で高速バス事業を展開できるようになることは、収益性が大きくない長距離の夜行便のみならず、より収益性が大きい短・中距離の路線で本格的な競争が始まることを意味するのだ。既存事業者が高速バス事業から得る利益のうち、「ツアー」形式の方が有利とされる長距離夜行路線が占める比率と、「ツアー」では不利なため未だ新規参入がほとんどない短・中距離の多頻度昼行路線が占める比率はいかほどか、事業者自身がよく知っているはずである。この場で(個人の立場で書いているから)高速ツアーバス側の正当性を主張するつもりはない。「事務局」の役割は、仕事として粛々とこなしていく。高速ツアーバスに課題が一切ないなどと言うつもりもない。直すべきところは直すべきだし、不足な点は補うべきだ。しかし、誰かが客観性を欠いた一方的な主張をしたために、高速バスの未来が閉じてしまうことは許さない。私が考える最大のリスクは、旧来の固定観念の元に高速バスが戻ってしまうことだ。「やはり守ってもらえた」とばかり、既存事業者が自己変革の歩みを止めてしまうことだ。一般乗合のレギュレーションや業界の固定観念に固執しなければ高速バス市場を大きく拡大できることは、この5年間で証明された。その過程で発生した問題については真摯に対処すべきだが、それは、高速バスのレギュレーションを5年前の時点まで戻すことと同義ではない。高速バス市場成長の可能性を摘み取っていいわけはない。繰り返すが、本日書いた内容を「高速ツアーバスの正当化」と読む方がいるなら、仕方ないとはいえ残念だ。よく読んで欲しい。上に挙げたのは全てあくまでも「リスク」であり、私の「希望」では決してない。そしてそれらは全て、既存事業者側のリスクなのだ(書きながら、<ああやっぱり自分は既存側のことばっかり心配しているよなあ>とあらためて実感している)。相手への無理解が客観性のない発言を誘発しないよう、既存事業者の側こそ、視野を広げていろんな人の意見に耳を傾けるべきである。
2010.12.17
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先週末に取扱開始した西鉄高速バスは三重線と高松線でパラパラと予約が入り始めた。もっとも、東北急行バス取扱開始の際の勢いは、さすがにない。今回、西鉄高速バスが最初の取扱を三重、高松、佐伯とした理由はお聞きしていないが(結局は共同運行会社の顔ぶれ、かも知れぬが)、では路線バス事業者は、ウェブによる販路拡大をどのような路線から行なうのがベストだろうか? 高速ツアーバスと競合する路線(西鉄で言えば東京線、大阪線)からか、それとも今回の3路線のように競合が無い路線か。その他にも、鉄道との競合環境、高速路線バス同士の競合(マルチトラック)環境、観光要素が強い(西鉄で言えば黒川温泉線)かどうかなど、一口に高速バス路線といっても実は様々な外的要因を持っている。少なくともここまで取扱させていただいている中で圧倒的に送客数が多いのは東北急行バスの仙台線である。総乗客数が前年比で何割くらい増加したのかお聞きしたことはないが、若干のカニバリを考慮しても(とはいえ感覚的には多くて数%だろう)、同社の経営にいい意味でインパクトを与えるレベルの数字はご送客できているはずだ。理由は簡単で、首都圏~仙台線はウェブマーケティングの誕生が新規需要を大きく喚起した路線であるので私たちのサイトに相当数のリピータがいたからだ。その中の数%が比較検討の上で東北急行バスの便を選ぶことで、同社にとっては大きなインパクトがある数字につながっている。今後、同社が採るべき戦術は二つ。まずは週末を中心に単価アップを図ること。運用の都合もあったのだろうが、曜日に関係なく単価が下がりすぎている。南海バスの広島線など、平日と週末で約10%の価格差を設定しつつ、さらに平日は楽天スーパーポイントの付与率を5%に上げ(通常は1%)、実質的に約15%の価格差とし成功している。次には、このようにして獲得した新規顧客に対し、次回以降、まずは私たちのサイト上で自社のバスをリピート利用してもらえるよう誘導し、できるなら最終的には送客手数料が不要な自社サイト(同社の場合は発車オーライネット)から予約してもらえるよう、手を変え品を変え促すことが必要だろう。そのために、接客など品質面でますます磨きをかけるとともに、自社サイト予約者に何らかのインセンティブを与えたり自社サイトのユーザビリティを向上させたりすることが必要だ。一方で私たちも指をくわえて見ていると、コストと手間をかけて掘り起こした新規需要を二度目以降みすみす彼らに渡すことになるから、そうはさせじと新たな工夫を繰り返すだろう、双方のそのがんばりが、さらなる成長を生む。私が思い描く「お互いに高め合う、取引先同士の適度な緊張関係」である。このように高速ツアーバスと競合する路線で高速路線バスを取扱させていただければ、私たちは取扱開始のその日からどんどん新規予約をご送客することができ、事業者側は「足元」で大きなゲインがある。私たちとしては、その時点では予約総数は増えないが、「利用者に対し多様な選択肢を用意する」というマーケットプレイスの本来の役割を充実させサイトの価値を上げることができる。今回、西鉄は逆の選択をした。高速ツアーバスと競合する路線はあえてはずし、全く競合がない路線ばかりを選んだ。もともと私たちのサイトにリピータがいるわけではなく「足元」のゲインが小さいことを覚悟で、事業者と私たちで一緒に潜在需要を喚起し路線を盛り上げていくというイメージだ。お互いプレスをうまく活用したりキャンペーンを実施したりし、常時、世間の耳目に触れるようにすることが大事である。そのためにも、期間限定で乗客プレゼントを用意したりポイント付与率を増減させたりといった「話題のヤマ」を作ることが有効だ。前者の東京~仙台線の場合は、事業者(東北急行バス)は、自社サイトから予約していた既存の乗客が私たちのサイトへ逸走すれば手数料分が持ち出しになるので、楽天でも予約が取れることは事業者の自社サイトやチラシなどで触れない方がいいし、後者の福岡~三重などの場合は、まだ成長期にある区間における潜在需要喚起が目的だから、事業者側も積極的にメディア等に登場し、既存客が逸走するリスクをあえて取ってでも路線全体を膨らませていくことが肝要だ。とすれば、後者のパターンで最も有効なのは次の二つのタイプの路線である。一つ目は観光地路線。景気変動など外部要因を除くとビジネス路線において移動者数の急激な増加は見込めないが、観光客の場合は、「○○に行かないといけない」という制約があるわけではないので、デスティネーションの魅力や高速バスの便利さを訴求することで移動量そのものの増加を図ることができる。「今度の連休に伊豆の温泉にでも行こう」と計画中の消費者にとって、魅力的な目的地と便利な交通手段があるならば、別に伊豆でなくとも富士五湖でも那須でもかまわないのだ。もう一つは高速路線バス同士がマルチトラック化している路線である。鉄道や自家用車から高速バスに転移させようとすると非常に大きなコストや知恵が必要だ(「スイッチングコストが大きい」)が、A社の高速バスからB社の高速バスへの転移は、それらが比較的小さく済む。「ポイントが溜まる」「予約が便利」程度の差異化でライバル路線から自社路線へ乗客を誘い込むことができるのだ。これら2タイプの路線では、既存客が逸走し手数料が持ち出しになるリスクを取ってでも、楽天で予約できるようになったことを事業者側でも積極的にアピールし、手数料増加額など軽く上回る新規売上を見つけてくればいいだけの話だ。このように、外部サイトの活用による拡販ひとつとっても、路線ごとに置かれた環境により戦い方は変わってくる。インターネットは決して「打ち出の小槌」ではない。自分たちが置かれた環境を冷静に分析し、それぞれにあった打ち手を選ぶことが求められているのだ。もっとも、「まずはいろいろやってみる」ことで固定観念を打破することこそ、そのための最も近道なのかも知れないが。少なくとも、西鉄とウィラー、西鉄と楽天という新しい組み合わせは、固定観念を打破するのに十分なインパクトがあるはずだ。
2010.12.13
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本日より、西鉄高速バスの取扱を開始した。まずは、福岡~三重線、福岡~高松線、そして季節限定「復活」運行の福岡~佐伯線、3路線からのスタートだ。対象路線の共同運行会社のうち、四国高速バスは高松~新宿・八王子線で既に取扱があるから、三重交通、大分バスが新規の取引先ということになる(まあ三重交通の場合は「観光販売システムズ」名古屋~伊勢志摩線の取扱実績があるので全く新規とも言い切れないが)。これで乗合商品の取扱は11社。そのうち3社(※)が東京空港交通、西東京バス、東北急行バスと首都圏であるのはここまでの提案営業の進捗を踏まえるとよく理解できるのだが、それを上回る4社が九州(九州産交バス、宮崎交通、西鉄高速バス、大分バス)というのは、少なくとも当初の手ごたえから言って意外な気もする。(※)なおツアー商品に対象を広げれば、小田急箱根高速バス、東武バス(運行は東武バスセントラル)、小田急バス(運行は小田急シティバス)も含めて首都圏6社になる。さらに付け加えれば、小田急系の2社については基幹(座席管理)システムおよびウェブ予約エンジンの提供に留まっており、本来の私たちの立ち位置ではないが。実は路線バス事業者への提案営業を始めた当初、全国の事業者のほとんどと契約ができたとしても、九州には上陸できないのではないかと勝手に思い込んでいた。一愛好家としてみた場合、九州各社は「独立王国」を作り上げているので私のような者の話は聞かないのではと感じていたのだ。が、実際に営業に回るとそうではなかった。九州の各事業者は高速ツアーバスの影響は最小限に済んでいるはずで、だからこそ、と言うべきか、にもかかわらず、と言うべきか、私の話を皆さん真剣に聞いてくださる。それだけ自社の高速バスの将来を冷静かつ真剣に考えているということだろう。また、「楽バス」構築以来、各事業者の担当者による会議が定期的に開かれていて、単に会議の内容以上に、担当者同士の「距離」が近くなっていることもいい影響を与えているだろう。言うまでもなく西鉄グループは日本最大のバス事業者でもある。まず3路線のみとはいえ、この会社と契約ができるのは素直に嬉しい。私としては、業界に詳しい人たちから「成定さん、悪いけどそれは絶対無理」と言われながらも4年前に路線バス事業者への提案を始めた(なお会社としては、高速バス予約事業スタート前に路線バス各社にご提案をしているので「再開」だが)際、<主だった5~6社の高速路線バス事業者のうち1社でも契約できれば、それが「一里塚」になる>と考えたものだが、西鉄がその「5~6社」に含まれることは明確であり、さらに上述のようにその中で最も時間がかかるのが西鉄だと勝手に思い込んでいたがにもかかわらず、(西東京バスを「京王」だと言い張らない限りは)その西鉄が一番乗りとなったのだ。いつものことだが、ご決断いただいた(共同運行先を含む)経営者、担当者の皆様と、ここまで導いてくれた様々な協力者の皆様に、心からお礼を申し上げる。さて、本日、西鉄高速バスのウェブ販売について、もう一つ興味深いニュースが発表されている。ウィラー・トラベルとの提携である。本ブログをお読みの方は、路線バス事業者が楽天トラベルを使って販路拡大を図ることの意義は、(賛否はともかく)理屈としてはご理解くださっているだろう。しかしウィラー・トラベルとの提携と聞くとまたまた頭の中がぐちゃぐちゃになっているかも知れない。本日は出張先ゆえ詳細はまた後日とさせていただきたいが、まあ、関係者の「頭の中がぐちゃぐちゃに」なっているなら、このニュースを実現させた、九州内各事業者のリーダー的存在としての西鉄と、高速ツアーバス業界を引っ張るウィラー・トラベル双方の努力はまずは報われたということだろう。目に見える(経済的な)メリットは、正直、SUNQパスの販売やら2~3路線程度のウェブ予約やらを始めたところで双方にとってさほど大きなものにはならない(もちろん、それは私たちも同じだ)。しかし、バス業界に当たり前のように流れる固定観念を打ち破ることは、バス産業再浮上のための大きな大きな第一歩になりうる。ここまで苦境に陥ったバス産業が再び頭をもたげ再び元気を取り戻すためには、この産業にたずさわる一人ひとりが真剣に、頭がちぎれるほど考え抜かねばならない。西鉄と楽天、西鉄とウィラーの提携は、そのきっかけとして十分なニュースバリューがあるはずだ。さあ、「眠れる獅子」たちが、ついに目覚め始めた。
2010.12.10
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